第5期 地球環境科学技術委員会(第4回) 議事録

1.日時

平成21年8月7日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 3F1特別会議室(中央合同庁舎7号館東館3階)

3.議題

  1. 文部科学省における地球環境科学技術分野の研究開発について
  2. 21世紀気候変動予測革新プログラムの中間評価について
  3. 平成22年度概算要求における重要課題について
  4. その他

4.出席者

委員

安岡主査、安井主査代理、小池勲夫委員、小池俊雄委員、笹野委員、住委員、高橋委員、三村委員、持田委員、安成委員、山口委員

文部科学省

森本大臣官房審議官、谷地球・環境科学技術推進室長、西山地球・環境科学技術推進室室長補佐、岡本海洋地球課課長補佐、金城地球・環境科学技術推進室室長補佐

5.議事録

 (本回の議事は、評価に係わる事項があったため、議題2の「21世紀気候変動予測革新プログラムの中間評価について」以降は非公開。)

【安岡主査】  それでは、定刻になりましたので、ただいまから科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会 地球環境科学技術委員会の第4回会合を開かせていただきます。お忙しい中、またお暑い中、どうもありがとうございます。
 本日は評価に係る案件があるものですから、議案の1だけは公開として、議案の2から終了までは非公開とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 出席者の確認をお願いいたします。

【谷室長】  おはようございます。お忙しい中お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。本日は11名の先生方にご出席をいただいております。過半数のご参加をいただいておりますので、成立ということになってございます。
 以上でございます。

【安岡主査】  ありがとうございます。
 それでは、お手元にある資料を事務局のほうから確認いただけますか。

【岡本補佐】  お手元には、座席表と本日の議事次第、及び資料1としまして「地球環境科学技術に関する研究開発について」、骨子案バージョン2というものがございます。そのほかに、各先生のお手元には席上配布資料として幾つかご用意させていただいております。
 以上でございます。

【安岡主査】  ありがとうございます。過不足ございますでしょうか。大丈夫でしょうか。
 議題に入ります前に、この7月に文部科学省で人事異動がございまして、審議官に森本さんが着任されましたので、森本さんから一言ごあいさついただきたいと思います。

【森本審議官】  ただいまご紹介いただきました森本でございます。7月14日付で研究開発局の担当の審議官になりましたので、よろしくお願い申し上げます。
 この委員会の先生方のいろいろなご意見あるいはお知恵をいただきまして、この数年間にわたりまして地球環境の関係の研究開発は非常に大きな進展があったのではないかと思っております。ことしはCOP15もございますし、国際情勢も大きく動いております。国内的にも科学技術基本計画ということで、大きな次の基本計画の策定の時期にどういうふうに反映していくかという大事な時期でもございます。そういう意味で、ぜひ先生方のご指導をいただきましてすばらしい戦略をつくっていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

【安岡主査】  どうもありがとうございました。
 この委員会は前回、全員出席でして、大変たくさんのご意見を全員からいただきました。宿題が多くて、きょうも多分活発なご議論をいただけると思います。もう全体に夏休みのモードに入っておりますけれども、ここはちょっとホットな議論をさせていただきたいと思います。
 それでは、議題の1番目ですが、「文部科学省における地球環境科学技術分野の研究開発について」ということで、まず事務局からご説明をお願いいたします。前回、骨子案をご議論いただきました。そこで皆さんからいただいたご意見をもとに、バージョン2を事務局で用意していただきました。よろしくお願いいたします。

【谷室長】  資料1に基づきましてご説明をさせていただきます。
 資料1、一番最初に全体の構成を書かせていただいております。1点目は地球環境科学技術を巡る諸情勢ということで、前回の骨子案でも基本認識に先立っての国内外の動向ということで整理させていただいておりましたものを、コメントをいただきましたものを踏まえて改訂してございます。
 2点目に、第3期科学技術基本計画の中間フォローアップ(環境分野)。これは、次の議論をするに当たって、第3期でどうだったのかをきちっと踏まえる必要があるというご意見をいただきました。これを踏まえまして、フォローアップを入れてございます。
 3点目に、そのフォローアップも踏まえまして、また国内外の諸情勢を踏まえまして、次期の科学技術基本計画における地球環境科学技術の基本的考え方という形にしてございます。前回は2つ目に、地球環境科学技術についてということで基本理念あるいは推進に当たって配慮すべき事項ということで整理していたもののうち、推進に当たって配慮すべき事項については後ろの推進方策で改めて整理をし直してございまして、前段の基本理念に当たる部分を基本的考え方という形で再整理させていただきました。
 それから、4ポツに次期科学技術基本計画において取り組むべき重要課題ということでございます。これは前回、現状の基本計画の6領域に沿った立て方をしてございましたけれども、これも課題をエンジェットに再整理してございます。ただ、大変恐縮でございますけれども、まだ作業中のところがございます。ぎりぎりまで作業しておりましたけれども、時間切れということで、いかにも作業中という資料で大変恐縮でございますけれども、この時点でご議論をいただければ大変ありがたいということでございます。
 5ポツに推進方策ということで、課題に挑戦していくに当たってどのようなやり方を考えていくのが重要かを再度、整理し直したということでございます。
 それでは、2ページ以降、順番にご紹介させていただきます。
 まず、2ページ目は1ポツの地球環境科学技術を巡る諸情勢で、(1)が国際的な動向、(2)が国内の動向ということで整理してございます。前回、例えばことしのCOP15が抜けておりましたのを追加いたしました。また、ラクイラのサミットがまだ入っていないですね。失礼いたしました。
 それから、一番下になりますけれども、国内の関係では19年に海洋基本法、また20年に宇宙基本法、それぞれ成立してございますので、その話を入れ込むことにしてございます。
 これが国内外の諸情勢ということで、全体でございます。
 3ページ目は、環境分野の中間フォローアップの記載でございます。内容的には、ほぼ中間フォローアップの内容を転記しているところが多うございますが、まず(1)で環境分野の中間フォローアップの概要ということで、第3期の環境関係の大目標、中目標の設定、また環境分野の位置づけ、設定された研究領域の話を書いております。ラップアップでございますが、「中間フォローアップにおいては、『現在の環境分野の研究開発目標については、特段の変更の必要はない』としつつ、他方で、『環境問題は、エネルギー、開発、自然資源の保全、貧困など多くの問題と関連しており、多様な主体との連携の下、研究開発を推進するとともに、研究成果の社会還元を図ることが、一層求められている。今後、本中間フォローアップにおける状況認識のもと、機動的な対応を図っていくことが必要である』」というまとめの部分を転記してございます。
 (2)といたしまして、中間フォローアップの結果を踏まえた今後の取り組むべき課題ということで、残る基本計画期間中にしっかり取り組むべき課題が整理されておりますので、それをそのまま書き込んでございます。6つの研究領域ごとにそれぞれ書かれているものでございます。個々のご説明は割愛させていただきますが、内容的には中間フォローアップでご議論いただいたものをそのまま記載している。
 5ページに参りまして、3ポツの次期基本計画における地球環境科学技術の基本的考え方でございます。ここは、前回は地球環境科学技術が何をするのか、何を求められているのかという観点からするとちょっと余計なものが入っておりましたので、その辺を少しそぎ落として、簡単に骨を残した形で書いてございます。アイテムとしてはこういうことを書こうということで、本日ご議論いただきまして、そのご議論を踏まえてさらに文章化したいと考えているものでございます。
 (1)は、世界の安定的な持続的発展に貢献する科学技術を掲げてございます。これは焦点を世界に当てて、地球全体、グローバルにどうかをまず考えるということで、「人間の安全保障に関わる温暖化をはじめとする地球環境問題への解決方途を示す」というのが地球環境科学技術の役割だろう、そこに対する期待が高いということであろう。また、地球環境科学技術が貢献できる部分、国際社会全体への働きかけという観点からは、協調する部分、競争する部分、貢献する部分という側面がそれぞれあるわけでございますけれども、「それぞれのアプローチを有機的に機能させ国際社会の安定的発展に貢献」することが基本的な考え方の方向ではないかということでございます。
 (2)、ではそれが特に我が国においてどうかを書き直したものでございます。これは、21世紀環境立国戦略等でも整理されたとおりでございますが、低炭素、循環型、自然共生というそれぞれの側面を統合的に持続可能社会として実現する科学技術という位置づけができるかと考えてございます。少子高齢化、またエネルギー、資源が限られているという制約のもとにあるわけでございますけれども、日本は世界各国がいずれ直面する問題に今現在、直面しているわけでございます。そういった世界の共通課題に先取りして挑戦していくということが言えるのではないか。特に喫緊の課題であります低炭素社会づくりは近年、非常に大きな動きになってございますけれども、これに向けて緩和・適応の科学技術が非常にかぎになってくるかと思います。
 具体的にその科学技術が社会との関係でどのようになっていくのかを、さらに別項を挙げて記載したらどうかということで、(3)は経済社会システムの変革と地球環境科学技術ということで整理したいと考えてございます。これは問題解決ではありますが、我が国あるいは国際社会が豊かな生活をしつつ、持続的に発展していけるという社会の未来可能性でありますとか、それに至るシナリオを提示していくのも地球環境科学技術の役割ではないか。また、特に昨年来、非常に問題になっております現下の経済危機との関係で、経済成長との両立が一つ大きな論点になろうかと思います。それも踏まえて持続型の社会を実現していくという非常に高い要請にこたえる科学技術の成果を出していくことが、社会システムを変革していくドライビング・フォースになるのではないか。その際、環境技術が社会に入っていく上でいろんな負の側面も場合によってはあり得るということで、人間活動の諸要素を総合的に考慮していく必要もあるのではないかということも付言したい。
 ここは非常に大きな基本的な考え方でございますので、先ほど申し上げたとおり、骨のところをきちっと方向性を出すということで、少し絞って書いてございます。
 6ページは、次期科学技術基本計画において取り組むべき重要課題ということで、前回、6つの研究領域をそのまま書いてございましたけれども、解決すべき政策課題を中心に書き下すべきではないかというご議論がございました。したがいまして、一部ややとってつけたような、あるいはうまく書けなかったために従来の書きぶりをそのまま残しているものもございますけれども、政策課題、何をするべきなのかを念頭に再度、整理したいと思っております。特に作業中でございまして、中途半端なところがございますけれども、きょうは恐縮でございますが、このレベルでご議論いただければと思っております。
 まず最初に、政策研究でございますけれども、全体の低炭素を含む持続可能社会構築のための長期ビジョンとシナリオを提示する研究でございます。後ほど、環境エネルギー技術の研究開発投資の優先順位あるいは投資の配分との関連も出てまいりますけれども、全体を規定していく大きな方向性を示す政策研究が必要ではないだろうかということで、これを1点目に掲げてございます。
 2点目は、低炭素社会の構築が現在、非常に大きな社会的要請になってございますので、そのことでまとめてございます。内容的には気候変動研究が中心になりまして、1点目は気候変動プロセスの解明やモニタリングの研究を書いてございます。ただ、やや視野狭窄に陥ってはならないということを念頭に置いて、目的をはっきりさせる、出口志向を強めるという意味で「気候変動予測の精度向上につながる」という条件をつけてございます。その上で、気候変動予測研究は近年、非常に大きな進捗が見られている分野でございますけれども、今後、地域レベルあるいは10年スケールといった詳細な予測が期待されているので、単純な気候変動予測ではなくて時間軸、空間軸できちっと使えるものということで書いてございます。
 観測、予測と参りまして、対策の部分のうち緩和でございます。内容的には非常に多岐にわたるわけでございまして、若干まとめ過ぎかなという気がいたしますけれども、革新的な環境エネルギー技術をはじめとする温暖化緩和技術開発ということで整理してございます。それから、両輪のもう一方になります適応は温暖化影響・リスク評価と一体になっているわけでございますので、影響評価、リスク評価と適応研究としてございますけれども、それを考える上で必要なものとして気候変動データの統融合が必須になりますので、それを活用したというのを前段につけてございます。
 続いて、水・物質循環と流域圏研究領域ということで、これはどう整理したものか非常に難しいなと思って時間切れになった部分でございます。水の話は我々の基本的な生存の基盤でございますので、低炭素、循環型あるいは自然共生といったすべてのところにかかわってくるということで、生存の基盤としての水にかかわる研究開発になるのかなと思っておりますが、ちょっと恐縮でございます。十分に消化し切れておりません。内容的にも4点書いてございますけれども、従来の研究領域及びその課題の設定をそのまま転記した状態でございます。こういう方向で整理をするのがよいのではないかというご意見がございましたら、ぜひちょうだいしたいと思っております。
 4点目、自然との共生の実現ということで、専ら生態系、生物多様性についての課題を整理してございます。ここも問題意識としては自然との共生かと思って考えて、このように整理してございますけれども、メニューといたしましては従来の研究課題の整理にとどまってございます。あわせてここもコメント、ご意見をいただければ大変ありがたいと思います。
 循環型社会の構築というところでございますけれども、これは従来3Rで整理されていたものを内容的に絞って書いているものでございます。資源循環型生産・消費システムの設計・評価・支援技術、リサイクル・廃棄物適正処理処分技術でございます。これは、トップに掲げております長期ビジョンとシナリオを提示する研究の中でマテリアルフローあるいはエネルギーフロー、資源のフローといったものを考えるわけでございますけれども、そういったところと連携といいますか、関係の非常に大きなところになろうかと思いますけれども、個々の技術としてはこういう形でまとめることができるのではないかと考えて記載してございます。
 以上が4ポツの重要課題でございます。
 7ページに参りまして、5ポツの推進方策でございます。これは前回、推進に当たって配慮すべき事項ということで書いていたものを再度、整理し直したものでございます。これまで整理した、重要課題を推進するに当たってどういう点に気をつけて進めていかなければならないかでございますが、1点目は国民、社会との対話でございます。内容的にはいろいろあるので、相当書き込まなきゃいけないと思っておりますし、内容としては多様な対話のあり方が考えられると思っておりますが、経済社会システムの変革を考えると、それは国民、我々一人一人の意識の改革、また環境行動の変化から始まるわけでございます。その国民の理解、社会の理解がなくては立ち行かないということでございますので、その対話が一番最初にあるべきだろうということで書いてございます。
 課題解決のための多様な幅広い連携ということで、連携もいろんな連携がございます。例えば研究の世界で申し上げれば、人文社会と自然科学との分野の連携でございますとか、ナノテク材料とバイオといった異分野の連携もあり得るかと思います。そういった分野横断の連携が一つあろうかと。また、府省の連携も強調されてきてございます。特定の課題を挙げたときに、その課題に府省をまたいでの連携が必要になることはこれから多く挙がってくるわけでございますので、府省の連携も重要であろう。また、適応策等の議論で非常に出てまいりますけれども、地方公共団体等との連携が一つの鍵になってくるであろう。具体的な地域の課題解決といったときには、中心になってくるプレーヤーとしては地方公共団体があるわけでございまして、府省も入ってくるかもしれませんが、そこを中心にした連携が出てくるであろう。また、産学官の連携は従来から言われておる話でございますけれども、最近でありますとバトンゾーンという話が出てまいります。出口までしっかりと見据えた形での技術開発等を行うということで、産学官の連携がまた大きな、古い話ではありますけれども重要なアイテムとして掲げてございます。
 また、人材育成でございます。前回もご議論いただきましたけれども、人材育成と一言で言ってもいろんな人材がいるんだということで、それを少し書いてございます。低炭素社会づくりだけではなくて持続可能な社会を念頭に置いて書く必要があろうかと思いますが、融合分野を含む研究者・技術者の育成、また途上国を含めてでございますけれども、社会において社会変革を担っていく、先導していく環境リーダーの育成、社会との対話ということでリスクコミュニケーションを担っていく人材も必要であろう。国際協力において能力開発の推進ということで、途上国との関係では環境技術、適応、いろんな形で、途上国で自立していくという意味で人材育成が――能力開発という言い方をよくしますが、重要だろうということでございます。
 また、研究共通基盤の整備運用は、観測、予測のデータでありますとか、それを扱う情報基盤はまさに共通基盤として重要であろうということで挙げさせていただいております。
 全体とかかわってまいりますけれども、科学技術外交の強化も最近の新しい動きとしてキーワードでございますので、挙げさせていただいております。
 それから、ちょっと整理が悪いかと思います。中間フォローアップでもこういう形になっておって、それを踏まえた形にさせていただいておりますが、やや座りが悪いなと自分でも思っております。留意事項として、環境研究の基盤研究でございます。地味ではありますけれども、必要不可欠な観測であるとかといった基盤的なところについての目配りをきちっと書いておく必要があろうということで、ここに整理したい。
 雑駁でございますけれども、ご説明は以上でございます。

【安岡主査】  どうもありがとうございました。
 前回、皆さんから大変多岐にわたり意見をいただいたこともあり、それから文部科学省の中におけるもう一段上のいろんな議論との整合性もあって、事務局のほうで大分ご苦労をされたと思います。まだ骨格そのものをどうやって固めたらいいのかという議論になっておりますが、次回、9月には文章化して、それを全部入れるという作業をされると聞いております。今回までで骨格に関する議論はできれば固めたいと思っておりますので、きょう、この資料をもとに議論をいただければと思います。
 まず、全体的な構造についてご意見ございますか。笹野委員、どうぞ。

【笹野委員】  毎回のことかもしれませんが、議題では「文部科学省における」という頭書きがついているわけですけれども、今回、策定されるこの資料は、やはり文部科学省におけるという範囲の中で書かれるのか。もちろん、全体を書かれた上でのこととは思いますが、あるいは文部科学省の役割も書くご予定はありますでしょうか。

【谷室長】  文部科学省の役割を書く予定があるか、書くつもりなのかということでございますでしょうか。基本的には全体を見渡すといいますか、我が国の研究開発の大宗を担っております文部科学省の取り組みでございますので、全体への目配りを念頭に置いておりますが、内容的にはやはり文部科学省としてやるべき、推進するべき取り組みという方向性をきっちり出していくということかなと思っております。議題の1は「文部科学省における」と書いてあって、資料1のタイトルは書いていないのですが、基本的な考え方といたしましては、全体を見渡してと考えてございます。文部科学省以外で行われるものもあろう、そこも含めて書くということだと。

【安岡主査】  多分、笹野委員のご質問は、書きぶりとして、日本としてこうあるべきと書いておいて、文科省としてその中でここをやるべしと書き込むかというご質問かと思うんですけれども。

【谷室長】  文部科学省としてというように書き込むことはあまり考えてございません。

【安岡主査】  わかりました。
 ほかに全体の構造について、ご意見ございますか。どうぞ。

【笹野委員】  文部科学省としてというところは特に書き込む予定はないということですが、それでよろしいですかと。繰り返しの質問になりますが。もしそれを書かないとなると、まさに地球環境科学技術を全部網羅して書くことになりますよね。その中で何をやるべし、あるいは文部科学省としては日本の中ではこういう役割を担っているので、こういうところに力を入れるという部分は全然なくてもよろしいですか。

【谷室長】  ちょっと誤解を招いたかもしれませんけれども、基本的には無責任に書きっ放しのものにするということではないと理解しております。したがいまして、内容としては文部科学省がきちっと責任を持ってやるべきことになると考えております。ただ、繰り返しになりますけれども、文部科学省も非常に幅広く、また研究開発では我が国の大宗部分をやっておりますので、文部科学省がと明示的に書かなくてもといいますか……、文部科学省がやるべきことを書きます。地球環境科学技術全体を見ながら、やることは文部科学省がやるべきことを書く。ように書くかということですが、文部科学省はこうやるべきと一々書くということではありませんということを申し上げただけです。

【安岡主査】  これは基本的なスタンスになると思いますけれども、地球環境科学技術に関して言うと、もちろん環境省はそうですけれども、農水省、経産省も、国交省もいろんな立場から研究をされるわけですその中で文部科学省の研究分野としての特徴があるというのをあまりエクスプリシットに書き込むと、逆に書き込まなかった部分は全然できないということにもなるので、そこの書きぶりはちょっと注意しなければなりませんが、そこに焦点を合わせるという書き方は僕はあってもいいような気がします。章を改めて、そこの部分をどんと書くことはないと思いますけれども、文章の中で、日本全体としてはこうやらなきゃいけない、特に教育や研究に携わる文部科学省としてはここをやるべしと。やっぱり、一番最後に谷室長がおっしゃった環境研究における基盤研究という部分のほうにどちらかといえばウエートが高くなっていくんだろうと思います。ほかの省庁では全くできない部分ですので。そういうところを強調して書いてはどうかというのが笹野委員のご意見ではないかと理解しましたが、そういうことでよろしいでしょうかね。文書化をする段階で少しご配慮いただければと思います。どうぞ。

【森本審議官】  ちょっと補足させていただきますと、やはり文部科学省として、大学等も含めて取り組むべき基盤的な研究も当然いろいろあるわけでございますが、各省連携して取り組むべき課題あるいは国際的に取り組まなければいけない課題、現状と比べてブレークスルーを図らなければ課題の解決が図れない研究開発がいろいろあると思うんです。そういったものを各省と連携しながら課題解決に向けて研究開発を進めていく中で、特にここに重点を置きたいというところを浮かび上がらせていきたいと思うわけです。といいますのは、ここの議論は科学技術・学術審議会としての意見表明になるんですけれども、別途、総合科学技術会議でオールジャパンの体制あるいはその課題が議論されることになりまして、網羅的に書いていきますと何でもかんでもありになるので、これだけはぜひ次の柱にしてほしいというところに焦点を絞って書いていったほうが、むしろそれが外に出ていったときにインパクトがあるし、総合科学技術会議としても取り上げてもらいやすくなるだろうと思っております。そういう意味で、書き方の工夫と、その中でどこに焦点を当てて重点的にやっていくべきかのご議論をぜひお願いできればと思っております。

【安岡主査】  ほかにございますでしょうか。よろしいですか。
 では、小池委員が先でしたので、その次にお願いします。

【小池(勲)委員】  今の書き方のことに関係してです。例えば最後のところで「府省をまたぐ連携」という書き方をしておりますが、結局これは、個々に書いてあるのが全部の府省としてこういうことをやるというスタンスであり、きょうご紹介されたのは、どちらかというと非常に広い範囲で書かれているんですね。ですから、先ほど審議官が言われたみたいに、その次に文部科学省としてはここに重点を置くという書き方をしないと、これだけだと、確かにオールジャパンでは良いのですが、では文科省としては何ですかと多分聞かれてしまう気がするんです。その意味では、非常にきちんと取り上げていますが、やはり広過ぎるような印象を受けるんです。

【安岡主査】  住委員、どうぞ。

【住委員】  3から4、5と行く構成のところですが、3は非常に基本的な考え方、わりと意欲的にとらえていると僕は思うんですね。ところが、4に来ると突如個別になっている。だから、3で基本的な考え方とうたいながら、読んでくると4では従来型になってきており、5に来るとわりと従来と同じパターンというような感じがするんですよ。3でこういうふうにわりとインテグレートするようなこと、学融合的なことをうたったら、課題の4のところも、個別の部分があってもいいんだけれども、もう少しその要素を強く書いた方がいいと思います。それが最初の長期ビジョンというなら、もっとそこを厚くするとか何かしたほうがいいように僕は思います。

【安岡主査】  では、山口委員、安井委員、お願いします。

【山口委員】  環境技術という言葉を考えると、私が環境技術と聞くとどういう分野があるかというと、一つは研究開発をする分野の環境技術のとらまえ方があるわけですね。もう一方、応用開発すなわち、基礎的な研究を実用により近づけ応用に結びつける応用技術的な環境技術もありますし、技術そのものを使って何かをインプリメンテーションする段階もあるわけです。さらには、それを事業化するというさまざまな局面が環境技術の中には含まれているわけです。今回のものは、その中で日本として環境技術の研究開発、かつ基礎的、基盤的研究開発はこういう方向に行くべきだと述べると、文科省の色も出てくるし、逆にオールジャパンとしての環境技術の研究開発における考え方があらわれてくると思うんですね。したがって、文科省の環境技術に関する基本的な考え方はやはり研究開発にあるべきだし、その研究開発も基礎研究なり基盤研究にあるべきだと思います。そういう考え方で整理をすれば、例えば基本的考え方は、研究開発は世界に貢献できるようなテーマを選ぶべきだとか、持続的な社会の発展につながるような研究開発を選ぶべきだとか、さらには経済社会システムとの融合という視点での研究開発もすべきだと。そういう意味では、先ほどの笹野さんのお話の、これは文科省のペーパーですかということからすると、文科省のペーパーではなくてオールジャパンの研究開発にかかわるペーパーであると言えばいいんではないかなという気がいたしました。

【安岡主査】  両方の意見が出ました。どうぞ。

【安井主査代理】  どちらかにスタンスを決めていただければそれでいいと思うんですけれども、もしオールジャパンでこういう文章であるとすると、環境の重要な領域が一つすっぽり落ちているんですね。それは何かというと、人という生き物と環境との相互作用が全部落ちちゃっているんですよ。私はそこは文科省はやっていないからいいかなと思っているんですけれども、ある意味で環境は人と物理的なものとの相互作用ですから、もしほんとうにオールジャパンでやるとしたら、そこはやはり抜けないんですよね。その部分がすぽっと抜けちゃっているのは、オールジャパンの文章としては考え直さなきゃいけないかなと思いますね。

【安岡主査】  三村委員、どうぞ。

【三村委員】  5ページの3の基本的考え方なんですけれども、個別じゃなくて世界的な視点で見たら、持続的発展に貢献する科学技術とかいう形で大きく打ち出されたのは非常に結構だと思うんですね。先ほど課題解決型の問題提起にしたということだったんですけれども、それにどうアプローチするかというときに、課題解決型だから直線的に解決方途を示すというところだけには行かないんじゃないかなという気がちょっとしています。そういう非常に大きな課題を解決するためには、やはり地球システムをもうちょっとよく理解して、何か新しいことがないのか、見過ごしているものはないのか、今どういう変化が進行中かを片方でしっかり押さえておいて、それを見ながら同時に大きな経済的な問題の解決も含めた解決法策を探るという構造なんじゃないかと思うんです。
 あまりいい例じゃないかもしれませんけれども、例えばIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の次の報告書の中では、ジオエンジニアリングみたいなものがかなり強調されると報告で読んだんですけれども、ジオエンジニアリングだけがどっと走るのは結構危険で、そういうものを導入するための基礎的な理解とか、海洋や宇宙から入ってくる電磁波がどういうふうになっているのかなどはしっかり押さえておかなきゃいけないし、そういうものを入れたときに海洋生態系がどうレスポンスするかもちゃんとわからなきゃいけない。そうすると、解決方途があまり狭く理解されないほうがいいんじゃないかなと思います。全体として社会の大きな目標を掲げて、それに貢献する科学技術という方向を打ち出すのは非常にいいと思うんですけれども、打ち出す中身は即解決策というだけではないんじゃないかということです。

【安岡主査】  ありがとうございました。どうぞ。

【安成委員】  先ほど安井委員から人とのかかわりが落ちていると。私も全く同感です。3の(1)、(2)、(3)、非常にいいんですけれども、この前提となる人と地球とか、人と自然とのかかわり方、あり方というどちらかというとフィロソフィカルな面があると思うんです。例えば持続可能という言葉は非常によく使われるんですけれども、どういう形の持続可能な社会が望ましいのかという議論がどこかでなされないといけない。それはかなり基本的なところで、おそらく文科省の委員会でしか議論できないと思うんですね。文科省は大学を抱えていて、文学や哲学、倫理学とかも含めた人たちもおられるし、文科省の関連の総合地球環境学研究所はまさに人と自然のかかわりかたそのものをやろうという研究所です。オールジャパンか文科省かという話がさっきからありましたけれども、基本的にオールジャパンとしてもその部分が絶対要るし、多分文科省しかそのような基礎的な部分はちゃんとやらない。ほかのところはみんなアプリケーションとか、それぞれの部分でいろいろ考えると思うので、そこは文科省として入れるべきじゃないかなと思います。

【安岡主査】  いろいろご意見いただきました。文科省としてのものを書くべき、全体としてのものを書くべきという両方のご意見をいただいています。
 やや折衷案的に座長のほうでまとめさせていただくと、私は、3は非常に野心的に書かれていて、ここはオールジャパンというかオールワールドとしてのセンスになっていると思います。例えば、持続可能とか経済社会システムというキーワードをぼんと出すのは非常にいいことだと思います。これは文科省にとらわれず、環境省にとらわれず、大きな概念としてあるだろうと。ですから、3はやや大きな理念を我々全体としてこういう方向で考えるべきだと書き込まれて、それを実現するためにどういうことが必要かという4を書くときに、やや各論的に文部科学省の事業として焦点を合わせてこういうふうにやったらどうだろうかという提案をする、そういう書き方にするとわかりやすいというんですか、見やすいようになるんではないかなという気がいたします。特に3で経済社会システムへ足を踏み込むのはなかなかしんどい。このメンバーだけで議論できるかどうかという問題もあるんですけれども、今後絶対やっていかなければいけないことなので、ぜひそこは書き込みたいと考えます。これはまた文科省のほうで少しご検討いただければと思います。3を全体的にして、4からはやや各論的にというか文科省的に焦点を絞っていく。
 そのときに注意しなきゃいけないのは、3ポツに書かれた(1)、(2)、(3)の内容と4の内容がそれぞれあっちを向いていたら困る。ここはなかなか難しいです。特に経済社会システムに関して踏み込むときに4をどう書くかが大きな課題になってくるんだろうと思います。先ほど安井委員から言われた人との視点なんかは3の(3)の経済社会システムをかなり大きく含みますので、それを4でいかに書き込むかがみんなでの知恵の出しどころかなという感じがしています。
 小池委員、どうぞ。

【小池(俊)委員】  今、主査がおまとめいただいたことと近いのかもしれませんが、3は全く同じ意見を持っておるんですが、4の書き方、構造ということでいいますと、文部科学省がやる個別の課題というよりも、文部科学省としてはこういうふうに考える。例えば、まずこういうことをやろうとすると、地球とは何かというような総合的な理解が必要である。それから、いろんな方向を向いているものを全体として見る予測の統合化が必要である。影響評価も個別ではなくて、全体としての影響評価をするという課題が必要である。あと、緩和とか適応策など、いろんなことを考えていくときに、個々の方策だけではなくて、それが整合した方策になっていることが必要である。最終的には、人間行動と経済社会システムは非常に重要なところで、実はここに低炭素とか水というくくりで書かれていますけれども、それぞれの要素は今の中に入るんですね。それは文科省がやると言ってもいいんですが、文科省としては重要課題というよりは考え方といいますか、アドレスする道を示すことが大事かなと思っておりますが、いかがでしょうか。

【安岡主査】  ありがとうございます。どうぞ。

【高橋委員】  また書き方のほうへ戻ってしまうかもしれないんですけれども、先ほど安岡先生から3、4の書き方についてのお話がございましたけれども、おそらくそれを支えるのが1ポツ、2ポツだと存じます。1ポツは諸情勢ということで世界と国内、2ポツが第3期の科学技術基本計画でございますので、おそらくこの2ポツの結果と1ポツの国際情勢あるいは国内のこれからの動向を踏まえた上で、それを高らかに言うのが3ポツという流れになっているのかなという形がいたしますので、そういった国際情勢プラス国内の実際の動向とこれからが3につながっているような形で書かれていると、非常によくわかりやすいんではないかなと思いました。

【安岡主査】  ありがとうございました。
 全体の構成から、さらにもう1、2、3の書き方、4の書き方まで議論が来ていますので、各章の中の議論も含めてご意見をいただければと思います。どうぞ。

【持田委員】  皆さんのご意見をいろいろ聞いていて、なかなか頭が整理できないんですが、象徴的には、4で予算化がされて、その予算を実行する上で推進方策を、こういうやり方を考えて推進するんだという仕組みになっているように思います。そうすると、4が最終的には予算と結びつく重要な項目であるんですが、これの過不足あるいはもうちょっと強調すべき点はあるのかもしれませんけれども、そこは後でもうちょっと議論していただくとして、私としては、3から4へのつなぎがいかに書かれているかがすべてではないかと思います。3では、3の入り口が書かれている。4は、最終的にこういうので予算要求も含めてしようということになっていますので、その間を3と4でうまくつないでいただいて、その中で4の課題が文科省としてふさわしい課題であれば、それに誘導される内容が3の中に書かれていればいいんではないかと思いました。
 それから、人間の問題は非常に重要で、推進方策の中には国民、社会との対話とか人材育成とか、いろいろ入っておりますが、このことが3の中で、「経済・社会」なのか「経済社会」なのかによって大分ニュアンスが変わってくると思うんですが、一般には経済社会を実現するための科学技術なんですが、ここではあえて社会のシステムも含めると、例えば循環型社会は人間行動の一つの面を取り上げている。そんなような意味で、3の中で「社会の未来可能性やシナリオを提示」と、経済のみならず人間の生き方とか環境の中でどうあれしていくかも含むと一応は入っておられるので、これから4につなげることをしていただければいいのかなと思います。
 もう1点、私にとっては、2から3へのつなぎがもう一つしっくりこないなと。

【安井主査代理】  2は過去だからな。

【持田委員】  ええ。過去なんですけれども、過去のこういうことを踏まえて3に行ったという内容がややいいのかなという印象がございます。これもこれから書き込まれていくフォローアップの結果から3の内容が出てくるんだということが書かれるんだろうと思いますけれども、今のところで読むと、機動的な対応を図っていくということで3が出てきたようにしか思えないので、その辺は今後、書き込むときに書いていただければと感じました。

【安岡主査】  安井委員、よろしいですか。

【安井主査代理】  いいです。

【安岡主査】  2は既に今、走っているもののフォローアップということで、ここはちょっと淡々と書くべき部分があって、その部分の中に3に行く導入部分の文言が入っているのかなという感じがいたします。
 それから、3と4のつなぎということも今、話がございましたけれども、やっぱり3の(1)、(2)、(3)――後で(1)、(2)、(3)でいいかどうかもご議論いただきたいと思いますが、これがあった上で、4で具体的にどうしようかというときに、4のすぐ下に「地球温暖化・エネルギー問題の克服」と「環境と調和する循環型社会の実現」という2つの括弧があって、これが一つの焦点になるだろう。そうすると、3では我々全体としてこういうふうにアプローチしていかなきゃいけないんだけれども、文部科学省としてはこういう問題の克服に焦点を合わせますと、この2つの括弧で読む。これが文科省の課題ということになるんですね。それをほんとうに実現するためにということで、その下に二重丸が入ってくる。そこに1つ、丸として人とのかかわりみたいなものが加わると、一つ前の3に書かれている経済社会――「経済・社会」なのかわかりませんけれども、そういうところとのつながりが出てくるだろうという気がします。特に今回は、低炭素社会の構築という2つ目の丸の中でも緩和とか適応という部分に踏み込んでいます。ここまで踏み込むと、ほんとうは社会技術的な話、まさに社会がどう受容するかが非常に重要になってきますので、社会技術と一くくりにしていいかどうかわかりませんが、そういうものがどこかでキーワードとして入ってくるのかなという感じがいたします。ここは実際に文言を書くときに少しご配慮いただければと思います。
 ほかに各論的に……。はい、どうぞ。

【小池(勲)委員】  今の4ポツのところで、2行目に書かれている「地球温暖化・エネルギー問題の克服」、「環境と調和する循環型社会の実現」は、文科省だけのテーマかというと、これもやはり全体なんですね。これは3の内容をもう少し具体化したようなものだと思うんですね。その下に、先ほど小池俊雄委員のほうから出ましたが、やはり3と対応した形で具体的な課題を立てていく。最初は地球システムの理解、それと人間とのかかわりで、その下に具体的な話を書いていって、今ここに書かれている4つのポツは第3期の分野別の基本計画をそのままなぞっています。もうそろそろこれから脱却して、もう一度これを全部組み直すことを考えていいのではないか。こちらがそういう提案を出せば、それはかなりきちんと取り入れられると思うので、少しここのタイトルなどの組みかえをぜひ考えていただきたいと思います。

【安岡主査】  どうぞ。

【小池(俊)委員】  今、小池勲夫委員がおっしゃったことは非常に大事だと思います。私も同じ意見で、特に7ページの推進方策で幅広い連携というのを打ち出しているわけです。そうすると、今、この分野別推進戦略の課題ごとにやっていくと連携がなかなか見えないんですね。そうするよりは、それぞれの課題が共通して持っている一つ上位の課題を書き込んで整理したほうが、多分うまくいくんではないかなと思います。

【安岡主査】  ありがとうございます。どうぞ。

【三村委員】  今、議論されていることとちょっと違うんですけれども、これは意見というよりも質問というか問題提起みたいなんですけれども、こういう文科省の基本計画をつくりますよね。それがどうしたらオールジャパンの研究コミュニティーに受けとめられて、そういう方向でみんなが研究するようになるかという仕組みはどう考えたらいいのかなと前から思っているんです。

 ちょっと長くなりますけれども、実は総合科学技術会議の温暖化イニシアチブとか、こういうところでいろんなことを議論されて、いろいろ考えて、基本計画や方針を出しますよね。例えば2ポツのフォローアップの結果で、気候変動の研究領域というので幾つもいい成果が上がったと書いてあるわけですけれども、大学の研究者の先生方で、自分は温暖化のことを研究しているとか、省エネのことを一生懸命研究していると思っているんだけれども、その成果が文科省のこの中に集約されていると思っている人は非常に少ないと思うんですよね。せっかく片方で研究者の人たちは自分はそういうことをやっているという意識も持っているし、そういうことができるなら、そういう自分の成果を可能であれば政策にまで生かしてほしいという人もたくさんいる。だけど、片方で我々が出している方針については全然知らない。オールジャパンだというんだったら、大学も含めて幅広い研究コミュニティーの力を結集していくような仕掛けはどうしたらいいのか、もう一遍、考えたほうがいいんじゃないかなという気がしています。今、この中では推進方策の2番目の課題解決のための多様な幅広い連携というところにそういうことが書いてあるんだと思うんですが、何度も何度も言われていてなかなかできないというのは、やっぱり何か新しいことを考えるべきだと。

 私が文科省が一番可能性があると思っているのは、結局、大学とつながっているのは文科省なわけですよね。ですから、文科省の中でそういう方策を考えてやると、一挙にこういう研究がほんとうに横につながる可能性があると思います。

【安岡主査】  どうぞ、安成先生。

【安成委員】  ちょっと個別的になるかもしれませんが、4ポツの二重丸がついた2番目、低炭素社会の構築ですが、中身的には基本的には気候変動の予測と緩和、特に温暖化を念頭に置いた温室効果ガスの低減とかで、それだけかなという気がします。最近、低炭素社会という言葉がはやっていますけれども、人間活動の気候への影響という意味では、温室効果ガスの影響は当然大きいと思うんですけれども、ほかにもエアロゾルの問題もありますし、いろんな形でいろんなプロセスが絡んでいるわけで、ここは、例えば、気候変動の予測とその影響評価というタイトルのほうが適当ではないのか。タイトルが低炭素社会の構築となっていて、中身は実質的に気候変動の予測とその対策、適応策ということで、ちょっと整合性がないように思います。むしろ、タイトルは気候変動予測みたいにして、もちろんその重要なプロセスとして温室効果ガスの低減や緩和技術云々を含めて、あるいはもう少し広目の気候変動の予測と影響評価の研究という形にするか……。これは結局、2ポツのこれまでのところの1)気候変動研究領域をそのまま引き継いでいるような気がするんですけれども、低炭素云々というのは一番最初に大きな枠組みで書いていますので、ここはもう少し、気候変動の包括的な予測を含めた研究ということで、いろんなほかの温室効果ガス以外のコンポーネントも含めたことを想定した書き方のほうがいいのかなという気がしています。

【安岡主査】  今のポイントは、多分4は文科省がとにかくこういう方向でいきたいというある種の表明になるわけですが、問題解決からいきたいというのが一つのポイントだと思うんですね。気候変動はあくまでも理解になるわけですけれども、低炭素社会を実現する、構築するというのはある種問題解決のための方策であって、ここは2行目にある問題の克服、社会の実現を受けた形で低炭素社会の構築、自然との共生の実現、循環型社会の構築と。そうすると、3つ目のポツの循環と研究領域という文言がほかと整合性がとれない。先ほど室長がおっしゃったとおりで、ここはちょっと考えなきゃいけないと思います。多分そういう問題解決という視点からここのタイトルがついているというのが私の理解なんですが、それでよろしいんでしょうか。

【谷室長】  今おっしゃったとおりですね。

【安岡主査】  住さんが先で、小池先生。

【住委員】  ただ、そうすると、低炭素社会の構築というときには、気候変動予測も非常に大事なんだけれども、経済社会のシナリオ研究とか、いろんなものが入ってくるわけね。例えば、4ポツの「気候変動データの統融合を活用した」云々のところは、気候変動データばかりじゃなくて、人口動態などのデータでものすごく関連性があるでしょう。だから、ほんとうに低炭素社会の構築というスコープで見ているとすれば、安成さんが言ったように、やっぱりちょっと気候変動に偏っている。もっと社会的なことからでも、人口から、経済動態から、ものすごくいろんなことを総合してやらなければならないことになります。もちろん、中でも気候変動に特化するというならそれでもいいと思う。それは書きぶりだと思いますが、やはり低炭素社会というのはもっと広いと思います。

【安岡主査】  小池先生。

【小池(勲)委員】  4の書きぶりで先ほど一つ言い忘れたことがあります。それは、低炭素社会を含む持続可能なということをトップに持ってくるのか、それとも最後に持ってくるかという話です。基礎的な研究があって、それの応用があって、最後に解決策が出てくるというのが普通の並びですが、ただ、この場合はまず最初にどれを解決するかを先に持ってくるというお考えも確かにあるなとは思うんですけれども、そうなると、よほど工夫しませんと、その後の並び方が非常に難しくなってきます。ですから、どちらにするのか。私は、今、座長が言われたような、これを解決するんだということを先に持ってくる考え方もあると思うんですけれども、そのときはやはりその後のつながりをきちんとさせないと、読んでいて非常にわかりにくいものになってしまう。これは、住さんが言ったように非常にいろんなことを全部包含した考え方です。ですから、そこの書き方はかなり工夫しないとなかなか難しい気がします。

【安岡主査】  そうですね。今おっしゃられたとおりで、問題解決というところをどんと出すのは、僕は非常に重要なポイントだと思います。ある種野心的な部分だと思いますけれども、そうなったときに問題空間から科学技術空間へだんだん落ちていく書き方にしないと難しいということなんですよね。どうぞ。

【小池(俊)委員】  今まさに主査がおっしゃったように、すそを書けばいいと思うんですね。4の頭に低炭素社会実現へ向けてというようなワンパラグラフがあって、それを実現するために文科省としてはどういう取り組みが必要である、その中に個別の課題が入っていくという構成にすると見やすいのではないかと思います。

【安岡主査】  ありがとうございます。
 だんだん委員会としての方向が見えて、逆に事務局側には大変な宿題になっちゃって、どうも私が司会をするとよくないなと。どうぞ、住先生。

【住委員】  あえて言えば、3番目の水・物質循環と流域圏研究領域というのはこの流れの中ではちょっと異色で、どうとらえるか。まず、水・物質循環の中にまた地球規模水循環と入っているでしょう。多分、石川先生が言われたことの意味は、個別具体的な対策を考えるとすると、どうしても流域というかローカルなところに行かざるを得ないんだというセンスがもともとモチベーションだと思います。だから、具体的に物を考えるとしたら、グローバルで幾ら問題をやっても駄目ですよ、ローカルでその場所の問題に対応してください、それは非常に多様であるという話だから、そこを実践の場として書くんだというふうにしていかないとダメで、並べるとごちゃごちゃごちゃとして居心地が悪いと思います。だから、それを一番最後に持ってきて、水・物質循環は僕は外したほうがいいと思うんですね、流域圏だとエネルギーとか、いろんな社会的影響もあったりしますから。そういう感じがします。

【安岡主査】  そうですね。確かにここは難しいですね。タイトルも含めて、どうまとめるか。水・物質循環というのはやはり科学技術的な話になってしまいますので。安井先生、どうぞ。

【安井主査代理】  今のお話、そのとおりだと思うんですけれども、やはり取り扱う領域のサイズみたいなものも重要なので、そういう切り分け、例えば全球レベルから地域レベルにちょっとずつ落っこちてくるようなニュアンスのところを1個つくるとできるかなという感じがしますね。
 それから、ついでで恐縮でございますが、一番下に循環型社会がありまして、リサイクル・廃棄物適正処理処分技術と。ちょっと切ってもいいかなという気がしているんです。むしろ、循環型社会の重要なコンセプトは、場合によると一番上のシナリオでカバーされちゃうのかもしれないんですけれども、要するに資源の供給限界と需要動向をしっかり予測、把握することと、それを考えたワイズな、賢い使い方を考えるのが一番下かなという気がするんです。

【安岡主査】  なるほど。そうですね。二重丸の部分をどうまとめるかは、順序も含めてちょっと工夫が要るかもしれませんね。私も先ほどから見ていて、順番、タイトル、特に3つ目の二重丸、水・物質循環の部分をどうしたらいいかなというのはちょっとよくわかりません。次回、いろんな文言、文章を加えた形でおつくりいただくということですので、それまでに皆さんからのご意見があれば事務局にメールででもいただければと思います。私も事務局と一緒に少し考えさせていただきます。
 ということで、ここの議論については私のほうに引き取らせていただくということでよろしいでしょうか。どうぞ。

【持田委員】  ちょっといいですか。資源の供給と、それをどう考えていくか。エネルギーのほうも実は供給と二酸化炭素排出と、だんだん変わっていくと思います。おそらく水についても、自然界が我々に恵んでくれる水と、それをどう利用するか。さらに、エネルギーを使えばある程度の水の供給も――水というのは真水、人間が使える、海水ではないという意味では、あるいは大気中から水を少しとるのを強制することも可能ですので、地球がどうなっているか、人間にどうなっていくのかと、それを緩和する、あるいは人間にいいように変えていくのにエネルギーを使うか、できるだけ少ないエネルギーで変えるかというような2面の内容が多くある。文科省のやり方としてどういうふうにするか。一緒に合わせるのか、対象物に合わせるのか、そこでの視点を示していただくとわかりやすいのにと思いました。

【安岡主査】  ありがとうございます。

【持田委員】  もう1点、よろしいですか。一番上に長期ビジョンという言葉があるんですが、長期ビジョンは非常に大事だとは思いますが、例えば22世紀に入ったとすると、その時代にはもはや化石資源の供給は極めてタイトになっているということで、長期ビジョンを考えると化石資源はもう考えないでいいよということになります。非常に長期に考えていただくとですね。だから、そこへいかに円滑に移転するかと同時に、現在のこれからの30年、50年は化石資源をどうしていくかが非常に大きな問題だと私には見えます。そこで、時間的、歴史的流れを長期ビジョンにぜひ盛り込んでいただきたいなと思います。

【安岡主査】  ありがとうございます。
 まさに、1つ目の丸を文部科学省の報告書に記述すること自身が結構野心的だと思うんですね。ビジョンドリブンな研究をこれから進めていかなければならないというある種の方向づけになりますので、ここの部分はしっかり書き込むということで検討させていただきたいと思います。どうぞ。

【笹野委員】  今のお話でちょっと思いついたんですが、低炭素社会の場合はわりと2020年だとか2050年という数字あるいは21世紀だという話があるわけですけれども、そのほかの水だとか自然、循環型社会の項目に関しては、そういう時間的なスケールといいますか、時間的な展望みたいなものは入れ得るんでしょうかね。何か個別の課題が並ぶだけのような気がするので、全体としての時間的な感覚がうまく整理できるかなというのがちょっと気になったんですけれども。

【谷室長】  自然共生のところはなかなか時間軸を示すのは難しいので、わりと独立的かなという気がちょっといたします。気候変動との絡みももちろんありますけれども、どこかにターゲットを置いてということでは必ずしもないかなと思っております。循環型社会のところは資源やエネルギーと絡んで、それがサステーナブルにということですので、まさに低炭素のところと相当密接にかかわってくるところがあると思います。今でいうと例えば2050年とかいうのが低炭素の関係では一つターゲットになっておりますので、循環型社会といったときにも時間軸としては同じようなタイムフレームで考えるのかなと理解しております。

【安岡主査】  今のポイントはかなり重要でして、2カ月ほど前に生物多様性条約の事務局の局長が日本に来られたときにありましたいろんなミーティングの中で、参加者の方から、多様性に関してはIPCCでやっているような何年までに何%削減という数値目標が挙げられるのか、挙げないといけないのではないかという質問が出ました。そのときに、まだそこまで多様性に関しては知識も集まっていないし、方針もなかなか定まっていない。要するに、低炭素というキーワード、多様性というキーワードは進み方が違うと。現象の時間スケールも違うということはもちろんあるわけですけれども、そこは重要だけれども非常に難しい。あまり拙速で書き込むと、また後がつらいということもあると思うんですね。生物がどう進化していくかはものすごく時間軸の長い話ですから、必ずしも数値目標的には書き込めないのではないか、無理に書き込む必要もないのではないかなという気はいたします。ただ、そういう視点が重要だということはどこかに書き込んでおく必要がある。視点といいますのは、そういうことを考えることが重要、ただしそう簡単には書き込めませんということだろうという気がします。先ほどのエネルギーの問題も多分同じだろうという気がします。どうぞ。

【山口委員】  ちょっと視点が違いますが、こういう研究開発とか何かやるときには、プラスの面をすごく強調する。これは当たり前のことではありますが、そういう中で3ポツの(3)の一番下に「環境技術の社会への導入による負の側面」と書かれているわけです。私はこういう物の見方は非常に大事だなと思っています。いろんな技術や開発をやって、プラスの面ももちろんありますけれども、裏の面も必ずあるわけですね。したがって、新しいことをこれからやるのに負の側面もあるよというのはなかなか言いにくいことではありますが、こういう見方も大事なもので、この負の側面を4ポツなり5ポツの中にどう展開するかをぜひとも考えておかないと、リスクマネジメントという意味では良い結果を出す為にも非常に大事なのかなと思いました。

【安岡主査】  どうもありがとうございました。
 確かにそのとおりだと思います。今までやってきたことというのは負の側面が固まって起きているような部分がありますので、全く負の側面がなければこの委員会もなかったかもしれませんので、そういう意味では非常に重要なポイントだと思います。

【持田委員】  ちょっとよろしいでしょうか。今の点についてはまさにそのとおりで、多分何でもやり過ぎると負の側面が出てくる。その一つで今、私たちが懸念しているのは、バイオマス利用の中で、ほんとうにエネルギー作物等をつくり出したときにどうなるだろうかというのはかなり急いで考えておいたほうがいいんじゃないでしょうか。今、欧米では藻の研究が非常に盛んですが、あれでもってエネルギーを何%もとるんだという話になると、食料の問題が解決しても環境に対する影響は、特に多様性に対しては大きな影響を持ち得るんじゃないかと外から見ていると思いますので、そういう点は行政の中でしっかり見極めておくべき。確かに生物多様性の全体像をとらえることは非常に難しいと思いますが、局面に限ると、明らかに多様性を減らしながら一気にエネルギー問題を解決しようという動きもないわけではないので、今の負の側面とあわせてどこかで考えていただくことは必要だろうと思っております。

【住委員】  ちょっといいですか。

【安岡主査】  では、これで最後にします。

【住委員】  負の側面と、「負」という言葉を使わないほうが僕はいいと思うんですね。やはりコストとか……。要するに、今、日本は非常にコスト意識がないでしょう。国民がみんな何でもただで。だから、すべての物事にコストがかかるんだ、どういうふうにコストをみんなで負担するかみたいな言い方にしたほうがいいと思う。「負」というと、すごくネガティブな印象を字として与えてしまうと思います。

【安岡主査】  では、言葉の使い方も含めて引き取らせていただきたいと思います。私はそんなに悪くないと思っているんですけれども。
 それでは、ちょっと時間も押してまいりましたので、議題1につきましてはここで打ち切らせていただきまして、あとは事務局と私で相談させていただきたいと思います。

 

(以降、非公開)

【議題2「21世紀気候変動予測革新プログラムの中間評価について」】
21世紀気候変動予測革新プログラムの中間評価票について議論がなされた。

【議題3「平成22年度概算要求における重要課題について」】
平成22年度概算要求における重要課題の事前評価票について議論がなされた。

 

―― 了 ――

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