地震防災研究を踏まえた退避行動等に関する作業部会(第6回) 議事録

1.日時

平成22年3月9日(火曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省18階研究開発局第1会議室

3.議題

  1. 作業部会報告書案の検討
  2. その他

4.出席者

委員

田中主査、荒卷委員、国崎委員、小林委員、林委員、室﨑委員、濱田委員

文部科学省

鈴木地震・防災研究課長、南山防災科学技術推進室長 他

5.議事録

【南山防災科学技術推進室長】

 それでは、定刻を過ぎましたので、第6回地震防災研究を踏まえた退避行動等に関する作業部会を開催させていただきたいと思います。

 本日は、委員の先生9名中6名にご出席いただき、定足を満たしてございます。

 続きまして、お手元の資料につきまして確認をお願いいたします。

- 資料の確認 -

 本日の審議に入ります前に、事務局の地震・防災研究課長の鈴木のより、作業部会の審議の進め方と今後につきまして説明をさせていただきたいと思います。

 

【鈴木地震・防災研究課長】

 室長のほうから説明がありましたとおり、事務局より委員の先生方からのご意見を踏まえました案を今回は2つ作成しております。現在推奨されてきた退避行動の検証と適切な退避行動等と今後の課題と報告で、現場で参考になるように踏み込んだ形のものと控え目な形のものとなっております。委員の先生方からは、踏み込んだ表現と控えめな表現との間で、適切なところについてもご審議いただければと思います。そういったこともありまして、会議資料中の5章以降については非公開といたしております。

 それと当作業部会は3月を期限としたものでしたが、事務局のとりまとめが遅かったこともあり、先生方のお許しがいただければ2ヶ月ほど作業部会を延長し、作業部会報告をまとめさせていただけないかと考えております。5月の連休明けのいずれかの日に最終的な報告案を先生にご覧いただき、ご了解をいただくというようなスケジュール進めさせていただきたいと思います。この点についてもご相談いただければと思います。以上です。

 

【南山防災科学技術推進室長】

 これからの議事進行については田中先生にお願いいたします。

 

【 議題1 作業部会報告書案の検討 】

 

【田中主査】

 ただいま課長よりご説明いただきましたけれども、3月いっぱいの予定を2カ月くらい延長するということで、この退避行動等に関する作業部会はもう一回あるということでよろしいでしょうか。調整方もありますし、少しでもいいもののほうがいいとも思いますので、ご了解いただけたらと思います。

 それでは、前回の作業部会での指摘事項を反映させてつくっていただきました報告書案についてご意見をちょうだいして、この2カ月間でまた再修正をしていただくということになります。よろしくお願いいたします。

 それでは、事務局のほうから報告書案の説明をお願いします。

 

【富田防災科学技術推進室長補佐】

- 資料6-2~6-3の説明 -

 

【田中主査】

 ありがとうございました。

 資料6-2の報告書構成案ですが、これに関しては、本日午後に開催される防災分野の研究開発に関する委員会で報告する予定となっております。

 それではまず資料6-2についてのご指摘を伺いたいと思います。その後で残された時間を使って5章以降に充てていきたいというふうに思います。

 それでは、5章、6章、7章についてご意見をお願いいたします。。

 

【室﨑委員】

 まず、私の考え方は、やっぱり国民の一人一人は自分の住んでいる住宅だとか行き来している場所の安全性を一人一人がしっかり認識をするということが第一の原則だと思います。そういう意味で言うと、ワンパターンの結論を押しつけるのではなくて、なるべくこういう問題を示して考えていただくようにしたほうが良いと思います。そういう視点から各項目についてコメントを述べさせていただきます。

 15ページ以降のA案およびB案について比較した場合には、B案のほうがよいと思います。極端に書くと国民とは何のことかよくわからないので混乱を生むという、もろ刃の剣なので注意しないといけませんが、一つの問題点についてヒントが補足的に書かれているからです。その中で15ページ以降のB案を推します。この中の(2)というのは、何かもう自動的に教えてくれるようなものでしょうか。まさに科学が進んで、今このケースだったらこうしなさいというメッセージが流れてくる一つの高度な科学技術によって知らせるということは、恐らく必要なのかもしれませんが、余り行き過ぎるとそれに依存する、すべて教えてくれるんだということになってしまう。何かそのうちコンピューターが全部こうしなさいとかああしなさいとか教えてくれると。津波警報は出たけれども、そのときの反応がみんなそれぞれ違うということの関係、雨の警報もそうですけれども、出てどうするかというケース・バイ・ケースでいうと自分で考えて欲しいと思います。この(2)を書き過ぎると、この部分に期待が集まってしまいます。むしろ(1)の部分で自分のおかれる環境等を考えなさいというニュアンスで記述しておけばよいのではないでしょうか。この2の書きぶりは書き過ぎると、技術依存的・行政依存的な体質になるんじゃないかなということが、ちょっと懸念されるというのが1点目の意見です。

 それから2点目は、7ページの「新耐震基準で建築された建物では外に飛び出す必要がない」という部分です。ここは断定的に書いてありますが、新耐震でも手抜きがあるかもしれないし、構造の形態的に問題があるようなものも壊れるおそれがあります。

 それから長周期地震動でいうと新耐震基準にかわってから2000年の間の建物は必ずしも安全でないという意見もあるので、長周期地震動問題に関わらず新耐震基準が採用されてからの建物が安全だと言うことは良くないと思います。概ね安全というくらい表現の方が良いと思います。これ、新耐震基準による建物だったら逃げる必要がないというのは、ここはちょっと断定的過ぎるというような印象があります。兵庫県南部地震でも新耐震で壊れた建物はゼロではないので、うまく書いて欲しいと思います。

 それから、あと火災関係についての記述は、よく整理されているので問題はないと思います。

 

【荒巻委員】

 私も国民の方々に考えていただくきっかけという視点では、B案よいと思っています。

 細部については、8ページの「「グラッときたら火の始末」行動についての問題点」の部分で、「「グラッときたら」との表現は主要動を意味していると考えられ、負傷や火傷を誘発する可能性が高く」と書かれていますが、「グラッときたら」という部分は的を射ているので、その時点でしっかりとした対応をとっていただきたいという旨をしっかりと書いた方がよいと思います。

 それと、ガス遮断弁については、100%普及しているということは、間違いないんですけれども、一定以上の震度の場合しか遮断しないはずです。ですから、その基準未満のときに、遮断しないところでの一定規模の震度があったときには、やはり消火していただく行為というのは、必要であると考えております。大規模地震時の対応という部分での前提であれば構わないとは思います。

 それと、やはり15ページの将来の姿という部分は、ここまで言ってしまうと今度考えてもらえなくなる可能性がありますので懸念が出てまいります。

 

【田中主査】

 「グラッときたら」のこの揺れは、主要動でいいですか。

 

【室﨑委員】

 わからないです。初期微動かもしれません。

 

【林委員】

 カタカタがP波のイメージであれば、グラは主要動と言ってもおかしくはないんだろうと思います。

 

【田中主査】

 他にありませんでしょうか。

 

【国崎委員】

 私もB案のほうを推奨したいと思っております。

 全体を拝見して気になったのが「靴を履き」という部分です。確かにこれまでの震災において負傷者の多くは、ガラス等をはだしで踏んで足をけがするという方が多かったのでこういった表現も一つあるとは思いますが、忘れてはならないのは、命を守るために頭を一番に守らなくてはならないという視点です。日本では家庭にヘルメットの備えが標準化しておりませんが、ここで改めて、ヘルメットをかぶる大切さを伝えるために、推奨行動として挙げられてもよいのではないかと思います。

 頭を守ることの重要性というのは、14ページの標語例にもありますが、「動けないと思ったら、その場でしゃがんで」の文言に続くのは体を守るではなく「頭を守る。」という言葉が報告書に表されています。このように多くの方が頭を守ることの重要性は認識しているものの、それをしっかりと表現できていないことが気になります。

 これに関連しまして、15ページからの「より適切な退避行動の実現に向けての必要な将来の姿」というところでも、できるならば頭部・体を保護するものを備えることへの推奨が望まれます。

 わたしはこれまでの10年間に、日本の子どもに防災頭巾からヘルメットを与えたいという思いでヘルメットの普及に努めてまいりました。防災頭巾は火災では効果をもたらすのかもしれませんが、地震災害を対象とした訓練において、学校や幼稚園等の教育施設で防災頭巾をかぶらせることに違和感を感じております。

 先進国で子どもに防災頭巾をかぶせている国が日本のほかにあるでしょうか。防災頭巾が地震のときに有効であると信じるのであれば大人もかぶればいいと思います。現状、かぶるのは子どもばかりです。日本の防災対策について取材するために来日した海外の記者から、日本で防災の日に子どもたちに学校でかぶせているものは、あれは何だという質問を受けました。あれは防災頭巾だと説明したら、地震・防災調査研究の最先端をいっている日本で子どもにかぶせているものであるから、すばらしいものであろう、その素材は何でできているのかと再度問われたので、綿と木綿でできていることを説明しました。海外の記者はその回答に信じられないと驚いておりました。それで本当に頭を守れると日本の国民は考えているのかと問われたのです。それは女性と子どもを差別している男尊女卑の思想にあるのかとも聞かれました。戦時中から男性だけがヘルメットをかぶり、女性・子どもは防災頭巾で守れという差別意識が防災にまだ残っているのかと問われ、回答に窮したことを覚えています。

 ヘルメットメーカーで行われたヘルメットと頭巾を比較した落下物からの衝撃実験結果からも、防災頭巾は地震には頭を保護するものではないことが科学的明らかにされています。それでも日本では、今もなお、むかしからの慣習によって子ども達に防災頭巾を与え続けているのです。このような環境を変えていかなければ助かる命も守れません。今回の作業部会をその機会として退避行動の要件にヘルメット、地震が起きたときには頭部を守るためにヘルメットを備えるということを強く意識づけていただきたいということを思っております。学校、幼稚園、保育所などの教育施設等において一日も早くヘルメットが整備されることを望みます。

 

【林委員】

 私は、A案とB案の中をとったB’案ぐらいがいいんじゃないかと思います。

 あと最終成果物の出し方としては、標語が良いのではないかと思います。3つくらいの標語にまとめられればよいですが、6つくらいになるのではないかと思います。標語については、実際にはコンテストを行って、国民的な運動として一つ一つの標語を決めていったらいいと思います。

 今言いました6つの標語のうち、一つは事前の準備のことで、「備えあれば憂いなし」に関わる内容です。また、具体的にその備えを書くことも必要だと思います。安全空間の構築とその安全空間とは何かを書き示す。そういう意味でB′案のイメージで、標語ごとに章立てというか節立てをして、メッセージを伝えればよいのではないでしょうか。科学的知見も含めてですが、安全空間の構築におけるチェックポイントをいれてあげればよいと思います。

 それから、2つ目のポイントは、緊急地震速報が出たら周りに声をかけて安全な場所へというような話になると、今度は緊急地震速報には何を求めるのか。また、それにより時間的余裕があれば、安全な場所に逃げ込むことになりますが、安全な場所とは何かが問われることになると思います。

 それから3つ目は、動けなければしゃがんで頭を守ろうということでヘルメットを強く推奨することには賛成です。

 4つ目は、揺れがおさまったら、靴を履いて火を消してドアをあけるかなと思います。頭を守るフェーズと足を守るフェーズはちょっとずれている思いますので、その点配慮すべきだと思います。足を守るということは非常に重要だし、随分出血があることも事実ですし、そういう体躯だけではなくて四肢の部分の負傷を防ぐ必要もあるし、火を消す必要もあるし、避難路の確保もあります。そこでひとつ、3から4つのポイントについて説明するのが良いと思います。

 今回の作業部会でのスコープは、このあたりまでかと思います。助け合いと正しい情報の入手というのはあとのフェーズになると思います。今のポイントを成果として章を立てて、その中に対策を記述し、その部分を皆さんに読んでもらった上で、標語を国民の皆さんと考えればよいと思います。

 標語を募集することで、標語の裏にある知見の整理だとか、あるいは現状の理解につながると思います。そう考えると、章をこの形に、メッセージというか標語のイメージで明示的に書いたらどうでしょうかというのが意見です。

 また、この作業部会の結論をまとめるときに、本気で標語でまとめることが必要だと思います。これまでの10カ条は何でよかったかというと、語呂がいいし、覚えやすいし、それなりに練られた言葉だったからです。「グラッときたら」なども七五調になっています。やはりそういうところまで磨くべきだけれども、事務局だけがそれを担うのは難しい。むしろ、そういうことこそ広く英知を集めてというかな、みんなに協力してもらうべきところで、そこを何か参画型にするのがよいと思います。

 ただ、その背景の理解を正しく持ってもらう部分は、この報告書のこのチャプターというか章の部分でしっかり明示的に書いたらいいし、ぜひその中でヘルメットも入れたらよいと思います。

 

【田中主査】

 私自身も、B案を基にした発想はいいと思いますが、具体的な判断をする基準などをもっと明記するというスタンスのほうがいいだろうと思います。それは使う側からしても良いし、文部科学省という研究を担う一つの推進の機関としても良いだろうという気がしていて、妥当性欠くとか、ないとかいう表現よりも、こういうことではだめだ、こういうところではだめだ、こういうところでは良いなど、むしろできるだけそのような表現のほうが望ましいと思っています。

 

【小林委員】

 私は、専門家でなくてもよく理解できるのはB案のほうではないかなと思いました。

 その中でも、それぞれ大変詳しく、特に15ページの部分は、学校において生きる力をはぐくむために、みずから考え、みずから判断していくことを常に言って聞かせているような状況ですから、自分の身は自分で守るだとか、個人個人が意識を持ってということは大変大切なことなので、そこは強調すべきと思いました。しかし、学校に任せでいいのかというと、それぞれに職員は安全だけが専門分野ではありませんし、特に学校という現場においては、学校における原則的な退避行動をやはり具体的に示していくことが親切ではないかなと思いました。

 それから、頭部を守るということの重要性も本当に認識していますが、学校現場としては防災頭巾があればまだいいほうで、全くない学校も少なくありません。私のところは、実は全く何もないところから防災頭巾を導入して、さらにヘルメットに切りかえましたが、学校の現場がヘルメットを導入して備えつけるような教室のつくりになっていません。ですから、身近なところにヘルメットを置くという点では大変苦心して、私のところでは椅子の下にネットを張ってヘルメットを置いておりましたが、それでもネットが破れるようなことも多々ありました。そういうこともあって、後ろの棚に積んであるような学校もあります。区によっては玄関に置いてあったりします。それから、区が配布しているようなところももちろんありますが、やはりヘルメットを使う場合は学校の現場の実態とあわせて示していかないと、求められた現場はつらいものがあります。ですから、教室のつくりも、それから机や椅子のつくりも、ヘルメットのことは考えていないのが今の実態ですので、望ましいことは示しても、こうすべきだという具体的な方策を示すのは難しいと思います。ただ、児童は何もかぶらず、職員はヘルメットをかぶるところ多いです。職員はヘルメットをかぶっていますが、子どもたちは何もない中で並んで出ていくというような学校もあり矛盾したものもあります。子どももかぶらないなら職員もかぶらないという状況ならまだ理解できますが、ほとんど職員はみんなヘルメットをつけています。こうった実態もあります。

 それから、標語については、私も価値ある標語が大切と思いました。問題はあるかもしれませんが、「グラッときたら」は、私は大変印象的で、それがしみついています。ここに出ている標語も、これで完成版ではもちろんないと思うんですけれども、できるだけ短くしたほうがいいのかなと思います。長くなってくると標語ではなくなりますので、多少言葉が足りなくても、標語として示すんだったら、もう少し短いほうがいいかなと思いましたが、標語はとても良いアイデアだと思いました。

 

【田中主査】

 ありがとうございました。

 先生方からおひとりづつご意見を頂戴し、B案で概ね良いとのご意見ですが、加えてできるだけ何か条件を明示して、判断基準をむしろ示すというほうがよいだろうということではご意見は一致をしていたように思います。

 

【濱田委員】

 私も委員一人でございますけれども、一度も出席する機会がなくて、まことに申しわけありませんでした。大変難しい問題を取り組んでいただきまして、詳しい内容につきましては午後からの委員会でご報告いただいて、委員から意見をいただきたいというふうに思います。

 ちょっとこの資料を見たばかりで、何とも言えないわけですけれども、適切な標語を幾つかきちっとつくっていただくということは、大変結構なことじゃないかというふうに思います。

 それと報告書の構成案をご説明いただいたんですが、その中で若干お聞きしたいというのは、その検討範囲を絞られている点です。これは一般的な空間、屋内から屋外へ向かう空間でということで理解できます。次は、対象とする人でが、例えば、児童を対象とするとか、幼児と母親を対象とするとか、それから老夫婦だけの家庭を対象とするというようなことで、やっぱり若干何か変わってくると考えられるわけですが、その辺の議論は尽くされたということでよろしいですか。

 

【田中主査】

 作業部会の初期段階で検討はしています。特に、行政の現場では災害時要援護者問題というのは大変敏感ですので。

 ただ、個人の多様性もありますが、とりあえず一般的な居室をスタートしたということでご理解いただければと思います。

 

【濱田委員】

 それから、これは報告書をおまとめいただいているわけですが、これは午後から議論になると思いますが、この報告書を社会へどう発信していくのかということです。せっかくつくられても、この標語が小学校とかそういうところへ行き渡っていくようにしなければなりませんが、そのあたりはいかがでしょうか。

 

【鈴木地震・防災研究課長】

 冒頭に申し上げましたとおり、報告書案では2つの案を並べて提示しておりますので、具体にどの程度記述するかについてご審議いただければと考えております。きょうの防災委員会では、報告書の構成までは紹介できても、中身のご報告は難しいと考えています。

 それから、社会に体してどう成果を発信するかという点につきましては、関係の部署と報告書案の取りまとめの最中から、いろいろ意見交換を行って作業を進めたいと思います。いろんな立場の方が、これを見ていろいろ考えてもらう部分があるので、何らか世の中が動いていくような形で動けるように検討を進めたいと思います。

 

【室﨑委員】

 追加の意見が3つほどあります。

 1点目は、マイコンメーターの有効性についてです。基本的には、マイコンメーターが普及をしているので、ガス器具などは、揺れている最中に非常に危険を冒してまで消す必要がないということだと思います。

 ただ、住宅などはマイコンメーターから屋内までの配管は短いので、マイコンメーターが遮断されてから、そこから先に残っているガスは少量だと思われますが、地下街などではマイコンメーターから先が長い場合があります。そうしますと、その先に残っている配管にガスが残っていることがあって、それに火がつくということがあり得えます。

 ですから、ガス器具のところにももう一つ振動を感じてとめてくれるようなガス器具があると本当は良いと思います。火を使っているところで遮断してくれるのが本当はよいのです。これはコメントだけですが。そんなことを国民に判断させるのは無理なので、これは企業にしっかりとやってほしいという話です。

 2点目についてもコメントなんですけれども、やはり行政も、この標語などをつくって、それだけでなく意味や背景もしっかりと伝える努力をする必要があると思います。これをポッと国民に出して、この標語どおりやれということではなくて、ここに書かれている意味は行政がしっかり伝える、あるいは啓発をするという努力がないと、誤解を生んだり間違った理解をされます。そういうことがないように報告書本文中にも明記する必要があると思います。

 それから3つ目は、林先生のB′案という考え方に基本的には賛成です。あとは、ただ事務レベルで報告書としての書きぶりとアウトプットとしての書きぶりが違うかもしれないので、そこは使い分けられてもいいかもしれないしということですから、林先生がご提案された報告書構成案が、非常にわかりやすいので、B′案には賛成します。

 また、ヘルメットを準備することにも賛成ですが、そこで微妙なところがあって、ヘルメットをかぶるのは、いつかぶるのかということなんです。もう一つ言うと、ここはドアをあける、揺れがおさまったらドアをあけるというんですが、それもまた微妙な行動です。本当は揺れている最中にドアをあけないといけないし、ヘルメットもかぶらないといけない。しかし、揺れている最中はドアをあけたりヘルメットはかぶれないという少し悩ましい問題があります。ドアだって、揺れがおさまってからだったら、もう開かないかもしれません。だけど、揺れている最中に行動するのは危険です。例えば、ヘルメットでもすぐ身近にヘルメットがあったら揺れている最中にヘルメットかぶれるけれども、多くの場合は、そうではありません。また、避難しているときの危険を回避するためにヘルメットが必要となります。ヘルメットは、どの段階でかぶるかという問題があります。タイミングが非常に難しいので、書き入れる箇所にも配慮が必要です。

 ただ、一般論として、ヘルメットで頭を守るとことは、前の部分で記述するのも良いと思います。ただ、悩ましいのは、防災頭巾と一生懸命やっておられるところがあります。これは非科学的と言ってしまうのか、もしくは、ヘルメットや防災頭巾と書くのかというのは、微妙なところだと思います。

 

【濱田委員】

 ヘルメットに加えて、靴をそばに置いておくということは必要だと思います。そういうことも書いたほうが良いのではないでしょうか。そばになきゃ履けないので、室内でやっぱり必要になるわけですね。

 ヘルメットと一緒です。どこへ置くのか。

 

【田中主査】

 事前対策の中に書いていただくと思いますけれども。

 

【濱田委員】

 ああ。身近なところに靴を置いとくと。

 

【田中主査】

 逆に身近過ぎると、使えなかったというのが阪神の被災者の方の多くがおっしゃっていましたね。埋もれて、どこにあるかわからなかったというようなことも実際にあります。難しいところですけれども、一般論としてはそうなります。

 

【林委員】

 足を守ることが主旨ですので、靴をはくという手段は余り前に出したくはないです。靴がないので靴を探しにはだしでずっとガラスの上を歩くとか、そんなことをされると本末転倒です。しかし、そういった人がでてきますので、書き方としては、とにかく足を守れ、が良いと思います。事前対策で靴をちかくに準備するのは良いと思いますが。

 

【田中主査】

 あとは、ヘルメットをかぶりタイミングをどうするかですね。

 また、ドアを開けるかどうかについても、条件が整理できればと思いますが。

 ほかにいかがでしょうか。

 

【国崎委員】

 先生方からのご意見でもありましたが自分で考えて判断して行動できる人をつくるためには防災教育が重要になってくるかと思いますので、そういった防災教育の充実についても今後の課題の中に入れてもいいのではないかと思いました。自分で考えて判断できるような人を育てるための教育というところが書かれていても良いと思います。

 

【鈴木地震・防災研究課長】

 事務局としては、他省庁だけでなく省内関係部局とその点について、報告書が出る前から意見交換をしたいと思います。

 

【田中主査】

 実際の現場で、都道府県、市町村などのご指導されている方々と調整をしておくということが、広報の下地をつくる上でも、とても大事なことだと思います。そこから報告書を出してから何か言われないように、そこは十分にやっていただきたいかと思います。

 

【林委員】

 4つほどあります。

 最初の「備えあれば憂いなし」というのは、基本的には事前の準備で大部分は決まってしまうことを認識してもらわないといけないと思います。

 それから2番の、「緊急地震速報が出たら周りに声かけて安全な」のところは、気持ちとしては、初期微動継続時間の間でと理解してもらえばよいと思います。

 3つ目の「動けなければしゃがんで頭を」というのは、それこそ主要動の部分で、直下だったら2番を飛ばしていきなり3番のフェーズになることを認識をしていただければいいと思います。

 4は「地震がおさまった直後の安全確保を」というふうに、その4つのフェーズでいいと思っています。

 そこから後の部分は、今回のスコープからは外して良いと思います。そうすれば、フェーズが全部違っているから、非常に明確にいろんなものが書けるのではないのかと思いました。

 また、ドアはやはり後でいいんだと思っています。要するに、外へ避難するという決心がないとドアに関心はむきません。それから、ちょっと最近また、十何年前のヒアリングを読み直す機会があったのですが、マンションに住むある人は、結局ドアをバーンとあけて飛び出したあと、余震が来て、もっとひどくなってドアがあかなくなったという話をされていました。地震というのはやっぱり主要動1回だけではないので、何回も余震がある中でいろんなものの変形がひどくなったりとかするから、イチ・ゼロでドアだという問題よりは、避難するそのルートを確保すると記述した方が良いと思います。

 

【田中主査】

 私も4つでちょうどいいフェーズではないかと思います。

 

【濱田委員】

 最後の今後の研究課題、これも十分ご議論をされた結果だろうとは思いますが、なかなか難しい問題ありますよね。その建物倒壊に関する研究って2行だけ書いてありますが、これも相当やってきてますが、簡単には進まないと思います。

 

【鈴木地震・防災研究課長】

 ここでは、建物が倒壊した際に、どこに下敷きならない空間が残るのかということです。

 しっかりした建物ばかりではないので、そのときにどの辺が安全かというのについて、動けないときに転がってでも端へ行ったらいいのか、真ん中へ行ったらいいのか、そういう言及があると、外へ出られないときには、役立つと思います

 壊れるか、壊れないかというよりは、壊れたときの、どの辺がより危険で、また安全化という情報が欲しいと考えています。

 

【林委員】

 残存空間の残り方の研究でしょうか。建物の構造研究をやっている人たちから、あまり良い答えをもらえそうにないですが。

 

【濱田委員】

 研究の分野としては重要となる範囲だと思います。

 また、このまえテレビで放送された今したが、船が時化にあった際に家具が動かないのは家具固定の対策がほどこされているからであって、そういった事実も知らせていくべきだと思います。

 

【林委員】

 うん。ああいうものが、今は大分、割と家具、据え付けのものがふえてきましたから、大分進んだと思いますけれども、それでも今度、ドアとかああいうものはじゃどうするのといったら、安物買ってきて鍵かけるみたいなものになっちゃうと、すごくそこで落差が大きくて、やはり安全性がデザインされているような、そういうものにならないと、本当の普及というのがやっぱりないだろうなという気がすごくする。

 

【濱田委員】

 それから、負傷の問題があります。複合的な研究の中には、兵庫県南部地震などでのデータを分析して、ある種の負傷に関する傾向などが出されていないのでしょうか。

 

【林委員】

 負傷は、正直、物すごく難しかったです。死者に関するデータは警察が基本的に持っていますし、負傷については、医者が外にはだしません。また、非常に広域に起こるものですから、総合的なデータベースというものがなかなかないというので、調査をやろうと思いましたが、ハードルが高く、結局、あきらめたような経緯があります。

 

【田中主査】

 もう少し小さい地震災害だと、調査を行った例はありますが、やはり全数調査できませんので、新聞報道とかがやっているぐらいかと思っております。

 

【荒巻委員】

 2点ほどあります。

 今もちょっと出たのかもしれませんが、「家具の強度や家具の固定等の効果について定量的に評価し認証する仕組みの構築が考えられる。」ということで、家具についてトータル的な評価というのは当然必要ですが、それ以外に転倒防止器具の設置方法によっては全く効果がないものについての研究成果は出ていると思います。ですから転倒防止器具も含めたような認証といいますか、設置方法等の内容についても、より具体的に国民に知らせていく必要があると思います。

 2点目ですが、先ほどの防災教育関係でロサンゼルスでの教育の話を聞くと、とにかく子どもたちが被害を受けるということを前提に教育しています。日本の場合は、どちらかというと被害を受けない、元気で避難するというような教育なために、それ以上自分たちで考えて行動するということに、どうも思考が進まないのではないかと危惧します。ですから、ちょっと悲観的に、怖さを助長してしまう部分があるのかもしれませんが、もう大規模地震災害が発生したときには被害を受けるということをそれぞれが認識して、その後の行動等をみずから考えて行うということを理解していただくところを、提唱していただければありがたいなと思います。

 

【濱田委員】

 今後の研究の内容で、「振動環境下での人間の行動能力に関する研究」の部分ですが、これはやはり委員の皆様のいろいろ総意で、このような研究を推進すべきとのご意見でしょうか。そうであるならば文科省として、こういうものを将来の調査研究の課題の中に入れるために、報告書案の中ではっきりと挙げるべきでしょう。

 

【室﨑委員】

 危険が伴うけど研究を進めるということですね。

 やり方はちょっと工夫しないといけませんがね、かなり。上から物が落ちてくるような中で人間を動かしてみるわけですから。

 

【室﨑委員】

 いや、これは林先生の言っているのおかしいという意味ではないんですけれども、ドアを閉めるタイミングとか、あと、新耐震基準の建物の表現なんかについて、福和先生の意見を最終的にちょっと、ご意見も聞いていただいたほうがいいだろうと。

 

【鈴木地震・防災研究課長】

 最終的にというよりは、欠席の先生方にも、もう一度よく説明をさせていただき、ご意見を頂戴します。先生方もお忙しいですが、メールなどではなく直接お伺いした方が良いと考えております。

 

【室﨑委員】

 ちょっと技術的に私には分かりづらいところもありますのでよろしくお願いします。

 

【田中主査】

 書き込めるデータというか、定量的な表現はできるだけ入れていっていただいたほうがいいと思いますけどね。

 

【濱田委員】

 ここでは、新耐震基準と書かれていますが、一般家屋のほかに、RCの低層建物のようなものも検討範囲に入っているのでしょうか。何階建てまでかわからないけれども、集合住宅なども視野に入っているのでしょうか。

 

【室﨑委員】

 そうです。

 

【田中主査】

 そういう面で見ると、余り長周期地震動の話が出てこないんですね。

 

【濱田委員】

 長周期地震動については、この規定では問題があります。というのは、要するに基準を上回るという話をしているからです。超高層マンションは検討範囲に入っていないということでよろしいですね。

 

【田中主査】

 一般室内を対象としています。

 ほかにございませんでしょうか。

 

【鈴木地震・防災研究課長】

 長周期地震動ということで退避行動は変わるかどうかもよくわかりません。どういった状況になるのかも書きづらいので、何が起こって別扱いがどこができるのかというのは、難しいと思います。

 

【田中主査】

 あと細かなところでも結構ですので何かございませんでしょうか。複合的研究の部分で、その言葉がやはりつかみにくいとおもいますが、一体何が複合的なんですか。一つの領域だけではいかないというところだと思うんですけれども、その基礎的研究、複合的研究と言われると、せっかく標語もつくった後の話として、あいまいさを残してしまいますので、何か安全空間を明確にするなどはっきりと書けばよいと思いますが。

 

【林委員】

 それならば被害軽減を目指した実践的な研究とかいかがですか。要するに、英語で言うなら、インプリメンテーション・サイエンスとなり、ベーシックな問題というよりも、社会実装を意図しているような、応用研究と言ってもいいのかもしれない。防災研では基礎研究と応用研究という言い方をしています。

 

【田中主査】

 ねらいは被害軽減を目指した実践的な研究ということですから。

 

【濱田委員】

 「利活用促進のための研究」とは、何を利活用促進するのでしょうか。

 

【富田防災科学技術推進室長補佐】

 退避や避難誘導が可能なシステムを促進するということです。退避行動のシステムに依存すべきでなく自分で考える必要があることから、自動的に避難とか退避を時系列的に示していくようなシステムはできても、人間一人一人が考えるべきということも考えるべきかと思います。

 

【田中主査】

 要するに、一般的な知識だけじゃなくて、個別の状況の中で、それぞれの方が判断をすることを支援するための仕組みをつくろうということですね。

 

【林委員】

 研究成果の社会普及のための方策の研究です。そこも研究にしてほしいです。

 それこそリスクコミュニケーションだとかサイエンスコミュニケーターとか言っているのは、実はそういう部分なので、それはもう何か個人の才能でできちゃうというよりは、やっぱり何かそこもサイエンスの領域にしてほしいとは思います。

 

【田中主査】

 幾つか細かいところでチェックします。

 例えば3ページの(1)の危険要因で、「タンス等の家具については」というところで「転倒率が異なる。」と書いてありますが、「転倒率が異なる。」と書かれても、どうすればよいのでしょうか。もう少し判断基準になるような情報が必要かと思います。

 この4章を読んで5.1を読んでいる、6章と同じことが何か繰り返し出てくる可能性もあるので、例えばこういうところはこの表現でとめてしまって、標語はかなりそういう具体的な条件というのを明示したらどうかと思います。例えば、この報告書の参考資料もしくは別紙として作成した方が、わかりやすいのではないかと思います。

 それからあとは、7ページの「子どもを火から守るために火元への移動や消火行為を行ってしまう。」とありますが、何が問題なんでしょうか、よく分かりません。

 

【富田防災科学技術推進室長補佐】

 女性に多く見られるとの調査もありますが、子どもを守るために、火元への移動や消火行為を行ってしまうということを書いたものです。

 

【田中主査】

 背景ではなく「子どもを守るために火元への移動」という意味がわからない。

 

【富田防災科学技術推進室長補佐】

 検討、修正します。

 

【田中主査】

 それから、例えば10ページの①屋内の一番下の部分で「地震時の人間の行動能力の低下により、廊下等で、つまずいて転ぶなど安全空間でも危険空間になり得る。」とありますが、人が殺到する廊下、しない廊下というものがよく分かりません。

 

【富田防災科学技術推進室長補佐】

 書き方について検討します。

 

【田中主査】

 その部分の後に「危険空間になり得る」と書いてありますが、どうしたらよいのかよく分かりません。身を低くしなさいということかと思いますが、推奨行動についてを何か入れといていただいたほうがいい。

 それから、11ページで、消火設備の設置等に書いて、内容はこれでいいと思うんですけれども、阪神では死者の9人に1人、8人に1人は火災だったわけですけれども、被害想定によると相変わらず火災の危険性があるということはどこかにうたっても良いと思います。

 マイコンメーターは実際に、東大の場合だと212カ所設置されていますが、逆に言うと、建物に1個ということですから、10階建てぐらいでも1個しかない状態です。マイコンメーターの先に残ったガスももんだいですし、建物に1つしかない状態ですので、どこにあるのかもよく分からないこともあります。

 具体的にはさらに、何の火を消すのかということが分からず、この点については、特に学校の先生は悩まれると思います。アルコールランプは、どうするのか。

 それから、6.2.5のデマのところは削除します。

 

【林委員】

 田中主査のご指摘に関連して、検討範囲をどこかで定義した方が良いと思います

 最後の、隣近所の助け合いとか、デマ、うわさに惑わされないなどは、10カ条では触れられていますが、ここの当面の対象は、この火災のところまでとしたいと思います。

 

【田中主査】

 主要動到達までの時間が不明な場合というので、安全空間に速やかに移動しなさいと書かれていますが、揺れる前ならよいですが、移動の途中で危険なところで遭うのもよくありません。ここは、書き方が難しいと思います。

 

【室﨑委員】

 あと何秒後に来ますというようなところまで言ってくれるものであれば、その時間に応じてやることが変わってくると思いますが。

 

【田中主査】

 安全空間という概念は良いと思いますが、そこに到達するまでの間に危険にさらされることも十分に考えられます。

 

【林委員】

 地震速報が出たら、これまでどおりの机の下でもいいと思っています。

 それはなぜかと言ったら、緊急地震速報が出て、避難する時間があるような地震というのは大体震源が遠いわけですから、せいぜい揺れは5強どまりですから。

 緊急地震速報というものの意味もそれでクリアになるし、また何かの拍子で震度5ぐらいでも、非構造部材が落ちるような危険はありますから、何かシェルターの代わりになるものだったら、緊急地震速報が出たら、机の下にすぐ避難でもよいと思います。緊急地震速報が出てという条件がつくなら、今までの知恵として、机の下に隠れるという標語は生きるだろうと思います。

 実際、それよりも大きな地震となれば最初から主要動ですから、みんなガーンと来て    わけですよね。だから、普通のカタカタからグラッというものではないと、多くの人が証言しています。カタカタ、グラグラと余裕があれば机の下に潜ればよいし、いきなり大きな地震がくれば、しゃがんで頭を守るぐらいしかないと思います。

 

【濱田委員】

 東海地震の時の初期微継続時間は、東京で30秒くらいでしょうが、南海地震時において四国地方では殆ど初期微動継続時間はないでしょう。

 

【田中主査】

 初期微動継続時間内で揺れるまでに余裕があるときには確かに行動に移せると思います。

 それと、あとちょっとよくわからなかったのは、15ページの(1)現状における課題というところでの「防災への協力」という言葉の意味がよく分かりません。

 それから続いて「防災・減災に関係している機関は、各自の責任を明確化した上で」という内容もよく分かりません。

 

【富田防災科学技術推進室長補佐】

 その点については、それぞれの機関の所掌があり、その責任を負うべき部分がありますので、各機関が連携しつつ、担当範囲の重複もないかわりに漏れもないようにしなければならないという意図です。

 

【田中主査】

 趣旨はわかりました。

 多分、もう一遍ゆっくりと読まれると幾つか出てくるかもしれませんけれども、とりあえず大きな話として、方向性としては大体一致をしと認識しています。

 

【南山防災科学技術推進室長】

 6-2のほうで、今までの議論を踏まえて確認させていただきたいのは、大きなところで項目を出しているわけなのですけれども、6.の(5)は今のご議論の中で、削除するということになろうかと思います。

 それから、問題解決に向けた研究の内容のところも、基礎的な研究の次の(2)は被害低減を目指した実践的な研究、それから(3)が社会普及のための研究ということでよろしいでしょうか。

 

【林委員】

 「研究成果」と前に付けた方が何を社会普及するか分かりやすいのではないでしょうか。

 

【南山防災科学技術推進室長】

 この基本的考え方の検討範囲の中で、「一般的な室内空間」ということですが、長周期地震動については、今回は含まないということでよろしいですか。

 報告書のほうには、そこは書いたほうが明確になるとは思うんですが、この意味する「一般的な室内空間」というのは、そういった超高層のところは含まないという意であるということは、わざわざこの1枚紙に書く必要はないかなというふうに理解しております。

 

【濱田委員】

 長周期地震動により超高層マンションについて危険性が指摘されているのに、文部科学省からの報告において対象外というのはよいのでしょうか。

 最低限、これから検討することについて言及しないといけないのではないでしょうか。

 

【室﨑委員】

 よくわからないことをマニュアル化するのも危険でしょう。だから、今後の課題です。

 

【林委員】

 揺れにより人間が動けなくなることは言及していただきましたが、僕はこの前の作業部会でも述べましたが、防護行動と愛他行動、抑止行動、避難行動の4つの種類の行動をするものだと書いてしまって良いのではないでしょうか。

 震度6弱以上になると、防御行動というのが主になって、自分の命を守るだけでも精いっぱいだと思います。それが5弱、5強以下ぐらいになると子どもを守るような愛他行動を行います。抑止行動、火を消そうとしたりとか、家具を押さえたりとか、それから避難行動もとります。人間のとり得る行動は4種類あって、それは揺れの大きさに依存することを枠組みにしたほうが、説明はすっきりするのではないかなと思います。

 

【荒卷委員】

 そう書いていただくと第一線で防災に関するご指導するときに非常助かります。

 

【林委員】

 本質的にその4つ行動を起こすこととし、防御行動を一番ベースに置いて、もう一つ上の層に愛他と抑止と避難おくような2層の関係はあると思います。揺れの大きさによって2層構造のどの部分の行動が出現するのかと言うことだと思います。このような人の行動について、この前の作業部会で人の行動が整理されてよかったと思っています。

 

【鈴木地震・防災研究課長】

 6.1.1の基本認識のところでそれらの行動について言及し、それを踏まえて、それ以降の部分について整理させていただきたいと思います。

 また、本震時の揺れについて検討していましたが、余震については言及がありませんでしたので、追記する方向で検討したいと思います。

 

【林委員】

 応急対応期とか復旧復興期の人間行動についても、将来は研究した方がよいと書いておくべきだと思います。

 

【国崎委員】

 15ページの6.3.1の(1)の中で、「個人でなし得る範囲には限界があり」というところに関してですが、集合住宅や戸建てといった住居形態によって対応は異なると考えます。一例として、マンションのような集合住宅では一般的に推奨されている事前対策を行いたいと思ってもできない場合があります。マンションには戸境壁と間仕切り壁が存在します。家具の固定には強度のある壁が適しているため、戸境壁に固定したいところですが、構造にかかわる箇所でもあることからむやみに釘を打つことができません。そうなると間仕切壁に固定することになるわけですが、強度に不安があり、補強板を事前に設置しているマンションは多くはありません。そういった状況で、この報告書を出したとしてもマンションに住む者はどうすればよいのかという声がでてくることはさけられないと思います。一般的な防災対策は、戸建ての住環境から視点で言われることが多いように思います。災害時に特有の被害が想定されるマンション居住者向けの対策の情報が乏しいという状況にあります。

 法的な面からも現状では対策をしたくてもできない「個人でなし得る範囲には限界があり」ということを私達は認識した上で、その後の「個人の退避行動を効果的・効率的なものとする環境づくり」について提言する必要があると思います。

 

【林委員】

 先ほど長周期地震動のことで、高層マンションの話をされましたけれども、今の居住形態そのものが、昔のような戸建てから集合住宅化していて、低層もあれば中層もあるし高層もあるというような中で、いろんな問題が発生します。ハザード側からいえば、長周期地震動のことを考えることもあるし、住む側からいうと、そういう間仕切り壁に固定をしなきゃいけないような問題もあるというので、今後そのような問題を総合的に取り扱うようにすればよいと思います。

 

【鈴木地震・防災研究課長】

 対策が手薄になっている部分や至急進めなければならい課題もありますが、長周期地震動問題については優先的に行う方向で考えております。現実的に対策が手薄なところは早く研究を進めるという書き方になると思います。

 

【田中主査】

 そろそろ時間となりますが、最終回まで2ヶ月あるとのことですので、先生方にはもう一度報告書をご確認いただき、事務局にご負担をかけますが、しっかりとまとめていただきたいと思います。特に、将来の研究課題としてしまっている部分も多いので整理していただきたいと思います。

 また、この資料6-2を一部修正していただいたものを委員会で報告する予定になっているようでございますので、ご了解いただければと思います。

 2時間にわたりましてありがとうございました。

 事務局から連絡事項等ありましたら、よろしくお願いいたします。

 

【 議題2 その他 】

 

【事務局】

 次回の日程につきましては、後日、日程調整をさせていただきまして、ご案内いたします。以上でございます。

 

【田中主査】

 それでは、以上をもちまして閉会いたします。ありがとうございました。

 

以上

お問合せ先

研究開発局地震・防災研究課防災科学技術推進室

(研究開発局地震・防災研究課)