日本学術会議における評価の在り方に関する検討内容・検討状況

平成26年4月4日
第52回 研究開発評価部会

 日本学術会議では、これまで複数回にわたって、我が国の研究開発制度に関する提言を行ってきた。
 最近では、2012年10月26日に「我が国の研究評価システムの在り方-研究者を育成・支援する評価システムへの転換-」(研究にかかわる「評価システム」の在り方検討委員会)を発出した。そこでは、我が国の研究開発システムの現状と課題をアンケート調査等で洗い出し、特に (1)メタ評価(研究資金制度やプログラムに関する評価も含む)の実施、(2) 若手研究者の育成・支援に資する研究評価システムへの転換方策 を推進することを提言した。
 研究開発システムのメタ評価の実施に関しては、1. 国の研究評価システム全般、2. 教員・研究者の業績評価、3. 研究課題の評価、4. 研究資金制度やプログラムに関する政策評価、5. 大学と研究開発独立行政法人の機関評価 の現状や在り方について検討を加え、提言を行った。
 若手研究者の育成・支援に資する研究評価システムへの転換方策に関しては、1. 若手研究者の個人評価の在り方、2. 研究課題の評価における若手研究者育成の視点、3. 大学・研究機関の評価における若手研究者育成の視点 について検討し、今後どうあるべきかについて、具体的な提言を行った。
 本提言においては、研究開発にかかわる各種の評価システムの必要性や有効性、効率等に関してメタ評価すると共に、評価が、説明責任を果たすことのみに視点を置くのではなく、我が国の科学者コミュニティや科学技術政策における課題解決を促進するための手段として設計されることが必要であるとした。
 これらの提言は、今回公表された「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針」にも取り入れられ、他省庁での議論にも活(い)かされている。

 更に現在、日本学術会議が、我が国の人文・社会科学、生命科学、理学・工学の全分野の科学者コミュニティを代表する立場として、自ら果たしうる評価機能について検討を行い、提言「日本学術会議の評価にかかる機能について」(日本学術会議の第三者評価機能に関する検討委員会)をまとめつつある。
 そこでは、日本学術会議がこれまでに実施してきた助言・提言や審議・評価の依頼等の事項を調査・検討して、我が国の研究活動・科学技術評価の現状と課題を俯瞰(ふかん)し、日本学術会議が果たしうる評価にかかる機能を整理した。
 そして、日本学術会議が果たしうる評価機能として、以下の可能性を挙げた。(1) 科学技術政策の評価・提言、(2) 研究開発プログラムの評価、(3) 社会の抱える課題に関する学術の視点からの評価・提言、(4) 大規模な研究開発課題の評価、(5) 評価担当候補者の推薦、(6) 研究分野や研究基盤のレビュー。
 ただし、現在の日本学術会議の体制ではそれらの機能を果たすことは不可能であることから、1. 事務局の調査分析機能の強化、2. 評価者の評価専門性の醸成、3. 関係諸機関との連携の強化 の3点を今後の課題として挙げている。

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科学技術・学術政策局企画評価課評価・研究開発法人支援室

(科学技術・学術政策局企画評価課評価・研究開発法人支援室)