研究開発評価部会(第46回) 議事要旨

1.日時

平成25年3月19日(火曜日)16時~18時

2.場所

文部科学省 16階特別会議室

3.議題

  1. 部会長等の選任について
  2. 研究開発評価部会の議事運営について
  3. 科学技術戦略推進費による実施プロジェクトの評価の実施について
  4. 科学技術振興調整費による実施プロジェクトの評価の実施について
  5. 「安全・安心な社会のための犯罪・テロ対策技術等を実用化するプログラム」の平成25年度の再審査の進め方について
  6. 研究開発評価システムの改革について
  7. その他

4.出席者

委員

有信委員、平野委員、有本委員、伊地知委員、岡村委員、河合委員、栗原委員、五神委員、諏訪委員、東嶋委員、西島委員、室伏委員、吉川委員

文部科学省

土屋科学技術・学術政策局長、田中科学技術・学術政策局次長、磯谷科学技術・学術政策局総括官、木村科学技術・学術戦略官、阿蘇計画官、佐藤基盤政策課企画官、鎌田科学技術・学術戦略官付企画官、德成科学技術・学術戦略官付補佐

5.議事要旨

【鎌田科学技術・学術戦略官付企画官】  
 定刻となりましたので、第46回の科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会研究開発評価部会を開催いたします。
 本日は、お忙しい中、御出席いただきまして、ありがとうございます。本日は、第7期の研究開発評価部会の最初の会議でございますので、部会長を御選出いただくまでの間、便宜的に、私、科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付の鎌田が議事を進めさせていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 本日の議題につきましては、部会長の選任その他人事に係る案件等がございますので、議題2までは非公開とさせていただき、議題3より公開させていただきます。
 まず、会議に先立ちまして、科学技術・学術政策局長の土屋から、挨拶を申し上げます。

【土屋科学技術・学術政策局長】  
 科学技術・学術政策局長の土屋でございます。本日は、御多忙のところ御出席をいただきまして、ありがとうございました。第7期における研究開発評価部会の第1回に当たりまして、事務局を代表いたしまして一言挨拶を申し上げさせていただきたいと思います。
 まず、このたびは研究開発評価部会の委員をお引き受けいただきまして、ありがとうございます。この部会では、研究開発評価、特に「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針」の改定につきまして、御審議をお願いしたいというふうに思っております。評価についてはなかなかその取組が難しいところですが、積極的な評価というか、建設的な評価ということを目指して、御検討いただきたいというふうに思っております。その背景は、我が国の直面する最大課題は経済再生であり、経済再生の鍵を握る一つが科学技術であり、それをベースにしてイノベーションを起こすと、こういう図式を描いておるわけですが、我が国の研究開発活動は、現在、様々な問題点を抱えており、その解決を的確に図っていくことが必要であり、その解決を図る上で重要な方法が、研究開発評価であると考えております。ただ、研究開発評価に対する期待が大きくなってきている反面、研究開発評価を行う視点も多様化してきており、質の高い研究開発評価を実施するためには、研究開発評価そのものについても、ますますシステム改革を進めていくタイミングになってきているのではないかと考えております。
 我々事務局も、先生方の御議論にきちっと対応できるように、様々な情報の整理や、議論の整理にしっかり取り組んでいきたいと考えております。先生方におかれましては、御多用中ではありますが、これから、短期間での会議等の設定をお願いすることがあるかもしれませんが、何とぞ御協力のほど、よろしくお願いいたします。
 以上、私の御挨拶とさせていただきます。

【鎌田科学技術・学術戦略官付企画官】
 委員の皆様のお手元には辞令を置かせていただいております。本来であれば直接お渡しすべきところでありますけれども、時間の関係上、机上に置かせていただきました。お持ち帰りいただくよう、お願いいたします。
 それでは、研究開発評価部会の委員に御就任された方々を事務局から紹介させていただきます。

○委員及び事務局の紹介並びに配布資料の確認が行われた。

議題1.部会長等の選任について

○ 部会長には、科学技術・学術審議会令第6条第3項の規定に基づき、委員の互選により平野委員が選任された。

【平野部会長】  
 平野でございます。前期まで皆さんの御協力で務めさせていただきましたが、今の局長からの御挨拶にもありましたとおり、この部会は大変重要な部会であります。皆様の御協力で進めていきたいと思っております。評価は、大学評価・学位授与機構長を務めていたときもそうですが、評価を受ける方も、実施する方も、ネガティブな意識があるものですが、ステークホルダーの方々に対する責任と、特に、科学技術・学術の振興に効果的になるような評価を、きちっと皆さんと議論して決めていきたいと思っております。御協力、よろしくお願いいたします。

○ 部会長代理は、科学技術・学術審議会令第6条第5項の規定に基づき、平野部会長が有信委員を指名した。 

【有信部会長代理】
 部会長の指名ですので、引き受けさせていただきたいと思います。評価に関しては作業部会でいろいろ議論をさせていただいておりますので、今後、ここでよく議論をしていただければというふうに思います。よろしくお願いします。

議題2.研究開発評価部会の議事運営について

 事務局より資料2-1~2-3に基づき説明を行い、審議の結果、研究開発評価部会の議事運営について、記載の誤りを一部修正の上、原案どおり了承された。

【平野部会長】  
 これで議題2が終了いたしましたので、本部会を公開といたします。どうぞ。

(傍聴人入室)

議題3.科学技術戦略推進費による実施プロジェクトの評価の実施について

 事務局より資料3-1~3-4に基づき説明を行い、審議の結果、科学技術戦略推進費による実施プロジェクトの評価の実施について、原案どおり了承された。

【平野部会長】  
 それでは議題3に入らせていただきます。議題3は、科学技術戦略推進費による実施プロジェクトの評価の実施についてであります。事務局から説明をお願いします。

【木村科学技術・学術戦略官】  
 科学技術・学術戦略官をしております、木村でございます。それでは、議題3、科学技術戦略推進費による実施プロジェクトの評価の実施について、御説明させていただきます。資料は基本的に3-1から3-4を用いさせていただきますが、最初に、お手元の資料の最後になります参考資料11を御参照ください。
 科学技術戦略推進費につきましては、過去にいろいろ経緯がございますので、参考資料11では、その経緯を簡単にまとめてございます。科学技術振興調整費につきましては、昭和56年に発足し、平成22年まで継続して実施されてまいりました。平成22年に、総合科学技術会議より、行政刷新会議の事業仕分けの議論も踏まえて、司令塔機能強化のための改組に先んじて新たな制度を創設する必要があると、示されたところでございます。また、一部事業につきましては、効率化のため、文部科学省の目定事業として実施すべきとも示されたところでございます。これに伴いまして、平成23年度に科学技術戦略推進費及びそれ以外の制度で文部科学省が実施する制度に、科学技術振興調整費については分かれたところでございます。そして、平成25年度、来年度から、総合科学技術会議の司令塔機能を発揮するための調査に重点化を置く科学技術戦略推進費と、一層の効率化・合理化を図るため、文部科学省の目定化事業として実施する社会システム改革と研究開発の一体的推進に分かれて事業を進めるという予算要求で、現在、国会で審議をいただいているところでございます。
 それぞれの制度においてさまざまなプログラムが走ってございまして、戦略推進費あるいは振興調整費の下にやや小さめの字でプログラムを記載しているところでございます。各プログラムにおきましては、プロジェクトを数年にわたって採択をしてございます。各プロジェクトにつきましては、単年度のものもございますが、多くのものは3年から5年間実施するということで、本日議論いただきたいプログラムは、ここに挙がっているものでございます。それぞれ、事後評価、中間評価、あるいは追跡評価を実施します。
 これらの評価に係る大まかなタイムスケジュールは、参考資料11の裏面になります。このスケジュールのうち、上段について御説明をさせていただきます。一番左の研究開発評価部会、これが本日のこの場でございます。この後、評価作業部会を設置いたしまして、その作業部会におきましてプログラムごとに評価を行います。そして、その結果を6月から11月上旬まで御議論いただいた後、11月下旬から12月上旬にかけて本研究開発評価部会に御報告をさせていただきます。そして最終的には総合科学技術会議に御報告すると、こういう一連の流れを考えてございます。
 以上、科学技術戦略推進費及び科学技術振興調整費の概要を御説明させていただいた上で、資料3-1から3-4に基づいて、御説明させていただきます。
 資料3-1でございますが、これは、科学技術戦略推進費及び科学技術振興調整費、先ほど申し上げましたような経緯を踏まえて、以下の方針に基づいて、各制度、資金の名前は変われども、一つのこのやり方で実施するということをまとめたものでございます。詳細は資料3-2以降で御説明をさせていただきます。
 資料3-2は、平成25年度科学技術戦略推進費による実施プロジェクトの評価の実施についてでございます。本日この場で、以下御説明させていただきます評価の方法について御了解をいただくということを考えてございます。内容でございますが、1ページ目の真ん中あたりになりますが、中括弧で囲った部分が、評価対象プロジェクトが含まれるプログラムでございます。六つのプログラムがございまして、その中でそれぞれプロジェクトが走ってございますので、トータルで40プロジェクトが今回の評価の対象と考えてございます。詳細は後のページにございます。
 評価の実施体制でございますが、文部科学省より事務委託を行う予定でございまして、その機関が外部有識者からなる評価作業部会を設置いたしまして評価を行います。その評価作業部会はそれぞれのプログラムごとに設置いたしますので、合計六つの評価作業部会を設置することを考えてございます。
 2ページになります。先ほど、六つのプログラム、40のプロジェクトと申し上げたのが、この一覧でございます。最初の気候変動対応社会創出評価作業部会、これだけ中間評価でございまして、プロジェクト数は1プロジェクトでございます。ほかのプログラムに属しますプロジェクトについては、全て事後評価でございます。プロジェクトの数は、括弧書きに示すとおりでございます。
 3は、評価の実施方法でございます。先ほど申し上げました作業部会における作業が中心となってございます。被評価者は、実施プロジェクトによって得られた成果をまとめた成果報告書を作成して提出し、事務局及びPOがそれを審査いたします。そして、(5)になりますが、作業部会の委員には、書面査読を行っていただきまして、事前確認をする必要があるもの、あるいはヒアリングで直接聞けばいいもの、こういう仕分けをしていただきます。そして、メールによるレビューをする必要があるものについてはメールレビューを行うというプロセスを経ます。そして、3ページになりますが、(9)作業部会の進行・取りまとめは作業部会主査が行いまして、ヒアリングを行います。そして、作業部会においては、評価の実施方法について確認を行うとともに、成果報告書の事項の回答等を議論し、ヒアリングにより明らかにすべき点を整理する等を行いまして、実施をしてまいります。そして、最終的には、(11)になりますが、本評価部会に報告をいただくということでございます。
 4には、委員になっていただく方の利害関係者の範囲について記載してございます。
 5ページの別添1では、それぞれの対象となるプロジェクトについて詳細な情報が書いてございます。
 そして、6ページ以下は、別添2でございまして、これは各作業部会において評価項目及び評価の視点をまとめた案でございます。本日御了解いただければ、この視点(案)に基づいて評価作業を実施するということを考えてございます。
 中間・事後評価につきましては、以上でございます。
 続きまして、資料3-3でございますが、スケジュールをまとめた紙でございます。これは、冒頭に申し上げましたスケジュールについて詳細をまとめたものでございますので、割愛させていただきます。
 続きまして、資料3-4に基づきまして、もう一つの評価、追跡評価の実施について説明させていただきます。
 追跡評価につきましては、終了後に一定の時間を経過してから実施し、その波及効果や副次的な効果の把握、過去の評価の妥当性の検証等を行い、その結果を次の研究開発課題の検討や評価の改善に活用するというものでございまして、毎年1プログラムを選び、実施をしてございます。今回は、1ページ目の一番下になりますが、評価の対象としますのは、「アジア科学技術協力の戦略的推進」のうちの「地域共通課題解決型国際共同研究」を考えてございます。次ページになりますが、このプログラムの中で対象となるのは、18年度から19年度に採択された21プロジェクトを考えてございます。
 3.追跡評価の方法でございます。次の3ページになりますが、一番上の部分でございます。アジア諸国とイコールパートナーシップによる科学技術協力、本プログラムの枠組みに支援実施の状況から、環境・エネルギー、防災、感染症等、地域共通課題の解決やグローバルな問題の解決に資したかどうかという観点を通じまして、プログラムのアウトカム及びインパクトから支援効果を検証するという方法で実施することを考えてございます。中段になりますが、丸1に記載がございます。詳細な評価項目・評価手法は、今後、予備調査を行うことにしてございまして、この予備調査を踏まえて詳細な評価項目・評価手法は確定してまいりたいと思います。基本は、丸2に書いてございますが、アンケートという手法をとりまして回答を集め、結果について解析・分析するということでございます。スケジュールは、一番下に書いてございます。現在、予備調査に着手するところでございまして、アンケート送付後、最終的に取りまとめ、本研究開発評価部会への御報告は11月下旬から12月上旬と考えてございます。
 次ページ以降、対象となるプロジェクトの詳細及び公募をした際の公募要領等をつけてございます。
 説明、以上でございます。

【平野部会長】  ありがとうございました。
 ただいま説明をしていただいた評価の実施の手続等について、御質問ございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、この説明いただいた原案を承認し、これに基づいて今後の評価を進めていきたいと思っております。よろしくお願いします。

議題4.科学技術振興調整費による実施プロジェクトの評価の実施について

 事務局より資料4に基づき説明を行い、審議の結果、科学技術振興調整費による実施プロジェクトの評価の実施について、原案どおり了承された。

【平野部会長】
 続いて、議題4に入ります。議題4は、科学技術振興調整費による実施プロジェクトの評価の実施についてであります。事務局から、まず説明をお願いします。

【佐藤基盤政策課人材政策企画官】  
 基盤政策課の人材政策企画官の佐藤でございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、議題4、科学技術振興調整費による実施プロジェクトの評価の実施について、御説明をいたします。科学技術振興調整費の経緯につきましては、先ほど科学技術戦略推進費の説明の中でございましたので、重複いたしますので省略をいたしますが、先ほど説明にありました平成23年に科学技術戦略推進費とともに文科省の目定事業として実施をするということで、科学技術人材育成費補助金に分かれまして事業を実施しているものでございます。こちらにつきましては、科学技術振興調整費として実施をされていた際に総合科学技術会議に報告をするということになっておったわけでございますが、科学技術人材育成費補助金に移行したものにつきましても、総合科学技術会議から報告を求められた場合にはその結果を報告するということになってございます。そういったことで、この評価部会の方で引き続き評価をお願いしているということでございます。
 それでは、始めに具体的な評価対象でございますが、資料4を御覧ください。資料4の1ページ目の一番下に列記をされております三つのプログラムが対象となりまして、今回、その中の29のプロジェクトということで、4ページに評価対象一覧というのが別添1としてついてございますけれども、こちらの29のプロジェクトが対象となるということでございます。
 評価の進め方につきましては、文部科学省から事務委託を受けた機関が作業部会を設置・運営して、評価を実施するということを考えてございます。資料4に評価の実施についての案をお示ししておりますが、それの1ページ目の2の評価の実施体制というところでございますけれども、作業部会を設置いたしまして評価を実施するということで考えてございます。今回、三つプログラムがございます。それぞれ内容が異なりますので、それぞれに三つの作業部会を設置するということで考えてございます。また、この委員の構成につきましては、8ページの別添3に選定基準について(案)というのをお示ししてございますが、選定基準に基づきまして評価部会長より御指名をいただくということで考えてございます。また、この作業部会には、その事業の実施に係るプログラムオフィサーが主査補佐として参画をして、作業部会の運営を補佐するとともに、必要な情報収集等を行うということを考えてございます。
 評価の実施方法でございますが、資料4の2ページ以降に具体的に記載してございますけれども、まず被評価者から成果報告書を提出いただく。それにつきまして作業部会の委員にまず書面査読を行っていただきまして、必要な事項を確認しつつ、ヒアリングを行うということでございます。また、ヒアリング前に必要があればメールレビューを行うということにしてございますが、これにつきましては主査及び主査補佐の判断で行うかどうか決定をするということで考えてございます。このヒアリングを経た後、評価結果を作業部会として決定をいたしまして、その結果を作業部会からこの評価部会に報告を行い、評価部会で評価結果を決定するということで考えてございます。
 また、利害関係者につきましては、資料4の3ページの中ほど、4.利害関係者の範囲というところでございますが、実施機関と同一の機関に所属する者については利害関係者ということで、審査の際、当該委員の所属と同一の機関については評価から外れるということで考えてございます。
 また、評価項目・評価基準につきましては、別添2ということで、資料4の5ページから7ページにかけまして整理をしているところでございます。
 最後に、スケジュールでございますが、資料4の一番後ろでございます。別添4にスケジュール(予定)と書いてございますが、まず、本日、評価部会におきまして実施方法をお決めいただいた後、作業部会の設置等々、準備を始めて、9月中旬から10月にかけましてヒアリング等の評価を行うということでございます。11月下旬から12月上旬にかけまして本部会を開催いただいて、作業部会の結果を御報告した上で、部会としての評価を決定していただく。そして、12月上旬ごろでございますが、機関への通知・公表を行うということで考えてございます。なお、最初に申し上げましたとおり、総合科学技術会議から評価結果の報告が求められた場合には報告を行うということになってございますので、その場合には、この12月上旬ごろというところに書いてございますが、必要に応じて評価結果の報告を行うということで考えておるところでございます。
 以上でございます。

【平野部会長】  ありがとうございます。
 ただいま事務局から説明がありました評価実施の方法等について御質問がありましたらお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 河合委員、どうぞ。

【河合委員】  
 お伺いします。評価基準という表があり、かなり具体的な項目が三つのプログラムについてそれぞれ書いてあるのですが、既に公募の段階でこういう項目が示されていて、これに沿って事業を行うようにというような形で公募をしたものなのでしょうか。それとも、今後設置された部会でこの基準は改定あるいは承認されたりするものなんでしょうか。

【佐藤基盤政策課人材政策企画官】  
 今回は全て事後評価ということになってございます。この評価基準につきましては、当然、公募の際にこういった形で評価を実施する事業ということで募集を行うところでございますが、正式には評価部会において今回のように進め方の御判断をいただいておりますので、正式にはこの部会を経て決定をするということになっております。

【河合委員】  
 それでは、この部会で決定されるわけではないんですか。

【佐藤基盤政策課人材政策企画官】  
 この評価部会で決定していただきます。

【河合委員】  
 決定後、資料4を公表して、対応するプロジェクトの方ではこれを見て報告書を用意すると、そういう流れなんですね。わかりました。

【平野部会長】  
 今、河合委員が御質問されたのは、多分、公募をするところに目的等が書いてありますので、それにほぼ応じた評価内容にはなっているところでございますが、できればもう少しきちっと指針を示した方がいいのかなということを思っての質問じゃないかというふうに私は部会長として思いましたが、ただ、目的、趣旨はこのような流れで伝わっているだろうということであります。
 そのほか、よろしいですか。
  ありがとうございます。それでは、ただいまお認めいただいたとおり、今後、作業部会等において対応していくということになります。よろしくお願いします。

議題5.「安全・安心な社会のための犯罪・テロ対策技術等を実用化するプログラム」の平成25年度の再審査の進め方について

 事務局より資料5に基づき説明を行い、審議の結果、再審査の進め方について、原案どおり了承された。

【平野部会長】
 次は、議題5であります。社会システム改革と研究開発の一体的な推進事業であります「安全・安心な社会のための犯罪・テロ対策技術等を実用化するプログラム」の平成25年度の再審査の進め方について、議論をいただきたいと思います。事務局から説明をお願いします。

【木村科学技術・学術戦略官】  
 それでは、ただいま御紹介ありました議題5につきまして、資料5に基づいて御説明をさせていただきます。
 「安全・安心な社会のための犯罪・テロ対策技術等を実用化するプログラム」でございますが、このプログラムはそもそも、目的といたしまして、犯罪・テロ対策技術等の構築に資する科学技術について、関係府省の連携体制のもと、ユーザとなる公的機関のニーズに基づいた研究開発を実施し、実用化につなげるということで、ニーズに基づいた実用化を目指すという点がほかのプログラムと非常に性格を異にするところでございます。したがいまして、プロジェクト開始後3年目、3年間のプロジェクトにつきましては2年目になりますが、この段階で、通常、中間評価と言っている段階で、再審査を実施することとしてございます。
 スケジュールは、ほかの戦略推進費のプログラムと同様に作業部会を設置いたしまして、夏から秋にかけて作業部会でヒアリング等を実施していただき、11月下旬から12月上旬にかけて本研究開発評価部会に報告をいただくということでございます。
 再審査の実施体制でございますが、以下記載のとおりでございます。
 そして、次ページでございますが、再審査の方法を記載してございます。再審査に当たりましては、再審査対象プロジェクトの責任機関に対して再審査資料の作成を依頼しまして、事務局及びプログラムオフィサーにおいて確認後、必要があると判断された場合は修正を求め、事前の確認事項あるいはヒアリングでの留意点等を整理し、回答を得た上でヒアリングをしていただくということでございます。そして、最終的には評価部会に御報告いただくということでございます。
 そして、4に示します再審査の基準でございますが、ア、イ、ウとございます。これまでアとイの2項目で再審査を実施してきたところでございますが、今回、昨年度の作業部会及び本評価部会の御議論を踏まえまして、ウの成果の社会実装に向けた見通し、これを新たに設けることといたしました。
 そして、具体的な選定基準等につきまして、4ページ以下の別紙1、2、3、4に記載してございます。特に7ページ、別紙4でございますが、今回、再審査の対象となるプロジェクトにつきましては、下に記載ございます二つのテーマを考えてございます。
 本日、再審査の本方法につきまして御承認が得られましたら、この方法に基づきまして再審査を進めさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【平野部会長】  ありがとうございます。
 ただいま説明がありました内容について、御質問、御意見がありましたら、お願いしたいと思います。
 岡村委員、どうぞ。

【岡村委員】  
 私の理解が十分じゃないのかもしれませんが、中間評価と再審査の違いはどういうところにあるのですか。

【木村科学技術・学術戦略官】  
 冒頭申し上げましたプログラムの性格上、ニーズを持った関係府省と連携をして、そのニーズに対応した実用化できるもの、開発までつなげるというプログラムでございます。5年間の開発期間中の最初の3年間は研究開発期間で、残りの2年間は実証をする期間と、二つに分けてございます。この段階で果たして実証に進めていいものかどうかということを判断いただくということで、単なる中間評価ではなく再審査とさせていただいているところでございます。

【岡村委員】  
 そうなりますと、ここに書いてあるやり方でよろしいかと思うんですけれども、中間評価以上に作業部会等で深い議論をしていただいて、評価実施者に対して要請を行うというか、正確な判断をしていただくような形の方がいいのかなと思います。

【平野部会長】  
 ありがとうございます。重要な御指摘だと思います。特に、先ほど説明のところで、この資料の4のウ、成果の社会実装に向けた見通しというところが今度加わってきていますので、その視点から、今、事務局から説明があったように、作業部会のほうで見ていただくということになると思います。よろしいでしょうか。
 そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、この「安全・安心な社会のための犯罪・テロ対策技術等を実用化するプログラム」の25年度の再審査の進め方については、御提案の案に基づいて行うようにいたします。ありがとうございました。

議題6.研究開発評価システムの改革について

【平野部会長】
 次は、議題6であります。研究開発評価システムの改革について、議論をしていただこうと思います。これは、冒頭話がありましたように、作業部会におきまして、現在、有信部会長代理でありますが、有信主査を中心として、その委員の方々が議論を行ったところをまとめてきたところでございます。事務局から、まず資料の説明をしていただきます。

【鎌田科学技術・学術戦略官付企画官】  
それでは、資料6-1から6-4に基づき、これまでの経緯、御議論等について、説明させていただきます。
 まず、資料6-1でございます。昨年12月6日、内閣府総合科学技術会議の方で「国の研究開発評価に関する大綱的指針」の改定がございました。これは、研究開発政策体系におけるプログラム評価の導入というものとアウトカム指標による目標の明確化、この二つが大きなポイントでございました。その概要につきましては、資料6-1の2枚目に付けさせていただいてございます。これを踏まえまして文部科学省におきましても文部科学省の研究開発評価指針を改定する作業を進めさせていただいているところでございますけれども、昨年の研究開発評価部会の御議論の中で、その大綱的指針のみならず、先ほどの1月の総会の建議、あるいは日本学術会議でおまとめいただいた「我が国の研究評価システムの在り方」、こういうようなものも踏まえまして文部科学省の評価指針を変えていこうというような御議論でございました。
 それを踏まえて、資料6-2でございますけれども、作業部会を設置いただきまして、下のほうにございますように、昨年12月から1月にかけて三度にわたり集中的に御議論をいただきました。資料6-2の裏側に委員のリストがございますけれども、先ほど部会長から御紹介ありましたように、有信委員に主査として御議論をお取りまとめいただいているところでございます。
 そのお取りまとめいただいた論点整理が、資料6-3でございます。本日は、この資料6-3と、次の基本的方向性の6-4について事務局より御説明させていただきたいと思います。
 まず、資料6-3でございますけれども、1ページ目から17ページ目まで、かなり中身の濃い内容になっているところでございます。まず、文部科学省研究開発評価指針を改定するに当たって、時代認識、課題、これらについてどう把握して、それをどう改革に盛り込んでいくかという部分でございますけれども、1ページ目の全体構成等についての一つ目の丸でございますが、経済の再生を図り、国際競争力を強化していくためには、科学技術を基盤としてイノベーションの実現を強力に推進していくことが必要不可欠であるという点。それから、先ほどの建議にもございましたように、東日本大震災で顕在化した科学技術の課題への対応を図るため、研究者自身が社会の要請を的確に把握し、多様な専門知の結集などにより課題解決を可能としていく研究開発システム改革に注力していく必要性があるという点。それから、国際的に見ましても、サイエンス自体の方法・体制・規範、これらなどに急速な変化が求められておりまして、この潮流を踏まえて、我が国の科学研究、研究開発評価もグローバルな視点が進めていく必要があるという点。それから、厳しい社会経済情勢、あるいは財政事情のもと、国際的にも、サイエンスコミュニティみずからが研究開発活動の意義・在り方について考え、改善・行動し、説明していく必要性があるという点。それから、第4期科学技術基本計画におきまして科学技術イノベーションを推進するとともに、その源泉となる基礎研究・学術研究の推進は重要であるというものでございますけれども、しかし、最新の科学技術や学術知見をもとに既存の学理の再体系化を促すことで、科学技術・学術の進歩に資する研究成果を効果的に創出することが重要であるという点。その一方で、基礎研究・学術研究の名のもとで、目標が不明確となって、重箱の隅をつつくというようなものにすぎない研究は適切に評価をしていく必要があるという点。それから、研究開発につきましては、大学院生や若手研究者がその活動の中で非常に関わってございますので、研究開発施策と、高等教育施策や人材育成施策とは有機的な連携を図っていく必要があるという点。それを踏まえまして、研究開発を取り巻く諸情勢のみならず、もっとマクロな視点から評価を行っていく必要があるという点でございます。それから、評価自身の課題でございますけれども、評価においては、その頻度、負担の増大による弊害も発生してきているという点。今まで導入してきたところでありますけれども、何らかの意思決定を行う目的のために実施される手段であるということを認識して、その評価を実践していく必要があるという点。評価を導入・システム化してきた結果として、逆に意思決定のプロセスが不明確化するという事態も生じてきてございますので、その意思決定主体が適切な判断等を行うために評価が活用されるべきであるという観点から、評価の在り方を再構築していく必要があるという点。それから、今回、大綱的指針で導入されました研究開発プログラムでございますけれども、こちらにつきましては、科学技術イノベーションの創出、あるいは国民・社会が解決されることを必要としている具体的な政策課題について明確にゴール設定ができるような場合には特に研究開発施策の評価として機能していくことが期待されるという点。それから、実際に評価システムが導入されたとしても、それを評価する人材が乏しければ評価システムは機能しないため、評価に責任・権限を持つことができる、評価にかかわる資質能力を備えた人材を育成していくとともに、当該人材が活躍できる環境を整備していくことの必要性。以上のようなことを踏まえまして、国、資金配分機関、研究開発機関、研究者、評価者等が一体となって、研究開発評価の在り方について改革・改善を図っていかなければならないという点を、まず評価指針の改定の前段として御議論いただいた点でございます。
 これを踏まえまして、3ページ目でございますけれども、研究開発評価に関して五つの点を特筆事項としてクローズアップして評価指針の改定を進めていくべきではないかというふうに御提言いただいております。まず一つ目は、科学技術イノベーション創出、課題解決のためのシステムの推進でございます。二つ目が、ハイリスク研究、学際・融合領域・分野間連携研究等の推進。三つ目が、次代を担う若手研究者の育成・支援の推進。四つ目が、評価の形式化・形骸化、評価負担増大の改善。これにつきましては、PD、POの在り方につきましても、御議論いただいているところでございます。五つ目が、大綱的指針でも導入された研究開発プログラム評価でございます。これらにつきましては、最終的には、評価指針の形においては、誰が、何を、何の目的、どのように評価するという点も、できる限り具体的なわかりやすい形で整理して、さらに、その評価指針の中で使われている概念や定義、ここらにつきましてもきちんと理解を統一するということを助けるために整理するとともに、具体的な事例や概念図、これらについても評価指針の中で触れていく、盛り込んでいくべきではないかという点。それから、「国の研究開発評価に関する大綱的指針」以外の内容も盛り込んだ場合には、これらについて内閣府総合科学技術会議にフィードバックして御理解いただくことに努めるという点も、御提言いただいているところでございます。
 以下、4ページ目から17ページ目まで、先ほどの五つの特筆事項の項目について、かなり詳細に御議論をいただいております。できれば今ここで触れさせていただきたいんですけれども、この後、御議論する時間が少々なくなってしまうかもしれませんので、私の方からは、この論点整理をまとめた基本的方向性でございます資料6-4で、これでざっと触れさせていただきまして、先ほどの資料6-3の論点整理につきましては事前に委員の皆様方には送付しているところでございますので、後ほど両方につきまして御議論いただければと考えております。
 資料6-4でございますけれども、資料6-4は今申し上げましたように先ほどの論点整理をまとめたものでございます。全てのポイントを網羅しているわけではございませんけれども、そのエッセンスを記載しているところでございます。
 まず、1の科学技術イノベーション創出、課題解決のためのシステム化の推進につきましては、一つ目のポイントとしまして、知の創造の段階にとどまることなく、社会実装に至る全段階を通じた研究開発を推進するという点。それから、二つ目でございますけれども、論文発表数、論文引用度は客観的な指標でありますが、論文関係の数値だけに頼り、安易に目的化することがないように留意するという点。三つ目でございますけれども、研究開発活動のパフォーマンスの費用対効果を的確に把握するとともに、必要な改善措置も講ずることが重要であるという点。四つ目でございますが、研究開発基盤強化の観点から、ベンチャー企業のような、実績は少ないけれども技術力や実用化に向けての熱意がある研究開発組織・機関とも連携・協力していく研究開発を推進するという点。それから、五つ目でございますけれども、研究開発機関等の研究者は、当該組織のミッション達成のために研究開発を行っていくべきという点。これらの点を評価に盛り込んでいくことが重要であるというところでございます。
 それから、二つ目のハイリスク研究、学際・融合領域・分野間連携研究等の推進でございますが、これにつきましては、まず、研究開発目標の達成には高いリスクがあるけれども、成果が出た際には社会的・経済的・学術的に非常に大きなインパクトを与える可能性が高いハイリスク研究、あるいは、学際・融合領域・分野間連携研究が積極的に推進されるよう、事前評価や事後評価の方法・評価基準、マネジメントの仕組みにつきまして、施策やプログラム・制度の目的を踏まえて導入するという点。また、これらのハイリスク研究、学際領域研究につきましては、プロジェクトのリーダーに裁量の権限と責任が委ねられるということも、その研究開発の推進に資するのではないかという視点でございます。それから、ハイリスク研究の事前評価につきましては、研究開発成果が技術的課題その他に大きなインパクトをもたらす可能性があるものであるか、その研究開発を実現するマネジメント能力を有しているかについても、しっかりと確認をするという点。それから、ハイリスク研究の研究開発実施段階につきましては、適時、研究開発の進捗、諸情勢の変化等を踏まえ、研究開発の中止も含め、適切な形で目標・計画を随時見直していくという点。事後評価においても、挑戦的な研究開発課題が当初の目標達成に失敗しても、予期せざる波及効果に大きい意味があるというような場合には、次につながる有意義なものとして評定することを許容するような評価基準を設定するという点。それから、学際・融合領域・分野間連携研究におきましては、既存の新しい研究領域の開拓を目標とするような施策やプログラム・制度ではないプログラム制度におきましてもそれぞれの審査において不利にならないように取り扱いを明記するなど、研究の芽を適切に拾い上げるという点でございます。
 三つ目の次代を担う若手研究者の育成・支援の推進でございますけれども、こちらにつきましては、若手研究者が励まされ、創造性を発揮しやすくなるような取組を推進するという点。それから、ポストドクターや博士課程学生の適切な処遇、研究環境の醸成、若手研究者が自立した研究者へ育ち、多様なキャリアへ進むことを支援するような活動等、これらについても評価によって促進をするということが重要であるという点でございます。
 四つ目の評価の形式化・形骸化、評価負担増大の改善でございますけれども、一つ目の丸でございますが、評価を導入・システム化した結果として、逆に責任・権限関係が不明確化する事態も生じてきており、意思決定の主体が適切な判断等を行うために評価が活用されるべきとの観点から、評価の在り方を再構築すべきであるという点。二つ目でございますが、評価に関する専門的能力を有する人材の育成、評価の設計を担当できる人材の育成、評価にかかわる人材の能力アップを図り、そのキャリア展開も推進するという点。三つ目でございますけれども、PD(PO)への責任・権限の付与、明確化、強化及び、それに伴う評価システムの合理化、柔軟化を図るという点でございます。
 最後の研究開発プログラム評価でございますけれども、一つ目でございますが、政策的に推進すべき具体的な科学技術イノベーション創出に向けてのゴールを明確に設定できる場合等については、今回初めて導入される研究開発プログラムレベルでの時間軸を設定し、達成度目標をもとにした評価が、研究開発施策の評価に際して効果的に機能していくことが期待されるという点。それから、施策の評価につきましては、既存の評価体系(政策評価、大学評価、独法評価、競争的資金制度の取組等)がございますので、これらにつきましても整合性をとりながら合理的かつ実効的な形で進めるという点。最後でございますけれども、研究開発プログラムを実施するに当たりましても、基礎研究、学術研究につきましては、画一的・短期的な観点から性急に成果を期待するような評価に陥ることにならないように留意することが必要であり、研究開発プログラム評価においてもその特性を十分考慮する必要があるという点でございます。
 先ほども申し上げましたけれども、この6-4だけでは6-3の論点整理全てを網羅しているわけではございませんが、主要な点を御説明させていただきました。
 ただいま説明させていただきました基本的方向性、6-4につきましては、来月、科学技術・学術審議会の総会、研究計画・評価分科会においても御議論をいただくことを予定しているところでございます。また、資料6-3の論点整理につきましては、今後、科研費補助金でありますとか、あるいは中教審の大学関係の部会や分科会など、研究開発評価指針に関連する会議体においても御意見を賜りながら、この研究開発評価部会でさらに御議論を深めていただければというふうに考えているところでございます。

【平野部会長】  
 ありがとうございました。
 このまとめに当たってくださった有信委員、追加のコメント等あったら、どうぞ。

【有信部会長代理】  
 今、説明があったとおりですが、実際には、まとめてしまったために、いろんな視点が入らなければいけない部分がみんな一つの言葉で言われてしまったりしている。例えば審査に当たっての評価と中間評価と事後評価というようなところで、ある程度の分解能を持って読み込んでいただかないとちょっと理解しにくいところもあったかと思いますので、それを踏まえて議論をいただければということと、それからもう一つは、こういう新しい視点が有効に機能されるためには、ある種の責任と権限といいますか、それぞれ評価をした人、あるいは具体的なそれぞれの段階での主体の、最初にありましたように、誰が、何を、何のために評価をするのかということを明確にするというのが大前提としてありましたけれども、その中で責任主体を明確にするということが非常に重要なポイントにもなってくると思われますので、この点をどういうふうに評価の中に反映していくかということも重要なことになってくるのではないかと思っています。その点も踏まえて、御議論いただければと思います。

【平野部会長】  
 ありがとうございます。
 それでは、説明をいただいた指針について、時間がある限り、皆様から自由な発言をいただきたいと思います。必要な部分については、また全体の中で整理をしながら分科会のほうでも議論をしてもらいたいと、こう考えております。

【西島委員】  
 大変難しい部分について、非常に分かりやすくまとめているのではないかと思います。特に私たちのような産業界からすると、例えば5年のプログラムといっても実際にお金が出るのは1年目の最後のほうで、ようやく研究を始めたころには中間評価のほうに頭がふらついて、まだほとんど研究が進んでいないのに中間評価で厳しく言われて、目的も変えないと次の良い評価がもらえそうもないというので、5年間のうち実際にやったのは3年半ぐらいであるということになる。事後評価になると、事後だからなのか、少し評価が甘いかなということもあったりします。一番重要なのはハイリスク研究に対してきちんと評価するという部分であり、特に若い方にとってはこのハイリスクという部分は重要だと思います。大学が行っている研究は、あまり厳しく評価をするよりも、のんびりゆっくりやって波及効果を期待するものですが、短時間で成果を出さないといけないものについては、産業界は無理矢理でも取り組まないと倒産してしまう。ですが、最近、大学や国が少しこじんまりした研究開発に留まっているというか、始めるときにある程度着地点が見えるような研究が多くなってきたのではないかなと思います。これは、一般論として、私も評価をしていて時々感じますので、そういう意味ではハイリスク研究というのを掲げたのは大変いいのではないかと考えます。
 ただし、ハイリスクであると、自分で思い込んでいるだけ、というのは困るんですね。「自分のやっていることは非常に価値があって、すごいんだ」と。これは「我が国初めて」というのが、いつの間にか「世界で初めて」となって、いざ海外から見れば、サブマリン特許でひっかかってきたりする。ですから、資料6-3の6ページですかね、ハイリスク研究の事前評価というのをきっちりやっていくという、ここが重要な部分ではないかと思います。もっと言うならば、極端な話、我が国としては、この部分についてリスクは高いけれども、ぜひ取り組んでほしいという重点領域みたいなものが出てきて、そこに挑んできた者についてはハイリスク研究として認められるとか、何かそういう国家戦略等とうまくあわせながらやる必要があると思いました。

【平野部会長】  
 ありがとうございます。大変重要な御指摘であります。ぜひ、ここで盛り込んでいただいたところをいい形で、きちっと効果が出るように反映をしてもらいたいと思います。
 そのほか。どうぞ。

【岡村委員】  
 ワーディングの話なので細か過ぎると思ったら修正していただいていいのですが、リスクが高いだけの研究ではないと思うんですね。資料6-3の6ページの上の括弧書きのところにはきちんと「従来の定説を覆すような」などと書いてあるのでハイリターンも裏側にあるというのがわかるんですけど、ハイリスクだけ、ハイリスクの研究、ほとんど失敗するだけという意味の研究だというふうにとられてしまうと、ちょっと誤解を招くことがあるのかなと思いました。ワーディングの所をもし工夫できるようでしたら、考えていただければと思います。

【平野部会長】  
 ありがとうございます。今の岡村委員のも大変重要で、あまりここで部会長がものを言ってはいけないと思うのですが、私の経験で、いろんな評価のときに、10年、論文が出てないんじゃないかと、こう言ったことがありました。そうしたら、あるイギリスのノーベル賞を授与された先生は、論文が10年間なくて、10年後に出した論文がノーベル賞の対象になったんだということがあって、いやぁ、それは特異でしょうと言ったことがあるんです。今言われたのは、ハイリターンといいますか、きちっと説明ができること、こういうことが私は重要じゃないかなと思います。

【岡村委員】  
 そうです。

【平野部会長】  
 すみません、部会長の発言でありますが。
 そのほか、いかがでしょう。御自由にどうぞ。

【諏訪委員】  
 資料6-4の5、研究開発プログラム評価に、基礎研究・学術研究等についてというのがいろいろと書かれているんですけれども、重箱の隅をつつくような研究はなるべく排すというような意図のお話がありました。ただ、本当の意味での基礎研究というのは重箱の隅をつついていい研究成果が出てくる場合もあると思います。ですから、基礎研究って一言にくくるのではなくて、基礎研究にもいろいろあるんだと。本当に隅っこをつつくようなものから、今のハイリスク・ハイリターンのものまで基礎研究に入る場合もありますので、そこをどう捉えるかということをちょっと議論していただけるといいと思いました。
 もっと言うと、国がその研究にどれぐらい歩留りを許すかという覚悟がどこにあるか。要するに、20%戻ってくればお金を出してもいいのかとか、そこら辺の議論もあったのかどうか、ちょっとお伺いしたいと思います。

【平野部会長】  
 ありがとうございます。
 有信委員、そのあたりの議論はいかがでしょうか。

【有信部会長代理】  
 どれぐらい歩留りを許すかというような議論は、特にはやってないと思います。国の研究開発はもともとリスクをはらんでいるということで、そういうコンセンサスのもとにある程度評価がなされているんだと思うんですね。会社の研究であれば、もちろん投資に対して歩留りというのは非常に重要です。しかし、ここの中で言っているのは、逆に言うと、ある意味で研究の正当性とそのアカウンタビリティーということも同時に評価の視点として入れるべきであるということは、根底として流れています。したがって、基礎研究で重箱の隅をつつくようなというのは、基礎研究の正当性がきちんと担保されていれば、それは重箱の隅をつついているかどうかという言葉の問題であって、それ自身の正当性がきちんと担保されていれば、それは排除するものではないというふうに思います。

【平野部会長】  
 作業部会の方で補足があったら、御自由にどうぞ。
 よろしいですか、今のような理解で。
 ということでありますが、おそらく重箱の隅をつつくのは悪いという意味ではないというように私は理解をしておりまして、基礎研究は、もともとクリエーティブな仕事から始まって、最終的に集大成、体系化するには、一見、重箱の隅もつっつくような仕事の積み重ねも当然重要であると、そういうことをこの部会としては、もし必要ならば、何かニュアンスを、言葉の誤解がないように、少し加えるといいますか、入れ込んだらいいかなと。そういうことでよろしいでしょうか。
 そのほか、いかがでしょうか。どうぞ。

【五神委員】  
 今の点に関係しているんですけれども、公的なサポートのもとで行う研究というものをどうやって可視化して評価できるものにするかという中で、やはり、基礎研究の評価をどういうふうに可視化できるかというのは、基礎研究を守るため、それを育てるためにも非常に重要だと考えます。そういう意味でこの「重箱の隅をつつくにすぎない研究」というのは甚だ言葉足らずでありますが、これに置きかわる言葉を、つまり、どういうものではなくて、どういうものがよいかということを明確化するという作業をしないと、ここで議論をする意味がなくなるわけです。基礎研究の積み重ねの中で、あるところで学理が不連続にパラダイムシフトするというようなことが起こるわけですね。そういうものにつながるような、それが日本の中でそういうものに圧倒的に貢献できれば、国際的な信用も高まって、それは国家安全保障上からも公的資金を投入するに資するものだという結論に至るわけですけど、そういうものをきちんとサポートするためにどういう評価システムを用意するかというところがポイントで、その一つ上のところに学術的な学理体系を書きかえるというようなことにつながるようなものは守りたい。しかし、それのためには基礎研究をしている人たちが自分の立ち位置をきちんと理解した上で進めていなければ、そういう成果は出てこないだろうと。そういうものを基礎研究としてはエンカレッジしていくべきだというような議論を部会ではさせていただいたと思っています。

【有信部会長代理】  
 本当にそのとおりで、どうもありがとうございました。それで大分わかりやすくなったかと思います。
 それからもう一つ指摘しておきたいのは、一番前段のところで、やはり科学者コミュニティとして考え直さなければいけないのは、今の諏訪委員の言い方に反論するわけではありませんが、従来のような自分たちを守るという形だけで科学者コミュニティが行動していたのでは、逆にいわば外部の無理解な介入を招いて、むしろ重要な研究がないがしろにされるおそれがあると、こういうところもあって、それが前段の中できちんと書き込まれるということなんですね。それを前提として評価のあり方を考えてほしいと、こういうことなので、全体を分かりやすくするのはどうもあまりうまくいっていないかもしれませんが、ぜひ御理解いただければと思います。

【平野部会長】  
 栗原委員、どうぞ。

【栗原委員】  
 資料を拝見して、研究者が社会に研究の成果をリターンするようなプロセスはどういうものがあるのかということをかなり具体的に書いていただいて、そういうものを評価しましょうということが非常に分かりやすくなっていると思います。これに対して先ほどの最後の3行、基礎研究についてですけれども、逆に、私はこういう全体の方向性の研究者も社会の一員であることは重要と思っているのですが、日本人は真面目なので、ある意味で出口志向にあまりにも全員がそういうことだけを考えて、非常に数少ないゴールに向かってみんなで動くというようなことも危険なことではないかと思っておりますので、この最後のところの「基礎研究、学術研究等については」という部分は、基礎研究、学術研究を本当に大事だと思っている人たちは、自分たちの立場を明確にして、その目標をきちっと示した上できちっと努力してくださいと、そういう活動もきちっと評価していきますよというふうに理解して、拝見しました。

【有信部会長代理】  
 そうですね。

【平野部会長】  
 ありがとうございます。まさに、私が漏れ聞くところでは、作業部会でそういう議論があったというふうに聞いておりますので、重要なポイントだと思います。
 今、栗原委員が加えてくださったところも、「基礎研究とは」と定義することができなくても、中で分かりやすく述べていく必要があるかなと思います。例えば、前段の「はじめに」の部分で、下から三つの丸の中に非常に良いことが書いてあると思うのですが、「科学技術・学術知見をもとに既存の学理の再体系化を促すことで」とある現在の文章に、「促すことを背景に基礎研究を推進するということで」というような表現を加えるなど、もう1行ぐらい基礎研究の部分に書き加えていただければいいのではないかと思います。あまり大上段に「基礎研究とは」とか「応用研究とは」と定義して切り離すようなものではありませんので、誤解がないように、先ほどの御意見を取り入れていければと思います。
 そのほか、いかがでしょうか。どうぞ。

【岡村委員】  
 1.の科学技術イノベーション創出、課題解決のためのシステム化の推進のところですが、ここはイノベーション創出を意識した書き方で、すごく進歩しているというか、進化していると思うんですけれども、もし加えるとしたら、成功したイノベーション、もしくはそれを実施した人たちが、その成果を皆さんと共有したり、普及させるというか、なぜこのプロセスがうまくいったかということをよりみんなで共有できるような形のものが評価とかにも問われるようなところになっていればもっと、一つのイノベーションが連鎖的に類似のものを生むとか、その人がロードモデルになって他の若手の研究者を刺激したりとかっていうことにつながるのではないのかなというふうに感じました。

【平野部会長】  
 ありがとうございます。重要な御指摘だと思います。「40年、荒野を行くがごとき」という先生も多く、その結果がイノベーションに結びついたという例もありますので、若手を別な意味で激励するのは大変重要なところだと思います。
 そのほか、いかがでしょうか。伊地知委員、どうぞ。

【伊地知委員】  
 作業部会の委員を務めておりましたので発言を控えようかなと思ったんですけれども…。

【平野部会長】  
 いえ、構いません。

【伊地知委員】  
 2点ありまして、一つは、冒頭、有信部会長代理が分解能という言葉でおっしゃられたと思うんですけれども、評価といっても非常に多様な内容がある。アセスメント、エバリュエーションもありますし、それから、採択時の審査にかかわること、事前評価もあれば、前半に議論がありましたようにプロジェクトの事後評価もあれば、さらに、その時点でのインパクトをアセスメントするとか、多様なことがあるというようなことがきちっと議論をされて、そこでの考え方というのはやはり、資料6-3で言えば6ページのところでそういった考え方の一端というのが見えるわけですが、いずれにしても、プログラムにしろ、一つの資金配分をするという制度にしろ、それぞれの目的があって、全体としてどのような活動がそこで行われ、どのような目標を得ることを目指すのかというような、つまり、評価だけを切り出すのではなくて、そういった全体像の中で評価を捉えるということが重要ではないか、ということがあります。
 それから2点目は、そういったことで一例として示させていただくと、言葉の話がありまして、事務局の御説明の中にもありましたが、大綱的指針の中でうまく説明されていないようなこととかが実際あって、おそらくこれがそのまま評価をする側あるいは評価を受ける側に行ってしまうと混乱を招きかねないようなことが幾つかあるのではないか。例えばアウトカムというような言葉が実は大綱的指針で出てきているわけですが、そこで出てきたのはアウトカム指標についてのことであって、じゃあアウトカムが何なのかということは定義されていないというような状況があったりするわけです。それから、もう一つ関連づけて言いますと、今の基礎研究などの話もありますが、例えば6-3で言うと12ページの上から二つ目の丸でしょうか、「基礎研究、応用研究、開発研究」とありまして、これも大綱的指針の中で触れられているからこそここにあるんですけれども、これは実は研究開発費の関係の統計調査で出てくる言葉がもうちょっと広く使われるようになったというわけですが、例えばこの開発研究という言葉をとっても、もともとエクスペリメント・ディベロップメント、試験的開発というのが開発研究と誤訳されて、誤訳されたものがそのまま日本語としてある一種の概念となって通用しているというようなものであって、ここによく分からない言葉とか概念がいろいろ出てくると、おそらく最終的には、資金配分にしろ、評価をする側・される側が混乱してくると思いますので、今までの評価、全体の負担だとか、そういった話もありますから、これは先ほどの話で言うと科学技術・学術審議会の中のほかの総会・分科会等でも御議論されるということでありますので、最終的に現場が困らないような、きちっと概念が共有の理解がとれるような、そういったところが重要ではなかろうかと。だから、そういったところが実は6-3の中にありますような大綱的指針、3ページの下からでありますけれども、「具体的な事例、概念図等」云々というふうにまとめていただいているのも、そこに反映しているのかなというふうに思う次第です。

【平野部会長】  
 ありがとうございます。今御指摘いただいたところで、全体像の中での評価の位置付け、それから、今も議論がありましたように言葉でそれぞれ思いが違ってはいけませんので、できる限り、可能な限り、きちっと事項の理解が共有されるように。特に、3ページ目のところで、誰が、何を、何の目的でというのをきちっと設定しておく必要があろうというところの御指摘をいただいたと思います。
 そのほか、いかがでしょうか。

【有信部会長代理】 
 ちょっとコメントを。

【平野部会長】  
 どうぞ。

【有信部会長代理】  
 今の言葉の話は非常に重要で、だから言葉の定義をしっかりしましょうというのを入れたのは共通の認識なのですが、12ページの2番目の丸の「基礎研究、応用研究、開発研究」などというのは、今言われている言葉を並べただけの話で、この概念をそのまま踏襲しているわけではないのですが、この最後の3行目のところ、「等のそれぞれの研究段階」という表現でそれをうっかり踏襲したことになってしまっています。本部会は言葉を厳密に議論する場ではないのですが、これを例えば「それぞれの研究の位置づけ」としてしまえば、かなり明確になるのではないかと思います。「段階」としてしまうと、結局は最初の「基礎研究、応用研究、開発研究」という概念をそのまま引きずっているような印象を与えてしまって、今の指摘にあったように、評価者がまたそこでそれを受け入れてしまうということになるので、「位置付け」としておけば、それはもう少し明確だと思います。

【平野部会長】  
 大事なところだと思います。ありがとうございます。
 それでは、室伏委員。

【室伏委員】  
 6-4の資料では非常に簡単にまとめられているんですが、2ページの3.で次代を担う若手研究者の育成・支援の推進ということが述べられています。6-3の資料の中では、8ページ、9ページ、10ページの上まで、ある程度細かく書かれていますので、皆様にここはしっかり読んでいただきたいなというふうな気がしています。今の評価のシステムというのは、若い人たち、あるいはこれからの日本の科学技術を担っていく人たちをどちらかというと小さく縮こまらせるというような、そういうふうな感じになりかねないということを懸念しておりまして、机上資料6で、日本学術会議で「我が国の研究評価システムの在り方~研究者を育成・支援する評価システムへの転換~」という提言をさせていただいたんですけれども、やはり文部科学省としては人材育成という観点からこういった評価というものをやっていくという、そこはかなり強く出していただきたいなという気がしています。もちろん評価に関わる人材を育成するということももっと後ろのほうに述べてございますけれども、人を育てるということがとても大事なので、評価そのものが、人を育てるということにかなり寄与するような、直結するような、そういうものであるべきだということを6-3にはかなり書いてございますので、委員の皆様もぜひ読んでいただきたいと思います。

【平野部会長】  
 ありがとうございます。おそらく、事務局で苦労して6-4にまとめられており、推進とか何かになっているのは、推進をするための評価であるべきですと、そういう意味だと思いますので、3のところも、若手研究者が励まされ、創造性を発揮しやすくなるような取組が推進できているかということについてきちっと見ていきたいと、そういう意味だと私は理解をしております。それでいいですね。

【鎌田科学技術・学術戦略官付企画官】  
 はい。

【平野部会長】  
 どうぞ、有本委員。

【有本委員】  
 伊地知先生がさっき指摘された部分で少し気になるのですが、特に、16ページ、17ページの研究開発プログラム評価ですか、総合科学技術会議でプログラムレベルの評価というのを入れられて、作業部会でもかなりインテンシブに議論をして、上手にまとめられていると思うんですけれども、多分、これを読んだ人はさっぱり分からないんじゃないかと懸念しております。思うに、上手に絵を描いてもらう、事例を入れるというのが大事で、作業部会でも、プログラムというのはJSTの中のどれなんだと。ERATO、さきがけ、CRESTなのか、あるいはそれよりも下の領域みたいなものなのかと。私は領域だと思っているんですが、この辺をそれぞれの事業・制度について整理する。そうすることによって、NEDOとか何かともつながっていくということと同時に、誰が責任を持ってそのプログラムを設定したんだということになってくる。これは明らかに、今までは、研究の現場に対する評価だったのですが、今度は設計者に対する評価ということになるので、この評価対象は、府省庁等でありファンディングエージェンシーになるはずなんですね。そこの責任関係というのをもう少しシャープに書いた上で、階層構造を書いてもらわないと、これではさっと読み飛ばして、各段階でのコミットメントの責任体制がしっかりしないまま出発してしまい、非常に効率が悪くなるということになると思うのです。これをもう少しわかりやすくするためには、絵を描いていただくのが一番いいかなっていう気もしますけれども。

【平野部会長】  
 わかりました。どうぞ。

【河合委員】  
 総合科学技術会議の大綱的指針をつくる委員を務めていて、2年ぐらいいろいろ議論をしておりましたが、先ほどのアウトプット、アウトカム、この言葉の問題、それから今のプログラム、この二つがその中でずっとみんなわかりにくくて、それを明確化してどうにかこうにか持ってきたのが今の大綱的指針なのですが、それでもまだ、多分わかりにくいんですね。私の理解では、有本先生の理解とちょっと違っていて、どのレベルなんだというと、プログラムというのは、現在あるものに当てはめようとすると、ある場合は一番上のレベルになることもあるし、ある場合は2番目のレベルになることもあると、そういう性格を持っているんだと思います。これは仕方ないんですね。後からプログラムという概念を創っちゃったので、完全に今ある制度にぴったり、必ずしも一対一で対応しないと思います。
 ですが、例えば、きょうの議題に三つ評価を実施するというのがありましたね。科学技術戦略推進費による実施プロジェクト、科学技術振興調整費による実施プロジェクト、「安全・安心な社会のための犯罪・テロ対策技術等を実用化するプログラム」、多分、これが一固まりとしてプログラムと。その中でどういう柱を立てて、それぞれにどういうふうにPOを配置するとか、あるいはそれぞれどういう細かい課題をその中で設定するかという、そういう設計も含めてプログラムであると。その一方、その中に立てた個別課題の一つ上のレベルのところでも同じような評価をしなくてはいけないと、そういう二重の意味があるのではないかと、そういうふうに思っています。

【有本委員】  
 もう一つだけ。これ実は、JSTの中で事業部門と議論をして巻き込んでおかないとまずいかなと思っているのですが、そういうことまで言うと、ほとんど理解は不能ですよね。だから、最初の出発点のところで、こういう領域をつくった、あるいは新しいファンディングのシステムをつくったときに、これはこれぐらいのレベルだということを言ってあげないと、どこのことをやっているんだということが、PD、POも分からなくなってしまいます。

【有信部会長代理】  
 そのとおりですがね…。

【有本委員】  
 すみません、作業部会の議論をまた蒸し返してしまいましたが。

【有信部会長代理】  
 作業部会の委員で議論をしていて、申しわけありません。プログラムの話は実は、おそらく総合科学技術会議でプログラムという言葉を入れた最初の意図は、いわば省庁横断の切り口を入れるという意味でプログラムという言葉が入ったんだと思うのですが、それは今言った一番上の段階の話ですね。だから、一番上の段階で国家政策を科学技術政策として具体化するためのプログラムで、基本要件としては、単独省庁ではなくて、要するに複数の省庁が絡むような、そういう束ね。そんなこと言ったら多分なかなか難しい話がいっぱい出てくるので、逆に言うと、今度は幾つかのプロジェクトを束ねたものをプログラムと呼ぶというような理解が出ているので、この辺は総合科学技術会議でプログラムと言っていることの理解も必ずしもまだ十分統一されていないような気がするんですね。ですから、そこのそごがそのまま同じプログラムという言葉で表現されているとまた誤解を生むので、私たちはプログラムというのをこの段階でこういうふうに考えます、ということを明示して文部科学省内部で行う範囲の評価というところに限定せざるを得ないので、そこのところの逆定義をしながら、これをこういうふうに受けとめて評価をしますというふうに明示しておかないと、逆に言うと今度は総合科学技術会議からそんなものはプログラムじゃないというふうに言われても困るなという気がするんですけど、どうでしょうかね、皆さん方の意見を伺いたいんですが。

【平野部会長】  
 河合委員、どうぞ。

【河合委員】  
 総合科学技術会議では非常に大枠だけを決めているので、やはり各省庁で、ここでは省庁の使命に従って施策をこのように実現するためにこういう事業を行いますと、それをプログラムと考えてこういう基準で評価しますと、そういうふうに具体的に決めることが期待されています。ですから、それは違うよと後から言われるというのはあまり心配せずに、この中で正しいと思うものを決めるということではないでしょうか。結果的には有信先生がおっしゃったとおりですけれども、それでいいのではないかと思います。
 もう一点よろしいですか。

【平野部会長】  
 はい。

【河合委員】  
 もう一つ、プログラムと並んで分かりにくい、アウトプット、アウトカムですけれども、その場で私が何度も聞いた説明は、アウトプットというのは研究をまともにやっていればきちんと出てくるもので、例えば論文とか、特許とか、そういうものがアウトプットであると。アウトカムというのは、それのさらに先のもっと抽象的なもので、例えば基礎研究を振興する科研費であれば、それによって全体の学術的なレベルが上がるとか、そういうものが本当はアウトカムなわけですね。ところが、抽象的なままでは指標にならないので、何か工夫して目に見える指標を作って最初に目標として掲げなさいと、そういうことが大綱的指針に書かれているわけです。ですから、そこは非常に難しいんですけれども、それをどうにかしてこの文科省に合わせて具体化・文章化しましょうというのが多分この部会の使命になるのではないかと、そういうふうに思います。

【平野部会長】  
 分かりました。このあたりは重要なところですからもっと議論をしなきゃいけないと思いますが、きょうで終わるわけではありませんので、今後また議論を続けていきたいと思います。特に、評価をするというので非常に重要なのは、有本委員もおっしゃったような、ここで言う「プログラムとは」あるいは「プロジェクトとは」具体的に何にあたるのか、これについては、私どもの部会といいますか、文部科学省の中でどう位置づけるか、できれば階層の絵解きをして、ここでの共通認識にしていくのがいいのでは、と思っております。私はこの前の指針の改定時に作業部会の主査を務めさせていただいたんですが、今で言う階層というのもものすごく議論しましたが、国全体に言うところと思いの差が出ておるということも事実でありますので、次の部会では、文部科学省の中における位置づけというのを委員の皆様にお諮りして、全員が賛成するかどうかは別にして、ある共通認識までは持ち込んでおきたいと思います。その後、総合科学技術会議がどう言っても、それは、今、河合委員がおっしゃったように、文部科学省としてはそれをレベル(階層)として評価に当たりますよということで進んでいけばいいのではないかと、こう思っております。中途半端な認識で動くよりは、まず共通認識を持ってから動いたほうが、文部科学省としては大切ではないかと思いますので、そういう提案をしたいのですが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、これは大変な作業でありますけれども、事務局のほうでこれまでの例を見ながら、できれば絵解きをして、次の部会で委員の皆様の御意見をいただき、指針の中できちっと明示をしていきたいと思っております。よろしくお願いします。
 栗原委員、何か御意見ありますか。

【栗原委員】  
 すみません、私、一つ質問がございまして、6-4の2ページ目の一番上のところに「プロジェクトのリーダー等に裁量の権限と責任が委ねられることが許容される仕組みも重要」と括弧の中に入っているので、これは逆に言うと現状は、あまり許容されないということが議論されていてこういう言葉がここに書いてあるのか、あるいは――これは揚げ足を取る質問かもしれないのですが、今、従来の研究の形でなく、こういう新しい形をつくろうとしているのであれば、何かしらその課題に対して少しずつ考えてもらうということは大事なことだと思っていまして、そういう意味ではプロジェクトレベルでもいろいろな工夫がされるということが重要で、そういうものがプログラムの評価の中にもいい形で反映できたら良いのではないかと思うんですが、どうしてこういう言葉が書かれているのでしょうか。

【有信部会長代理】  
 全くおっしゃるとおりで、趣旨はそのとおりです。ただ、具体的には、プロジェクトを行う場合だとか、さまざまな振興において、いつも正当性とアカウンタビリティーというのが要求されるので、要は無謀なことはできないという縛りがあるわけですね。そういう意味ではもう少し、ここに書いてありますように、特定の対象に対しては無謀なことがある程度できるということを許しましょうという意味なんだけど、無謀なことができるとはなかなか書けないものですからこういう表現になったということです。つまり、学際的なものだとか、ここに書いてありますように、リスクが高い研究だとか、さまざまな場合については、従来のようにしゃくし定規な評価ではなくて、評価に当たっても、あるいはプロジェクトの振興に当たっても、もう少し、ある意味で評価者あるいはプロジェクトリーダーの責任で物事が遂行できるようにすると。結果的に言うと、みんな人任せになるということを避けたいということなんですね。研究開発を実行する側は、評価を見ながらやるんだとか、評価者側は、ある意味では自分の責任ということよりは、むしろ全体の正当性等々の必要な理由づけによって判断をする、自己責任でかぶるという形での判断にはならないというのが、今までの正当なやり方だったわけですね。それに多少とも風穴があくようなことを書いたつもりなんだけど、なかなかそう読めなかったですかね。

【平野部会長】  
 6-4はまとめていただいていますので、行間がちょっと見えにくいと思います。

【栗原委員】  
 すみません、揚げ足を取るようになって申しわけないです。

【平野部会長】  
 例えば、6-3の6ページですが、下から二つ目の丸のところが今の文章に相当するところでありまして、「ハイリスク研究については、評価者の立場からすると、客観的で明確な評価基準をもって評価・判断することは困難」。困難な場合が多いということですが、「そのため、ハイリスク研究の推進には、プロジェクト、研究開発課題等のリーダー等に裁量の権限と責任が委ねられることが許容される」、そういう仕組みをとっていくべきであると。

【栗原委員】  
 ここが反映されているんですね。

【平野部会長】  
 はい、この部分が今の6-4に反映されていますので。
そういう背景をここに取りまとめたと理解いただければと思いますが、よろしいでしょうか。

【栗原委員】  
 ありがとうございます。

【平野部会長】  
 それでは、当然この点については御意見がまだたくさんあると、私は思っております。事務局のほうから、きょうの御意見をいただいたのを勘案して修正して、また皆様方に、メールで恐縮ですが、お届けをします。ぜひ、読んで、意見があったら、事務局に出していただきたいと思っております。部会長としては、指針の改定に向けての方向性の案を、全ての御意見の集約はまだできませんが、きょうの御意見も踏まえた上で、研究計画・評価分科会長とも相談の上、また修正を行いながら、次の科学技術・学術審議会の総会にも議論いただく資料として出したいと考えております。また、基本的には、この部会のほうでまた議論をいただいてまとめていきたいと考えております。
 同時に、事務局から説明がありましたように、関係する研究費部会等の学術分科会、あるいは中央教育審議会の大学分科会、あるいは大学院の部会でも意見をいただきながら、最終的にはここの部会として改定に向けた検討をまとめていきたいと考えております。  
部会の時間が6時までということで、お帰りの方があると思って最後の方は少し省略してしまって大変恐縮ですが、ぜひメールにて事務局まで御意見を寄せていただいて、いい、かつ科学技術・学術の振興に資するような、そういう指針として取りまとめをしていき、現場で評価、あるいは研究の推進に役立っていただきたいと思っております。
 有本委員、どうぞ。

【有本委員】  
 改定版の評価指針はいつ頃までに決定する予定でしょうか。

【鎌田科学技術・学術戦略官付企画官】  
 一応、科学技術・学術審議会総会全体としては今年中にということになっていますけれども、御議論を深めていただいて、できる限り早いタイミングで頑張らせていただきたいと思っています。

【平野部会長】  
 本来、研究というのは進んでいるわけですから、現場で研究開発されている方々が進めやすいような評価指針を、しっかり議論してまとめるべきだというのが、私、現場におった者の気持ちですが、あまりゆっくりしすぎるのもいけませんので、部会としては皆さんの意見を聞きながらまとめて最終提案としていきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。

【五神委員】  
 一つ確認ですが、いろいろな委員会でここの議論を活用していただくという観点でいくと、資料6-4をまず読んでもらうという話になりますよね。

【平野部会長】  
 そうですね。

【五神委員】  
 これは本体を参照してもらうような動機づけになるに、きちんと論点を表現するということが非常に必要で、私、中教審の大学院部会でずっとやっていましたけど、この紙だけだと人材育成とのつながりというのはほとんど見過ごしてしまうので、そういう観点で皆様の知恵が入ると良いのではないかと思います。

【平野部会長】  
 そういう点からすると、本来は会議の時間が限られているものですからどうしても概要が先になりますが、場合によっては、6-3は丁寧にきちっと書いてくださっていますので、6-3のところで例えばボールドにするなり、分かりやすくして、そこをポイントでめくりながら見ていただく方が良いかもしれませんね。

【五神委員】  
 そうですね。

【平野部会長】  
 努力してくださって6-4を作っていただいたのですが、誤解があるともったいないことになりますので。
 それでは、6-3にきちっと反映をして、分科会あるいは総会でも6-3をベースにしたものとして皆さんに説明をすると。時間が限られていますから、はい、何ページ、何ページと言うかもしれませんが、事務局からそのような説明をしていだたくということでよろしいですか。

【鎌田科学技術・学術戦略官付企画官】  
 はい。

【平野部会長】  
 あと、御質問ありますか。どうぞ。

【東嶋委員】  
 資料6の論点のことではなくて、資料4のことなのですが、一言よろしいでしょうか。

【平野部会長】  
 どうぞ。

【東嶋委員】  
 きょうの部会で実施方法が決まってしまうということなので、主に人材育成の観点から、一言申し上げます。このプログラム3点は今回から補助金になったということで、事後評価を実施するに当たっての視点が書いてありますが、プログラムの実施者自身が例えば女性であったり若手であったりということではないですよね。プログラムの対象が若手だったり女性だったりするわけですよね。この評価の視点を拝見しますと、例えば対象となった女性がこのプログラムによって、研究と両立しやすくなったとか、若手なら若手でこのプログラムのおかげでキャリアパスが選びやすくなったとか、対象者の満足度調査じゃないですが、そういった視点があった方がいいと思います。もちろん第三者的な評価も大切ですが、対象者の直接の満足度を調べるようなこともしていただけるとありがたいのではないかと思いました。

【平野部会長】  
 わかりました。今の御指摘について、事後処理ではそれは非常に重要だろうと私は個人的には思いますが、事務局としてはいかがですか。

【佐藤基盤政策課人材政策企画官】  
 御指摘ありがとうございます。このプログラム自体は基本的には御案内のとおり各大学等の研究機関が行う事業に対して評価をするということでございますので、大学等が事業を実施していく中で、対象である若手研究者なり女性研究者の状況をきちんと把握して、それをちゃんと報告していただいて、評価部会でもそういったことも含めて議論をするということは大事であろうと考えております。実際の評価は実施機関が対象となりますので、機関を通じて、そういったことを実施する必要があるのかなと考えております。

【平野部会長】  
 よろしいでしょうか。

【東嶋委員】  
 ありがとうございます。

【平野部会長】  
 それでは、その点も留意しながら、全体の評価に当たっていただければと思います。
 大変活発な御意見をいただいて、感謝しております。評価指針については、先ほどお願いをいたしましたように、ぜひ事務局に意見を寄せていただいて、取りまとめをしていきたいと思っております。どうもありがとうございます。
 事務局の方から、連絡事項等ありましたら、よろしくお願いします。

【德成科学技術・学術戦略官付室長補佐】  
 事務局から、御連絡させていただきます。
 今回の議事録につきましては、部会運営規則第6条にのっとりまして、非公開の議事部分の非公表としまして議事録を作成し、各委員に御確認いただいた後、ホームページにて公表させていただきます。
 それから、2点目、次回の部会でございますけれども、後日、改めて日程を調整させていただきたいと思います。
 以上でございます。

【平野部会長】  
 ありがとうございます。
 以上で、本日の部会を終了いたします。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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