防災科学技術委員会(第43回) 議事録

1.日時

平成31年4月24日(水曜日) 15時00分~16時30分

2.場所

文部科学省3F2特別会議室

3.議題

  1. 主査代理の指名について(非公開)
  2. 議事運営等について(非公開)
  3. 防災科学技術委員会運営規則の改正について
  4. 防災科学技術委員会の進め方について
  5. 文部科学省の地震・防災研究に関する取組について
  6. SDGsにおける防災科学技術の役割について
  7. 研究開発課題の評価について(非公開)
  8. その他

4.出席者

委員

寶主査、山岡主査代理、大原委員、大湊委員、上村委員、鈴木(博)委員、鈴木(靖)委員、瀧澤委員、田村委員、前田委員、松久委員、水村委員

文部科学省

佐伯研究開発局長、岡村大臣官房審議官(研究開発局担当)、林研究開発局開発企画課長、工藤研究開発局地震・防災研究課長、中出研究開発局地震・防災研究課長補佐、村山研究開発局地震・防災研究課防災科学技術推進室長、石山研究開発局地震・防災研究課防災科学技術推進室長補佐、三浦科学官

5.議事録


【石山防災科学技術推進室長補佐】  それでは、定刻となりましたので、始めさせていただきたいと思います。
 ただいまから、防災科学技術委員会(第43回)を開催いたします。このたびは委員の皆様方におかれましては、お忙しいところ御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 本日は委員15人中、現時点で11名の御出席を頂いており、定足数を満たしております。
 本日はペーパーレス会議となっておりますので、会議資料につきましては、お手元のPCで御参照いただきたいと思います。PC電源は左上のボタンを押しますと電気がつきます。操作方法は一般のPCと同じで、パッドでカーソルを動かすこともできますし、これはサーフェイスPCですので、タブレットと同様、画面を直接触っていただいても操作することが可能となっております。分からないことがあれば、事務局にお知らせいただければ職員がおそばにまいりますので御連絡ください。
 本日の議題でございます。席上に紙で議事次第を置いております。議題でございますが、1番の主査代理の指名から7番の研究開発課題の評価に関わる、またその次のその他までの案件がございます。開会から議題2の議事運営等についてまでは、会議を非公開とさせていただきますので、御了承お願いいたします。なお、議題7以降につきましては、後ほど御確認をさせていただきます。
 本日は、第10期科学技術学術審議会 研究計画・評価分科会 防災科学技術委員会発足後の最初の会議でございます。御就任いただいた委員の皆様方を御紹介させていただきます。資料1-1に防災科学技術委員会の名簿がございます。あいうえお順、敬称略させていただいております。名簿記載順に紹介をさせていただきます。
 まず、主査の御紹介をさせていただきます。京都大学大学院総合生存学館長教授の寶馨主査です。
【寶主査】  寶でございます。よろしくお願いいたします。
【石山防災科学技術推進室長補佐】  続きまして、委員の御紹介をさせていただきます。国立研究開発法人土木研究所の水災害・リスクマネジメント国際センター主任研究員の大原美保委員です。
【大原委員】  大原と申します。よろしくお願いいたします。
【石山防災科学技術推進室長補佐】  東京大学地震研究所教授の大湊隆雄委員です。
【大湊委員】  今回から参加いたします地震研究所の大湊です。よろしくお願いします。
【石山防災科学技術推進室長補佐】  長岡技術科学大学工学部機械創造工学専攻教授の上村靖司委員です。
【上村委員】  上村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【石山防災科学技術推進室長補佐】  東日本旅客鉄道株式会社 JR東日本研究開発センター防災研究所所長の鈴木博人委員です。
【鈴木(博)委員】  鈴木です。よろしくお願いします。今回からの参加になります。
【石山防災科学技術推進室長補佐】  一般財団法人日本気象協会執行役員最高技術責任者の鈴木靖委員です。
【鈴木(靖)委員】  鈴木です。よろしくお願いします。
【石山防災科学技術推進室長補佐】  科学ジャーナリストの瀧澤美奈子委員です。
【瀧澤委員】  瀧澤でございます。よろしくお願いいたします。
【石山防災科学技術推進室長補佐】  新潟大学危機管理室教授の田村圭子委員です。
【田村委員】  お願いいたします。
【石山防災科学技術推進室長補佐】  国立研究開発法人防災科学技術研究所理事長の林春男委員、本日は御欠席でございます。
 名古屋大学減災連携研究センター長教授の福和伸夫委員、本日は御欠席でございます。
 日本電信電話株式会社研究企画部門R&Dビジョン担当統括部長の前田裕二委員です。
【前田委員】  前田です。よろしくお願いいたします。
【石山防災科学技術推進室長補佐】  兵庫県企画県民部防災企画局防災企画課長の松久士朗委員です。
【松久委員】  松久です。どうぞよろしくお願いいたします。
【石山防災科学技術推進室長補佐】  東京消防庁防災部震災対策課長の水村一明委員です。
【水村委員】  水村です。どうぞよろしくお願いします。
【石山防災科学技術推進室長補佐】  東京大学大学院情報学環(兼)地震研究所准教授の三宅弘恵委員、本日は御欠席でございます。
 名古屋大学大学院環境学研究科副研究科長教授の山岡耕春委員、本日は御欠席でございます。
 以上15名の皆様が本委員会の委員に御就任いただいております。第9期から10期を迎えるに当たり、新たに大原委員、大湊委員、上村委員、鈴木博人委員、瀧澤委員に加わっていただいております。
 続きまして、文部科学省からの出席者を紹介いたします。佐伯研究開発局局長です。
【佐伯研究開発局長】  佐伯でございます。よろしくお願いいたします。
【石山防災科学技術推進室長補佐】  岡村審議官です。
【岡村研究開発局審議官】  岡村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【石山防災科学技術推進室長補佐】  林開発企画課長です。
【林開発企画課長】  林です。どうぞよろしくお願いします。
【石山防災科学技術推進室長補佐】  工藤地震・防災研究課長です。
【工藤地震・防災研究課長】  工藤です。よろしくお願いいたします。
【石山防災科学技術推進室長補佐】  中出地震・防災研究課長補佐です。
【中出地震・防災研究課長補佐】  中出です。よろしくお願いいたします。
【石山防災科学技術推進室長補佐】  村山防災科学技術推進室長です。
【村山防災科学技術推進室長】  よろしくお願いします。
【石山防災科学技術推進室長補佐】  私、防災科学技術推進室長補佐の石山でございます。よろしくお願いいたします。
 遠藤防災科学技術推進室調査員です。
【遠藤調査員】  よろしくお願いいたします。
【石山防災科学技術推進室長補佐】  三浦科学官です。
【三浦科学官】  三浦です。よろしくお願いいたします。
【石山防災科学技術推進室長補佐】  ここで、文部科学省側を代表いたしまして、佐伯研究開発局長より、御挨拶を申し上げます。
 局長、よろしくお願いします。
【佐伯研究開発局長】  改めまして、今回この防災科学技術委員会の第10期の委員をお引き受けいただきまして、誠にありがとうございます。また、本日は足元の悪い中、また年度当初のお忙しい中御参加いただきまして、心より感謝を申し上げます。
 現行の第5期科学技術基本計画におきましては、Society5.0の実現が重要な課題として取り上げられております。その中でも、自然災害に対する強靭な社会の実現が求められておりまして、この防災科学技術は非常に重要な分野でございます。
 特に、昨年度は西日本の豪雨災害、あるいは北海道胆振東部地震などの様々な災害が発生し、被害をもたらしました。改めて、我々は非常に災害に襲われる国といいますか、非常に大きな災害に常にさらされている国、そこに住んでいることを痛感させられたわけでございます。
 そのような中、科学技術を活用いたしまして、少しでも自然災害による被害の軽減を図ることは我々にとっても重要な役割だと思っております。そのためにも様々な研究プロジェクト、研究力を上げ、更にその成果を社会に実装していくことが求められていると思っております。
 この委員会では、そういった私どもが進めておりますプロジェクトに対しまして、事前評価、中間評価、あるいは事後評価など評価を頂くことが1つの大きな仕事でございます。先生方から忌憚のない意見を伺いながら、できる限りよいプロジェクトを仕上げて進めていきたいと思っております。
 また、今回は特に第6期科学技術基本計画の策定が始まるタイミングでございます。全体としては、科学技術・学術審議会の別な部会でもって取りまとめを進めて、文部科学省としての第6期に関する考え方をまとめていくわけでございます。そこに対しまして、どのようにして、特にどういう分野といいますか、どのようなことを次期の基本計画の中で重視していくかについても、先生方の御意見を賜れば大変有り難く存じております。
 これから、特に評価においては、非常に先生方に御負担となるような作業をお願いする機会も出てまいります。非常に心苦しく思っておりますが、防災科学技術の分野は、本当にその成果がまさに社会に直結している部分でございます。何卒お力添えを頂きますようお願い申し上げます。引き続きよろしくお願いいたします。
【石山防災科学技術推進室長補佐】  続けて、このたび防災科学技術委員会主査に御就任いただいた寶委員より御挨拶を頂きたいと思います。よろしくお願いします。
【寶主査】  寶でございます。今日は委員会がもう第43回でございます。以前は防災科学技術委員会ではなくて、防災技術に関する研究開発の委員会と、そういう名前だったと思います。その頃からずっと参加させていただいております。今月から主査を務めていくので、よろしくお願いしたいと思います。
 この委員会は、今佐伯さんからお話がありましたように、文科省が進めておられる防災技術に関するプロジェクトの評価等、あるいはサジェスチョンなどをする委員会であります。防災分野は学際的、しかも社会と密接に関わっているということでございます。この委員会もアカデミアのみならず、研究開発法人もあれば、実務的な立場の民間会社からも来ていただいております。それから、ジャーナリストの方もおられます。幅広いいろいろな観点から貴重な御意見を頂けるものと思っておりますので、この1年、委員会が4回ぐらいあります。よろしく御協力いただきたいと思っております。
 以上でございます。
【石山防災科学技術推進室長補佐】  ありがとうございました。
 それでは、以降の議事進行に関しましては、寶主査にお願いいたします。よろしくお願いします。
【寶主査】  それでは、私から議事進行させていただきます。

< これより非公開 >

【議題1 主査代理の指名について】
科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会運営規則第5条第7項の規定に基づき、主査の指名により、山岡委員が主査代理に指名された。


【議題2 議事運営等について】
以下の資料について事務局より説明があり、研究評価については、運営規則第4条第3項における非公開とすることが適当であると認める案件として、非

公開とすることが決定された。
・資料2-1防災科学技術委員会の概要
・資料2-2防災科学技術委員会運営規則
・資料2-3防災科学技術委員会の公開の手続について


< これより公開 >

【寶主査】  それでは、議題3の防災科学技術委員会運営規則の改正についてに入ります。まず、事務局から御説明いただきます。
【石山防災科学技術推進室長補佐】  防災科学技術委員会運営規則の改正について御説明いたします。まず、資料3-1を御覧ください。資料3-1は新旧対照表になっております。横長の資料でございます。
 まず、この資料におきまして新たに設置する条文といたしまして、書面による議決を第4条として新設する内容の案でございます。経緯につきましては、3-1の次のページ、2ページを御覧いただきたいと思います。
 ここには、ここの委員会の親の委員会に当たります科学技術学術審議会運営規則の抜粋したものと、科学技術学術審議会研究計画評価分科会運営規則の抜粋したものがございます。両会ともに審議会に関しましては、平成31年3月13日の改正分としまして、書面による議決という条文を新たに設置して付け加えております。同じく、研究計画評価分科会運営規則につきましても、平成31年4月17日に改正が行われ、同様の条文が新しく作られております。
 これを受けまして、当委員会防災科学技術委員会におきましても同様に、書面による議決を第4条として新設するという案でございます。4条は「主査はやむを得ない理由により会議を開く余裕がない場合においては、事案の概要を記載した書面を委員等に送付し、その意見を徴し、又は賛否を問いその結果をもって委員会の議決とすることができる」、「2 前項の規定により議決を行った場合、主査が次の会議において報告をしなければならない」という条文でございます。また、この4条を新設することによりまして、旧4条が5条に、5条が6条、6条が7条へと条番号が1つずつ増える改正も併せて行いたいというものでございます。
 続きまして、3-2を御覧ください。3-2は、先ほど資料2-3で御紹介いたしました防災科学技術委員会の公開の手続という文書でございます。この文書におきましても、ただいまの運営規則の改正を行いますと、旧の方の下から2行目を見ていただきますと、左が冒頭「規則6条に基づき」云々という文章がございます。この6条が条文番号が1つ変わりますので7条になるという改正を併せて行いたいという内容でございます。
 以上でございます。
【寶主査】  ありがとうございました。書面審議を行うことができるようにするということでありますが、基本的にはEメールで送ることがたいていの場合は多いですね。
【石山防災科学技術推進室長補佐】  そうですね。事務局といたしましては、Eメール等を用いまして効率的に会議を進めることができるのではないかと考えております。
【寶主査】  Eメールで書面を送ってそれで審議していただくという、俗に言う「メール審議」の形になりますね。よろしゅうございますか。
【上村委員】  いいですか。
【寶主査】  はい、どうぞ。
【上村委員】  内容については全く異論がないですが、この文章がどうもしっくり来ないです。「やむを得ない理由により会議を開く余裕がない場合には」というこの「余裕がない」というのが非常に解釈がややこしくて、誰にとって何の余裕がないのかややこしいので、「やむを得ない理由」と前段で言っています。「やむを得ない理由で会議を開けない場合には」では十分ではないかと思います。理由がもう既にありますので、変な解釈の余地が残らない方がいいと思います。
【寶主査】  事務局、いかがでしょうか。「余裕がない」というところは、余計な文言ではないかということですが。
【村山防災科学技術推進室長】  御趣旨は先生のおっしゃるとおりだと思います。原則としては、会議は開かねばならないという原則の下、時間的余裕がない場合もありえます。
【上村委員】  これは時間的余裕のことですね。
【村山防災科学技術推進室長】  はい、ある期限までに定めなければ出さなくてはいけない、まとめなくてはいけないというケースが想定されます。開く、開けないというと、本当にどのようなことをしても開けないなど言われますと、これまた解釈が難しくなってまいります。ここは上の委員会の書きぶりと整合させて「余裕がない場合」という形でお願いしたい。
【上村委員】  「時間的」と入れてしまった方がクリアになるような気がします。
【村山防災科学技術推進室長】  他にも何か災害に首都圏が見舞われた場合に会議を開くリソースがないことも想定されますので、「余裕」とまとめていると考えております。
【上村委員】  何が何でもそうしてくれということではないですが、変な解釈の余地が残るのが何か気持ち悪いと、ただそれだけです。
【工藤地震・防災研究課長】  この表現ですが、元々この会議の親の部会になります計画評価委員会の部会で、表現が同じような文言で入った経緯もございます。もう少しそちらの方と都合を合わせて、これは全委員会で同じ表現で恐らく今入っていることもございます。その辺の都合を酌んでいただければと思います。
【上村委員】  了解です。
【工藤地震・防災研究課長】  事務局同士で話をして、それで何とかなるようであれば御趣旨のように直したいとは思いますが、何分ほかの計評分科会の参加の全ての委員会が同じもので入っている状況もございます。その辺をまたお知らせさせていただきたいと思います。
【上村委員】  結構です、はい。
【寶主査】  先ほど資料3-1の2ページ目に参考がありまして、そこの中に運営規則の抜粋があります。そこに「やむを得ない理由により会議を開く余裕がない場合においては」ともう記載されているので、それに倣っているということですね。これも3月13日、4月17日に改正されたばかりなので、今年度はこれでいきましょうか。
 それでは、御了承いただいたことにさせていただいてよろしいですか。それでは、書面審議がメール審議で行うことがあるということでございます。ありがとうございました。
 それでは、続きまして、議題4です。防災科学技術委員会の進め方についてでございます。まず、本委員会で行うこととされております評価等の予定について、事務局から御説明いただきたいと思います。
【石山防災科学技術推進室長補佐】  説明いたします。資料4をお開きください。
 資料4は、第10期防災科学技術委員会の今後の進め方(案)でございます。第10期、平成31年、来月から令和でございますが、10期は2年間でございます。令和3年の3月までという2年間の予定になります。この資料において説明いたしていますのは、今年度の分でございます。今年度は4回を予定しておりまして、本日が第43回で、その後44、45、46を予定しております。
 次回44回に関しましては、議事としまして、新規事業の事前評価、令和2年概算要求に向けたものでございます。新規事業の事前評価を予定しております。それに加えまして、防災科学技術に関する研究開発の方向性についての検討を、その次45、46も含めて3回予定しております。これは先ほどの局長の挨拶にもございましたとおり、第6期科学技術基本計画の策定に向けた御議論を頂きたいものでございます。
 続きまして、45回でございます。45回に関しましては、次世代火山研究・人材育成総合プロジェクトの中間評価、及び今御説明いたしました防災科学技術に関する研究開発の方向性についての検討、この2つの議題を予定しております。
 46回でございます。46回は首都圏を中心としたレジリエンス総合力向上プロジェクトの中間評価ならびに同様でございます。
 以上4回でございまして、日付に関しましては、7月までは事前に委員の皆様からの御予定を調整させていただき、このような日付を予定しております。10月に関しては、まだ調整未了でございますので、今後調整をさせていただきたいと考えております。
 以上でございます。
【寶主査】  ありがとうございました。ただいまの御説明について御意見・御質問等ございますか。
 6月21日と7月30日は決まっており、内容もこういうことでお願いしたいということです。10月についてはまだ日は決めていないということであります。災害はこれからも起こる可能性もありますから、そういう突発的なことがあるとまた内容が加えられたりすることがあると思います。とりあえず10月までの4回でお願いしたいということですが、御質問等ございますか。よろしゅうございますか。ありがとうございました。
 それでは、今後の委員会の運営をこのようなスケジュールでさせていただきます。いよいよ「令和元年」という文言が出てくるようになりましたね。
 それでは、続いて5番の議題であります。平成31年度の文部科学省における地震・防災研究に関する取組を事務局より御報告いただきます。資料5を御覧いただきたいと思います。
【工藤地震・防災研究課長】  それでは、資料5に基づきまして、文部科学省の地震・防災研究に関する取組について御説明させていただきます。資料表紙の次のページが総括表でございますので、まずこちらに基づきまして全体の概観を御説明させていただきたいと思います。
 まず、2019年度予算額、こちらは令和元年になりますが、144億7,400万円が今年度のこの分野における総額でございます。概要といたしましては、まず、左の海図、海の図が載っているこのイラストの部分です。海底地震・津波観測網の構築・運用という項目がございます。こちらが総額で26億3,100万円になっております。これは2段に分かれておりまして、上部の部分の16億1,400万につきましては、南海トラフ海底地震津波観測網の構築の形で新規の予算になっております。他方、その残りの10億強ですが、こちらにつきましては海底地震・津波観測網の運用という題名になっております。これまで構築されております日本海溝沿い及び南海トラフにおける紀伊半島から四国の東側の部分、こちらの部分に構築しました2つの海底地震・津波観測網、こちらの運用経費に充てております。
 戻りまして、上の南海トラフ海底地震津波観測網につきましては、昨年の補正におきまして約16億の予算がついております。これについては、新しいケーブルを今後5年間を目途になりますが、高知沖から日向灘にかけてこちらの海域にリアルタイムで地震・津波の観測ができる観測網を構築させていただくものになっております。
 また、その下に首都圏を中心としたレジリエンス総合力向上プロジェクト、こちらが4億5,600万円ございます。今年先ほどの資料4でこれが10月における評価対象でございます。これはまた後で詳しく説明いたしますので、飛ばさせてください。
 他方、右側の上に移りますと、今度基礎的・基盤的な防災科学技術の研究開発の推進という項目で約91億円ございます。こちらは国立研究開発法人防災科学技術研究所の運営費交付金でございます。既に御案内の皆様も多いかと存じますが、防災科学技術研究所におきましては、地震・火山・豪雨・豪雪等による各種災害に対応した基盤的な防災科学技術研究を推進することになっております。特に豪雨・災害等に対する予測力、対応力、復旧力を総合的に向上させる研究開発を推進することがございます。自然災害観測・予測研究、それから減災実験・解析、更に災害リスクマネジメント、こういったものを総合的に実施しております。
 また、その下に地震・津波等の調査研究の推進という項目がございます。こちらが約15億ほどございます。こちらは政府の地震調査研究推進本部、これは文部科学大臣が本部長を務めます政府におけます地震に関する総合的な研究推進機構でございます。こちらにおきまして、これまで地震の将来予測、これは長期予測と銘打っておりますが、に資する調査観測研究を実施する。とりわけ、活断層の長期評価の高度化に向けた実証研究やそのほかの調査未領域であります日本海側、こちらに関しては重点的に調査を進めております。また、このほか南海トラフ広域地震防災研究プロジェクトという題名、の南海トラフが発生したときに関わるような防災も含めた研究も実施しております。その下に、次世代火山研究・人材育成総合プロジェクト、これは6億5,000万ございます。こちらも今年度7月の評価対象でございますので、もう少し詳しい資料で説明させていただきたいと思います。
 スライドを送っていただきます。まず、首都圏レジリエンスが2枚送っていただいたところにございます。こちらが首都圏を中心としたレジリエンス総合力向上プロジェクトでございます。4億5,600万円ございます。
 こちらは3つの要素で構成されております。1つは、真ん中の事業概要の1マルの欄を御覧いただければと思います。官民連携超高密度地震観測システムの構築です。こちらは気象庁等含めた政府関係機関、地方公共団体、さらにはガス会社等の民間企業が保有するような地震観測データを統合して、官民連携によって超高密度の地震観測システムを構築するものでございます。更に、2マルにつきまして、構造物の崩壊余裕度に関するデータ収集です。こちらは兵庫県にございますE-ディフェンス、名前はすいません、実像……。E-ディフェンスはフルネームだとすぐ出てこなくて恐縮です。非常に大きな振動台がございます。こちらにおきまして非構造部材の配管、天井等を含んだ構造物の崩壊余裕度、どれぐらい損傷するかを定量化するものでございます。それに関するセンサー情報を収集しておりまして、この2つ、上にあります官民地方公共団体が持つ地震動データ、それから構造物の建築学的な構造データ、こちらをまずは収集するのが1マル、2マルになります。3マルで、このデータを地震被害把握に使います。ビッグデータの整備の形で統合して分析する施策になっております。こちらが今年度、中間評価の時期を迎えておりますので、この委員会におきまして御評価いただければと考えております。
 引き続きまして、もう1つの次世代火山研究・人材育成総合プロジェクトでございます。こちらも、2ページほど下にスライドを送っていただきますとございます。6億5,000万ございます。こちらは2014年9月の御嶽山の噴火を踏まえまして、火山研究の推進と人材育成、こちらを同時に行うことが眼目でございます。観測研究が主体ではありますが、この防災・減災に資する観測・予測・対策、こちら一体的な火山研究を行うことです。それから、これはプロジェクトリーダーの強力なリーダーシップの下に、ほかの分野と連携・融合を図ることで観測・予測・対策の一体的な研究を推進する「火山研究人材育成コンソーシアム」を構築しております。こちらにおきまして、大学間の連携を強化するとともに、最先端の火山研究を連携させた体系的な教育プログラムを提供しております。
 これも構成要素といたしましては、3つございます。1つとして、まず火山観測技術の開発がございます。これは従前から行っているように、地震動による火山観測に加えまして、リモートセンシング、それから火山ガス、ほかにもミューオンを用いました火山透過技術も新たに取り組んでおります。また、火山噴火の予測技術の開発につきましては、これも従前から行っておりますような火山噴出物の分析に加えまして、噴火履歴調査、これは歴史学、考古学、地質学を統合して行うとともに、シミュレーションを行っております。更に、火山対策技術の新たな開発という点もございまして、これもドローンによる災害把握技術を新たに取り組んでおります。こういったものの各種データ、得られますデータを統合することで、今後の火山研究を進めていくことも含めまして、技術開発、それから予測を深めること、当然対策も行う、これも加えましてデータの運用が1つのこのプロジェクトの大きな目的になっております。
 また、火山研究人材育成コンソーシアム、こちらにおきましては、それぞれの火山研究者のみならず、ほかの分野、主要3分野と言われます地球物理学、地質・岩石学、地球科学に加えまして、この分野の周辺、防災という観点では非常に大きな役割を果たしておりましたが、工学、社会科学の分野とも連携をいたしまして、博士課程の学生を輩出することも新たに取り組みながら、これまでこちらの資料にございます2016年から3年間62人の受講生、主に修士課程の学生を受け入れました。これは基礎コースが主に修士1年生のイメージでございます。応用コースはそれ以上の、修士2年生から博士課程にある学生たちです。2018年までにこちらにそれぞれ53名、23名の受講者を輩出しております。このような2つのプロジェクトにつきまして、こちらも今年の7月に中間評価を頂くことを念頭においております。
 それと、先ほど詰まってしまったのですが、E-ディフェンスのフルネームが「実大三次元震動破壊実験施設」でございます。こちらは、1つ御注意差し上げなければいけないのは、この審議会のフォーラムの性格上、防災科学技術研究所における運営費交付金の内数で行っている事業につきましては、これは研究開発法人審議会という別のフォーラムで予算については評価をいたすことになっております。こちらにつきましてはこの委員会のある種のマンデートの枠外の形になってしまっております。全体として当課の行っている施策を御紹介させていただきました。
 私からは以上です。
【寶主査】  ありがとうございました。全てのスライドを説明していただいたわけではありませんが、以上でいいですね。
【工藤地震・防災研究課長】  はい。
【寶主査】  分かりました。ただいまの説明について御質問等ありますか。新しい委員の方々もおられると思いますし、どうぞ御遠慮なく分からないところがありましたら。
 では、鈴木委員、どうぞ。
【鈴木(靖)委員】  南海トラフの海底地震網の整備に関してです。これは今年度だけでは終わらないと思いますが、具体的には何年計画の今年は2年目となるのでしょうか。その辺を教えていただきたいのですが。
【工藤地震・防災研究課長】  今年度が初年度になります。約5年間の整備計画となっております。
【鈴木(靖)委員】  すると、5年のうちの1年目で、そこの右下にある図のうちのどこまでが初年度で整備される感じになるのでしょうか。
【工藤地震・防災研究課長】  この資料には詳細を述べさせていただいていません。初年度の事業につきましては、まず海域調査、海底の状況がどういうものであるか、海域調査をするとともに、このケーブルに組み込むセンサー類も含めて研究開発を同時に今年進めてまいります。これは来年以降も研究開発に続きますので、実際に敷設が進んでいくのは恐らく4年目以降になります。
【鈴木(靖)委員】  分かりました。
【寶主査】  それでは、松久さん、どうぞ。
【松久委員】  兵庫県の松久でございます。2点ほど。
 1つはE-ディフェンスを活用した調査研究です。このE-ディフェンスが兵庫県に立地していますことから、兵庫県では防災科研さんと一緒に共同研究を毎年やっております。紹介させていただきますと、今年は道路盛り土の耐震性の強化のための方策で、道路盛り土の下に土嚢の構造体を設置して耐震性を強化する。そういう実験を今年共同でやっていこうと考えています。そういうことで、E-ディフェンスを活用したそういう調査研究を兵庫県としてもしっかり取り組んでいきたいと思っているところです。
 もう1つが、日本海の調査研究という調査項目があります。兵庫県も非常に今関心を持っています。南海トラフはもちろんですが、日本海の地震も確率はとても低いのですが、そういう想定外があってはいけないということで、県独自でシミュレーションをしたり、浸水想定や被害想定を去年、おととし辺りから取り組んできます。この日本海の地震津波調査の今の現状や、課題や今後新しくやっていくことがあれば教えていただければと思います。
【寶主査】  ありがとうございました。1つ目は、兵庫県でE-ディフェンスを使って地盤盛り土ですか、土嚢などをやっておられると。これは兵庫県も共同研究でいくばくかの予算をつけてやっておられますか。
【松久委員】  そうですね。
【寶主査】  そうですか。もう1つは、日本海関係の状況がどうなっているかと。研究開発の方ですね。いかがでしょうか。
【中出地震・防災研究課長補佐】  失礼いたします。事務局でございます。
 今先生が御指摘の日本海のプロジェクトでございますが、来年度、令和2年度まで順番に日本海の地域を分けながら調査研究を進めているところでございます。来年度には全てのところをカバーできると今進めているところでございます。
【寶主査】  今のお返事でよろしゅうございますか。
 そのほかいかがでしょうか、どうぞ。
【鈴木(博)委員】  JR東日本の鈴木です。今の海底地震計ですが、新幹線の早期検知に既に使わせてもらっています。海底地震計は地震そのものの研究という基礎的な部分と、私どもが活用したような防災対策としての活用という二面が、もっとあるのかもしれないですが少なくとも二面はあると思います。活用の部分で、我々も新幹線だけではなくて在来線にも活用していきたいということで開発を進めているところでございます。ほかの鉄道会社さん、あるいはほかのいろいろな分野でもこういった防災対策として活用できるのではないかと思っています。
 そういった部分での文科省さん、防災科研さんか分かりませんが、何か支援というかそのようなことはやられたり、やる予定はありますか。もしかしたら、神戸市や兵庫県さんもお使いになりたいとかあるのかもしれないです。
【寶主査】  いかがですか。
【工藤地震・防災研究課長】  海底地震津波監視システムはほかの地震、MOWLAS(モウラス)という防災科研が運用しています監視システムがございます。このデータそのものについてはどのような形であったとしても、基本的に御提供差し上げています。何か具体的な御要望があれば、企業さんにも使っていただくのは現状でもできていると思います。できると思いますが、何かそのやり方や使い方において特段何かこういうことをしていただきたい、した方がよいという御指摘があればとは思います。
【鈴木(博)委員】  JR東日本はもう既に使わせていただいていますので、我々だけではなくていろいろなところで使えるのでは。せっかく整備したものなので、いろいろなところで使われれば、それだけコストパフォーマンスも当然よくなります。
【佐伯研究開発局長】  今の点、国のプロジェクトということでは必ずしもないのですが、特に南海トラフのところについては非常に切迫感もございます。地方自治体とよく情報交換をしながら、実際そこから出てきたデータをどうやったら実際に住民の方々にお届けできるのかと。ラストワンマイルも含めて、我々がどこかに提供するだけでは個人にまで届きません。そういったことも含めた活動は行われております。
【寶主査】  よろしいですか。そのほかいかがでしょうか。
【水村委員】  東京消防庁の水村です。首都圏の総合力向上プロジェクトです。こちらは事業期間が2017年から21年になっております。その中でデータを集められまして、最終的にはビッグデータを整備されるとなっております。実際、現状としてはどの辺まで進んでおりまして、例えばこういうビッグデータとして試行でもどの辺からそういうものが使うことができるのか。また、下の方に協議会と書いてあります。その協議会につきましても、いつ頃作られてどういう形でやるのか。その辺のところを教えていただきたいと思っております。
【村山防災科学技術推進室長】  この概要説明上ビッグデータとなっておりますが、現状様々なデータをどうやって集めようかという議論を行ってきております。具体的なところで申し上げますと、首都圏一帯に既に設置しておりますMeSO-net(メソネット)という地震観測網のデータ、更には、例えばガス会社、ほかのインフラ企業等々が地震計を設置している例が結構ございます。協力を頂いて、首都圏の様々な場所の地点の揺れのデータを取っていくことをまず進めております。それをどのように活用していくかが次の段階でございます。活用方法について知見を持っている先生方やユーザーとなり得る企業と一緒になって議論を行っておりまして、その協議会は既に昨年度から活動しております。
 この活動、取組によって、既にこういうものができましたというところまでまだ行っていませんが、計5年のプロジェクトになります。成果としてそういったものを少しでも生み出せるように、努力してまいりたいと思っております。
【寶主査】  よろしいですか。この協議会の議論の議事録などは公開されていますか。
【村山防災科学技術推進室長】  協議会による報告会、あるいはシンポジウムを定期的に開催しておりまして、これについてはネットで公開しております。また、もちろん傍聴自体も、参加自体も自由にできます。東京都さんも何回か何らかの形で御参画いただいておりますので、引き続き御協力よろしくお願いいたします。
【寶主査】  ありがとうございました。よろしいですか。
【水村委員】  もう1件いいですか。そうしますと、データは震度計や地震計に関するデータで、例えば民間が持っていらっしゃるような加速度計、何かの光が出ているようなものがありますよね。ああいうものが集まってくるデータや集めていることはないのですか。
【村山防災科学技術推進室長】  地震計に関する、地震計の類のデータも1つまず大きな例としてはあります。そのほかのデータも取れないかと。例えば、人の動きや車の動きであるなど、いろいろなデータが使えるのではないか、集められるのではないかと議論をしております。地震計のデータだけに限ったものではございません。
【寶主査】  よろしいですか。そのほかいかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、特にございませんようですから、次の議題に移らせていただきたいと思います。議題の6番、SDGsにおける防災科学技術の役割についてでございます。まず、資料6に基づいて事務局からお願いいたします。
【村山防災科学技術推進室長】  それでは、資料6に基づきまして、SDGsにおける防災科学技術の役割について御説明させていただきます。
 これは私ども防災科学技術推進室といたしまして、このSDGsと防災の両方にとって有効な取組がいろいろあるのではないかという問題意識を持っております。委員の先生方の御意見を伺って、今後のこういう両方にとって有効な施策の推進の参考とさせていただきたいと考えております。
 それで、文部科学省ではこのSDGs、持続可能な開発目標の達成を科学技術イノベーションでもってそれをやろうと、基本方針を定めております。また、その基本方針を受けた施策パッケージも作成しております。これは公表資料になっておりまして、机上資料というフォルダーの方に入れております。
 この中で防災科学技術に関する資料については、資料6にありますとおり、4つほど対応がなされております。1つ目が海底地震・津波観測網、基礎的・基盤的な防災科学技術の研究開発、地球観測衛星、それから先ほど話題になりました首都圏を中心としたレジリエンス向上プロジェクトでもって、このSDGsの目標11、持続可能な都市に対応するという整理となっております。
 主要な施策の対応付けでいきますと、このとおりになります。一方、過去に私どもで地域防災対策支援研究プロジェクトという公募型の事業を実施したことがございます。その経験を踏まえますと、現存する社会課題の中には、こういった4つの施策では必ずしも対応されないものであって、その解決がほかのSDGs目標にも資するものが存在するのではないかと考えております。
 そのような社会課題の例を、具体的な問題意識をこの資料に私どもで検討して記載いたしております。ここで具体的なイメージをつかんでいただくために、SDGsの目標、それと各目標の下にターゲットという小目標があります。そこについてもこれに対応するのではないかと記載しております。この小目標については、これも机上資料のフォルダーの中にあります国連の資料「持続可能な開発のための2030アジェンダ」がございます。こちらを御参照いただければと思います。
 この課題例の説明をさせていただきます。1つ目の例は、高密度な都市域の脆弱性の解消でございます。具体的には高層マンション群、あるいは木造住宅が密集したような地域、こういった地域に特有な課題です。そういった場所は、もちろん住む場所として一定の利便性はあると思いますが、適切な防災対策なしにはこの目標11、安全かつ強靭で持続可能な都市の実現は達成されないのではないかというものでございます。
 2つ目の例は、高齢化率の高い地域や地区の問題でございます。そのような地域では標準的なあるいは全国統一的な防災の対策・手順では、例えば高齢者が非難できないなど、そういった支障が出る可能性が高いため、そういう災害に見舞われるのかというハザードを含む地域の特性を踏まえた防災対策が求められるのではないかと考えております。そうしますと、この問題の解決は目標11だけではなくて、目標13の気候変動や自然災害の影響を軽減するための対策にも資するのではないかと考えております。
 3つ目の例が産業集積地です。企業城下町や工業団地です。そういったところは電気や水や輸送手段、その強靭化を図ること、強靭なインフラ構築が地域存続の鍵になるのではないかと考えております。これはまたその目標11のみならず、その目標9の強靭なインフラ構築にも資するのではないかと考えております。
 4つ目の例が、過疎地域のインフラの問題でございます。インフラはいろいろございますが、交通や通信など過疎が進むほどに、更により脆弱になっていく恐れがあるものについては、インフラ企業、自治体、更にはステークホルダーである住民も参画して、何らかのソフト面でのインフラの強化策を考えられないか。それによって目標9、目標11に対応できるのではないかというものでございます。
 最後5つ目の例は、このような取組で得られた知見は広く普及活用するためにきちんと整理する必要があるものでございます。このような地域特有の社会課題については、防災科学技術を活用することによって解決をしたり、あるいはそういった社会課題の解決策をステークホルダーが探していくこと自体が、防災科学技術の研究になる面もあると考えております。今後SDGs関連のいろいろな施策や事業に対して、必要に応じて働き掛け等を行いたいと考えております。
 資料の説明は以上です。御意見・御助言などありましたら、よろしくお願いいたします。
【寶主査】  ありがとうございました。2015年に国連総会で合意されました「持続可能な開発目標」ですね。これに向けて国連加盟国各国で取り組んでいるところであります。わが国としても取り組んでいくということで省庁はもちろんですが、企業あるいは大学などでも考えてはいます。
 ただいま課題で1から5のアイデアを頂きました。今日の委員の皆様方はいろいろな分野からお越しですので、もっとこういう側面もあるという御意見を頂戴したいと思います。それから、ここに挙げられた5つの例についても、目標が一応書いてありますが、それぞれに課題についてそれ以外の目標も対象になるのではないかなど、そういった御意見も頂ければ幸いです。
 どこからでも結構ですが、お気付きのことがありましたら、あるいは先生方が取り組んでおられるSDGsの防災絡みのことがあれば、アイデアをまたインプットしていただければと思います。いかがでしょうか。どうぞ。
【上村委員】  質問から。どういう聞き方をしたらいいのか、今ひとつ私も整理し切れていません。この資料6を見ていったときに、世の中の流れですので、このSDGsを否応なしに意識したいろいろな取組をしていかないとならないと。それ自身も正しいことだろうと私も理解しています。
 例えば、この課題例1から5を見ていったときに、ずいぶん今までの防災科学技術の取組と違った匂いがするというか、全然視点が違うというか。途中この机上資料のSDGsのビジョンに書いてある文言を見ていたときに、誰一人取り残さない、包摂性、参画型など、なかなか今まで持ち得なかった視点がかなり書かれています。これをかなり重視した形でこの防災科学技術の部分で取り組んでいくとすると、かなり思い切った方針転換になってしまうのではないかと思っていますが、そういう理解でいいですか。
【村山防災科学技術推進室長】  今の観点の御説明が不十分だったと思います。申し訳ございません。
 これは先ほど説明したようないろいろな防災関連の施策から方針転換するものでは全くございません。それはそれとして拾い切れていない、29年度に終了した地域防災プロジェクトなどで対応していたような課題の解決を図るためには、このSDGsと併せて防災の観点から研究開発を行っていくことが有効ではないかと申し上げているものでございます。
 そういった地域レベル、例えば地方の大学と地域とそこの企業など、そういった方々で地域の課題を研究開発する、あるいは防災科学技術によって解決する取組は、これまでにもいろいろ行われてきております。それを更に発展させて、あるいは継続させていこうという趣旨のものでございます。
【上村委員】  多分これは初めて出てきましたよね、きっと。だから、思うことだけ、コメントだけ言いっ放しで、今日そのようなことでいいですか。
 このSDGsの観点が黒船のようにやってきたのは、僕はとてもいいことだと思っています。この文部科学省が作っているパッケージに付いている、横に広がった資料の下にもきちんと書かれていたので、すごいと思って感心して見ていました。すごいことを書いているとびっくりしました。「2030年に向けて時間軸も意識しながら」という2項目目の最後のところで、「STIの在り方自身に変革を促す契機でもある」と。
【寶主査】  どの資料になりますか。
【上村委員】  このようなものです。施策パッケージの2枚目の裏です。いや、すごいことだと思っていて……。
【寶主査】  資料番号は付いていますか。
【遠藤調査員】  机上資料のフォルダーの中に入っています。
【上村委員】  机上資料というフォルダーの「文科省SDGs施策パッケージ」の2枚目の裏です。「STI for SDGs文部科学省施策パッケージについて」ということで、経緯が囲みで書かれていて、その下に丸で3項目書かれています。その2番目の最後の文章に「STIの在り方自身に変革を促す契機でもある」と言い切ってしまっているのがすごいと思って、僕はとても感心して見ていました。
 だから、今までやってきたことがいい、悪いなどそういう話ではないです。今やっていること、今までやってきたことに対して、このSDGsという新しい視点をもって、それこそ最後の一人まできちんと見るような概念でやっていくところにシフトチェンジしていくと読み取りました。
 それであるとすると、とても素晴らしいことです。そう考えたときに、SDGsの強靭な都市という11や13などその辺りに限らず、多分全部かかってくる。例えば、直後の避難、そうすると高齢者の問題が出てくるなど、避難所での生活、それから復旧・復興期で当然ジェンダーの問題も貧困の問題も全部出てきます。だから、全てに関わるものであるという認識を前提にした上で、もう1回今までやってきたものがどのようにそこに寄与できるのかという視点で整理をし直すと、とてもやってきたことの意味付けが更にクリアになる気がしました。
 ですから、今回こういうものが来て、なかなかこれに当てはめていくことを考え出すといろいろ面倒くさいです。全てに関わる基本的な認識に立っていくのがいいのではないかと思って見ておりました。以上です。
【寶主査】  ありがとうございました。
【村山防災科学技術推進室長】  ありがとうございます。そのような視点を持って取り組みたいと思います。
【寶主査】  SDGsは社会を変えていくという話なので、なかなか社会の方が動きが遅かったり、保守的であったり、役所も保守的であったり、我々大学も結構保守的であったりします。そういう方向を目指さないといけないという意識が大変大事です。もし、この委員会の中で出てくるアイデアが、次年度の予算要求などに反映していくことになるならば、それはそれで素晴らしいことだと思います。そういう意見を出していただければと思います。文科省だけでできる話ではないと思いますし、ここで出てきたアイデアがほかの省庁とも連携して何か提案していく。それが予算化されることになれば素晴らしい話ですね。
 いかがですか。それでは、瀧澤委員、どうぞ。
【瀧澤委員】  今寶先生がおっしゃられた視点で、私自身がとても意見がまとまっているわけではないですが。
 日本の国土が繰り返し災害に見舞われてきて、直近で言うと一番大きかったのは3.11だったと思います。その後、「希望学」というある種の学問が、その後災害に遭われた方々の経験を経て、精神的に何らかの芽生えのようなものが起きているのを聞いたことがあります。防災の観点とこれがどのように結び付くのかと思われるかもしれませんが、精神的な面での経験した何らかのものです。それをまだ震災に遭っていない人たちにうまく事前に伝えることによって、何か防災につながるようなそういった観点でのことがあるといいと常々思っていました。
 それが果たしてこちらの所管に入るのか分かりません。SDGsで言うと、例えばターゲットの課題3、全ての人に健康と福祉をというところに少し関わるのではないかと、まだアイデアレベルですが、そのように感じております。
【寶主査】  ありがとうございました。最初おっしゃっていたのは「希望学」ですか。
【瀧澤委員】  はい。
【寶主査】  「希望」に「学」を付けるということですね。
【瀧澤委員】  ええ。
【寶主査】  そのほかいかがですか。
 では、田村委員、どうぞ。
【田村委員】 SDGsを見たときに、「どうして災害や防災はないのか」というのが一番の疑問です。なぜなら持続可能な社会と、それから社会を守るという災害・防災分野の私たちが取り組んでいることは、持続可能な社会の実現に直結するという自負を持っていて、当然一番に入ってくるでしょうと思ったのですが……。
 SDGsをよくよく解釈すると「発展途上国の開発地に水害・土砂災害が襲ってきて、今まで積み上げてきたものが全部壊れてしまう」といったようなステレオタイプの考え方に基づいているともいえます。地球規模の課題として災害を捉えると、災害が起こるたびに土地は肥沃になり「持続可能な土地」を生み出してきたとも言えます。地球にエネルギーとして活用可能な物質が蓄積されるようなスパンで考えれば、地球規模の中で繰り返し地球が変化しながら実はここまで進んできたと思います。災害自体も持続可能な自然環境を形作る上では欠かすことができないものです。
 そういう意味では、私たちはSDGsよりももう少し大きな観点で「共生」を考えて実はやっていく。ただ、社会がやられっぱなしでは、組み上げてきた積み木をいつも崩されてしまっては「賽の河原」になってしまいますので、それはもちろん私たちは社会科学の知見や技術を活用して社会や文化を守っていきたいと思います。
 これらの考え方の違いは、対象とするスパンの考え方の相違思います。社会科学は、人間の一生の生きているところから少し大きいぐらいのところを対象スパンにしています。例えば、都市計画は、街は千年ぐらいの期間で考えているし、理学は明日やあさってのことではなくて万年の単位で考えられていてという、それぞれの物差しの中に、それぞれの持続可能な社会があるのかと思います。
 大きく出るのであれば、フレームのところの話からしなければならない。SDGsを言われたときに、我々日本の防災としてはこれをどのように解釈して、我々の持ち分はどこであるかを検討して明らかにする必要があります。 そういう意味で根本的な考え方を整理したものを作りつつ、SDGsリテラシーのような共通理解・概念をまず構築して、その中から全体社会を役割分担して「防災はここをやります」と皆で考えられるといいと思います。
 考えるよい機会を与えていただいてありがとうございました。

【寶主査】  ありがとうございました。
 はい、どうぞ、大原委員。
【大原委員】  ありがとうございます。大原と申します。
 SDGsの仮訳資料が参考資料に入っています。これを見ますと、災害に対する強靭さのことを括弧書きで「レジリエンス」と書いてあります。私の理解では、レジリエンスは「ロバスト」であるという強靭さの要素にプラスして、しなやかに回復する要素も入っていると思っています。そもそものレジリエンスは日本語にないので、概念がぼわっとしていて、いまだかつて共通認識を日本国民として持っていないのではないかという気がしています。私はこの仮訳の災害に対する強靭さがレジリエンスとイコールだというのが少し引っかかっています。
 そう思ってみますと、資料5番で、既存のプロジェクトで首都圏を中心としたレジリエンス総合力向上プロジェクトを今やっていらっしゃるとのご説明がありました。ここでいうと、ではレジリエンスはどういう言葉として定義されていて、一体社会がどういう要素を持ち合わせているとすると、レジリエントな社会なのかというのが、我々社会として共通認識を持っているのだろうかというのが気になります。
 この研究課題は2017年から始まっているということで、関係者の方ではレジリエンスは何なのかという共通概念を持っていらっしゃるのかもしれませんが、今日本の一般的な社会では、レジリエンスは何なのかというコモンセンスは構築されてきていないと思います。そういうところを、我々が共通概念を頭にイメージして議論できるようになっていく必要があると思っております。
【寶主査】  では、村山さん、どうぞ。
【村山防災科学技術推進室長】  ありがとうございます。
 私どもの考えているレジリエンスは、まさに何か災害等に耐えるだけではなくて、迅速にしなやかに復活していく、元に戻っていくという概念を含んでおります。今後レジリエンス、レジリエントという言葉を使うときには、その定義について分かりやすく説明するなど注意したいと思います。
【寶主査】  そのほかいかがでしょうか。ございませんか。
 去年7月に、気温が35度以上の日が10日ぐらい続きました。ずっと熱中症と言ってきましたが、去年初めて「熱波災害」のような言い方をされました。実は、熱中症で毎年千人オーバーで死んでいます。ただ、これは余り目立たないです。あっちで一人、こっちで二人などそういう死に方ですし、亡くなるのが高齢者が多いものですから、「暑かったし、もうおじいちゃんも歳だから仕様がないよね」という感じで、余り災害として取り上げられないところがあります。でも、その熱波がなかったら多分死ななかったはずです。
 ですから、この災害とヘルスの問題は結構関係しています。この熱中症は健康問題なのか、災害なのかというそこの仕切りが難しいところがあります。ですから、ヘルスですと3番でしたか、ゴール。この課題例2は3番にも、この気候変動による異常気象で熱波災害です。
 実は、2003年にはヨーロッパでは何万人と亡くなっていますし、そのあと2010年にロシアでも5万人以上亡くなっていたりします。ただ、そういう海外の事象を余り日本人は知らないというか、気にしていないし、日本でも熱中症としてしか捉えていないので、これが本当に熱波災害なのかどうかというところがあります。そういったところも新しい考え方になっていくのではないかと思います。
 ですから、今日はまだこういう話を委員の皆さんも聞いたばかりというか、資料は事前に送ってもらっていたとしても、まだ考え始めたばかりかもしれません。防災としてそのSDGsにどのように取り組んでいくのかは、11番やそういうところだけではなくて、幾つかのゴールは既に挙げていただいているわけです。各委員の目から見たらもっとこれもあるのではないか、あれもあるのではないかというところがあろうかと思います。
 これまだ今後も議論されますか。今日は取っ掛かりとして、また次回でも10分、15分ぐらい時間を取って、その後考え方がまとまってきたなど、あるいは委員の意見を更に聞きたいなどそういうことはありますか。
【村山防災科学技術推進室長】  今のところは、これに限定した話で何か資料をまとめる、あるいは意見を伺うということはありません。今後の防災科学技術の研究開発に関する施策を検討していく中でこれについても触れて、できるだけいい施策を作れるように、先生方に御相談しながらまとめていきたいと考えております。
【寶主査】  ありがとうございます。ターゲットイヤーは2030年ですし、我々委員の任期も2年あるわけです。その間に概算要求に載っていくかどうか分からないですが、防災科学技術委員会として、SDGsに対してはこういう方向性があるのではないかなど、そういうことをもしまとめられたら、それはそれでいいのではないかという気がします。
 何かお伺いすることはございますか。わが社ではこういうことをやっているなどでも結構です。どうぞ。
【岡村研究開発局審議官】  今日の予算の御説明をさせていただいたときに、先生方に御案内になったと思います。我々文科省のこの分野の研究開発は、技術面、サイエンス面が非常に多くございます。それから、振動台、S-net、N-netにしても、ハード面が多くございました。
 その中で、昨年度末終了したプロジェクトとしては、人文社会との融合の面で小さいながらも活動を始めてきております。それの成果を考えまして、我々もハード面ばかりから、まさにそれがSDGsという言い方は皆様の助けになる、社会の助けになる、そういう面で考えるプロジェクトもより一層立てていかなければいけないのではないかと、こういう思いで今回このような目指しをさせていただいております。
 来年度の予算で物事を考えることとともに、冒頭局長からもお願いを申し上げました。ちょうど今第6期科学技術基本計画、この議論が始まらんとしております。防災の面では、特に「STI for SDGs」、こういうものはもう3年前から始まっております。全体の流れとしても社会にどのように使っていただくか、どう貢献するかという目線で、科学技術も全体の方も考えていかなければいけません。
 それに際して、この分野ではこういうことが大切ですよという御示唆を、大きな意味でも頂戴できればと思います。プロジェクトだけではなく、この後の第6期基本計画全体に対しても、このようなことを御示唆を頂ければと思っております。
【寶主査】  ありがとうございました。文科省側のお考えもある程度把握していただけたかと思います。この件につきまして、よろしゅうございますか。
【鈴木(靖)委員】  今の話を受けてですが、昨年までの地域防災対策支援プロジェクト、私も評価に関わっていて、非常に有効な取組だと思っていましたが、昨年で終了してしまいました。ここの資料6にあるいろいろな取組は、実はそこの中の成果が幾つか入っていると思います。
 そうすると、今後SDGsにこういう課題をもう少し取組を強化していくに当たって、例えば昨年終了した地域防災対策支援プロジェクトはその後どうなっているか。終わってしまって終わっている気になっているか。あるいは、地元の先生方やその辺がもう少しフォローアップして、細々と活動しているか。あるいは、その辺をもう少し全国に展開していくにはどういう課題があるかなど、何か少しそういうフォローアップのような調査を本当は文科省さんがしていただいて、それを受けて来年度予算、新たなプロジェクトを立ち上げるなど、何かそういう活動をされていくといいのではないかと、今話を聞いて思った次第です。
【岡村研究開発局審議官】  終了評価はいつですか。
【村山防災科学技術推進室長】  昨年度実施しました。
【岡村研究開発局審議官】  終了の方も終わった、では、その後のフォローアップですね。
【村山防災科学技術推進室長】  そうですね。
 地域防災プロジェクトのウエブサイトは、まだ防災科研で運用しております。必要なフォローアップもしつつ、関係方面に働き掛けをしてまいりたいと思います。
【寶主査】  ありがとうございました。過去の成果もうまく将来に生かしていけるといいですね。
 それでは、この議題につきましては以上にさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
 それでは、議題7です。ここからは非公開でありますので、関係者以外の方は御退出いただきたいと思います。
 それでは、資料7に基づいて研究開発課題の評価についてでございます。事務局から御説明ください。

< これより非公開 >

< これより公開 >

【寶主査】   それでは、その他事務局から連絡事項がありましたらということでございます。
【石山防災科学技術推進室長補佐】  次回、44回の委員会の日程でございます。事前に皆様に御都合を照会させていただきましたところ、先ほども日程表示がありましたが、6月21日金曜日が最も委員の皆様の御都合が揃う日となっております。その日の午後に開催の方向で手続を進めさせていただきたいと思います。開催場所、詳細、日程、時間に関しましては、後日改めて事務局から御連絡をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 また、事務連絡になりますが、旅費関係の手続に関しまして、お手元に黄色い紙がございます。出欠・旅費確認票でございます。これにつきましては、御記入いただきまして、お席に残していただきますようによろしくお願いいたします。
 事務局からは以上でございます。
【寶主査】  よろしゅうございますか。次回は6月21日ですね、その次は7月30日でしたか。御予定、既にもう別件が詰まっている方もおられるかもしれませんが、もし空くようなことがあったら、また是非御出席いただきたいと思います。
 それから、プロジェクトの評価ですから、御欠席でも事前に評価していただいてその評価の案、御意見をお送りいただくことになろうかと思いますし、そちらも是非よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、以上をもちまして閉会したいと思いますが、よろしゅうございますか。では、本日はどうもありがとうございました。

―― 了 ――

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研究開発局地震・防災研究課 防災科学技術推進室

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