研究開発評価部会(第47回) 議事要旨

1.日時

平成25年5月27日(月曜日)16時~18時

2.場所

文部科学省 3階2特別会議室

3.議題

  1. 研究開発評価システムの改革について
  2. その他

4.出席者

委員

平野部会長、有信委員、有本委員、伊地知委員、受田委員、大島委員、岡村委員、河合委員、栗原委員、五神委員、諏訪委員、東嶋委員、奈良委員、西島委員、福士委員、室伏委員、吉川委員

文部科学省

阿蘇計画官、鎌田科学技術・学術戦略官付企画官、高橋科学技術・学術戦略官付補佐

オブザーバー

井上内閣府政策統括官付参事官付(評価担当)企画官

5.議事要旨

 審議に先立ち、議事のオブザーバーとして、内閣府政策統括官(科学技術政策・イノベーション担当)付参事官付井上企画官の紹介が行われた。

【平野部会長】  
 第47回の研究開発評価部会を始めさせていただきます。
 本日は、事前に案内をいただいておりますように、研究開発評価システム改革についての御意見を委員の方々から賜りたいと思います。
 文部科学省の研究開発評価指針の改定に関しましては、3月19日に開催された前回の本部会後、4月17日の研究計画・評価分科会及び4月22日に開かれました科学技術・学術審議会の総会において、本部会及び作業部会で取りまとめた資料2の論点整理を説明するとともに、これを踏まえて、今後、文部科学省研究開発評価指針の改定を進めるに当たっての基本的方向性を資料1として、まとめて報告し、意見をいただきました。この22日の総会で決定された資料3の「我が国の研究開発力の抜本的強化のための基本方針」とあわせて事務局から報告をいただきますが、基本的には前の会議で皆様方からいろいろと御意見をいただき、修正すべきところは修正を反映しております。
 では、事務局、よろしくお願いします。

【鎌田科学技術・学術戦略官付企画官】  
 それでは、事務局より、資料1から3までにつきまして、御報告させていただきます。
 ただいま部会長からお話がございましたとおり、3月19日の本部会で御審議いただきました資料1の基本的方向性、資料2の論点整理につきましては、研究計画・評価分科会、それから総会の意見で追記・修正等がなされましたので、それを机上にお配りさせていただいております。
 具体的に追記・修正箇所について説明させていただきますと、まず、資料1の基本的方向性につきましては、例えば、1の(b)、4の(c)、5の(a)、5の(c)など、これまで論点整理の方では整理されてきた内容でございますけれども、基本的方向性においても明記すべきという御意見がございまして、その部分を明記しております。また、4の(d)などにつきましては、論点整理の中では必ずしも明示されていなかった事項でございますけれども、追記すべきとの御意見を踏まえて記載されたものとなっているところでございます。
 また、資料2の論点整理につきましては、例えば1ページ目から2ページ目にかけての(g)の最後の部分に「マクロな視点からの評価の重要性」とございますけれども、ここの前に「人材育成の視点までも踏まえた」というような、人材育成の視点も明らかにすべしという御意見を受けたところでございます。また、例えば4ページ目から5ページ目の(e)でございますけれども、最後の方に、基礎研究・学術研究の活動について、「期間についての明確な意識と、得られる結果の価値を」という部分がございますが、以前は5年から10年というような期間が記載されておりましたけれども、期間を例示すると短期的な視点の印象も強くなってしまうというようなことで、期間の部分を省きまして適切な言葉に置きかえるというような修正をしているところでございます。
 以上が、基本的方向性と論点整理の修正点等でございます。
 続きまして、資料3でございます。こちらにつきましては、先ほど部会長からもございましたとおり、本年1月に科学技術・学術審議会総会で策定・建議されました「東日本大震災を踏まえた今後の科学技術・学術政策の在り方について」の指摘事項を踏まえまして、改めて総会の方で「我が国の研究開発力の抜本的強化のための基本方針」が決定されたものでございます。本基本方針に基づきまして科学技術・学術審議会の関係各分科会・部会で具体的方向性を検討すべきこととなっておりますので、特に本部会と関係が深い箇所につきまして、ピックアップして説明をさせていただきます。
 資料3の3ページ目でございますけれども、新たな評価システムの構築という部分がございます。こちらに、評価システムの構築に当たってのポイントが、丸1から丸8まで記されているところでございます。丸1でございますけれども、「サイエンスメリットにより個々の研究者の能力、実績評価を行うとともに、基礎研究から開発研究まで共通する評価軸と、研究段階、研究方法、研究目的、潜在的発展可能性などの特性を踏まえた評価軸とを組み合わせた適切な研究評価の推進」、丸2でございますけれども、「従来にはない新たな観点からの研究、分野間連携・融合や学際研究などによってけん引される未踏の科学技術イノベーションに資する研究やハイリスク研究を奨励し、積極的に支援するための新たな評価システムの構築」、丸3でございますが、「新たな評価の考え方に基づき、高い評価結果を得た研究者の処遇や資金配分に積極的に反映させる、例えば、全てを加点方式により評価するシステムの導入」、丸4でございますが、「研究活動、特に開発段階の活動について、社会的ニーズや知的財産、社会実装等の観点を考慮した論文指標以外の評価法の確立」、丸5でございますが、「評価する側は、研究者側からの研究意義の積極的主張を歓迎するとともに、場合により非専門家、部外者の意見も尊重」、丸6、「研究活動を人材育成に活かしていることを積極的に評価する手法の確立」、丸7、「研究機関評価の際に、優れた若手、女性、外国人をLeaderとして積極的に登用するなど成果最大化や多様な視点、着眼点の確保のための取組を行っていることを積極的に評価する手法の確立」、丸8といたしまして「研究評価についての高度な専門性を有する者の育成」という点を御指摘いただいているところでございます。
 これらにつきましては資料1の基本的方向性と資料2の論点整理で既に御指摘・整理いただいている内容と多くは重なっている部分ではございますけれども、今後、本部会におきましてもこれらの指摘事項を踏まえまして文部科学省評価指針の改定その他の形で具体的に御検討いただくことなどにつきまして、御意見等を賜りたいと考えております。
 事務局からの報告は、以上でございます。

【平野部会長】  
 ありがとうございます。
 今御説明いただいたところで、資料1、資料2については先ほどお話し申し上げましたように一部修正・加筆があるところでありますが、前回も御意見いただいたように資料1というのは概要的な部分でありまして、A4のペーパー2枚に分量を収めるというのは非常に難しいところでありましたが、資料2の方は丁寧に記載してありますので、資料1の方で書き込みが少し足りなかった部分について、資料1においても書き込んでいただきたいという要望により、修正をしたところであります。
 資料3については、説明ありましたように、審議会のところで意見をいただいた決定事項でありまして、この部会において、必要なところについては資料1と2に加えて、特に資料2ですが、この内容を入れ込んで反映するということになります。
 説明をいただいた資料1、2、3につきまして御意見がありましたら、ぜひお聞きしたいと思います。いかがでしょうか。御質問、よろしいでしょうか。

(質問なし)

 ありがとうございます。それでは、今の資料1、2、3である、基本的方向性、論点整理、それから「我が国の研究開発力の抜本的強化のための基本方針」等を踏まえまして、ここで議論し、指針として取りまとめをしていくということになりますが、本日は、前回の3月19日の本部会におきまして委員の先生方より御指摘がありました研究開発プログラムの大きさや設定に係る課題について、御議論をいただきたいと思います。
 今回、プログラムの評価ということを含めて指針の改定を行うわけでありますが、当該指針において、「プログラムとは何なのか。」「プロジェクトにおろしたときに何がどういうふうに関係があるのか。」ということを概観する必要がある、という御意見をいただきました。事務局の方でその整理をしていただきましたので、資料に基づいて説明をお願いします。

【鎌田科学技術・学術戦略官付企画官】  
 それでは、資料4を御覧下さい。ただいま部会長よりございましたとおり、3月19日の本部会で、研究開発プログラムの評価を文部科学省関係施策に導入するに当たりまして、どのようなものがプログラムなのか、あるいはプロジェクトなのか、具体的なイメージを用いて議論をすることができるよう、事務局として整理するように、御指摘をいただきました。それを踏まえて、まず資料4と、その後ろにございます絵などを用いて、説明させていただきます。
 まず、文部科学省の具体的なケースを説明させていただきます前に、内閣府の大綱的指針で触れられている研究開発プログラムの設定の基本的考え方を改めて事務局の方で整理させていただきましたので、資料4を用いて触れさせていただきたいと思います。
 まず、内閣府の大綱的指針で考えられている研究開発プログラムの構成要素あるいは基本的な枠組みの考え方ですけれども、(1)の丸1から丸5にございますとおり、研究開発プログラムにより解決すべき政策課題・時間軸を明確にした検証可能な目標を設定するとともに、上位の階層である施策における位置付けが明確であること。それから、丸2でございますけれども、目標の実現に必要な研究開発課題、それから研究開発以外の手段、こういったもののまとまりによって構成されて、目標達成に向けて工程表が明示されていること。丸3でございますけれども、研究開発プログラムの推進主体と、その研究開発課題の実施・推進主体との役割分担と責任の所在が明確であること。丸4でございますけれども、研究開発プログラムの目標を達成するための必要なマネジメントが適切な形で行われており、その評価が行われること。丸5でございますけれども、研究開発プログラムの見直しに係る手順が明確であること。というようなことが、構成要素、基本的な枠組みとして掲げられているところでございます。すなわち、大きくまとめますと、具体的で検証可能な目標・目的を設定するということ、それから目標達成に向けて有機的・一体的な責任・マネジメント体制が敷かれているということが、研究開発プログラムとしての固まりとして、内閣府の大綱的指針としても注目している観点かというふうに考えられます。
 また、(2)でございますけれども、そのような研究開発プログラムの類型におきましても二つ掲げてございまして、研究開発課題の有機的な関連付けによるプログラム化、それから競争的資金制度等の研究資金制度のプログラム化でございます。まず、研究開発課題の有機的な関連付けによるプログラム化は、施策の企画立案段階において、あらかじめ研究開発プログラムを設定するということが触れられているところです。設定した上で必要な研究課題を配置し、実行するものとされています。また、競争的資金制度のプログラム化ですが、上位の施策目標との関連性を明確にするとともに、その資金制度の目的に応じた検証可能な目標を設定し、研究開発プログラムとして実施することが掲げられています。
 また、(3)でございますけれども、研究開発プログラムというものを考えるに当たって、一つ目の丸でプログラムディレクターの専任化ということにも触れられていることですので、研究開発プログラムと、プログラムディレクター(PD)やプログラムオフィサー(PO)の在り方というのは、ポイントの一つとして大綱的指針としても掲げられている、と考えられるところでございます。
 ページをおめくりいただきまして、2ページ目の一番上の丸でございますけれども、事業を推進する主体ではなくて評価を実施する主体が研究開発プログラムの開始前に、上位施策や他の施策との関連に基づき、定量的な目標・機能等、達成すべき政策課題等を明確にするということについても、触れられているところでございます。
 このような大綱的指針の研究開発プログラムの要件等がございますけれども、一方で、現行の文部科学省の研究開発評価指針あるいは政策評価の枠組みで行われている研究開発施策の評価につきまして参考1と2でまとめておりますので、これにつきましても御説明させていただきます。
 まず、参考1の部分でございますけれども、御案内のとおり、研究開発施策につきましては、「複数の研究開発課題を運営する施策や競争的資金制度等、研究開発に係る政策上の特定の目的や目標の実現を目指して、推進方針や戦略・計画・実施手段等の体系が整備され、それに応じて推進されるもの」とされておりまして、「目標を設定された施策毎に評価を実施する」ということになっております。また、文部科学省の中では政策評価の体系もございますので政策評価と研究開発評価指針における研究開発施策というものの関連付けというのも行っているところでございまして、注11でございますけれども、「ここでいう研究開発施策とは、文部科学省政策評価基本計画における施策、事務事業のうち研究開発に関するもの等に相当する」というようなことの整合性が図られているところでございます。
 それから、3ページ目でございますけれども、政策評価法に基づく文部科学省の政策評価基本計画でございますが、こちらにつきましても、大きく(1)の実績評価方式と(2)の事業評価方式がございまして、実績評価方式におきましては政策と施策を基本的には対象としまして目標の達成度合いについて評価するものであり、事業評価方式におきましては事務事業を対象にして評価をするということで、基本的には、事前評価、それから、その事前に行った評価の観点を事後に検証するということを、必要性、妥当性、有効性などの観点から行っているものでございます。
 その事業評価方式による事前評価する際の単位、事業名については、ページの中段より少し下の部分でございますけれども、「この場合、各事前評価の単位及び事業名については、原則として、予算概算要求の単位・事業名と一致させるように留意する」ということが政策評価基本計画に載せられているところでございまして、これによって評価を行ったことと予算要求の整合性を合わせることでPDCAサイクルをきちんと整合性をもって進めることに配慮がなされているところでございます。
 以上が大綱的指針と文科省の施策の評価の概要でございますけれども、今の資料4の下にカラフルなポンチ絵の資料がございます。これは、文部科学省の現在ある研究開発施策関係のプロジェクトあるいはプログラムを評価との関係でケース分けして模式化したものでございます。
 まず、ケース1でございますけれども、こちらにつきましては、事業・制度全体としては政策評価によって評価が行われていますが、プログラム、プロジェクトの遂行の中心といたしましては、事業・制度全体の下に置かれるプロジェクト・領域等でありまして、ここにPD・POが置かれているような場合でございます。この部分につきましては、科学技術・学術審議会での評価、あるいはプロジェクトごとに置かれる評価委員会でもその評価がなされているというものでございます。
 それから、ケース2でございますけれども、こちらにつきましては、事業・制度全体の部分にPD・POが置かれているという例でございます。場合によってはプロジェクト・領域等の部分にPOが別途配置されているというものがございますけれども、このようなプログラムの場合につきましては、政策評価でありますとか、科学技術・学術審議会における評価、あるいは事業・制度内に置かれた評価委員会、これらにつきましても全て、事業・制度全体の評価の中でプロジェクト・領域等もまとめて評価がなされております。そのため、例えばプロジェクト・領域等を変えたりするような場合も、事業・制度全体の評価の中で全体として見て行われているというものでございます。 続きまして、ページをおめくりいただきまして、ケース3でございます。こちらにつきましては、事業・制度全体の中に、その下に領域・プロジェクト等は置かれず、直接その研究開発課題が置かれているような例でございます。こちらにつきましてもPD・POは大体におきまして事業・制度全体に置かれておりまして、評価も、政策評価や科学技術・学術審議会における評価、あるいは事業・制度内に置かれた評価委員会も、事業・制度全体について評価を行っているというようなものでございます。 それから、ケース4でございますが、ケース4はケース2と形としては非常に似ているものでございますけれども、今までのケース1から3は文部科学省の内局で行われているものに対して、こちらは独立行政法人の事業でもあるというものの例でございます。したがいまして、事業・制度全体の評価において、独立行政法人評価による事業・制度の評価も行われているというところに違いがございます。 それから、ケース5でございますけれども、こちらもケース4と同様、独立行政法人における事業の例でございます。したがいまして、事業・制度全体につきましては独立行政法人評価による事業・制度全体の評価が行われておりまして、さらに、PD・POがプロジェクト・領域あるいは小領域等に配置されているところでございますので、その大きさに合わせまして、事業の目的やその中身に合わせまして、個別の評価委員会等の評価も行われているという例でございます。 これら文部科学省関係の研究開発施策を主たるケースとして1から5という形で模式化してまとめさせていただきましたけれども、模式化するに当たって参考とさせていただきましたデータに机上資料1-9というものがございます。各個別の具体的な文部科学省関係のプロジェクトについて制度の概要ですとか評価の際のまとまりなどをもう少し子細に書いているところでございますけれども、こちらを模式化したものが今御説明したものでございます。このように、文部科学省の関係事業につきましては、事業・制度でありますとか、あるいはプロジェクト・領域等のまとまりや、評価の対象になっている単位につきましては、大小まちまちな状況でございます。その中でPD・POが配置されて、ある程度具体的な目標のもとで運営されている固まりが評価の主たる対象となっているというふうに整理されているところでございます。そのようなそれぞれの固まりを研究開発プログラムというふうに設定いたしました場合、基本的には先ほど御説明申し上げた大綱的指針の研究開発プログラムの枠組みとしてもおおむねそごは来さないというように考えることができるのではないかと思われますけれども、委員の先生方の御意見等も賜りたく考えているところでございます。
 また、このことにつきまして御議論いただくに際しまして、机上資料1に研究開発施策の評価に関する政府全体の取組でありますとか文科省の取組に関する資料を配付させていただいておりますので、説明が長くなりまして恐縮ですけれども、それぞれについても簡単に触れさせていただきたいと思います。
 まず、机上資料1-1-1から1-1-3でございます。こちらにつきましては、総合科学技術会議(CSTP)で行われている科学技術関係予算案におけるアクションプラン・重点施策パッケージでございます。こちらは、御案内のとおり、各府省から科学技術関係事業を提示させて、CSTPの方で要件・基準に基づく精査を行って、アクションプラン対象の事業、あるいは重点施策パッケージの事業というのを取りまとめているところでございますけれども、机上資料1-1-2の1ページ目の下の部分に平成25年度科学技術予算に関するこれまでの取組(重点化の仕組み)、という模式がございますが、第4期科学技術基本計画をもとに、最重点と考えられるアクションプランと重点と考えられる重点施策パッケージに分けまして、その中でCSTPの方で、右端の概算要求後というところでございますけれども、外部専門家の協力を得てヒアリングを行って、成果検証可能な目標設定がなされているかどうか、その目標達成に向けたアプローチが適切であるか、実施体制は適切なマネジメントを期待できるか、あるいは、府省横断、省内連携、産学官連携による効果が高いものであるかどうかなどの形態面の評価などが行われまして、このアクションプランや重点施策パッケージの特定がなされているところでございます。
 続きまして、机上資料1-4をごらんいただけますでしょうか。こちらは、本科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会でまとめられている、研究開発方策の取りまとめでございます。こちらにつきましては、課題領域を四つに分けまして、その中で、大目標、大目標達成のために必要な目標、その目標達成に必要な課題、その課題を達成するために必要な事業などを分類して、研究開発方策の大きな枠組みごとに整理しているものでございます。こちらにつきましても、施策、施策課題という階層構造で文科省の関係の研究開発施策をまとめているものですので、研究開発プログラムの枠組みの中では一つの参考になる分け方かというふうに考えられるところでございます。
 それから、机上資料1-5ですが、こちらにつきましては、先ほど説明申し上げた文部科学省の政策評価の中で行われている政策評価の体系でございまして、政策目標、施策目標、達成目標、それから、その達成目標のまとまりに対して、アウトプット指標、アウトカム指標が置かれていまして、それぞれの関係する事業がまとめられているものでございます。これらにつきましても、文部科学省の事業とその目標との関係が政策評価の観点から整理されている一つの枠組みとして、現在行っているところのものでございます。
 それから、机上資料1-6です。1-6-1から、1-6-2、1-6-3とございますけれども、行政事業レビューというものが実施されておりまして、文部科学省の関係政策のみならず、政府全体で行政改革推進本部事務局を中心に進められている評価の枠組みでございますけれども、これにつきましても各省でそれなりのきちんとした体制を整えて、予算を事業単位ごとに評価を行って、それの執行を含めた評価を行った結果を次の概算要求にもきちんと反映するために行われているものでございます。こちらにつきましては、文部科学省の基本的に全ての事業につきまして、資料1-6-3のようなそれぞれの評価シートを取りまとめて評価を行うというふうな形で評価を行っているところでございます。
 それから、机上資料1-7でございますけれども、こちらは、これまで御説明申し上げた政策評価でありますとか、科学技術・学術審議会の評価、CSTPにおける評価でありますとか、財務省の予算要求との関係を年度の形で模式的に大体のスケジュール関係を整理したものでございます。こちらにつきましては、今説明申し上げた行政事業レビューについては触れられていませんけれども、行政事業レビューはこれに加えるような形で別のプロセスが行われているというものでございます。
 それから、机上資料1-8でございますけれども、こちらにつきましては、政策評価ですとか、独立行政法人評価、CSTPの評価の体系、あるいは本審議会の評価体系ですとか、内閣府の大綱的指針でまとめられた研究開発プログラム評価、それぞれの要件を整理したものでございます。それぞれがそれぞれの観点で、必要な評価のポイント、あるいは評価の枠組みをまとめているところでございます。
 以上が大体、政府全体で行われております研究開発政策あるいは施策に関する評価の概要でございますけれども、今度新しく導入される研究開発プログラム評価を、これらさまざまな既存の評価の取組、あるいは予算の概算要求のプロセスとどのように整合性を図って進めていくかというのは、研究開発プログラムの固まりを考える上でも重要なことかというふうに、事務局としては考えているところでございます。これらの点を踏まえて、先生方から御意見を賜れればと思います。

【平野部会長】  
 ありがとうございます。
 先ほどお話ししたように研究開発プログラムという概念で今度の評価についてベースに置くということでもありましたので、事務局にはかなり時間をとっていただいて、全体の整理をしていただきました。おそらくこれまでいろんな名前のプロジェクトやその評価が出てきておったというのは御理解いただいておると思いますけれども、それがどういうところに相当しているか、どのレベルにあるのかということについて説明をしていただいたわけでありますが、今の御説明について、御意見、御質問等ありましたら、ぜひお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。
 どうぞ。

【河合委員】  
 一つは質問なのですけれども、この類型化した図式の説明の一番大きな枠ですね。事業・制度全体という枠ですが。資料4の参考2の第5に「各事前評価の単位及び事業名については、原則として、予算概算要求の単位・事業名と一致させるよう留意する」と書いてある、この「予算概算要求の単位及び事業名」というのがこの青い一番外側の枠だと、そういうふうに理解してよろしいんでしょうか。

【鎌田科学技術・学術戦略官付企画官】  
 本来であれば、そうであると言い切りたいところですが、施策・政策プログラムの中にやはり階層がございまして、予算要求の事務事業が、この事業・制度全体がそれそのものに該当している場合と、具体的な予算要求としたプロジェクト・領域等を具体的な予算要求の事業とした場合が混在している状況でして、その点は必ずしも統一はとれていないという状況でございます。

【平野部会長】  
 よろしいでしょうか。私があまり発言をするべきではないと思うのですが、おそらく、これまでの歴史的背景もいろいろ中に取り込みながら、かつ全体として分かりやすく整理をしていただきつつあるところじゃないかなと思います。委員としては、階層がどこにあるのかということが、より分かりやすくなったのではないかと思っておりますが、今言われたように、まだ少し入り組んでいるところがあるようです。
 そのほか、いかがでしょう。有本委員、どうぞ。

【有本委員】  
 大変な御苦労、ありがとうございます。我々委員は、多少理解が進んだかなという感じがしますけれども、これが本当に実効的なものになるのかどうか、前線の研究者あるいは研究チームがこれで効果的に研究開発を実施できるのか。それを同感できるようなものにしておかないと、動かない、かえって何かいろんなノイズがあるという感じがします。手続的なことなのですが、資料5の、これは後から御説明されるのかも分かりませんが、5月から7月にかけて、基本的方向性と論点整理について大学関係者等へ説明・情報共有される。このプロセスがものすごく大事になると思います。しかし、基本的方向性と論点整理だけで説明したのでは、研究現場への同感と実装はなかなか困難ではないか、と思います。

【平野部会長】  
 事務局、いかがでしょうか。

【鎌田科学技術・学術戦略官付企画官】  
 御指摘いただきました資料5の、今後、大学関係者等へ説明といった部分につきましては、例えば先日は国立大学協会の教育・研究委員会という場でこれまでの基本的方向性あるいは論点整理について説明をさせていただきまして、今後も、中央教育審議会との関係でございますとか、様々な機会を通じて説明をさせていただきたいというふうに考えているところでございます。机上資料1-9の扱いにつきましては、実はこれは一部調整中のところ等もございまして、必ずしも完璧に完成されたバージョンでないということもあり、机上資料という形で整理させていただいておるところでございます。いずれにいたしましても、文部科学省の研究開発施策につきましては、このように枠組みの形だけからどの部分が研究開発プログラムとして評価するのに適当かというのは必ずしも一律に言えなくて、施策によってまちまちな状況であるというのがこの作業を通じてわかってきたところでございますので、指針として、もし研究開発プログラムの枠組みや在り方を記載するということでしたら、ある程度大枠を踏まえた書きぶりにしていかないといけないというふうに考えておるところでございます。

【有本委員】  
 もう一つ、追加でよろしいですか。

【平野部会長】  
 どうぞ、有本委員。

【有本委員】  
 ここはあえて「大学関係者等」とありますけれども、大事なのは、前から議論が出ていますが、プログラムを運用している省内の各課、それからファンディングエージェンシーです。ファンディングエージェンシーも一様ではなく、多様なプログラムがたくさんあるのですが、そういう行政・機関のファンディングの担当の方々がしっかり内容を理解し、行動することが大事だと思います。JSTでも、この問題についてはいろいろ議論をしていまして、率直に言いますと、戦略創造研究推進事業はかなりきれいに整備されているものだから、十分対応できるのではないか。産学連携関係などは今後整理していく必要がある。省内各課も同じ状況だと思います。しかし、そんなことをバラバラに議論しても効果的ではないし、一緒になってやろうという感じにならないと思うので、巻き込んでいくときに、資料とこれまでの議論の蓄積は率直にどんどん活用していくべきではないか。今はチャンスですから、ぜひ率直な意見交換を広く行っていただければというふうに思います。

【平野部会長】  
 私は、今、有本委員がおっしゃったのと同じように、国の政策・施策・制度・事業の体系がどうも分かりづらいところがあるのではないかと思います。先ほど歴史的な背景も引きながらお話ししたとおりですが、プログラムを設定するときに、外から見て、似たような名前で位置付けに誤解が生ずるようなことは避ける必要がある。そのためには、せめて文部科学省全体としてだけでも、きちんと見て分かるように体系を整理していただくとありがたいな、というのが部会長としての気持ちであります。この色づけの資料ですが、先日、事務局と打合せをして、こういうプログラムがケース1に当たりますということを言っていただくだけでもイメージが分かりやすいかなというところを、あえてきょうは言っていただいたのですが、説明のときに具体例があった方が分かりやすいと思いますね。
 ほかの方、意見を。有信委員、どうぞ。

【有信部会長代理】 
 机上資料1-9を見ると、一応、それぞれプログラム単位とか事業単位ごとにPD・POが配置されていて、大体の配置するうえでの考え方は分かります。でも、これは文部科学省の内部のそれぞれの仕分けの仕方で、これは多分、ボトムアップ式というか、それぞれの単位ごとに整理をされているので、この資料である程度分かるかなという気はするのですが、今度、府省連携的なものをプログラムとして設定するというトップダウン的な新しいプログラムを設定すると、またPD・PO配置の考え方が変わってくるのではないかと思います。なぜこのようなことを申し上げているかというと、実際、研究開発評価指針の改定の中でPD・POの在り方・責任をきちんと明確にしましょうと、こういう見直しがあったときに、このPD・PO配置の考え方によって評価する上でのPD・POの果たすべき役割が変わってくる可能性があるんですね。実際には、プログラムそのものについて言うと、トップダウン的な府省連携型のものがあったりとか、あるいは特定の目的のために複数のプロジェクトを走らせて、全体をプログラムと称するようなものがあったりとか、ここに示されているように幾つかの例があり得ると思うので、それのベースでPD・POが果たすべき役割が変わるということを少し明確にしておいた方がいいかなという気はします。

【平野部会長】  
 ありがとうございます。
 そのほか、いかがでしょうか。五神委員、どうぞ。

【五神委員】  
 私も、先ほど河合委員が指摘した、資料4の参考2のところに書いてある概算要求の単位・事業名と政策評価の事業対象を一致させることが出来るのであればわかりやすいと思います。つまり、その年度の予算が決まるたびに、施策ペーパーを見ながら事業単位や予算やその内容がどうなっているか知ることができます。その予算ペーパーごとに評価し、それを国民に対して説明をするというのは非常に効率的だと思います。ところが実際は、既存のいろいろな事業スキーム、例えば、補助金事業と委託事業を組み合わせたり、あるいは府省横断による事業を組み合わせというようなことも起こり得る世の中になっていますので、一つの目的のために何をやろうとしているのかをわかりやすく説明する予算ペーパーと、実際のプログラムの運用には違いが生じる場合もあるわけです。一つの事業を実行するために評価体系を一々つくるということは非常に非効率なのでいたし方ないとは思いますが、様々な事業スキームがあることにより、この整理していただいた資料どおりには運用しづらい状況もあるのではないかと思います。
 一方で、有本委員がおっしゃるように、例えば戦略創造研究推進事業で、特に戦略目標をJSTで立ち上げていくような仕組みの中で行われているものは、公平性・透明性というのが尊重され、立ち上げの段階から評価までをある程度想定したプログラムとして整然としたシステムができ上がっています。しかし、同じCRESTでも例えば、別の施策と組み合わせて運用せざるを得ないものがまざっているような部分については、例外的に扱わざるを得ないのでわかりにくくなっていると思います。複雑なクモの巣になっている現状を解析してわかりやすく整理するということも大事だと思いますが、それよりも、ここでプログラムごとに評価をきちんとするということは、誰がどういう責任を担っていくのかという分担が明らかになるようにして、現状のプログラムから責任を持って実施していくように変えていくことが、この評価システム改革についての議論では最も重要です。それと並行して諸制度の整理が不可欠であるという位置付けにしてパラレルに進めていくことが必要ではないかと思います。

【平野部会長】  
 どうもありがとうございます。
 そのほか、いかがでしょうか。では、栗原委員。

【栗原委員】  
 似たような意見ですが、今後の学術の在り方をけん引するような新たな評価システムの構築というものが、資料3の3ページのところに書かれていて、これが科学者コミュニティにきちんと伝わるということがすごく大事ではないかと思いました。同時に、やはりPD・POの方にこういう指針を本当に丁寧に理解いただいて、今、五神先生が言われたように非常に複雑であるからこそ、例えばPD・POの存在が大事なのではないかと感じました。
 それから、資料1の1の指針改定に当たっての時代認識・課題等のところで、(d)のところの「科学者コミュニティ自らが研究開発活動の意義・在り方等について考え、改善・行動し、説明していく姿勢」、これは本当に大事なことであると同時に、基本だと私は思うのですが、そのためには、例えば資料1のようなものをなるだけ、どういう形かということはあるかもしれませんけれども、科学者コミュニティが共有できるような取組を進めていくことが重要であると、まさに科学者コミュニティみずからやらなくてはいけないことかもしれませんが、そのように感じております。

【平野部会長】  
 ありがとうございます。
 では、河合委員。

【河合委員】  
 私も結局同じことを言っているような気がしますが、プログラムの設定の仕方が大変難しい、複雑だということですが、まず第一歩としては、この図の一番上の階層の青い枠のところに大綱的指針の考え方を適用することから始めていけばいいのではないかと。それで、その場合に、プログラムの設定の仕方をどうこうするということで迷うよりも、基本的考え方のところで整理されている資料4(1)の丸1、プログラムの要件として、「解決すべき政策課題及び時間軸を明確にした検証可能な目標を設定」するとともに、「上位の階層である施策における位置付けが明確であること」と、この2点を定義すると。それがはっきり定義されているということが一番重要なことではないかと思います。そして、この新しいプログラムの評価の考え方というのは、末端の研究者にとってはそこを意識する必要はなくて、制度がきちんと設計されていて、それに合わせて研究課題を提案すれば、その施策がスムーズに実現されるようなのをひとりでに提案したくなると、そういうふうな設計になるものであって、やはりこの考え方をきちんと理解すべきなのはPD・PO及びその上の階層をコントロールする人たちであろうと、そのように考えます。

【平野部会長】  
 どうもありがとうございます。
 そのほか、いかがでしょうか。どうぞ。

【栗原委員】  
 今の御意見に対して、私がなぜ科学者コミュニティにも伝えたらいいと申し上げたのは、細かく見ると、「予期せざる波及効果に大きい意味」とか、いろいろきめ細かく考えられているんですね。そういう部分はどちらかというとプログラムの大きなくくりというようなところではそこまで伝わらないことが多くて、やはり現場が工夫すれば工夫するだけの意味があるんだというようなところは、そんなに詳細でなくてもいいから、気持ちを確かに伝えることが大事なのではないかという意味で申し上げました。

【平野部会長】  
 ありがとうございます。
 伊地知委員、どうぞ。

【伊地知委員】  
 質問ですが、大綱的指針の中で「検証可能な目標」という表現があって、これだけ取り出すと多義的なような気もするのですが、仮に、プログラムの目標があって、それが達成されているかどうかというのをプログラム単位で確認できるという意味合いだというふうにしますと、今までのところでいろいろ御説明いただいて、政策評価の体系、あるいは予算とのつながりがあるということは分かったのですが、だとすると、事後的に、つまり政策評価の体系の中の事後評価であるとか、あるいは決算、あるいは、会計検査だけでなくて、広い意味での監査にこのプログラムの評価というのはどのように関わっているのかということについて、もし分かるようであれば、教えていただきたいと思います。

【平野部会長】  
 事務局、いかがでしょうか。

【鎌田科学技術・学術戦略官付企画官】  
 事前評価というだけではなくて、監査、あるいは会計検査との絡みもございますが、先ほどの行政事業レビューはその取組の一つだと考えておりまして、その予算が、執行を含めた、実際の在り方を含めて検証して次の予算につなげていくというものだろうと思います。もちろん今まで、監査の中でも評価が行われているところでございますけれども、予算要求のプロセスと監査の時期というのは時期的に多少ずれるという問題もございまして、そちらにつきましては、評価の在り方との整合性とかも含めて、検討課題だろうというふうには考えているところでございます。

【平野部会長】
 室伏委員、どうぞ。

【室伏委員】  
 やはり、研究開発プログラムの評価ということになりますと、プログラムを策定する省庁とか、あるいはファンディングエージェンシーがこのプログラムをどのようにしてつくって、それが本当に社会のために有効であるかということは評価されなければならないと思います。ですから、そこが極めて重要であるということはもちろん言うまでもないのですが、先ほどから皆様のお話の中に出てきているPD・POの話も、社会に有用なプログラムをどのようにしてハンドリングしていくかという意味で非常にきめ細やかな評価が必要であろうというふうに思います。ただ、そこだけの評価ではやはりいけないのであって、栗原先生がおっしゃったように科学者コミュニティが、こういうものは一体なぜ今の日本の世の中に必要かということを皆さんが理解していくということはそのプログラムの成功か失敗かにつながっていくことなので、やはり評価すべきは、省庁なりファンディングエージェンシー、そこが一番重要なのですが、そこから派生してくる末端までの研究者の意識の中にしっかりとこういったものを根付かせていくということは、極めて重要だと思います。ですから、先ほどお話があった大学の研究者なり何なりに、多分、文部科学省の方々が御説明くださる、あるいはファンディングエージェンシーが説明に回ってくださるんだと思いますけれども、そこは嫌になるくらいやっていただく必要があるのではないかなという気がします。こういうものが日本でまだ始まっていないので、そこは、最初からきちんとやるという、そういう気持ちで始めないと、ここでせっかく皆さんが時間をかけて考えてきたことも無駄になる可能性があると思いますので、かなりしっかり始めていかなければいけないなと感じています。

【平野部会長】  
 ありがとうございます。
 そのほか、いかがでしょうか。有信委員、どうぞ。

【有信部会長代理】  
 大綱的指針には、基本的にはプログラムそのものの評価をやっていくということが書き込まれていますが、議論が混乱しないように明確に意識しておいた方がいいと思うのは、プログラム自体の評価に、プログラム自身が当初の目的を達成したかどうかという評価の部分と、プログラムそのものの正当性、アカウンタビリティーに関する評価と、二重の構造があるということです。プログラムそのものの実効性というか、具体的な成果目標等々に関する評価について言うと、これも評価そのものの構造化という観点からすると、これはPDとかPOの評価をきちんとやるということで二重三重の評価を避けるというやり方はあると思うのですが、プログラムそのものの正当性やアカウンタビリティーの評価という観点になると、この評価の部分についての基本的な考え方は実はまだあんまりはっきりしていないような気もするんですね。それはそれで従来の評価の基本的な考え方をそこに適用して評価をしていくということになると思うのですが、そうするとここでまた新しい構造が一つできるような感じがする。ですから、ここをどうするかというのを少しよく考える必要がある。その部分が実はさっきから種々出ている科学者コミュニティの問題ともかかわってくるわけで、つまり、正当でアカウンタブルなプログラムを実行しているかどうかということが、今度は科学者コミュニティそのものを問われるような話にもなってきて、そうすると、政策側に対する評価と、実行主体に対する評価と、何か非常に難しい話になってきはしないかなという気もします。

【平野部会長】  
 どうぞ、河合委員。

【河合委員】  
 有信委員のプログラムそのものの正当性の評価、これはプログラムを始めるときの事前評価とは違うものなのでしょうか。プログラムそのものを評価すべきかどうかというのは、始めるときに事前評価として評価されるものだと思うのですけれども。

【有信部会長代理】  
 事前評価はもちろん実施するのだけれど、例えば、事前評価では、検証可能な目標が立てられているか等は見ることができますが、その検証可能な目標を達成するために実行されていること自身の内容が当初設定したものと本当に合った方向で進んでいるか、という評価が必要ではないかということです。はっきり言って研究が進み出すとどんどんそれ固有のディシプリンの中に深く入り込んでいってしまうので、PD・POがきちんと面倒を見ているかどうか、実行段階でこの評価が必要になってくるのではと思います。要するに、正当性の評価というのは、本来の目的の検証可能な部分と、ディシプリンにおいて深く原理的な追求の部分に入り込んでいく中で、正当性が十分に体系的にコントロールされているか、その際、体系的なコントロールの仕方が実際には本来の目的にきちんと合った方向に向いているか、という部分と、二種類あるということを申し上げました。

【有本委員】  
 今の関連で、よろしいですか。

【平野部会長】  
 有本委員、どうぞ。

【有本委員】  
 なかなかそういった複雑な話を本文に入れるのは難しいのではないかと思うので、最終的には部会長と部会長代理のコメントとして書くということで、どうでしょう。研究開発評価部会一同でもいいと思いますが。それで、ここでも重ねて議論があったのは、私はやはり、今度大きく変わるのは、今までは、下に、下に、研究の前線に評価、評価というのが行っていたけれども、今度はベクトルが逆に行くのだ、ということをはっきり書くべきだと思うんです。だからこそ、省内、ファンディングエージェンシー、PD・POはどれだけ責任が重いかということをはっきり指針に書いて、その上で、もちろん研究現場の方にもメッセージが伝わるように、紙面を割いていただきたいです。もう一つは、今、議論が出ている、プログラムの中にプロジェクトが例えば10個走ったときに、どうも今までのPOとかPDの方々は、それを単純にサムアップしてまとめておけば良いという意識が非常に強いような気がするんです。そうではなく、プログラム全体として、単に寄せ集めるだけではなく、統合することにより価値が出る、これを求めているはずなので、そうであればどういうファンディングを設計するべきなのか、研究体制の作り方、マネジメントの仕方まで考えて行く必要がある。プログラムという概念は、そこまで求めているのだと私は理解しております。そういったことが形になれば、上位施策、あるいは政治家とも対話しやすくなると思います。すぐには実現できないかもわかりませんけれども、そこら辺も少しニュアンスが出た方が良いのではないでしょうか。最後に、資料5の今後のスケジュールのところの書き方で、やはり、ここも大学関係者に説明ということで下に向いているので、そうではなくて、文部科学省内局にも、ファンディングエージェンシーにも、PD・POにも説明するんだということまで、今度の指針改定の意思をはっきり書いてほしいです。そうすると、メッセージが強く出ると思います。
 以上です。

【平野部会長】  
 有本委員がおっしゃったところは私もよくわかります。各層でのきちんとしたプログラムに基づいた活動というのは求められるわけですし、その達成度は見ていかなければなりませんが、同時に、評価そのものの大綱としては、研究開発のプログラムの評価をどうするか、どこに向けるかというのをきちんと指針で示す必要がありますので、文部科学省としてその部分を整理し、指針の前段等にもきちんと書き込む必要があるのではないかと思っております。
 ほかに御意見はありますでしょうか。どうぞ、受田委員。

【受田委員】
 すみません、全体を把握できていないところがあってなかなかコメント・質問もしづらかったのですが、今の御議論を伺っていて徐々に自分なりに理解が進んできているのではないかと思っております。もともとこの大綱的指針における研究開発プログラムを考える前提というのは、やはり個別の課題のみならず、政策と施策の中間的な位置付けにあるプログラム全体の評価を、国としてきちんと責任ある体制を構築していくことと、その改善、すなわちPDCAをいかに効率的に回していくかという議論に尽きるのではないかというふうに考えております。
 政策と施策の中間的な位置付けでこういったPDCAが回っていくということになると、先ほどの(1)の丸3に「役割分担及び責任の所在が明確であること」というふうに書かれているのですが、これ自体が非常に漠然としていて、誰が責任をとるのかということがなかなか明確にならないというジレンマに陥ってしまうのではないかなというのが、率直な意見でございます。政策と施策の中間には、それでは一体何があるのかということ。例えばCSTPがあって科学技術基本計画があり、施策に落とし込んでいく責任がCSTPにあるとするならば、このプログラム評価の対象はCSTPになるのでしょうか。そのあたりを少し明確にしていかないと、私自身はよく分からないというのが正直なところです。
 それと、研究開発プログラム自体を評価して、改廃するということよりも見直しをするということが重要であるとするならば、今こそこういった科学技術施策を総点検する。すなわち、棚卸をして、それぞれの重複、あるいは漏れ、こういったところを総点検するということも、ある意味必要なのではないかと思います。先ほどから省庁間の話も出ておりますけれども、この議論がもし文部科学省の科学技術施策あるいは政策との連動性のみにある意味限定されるとするならば、いつまでたってもそのPDCAの責任の所在というのが明確にならないような気がしてなりません。したがって、こういった研究開発プログラムを議論するということであれば、より大なたを振るっていただいて国全体の科学技術について俯瞰(ふかん)していただく、そういう機会にしていただきたいと思います。

【平野部会長】  
 ありがとうございます。
 今回、内閣府の方で研究開発プログラムの基盤を提示されたのは今の御意見のようなところが背景になっておっただろうと、私は理解しております。そういう点から文部科学省としての指針改定においては、御意見がありましたようなところを、前書きにするのか、何にするかは別にして、きちんと皆さんにわかるような形で提示ができたらいいと考えておりますし、加えてPD・POの方々もその指針の内容を理解いただけるような努力をしなければいけないだろうと思います。多分、具体的な研究開発活動を現場で行っている階層のにおいては、全体のプログラムの意味するところを理解しながら進んでいると思いますが、全体から見たところでプログラムとしてどうなのかというのは、全体をガイドする主体がきちんと把握しておく必要があり、これまではそれが弱かったのではないかという反省の上で、この大綱が出てきておると、そういうふうに理解をしております。
 内閣府の井上企画官、背景の理解に間違いないでしょうか。

【井上内閣府政策統括官付参事官付(評価担当)企画官】  
 今回、大綱的指針、昨年度行いました改定の中でこういったプログラムの評価といったものを記入させていただきましたが、今、委員からお話をいただきましたとおり、まさに効率的・効果的にPDCAを回していくに際して、そういったプログラム、政策体系の各階層の中で、特にプログラムの評価といったものに基づいて行うということが有効なものであろうといった観点から、こういった位置付けを行っているところでございます。
 今、御発言の中でコメントいただいた点につきまして少しお話をさせていただきたいのは、プログラムは、政策と施策の中間というコメントがございましたが、そもそもプログラムとは何かという部分の説明等は、大綱的指針をめくっていただきまして、7ページの下の(注3)を御覧頂きたく思います。第4期の科学技術基本計画の中に書かれていることでございますが、研究開発の政策体系について、4階層ということで、政策、施策、そのもとに施策の実現手段としての一まとまり、プログラムという内容になってございます。また、二つ目のポツに、「プログラム」とは、より上位の施策の目標達成に向けて、研究開発課題を含む各手段、目的達成のための手段を組み合わせて取り組んでいく、という一まとまりということでございますので、施策よりは下位の階層にあるという趣旨でございます。当然、各府省を超えたプログラムという形になれば内閣府なりの出番になるのかもしれませんが、おそらく各府省における施策の実現のためのプログラムとして、その中でいろいろ府省連携というのもあり得るかと思いますが、そういったまとまりのものということで理解をしてございます。
 私ども内閣府といたしましては、策定した大綱的指針を踏まえて、各府省で各府省の研究開発を取り組むに当たっての指針を具体的に定めていただき、それに基づいて評価を行っていただくということになりますので、文部科学省さんに限らず、各府省の取組状況をフォローアップさせていただいておりまして、そういった形で全省的にも進めまいりたいと思っております。
 以上、補足でございます。

【平野部会長】  
 どうもありがとうございます。
 そのほか、いかがでしょうか。岡村委員、どうぞ。

【岡村委員】  
 私の立場からアウトサイダー的に話をさせていただくと、資料4の色刷りの資料で幾つかケースをまとめていただいたのですが、今回の研究開発プログラムの評価にかかわって、PD・POの役割とか責任というのは多分一つの鍵であるのかなと思っていまして、定義がどこにも書いてないなと思って見ていたのですが、今御説明いただいた内閣府の方の資料の12ページの(注5)に少し書いてあります。ただ、この色刷りの資料を見ると、ケース1から5によって、それぞれ微妙に立場が違うのかなと思います。民間企業で言うところの執行役員的な役回りをしている人もいれば、現場の部長さんクラスの役回りをしているような人もいるのかなと思ったりしているのですが、一律にはPD・POの役割とか責任というのは明確ではないまでも、それが研究開発プログラムの評価をするときにもう少し分かりやすくメッセージとして伝わるような、定義というか、職務というか、それらをもう少し分かりやすく記載できないだろうか、という感じはしました。

【平野部会長】  
 ありがとうございます。
 そのほか、いかがでしょうか。五神委員、どうぞ。

【五神委員】  
 プログラムの大きさについてですが、先ほどの井上企画官の説明は、要するに文部科学省の資料4の3ページにある参考2に書いてある概算要求の単位というものがプログラムにかなりニアリー・イコールだと思ってもよろしいんでしょうか。
文部科学省の政策評価基本計画(抄)という中の第5のところにあるように、「各事前評価の単位及び事業名については、原則として、予算概算要求の単位・事業名と一致させる」と。要するに概算要求の事業名というのがプログラムというものに非常に近いものだというイメージでよろしいという、先ほどの説明はそういうことでしょうか。

【井上内閣府政策統括官付参事官付(評価担当)企画官】  
 まず、政策評価については大綱的指針を踏まえて行っていただくという前提になっておるかと思いますが、文部科学省の個別の概算要求の単位・事業名といったものがつぶさにどういう形になっているか、この時点で把握しきれているわけではないので、その点においては、そういう前提でお話をさせていただく必要があるかなと思いますが、先ほど申し上げましたとおり、大きな施策の枠組みがあったとして、それを実現するための一つの目的なり課題に対応したプログラムというまとまりがあります。プログラムは、個別の研究開発課題であったり、複数の研究開発課題であったり、それ以外のさまざまな施策手段が仮にあった場合には、それも含めてプログラム化することができるという前提での実現手段の一まとまりということでございますが、具体的にどの範囲をプログラムに設定すべきかといったことについては、大綱的指針に書かせていただいている、そもそもプログラムというのは何かといったことに加えて、資料4でプログラムの設定の要件を書かせていただいておりますけれども、こういったものに合致するものであるという前提、そういった前提条件については大綱的指針で定めさせていただいているということでございます。その上で何を設定すべきかといったところについては、それぞれ各府省において定めていただいて構わないということになっております。大枠となる考え方なり条件というものを大綱的指針で示させていただいておりますので、その前提条件の中で、文部科学省として定めていただければという形になろうかと思います。

【五神委員】  
 施策や事業は多様なバリエーションがあると思うので一律には答えにくいと思うのですが、私のポイントは、もしそうだとすると、こういう事業をやろうということで予算の形にして、財務省なりと交渉を経て予算化が実現した場合、その段階で責任を持っているのは、後で指名されるPD・POではないということです。ですから、その段階で決められたプログラム・事業の趣旨、内容が正しいか、正しくないかという評価に対する責任を誰がどう分担するかということについては、この本部会でも随分議論になったところではありますけれども、まだ明確にはなっていないのです。ですから、プログラムというものがどういうものを指していて、それを実現するに至る段階で誰が責任を持ってその予算を取ってきたかということで考えますと、それはPD・POの責任とは必ずしも一致しないものになることもあるということです。

【平野部会長】  
 冒頭、御意見があったように、文部科学省としては机上資料1-9の階層、全てをきれいにクリアカットには整理できないという苦しさが事務局にはあるのですが、基本的にはこの階層で見ていこうということは確かでありまして、その意味からすると、研究開発の課題というところに当たる人においては、全体の中でどういう位置付けに自分があるのかというのを理解してもらう必要がある。これが研究者においての理解度を進める上に必要ではないかというのが、先ほど、この資料は出せないのかという話になったところでありますが、構成はこういうような構成で今動いているという整理でありますが。
 そのほか、室伏委員。

【室伏委員】  
 先ほどからPD・POの役割についていろいろな御意見が出ているんですけれども、やはりPD・POの役割というのはますます重要になってくると思います。今、五神先生からPD・POがこういったプログラムの策定の時期から加わるということは必ずしもないというお話、確かにそうだと思います。たしかワーキンググループの中で策定のときからPD・POが加わったらどうだろうかというふうな議論があったことも覚えておりますけれども、例えば、今現在動いている幾つかのプログラムの中で、最初から、POは加わっていませんけど、PDになるべき人が加わっているというものがあったと思います。例えば、私が関係しているプログラムでは脳科学研究戦略推進プログラムがありますが、あれは最初にどういったプログラムをつくるかというところでPDになる人たちがそこに入っていて、現実にそのPD・POの役割というのが非常に明確化されていてPDCAサイクルが非常にうまく回っていると思うのですが、そういったいわゆるグッドプラクティスをピックアップしていただいて、現実のPD・POの働き方、役割分担というものについての説明にそういう具体化したものをお示しするといいんじゃないかなという気がします。

【平野部会長】  
 ありがとうございます。
 そのほか、いかがでしょうか。河合委員、どうぞ。

【河合委員】  
 CSTPの評価を2年間務めて、プログラム評価を何度も何度も議論していたので、少し補足します。
 御説明がありましたように、結局、今ある仕組み、いろいろなプロジェクト・プログラムというのはさまざまであって、必ずしもきれいな類型にならないということはあちらでの議論でもはっきり言われていて、とりあえず、始めるに当たっては、もっと小さな単位、プロジェクト単位で予算が措置されているようなものもいろいろあるけれども、例えばそういうのを束ねてプログラムと考えて評価すると、そういうようなものもやりましょうと。それでも全部やれるかどうかは分からないけれども、そういう考え方を入れて次第にそういう格好で評価できるように移していこうと、そういう考え方があると認識しています。したがって、何が何でもこれをきちんとこういうふうに一律な格好に階層を定義してやらなくては必ずしもないと思っています。

【平野部会長】  
 ありがとうございます。
 作業部会の中で議論してまとめていただきました資料2の3ページ目を見ていただきますと、私、これは非常に大事なところをきちんと指摘していただいていると思っておりますが、当然といえば当然でありながら、研究開発プログラムの評価というのは、「誰が」「何を」「何の目的のために」「どのように」という、これをしっかりと、当然反映をしてくれると思いますが、文部科学省のこの指針の中で分かりやすく、プログラムの大きさがどうこうあれ、階層としてはきちんと分かりやすくしていただくのが重要ではないかなと思っております。作業部会の方々は、ここをずっときちんと議論されながら、用語の意味も含めて対応してくださったというのは私も聞いておりまして、これは、当然とはいえ、文部科学省の指針の中ではきちんと示していかなければいけないなというふうに思っております。
 そのほか、いかがでしょうか。伊地知委員、どうぞ。

【伊地知委員】  
 もしかしたら今の点にも関係するのかもしれませんが、この場でも何度か申し上げておりますけれども、本日の議論の中ではあまり触れられていない、いかにプログラムという単位の中で効果的な成果を上げるのか。それに関して言いますと、アウトカムということに関して詳細に説明していくのが重要ではないか。プログラムとしての成果の受け手が誰であり、そこから生じる価値というのは誰にどのように生じ得るのかというようなことが明確になる。それで言いますと、机上資料1-9、これは事業の概要についてはあるんですけど、例えばこういう中に、もしこれがプログラムという単位になるのであるとすれば、そこでのアウトカムが、あるいはそこで検証可能な目標というのがどのように合理的に導き出されるのかというのが補われて、実際に実行可能なプログラム評価になっていくのではないかというふうに思います。

【平野部会長】  
 ありがとうございます。
 今の御意見では、科学技術・学術審議会の資料3で、(2)というのが3ページにあるのですが、この部会でも議論した、未踏な学術の進展といいますか、科学技術イノベーションに資する研究や、ハイリスク、これらの研究について、当初の目標の結果だけではなく、どのようにほかのものに波及したのかという点も、きちっと評価すべきであるというところにも通じておると理解をしております。
 そのほか、いかがでしょうか。河合委員、どうぞ。

【河合委員】  
 今の点、アウトカムとして何を考えるか、アウトプットとして何を考えるか。アウトプットの方はわりと、研究をやれば出てくるもの、その事業をすれば出てくるものというものだと思うのですが、机上資料1-5のところに成果指標(OC)・活動指標(OP)というのがさまざまな政策目標・施策目標などについて定義されておりますが、これを見ると、まず、アウトカムと書いてあるけれども、これはアウトプットじゃないかと思うものが結構多いのが一つと、それからもう一つは、客観的な検証可能性のある目標ということで数値を書いたのだと思うのですが、その数値の意味が、どうしてこういう数値になっているのかというのが、ただこういう表だと分からないわけですね。そうすると、多分、評価が非常に機械的になってしまって、本来の、何のためにこういうのを設定したのかというのを忘れてしまうといけない。だから、まとめるときにはこういうふうになっちゃうのはある程度仕方ないのですが、それぞれについて、どういう意味があってこういう数字が、こういう目標が設定されるのかというのは、きちんと目標設定の段階で議論し、そして記録に残しておく必要があるのではないかと思います。

【平野部会長】  
 ありがとうございます。事務局。

【鎌田科学技術・学術戦略官付企画官】  
 ありがとうございます。まず、今、河合委員が御指摘くださった政策評価のアウトカム・アウトプットにつきましては、御指摘のとおりだと思います。どういうものをアウトカム指標として置くかというのは、御覧いただいたら、本当にそのとおりで、文部科学省としては、かなり悩みに悩んだ末、こういう形で置いているというものでございます。研究開発プログラムにつきましても、その要件の中で明確なアウトカム指標を置く、という記述がございますが、研究開発プログラムを設定する場合にも、どのようなアウトカム指標やアウトプット指標を置くかというのは、まさに政策評価の方でもなかなか明確にできなかったものきちんと設定できるのかということも含めまして、非常に課題だというふうに感じておりますが、改善していく必要があるポイントだろうと考えております。
 それから、多くの委員の皆様方から御指摘ございました研究開発プログラムの評価、まさに大学や独立行政法人の現場の評価ではなく、国あるいはファンディングエージェンシーの側に対する評価でございますので、国やファンディングエージェンシーの側がより深く考えていかなければと考えているところでございます。
 一方で、大綱的指針あるいは文部科学省の評価指針で研究開発プログラムの評価の枠組みができた場合には、もちろん研究開発評価プログラムの枠組みを使って評価をしていくということになりますが、評価の枠組みだけではなかなか進むことが難しいというのも現状でございます。というのは、PDCAを考えると予算や企画立案の段階から研究開発プログラムというものが推進されなければ、なかなか全体としてうまく進んでいかないということです。その観点からいたしますと、机上資料1-1-4にございます、内閣府のアクションプランと重点施策パッケージの資料でございますけれども、この資料の2ページに重点施策パッケージの要件というところがございます。ここには、施策パッケージは、具体的目標の実現に向けたアプローチに真に必要な複数の施策を構成することでありますとか、あるいは各府省の施策の一部をパッケージとして提案する場合の要件でありますとか、あるいは重点施策パッケージの特定基準のところで、成果検証が可能となる明確な目標とその達成時期が設定されていること、それから、(2)で目標達成に必要な取組が明確であること、(3)で適切なマネジメントが期待できるものであることということで、内閣府の方でも、大綱的指針の改定を踏まえて、施策の予算要求、企画立案の方の基準でも、こういう形で研究開発プログラムと関連する基準を出していただいているところでございます。このような評価の枠組みと推進の枠組み、こちらが一体となっていくことで、文部科学省の担当、あるいは法人の担当といたしましても、ここで研究開発プログラムという枠組みを使って企画立案して評価を行うということが予算要求などにも絡んできて、内閣府の言う重点項目、予算の重み付けなどにも影響を与えるという、全体の輪の中でいい形が流れていければ、そういう方向により進んでいくのではないかと考えているところでございます。

【平野部会長】  
 ありがとうございます。どうぞ。

【有本委員】
 資料2の1ページ目の全体構成のところの(e)と(f)ですが、ワーキンググループでもかなり議論をして、「既存の学理の再体系化を促す」とか、「重箱の隅をつつくにすぎない研究」とか、かなり厳しい表現があります。こういうものについて、これは研究開発評価部会だけではないですが、今からのファンディングの在り方、あるいはピアレビューの在り方というものをかなり根本的に見直さないといけないというメッセージです。その辺については、省内、ファンディングエージェンシー、あるいは大学関係者等において議論を展開するときに、必ずアクションに向かって何をどうやるのか、ということについてもしっかり踏み込んで議論して、浸透させていかないといけない。こういうものは、アカデミック側では、非常に抵抗感があると思うんです。ぜひそういうところをしっかりとお願いしたいと思います。

【平野部会長】  
 ありがとうございます。そのほか、よろしいですか。
 それでは、きょうは大変貴重な御意見をいただきました。難しい課題でありますが、大綱的指針に基づき、私ども科学技術・学術審議会の中の研究開発評価部会として、指針づくりに反映ができるような形にまとめ上げていきたいと考えております。
 この後どのようにそれを進めるかということについて、事務局から説明をお願いします。

【高橋科学技術・学術戦略官付室長補佐】  
 それでは、資料5を御覧ください。評価指針の改定のスケジュール(案)でございます。これまで、昨年12月6日に、先ほどからお話がございますように、国の大綱的指針の改定案が決定されております。その後、12月末から、有信部会長代理を主査といたします作業部会におきまして、3回にわたりまして論点整理を行っていただき、御審議いただいたところでございます。その後、3月19日の当部会における基本的方向性と論点整理、さらに、4月17日の研究計画・評価分科会、4月22日の科学技術・学術審議会総会を経て、基本的方向性及び論点整理については決定しております。本日、研究開発評価部会においていろいろと御議論いただいたところでございますが、5月から7月にかけまして、基本的方向性、それから論点整理について、大学関係者等への説明・情報共有を行うこととなっておりまして、去る5月22日には、国立大学協会の教育・研究委員会において御説明、それから今後としましては6月20日に国立大学法人学長・大学共同利用機関法人機構長等会議への説明等を予定しておりますが、先ほどの御意見も踏まえながら、機会を設けて説明・情報共有をしていきたいというふうに考えております。それから、6月から10月にかけまして、文科省の指針の改定案について3回程度審議をいただくことを予定しております。10月から11月、研究開発・評価分科会の審議を踏まえまして、総会において文科省指針改定案について決定・建議をいただくということでございまして、最終的に、12月頃でございますけれども、文部科学大臣の決定として、新しい評価指針の改定について決定していきたいと、こういったスケジュールで行っていきたいと考えております。
 以上でございます。

【平野部会長】  
 ありがとうございます。
 今説明がありましたように、作業部会において論点整理等をまとめていただきましたが、本部会でも認めていただき、さらにきょうの御意見を踏まえて、指針として取りまとめをするということであります。今後6月から10月にかけて事務局で整理をしていただいた指針の案に基づき、皆様方から御意見をいただきたいと思っておりますが、多岐にわたるものですから、できるところから委員の皆様方にメールで送っていただき、そして御意見を寄せていただきながら会議を進めていきたいと思っております。事務局からメールが何回か行くかもしれませんが、御協力をよろしくお願い申し上げます。
 それでは、このスケジュールをベースとして具体的な改定案の議論を皆様方の御意見をお聞きしながら進めていきますので、よろしくお願いいたします。
 事務局から何かありますでしょうか。

【高橋科学技術・学術戦略官付室長補佐】 
 それでは、事務局から、御連絡させていただきます。
 今回の議事録につきましては、部会運営規則第5条にのっとり議事録を作成し、各委員の先生方に御確認いただいた後に、ホームページにて公表させていただきたいと考えております。
 また、次回の部会につきましては、現在、日程調整の方をお願いしておりますけれども、6月から7月をめどに開催させていただきたいと考えております。主な議題につきましては、本日御議論いただきました指針の改定の内容を踏まえながら、さらに審議をしていただきたいと考えております。後日改めて、日程調整の結果等を御報告の上、御連絡させていただきたいと思っております。
 以上でございます。

【平野部会長】  
 本日も大変貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。それでは閉会させていただきます。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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(科学技術・学術政策局企画評価課評価・研究開発法人支援室)