研究評価部会 研究開発評価システム改革検討作業部会(第3回) 議事録

1.日時

平成21年7月28日(火曜日) 14時~16時

2.場所

文部科学省 3F2特別会議室

3.議題

  1. 研究開発評価システムの改革について
  2. その他

4.出席者

委員

(委員)
平野主査、阿部委員、伊地知委員、小川委員、北川委員、栗原委員、黒木委員、小林委員、小間委員、武田委員、沼尾委員、野田委員、山本委員
(協力者)
林大学評価・学位授与機構准教授

文部科学省

泉科学技術・学術政策局長、小松科学技術・学術総括官、中岡政策課長、柿田計画官、苫米地評価推進室長、沼田計画官補佐

5.議事録

【平野主査】  お忙しいところを第3回の科学技術・学術審議会研究計画評価分科会研究評価部会研究開発評価システム改革検討作業部会を開催いたします。前回、大変貴重なご意見をいただきました。その後、また委員の皆様方に事務局からお願いをいたしまして、ご意見を出していただいております。大変貴重なご意見をいただきまして、ありがとうございました。私もずっと見させていただきまして、事務局のほうでご意見を中に取り込んでいただきました。少し項目によって動かしたところはありますが、出していただいたご意見はこの中に入れていただいております。きょう、この意見整理をいただきましたものをもとにして審議をし、できればきょうこれで取りまとめを終わりたいと、こう思っておりますので、ご協力方よろしくお願い申し上げます。

 それでは、審議に先立ちまして、事務局に人事異動がありましたので、ご紹介お願いします。

【苫米地評価推進室長】  はい。事務局に人事異動がございましたので、ご紹介させていただきます。

 まず、小松弥生科学技術・学術政策総括官でございます。

【小松総括官】  小松でございます。よろしくお願いいたします。

【苫米地評価推進室長】  続きまして、中岡司政策課長でございます。

【中岡政策課長】  中岡です。よろしくお願いいたします。

【苫米地評価推進室長】  以上でございます。

【平野主査】  どうもありがとうございました。

 では、続きまして、事務局より配付資料の確認をお願いします。

【沼田計画官補佐】  議事次第にございます配付資料でございます。まず、資料1-1でございますが、「研究開発評価システム改革の方向性について(審議のまとめ)(案)」、資料1-2がそれの見え消し版でございます。資料1-3が前回の作業部会の主な意見。資料2といたしまして、この審議のまとめの概要、パワーポイントのものでございます。参考資料でございますが、こちらは以前にお配りしている資料でございます。参考資料1がデータ。参考資料2が研究評価部会のほうから出てまいりました主要論点。参考資料3が「科学技術基本計画(抜粋)」。参考資料4が第1回の作業部会の主な意見でございます。それと、机上配付資料といたしまして、文部科学省における研究開発に関する評価指針と、それと事前にお送りいただきました先生方の意見を整理したものでございます。こちら、左側が資料1-2と同じ見え消し版で、右側でございますが、緑のお名前のところが今回いただいた意見、黒のお名前が前回いただいた意見という形で整理をさせていただいております。

 以上でございます。

【平野主査】  ありがとうございます。資料のほう、よろしいでしょうか。

 それでは、議題1の「評価システムの改革について」に入っていこうと思います。

 前回の作業部会におきまして、評価システムの改革の素案についてさまざまなご意見をいただきました。また、会議終了後には、「評価文化の醸成」を中心に各事項についてのご意見を提出していただいております。改めて御礼申し上げます。

 本日は、これらのご意見を整理し、事務局において評価システム改革の審議のまとめ(案)を作成していただいております。これに基づいて審議をお願いしたいと思っております。なお、先ほどお話しいたしましたように、本日が当初予定しておりました最後の作業部会となりますので、できましたら、本日の審議をもって取りまとめをしたいと考えております。審議の進め方といたしましては、まず事務局より前回の素案からの変更点を中心に説明をいただきまして、各事項に沿ってご意見をいただきたいと、こう考えております。

 それでは、事務局から資料の説明をお願いします。

【苫米地評価推進室長】  それでは、資料1-2の見え消しのバージョンでご説明をさせていただきたいと思います。いただきましたご意見、前回のご議論等を踏まえまして、事務局のほうで訂正・加筆したものにつきましてご説明を申し上げます。

 まず、「はじめに」の3つ目のポツでございます。こちらの表現といたしまして、ご意見として、研究コミュニティが抱える課題の解決を推進して、研究コミュニティの活性化に寄与するというのが研究開発評価に求められているというご意見等ございましたので、このような文言で表現をさせていただいております。また、「社会からの信頼とさらなる支援を得る努力が求められる」ということも加えさせていただいてございます。

 続きまして、ページをめくっていただきます。2ページのコラムの枠の1つ上のポツでございます。ご意見の中で、「評価疲れ」という文言についてぜひ本文中で記載をお願いしたいというものがございましたので、こちらの「基本的考え方」の中において入れさせていただいたものでございます。「これらの評価システムの再構築を通じて、評価の透明性をさらに確保するとともに、いわゆる『評価疲れ』を生じさせないようにする」という表現にしてございます。

 その下の(注)は文言の注でございます。

 以下、文字訂正を若干書き加えたりしてございますが、次のページ、3ページに移っていただきます。3ページは、〈施策〉のところで、その施策の評価というものについての説明がなかったものですから、そこについて、その評価というのは、下位のプログラム・制度が施策目的などに適切に構築されているか、そういう観点からの評価を行い、その後の施策の改善に用いるという文章を加えさせていただいております。

 次に、5ページに進んでいただきたいと思います。前回のご議論の中で、評価という言葉について、あるいは階層についての説明がなされているが、一貫性という観点から、それぞれの事前評価、中間評価、事後評価等についてコラム的なものが必要なのではないかというご意見がございまして、3.として「一貫性のある評価とマネジメントの実施」ということで項目を1つ立てさせていただいております。この項目では、事前評価、中間評価、事後評価、また、追跡評価につきましてのそれぞれの定義的なものをコラム的に設けさせていただいてございます。

 また、3つ目のポツでございます。ここには評価の一貫性ということで、評価の考え方など、連続性と一貫性の維持を図る工夫をするということで、「評価者のうち1、2名は責任を持って継続して評価を行う仕組みを確立する」という文言がございますが、これは前回の案で、3の評価者の人材育成のところに書かれていたものでございます。評価の一貫性ということで、この項目に持ってくるほうが適切であろうということで、こちらに移動してございます。

 コラムの中身でございますが、事前評価として、事前評価は、施策・プログラムに関しては、位置づけ等、また、プロジェクトに関しては実施の必要性等を評価する機能で、予算の資源配分に関する意思決定に寄与すると。また、その結果は、事前評価段階で事業の意義、目的・目標等を明確にして、中間評価、事後評価と適切な関係を持たせるシステムを構築することが重要であると。

 中間評価については、事業が計画どおり効果をあげているか、効果をあげる条件が充足されているかなど進捗状況などを評価する機能であると。その中間評価は、関係者間で事業の方向性などを確認する機会、また、被評価者が専門家から有益なコメントを得る機会として重要であるというものでございます。

 めくっていただきまして事後評価でございますが、事後評価は、目標が達成されたか、得られた成果等を評価する機能でありまして、事後評価は、目標の達成状況についての確認もさることながら、次の事業に活かすための知見を得ることが重要であると。また、評価対象の質の保証を兼ねていて、被評価者の実績となるとともに、別の形での評価に利用され、次の研究開発への資金供与の機会に結びつけることが重要であると。

 続いて、追跡評価でございますが、追跡評価は、終了後長期間を経た後に効果があらわれる事業について、事業終了後の適切な時期に行っているものでございます。主として施策やプログラムあるいは大規模プロジェクトが対象となりますが、上位の政策を見直す機会を与える機能として重要であると。追跡評価の時点で、評価等が適切になされたかという「評価の評価」を行うことは、評価システムの見直しや評価者選定の妥当性を確認する機会として有用であるということで、以上、「一貫性のある評価とマネジメントの実施」ということで1項目を改めて設けさせていただいております。

 続きまして7ページでございますが、これも文言の修正を若干加えさせていただいているところでございます。

 続きまして8ページでございます。8ページの2つ目のポツのところでございます。これは前回までのご議論の中で出ておりませんでしたが、新しく加えたパラグラフでございます。評価の方法の設定においては学問上の特性を踏まえることが求められるということで、論文数でありますとか研究費等を評価の代替指標として用いることには限界があり、定性的な評価を中心とした評価システムを構築していくことが重要であるということで、これは改めて設けさせていただいたパラグラフでございます。

 8ページの下でございますが、ここは表現を若干修正させていただいてございます。青文字で消しているところの表現でございますが、研究計画が既存の研究領域に変革をもたらし新たな研究領域を創出する研究であるかを重視して、マネジメント能力を有しているか評価するということで、これは次のところにございますが、トランスフォーマティブという考え方にもつながっていくものでございます。

 それで、9ページでございますが、「トランスフォーマティブとは」ということで、前回ご議論いただきまして、これもコラム的に説明文が必要なのではないかということで、これは小林委員のほうにお願いをいたしましてこの文章を作成していただいたところでございます。トランスフォーマティブとは、研究活動では、事前に目標を定めて、それを達成して着実に成果を積み重ねていくことが期待されているが、予期せぬ成果によって研究活動に大変革が起きたり、予期せぬ副次的成果がきっかけとなって新しい研究領域が開拓されるなどして、科学技術が発展してきたことも事実であるということで、ハイインパクトな研究の多くはこのような研究であって、研究コミュニティは元来、このようなものに敬意を表してきたと。事前評価のピアレビューにおいては、評価者はこのような価値観を共有して暗に配慮してきたと思われるが、だんだん研究評価が精緻になり、評価項目が詳細に定められるようになると、トランスフォーマティブな可能性を評価に反映しにくくなって、結果的にはハイリスクな研究開発が評価されにくくなる可能性が出てきたと。事前評価に際しては、研究活動のトランスフォーマティブな価値を再確認する必要がある。事後評価、追跡評価においては、目標管理的な評価を実施することがもちろん必要だが、たとえ事前に計画した目標が達成されなかった場合でも、予定外の副次的な成果や多分野への波及効果など、トランスフォーマティブな結果を積極的に評価することが必要であるということで記載をさせていただいております。

 めくっていただきまして10ページの真ん中でございますが、「研究者の将来に夢を持てなくなった優秀な大学院生・学位取得者の研究者離れが増加している」という文言がございましたが、これはちょっとデータ的なもの等裏づけるものがないということもございますので、この文章は一応削除させていただいております。

 また、10ページの下でございますが、ポスドクのQOLをきちんと考えた評価が必要で、今の状況ではアファーマティブに行うことが必要ではないかというご議論がございました。それで、事前評価においてポスドクが適正な環境・条件のもとに雇用されているかどうかというようなものについて要件とすべきであるということと、中間・事後評価においては、これらの状況が良好であるかどうかを含めて評価を行うということを加えさせていただいております。

 めくっていただいて11ページでございますが、ここでは、女性の研究者に対する配慮が必要であるということで、それらについての文言を加えさせていただいてございます。

 以下、文言の修正をさせていただいておりますが、12ページでございます。こちらも新たに加えさせていただいた項目でございます。(4)として、これはご意見をいただきまして、「研究コミュニティの活性化を促進する評価の視点」ということでご意見を賜りました。ご意見としては、人材の流動性、価値観の多様化というものを重視するということのご意見でございましたが、こちらの形で取りまとめさせていただいて記載をさせていただいております。これにつきましては、今回、前回出てきておりませんので、またご意見等いただければと思います。研究コミュニティの活性化を促進する評価の視点として、独創的な研究や新たな研究領域の開拓を促す価値観の融合を活性化するために、既存の研究グループや研究プロジェクト等の枠組みを超えた、コミュニティの動的な研究展開を促進する評価とすべきではないかということでございます。

 世界のトップ水準の独創的な研究、また、新たな研究領域の開拓を促すためには、多様性が必要であるということで、異なる価値観の融合が実現されることが重要だが、なかなかそれは評価に十分には留意されていないのではないか、構成員が固定化されてしまうのではないかと。いわゆるタコつぼ的になっているということで、枠組みを超えた動的に展開する研究活動が適正に評価されない可能性があるというのが問題意識でございます。

 (具体的な方策)としましては、事前評価においては、多様な経歴・分野の研究者による研究実施体制が構築されているか評価すると。事前に登録されていない人材との共同体制が評価の対象範囲外となることなどで阻害されないように評価をしていくことが重要であるということでございます。また、評価対象のプロジェクトを超えて、別のプロジェクトの成果に結びつくような波及性も含めて評価をする必要があるということでございます。と、文言の修正をさせていただいております。

 また、13ページでございますが、これはご意見いただきました「外国人」という表現を「海外で活躍する研究者」というものに変えさせていただいております。また、赤くなってございますところは、研究アイデアの流出の問題もございましたので、そこで、評価者を選任する場合については、被評価者からの意見を聞くなどして留意する必要があるということで、それを加えさせていただいております。

 めくっていただきますと14ページでございます。ここは、マル6というのを1つ加えさせていただいてございます。これは、事後評価結果を次の研究開発に適切につなげていくためのシステムを整備するということで、これは大綱的指針の中にも出ているということがあって、ここに記載しておく必要があるというこの前のご議論がございましたので、一文加えさせていただいております。

 また、その下でございます。14ページの一番下ですが、評価にはやはりお金がかかると。それなりの投資が必要であるというようなご議論がございまして、一文を加えさせていただいてございます。実効性を上げるためには評価に対する投資が不可欠であるということで、必要な資源を確保して評価環境を整備する必要があるというものを加えさせていただいてございます。

 15ページの下の欄でございます。青く消えているピアレビューに関する事柄につきましては、これはちょっと順番を変えたというだけでございまして、15ページの一番下のところにございますが、少し移動させていただいてございます。

 めくっていただきますと16ページでございます。ここは、先ほど申し上げた「基本的考え方」の「一貫性のある評価とマネジメントの実施」のほうに移動させていただいている文言でございます。このパラグラフが前のほうに移動してございます。

 また、評価専門人材についてでございますが、ここの評価専門人材のコメントにつきましては、PD、POも含めて評価専門人材ということが言えるので、まずここで述べているのは、資金配分機関等における常勤職員として評価の専門部署で業務を行う人材というものについて述べているということを加えたものでございます。

 それと、次のポツでございます。この前の人材育成に関するいろいろなご意見を賜りまして、内容的に具体的なものもあったわけでございますが、人材の養成システムの構築について検討するということで、一文としてまとめて加えさせていただいております。

 続きまして17ページでございます。17ページ、PD、POについてでございますが、PD、POについても意見をいろいろいただいてございますが、PD、POの実際役目を担っていただく方々の支援というものが必要であろうというご議論がたくさん出ていたわけでございます。それで、2番目のポツの3行目からになりますが、「たとえば、間接経費等を活用し、本務での教育・研究活動を補完する措置を講ずるなど、この方策への取り組みを円滑にできるような仕組みを検討する」ということで、これは研究開発機関等において検討するということで加えさせていただいてございます。

 また、非常勤のPOに対しては、POや所属機関に対して適切な支援を充実すると。これは国等はそういう充実をする必要があるということで加えさせていただいてございます。

 17ページの下のところでございますが、これも言い回しを若干変えさせていただいてございます。「評価活動を通じて、被評価者・評価者の双方の立場にある研究者間で研究の意義、実現すべき目標の共有を図っていくことも大切である」ということで変えさせていただいてございます。

 変更点については以上でございます。

【平野主査】  はい、ありがとうございました。

 委員の方々のご意見を取りまとめて入れていただいております。あと全体ではご議論いただこうと思っておりますが、項目のところ、事項に沿ってご意見を賜りながら次々と進んでいきたいと、思っております。

 まず、第1番目の「はじめに」というところと「基本的考え方」について、ここの事項でご意見があったらお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。こういうところでよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、これを基本としてまとめといたします。

 続いて2番目であります。2番目の「評価システムの当面講ずべき改革の方向性」のところの「1.評価の観点・基準・視点」について、この事項でご意見があったらお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

【平野主査】  次のところ、「効果的・効率的な~」ところ以降と思っておりますので、このページでいきますと、もう少し先へ進んで見ていっていただいて、13ページの2.のところ、ここまでを含めてご意見いただきたいと、そう思っております。6ページから13ページの上です。

 どうぞ、小間委員。

【小間委員】  12ページの一番下のところに「世界的ベンチマークを行うことや、分野による違いを十分に考慮せずに世界的に標準な評価方法を求めることには問題があり」という、かなりネガティブな記述がありますが、「世界的視点」をポジティブに捉えた記述が必要だと思います。いたずらに世界的なベンチマークを使うことは私も賛成ではないのですが、ピアレビューで評価をするときに、世界の中で見てトップレベルにあるのか、あるいは世界の中ではまだちょっと足りないレベルなのかという、そういった視点できちんと評価していくことが重要だと思います。単に良い成果を挙げているという評価だけでなく、世界的な指標といいますか、世界的スケール、尺度で見たときに、優れた成果であるという評価をするべきだというポジティブな書き方が必要ではないかというのが意見です。

【平野主査】  ありがとうございます。そういたしますと、今の最後の行のところに行けば、「世界的ベンチマークを行うことや、分野による違いを考慮した上で」、そういうようなところを入れたらいいですか。

【小間委員】  はい。

【平野主査】  「考慮した上で、世界的尺度で評価することも必要である」と、そういう文章でよろしいでしょうか。

【小間委員】  はい、そういうことだと思います。

【平野主査】  わかりました。では、今のように、小間委員のご指摘で修正させていただこうと思います。

 そのほかいかがでしょうか。

【野田委員】  同じところなのですが、13ページの上のほうに(具体的な方策)で、「しかしながら」ですが、「しかしながら、我が国では……」とあり、「評価は導入されたばかりであり」という、何かそんな感じはしないので、この行は削って、「しかしながら、第一線の研究者からの」とつなげたほうがいいと思ったのですが。

【平野主査】  海外で活躍する研究者を評価者に含む評価というのが、まだ近々だったと思いますが、ここはないほうがいいと。

【小間委員】  参考までJSTの例を申し上げますと、今から2年ほど前にERATOプログラムの審査には海外の委員を入れたのですが、そのときにも相当議論があって、この下に書いてあるように、まだ公開されていない情報が海外に出ていくことに対しての担保をどうするかが問題になり、相当悩んだ結果、いわば試験的に入れているというのが現在の段階なのです。

【野田委員】  よろしいです。

【平野主査】  よろしいでしょうか。私も印象はそういうような印象だったものですから、いいと思って。よろしいですか。

【山本委員】  すみません、その点なのですが、ERATOは、前は評価委員会に外国の方をなるべく入れるようにしていて、海外で活躍する日本人ではなく、ほんとうの外国人を招待していたのですが、ある時期からJSTの方針でやめようということになりました。やはり海外の審査員を入れることの難しさ、その審査のやり方の難しさというのがありますが、これは昔から行っていたと思います。

【北川委員】  例えば国研の分子科学研究所はずっと何十年も海外の評価者を入れています。

【平野主査】  それ、自己評価です。

【北川委員】  自己評価というか、そうですね、入れていますよね。

【平野主査】  自己評価はあると思いますね。どうしましょう。

【北川委員】  ここで言っている2ポツの評価というのは、どういう意味ですか。

【小間委員】  ここでの評価の流れは、下のほうのアイデアが流れるとかということが書いてあるのは、競争的資金の事前評価のことを指しているように思います。

【北川委員】  確かにそう言われるとそうですね。ERATOは最近は全部英語でプレゼンを行っています。

【黒木委員】  WPIに関しましては、ワーキンググループというのをつくって、一つ一つのプロジェクトに6、7人入り、半分が外国人です。東北大に関しては北川先生がその委員に入っておられますが、3人はたしか外国人だと思います。データが漏れる可能性から、ほんとうに第一線の人が入ってくるというのはかなり大きな問題になると思っています。

【平野主査】  今のところは、文章としては3ポツの赤では、研究アイデアが流出しないように配慮するというところで入れてありますね。これでいいですね。

【黒木委員】  それでいいと思います。

【平野主査】  先ほどのご指摘の2つ目のポツの「我が国では、海外で活躍する研究者を評価者に含む評価は導入されたばかりであり」というのは、ここは除いて、「我が国では、第一線の研究者からの率直な」のほうがいいのではないかと、そういうご発言だったのですね。いかがでしょうか。そのほうがいいでしょうか。

【武田委員】  関連してよろしいですか。

【平野主査】  はい、どうぞ。

【武田委員】  この段階での表現にどうするかというのは今のような方向でいいかと思いますが、少し混同があるのではないかと思いますのは、理研でも非常に外部評価というのを重視しておりまして、しかも、その外部というのは半分以上は外国人というのを長年行ってきております。やはりそれがすべていいかどうかという常に議論があるところなのですが、まず、先ほどの評価というのを、事前評価と中間評価とか事後評価とか、一言で評価というものをフェーズごとのものできちんと区分されています。基本的にはやはり国益もあらゆることを考えたときに、パフォーマンスに関しての評価は、これは大いに外国人を入れて、お手盛りにならない、どこから見てもこの実績、水準はこうであるというところは、積極的に海外のベンチマークから、あるいは海外の人の評価を入れると。しかし、これから行おうとしている、ここで出ているアイデアの流出、戦略的な今後のことについては、あまり無原則に外国の方を入れることはいかがなものかというのが、我々の経験からすると、まだこれから行おうとしていることを「どう思いますか」というような評価のところにあまり外国人を無原則に入れるのはよくないのではないかというようなことが1つだったのです。

 あとは、そういう方を選任するという選出プロセスにおいて、基本的には個人的なパーソナルなリレーションというのが、あまり変なことをしたらコミュニティの中で問題になりますよというような暗黙の、あの人が推薦してくれたのだから入ったとかということも含めて、パーソナルなクレジットが機能するようにしておかないと、「ある機関であなたを選定しました」とすると、お客さんになって、いいようにやられる可能性があるのではないかというような感じがしております。この表現はこれでいいかと思いますけれども、ただ評価に外国人を入れるか入れないかとしてしまうと、今ここで問題になっているような点が、このレポートになってほかの人が読んだときに伝わるのかなという気がしたので、一言だけ。

【平野主査】  わかりました。ありがとうございました。

 はい、どうぞ。

【伊地知委員】  私も、今、武田委員がおっしゃった点が非常に重要で、同じように思っておりました。ただ、ここの2番目のポツの意図というのはやはりあると思いますので、例えば、今、「評価」とあるところを、「事前評価・中間評価は本格的に導入されたばかりであり」ということにして、以前から行っているところもありますし、それから機関で、自己点検・自己評価のところでは理研のようにされているところもあるので、そこも踏まえた上で、今のように事前・中間ということに限定した形で入れてはどうかと思います。

【平野主査】  わかりました。少しご懸念があったのは、導入されたばかりかなど、ここのところでもありましたので、例えば、「海外で活躍する研究者を評価者に含む評価においては」と。「評価では、第一線の研究者からの率直な意見が得られる反面」と。申しわけないのですが、この「導入されたばかりであり」というところを削っておく。趣旨は生きて次のポツにつないでくると思いますので、よろしいでしょうか。それでは、そういうように修正をお願いします。

【小間委員】  もう一つ、「しかしながら」の後に、「事前評価においては」と一言限定していただくと、さらによろしいかなと思います。

【平野主査】  そうですね。今もご指摘があったように、「事前評価においては」と。

 そのほかいかがでしょうか、この項目。はい、どうぞ。

【武田委員】  12ページのもう一つの前の新設の(4)ということで、私、かなりおくれぎみに、十分な議論なしに私自身のコメントを書かせていただいたものをこういう格好で入れていただいたので、その点については納得しているのですが、ただ、表現ということで言いますと、私自身の意見はある意味では私個人のオブザベーションに基づいたもので、必ずしも全体皆さんの印象がいかがなものかなというところがあります。というのは、私自身がもともとここに書いた文章そのものは若干強い表現があって、(現状と問題意識)については、「世界トップ水準に向けて日本の科学技術研究コミュニティの活力を増すためには、学歴・職歴を通じての人材の流動性の低さが隘路があり、若手人材の囲い込みや権威主義といった弊害を生んでいる」と、ここまで書いているのです。こういった認識が現状の問題意識として的確であるかどうかについて若干委員のご意見を伺えればと思います。非常にこれは狭いところでの、こういうところで取り上げるべき状況でないとするならばいいのですが、今日の最終文案にはそういった部分よりは非常に丸まった表現になっているので、必ずしも提言的なインパクトがあるのかなと思います。といいますのは、今、幾つか、いい、悪いは別にして、日本の国の科学技術の予算の配分において一部の大学にかなり集中的に資金が寄っているのではないかと。これは欧米とベンチマークすると際立っているので、それは日本の国情からすると、それが適切かもしれない。私は別にそれ、いい、悪いと言うつもりはないのですが、しかし、学歴的に比較的流動性が低いというのは、科学技術のコミュニティとしては活力上問題ではないかということは指摘をしていきたいと思って、そのような意見を書きました。ただ、それは皆さんのご賛同を得られなければ取り下げるのはやぶさかではありませんが、いかがでしょうかという点です。

【平野主査】  はい、どうもありがとうございます。ここのところ、活性化を促すという点においてもう少し踏み込んだ内容でもいいのではないかと、こういう提案であります。

【武田委員】  融合、連携という言葉は、ここ何年もの間、文科省のプログラムには必ず、融合が大事であるとか、連携が大事であるというのはお題目のように言われてきているので、この最終文案を読むと、そういう意味では少し私が提起したような問題意識は反映されていないのではないかなということもありましたので、申し上げた次第です。

【平野主査】  そういたしますと、今のコミュニティの活性化のところにそれを(現状と問題意識)のところで入れておいたほうがいいと、こういうことでしょうか。

【武田委員】  はい、問題意識ということで。

【平野主査】  問題意識のほう。

【武田委員】  はい。

【平野主査】  その点についていかがでしょうか。

【黒木委員】  集中の問題。

【平野主査】  そうですね。いや、集中というよりは、今の人材の囲い込みというのか。

【武田委員】  そうですね、囲い込みというか、流動ということですね。

【平野主査】  流動性がないという、そちらのほうです。

【黒木委員】  全く私もそのとおり賛成です。日本の大学の公的資金の順序を1位からずっと言っていきますと、10位が神戸大学で、東大の15%なのです。ところが、アメリカでもイギリスでも35%は行っている。20位でもそのくらいです。

【武田委員】  なだらか。

【黒木委員】  なだらかなのです。それが人材の囲い込みになるし、人材の流動性をなくし、研究の多様性をなくし、研究員の多様性をなくすということで、先を考えると非常に重要な問題だと思っていますので、それをどういう形でここに入れるかというのはまた非常に難しいと思いますが、今のご指摘は非常に大切なことだろうと思います。

【平野主査】  人材育成の面でも、この評価の人材ですが、全体の育成の面でも委員会でも当然指摘はされておりますが、ここで「促進する評価の視点」のところに入れるといかがでしょうか、これは何かそういう視点で評価をするのだという印象が出てくることはあり得ないでしょうか。内容は非常によくわかりますが、どうでしょう。

【黒木委員】  私も言いながら、非常に文章が難しいし、あまり入れるべきではないと思っています。結局、審査は非常に公平に行われているのは前提で、その結果としてできているわけですから、その結果をどのように是正するかというのは、評価とはまた別のレベルになりますので、言葉としては非常に難しいことになると思います。

【平野主査】  そうですね、難しい。過度の集中を避けると、いつもこのような話が出るのですが、それでしたら、もっとマトリックスとして人数も研究者も多いところが数が多く、件数としてもらって当たり前なのだというのもあり、これを言うことは正直難しい。

【山本委員】  今、お話があった12ページの赤で出てきたところ(具体的な方策)で最初のポチのところを読んでみて、2番目の文章が非常にわかりにくいと思います。問題意識として、大学院生や博士研究員がプロポーザルの中に正式なメンバーとして取り入れられていないということを前回も少しお話ししたのですが、実際は多様な人間によってプロジェクトが担われているのだということで、その前段のところは事前評価によって研究課題を実施するために多様な経歴・分野の研究者による研究実施体制が構築されていることを評価するというので、大変よくわかって、すばらしいことだと思うのです。しかし、2番目の段落では、過度の形式主義ということをお話しになっているのです。ここは、研究を実施していく中で中間評価、モニタリングをするときに、テーマにより、発展によって、その組織が柔軟に変わっていくということを、それもポジティブに評価しようということが書き込めるといいのかな。私が勝手に考えるとそういうことで、私はその意見に賛成です。

【武田委員】  次に申し上げたいと思ったのは、具体的な方策の表現が最終的にいろいろ配慮されて、何とかに留意すると。形式的に陥らないようにと、このようなまとめ方になっているのですが、これも限られた視野で一部評価委員をやっている分野ではよく申し上げるのですが、最終報告書、その他で、最近はどれだけの人材を育てたかという、人材育成ということが一つの研究プロジェクトをやる上でも重要な課題であるということが積極的に取り入れられてはいるのですが、そうすると、各プロジェクトが大学院生何人ぐらいこういうことに従事して、どれだけ育てたということを成果として書かれているのです。そのときにいつも申し上げているのは、これはこのプログラムでお金をもらった先生が積極的に指導して、そこにある意味で正確に参加した人員としての把握ですかと。例えば機械工学科のA教授が中心になってあるプログラムをやっているところへ電気工学科の学生がおもしろそうだなと思ってのぞきに来て、必ずしもそのプログラムのお金は使わなかったけれど、そのそばにいてそれに関連した研究をやったとかというような、この国の投資に対して波及的に、学科を超えて、あるいは学部を超えて、あるいは大学を超えて、こういうお金をもらった人のそばで、「きっと重要なことをやっているから」と人が寄ってくるようなアクティビティくらい起きたらいいのではないかと。そういう意味からすると、成果報告の中にも、このお金で養ったわけではないけれども、別の学科においてこういう研究が始まったとか起きたとか、トータルではどれだけの大学院生がこのアクティビティの周辺に参加したというようなことを、留意というよりは積極的に評価する視点が必要ではないかというふうに私は原文では書いたのですが、そういうことは実務的に可能なものとそぐわないものがあろうかと思いますが、いかがでしょうかと。

【平野主査】  今の(具体的な方策)の1ポツの「また、」以下。

【武田委員】  これ、大変表現が難しいのです。

【平野主査】  内容は、先ほどあったようなところで間違いないと思います。少し書き方が難しかった。それを受けて、それゆえにというのがこの2ポツなのです。これはわかるかなと思いますが、今の登録されていない人材との共同研究が評価の対象外となるように阻害されないというのは、要するに、波及を妨げないような柔軟性を持った、そういう組織体系がとれるということだと思いますが、一方、あんまり言い続けてはいけないのですが、研究者のところにずっと枠が決まっていますので、お金などは当然渡せない。

【武田委員】  そうです、渡せない。

【平野主査】  これはもう明らかなところであります。ただ、共同的に意見交換して次に育っていくというのは、これは大いにいいことですが、ここをどう書くかです。「過度の形式主義に陥らず」というのでいくかどうかだけども、わかりますでしょうか、この文章で、どうでしょう。趣旨はよろしいですね。内容はいいですか。何かいい文章がありましたら提案をしていただいて。

【山本委員】  いい文章はないのですが、今、武田先生がお話しになられたのは、発展としてということかもしれないのですが、私ども、5年のプロジェクトをやっていれば、中でポスドクが入れかわるとか、それから研究を一緒にやってくれている大学院生が入れかわる、それからテーマの微調整があるというふうなことは日常茶飯事にあると思うのです。そういうことをモニタリングという中間評価の中で積極的に評価して動いていくのですが、それが前に進んで動いていくということであれば、それは高く評価するということが大切と思います。プロジェクトの柔軟性というか、プロジェクトは生きているものですので、「最初にこう言ったのだから、5年後に最初に提案したままでやらなければいけない」ということではなくて、もっと柔軟性を認めてあげるというようなことをここに盛り込んでいくのはいかがかなというのが、私が申し上げたかったことです。

【平野主査】  そういう意味からしますと、当該プロジェクトにおいて研究期間中に若者の研究者を含めて研究者が育っていくことと。

【山本委員】  そうですね。

【平野主査】  それを高く評価するような点に留意をしてもらいたいと、こういう内容でよろしいですか。

【武田委員】  私はむしろ柔軟性はあると思っていまして、ここで少し強調したかったのは、言葉としては、私は開放性と波及性と原文では書いたのです。ただ、平野主査がおっしゃっているように、その開放性という言葉がそのプロジェクトの資金の使い手としてという意味ではなくて、そこのところは私は逆の懸念を持っていて、資金の使い道も含めて、これはこの人たちは使っていいけど、この人たちは使えないということはきちんとやるべきだと思うのですが、そのきちんとした仕切りがあるがゆえに、そのテーマのそばにほかの人が群がってくるというようなことを阻害してはいないかという問題提起をしたので、それを配慮されて事務局のほうは「阻害されないように」と書いてくれたのだと思いますので、私の言う開放性を余りにも言葉どおりというか、言葉以上に開放性を解釈されると、平野主査がご心配になったように、本来の資金の目的とそれにおいて賄われるべきテーマの境界線があいまいになってしまうような開放性は、私もそれは望ましくないと思うのですが、そこをストリクトすると、今度はほかの人が、お金が要るわけではないが、「おもしろそうなテーマをやっているから、一緒にやりませんか」というような意味での開放性を阻害するのではないかということで、事務局はこういう苦心した表現をされたと思います。それが今の大学においてそれほど阻害要因になっていなければ、私はそれほどこだわるつもりはないのですが、若干、前にもここで申し上げたかもしれませんが、例えばハーバードとMITの最近のあの蜜月ぶりなんかを見ていたり、私どもが今度、脳センターに利根川先生に来ていただいて、MITの利根川先生の研究室を見ていると、いろんなMITの遺伝子工学の学生などが来て一緒に議論しながら、自分たちなりに勝手にテーマをそこの先生のマウスに行ったりというような、開放性が、これはなかなか脅威だなと思ったものですから、最初のタコつぼや縦割りと少し結びつけて、資金ということとは別にせっかくいいテーマを行っているので、周りとの連携を促進していれば、それを積極的に評価したらどうだろうかと、そういう視点で申し上げた次第です。

【平野主査】  わかりました。内容は皆さんよくわかっておられると思うので、今のようなところをこの1ポツのところに入れ、事務局としては言葉で入れられそうですか。また武田先生からも何かありましたら。

【武田委員】  趣旨は理解していただいていると思いますので。

【平野主査】  趣旨はわかっていると思います。私も同じ、当然、研究内容については波及をさせるべきだと。これはだれでもわかっていると思うのですが、今の費用のことで余りにも開放というので間違えるといけない、そこが事務局としては一方では思うところだと。はい、どうぞ。

【栗原委員】  最近、切り分けということをものすごく厳しく言われるので、もう少し簡単に、例えば「事前に」というのを取ってしまい、「研究実施体制の一員として登録されていない人材との共同研究なども実態に即して評価するように留意する」ぐらいで、プロジェクトはプロジェクトできちんと評価して、それ以外の多少波及の部分があれば、それも見てもいいぐらいの簡単な表現というのもあるのではないかと思います。

【平野主査】  そうですね。多分そういうところかと思いますが。では、今のようなところでここの文章化を生かす。2ポツにこう生きていますので、2ポツでは武田委員の内容はここに締めで入ってくると思います。

 そのほか、この事項よろしいでしょうか。はい、ありがとうございます。

 それでは、続きましては、2.の「効果的・効率的な評価手法」、13ページの下ですが、3.のところの「研究開発評価に係わる専門人材の育成」、この項目のところでご意見がありましたら出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか、はい、どうぞ。

【小林委員】  17ページの一番最後のところです。

【平野主査】  はい、赤のところ。

【小林委員】  ええ。PD、POのところですが、(具体的な方策)の2番目のポツのところです。2番目と3番目と言ったほうがいいかもしれませんが、ここの表記の内容がぱっと入ってこないのですが、というのは、PO、PD経験を、キャリアパスとして評価する仕組みを明確化するのは、国・資金配分機関もそうなのですが、むしろ後のほうに書いてある非常勤のPO、PDを出している機関がキャリアパスとして評価する仕組みを明確化して、なおかつ、そのための費用をうまく間接費用等を活用して本務での教育・研究活動を補完する措置を講ずるというような話につなげていき、なおかつ、次のポツのところで、さらに国もそういうことを支援するというような感じの、そういうストーリーではないかと思うのですが、いかがでしょうか。ですから、一番最初の「国及び資金配分機関は」というのは、そうではなくて、むしろ非常勤のPD、POを輩出するというのか、を出している機関はというふうにしたほうがいいのではないかと思うのですが、いかがでしょう。

【平野主査】  ということですが、委員の方々、いかがでしょうか。そうでしょうね。やはり出しているところが積極的に高くその方の努力を評価し、国及び資金配分機関はそれを支援していくということですね。

【小林委員】  各大学等がそういう評価をするためにも、インセンティブとして資金をきちんと出してあげる、そういうストーリーだろうと思うのです。

【平野主査】  どうでしょう。そういうストーリーでよろしいでしょうか。おそらくそういうこと。はい、どうぞ。

【伊地知委員】  もしそうだとすると、小林先生の今のご発言というのは、2番目の「国及び資金配分機関は」と書いてあるところを、例えば「研究開発機関は」というふうにするということでしょうか。

【小林委員】  そういうことです。

【伊地知委員】 それがあるので、3番目のポツが「国及び資金配分機関は充実する」ということだと。

【平野主査】  そうです。そういうふうでよろしいでしょうか。はい、どうぞ。

【武田委員】  表現の問題ではないですが、PD、POの経験をキャリアパスとして評価するということは、プラスにもマイナスにも評価するということですね。PO、PDの経験をたくさん積むということだけでは不足ですよね。その方がPO、PDをやられたプロジェクトの成果を含めて、PO、PDとしての成果は評価されるということになるのでしょうか。評価文化とはそういうところがものすごく関係すると思うのです。ピアレビューにしても何にしても、評価する人が評価される仕組みがないと、形式的になってしまう。

【平野主査】  私、主査としてそれを理解するとしたら、研究機関は、PD、POとして活動をしている方そのもののいい、悪いを含めた評価を持った上でキャリアとして処遇をしていくということだと思います。それがひいては、いい方であれば、そういうところの専門的な人材として育っていくということにもなると思います。今だと、ご存じのように、何か行わなければならない、頼まれたから行うということで、大学なら大学をあけると研究があまりできないというので、最後になったら「何をやっていたのか」ということではかわいそうだと。絶対人は育たないと、こう思っていますので、これが後の人材あるいは評価文化の定着のほうに関連すると思っておりますが、そういう理解を私はしておりますが、よろしいでしょうか、そういうことで。それでは、ここの赤部分の事項を今のような形で整理をするというふうにさせていただきます。よろしいでしょうか、ここは。

 では、次は4.の17ページ真ん中から下のところであります。「評価文化の醸成」のところでありますが、ここは少し時間をとらせていただいて意見をお伺いしたいと、こう思っております。時間を切るというのは非常に難しいのですが、15分ぐらいでもここの項目を当てていろいろなご意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 ちなみに、私が所属しております大学評価・学位授与機構は、今、研究員の方々に本をまとめて、論文原稿をまとめていただいて、『評価文化の定着に向けて』という、そういう本を出して皆さんに理解をしていただこうと、こういう準備をし始めておりますが、やはり日本の中でようやくこういうところになってきておりますので、いい形で活性化に役に立てばというのがここの4.のところだと理解します。いかがでしょうか。はい、どうぞ。

【山本委員】  きちんと意見を書いて事前に言えばよかったのですが、この中にもう一つ、提案を一生懸命書いた者に対して審査員にすごく熱心に審査をしていただいて、その結果が申請者に対してフィードバックされて、そのフィードバックされたものを参考にしてさらにいい提案に磨いていくという、この提言全体の中では循環するという言葉で、評価を循環させるという文言が書かれていると思うのです。「評価文化の醸成」という中にも、そういうことを通して我が国のサイエンスを磨いていく、申請に対して評価があり、評価に対して答えた再申請があるという、そういう循環というような文言がここの中に書き込まれていくといいと思いました。

【平野主査】  わかりました。ありがとうございます。評価者のほうからの示唆等を参考に次の再申請に結びブラッシュアップされ、活性化することを望むと、こういうことですね。

【山本委員】  そうです。

【平野主査】  これ、入れさせていただいて、そのほかいかがでしょうか。はい、どうぞ。

【黒木委員】  そのときに、評価というのは基本的に前向きであり、受け取るほうも前向きに受け取るということが気持ちの上で大事だと思うのです。それがないと、何で落とされたのだというふうに思われたりしてしまいますので、どちらも前向きに受け止めるということをやはり言葉として入れていただけるとありがたいと思います。

【山本委員】  それが文化なのです。

【平野主査】  それでは、そこを文章で入れて、「尊重し」と。「前向きに取り組んでいく」と、こういう文章を入れてもらいます。

 そのほかいかがでしょうか。私ども、例えば大学の評価の場合は、機関認証は7年に1回、それから、この間、国立大学の場合は暫定の評価を受けたわけでありますが、当然いろいろな意見があって当たり前でありますし、さらに一方では、学生のうちは先生の評価を受けているのですが、自分が教員になると評価されるというのは気にさわるという人も出てきて、非常にここの部分は難しいところだなと。そういう意味では前向きに尊重し合って進んでいくということは大切だと思います。

 そのほかいかがでしょうか。

【山本委員】  今の前向きに行くのは大賛成で、前向きに受け取る文化をつくるというときに一つ問題になるのは、科研費の審査をしたり、いろんな審査をしたときに、審査のコメントがどれだけ開示されるかという問題です。「あなたは上位30%ぐらいだけど、残念ながら落ちました」というのが今の科研費の開示のやり方ですが、これが、「実はこういうところが弱かったから、こういうところを直せばもう少しよくなります」という踏み込んだ評価、前向きな評価に向かっていけるかどうかというのが一つの検討課題と思います。具体的な言葉で言うと、評価者のコメントをできる限り開示していく方向で、それから、そのコメントに対して答えたということを次回の申請のときに書き込むような欄をつくるというようなことが取り組めるかどうかというのも、先ほど循環ということを申し上げましたが、そういうことにつながると思います。

【平野主査】  そうですね。確かに研究費部会のところでもそういうような議論をいたしました。評価者が最近はフォーマットをそのまま打ち込んでやれれば、それを整理する方は大変ですが、でも、一々文章をまた書いて打ち込む必要もないだろうと。そういうようなことを申請者に少しでも返せたらいかかであろうかという意見も事実あります。それ、重要なところだと思います。

 そのほかいかがでしょう。よろしいでしょうか。ありがとうございます。

 それでは、あと、全体を通してご意見があったらお伺いしたいと思います。事項のところにかかわらず、全体を通してご意見がもしあれば。はい、どうぞ。

【伊地知委員】  余りに細かい点なので申し上げなかったのですが、6ページの3行目。

「事後評価は」で始まる行ですが、一番最後は「ながら」かと思いますので。

【平野主査】  「ながら」。はい、わかりました。では、ここを修正。

 そのほかいかがでしょうか。どこでも結構です。はい、どうぞ。

【小川委員】  先ほどの「PD、PO制度改革」のところですが、その後の「評価文化の醸成」もかかわってくるのですが、一般の研究者や、もちろん一般の市民に対してもそうですが、文科省とか資金配分機関からのPD、PO制度についても周知がなされてないので、例えばPOをやった人たちが私の周りにも何人もいて、その方たちの意見を聞いてみましたら、まず、研究者の世界でもPOが何をしているか、どういう目的のために働いているかというようなことが全然わかっていないので、非常に孤立してしまうというのです。文科省からの回し者だと言われたりする人もいますし、正しくそうやって立場が理解されていませんから、当然、研究者の世界でもPOやPDを経験したということに対して評価されないわけです。所属機関でも評価されない、キャリアパスにも反映されないというようなことがありまして、非常に用事は多くて時間を奪われるわりには、本質的に重要な責任は担わされていないというような面もあります。一番重要なところというのは文科省側の担当官が――これは私、科研費のほうのPOの経験から申し上げるのですが、非常に重要なところは、文科省のほうの担当の事務官の方であったり、あるいは別に指名された方がなさっていて、雑用的なことで、でも、不可欠ではあり、専門的知識も必要なところがあるのだが、あまり重要じゃないことで非常にたくさんの時間をとられているような、そういう結果で、結果的にキャリアパスにも反映されない、「自分たちがやった2年間というのは、あれは何だったのだろう」というようなぼやきといいますか、苦情もよく聞くのです。その中で、もちろん制度を改革するということの言葉の中にそういう点も含めて、ほんとうの意味の、外国のまねでつくっただけのPOではなくて、重要事項を担当することや、それを通じてほんとうに審査できるような、評価ができるような人材を育成していくという視点も含めたものに変えていっていただくことだと思いますが、より重要かもしれないこととして、外部に対してPDやPOの任務というのはどういうことなのか、どうしてそのようなものが設けられているのかという必然性や仕事内容をきちんと知らしめていっていただくこと。それから、その評価文化についても、評価の仕組みとか各ステップの重要性とか、審査員がどういう基準で、どういう考えでそういう結論を出しているかということをもう少し一般の方にもわかるような形で、特に普通の研究者が実感してもらえるような形で説明する努力も必要なのではないかと思っております。それをどういう形でここに記述すればいいのかわかりませんが。

【平野主査】  PD、POの任務をということは、例えば見え消しのところですと、16ページに「PD、PO制度改革」という事項はあります。だから、ここのところに、もうわかっているだろうというような書き方に、なっておりますので、ここで「PD、POとは」と言う必要はないので、今の最初のご意見はいかがでしょうか。これは本省も含めての努力だと。努力目標にしてもらうか、これをここに書き込んだほうがよろしいですか、それを。

【小川委員】  していただいたほうがいいと思います。

【平野主査】  そうですか。

【小川委員】  といいますのは、文科省の学術調査官とJSPSのPOとは――北川先生とかなさったと思いますが、どうも担っている役割に大分差があるようです。各制度ごとにPOができているようですが、私、すべては知らないですが、特に文科省の科研費のPOに関して言えば、制度的に未熟な部分が多いように経験者の話を総合すると感じます。行っている業務の内容、それから、一般のそれに対する理解ですね、そういう点についてもっと整備していただきたい。その余地はたくさんあると思います。

【平野主査】  そうしますと、「PD、POの任務をより知ってもらうということとともに」というような文章をこの中に入れるということでよろしいですか。

【小川委員】  はい。任務についても見直していただいて、やはりもっと責任とか権限とかですね、この言葉書いてありますが、その負担の重さから考えると、もっと責任や権限が与えられていいポジションではないかと思っております。

【黒木委員】  よろしいですか。

【平野主査】  はい、どうぞ。

【黒木委員】  僕はプログラムディレクターですが、この参考資料1の54ページから後10ページにわたり、PD、POについて細かいことがいっぱい書いてありますので、これをコラムの形でどこかに入れていただくと。先ほどのトランスフォーマティブとかエヴァリュエーションなどいろいろな言葉の解説と同じように、コラムの形でどこかに入れていただくと非常にわかりやすいと思います。

 それから、この参考資料1を見たときに、これは別の資料で見たと思ったのですが、PD、POは研究者と資金の配分機関との間のインターフェースとして働くという言葉がどこかにあったと思うのですが、僕自身はプログラムディレクターを務めながらインターフェースという立場を大事にして、つまり、研究者であるから両方の言い分もよくわかるということで、文部科学省と研究機関側とのインターフェースの役割をずっと果たしているつもりですので、インターフェースというのは一つのキーワードになるのではないかと思います。

【平野主査】  そうしますと、この中に、今まであるような説明でいいから、囲い込みか何かでその説明をきちんと入れておくと。任務を明確にするように。わかりました。

 それで、後のほうはよろしいですか。そうすると、後半の部分はそれを踏まえて、人材育成のほう等々に回していくということでよろしいですか。

【小川委員】  そうですね。あと、研究機関のほうにもそういうことを周知していただいて、そういう立場の役割を担っているということをきちんとわかっていただきたいと思います。

【平野主査】  そのほか、全体の部分で何か。はい、どうぞ。

【野田委員】  17ページの上から3つ目の赤ポツで、PD、POに対するサポートといいますか、「たとえば、間接経費等を活用し」という部分が書いてあるのですが、支援の仕方として、1つは給料を少し上積みしてあげるとか、あるいはポスドクをつけてあげて、PO、PDをやっている間の研究面での支援とか、そういうものがあると思うので、「間接経費等を活用し」という言葉は、削ったほうがいいかなという感じもするのです。要するに、いろいろな支援の仕方があるのではないかと私は思ったのです。

【平野主査】  この間接経費活用というのも、多分、人のほうにも結びついてくるところを含んでいると思いますが、そういう意味ではなくてですか?

【野田委員】  例えば給料の面での少し支援となると、間接経費は使えないので、だから少しプラスアルファをつけてあげるとかいうのもあるかなと思ったのです。間接経費で行う場合には、おそらく研究の面での支援になると思うのです。ポスドクをつけるなど。

【平野主査】  「本務での教育・研究活動を補完する措置」というのが、これが人的措置も含めてここの中に入っています。

ということは、助教や何かを、あるいは別な形でここに入れると。それはここの中に。

【野田委員】  給料面ということはないのですね。

【平野主査】  ええ、給料では。給料というのは手当でしょうか。

【野田委員】  手当です。

【平野主査】  本俸にはね返らない。

【野田委員】  ええ。

【平野主査】  それは、積極的にここに書き込むかどうかということだと思うのです。大学は幾らでもやれるのです。

【野田委員】  だから、「間接経費等を活用」というふうに限定されると、少しつらいかなと思ったので、それだけの話です。細かい話ですみません。

【平野主査】  そうすると、この「間接経費等を活用し」というのを抜いておいても結果的に同じようなことになりますが、よろしいですか。

【野田委員】  そうそう。

【平野主査】  では、そこの部分、誤解があるといけないので、抜きましょう。少なくとも、今言われたのは、法人になりましたので、裁量で、手当についてはできるのです、大学の責任で。人をつけることもできます。名古屋の場合は、私、重要な任務に学外で行っている場合は、特に理系の実験者は助教や何かの方がいないとできないのです。大変危険になりますので、人をつけるという。その期間中、助教をつけるという制度も設けておりますが。

 はい、どうぞ。

【北川委員】  今のことに関連してですが、2ポツのところは、確かに「間接経費等を活用し」というのは削除したほうがいいと思います。これは研究機関のことですから。

【平野主査】  そうですね。

【北川委員】  ただ、3つ目のほうは、逆に、国とかファンディング・エージェンシーは、例えばプログラムオフィサーで出る人に対し、何らかの研究費をつけて人を雇えるような措置は必要だと思うのです。実際、学振の主任研究員の場合はそういうふうにたしか出しています。何百万か出して、そこでポスドクを雇えるようにしていると思うのですが、JSTのほうは多分まだそういうふうになっていないですよね。

【小間委員】  ええ、それはやっていないです。

【北川委員】  だから、NSFみたいに何百人もだれか出向させてというのをほんとうに行おうというならば、そういうのは絶対必要だと思います。

【平野主査】  それ、絶対に要ると思う。そうすると、今のご発言ですと、「POや所属機関に対し適切な支援」というのは、「積極的な支援を行う」と。

【北川委員】  そう思います。

【平野主査】  「適切」は当たり前ですが、「積極的」に。

【小川委員】  でも、ぜひそれはお願いしたいと思います。

【平野主査】  「積極的な支援をする」と。これは提言ですから。

【小川委員】  過去は実は何にもなかったのです。そういう支援も職務軽減措置も何にもなくて、最近は少し支援が1年間100万円程度ですか、研究費として支援されているということは聞きましたが。

【平野主査】  そのほか。はい、どうぞ。

【山本委員】  同じ17ページですが、(具体的な方策)の上のところのポツは、「持続的、安定的、発展的にプログラム・マネジメントを行うために、PD、POを持続的に養成・確保していくための有効な対応策及び、キャリアパスとして評価される風土を形成することが必要ではないか」とあります。これはほんとうにこのとおりで、大賛成ですが、下のほうを見ていくと、PD、POを持続的に養成・確保していくための有効な対応策については書いていなくて、どちらかというと待遇のことなどが書いてあるだけです。どのようにPD、POを、しかも有能な人にノーブル・オブリゲーションであるということで参加してもらうかということについて、何か(具体的な方策)のところにもう一つぐらい書き込んでおいたほうがいいのではないかと思います。

 それで、先ほど来、文科省の科研費やJSTのほう、JSPSのほうのPD、POの話があるのですが、実際にはどのようにして選ばれているのか、それから、どのようにしてその若手研究者をここにリクルートしてきて、こういう経験を積むことが科学のマネジメントの上で役に立つこともあると、キャリアパスのためになることもあるということを行っているのか。具体的には、だれか先輩がいると、その研究科から後輩が推薦されていくような像が一般的には皆さんが思っているイメージではないかと思うので、ここに、もう少し書き込んだほうがいいのではないでしょうか。

【平野主査】  わかりました。大事なところだと思います。ぜひ事務局にいいサゼスチョンの文章を、あまり長くなくてもいいと思います。大変重要なところだと思いますので、ぜひお伝えいただけませんか。では、今のご意見をこの中に含めていくというのでよろしいでしょうか。

【黒木委員】  よろしいでしょうか。

【平野主査】  はい、どうぞ。

【黒木委員】  評価するほうも受けるほうも割り切れない思いをしている点があるのは、随分いろんな評価の時間をかけて行ったのに、最終的に出てくるのはSとかAとかBだけで、丸とか三角だけになってしまうのです。そのあたりがひとり歩きしてしまうということが恐ろしくて、評価したほうから言えば、これだけ時間かけてきちんと積み上げてS、A、Bをきちんとしているのに、どうしてこれだけになって、上のほうに行くともうその数字しか行かないと。それから、評価されるほうは、もっといろいろなことがあったのに、どうしてこれだけで、あっちのほうを評価してくれないのかというのがあり、それが常に何か不満に思っている点です。といって、それをさらに文章で定性的に書くのがいいのかどうかというと、また問題ですが、ただ、そういうことを常に思っているということを一言つけ加えておきます。

【平野主査】  はい、ありがとうございます。

 それでは、皆さん方のご意見、貴重なご意見をいただきましたので、修正すべきところは先ほど当たったところは当たりますし、先ほどお願いしたように、文章をまた事務局に寄せていただくということで全体の取りまとめをしたいと思いますが、最終的な修正等につきましては主査の私にご一任いただければ、事務局と相談して整理したいと思います。その上、委員の方々にきちんとご報告をしたいと、こう思っておりますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【平野主査】  どうもありがとうございます。では、そのように進めさせていただきます。どうもありがとうございます。

 それでは、次に、この審議のまとめの概要について審議いただきたいと思います。事務局から資料の説明をお願いします。

【苫米地評価推進室長】  はい。資料2をごらんいただきたいと思います。「研究開発評価システム改革の方向性について」ということで、ご審議いただいた内容を概要としてまとめたものでございます。

 項目といたしましては、ご審議いただきました「審議のまとめ」のそれぞれの項目に従って、そこに記載されている内容を取りまとめて記載をさせていただいているところでございます。

 めくっていただきますと、1ページ目に「基本的考え方」ということで、それぞれの項目に従って記載をしております。この中で、特に2つ目の階層構造のところの一番下のポツでございますが、色を若干変えてアンダーラインを引いているところがございますが、ここは、この作業部会として今回ご審議いただいた内容につきまして重点を置くと考えていいのではないかということで、我々のほうで案として作成をしておりますので、その辺についてごらんいただきまして、ご意見をいただければと思います。1ページにつきましては、施策やプログラム・制度の評価で得られた知見や課題を国の政策に反映するということが重点的に述べたいということではないかと思っております。

 2ページ目でございます。ここは「評価の観点・基準・視点」についてでございますが、真ん中のところで色を変えているところがございます。ここは、定性的な評価を中心とした評価システムの構築ということと、トランスフォーマティブの議論がございましたので、ハイリスク研究や学際・融合研究の評価について、トランスフォーマティブを積極的に評価していくということが必要だろうと。

 それと3ページでございますが、ここは「人材を育成する組織やプログラムの役割を重視する評価の視点」ということで、2つ目のポツの次世代研究者の養成を評価項目とする場合、処遇、育成、キャリア支援等の状況を評価するということ、この点ではないかというふうに考えてございます。

 以下、内容がございますが、めくっていただきまして5ページ目でございます。評価人材の育成というところで、評価専門人材の育成のところで、マネジメント人材、研究支援人材の育成とキャリアパスの確立及びそれら人材の養成システムの構築の検討というところが重要なのではないかという点でございます。

 それと最後の6ページでございますが、「評価文化の醸成」ということで、評価の重要性を共有できる評価文化の醸成がとにかく必要であるということで、この点ではないかというふうに考えてございます。

 以上でございます。

【平野主査】  はい、ありがとうございます。

 先ほど来、議論をいただいたところを概要としてまとめていただいておりますが、この概要についてご意見があったらお願いします。はい、どうぞ。

【小間委員】  2ページのところが、アンダーラインの引き方によっては誤解を招くのではないかということです。「学問上の特性を踏まえ」、「定性的な評価を中心とした評価システムの構築」というふうになっているのですが、ここでは限定的な分野では定性的な評価が必要だということを言っており、定量的評価を否定しているわけではないので、そうならないように、このアンダーラインは、全部アンダーラインを引くなどしないと、ここだけ残ってしまう。

【平野主査】  いや、今、小間委員がおっしゃるように、ちょっと誤解があるといけないので、「定量的評価が基本ではあるが」と。

【小間委員】  ええ、それを一番前に入れれば。

【平野主査】  「基本ではあるが、学問上の特性を踏まえ」と、こういうふうでどうですか。

【小間委員】  はい、それで結構だと思います。

【平野主査】  いや、もうまさにおっしゃるとおりで、今、多分、今度の大学の第2期の中期目標計画も定量的にと言われていると思うのですが、やはりそれは非常に危ないところも感じられるので、定性的にと言わんとするのですが、それだけではやはり通らないです。やはり「定量的評価を基本とするが」ということで、少し前に一言。

 そのほかいかがでしょう。はい、どうぞ。

【小林委員】  半分以上感想ですが、最近の科学技術・学術審議会の幾つかの委員会に出てみて思ったのが、このまとめが、見出しをただ並べているまとめがすごく多くて、インパクトがないですよね。それこそ先程の黒木先生の話ではないですが、これだけ我々一生懸命議論してきたのに、まとめてみるとすごく平板なものになってしまい、何だろうなという感じがしないでもなくて、何かもう少し、例えば今回の審議のまとめで言えば、従来の大綱的指針の議論から踏み出している部分というのが幾つもあるわけです。まさにそれが今回の議論の焦点なので、そういうところをまず例えば1枚抜き出した上で内容の整理をするなど、そのようにできないものだろうかと。平板な感じがして、一生懸命議論したわりには何かさらっとしているという印象ですが。そういう意味で、どうしたらとなかなか言えないですが。

 以上です。

【平野主査】  いかがでしょうか。あまり並みではいけないというので、事務局はアンダーラインとブルーの字で書いたというところでありますが、これではまだというところがありましたら、1枚物ぐらいで、また、1枚物にまとめてもやはり、どうでしょうか、何かいいご意見ありますか。

【小林委員】  いや、今回の議論はいろいろ従来にない特色のある議論がされたと思うのです。

【平野主査】  そうです、そうです、確かに。

【小林委員】  例えば先ほどの「はじめに」の中で言うと、研究評価を通じて研究コミュニティの課題の解決とか、さらに活性化させるとかというような観点で研究評価をよりよいものにしていこうという議論をしたとか、そういうような話はある意味では従来にない、踏み込んだ議論になっているわけですし、あと、階層性や一貫性などということできちんと整理しようというのも従来にないことでしょうから、そういうようなところを幾つか、特色のあるところをうまく引き出してそういう方向性を打ち出したのだというのがあればおもしろいなと思うのです。

【平野主査】  いかがでしょうか。1ページ目の「基本的考え方」というところから始まっておりますが、ここのところを2ページ目ぐらいに置いて、今の初め書きの部分を中心とし、あるいは「基本的考え方」のもとのところを1ページ目のところに入れると。そこで、この委員会と作業部会としての基本的な対応の部分、打ち出す部分を入れると、そういうふうでよろしいですか。

【小林委員】  せっかく評価文化とか新しいコンセプトがたくさん出てきたので、ぜひそういうところを訴えたいと思います。よろしくお願いします。

【平野主査】  どうでしょうか、1ページ目のところに少し骨格を入れると。それで以下に述べるような項目を提言するというようなふうで、「基本的考え方」は2ページ目から入ると。それでいいですか。はい、どうぞ。

【小間委員】  このブルーを強調するようなスタイルというのは、私はむしろこちらのほうが新鮮に見えて、ここを生かして、そこに書いていない、今回の議論で特徴的な足りない部分を足すということでよろしいように思うのですが。1枚物のまとめがあって、その後もうちょっと詳しい記載があるというのは、非常に陳腐な、今までと同じような形に見えてしまうのですが。

【平野主査】  いかがでしょうか。はい、どうぞ。

【黒木委員】  やはり最初に1枚の紙があって、評価がなぜ必要か、評価が我が国の科学技術を将来発展させるのにどうして必要か、そのためにはこういうものでなければならなくて、評価文化というものをつくっていかなければならないということを格調高く訴えて、その後に箇条書きがつくというふうにしないと、最初から最後まで箇条書きだと読めなくなるのです。箇条書きの頭はぷつぷつ切れて、なかなか感銘を受けないものですから、何か最初に感銘を受けるような格調の高い、評価にたえるような文章を入れていただければ。

【平野主査】  ご存じのように、本来、今、議論をいただいて取りまとめた「審議のまとめ」というのを読んでくれるものだということでこれが成り立つものですから、非常に難しいですが、でも、概要のほうに目を通して、それでわかったという場合が多いかもしれませんし、例えば、トヨタ自動車の場合は、A3・1枚で内容が伝わらないと説明にならないと言われるぐらいのところもないわけではないので、そこでどうインパクトを出すかと、今、黒木委員が言ったように、どこまで行くかというのは難しいのですが、では、今のご意見を酌んで、やはりこういうことが大切であると。この背景でこうしたというのを、1枚だらだらと書く必要はないと思いますけれども、A4の1枚のところにぽんと小さくせずに、この趣旨といいますか、訴えたい概要の概要を思想を入れるということでできれば、そういう形で、あとここに続いているような概要のまとめを2ページ目以下できちんと、以下、次に出すとおりであると、こういうことでよろしいでしょうか。難しい注文を事務局に整理をお願いしましたが、また相談をさせていただいて、皆さんにできる限り早目に、一度、概要も含めてお送りできたらしますので、より具体的に修正事項を赤を入れていただければと、こう思っておりますので、よろしくお願いします。では、そういうことで事務局のほうよろしいでしょうか。それでは、よろしくお願いいたします。

 数回にわたって大変貴重なご意見をいただきまして、ありがとうございました。この概要は今のような形でまた私も事務局と相談をさせていただいて、お任せいただければと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【平野主査】  どうもありがとうございます。

 それでは、今後の取り扱い等について事務局から説明をお願いします。

【苫米地評価推進室長】  ありがとうございました。本審議のまとめにつきましては、8月4日に開催が予定されております研究評価部会でご審議・ご決定をいただいた後に、現在、次期科学技術基本計画に関する審議を行っております基本計画特別委員会の議論に反映をしていきたいと考えてございます。

 なお、作業部会自体は本日の開催が最後と考えてございますが、今後の過程でまたご相談させていただくような事案が生じた場合につきましては、改めてご連絡をさせていただく場合もございますので、その際はどうぞよろしくご協力いただければと思います。どうもありがとうございました。

【平野主査】  どうもありがとうございます。何かありましたらまだ続くということでありまして、もうこれでお役目御免ということではないようでありますが、ぜひいい形で反映をできればと願っております。

 本日予定いたしました議題は以上でありますが、本日の開催をもちましてこの作業部会が終了となります。私のほうからも、委員の方々、大変お世話になったことに対して御礼を改めて申し上げます。私ども研究を行う者としては、特にステークホルダー、これは当然学生を含めてでありますが、の方々にきちんと説明ができる、かつ、科学技術がより進展をする、いいコミュニティができ上がるということが最も重要でありまして、評価で人をたたき落とすというのが評価ではありませんので、それはもう皆さん、この辺の方はよくご存じ。そういう立場に立って非常にすばらしいご提案をいただきました。最後に文化という項目がありますが、ぜひこの評価の文化がきちんと定着をして、いいPDCAのサイクルが進み、場当たり的な国の予算の政策にならないようなところまで、上位の政策にまで結んでいければなと、一委員として、また主査として、感謝とともに期待をしております。どうもご協力ありがとうございました。

 それでは、あと事務局のほうにお返しいたします。

【苫米地評価推進室長】  続きまして、泉局長からごあいさつを申し上げたいと思います。

【泉局長】  ただいま平野先生のほうから締めの言葉をいただいた後で大変僣越ではございますが、この作業部会の一応終わりということに当たりまして、一言、お礼のごあいさつを申し上げたいと思います。

 3回のご会合をお願いしたわけでございますが、過去2回はあまりご議論をフルに拝聴することができませんでしたが、今日はフルドラフトの議論を通じて、やはりこの作業部会の議論は、非常にこれからの科学技術システム改革、特に今、企画官から申し上げましたように、次期基本計画に向けての文部科学省としての重要施策の議論をしている最中でございまして、その中に上げていくべき重要なご議論ではないかと思っております。もともとこの作業部会は、ご案内のとおり、この2月に決めました文部科学省としての新しい研究開発に関する評価指針――これは、昨年の秋に政府全体としてのいわゆる大綱的評価指針が改定されたことに伴って、各省それぞれの研究開発評価指針を変えるということでご議論いただいてつくったものでございますが、その中で必ずしも評価の現状に照らして十分に議論し尽くせなかったところ、これは、一応前期の審議会のメンバーの中でまとめるという目標もありましたので、そういう形で整理したわけでございますが、なお、さらに今の研究開発のいろいろな現場の現状等に照らして論点として残るものがあるということで始めていただいたわけで、3回のご審議を通じて、今日の最後のほうのご議論でもあったようなことが、今後の評価システムということに当たって大変重要なご指摘・ご提言をいただいたと思っております。

 まだ修正はしますが、このまとめを担当部署から相談を受けまして、まず、もう少しポイントになるところに線を引いて青でマークしなさいと指示して、一応そうなっており、ここは事務局として、今回新しく踏み出していただいたような論点であると認識しております。それ以外にも階層構造とかそういった問題に応じた評価システムということ、あるいは、トランスフォーマティブというような概念を評価の中にきちんと意識すべきであるというような点等々、非常に示唆に富んだご提言をいただいたと思っております。これも、期せずして大学評価の機関の責任者になられました平野先生に主査をいただくことになったということの成果のあらわれではないかとも思っているわけでございますが、今申し上げましたように、科学技術・学術審議会の基本計画特別委員会でこれまで3回議論いただいておりますが、これから少し各論的な人材とか、あるいはこの評価システムとか、そういったことについての議論に向かっていく段階でございますので、このいただいた審議のまとめをそういったところに反映させていきながら、全体としての科学技術システムの改革に向かっていけるように努めていきたいと思いますので、一応これで終わりですが、先ほど申し上げましたように、今後も何かありましたらまたご相談させていただく機会もあると思いますので、何とぞよろしくお願いします。

 それから、最後に余談ですが、POとかPDとかというご議論がございましたが、私も3年ぐらい前は小林先生や山本先生と同じ組織におりまして、ファンディング・エージェンシーからお金をもらう立場で、PD、POをいかにそういったところに送り込むかというようなことについて腐心したことを思い出したということを、余談ながら申し上げて、ごあいさつとしたいと思います。どうもありがとうございました。

【平野主査】  どうもありがとうございます。

 あと、事務局から連絡事項等ありましたら、お願い申し上げます。

【沼田計画官補佐】  はい。2点ほどご連絡をさせていただきます。今回の議事録につきましては、案を作成後、各委員にご確認をいただいた後にホームページに公表させていただきます。また、本日の配付資料につきましては、封筒にお名前をご記入の上、机の上に置いていただければ、後日、郵送させていただきます。

 以上でございます。

【平野主査】  どうもありがとうございました。

 それでは、これでひとまずこの作業部会を締めさせていただきます。どうもありがとうございました。ご協力に感謝します。

―― 了 ――

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科学技術・学術政策局計画官付

(科学技術・学術政策局計画官付)