研究評価部会 研究開発評価システム改革検討作業部会(第1回) 議事録

1.日時

平成21年5月29日(金曜日) 10時~12時

2.場所

文部科学省16F特別会議室

3.議題

  1. 研究開発評価システム改革検討作業部会の議事運営について
  2. 研究評価部会における作業部会の設置について
  3. その他

4.出席者

委員

(委員)
平野主査、阿部委員、有信委員、伊地知委員、小川委員、栗原委員、黒木委員、小林委員、小間委員、武田委員、沼尾委員、野田委員、山本委員
(協力者)
林 大学評価・学位授与機構准教授

文部科学省

岩瀬科学技術・学術総括官、柿田計画官、苫米地評価推進室長、沼田計画官補佐

5.議事録

【苫米地評価推進室長】  それでは、定刻となりましたので、第1回の研究開発評価システム改革検討作業部会を開催させていただきます。

 本日は、ご多忙中にもかかわらず、ご出席いただきまして、まことにありがとうございます。

 本作業部会は、科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会研究評価部会において設置が認められているものでございまして、研究評価部会運営規則により、主査は部会長より指名されることと規定されております。既に、国立国際医療センター名誉総長の笹月部会長から、大学評価・学位授与機構長の平野委員が主査として指名をされております。

 それでは今後の議事につきましては、平野主査にお願いいたしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【平野主査】  おはようございます。私、笹月先生から指名されました、大学評価・学位授与機構の機構長を務めております平野でございます。

 つい3月末まで名古屋大学の総長を務めておりまして、そのときに科学技術・学術審議会の委員として、この研究評価部会にも携わっておりました。そういう関係で、この作業部会をやれという指名ではないかなと、思っております。

 今日は雨の中を皆さま方お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 ご存じのように、我が国では科学技術基本法に基づきまして、科学技術基本計画の策定を受けた、国の研究開発評価に関する大綱的指針が定められております。各府省においては、その指針のもとで評価指針を整備して対応するということで、ご存じのように動いているわけであります。

 しかしながら、国の研究評価の全体を見てみますと、私も総合科学技術会議の評価の担当委員を務めたうえでの、自分の感想でもあるのですが、ここに集まっていただいてくださっている先生方もそうでありますが、その評価には大変な労力がかかっているということであります。しかし、評価を通してきちんと科学技術を振興しなければいけないということは当然でありますが、その中で一部懸念されていることとして、評価が形式化、あるいは自己目的化しているのではないかということも言われております。

 また、評価を受ける者といたしましては、評価疲れもあります。実はこんなことを言えないのですが、私も大学の総長として3月まで務めていたところで、いろいろな意味の評価がいっぱいありまして、もう神経を使い、かなりくたくたになってきているということも事実であります。

 評価は大切でありますが、どういう形できちんとした評価をし、全体の質を向上させるかというのは重要な問題になっております。研究評価部会においては、評価のあり方だとか、評価の観点、基準、視点、あるいは効果的・効率的な評価とはどうあるべきか、また特に研究開発にかかわる評価も含めてでありますが、専門的な人材をどう育てるかということが議論されておりまして、このあたりが課題として残ってきているわけであります。

 この作業部会においては、海外の取り組み状況を踏まえつつ、今お話ししたような課題に対しての改善方策を、ぜひ皆さま方のご意見を賜ってまとめ、部会でいい形で動かしていただきたいと望むところでございます。

 大変お忙しい中ではございますが、ぜひ忌憚のないご意見をいただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 それでは、委員の紹介をお願いします。

【苫米地評価推進室長】  それではご紹介の前に、今回初めて専門委員としてご参画いただく委員の方には、辞令をお手元に置かせていただいておりますので、よろしくお願いします。また、それぞれの委員のお手元には、本部会委員への指名通知を置かせていただいておりますので、ご確認いただければと思います。本来、直接お手渡しするところでございますが、日程の関係上、ご容赦いただければと思います。

 それでは、研究開発評価システム改革検討作業部会の委員にご就任いただいた方々をご紹介申し上げます。資料1に名簿がございますので、名簿の順に本日ご出席の方々をご紹介させていただきます。

 東京大学の阿部啓子委員でいらっしゃいます。

【阿部委員】  どうぞよろしくお願いいたします。

【苫米地評価推進室長】  株式会社東芝、有信睦弘委員でいらっしゃいます。

【有信委員】  有信です。よろしくお願いします。

【苫米地評価推進室長】  成城大学、伊地知寛博委員でいらっしゃいます。

【伊地知委員】  よろしくお願いいたします。

【苫米地評価推進室長】  お茶の水女子大学、小川温子委員でいらっしゃいます。

【小川委員】  小川温子と申します。よろしくお願いいたします。

【苫米地評価推進室長】  東北大学、栗原和枝委員でいらっしゃいます。

【栗原委員】  栗原でございます。よろしくお願いいたします。

【苫米地評価推進室長】  日本学術振興会の黒木登志夫委員でいらっしゃいます。

【黒木委員】  黒木でございます。

【苫米地評価推進室長】  筑波大学の小林信一委員でいらっしゃいます。

【小林委員】  よろしくお願いいたします。

【苫米地評価推進室長】  科学技術振興機構の小間篤委員でいらっしゃいます。

【小間委員】  よろしくお願いいたします。

【苫米地評価推進室長】  理化学研究所の武田健二委員でいらっしゃいます。

【武田委員】  武田でございます。よろしくお願いいたします。

【苫米地評価推進室長】  大阪大学の沼尾正行委員でいらっしゃいます。

【沼尾委員】  沼尾と申します。よろしくお願いいたします。

【苫米地評価推進室長】  物質・材料研究機構の野田哲二委員でいらっしゃいます。

【野田委員】  野田でございます。よろしくお願いします。

【苫米地評価推進室長】  東北大学の山本雅之委員でいらっしゃいます。

【山本委員】  山本です。よろしくお願いします。

【苫米地評価推進室長】  また、本日はご欠席ですが、京都大学の北川宏委員がご就任されております。続きまして、文部科学省からの出席者を紹介させていただきます。

 岩瀬科学技術・学術総括官でございます。

【岩瀬総括官】  よろしくお願いいたします。

【苫米地評価推進室長】  柿田科学技術・学術政策局計画官でございます。

【柿田計画官】  よろしくお願いいたします。

【苫米地評価推進室長】  私、科学技術・学術政策局評価推進室の苫米地でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 また、本日は協力者として、大学評価・学位授与機構評価研究部の准教授でいらっしゃいます、林隆之先生にもご出席をいただいております。

【林大学評価・学位授与機構准教授】  よろしくお願いします。

【苫米地評価推進室長】  よろしくお願いいたします。

 ここで、科学技術・学術総括官の岩瀬から、一言ごあいさつを申し上げます。

【岩瀬総括官】  事務局の文部科学省を代表して、一言ごあいさつさせていただきます。

 本日は先生方、お忙しい中ご出席いただきましてありがとうございます。また、本作業部会、これは非常に重要であり、また難しい問題をご議論お願いしたいと思っているわけですが、ご参加いただきまして、まことにありがとうございます。

 評価の問題につきましては、先ほど平野先生からのごあいさつにもございましたけれども、国としての大綱的指針が全体の指針としてありまして、それに基づきまして、この2月にも文部科学省としての評価指針を改定するということで、少しずついろいろな改善を図ってきているところでありますけれども、基本的なところでまだまだ課題・問題が多いと、関係者共通の認識があるのではないかなと思います。

 評価として、研究開発、研究機関をよりよいものにしていくという意味で、まだまだ課題があると思いますし、また、効率的というのでしょうか、負担が少ない評価にするという観点から見てもありますし、今からまさにご議論いただくわけですが、基本的なところでまだまだ問題が非常に多いなと私は思っております。

 この2月に文部科学省の評価指針を改定したわけですが、これはその時点で大綱的指針が改定されたことを踏まえて、可能な範囲で限定的な改善を図ったと私は思っております。基本的な課題はまだまだ残っていると思っているわけでございます。

 ちょうど2年弱後に科学技術基本計画が第4期に入りますので、それに向けて文部科学省としましても、科学技術・学術審議会に近日中に基本計画のための特別委員会を設置していただきまして、基本計画に向けて、科学技術について一番大きい役割を担っております文部科学省として、しっかりご議論をいただいて、総合科学技術会議の議論にもしっかり文部科学省としての提言をしたいと思っております。

 そういう意味で、この評価の問題についても一番当事者としてかかわるところの多い文部科学省、またその関係機関として、しっかり意見を打ち出していきたい、このように変えていきたい、しっかり出したいなと思っており、非常にこれは重要な議論だと思っております。大変ご負担をおかけしますけれども、非常に経験の深い先生方ばかりでございますので、ぜひ積極的な踏み込んだ議論をお願いしたいと思っております。よろしくお願いします。

【平野主査】  どうもありがとうございました。

 それでは次に、事務局から配付資料の確認をお願いします。

【沼田計画官補佐】  それでは、お手元にございます配付資料の確認をさせていただきます。

 議事次第の配付資料一覧のとおり配付をしておりますので、ご確認願います。まず、資料1が本作業部会の委員名簿、資料2が本作業部会の設置について、資料3-1が本作業部会運営規則(案)、資料3-2が研究評価部会の運営規則、資料4-1が評価システム改革に向けた論点整理、資料4-2が検討に関するデータ、資料4-3が評価システム改革に向けた検討の視点の主要論点、資料4-4が研究評価部会(第34回)の主な意見、資料4-5が最近の審議会等における研究開発評価に関する主な意見について、資料4-6が第3期科学技術基本計画の抜粋、資料5が本作業部会の審議日程でございます。

 参考資料1といたしまして、研究計画・評価分科会の組織構成図、それと最後、資料番号を付しておりませんけれども、文部科学省の研究及び開発に関する評価指針となっております。

 以上でございますが、不備がございましたら、事務局までお申しつけくださいませ。

【平野主査】  資料はよろしいでしょうか。どうもありがとうございました。

 それでは、本日の議題1の研究開発評価システム改革検討作業部会の議事運営についての議論に入りたいと思います。まず、事務局から説明をお願いします。

【苫米地評価推進室長】  それでは、資料2と資料3-1、3-2をごらんいただきたいと思います。

 資料2でございますが、本作業部会の設置についてということで、4月14日、研究評価部会においてご決定いただいたものでございます。

 趣旨といたしましては、先ほど岩瀬からのごあいさつもございましたけれども、次期科学技術基本計画を視野に入れた評価システム改革の課題とその改善方策についてご検討いただきたいと思います。

 資料3-1をごらんいただきたいと思います。資料3-1は本作業部会の運営規則でございます。本作業部会の運営規則は研究評価部会の運営規則にのっとり、それ以外のことについて、この運営規則を定めさせていただくというものでございます。

 第2条第1項で、主査の職務を代理する方につきましては、あらかじめ主査がご指名いただくようなことになってございます。

 また、第2条第2項として、作業部会の所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、委員等以外の方に資料の提出、意見の開陳、説明その他、必要な協力を求めることができるということにさせていただいております。

 第3条は、公開についてでございます。人事に係る案件、行政処分に係る案件、その他非公開とすることが適当と認める案件以外につきましては、公開ということにさせていただきたいと考えてございます。

 また、第4条は議事録でございまして、これは基本的に作成いたしまして、公表するということにさせていただいてございます。

 資料3-2につきましては、研究評価部会の運営規則ということで、この第3条によって本作業部会が設置されているというものでございます。

 簡単でございますが、以上でございます。

【平野主査】  ありがとうございます。ただいまの説明に対して、ご意見、ご質問等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。

 今、研究開発評価システム改革検討作業部会運営規則の説明をいただきましたが、原案のとおりこれを決定いたしまして、この部会といたしましては、この規則にのっとって会議を進めていきたいと思っておりますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【平野主査】  ありがとうございます。

 ただいま説明にありましたように、運営規則第2条の規定によりまして、主査代理を指名したいと思っております。私は緊急事態がない限りは主査を務めさせていただきますが、もしものために、いろいろご相談をさせていただきたい主査代理を指名したいと思います。

 有信委員にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは有信委員、よろしくお願いします。

【有信委員】  よろしくお願いします。

( 有信主査代理、主査代理席へ移動 )

【平野主査】  それでは、有信委員を主査代理としてお願いいたしまして会議を進めていきたいと思いますので、ご協力よろしくお願いいたします。

 それでは、議題2の評価システム改革についての議事に入りたいと思います。まず、事務局から資料の説明をお願いします。

【苫米地評価推進室長】  それでは、資料4-1から4-6まででございます。

 資料4-1をごらんいただきたいと思います。資料4-1につきましては、評価システム改革に向けた論点整理ということでまとめさせていただいたものでございます。この論点整理につきましては、後ろにございます資料4-3、4-4、4-5と、それぞれこれまでの研究評価部会でのご議論、あるいはご発言等につきまして、それを踏まえた形で取りまとめをさせていただいたものでございます。

 構成といたしましては、ローマ数字1の背景と、ローマ数字2として課題への対応ということで、それぞれの視点等につきまして、まとめさせていただいているところでございます。

 ローマ数字1背景、1.現状でございます。我が国の研究開発評価制度につきましては、大綱的指針のもとで各府省の評価指針が整備されまして、その定着、改善が進められてきたところでございます。

 大綱的指針では、評価システムの構築が進められてきたところでございますけれども、政策体系における階層構造を明確化して、各階層で真に必要な評価を検討する必要があるのではないか。

 研究開発評価は、研究開発の改善に役立てるとともに、社会的な説明責任を果たすことなどを目的としており、評価結果が適切に活用される必要があると記載させていただいております。

 2.として問題意識として、(1)から(4)までにまとめさせていただいておりますけれども、これは先ほど申し上げた研究評価部会においてのご議論で、8つの主要論点ということでご意見をいただいているところでございますけれども、それを踏まえた上で4つのカテゴリーに分けさせていただいて、まとめさせていただいたものでございます。

 1つは(1)評価のあり方ということで、目的に応じた評価、政策体系の階層構造ごとに適切な評価、世界水準の視点での評価という観点。(2)として、評価の観点・基準・視点ということで、研究開発に適した評価の観点、研究開発や施策・プログラムの目的の性格に応じた評価基準、研究活動を支える組織、次世代の人材を育成する組織やプログラムの役割を重視する評価の視点。(3)として、効果的・効率的な評価手法。(4)として、研究開発評価にかかわる専門人材の育成ということで、この4点について、以下まとめさせていただいているものでございます。

 また問題意識の共通した問題ということで、政策から具体的な研究実施までの体系というのは、政策-施策-課題の階層構造に分けられて行われるわけでございますけれども、評価基準は上位階層との関係から自然と作成されることとなりますが、現在は階層間の関係が明確になっていない場合もありまして、評価が形式化・自己目的化することにつながっているのではないか。

 また、施策や政策の評価においても、具体的な研究課題について評価を行うなど、有効性の評価が十分なされていないおそれがあるということでございます。

 めくっていただきますと、政策目標の階層構造を明確化して、有効な評価システムを構築する必要があるのではないか。

 また、(2)としてございますが、評価についてはevaluationだけではなくいろいろあると。これらを相互に区分して認識できるよう、概念の分節化を促して定着を図る必要があるのではないか。また、各評価が実施される目的を再検討して、その目的に適した必要十分な評価を実施する必要があるのではないかということでございます。

 3として、次は定義ということで、ここは政策、施策、プログラム・制度、研究開発課題、プロジェクト、研究開発評価における機関それぞれにつきまして、区分をさせていただいているところでございます。

 政策につきましては、基本的な方針の実現を目的とするもので、これもそういうことで書かせていただいているわけですけれども、その評価については、どう国民生活に役立ったかというような、国の目標がどう実現されているかといった観点から実施するものであろうと。

 施策というものは、それに基づいた具体的な方針の実現を目的とするものであると。

 プログラム・制度というものは、さらにそれを具現化するためのそれぞれの手段であり、その評価は、プログラム・制度の設定、研究開発の質の向上や運営改善、計画の見直し等を図るとともに、評価の重複を避け、評価を効率的に実施するためにも極めて重要であるというものでございます。

 研究開発課題、プロジェクトでございますけれども、プログラム・制度の中で個別の研究開発事業、課題を言うということで、その評価につきましては、採択、中間、事後評価が実施されて、内容的側面がいかに充実するかを評価するというものであると。

 機関につきましては、研究開発機関、大学等が該当するというものでございます。

 (2)といたしまして、研究開発を実施する政策目標ということで、ここに記載させていただいておりますのは、文部科学省の政策の範囲内で想定される目標の例示ということで、研究成果の社会への還元、また持続可能な成長と繁栄、産学連携・技術移転の持続的な発展、多様な人材の養成というものを書かせていただいております。

 ローマ数字2の課題への対応に進ませていただきますが、先ほどの4つのカテゴリーに分類したものについてまとめておりますけれども、1として評価のあり方、(1)目的に応じた評価ということで、評価は何らかの意思決定を行う目的のために実施される手段でありますが、現状は評価自体が目的化している場合や、関係者間での共通理解が欠けているものもあるのではないか。あらかじめ目的を明確化し、関係者に周知した上で評価を実施していくというようにシステムを再構築し、目的に応じて評価のあり方を再整理する必要があるのではないかという視点でございます。

 次のページに進ませていただきますが、1つの評価に複数の目的が期待されることなどにより、過重になったり、何に使うための評価であるのかなどが概念整理されていないのが問題ではないかというものでございます。

 また(2)として、政策体系の階層構造ごとに適切な評価ということで、政策体系を明確化し、上位の目的の実現の点から、施策・プログラム・プロジェクトをそれぞれ評価するあり方の検討が必要ではないかということで、施策の評価は府省において政策評価法にのっとり実施され、プログラム評価は府省や資金配分機関、研究実施機関の内部で実施されていると。その実施方法についてはいまだ検討の余地の必要があるのではないか。

 施策やプログラムの評価においても、その目的に応じて特定の方式により公的資金を研究活動に対して助成したことの適切性、また国の研究システムへの効果・影響、複数のプロジェクトが集合した構成によって得られた成果を検討することが求められている。

 個々の研究プロジェクトの評価は、各プログラムの目的に即した評価基準で行われることになる。個々のプロジェクトに対して行政府から厳密な評価をということではなく、プログラムや機関など、1つ上のレベルに説明責任を課すということが有効になるのではないかというものでございます。

 (3)でございますけれども、世界水準の視点での評価ということで、世界的なベンチマークの活用等、研究開発の特性に応じた世界水準の評価方法など、我が国にふさわしい評価方法を明確化する必要があるのではないかという点でございます。

 一部の組織においては、海外からの評価者を招聘したりして、その世界水準の評価というのは行われているわけでございますけれども、それは確かに研究者等のネットワークの形成等の向上に寄与しているという点はございますが、日本と海外との背景の違いを考慮せずに指標などを用いた世界的ベンチマークを行うことや、分野による違いを十分に考慮せずに世界的に標準な評価方法を求める、ということには問題があるのではないか、我が国にふさわしい評価方法の検討が必要なのではないかという点でございます。

 2として、評価の観点・基準・視点でございます。(1)といたしまして、研究開発に適した評価の観点ということで、現行の必要性、有効性、効率性にかわる研究開発に適した、よりふさわしい評価の観点があるのではないかということで、現行は、必要性、有効性、効率性と、その観点から行うことと大綱的指針等でなっているわけでございますけれども、科学技術の実態を伴っていないとの指摘もあるということで、科学技術にふさわしい評価の観点を設計し直す必要があるのではないか。

 施策やプログラムにおいては政策的活動の評価という側面が強いと。この視点でもよいけれども、個別のプロジェクト評価については、多面性・長期性などを見越した基準とすべきではないかという点でございます。

 また、(2)でございますが、研究開発の性格に応じた多様な評価基準ということで、研究開発の性格に応じて評価方法は異なるはずであり、性格に応じた評価基準を明確化する必要があるのではないかというもので、研究者の自由な発想に基づく研究、政策課題対応型研究と、それぞれの研究が実施されるプログラムの目的というのは異なっているのではないか。したがって、研究開発の評価方法・基準が異なる、それらに適した評価のあり方があるのではないかという点でございます。

 また、基礎研究からイノベーション創出に至るまでの広範で多様な研究開発の局面にそれぞれ適した、多様な評価の視点があるのではないかという点でございます。

 長期にわたる地味な研究活動が必ずしも評価されておらず、短期的で実用的な成果ばかりを求める風潮があるのではないか。そういうことで、研究者が目先の成果を重視する傾向にあるというような指摘もございます。長期的研究や地道な研究が実現可能なマネジメントが内部で実施されるようにするべきではないかという点でございます。

 また、下のポツに行きますけれども、アウトリーチ活動、教育への効果のようなものを積極的に位置づけるべきではないかという点でございます。

 丸3として、学際・分野融合を指向する研究への挑戦を動機づけるような評価基準ということで、学際・分野融合を指向する研究を促進するような基盤が未成熟なのではないか。若い優秀な研究者のこうした挑戦の芽を摘むことなく、その可能性を見出し、支援を行っていく評価基準の設定が必要なのではないかという点でございます。

 (3)としまして、研究活動を支える組織、次世代の人材を育成する組織やプログラムの役割を重視する評価の視点ということで、次ページに参りますけれども、丸1から丸3までございますが、個人を支える機関の役割、個人の重視として、次世代人材の育成を重視する評価の視点、個人と組織との相互連係、それらをつなぐ人の役割が重要であるという点でございます。

 個人を支える機関の役割が軽視され、バランスを欠く影響を起こしているのではないかという点。

 4つ目のポツでございますが、国と研究実施者の間にあって、機関、組織が、個々の目的や特性に応じて、評価の視点や基準を明確化することが必要なのではないか。

 また、研究課題への資金配分のプログラムであっても、若手研究者の育成といった次世代の研究者・専門家を養成する機能等を、あわせて評価基準に組み込むようにしていくことが必要なのではないかという点でございます。

 3といたしまして、効果的・効率的な評価手法ということで、評価者・被評価者の双方にとって、過重な評価作業負担を回避して、効果的で効率的な評価のあり方の検討が必要ではないか。

 評価における過重な負担を回避するために、統合化・簡素化の合理化を図るなどの取り組みが行われているところでありますけれども、一方で、評価を実施する目的が見えず、どう活用されたかということがわからないことなどから、徒労感があるという指摘もなされております。評価が有意義なものとなるようシステムを改善し、徒労感を払拭することが必要なのではないか。

 次のページでございますが、プログラムや施策の評価においても、具体的な活動を把握しようとするあまりに過重になるという傾向があるのではないか。評価すべき範囲・階層を明確にすることが必要なのではないか。

 また、プログラムや施策並びに機関のマネジメントにおいてPDCAサイクルを回すことは重要である。評価をマネジメントに生かすことを奨励することが必要なのではないか。

 4としまして、専門人材の育成でございます。(1)としては、評価者、評価事務局職員、評価の専門家の育成というところで、評価運営の実務専門性を有する人材の育成とキャリアパスの確立、丸1でございます。丸2として、評価作業を専門的見地から遂行する人材の育成。丸3といたしまして、評価活動を支援することも研究支援の一環であるということを明記すべきではないか。

 過重な負担が一部の者にかかっているのではないかという点。あるいは評価を担当する事務職員は、ジョブローテーションで数年ごとに異動して、なかなか人材育成の体制整備が進んでいないのではないか。評価専門家の役割が重要になるということですけれども、極めて少ないということで、評価の専門家を育成するための環境整備が必要であろうということでございます。

 (2)でございますけれども、PD、PO制度でございます。プログラムの特性に応じたPD、PO制度の一層の拡充を図るため、今後の拡充方策を検討することが必要であろう。

 丸1といたしまして、PD、POの権限と責任の明確化。丸2といたしまして、PD、PO制度、人事(キャリアパスを含む)改革ということで、PD、POは多くが非常勤であるということから、二、三年でかわってしまうために、十分に果たせていないのではないかということで、体制を強化・確立していくことが必要であろう。また、PD、POを持続的に養成・確保していくための有効な対応策、キャリアパスを形成することが必要になるのではないかということでございます。

 以上が論点の整理ということでまとめさせていただいたものでございます。ご議論に当たりまして、これらについてご参考にしていただければと思っております。

 また、資料4-2、これは今の論点整理に沿った形で、現在の文科省が実施している評価の概要等につきまして、既存の資料でまことに恐縮でございますけれども、まとめさせていただいたもので、ご参考にしていただければと思います。

 なお、こちらについては、事前にお配り申し上げておりましたけれども、一部つけ加えさせていただいたものがございます。9のPD、PO制度のところの59ページから61ページまでのものでございますけれども、日本国内におけるPD、POの活動状況ということで、政策研でまとめていただいた資料がございましたので、科研費等の現在の実態、PD、POの体制ということと、国内における活動状況ということで東工大等の評価の例というものと、PD、POが十分に機能していると思うかというアンケートに対する回答というものの、資料3点をつけ加えさせていただいております。以上、ご参考にしていただければと思います。

 以上でございます。

【平野主査】  どうもありがとうございます。ただいま説明していただきましたように、期間は短かったのですが、予め委員の方々にご理解いただくために、できるものについては事前に送付させていただいております。今日は特にこの作業部会で検討すべき評価システムの課題についてご審議いただきたい、そして整理をしたいと思っております。研究評価部会で示され、事務局で整理した課題、問題意識、またそれ以外のことの内容でも結構ですので、皆さま方からご意見をいただきたいと思っております。

 また、この会は公開であります。忌憚のないご意見をいただければと思っておりますが、まず、同時に資料の内容について、ご意見等がありましたらお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

【武田委員】  理研の武田でございます。今回から委員になりましたので、これまでのここでのご議論を十分了解しておりませんので、そのサマリーとしてのこの資料を拝見した限りにおいて意見を。なまじ今まで参加していないので、見当外れも含めて、最初に申し上げておいたほうがいいのではないかと思いまして。

幾つかございますが、全体を通して私が若干気になっておりますことは、非常に重要な問題の中で、要は説明責任を果たすということは非常に重要だと思うのですけれども、説明責任の意味ということも含めて気になるのは、これまで私が科学技術・学術審議会、今、情報科学技術委員会とかで課題評価などをしておりまして、いつも若干フラストレーションがたまっておりまして、そこで一般的に感じておりますことは、説明責任というのは、こういう委員会を持って、あるプロセスを経て、きちんと文章で残して、公開にしてということが非常に強調されているような気がしておりまして、端的に言いますと、評価者を評価する仕組みというようなことの視点がないのではないか。

 例えば、私はあるプログラムについて、これは非常にいいとか、あるいは少しこういう点が問題であるという発言をしますと、議事録には載るという最近のシステムにはなっておりますけれども、基本的には評価する者が評価するようなフィードバックがありませんと、先ほどから出ているように、これだけの仕事をして一生懸命読んで評価した結果、よかった、あるいは悩んでやったことの反映が、評価者が、いい意味でも悪い意味でも報われるようなことが必要だという視点を私は持っているものですから、この問題点の整理の中にそういった視点がないということで、少しそこのところはどういうご議論があったのかとか、どういうご意見があるのかということを伺いたいと思っています。

 評価というのは非常に難しい。特に研究開発の評価というのは、過去の実績ではなくこれからの可能性に対する評価というのが基本だと思いますので、これはだれもわかりません。間違いを恐れずにやることが大事だと思うのですが、それでも責任を持って評価するということになると、私はこういう分野ではありませんが、例えばシリコンバレーでベンチャーキャピタルのまねごとをしましたけど、本当に投資するかしないか、これは回を重ねて、失敗すれば損をする、こういうことの繰り返しの中で評価というのは磨かれていくものだと思いますので、文科省だけではないと思いますが、現在のこういった評価というシステムそのものがそういった意味で、まず政策の責任を誰がとっているのか、あるいはその政策のもとにこういうことがやられたことの結果がどうとられているのかという、その結果責任をとるという意味でのフィードバックが、何らかの形で働くような知恵をみんなで出す議論が必要ではないかなというのが、私はまず第1点の感じでございます。

 この辺の責任、あるいは評価者が評価される、報われるというフィードバックシステムがないと、言葉は悪いですけれども、ある種のモラルハザードというか、無責任。でもそれにしては、あまりにもこれだけの用意をしていただいてということも。それが1つでございます。

【平野主査】  ありがとうございます。今、指摘いただいたポイントについての議論が今までどうあったか、事務局で何か説明するようなことはありますか。これはあちこちで言われていることでもあります。

【苫米地評価推進室長】  本日用意させていただいております資料の中にも、これまでの議論としましては、資料4-4と4-5でございますけれども、研究評価部会でのご意見というような点で、評価者の多様性とかモチベーション、被評価者のモチベーション向上等について、資料4-4の2ページ目の上の丸のところなどには、評価の目的を明確にした評価システムをつくることが重要なのではないか、評価結果が何に使われるかわからないと、被評価者の徒労感や負担感も増すというような点で、例えば評価、政策的なものなどについての目的等もはっきりさせるべきではないかというようなことも含んでいるとは思いますけれども、そういうご意見もございます。

 このようなものを含めて今日の論点整理の中でも、先ほどご紹介をさせていただきましたけれども、2ページ目の3の定義のところで、例えば政策・施策・プログラム・制度、研究開発課題、プロジェクトにつきまして、こういう認識をそれぞれした上で、それぞれの構造階層的に評価をするということについての重要性というものをご議論いただいておりますし、その点についてのご指摘も今までされているという点ではございます。

【沼尾委員】  今の話に関連して、評価の評価について話します。私は3月まで日本学術振興会(JSPS)の学術システム研究センターで主任研究員をしておりました。59ページの表を見ますと、プログラムディレクター(PD)の体制、プログラムオフィサー(PO)の体制というのがございます。科研費やJSPSの国際事業などの審査では、JSPSのPOとかPDは、審査員の評価を主にやっております。例えば、科学研究費補助金でしたら科研費の審査員は審査をしているのですが、その審査したものをPOが評価する。全部目を通して、例えばこの審査員は少し手を抜いているとか、偏っているとか、そういったことをきちんと評価する。評価の評価をして、なおかつよくやっている審査員については、表彰などをして、褒めるということをしています。JSPSでは評価の評価について相当気を配っていて、それなりに成果を挙げていると思います。

【岩瀬総括官】  今の武田先生からのお話は、ある程度幅のある問題を含んでいると思いますけれども、全部にお答えするということでなくて、私が大事だなと思っていることを、1点だけ少しコメントさせていただきますと、評価をしてそれが何のために使われるのか。実際にそれが本当に使われていくのだということが大事だと思うのですが、この資料の中にも少しありましたけども、今までどうしても評価というと、個々のプロジェクト、あるいは課題の評価と。それは実際に事前評価で、この課題を採択する、しないとか、そういう面では当然使われているわけです。

 私は、これからもっと、課題、プロジェクトのレベルだけでなくて、プログラムのレベルでもう少ししっかり評価をして、そのプログラムをいいものに考えていくということをしっかりやっていかないといけないなと思います。

 この資料の中でも、階層構造をしっかりつくって、個々のプロジェクトを評価するときには、プログラムの目標との関係で評価するということですから、例えば公募の資金があって、その公募のプログラムは何を達成する、どんなプロジェクト、どんな研究をやるためにこのプログラムはあるのかということをしっかりして、個々のプロジェクトをやっていって、このプロジェクトがそのプログラムの目的にきちんと資するようなものになっているのか、その資するものが選ばれるようにプログラムとしてマネジメントされているのか、そういうところが特に私は今までの自分の経験からすると、非常に問題かなと。それはおそらくファンディング機関の問題だけではなくて、国、文部科学省の施策、政策のレベルの問題でもあると思うのです。

 私もJSTにいたときに社会技術というのをやっておって、そこで厳しい評価で、相当評価に先生方に時間を使っていただいて、踏み込んだ評価をしていただいて、プログラム自体だけではなくて、センター自体の組織も、人の異動も含めて大幅な改革、根本的に組織改革をやったことがありますけど、そういうふうに組織、プログラムを運営するほうが、それだけの責任感を持って、それで評価をしていただいて、その結果をこう使いますとやらないと、おっしゃるように、評価して、何か印刷物をつくったけれども、それでどうなったのだろうか、となってはいけないので、我々行政側、あるいは独立行政法人、ファンディングをする機関も含めて、そこはまだまだ課題が多いと思っておりますので、そこは見えるようにしっかりやっていきたいと思っております。

 したがいまして、そういう点についてもご議論いただいて、こんなふうに今後さらにやっていく必要があるのではないかというようなご議論をいただけると、大変ありがたいなと期待しております。

【有信主査代理】  評価に関してかなり本質的な話が議論されているので、少し会社でどうやっているかという話をさせていただきたいと思います。会社の中でも事業の内部監査をかなり厳しくやります。これはここで言われている評価に相当するものになりますけども、内部監査の考え方というのは3つあって、ビジネスオペレーションのレレバンシー(正当性)と、アカウンタビリティー、それからコンプライアンス、この3つです。

 レレバンシーというのは、オペレーションが説明可能な形で公明正大に行われているかということでありまして、これはいわば計画だのプロセスだのというところの評価になりますし、アカウンタビリティーというのは、投入資源に対して、企業で言えば適切なリターンが得られる計画になっているか、あるいは具体的にやられつつあるかということになります。研究の場合ですと、そのアカウンタビリティーというのは、得られた内容と質がそれぞれの段階でのアカウンタビリティーを満足しているか、ある場合は説明責任だろうし、ある場合は納税者の期待に対する答えになっているかどうか、こういう問題だろうと思うのです。

 ですから、そういう視点をバックグラウンドに置きながら議論を進めていければと思っていますが、もう一つ問題なのは、内容と質を評価するのは、基本的にはやはりピアレビューという話になるわけですね。前にも社会技術でも随分議論しましたけども、研究開発の内容はピアレビューでやらなければいけない。ピアレビューが中心になるのは非常に当然だと思うのですが、具体的な評価を逆に受ける立場になって非常に理不尽な思いをするのは、例えば新しい領域だとか境界領域だとかいうところになると、ピアレビューできる人がいないわけです。

 そうすると、従来領域の観点でピアレビューをやられると、非常に理不尽な話になってしまう。ここの部分についてどういうことを担保していくかというのは、例えば入り口の評価、あるいは結果評価というところで、この中にも多少書かれてはいますが、多分課題になるだろうと思いますので、そこの部分をぜひ議論としては残していただければと思います。以上です。

【平野主査】  ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。これは大変重要なところだと思いますので、今のポイントを、武田委員の部分を含めて、この論点の中に入れて、今後議論を詰めていきたいと思っております。

【栗原委員】  今回資料を拝見していて、どこかでこういうことも申し上げようと思っていたので。やはり評価の基準とかやり方について、評価者が議論する機会をつくることも大事なのではないかと思います。

 それで、評価ではないのですが、外国のダイレクターのような方々といろいろお話しすると、よく出るのが人事の話で、こういう人をこういう点で採用したとか、採用しなかった場合まで、彼を採用しなかったのはこういう理由だけどどう思うというようなことを、日常的な会話の中で聞いてきて、彼らが自分の判断をチェックしたいということを思っているのを、折に触れて感じるので、やはり先ほど武田委員の言われた、将来に対して確実な100%という手法は必ずしもないのかもしれないので、そういう評価のカルチャーを育てることも大事なのではないかと思っております。

 これはどこかで申し上げたいと思ったので、今、形になることではないのですけれども、少し発言させていただきました。

【平野主査】  今よく言われる評価の文化といいますか、非常に難しい漠とした言い方なのですが、先進国の取り組みが全部いいわけではないですが、我が国はまだまだそういう点では、評価の文化ともし言えるならば、それが醸成されていない。今からだろうと思うので、今、栗原委員が言われたのはそのあたりにもよるところではないかと、思います。

 ゴールといいますか、文化を求めていくわけではありませんが、ゴールとしては評価文化がきちんと定着し、人もその中に育っているということになれば、この私どもの作業部会からの提言の最終的な形が見えてくると考えます。そう簡単ではありませんが、もし一言で言わせていただければ、評価の文化の醸成ということかもしれません。

【武田委員】  まさに主査が言われたことは、ある意味では私は非常にそのとおりだと思いまして、若干懸念を示しましたのは、これを否定するわけではないですけど、この論旨で展開していきますと、こういうところで議論した結果が方法論になってしまって、それが立派な官庁機構によって、今度新しく評価員になったときに、こう評価していただきます、これはこういうことが重要です、こうですと。

 そうすると皆さん忙しいから、持ってこられたものを見て、押しつけとは言いませんけれども、それをガイドに評価して出していくということになりますと、まさに今平野主査がおっしゃったように、まだ評価の文化ができていない中では、そういうマニュアルや何かを見て評価することが評価であるような方向に行ってしまうことが、私は一番、逆に言うと危険だなと。

 今まさに栗原委員がおっしゃったように、ここの項目の中に常に、こういったことを議論する仕組みを通じて評価者も評価されるというようなことをきちんと残しておかないと、平成何年度に何々作業部会で議論して、その結果こうなったという結果だけで、このままいくと、立派な方法論、ガイドラインができてしまう。そうすると、評価者も何となくそれに従っていくようなことを若干恐れて申し上げた次第でございます。

【黒木委員】  私は独立行政法人の評価にも関係しているのですが、たしか2年ぐらい前に、大くくりの評価、それから骨太の評価という方針を出したと思うのです。非常に大きく見た評価というのが大事で、現在の評価のやり方は積み重ね方式、積み上げ方式といいますか、非常にディテールから入っていって、それを毎年繰り返すということが、評価の負担を大きくしていると思うのです。

 ですから、評価の視点というのは、1つは政策のミッションがどう生かされているか、そのプロジェクトのミッション、プログラムのミッションというのを大事にするということと、それから非常に大きく見てそれがどう進んでいるかということで、あまり細かいところは必要なときにアドホックにやるというやり方にしないと、書類はますます多くなるし、こんな分厚い評価書を読んでいると、本当に森、それも密林の中に入ってしまい、どこにいるのか自分もわからなくなってしまう。ですからそれをやめて、なるべく大事な点がどこにあるかということを考えると。

 そのためには、余り定量的な考え方を入れないほうが私はいいと思っています。定性的に、本当にこれが役に立っているかどうかということを文章で表現する、そっちのほうが結局は役に立つのではないだろうかなと思います。

 自分自身で2年前まで岐阜大学の学長をしていたのですが、そのときに国立大学法人評価委員会から、ある項目で、50項目のうち49項目はいいけれども1項目がだめだから、全体としてはおおむね予定どおり進行しているという、1ランク下がった評価をされたことがあって、僕は評価委員会に随分文句を言いました。その1項目が何でどういう意味を持っているかという、その内容を評価しないで、安易な定量的な評価をしたらだめだということを言ったのですが、全く取り上げてもらえませんでした。

 ですから安易な定量的な評価をしない、大くくりな評価をする、骨太の評価をするということをしていかないと、評価をきちんとやろうとするとますます細かくなって、負担が両者、されるほう、するほうにかかってくるのではないかと思っています。

【小間委員】  全体の予定を見せていただきますと、今回を入れてあと3回でということですので、かなり焦点を絞った議論のほうがよろしいのではないかと思います。名前が研究評価ということですので、それにある程度特徴的なところを中心に議論することと、それからもう一点は、文部科学省の研究に対する評価をどうするかということだと思いますので、文部科学省、大学の研究を中心に議論するのがよい思います。その特性を伸ばすための評価という視点を常に持った議論が必要かと思います。

 特に大学が入っている研究機関での研究の評価は、大学院の教育、高度の人材育成ということが切り離せないと思いますので、そういう視点も入れた議論をしていったらいいのではないかと思います。

【平野主査】  ありがとうございます。今、小間委員が指摘されたように、ここでは研究開発の点においてというところに当然絞ってまいります。一般的にここで論点整理として、資料4-1にありますようなところを中心にはいたしますが、特にその中で踏まえておいていただきたいという点を、少し一般的に今議論をいただいておりますので、当然絞ってまた整理をさせていただきたい。

 加えて、今3回で大丈夫かということもないわけでもない。実はこの後、最後にお願いを申し上げますけれども、メール等でコンタクトをとりながら、事務局で整理をさせていただき、その資料をあらかじめ委員の方々に配付して、またご意見をいただく、そういうことも踏まえて詰めていきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。

 ほかにいかがでしょうか。

【山本委員】  今の研究開発の評価ということで、その評価する風土とかいう議論がありましたので、考えていることを申し上げます。

 「評価」ということが巷で言われるようになって、それで私たち大学教員も評価されるのだということになってきたというのは、本当に最近のことではないかと思うのです。大学教員も、評価されることになれていくというか、評価を受け入れるという姿勢を持つことが大切で、大学教員の変化が求められている、私はその「風土」ということを議論する時がきているように考えています。

 どういうことかというと、私たちは、例えば科研費のようなものを提案して、認められたらそれをやる、それで認められなかったら足りないところがあるということで、訂正をして、直して改善して、また提案する。その提案をして、評価を受けて研究をするというスタイルに慣れていく、大学教員の変化が必要なのではないか。この評価になれていく、評価を受けていく風土という点で大切ではないか。いろいろな評価が来るのはそのとおりなのですが、必要なのは、私たちが今度はその評価を受け入れていくことなのだと思います。これはあまりよくない評価だというようなことで批判するのは、その後のことだということではないかと思うのです。

 もう一つ申し上げたいのは、いろいろな審議会や審査会で審査員をやっているときにいつも感じるのは、先ほどアカウンタビリティー、コンプライアンスというような話があったのですが、まず、本当にこれだけの評価をするのにふさわしい審査なのかということです。例えば、選ぶ件数も少ないし、予算の額も少ないので、これだけの陣容の評価をするのにふさわしくないのではないかというような審査会、評価会で、審査員が本当にやる気にならないというところもあるのではないでしょうか。

 それから、一生懸命評価をして、その結果を出したら、その審査がドラスティックに結果に反映するかどうかという視点も大切ではないでしょうか。

 それから、この評価の一般性はどうなのか。大方の人たちがこういう評価をしたことを評価してくれるのかどうかという点も大切と思います。先ほど「評価者の評価」という話がありましたけれども、普通の研究者コミュニティーの中での評価から乖離してしまったような結果を出すのではないか、という点も考える必要があると思います。もちろん、評価が衆愚的になってはいけないので、斬新な視点からの評価で、うならせるような評価があってもいいとは思うのですが、あまりにコミュニティーのコンセンサスと乖離するようなものを出していいのかどうかという、その辺のところが、現実に審査しているときに感じることではないかなと思います。

 まとまらないのですが、何点か申し上げました。

【平野主査】  ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。

【野田委員】  私のところは基本的に評価される側が非常に多いのですが、今日、論点整理の中で少し気になったのは階層化です。多様化というのは非常に大事だと思うのです。ですからどういう評価をするかというのは、おそらくその課題設定、それからプログラムの内容によってかなり違ってくると思うのです。

 ただ、階層化という、この言葉だけが走り出すと、少しどうかなというのがありまして、先ほどご議論の中でも、提案したものがこういう評価指針という形で出たときに、それはそのとおりにやらなければならないと、実は受ける側、例えばうちですと評価室というのがあるのですが、そこのメンバーがその字のとおりに読んでしまうのです。

 そうなるとひとり歩きしてしまい、それに従って評価しなければいけないという勘違いもありまして、実は昨年、この文科省の評価指針ができたときに、事後評価を、終わった後ではなくてその寸前にやるべきだというときに、実は中間評価を3年目にやって、4年目にその事後評価といいますか、終了評価をやらなくてはいけないというので、次の年は何を評価してもらおうかと、そういった変なことが少し起きてしまったということもありまして、考え方としては多様性を持たせた形で整理して、それがなるべくその文字のとおり、ひとり歩きしないような形で整理できるといいかなという感じが、私のコメントです。

【小林委員】  この手の話をしたとき、いつも歯がゆいというか、非常に限界を感じることで、しかしながら現場にとって一番重要なのは、今の発言にも若干それがあったのですが、この議論をしている大綱的指針であるとか、あるいは評価指針といったものの議論と、一方では、現実問題として大学であれば国立大学の法人評価、あるいは独法の研究機関であれば独法の法人評価というものがあります。

 それで独法のほうがまだどうもいいようなのですが、この評価指針に基づいて行われる各種の評価、この中には機関評価もありますが、大学で言えばプログラムとかプロジェクトの評価、あるいは評価者としての関与ということなのでしょうが、こういったものとある意味では全く別の体系として、国立大学法人の評価があります。

 現場ではこれが常に一緒にあって、いろいろな意見・クレームが出てくるときに、一緒になって出てくるのです。これはやっぱり現実問題としてあって、そこをどう整理するかということが、先ほどの評価疲れという話にも関係があります。特に国立大学法人の評価で言うと、実際にその中でやはり研究評価の部分もあるわけです。さらにファンディングというか、資金配分に結びつく可能性もある。

 しかしながら、そのことと、ここで行われる議論との間の関係というのは切れてしまっている。現実の現場ではその両者が切れていないという問題があって、ここの関係をどうするのかというのは、多分我々の議論の範疇を超えるのだろうと思うのですが、やはりきちんと整理していかないと、この今我々が議論しようとしている体系の中だけ幾らきれいにいじっても、限界があるのかなという気がします。何らかの形で意見を発信するなりなんなりできないものかなと思います。以上です。

【平野主査】  主査が言うことではありませんが、大学評価にもかかわっておりますので、一言お話をさせていただきますと、大学の機関認証あるいは法人の評価と、ここで今日議論をしていただきます研究開発におけるプロジェクト、プログラムにかかわる評価とは、関係はないわけではありませんが、評価そのもの自体はステップが違いますので、少しそれは分けておいていただければ、と思います。

 ただ、関わる研究者がお互い全部共通的な役を担うということは事実でありますが、この作業部会でのテーマについては、今のような背景を少し分けながらしたらどうかと思いますが、よろしいでしょうか、その点については。

【小林委員】  了解はしていますが、現場から出てくる意見はいつもそこが議論になっているので。

【伊地知委員】  この資料を拝見させていただいて、手短に4点ほどつけ加えさせていただきたいと思っています。

 こういった評価をする、冒頭いろいろとお話がありましたけど、やはり日本の研究開発システムが、これからも先、持続可能であるということを目指した上でどういったことをすべきなのかという持続可能性というのも少し出てもいいのかなというのが1点であります。

 それから2点目は、これは学際・分野融合のところに出てきまして、先ほどもいろいろご議論があったかと思うのですが、特に海外と比較して気になるのは、それより上位の概念があって、それは何かというと、やはり新しい分野の開拓をいかにアプリシエートするかというようなことです。要するに世界レベルでの研究におけるリーダーシップという観点があるのではないかと思います。

 他方、そういった先端的な研究をしている機関やチームもあると思いますけれども、その基盤になる多様ないろいろな活動もあるわけなので、その多様性ということもきちんと把握しておかないといけないのではないでしょうか。それが先ほどお伺いしているところで言うと、指針になって、いろいろ方法論になったときに、例えばそういうところがうまくフィットしていないといろいろな困難に直面するということになるので、日本の中でもいろいろ多様だと思いますので、やはりその状況に合ったシステムにするということは意識しておくべきではないかというのが2点目であります。

 それから3点目は、これは評価者の評価という一種のメタ評価のような議論があったかと思うのですが、加えて、これもほかの国のシステムを考えますと、例えば評価者のカレッジ、いわゆる評価候補者群のようなものをつくっていく、それに相互に推薦するということで、ピアレビューの中で、いわば評価者と被評価者が循環するようなシステムもあると思うので、この観点というのはいろいろ多様な方法があり得るということを、もう少し模索してもいいのではないかと思いました。

 あと、4点目、最後になりますが、これは資料の中の2ページ目の上のほうにありますけれども、今のこの議論の中でも、狭い意味でのevaluationとassessment、これから先、例えばどこに研究資金を投下するとかいったことを判断するassessmentの話があって、それはやはり目的が多少違って、議論が交錯したままいくとなかなか共通の認識が得られないと思うので、そこについてはできれば明確に、どちらの話をしているのかと意識して分けながらいくと、議論がもう少し整理しやすくなるのではないかなと思います。

【平野主査】  どうもありがとうございます。そのあたりもこの中の議論のところで踏まえて動いていきたいと思っておりますが、そのほかいかがでしょうか。

【阿部委員】  私は今年からこれにかかわらせていただいたのですが、この下層の評価は何度かやらせていただいております。それで文科省のこういった研究開発に関しての評価、あるいは研究開発の研究というのは、だんだんよくなってきていると私自身は思っています。

 ただ1点、2点ぐらい違うところは、例えばアメリカの友人がNIHとかNSFの審査をするときというのは、本当に真剣勝負でそれをするのだと。その真剣勝負がしかも、どの階層でやるにしても相当権限を与えられて、ある期間を任されると。例えば2、3年ではなくて、5年とか、あるいはもう少し長く10年近い期間を任されて、つまりその研究自身が、ここで言うならばプログラムなのですが、そのプログラムを審査することによって政策までかなり影響を及ぼすと言って、それで何人かの方は真剣勝負だとおっしゃるのです。審査する側がすごく、自分は審査されている、その資格があるということを非常に名誉に思ってやっているとおっしゃるので、私は随分日本と違うのだなと、前からずっと思っています。

 でも日本もだんだんそういうふうになってきて、現場としてはいい方向に向かっていると。私どもがこういった評価システムの改革をするときに、この委員会がリザートとして、すぐではなくていいのですが、どこに影響を与えたのか、少しでもいい方向に行けたのかというところがすごく問題というか、大切だと思うのです。

 それで例えばこの会議も3回でおしまい、それが終わったら終わりと。それはそれで委員をかえて、また同じ方向でやられたらいいのですが、この評価というのが将来的に10年後の、この日本の大学教育なり研究の開発技術なり、あるいはそういった方向性を決める最も大切なところで、もしかしたらこの委員会というのが一番上部にあるのではないかと私は思うのです。

 そうなるとこれの位置づけというのは、プログラムで下の階層から積み上げてきたのを大所高所で、こうしたらいいです、ああしたらいいですということを評価するのももちろんですけれども、さらにもっと一歩上を目指して政策、方向性にまで提言できるような、そういう評価システムというのを構築する方向に、この委員会が貢献する必要があるのではないか。

 アメリカがいいとは思いませんが、自分たちが何かやっていて、それが本当に国の科学技術、あるいは大学教育、学問分野に貢献しているという矜持というか誇りというか、そういうものが私はあったらいいかなと、これは感想ですが思います。

 それからそれの一端として、例えば非常に最近、男女共同参画というところが、本当に2、3年前に出てきたと思うのです。その男女共同参画も先に男女共同参画ありで、どうやって、例えば大学教育、教員の人事、女性の数を増やして、あるいは女性研究者を増やすか、女学生を増やすかというような先に政策があって、そこに無理やりいろいろな研究の方向をつけていると思うのですが、こういった評価のあり方の中で方向性を見据えて、そして男女共同参画というのはどういう位置にあって、どうするかという議論をする側が全然ないと思うのです。

 そういうことに関しても、例えばですけれども、そういった研究をする上で、この委員会の位置づけとして、最終的に研究の方向性を決めるというような提言ができたら、私はうれしいと思っているのです。感想ですが。

【平野主査】  大変重要なご指摘だと思います。冒頭事務局からも説明がありましたように、ここの作業部会がもとになり、これが全部決められるわけではありませんが、少なくともここからきちんと発信をして委員会に上げていく、文部科学省そのものの政策に反映できるようにとは思っております。

 ただ、この作業部会は研究評価部会から、委託されておりますので、研究評価部会にその趣旨、精神はお伝えして、文部科学省全体に反映するように努めていきたいと思っております。

 今の阿部委員のご意見は、一番初めに武田委員が出されたところとも関連するところだと思っておりまして、皆さんここにお見えの方は、何らかの形で評価、審査をずっとやられた方だと思うのですが、じくじたる思いをしながらずっとここ、特に2、3年、こういうことをやられていたのだろうと思います。その気持ちは一番大事でありまして、その気持ちを改善に向けていきたいと思っております。

 私自身、大きなプロジェクト等でいろいろなことにも評価委員として入りまして、幾ら言っても事が変わらないと、嫌になってもうやめたいと言ったことがあります。それは施策面が一たん動いたら絶対施策が変わらない、言ってみれば、首相のもとで動いたことについて内部を修正すべきだと提言しても、それは簡単には変わらないというジレンマがあります。私たち評価者は何のために神経を使って発言しなければならないのかということについて、じくじたる思いがありました。

 今お話がありましたように、PDCAと簡単には言いますが、本来、評価を通して次のプログラム、あるいは施策はこうあるべきだというところまで、文部科学省の施策に反映をするのが評価の大事なところでありまして、評価者はそういう意見が通ってくれれば、誇りを持ち、さらに責任を持って動いてくれるだろうと、そういうことが順次積み重ねられるのが、私が先ほど言葉で言った、評価文化の表れだということに入っているわけであります。

 自分たちのことを言ってはいけませんが、いろいろご意見をいただいております大学評価・学位授与機構自身も、そういうつもりで評価機構として動かなければいけないと、皆さんに私は4月から言っておりますが、まさに研究開発においても同じことだと思っております。

【小川委員】  先生方のように大所高所の意見ではなくて、私は本当に末端の現場で見ていて非常に感じることなのですが、最近、特にポスドクの問題などが表面化してきて、ポスドクからの出口が非常に少ないということで、さらにその後に続く大学院生とかの意欲が、特に大学院の後期課程まで進むような学生の数が減りつつあるのです。最近日本学術振興会の特別研究員の応募数を見たら、ずっと年々増加してきたのが、昨年初めて減少に転じているというようなことがありまして、それがかなり大きな減少でしたので私はびっくりしたのです。ちょうど今日まとめてくださっている主要論点の中では、4番目に近いことを私は思ってきました。

 これは次世代の人材を育成するような組織の役割を重視する評価ということなのですが、例えば日本の大学だと、大学の場合、学部は教育ですが、大学院の場合は教育と研究を通じて院生を育成するということも大きいですし、特にポスドクの役割というのは高度な研究の一番の担い手といいますか、推進役で大事なのですが、そのポスドクの人たちが本当にハッピーでいられるような状態であるかどうかということが、常々気になっています。

 それがハッピーな状態でないと、幾ら高度な研究とか最先端のことをやっていても、本当の意味で長く続くような、次世代につなげていくのは難しい。現実に今、大学院生の進学意欲がそがれてきて、早く社会に出ようと、不況の影響もあるとは思いますけれども、この流れというのはしばらく、社会のシステムが変わらない限り続いてしまうのではないかとも思えます。システムの問題もあるかもしれませんが、この評価ということの中に、例えば第一線の大型のプロジェクトの中で、ポスドクのクオリティー・オブ・ライフ(QOL)まで視点を配ったような評価がなされているかということも気になります。

 そのことは結局、大学院生の研究を通じた教育にも反映してくるということがあります。先ほど阿部委員がおっしゃっていたような男女共同参画とも反することではなくて、かつ高度な研究者の育成ということにも関係してくると思いますので、そこの研究に携わる、特に若手の研究者のQOLにまで少し目を配ったような評価の視点を加えていただけたらありがたいと思っています。

【黒木委員】  先ほど評価するほう、されるほうの負担のことを言って、それと少し矛盾するようですけど、やっぱりペーパーではわからない点が随分あって、サイトビジットの重要性というのを、しょっちゅうやる必要はありませんが、特にこの政策の構造の中で、上のほうに近いプログラムのところは、本当にその目的、ミッションに従ったことをしているかどうかということをきちんと見るためには、サイトビジットで現場を見るということが非常に大切だということを、自分のWPIの経験などで痛感しております。

 それによって、本当にお金の出る目的を理解してもらえるということになりますので、ぜひサイトビジットを、頻繁ではなくていいですから、必要な局面では使うということも大事ではないかなと思っています。

【平野主査】  今の評価の方法の中にも入ってくると思うのですが、サイトビジットも重視することということです。

【武田委員】  少しマイナーなことになりますけれども、この論点整理で一つ非常に興味を感じたのは、2ページ目の上のほうに(2)で、「評価については、狭義での“evaluation”だけではなく」云々と、このフレーズです。

 私ごとではありませんが、私ども理研の経営会議でいつも理事長が、この言葉を1回英語に置きかえてみろと言います。日本語が乱れている、安易に使われているけれども、英語に置きかえてみて何になるのということで、我々はいつも頭をもう一回整理するようにしています。

 この作業部会ということではなくて、これは文部科学省の文部の、理事長もいつも言うのは、国語を守っているのはどこの省庁かと。思考停止にならないようにするには、正しい日本語で正しく理解をするという意味においては、ここに大変いいことが書いてあって、評価、評価と先ほどから議論しているのですが、何を評価するのかとか、評価するにはこういうことという、もっと基本的な……。

 もちろんこの作業部会では、研究の評価ということに焦点を絞って議論するのですが、振り返る意味においては、評価にはこういう側面がある、こういう意味では、日本語を通じて我々自身も頭を整理できたらいいなと、文科省で少しこういうことを、それこそ有識者に聞いていただけたらなということが1つと、それから4ページの世界水準の視点での評価というところの世界的な視点での評価について、いつも私もプログラムの評価云々をやっているときに、これは非常に重要な視点なのですが、ここはいつも文句をつけているのですが、何となく研究をやっている方たちの自己申告制になっています。

 それにコメントをして何となく終わっているところがあって、やはりインテリジェンスというか、評価委員の方々の中には、それはもうその分野で権威の方ですから、見ていて自分では甘い評価をしているなとかいうのはあるかもしれませんが、少しそこの議論が不十分だなという感じがして、その部分の議論をある程度活性化するためには、若干客観的なことも含めてやらないと。何となく今自己申告で、世界で初めてとかと言っているケースが随分あるものですから、その辺をコメントします。

【平野主査】  ありがとうございます。世界水準の視点での評価については、我が国にふさわしい評価方法を明確化する必要性も含めながら、難しい問題ですが、今後検討をさせていただきたい。

【黒木委員】  世界水準でよろしいですか。特別推進とか、上のほうの科研費の審査のときには、外国からのコメントをもらうことになっていますね、グローバルCOEも。ですけれども、それが審査のときにほとんど役に立たない。というのは、自分が関係していない申請に対しては、みんないいことを書いてくる。で、実際いい申請であるわけですが、ほとんど差がつかないということがあります。

 ですが、例えばWPIでサイトビジットというか、プログラム委員会をやって、全員が集まるというところになると、非常にクリティカルないい意見が出てくるのです。ですから単に外国に審査を依頼するということで、コメントを数行書いてもらうということですと、本当に形だけで役に立たないのが出てくるというのが現実だろうと思っています。

【平野主査】  私は今の経産省で、旧通産省のあるプロジェクトの中間評価のときに、海外の実績を挙げている著名な立派な方々を訪問いたしました。特に、日本の方の評価とかなり違うなと思ったのは、日本でもやりましたけれども、見逃しそうないいところをぴしっと突くところが多く、また将来へ展開しそうな点をよく見ていただけたということです。だから国際的に見て、これは伸びるよというような方、人にもよるので一概ではありませんが、そういう点ではある意味、大きなプログラムについては世界的な視点も必要ではないか、と思います。

 研究評価部会でも、国際的な審査をすべきだという意見が非常に強く出ておりました。幾つか理由がありまして、1つは一番先端でいくところのアイデアが漏えいする恐れがあることをどう抑えるかということが一方、心配、懸念する面でありました。もう一つは、その結果の反映を明確にせずに、審査書類だけを送って審査していただいて、まじめにまともにやってもらえるのだろうかという問題も指摘されています。このあたり、私は国際的なレベルを求めている大きなプログラムについては、研究開発を効果的に進めるうえで重要な評価における検討課題の一つとして、皆さんに今後これも議論をしていただこうと思っております。

【栗原委員】  今の外国からの評価については、例えば大型の科研費の申請に対しては、その委員会に出席した経験では、やはりほとんど褒めてくるものしかなかったので、英語でプロポーザルを書かなければいけないという負担を考えると、プログラムのようなものはともかくとして、個別の研究提案に関しては、これからまだ議論が必要なのではないかという意見が、その委員会でも出ておりました。

 この今回の評価システム改革に向けた論点整理の全体を拝見して、議論すべき点を非常に丁寧に書いていただいていると思いまして、特に将来に対してどういう研究をつくっていくかとか、将来を支えるテーマをどう出していこうかというところをもっと議論すべきだという視点が非常にはっきり出ているので、私どもも責任重大だと思ったのですが、特に観点、基準、視点として、現行の必要性、有効性、効率性よりは、もう少し将来に向かっての視点をいろいろ入れられないかとか、やはり研究を育てていくための評価ということをもう少し具体的に、できるだけ可能な範囲で考えられたらいいだろうと思っております。

 それから、先ほど男女共同参画について、政策が先にあるとおっしゃったのですが、私は始まったころの状況を知っているので少しつけ加えさせていただくと、現在の男女共同参画の活動のもとになっているのには、研究者に対する実態調査という大きなデータに基づいて随分議論されたと思います。今後のことについては、またどういう形で進めるかということは評価・議論があるかもしれないですが、スタートに関しては随分いろいろな議論があったように私は理解しておりますので、必ずしも政策ありきではなかったのではないかと思います。

【平野主査】  ありがとうございます。ここのところで、今も皆さん方から大変重要なご意見をたくさんいただきました。これらを事務局とともに整理させていただきたいと思っております。

 加えて、今日皆さんから意見があったところでは、論点整理の1ページ目のところで、問題意識としての個別課題の共通した問題。これは(1)のところにあるのですが、確か現実は、それぞれのプロジェクトにおいて、またその中で、あるレベルでの評価が通常的に行われていたことも事実であります。

 もう一つは、本来の文部科学省全体としての評価という点からすれば、やはり階層ごとで、そこでとどまって閉じるのではなくて、言ってみれば、そのプログラムがよかったのか、さらにその施策がよかったのかというところへ本来反映されて、次の改善された施策が出てこなければいけない、と思います。

 政府をどうこうするつもりは、今私には当然ありませんし、この委員会はそういう委員会ではないので言いませんが、何となく、どこからそのプログラムが出てきたのと言いたいようなのがないわけではないなとも思うことがあります。これは文部科学省のプログラムというわけではありませんが、そこへやはり評価がいい形で連結をするようにしてくれば、評価者は、先ほどお話ししたように自信を持ち、かつ責任感を持ち、誇りを持って動いてくれるだろうなと考えます。

 そういうことがないと、私の現場での経験からして、評価にかかわる専門人財の育成というのは非常に難しいと思います。やはり各大学においても評価室等をつくって、今努力されつつあるところだと思いますが、そこに加わった人たちが本当に将来、誇りを持って働く場として、ポストに就くことができるかということについては、一にこういう評価システムをきちんと位置づけ、かつそこの中で自分たちが行った仕事が本当に、世の中を動かすところに結びつくというところが見えてこないといけないかなとも思うものですから、ぜひここでの意見の中に、このあたりをきちんと出す評価の全体の位置づけをしていったらと、個人的には私は、これは主査という意味ではなくて思っております。願ってもおりますが。

 今日はいろいろな点からご意見をいただきました。小間委員が心配するように、期間が限られているのに発散し過ぎてもいけないことも事実でありまして、ご指摘のように少しそこをまた整理したいと思います。今日は、特に皆さんには、この論点のところからどう考え、また何が欠けているかというところを、この議題1でお聞きするというのが目的でありましたので、いろいろな観点から重要な意見をいただきました。ぜひご意見を基にしてこれを整理した上で、システム改革に向けた課題として、また皆さん方に提示してご意見をいただきたいと思っておりますが、よろしいでしょうか。

 まだお話をたくさんいただかなければいけないところがあると思いますので、お忙しいところ恐縮ではありますけれども、すべての課題についてでなくても結構ですので、ぜひいろいろな方策について先生方のお考えを、お出しいただきたいと思っております。ご意見をさらに整理をした上で審議を進めていきたいと思っておりますので、お願いでありますが、事務局から依頼メールを送らせていただきます。その中に、今日のお話と当然重複してもよろしいし、ほかの方がご提言された内容についてさらに加えていただいても結構でありますので、6月8日月曜日までにメールでご意見をお寄せくださるようにお願いをいたします、ぜひお出しいただければと希望いたしますが、よろしいでしょうか。

 先ほど来ご意見をいただいておりますように、私はこの評価というのは大変重要なことだと思っておりますので、ぜひご意見をお寄せいただき、ここで取りまとめて、文部科学省の全体の動きの中に反映できるようにしていきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 それでは続きまして、議題3のその他に移りまして、今後のスケジュールを含めてお話をいただきたいと思います。

【沼田計画官補佐】  はい。今後の審議日程でございますけれども、資料5でございます。既に委員の皆様にはご連絡をさせていただいておりますけれども、第2回、6月26日金曜日、時間は10時から12時開催となっております。第3回が7月28日火曜日、14時から16時でございます。場所と詳細につきましては、改めてメール等でご連絡をさせていただきます。

 以上でございます。

【平野主査】  今お願い申し上げましたのに加えて、メールでまたご意見を伺うようにいたしますので、よろしくお願い申し上げます。

 本日まだご意見を伺いたいのですが、時間がそろそろ来ましたので、今日のところはこのあたりで、あとは事務局から連絡事項等ありましたらお願いしたいと思います。

【沼田計画官補佐】  事務局から2点ほどご連絡をさせていただきます。

 今回の議事録につきましては、先ほどの作業部会の運営規則に定めてありますとおり、議事録案を作成いたしまして、各委員の先生方に確認をしていただいた後、ホームページにて公表させていただきます。

 また、本日の資料につきましては、封筒にお名前をご記入いただいて机の上に置いていただければ、後日郵送させていただくことも可能でございますので、お願いいたします。

 以上でございます。

【平野主査】  どうもありがとうございます。

 宿題をお願いして申しわけありませんが、次回から焦点を絞りながら、提言に向けて作業部会を進めていきたいと思っておりますので、さらに加えて事務局から参考になるような資料がありましたら、また委員の方々には送らせていただきたいと思っております。

 本日はお忙しいところ貴重なご意見をいただきまして、どうもありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。

── 了 ──

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科学技術・学術政策局計画官付

(科学技術・学術政策局計画官付)