第5期 地球環境科学技術委員会(第3回) 議事録

1.日時

平成21年7月6日(月曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 3F1特別会議室(中央合同庁舎7号館東館3階)

3.議題

  1. 文部科学省における地球環境科学技術分野の研究開発について
  2. 21世紀気候変動予測革新プログラムの中間評価について
  3. 平成22年度概算要求における重要課題について
  4. その他

4.出席者

委員

安岡主査、安井主査代理、石川委員、井上委員、甲斐沼委員、小池勲夫委員、小池俊雄委員、笹野委員、笹之内委員、住委員、高橋委員、高村委員、三村委員、持田委員、安成委員、山口委員

文部科学省

生川海洋地球課長、谷地球・環境科学技術推進室長、西山地球・環境科学技術推進室室長補佐、岡本海洋地球課課長補佐、金城地球・環境科学技術推進室室長補佐

5.議事録

(本回の議事は、評価に係わる事項があったため、議題2の「21世紀気候変動予測革新プログラムの中間評価について」から議題3の「平成22年度概算要求における重要課題について」までは非公開。)

【安岡主査】  それでは、定刻になりましたので、ただいま科学技術学術審議会 研究計画・評価分科会 地球環境科学技術委員会の第3回会合を開かせていただきます。まだお見えでない方もいらっしゃるようです。JRが相当混乱しているということですので、少しおくれられる方もいらっしゃるかもしれません。ただ、議事がたくさんありますので、始めさせていただきます。
 本日、議題がその他も入れて4つあるんですが、2番目以降、中間評価というのがありまして、ここから先は非公開とさせていただきますので、議題の1の間のみ公開といたします。議題2、3、4については非公開ということですので、会場の方は、議題1が終わりましたらご退席をお願いするということになります。
 それでは、出席者の確認のほうを事務局にお願いいたします。

【谷室長】  おはようございます。きょうは全員ご出席いただけると事務方としてはお聞きしておりますが、安成先生、笹之内先生、石川先生が今おくれておられるようでございます。石川先生、お着きになりました。ありがとうございます。基本的には十分数を満たしておりますので、成立ということでございます。ありがとうございます。

【安岡主査】  当初の予定では委員全員がご出席ということだそうで、これだけの人数でこれだけのメンバーで全員出席というのはなかなか普通霞が関の会議でもないんですけれども、大変皆さんの関心の高さをあらわしていると思います。
 それでは、引き続きまして、資料の確認をお願いいたします。

【岡本補佐】  それでは、資料について確認させていただきます。クリップどめの資料が2つございまして、まず1点目でございます。議事次第についている資料といたしまして、資料1としまして、「地球環境科学技術に対する研究開発について」の骨子案でございます。続きまして、参考資料1としまして「基本計画特別委員会における審議状況」、参考資料2としまして、「『分野別推進戦略』中間フォローアップについて(環境分野抜粋)」、参考資料3としまして、「平成22年度一般歳出の概算要求基準の考え方」、参考資料4としまして、「環境科学技術に関係する政策決定文書抜粋」を配付しております。
 資料はすべてそろっておりますでしょうか。
 ありがとうございます。配付資料の確認については以上でございます。

【安岡主査】  どうもありがとうございました。それでは、議題に入らせていただきます。まず議題1、「文部科学省における地球環境科学技術分野の研究開発について」ということで、ご審議お願いいたします。まず事務局からご説明お願いいたします。

【谷室長】  資料1に基づいてご説明させていただきます。これまでご議論いただいてまいりましたけれども、今回は骨子案という形で取りまとめをさせていただいております。この骨子案を本日ご議論いただきまして、これに今後肉づけをしていくということでございます。8月に次回の委員会を予定しておりますので、次回の委員会にいきなり文書を書いたものということではなくて、あらかじめ先生方にごらんをいただいて、コメントいただけるタイミングで事前にお配りをして、まとめをしていくという形で考えてございます。
 骨子案のご説明をさせていただきますけれども、まず大きく3本立てになってございます。1番目が地球環境科学技術をめぐる基本認識ということで、国際的、また国内の動向を踏まえて、どういう基本認識を持つかということを1つ目にまとめるということで、いかがでしょうかということでございます。
 また、2点目は、次期科学技術基本計画における地球環境科学技術についてということで、この中は2つの柱になっていますが、基本理念、それから推進に当たって配慮すべき事項ということで、まとめてございます。基本理念につきましては、地球環境科学技術の特性としてどういうことを特に考えてやらなければいけないかということ。それから、推進に当たって配慮すべき事項につきましては、わりと一般的な、必ずしも地球科学技術に限りませんけれども、科学技術の推進に当たっての配慮すべき事項ということを取りまとめをしてございます。
 それから、3につきましては、地球環境科学技術分野の重要課題ということでございまして、特に第4期の期間中に地球科学技術分野で推進すべき重要課題をピックアップするということで、まとめるということでいかがでしょうかということでございます。
 ただ、今回、きょうお示ししております骨子案の3は、これは第3期の科学技術基本計画で設定されております6つの研究領域、それからそのもとにありますプログラムレベルの課題を列挙してございます。したがいまして、本日はこの課題について、これはほぼけりがついたのではないかということで、削除しよう、あるいは新しく起こってきた話としてこういうものがあるからこの課題をぜひ追加しよう、そういう形でのご議論をいただければと思っております。
 それでは、長々と前置きになりましたけれども、個々にご説明させていただきますので、資料1、冒頭のところにお戻りいただければと思います。
 1の地球環境科学技術をめぐる基本認識でございますけれども、まず今のところ(1)、(2)ということで、それぞれ国際的な動向、国内の動向をまとめさせていただいております。特にイベントのみ書かせていただいておりますけれども、基本的にこの動向についてはこういうことがあったという事実関係だけが今ここに書かれているわけでございますけれども、それを踏まえて一体どういうことが言えるのかということもあわせて書こうと考えております。
 まず国際的な動向といたしましては、2007年のIPCCの第4次報告書の話。それから、同じく2007年11月に第4回の地球観測サミットがあったということ。それから、2008年7月のG8北海道洞爺湖サミット、2009年は、3月第5回の世界水フォーラムがございました。これは予定になりますが、2010年10月には名古屋で生物多様性条約の第10回締約国会議が開催される予定となっております。COP15、本年の12月に開催されますコペンハーゲンの会議が抜けておりますが、これもあわせて書かせていただきます。
 それから、(2)でございますが、国内の動向ということで、ここはいろんな話がございますので、それを単に時系列で並べますと話が行ったり来たりするということもありますので、若干分野に分けた形で書かせていただいております。
 1つ目は気候変動関係ということで、平成19年6月「21世紀環境立国戦略」を閣議決定、また平成20年5月には総合科学技術会議のほうでまとめられました「環境エネルギー技術革新計画」及び「科学技術外交の強化に向けて」に言及する。それから、平成20年7月には低炭素社会づくり行動計画が閣議決定されました。
 水分野におきましては、平成21年1月に「水の安全保障戦略機構」が立ち上がりまして、これは必ずしも政府の取り組みというわけではございませんが、政府も含んだ、あるいは民間、それから政治も含めた形の大きな動きがございますので、これを書かせていただく。
 それから、生物多様性の関係では、平成19年11月に「第三次生物多様性国家戦略」を策定してございます。
 また3Rでございますが、平成20年3月には「第2次循環型社会形成推進協議計画」が閣議決定されてございます。
 あと、バイオマスの関係では、平成18年3月に「バイオマス・ニッポン総合戦略」の閣議決定と平成21年9月には「バイオマス活用推進基本法」が成立してございます。
 1につきましては以上、国内外の動向という形で書いて、こういうことでどういうことが言えるかということ。1つには、気候変動というのは1つの大きな流れとしてございまして、それを中心に基本認識というところは書いていくということかなと思っております。
 それを踏まえまして、2の次期科学技術基本計画における地球科学技術についてということでございますが、(1)の基本理念のところは、5つ言及をするということで考えてございます。1つ目は、安全保障問題としての地球環境問題ということでございます。環境安全保障という言葉もございますけれども、基本的には地球温暖化をはじめといたします気候変動、地球環境問題は人類の存続にかかわる安全保障問題であるということを書いた上で、したがって地球科学技術というのは国際社会の安定への貢献をする、非常に国際的な関係、非常に密接なものであるという大きな話をまず1点目として整理をするということでございます。
 また、循環・持続型社会、低炭素社会を実現する科学技術というのを2つ目の柱として掲げてございます。循環型社会あるいは持続型社会というのは従来から言われてきたわけでございますが、最近、低炭素社会というのが1つの大きなキーワードになってございます。持続型社会という中に低炭素社会というのが含まれ得るとは考えますけれども、1つの大きな社会の流れでございますので、低炭素社会というのを明示的に出すということで考えてございます。循環・持続型社会の構築に積極的に貢献するのが地球環境科学技術であるということ。また世界の規範となる低炭素社会づくりをリードしていくのであるということを2点目に整理するということでございます。
 また、2ページにまいりまして、3点目の柱でございますが、これは経済社会システムの変革と地球環境科学技術。グリーンニューディールというお話がございますけれども、経済成長との両立、それから持続型社会の実現に向けた社会からの要請にこたえる成果を出していくという意味が1つあるということでございます。
 また、科学技術が社会を変えていくという、社会からの要請によってその成果を出していくという一方で、科学技術が社会を変えていくという両面の、双方向の影響を及ぼし合うというのがあるだろうということで、地球環境科学技術が経済社会システムを変革していくということも書いてみたい。
 それから、一体、経済社会システム、将来どういうふうになるのかということで、社会の未来可能性やシナリオというものを提示していくというのも地球環境科学技術の役割として非常に重要な点であろうということで、この中に整理したいと思ってございます。
 また、地球環境科学技術の特性として非常に大きなものは、分野横断である、あるいは異分野融合、また統合というのがキーワードになるというとこでございます。地球環境の課題というのは非常に大きなものでございますが、その解決に向けて、分野を横断し、さまざまな学を総動員していくということが必要であるということをここで書かせていただく。また、ナノテク・材料、ライフサイエンス、情報、エネルギー、各分野の科学技術がございますけれども、こういった科学技術を統合していくというのが地球環境科学技術の1つの大きな特徴であろうということでございます。
 また、忘れてならないのは、5点目には、長期的・基礎的視点に基づく科学技術ということで整理をしてございます。気候変動だけで申しましても、観測、それをもとにした予測、それから対策を打っていく、そしてまた検証ということで、また観測と回っていくということで、PDCAサイクルが内在した、しかしながら非常に長期にわたっての取り組みが必要である。特に地球環境科学技術ではそういう視点が重要であろうということでございます。
 また中長期的に持続型社会を支える基礎・基盤研究ということで、現在例えば低炭素社会ということでありますと、緩和の科学技術というのが非常に今力を入れて進めていこうという流れがあるわけでございますけれども、こういったものについては持続的に次の科学技術のシーズを生み出していく必要があるということで、そういった役割を基礎・基盤研究がきちっと果たしていく必要があるだろうということをこの中で整理をしたいということでございます。
 それから、2の(2)の推進に当たって配慮すべき事項のところでございますが、ここは4点整理をしてございます。1つ目は分野連携、府省連携、産学連携でございます。これはある意味では古くから言われてきた話ではございますけれども、特に地球環境科学技術で言われる話として、人文社会科学との連携というのがございます。これは先ほど、経済社会システムの変革といった、あるいは分野横断、異分野融合といった特徴を申し上げましたけれども、これとも関連いたしますけれども、人文社会科学まで含んだ幅広い異分野融合、それから関係府省あるいは地方自治体との連携の促進といったものも非常に重要になってくる。特に気候変動の適応策などを念頭に置きますと、こういった議論が重要になってくるであろうということでございます。
 また環境技術の社会への導入による負の側面も含む人間活動の諸要素を総合的に考慮と。これはこれまでにご議論いただいた中で出てまいりましたコメントをここに整理してございますけれども、若干場所的には、整理としてはもうちょっと工夫が必要かなと思っておりまして、例えば経済社会システムの変革のところにこういったものを整理するということもあろうかと思っております。
 また、配慮すべき事項の2点目といたしまして、基盤整備等の推進体制でございます。基盤整備でございますので、例えば地球観測のデータ、あるいは気候変動予測のデータ、また関連して社会経済等にかかわるデータ、これらをきちんと整備していく。またその活用を可能としていくような共通プラットフォームの整備といったものがこの分野では非常に重要になってくるであろうということでございます。
 それから、3点目に人材育成でございます。これは言うまでもございませんけれども、次世代の地球環境科学技術を担う人材の育成というものをきちんとやっていく必要があるということと、それからもう一つは、国際協力における能力開発の推進というのを掲げさせていただいております。これは例えば適応策の関係で申し上げますと、例えばアジア太平洋地域との途上国との協力といったようなものが考えられるわけでございますけれども、そういった地域にきちんと技術が根づき、あるいは彼らが自立的にやっていく形になるためには能力開発をしっかりやっていく必要があるということで、人材育成の中にそういった国際面の話もきちっと書いたらどうかということでございます。
 それから最後に科学技術外交でございます。これは先ほどのキャパシティビルディングの話とも少し関連いたしますが、アジア太平洋地域における途上国の自立促進、また共生の推進ということをしっかり書き込もうということでございます。
 またその際、各地域固有の文化の尊重、あるいは保護といった観点にも留意をしてやっていく必要があるだろうということで、それは特にアジア太平洋地域の多様性といったものを踏まえた留意点ということかと思っております。
 それから、3でございますが、地球科学技術分野の重要課題ということで、これは先ほど申し上げたとおりでございますが、第3期の研究領域、それから重要課題をそのまま書かせていただいております。そのままと申し上げましたけれども、少しだけ違うところがございまして、各研究領域6つございますが、そのうち3つ、気候変動、水・物質循環、生態系につきましては二重丸をさせていただいております。これはこれから先生方にご議論いただきたいと思っておりますが、この3つについては、第4期についても引き続き非常に重要で、しっかり重点化していかなければいけないというところであろうと思っております。
 他方、化学物質リスク・安全管理研究領域、また3Rの技術研究領域、それから最後のバイオマス利活用研究領域につきましては、それぞれ重要であるということにつきましては、それを否定するものではもちろんありませんけれども、重みづけと申しますか、そこには少し差があるのかなと思っておりまして、例えば化学物質リスク・安全管理研究領域につきまして、これも相当程度進んできているということがございますので、その状況を踏まえまして、どういうふうに考えるか、こういったところもご議論いただければと思っております。
 資料1につきましての骨子案は以上でございます。
 ちょっと長くなりますが、参考資料につきまして補足的にご説明させていただきます。参考資料の1と2が本件についての参考資料でございまして、1のほうは「基本計画特別委員会における審議状況」でございます。これは前回の委員会でもご紹介させていただきましたけれども、第4期の科学技術基本計画の策定に向けて、科学技術学術審議会のもとに設けられました基本計画特別委員会、ここで現在議論が進んでおります。その関係の資料でございます。分野別の議論、すなわち地球環境科学技術委員会でご議論をいただいた結果というのは、9月末までに基本計画特別委員会のほうはインプットをするということを予定しておりまして、したがいまして、現在基本計画特別委員会では、全体のお話、あるいは研究開発投資、及び科学技術の戦略的重点化、あるいは人材養成でありますとか、科学技術の国際戦略といったような、全体を横断するような話を中心に現在議論が進んでおります。
 ということで、これはそういうものとして見ていただければと思っております。後ろのほうには、今後の科学技術政策に関する基本認識というような、これまでの3期の状況も踏まえまして、また最近の動向も踏まえまして、第4期に向けての参考資料などもついてございます。
 また参考資料2でございますけれども、これは前回先生方からコメントがございましたが、第3期の状況について踏まえた上で第4期の議論をするべきだろうということで、きょう用意をさせていただいたものでございます。これは総合科学技術会議の中にございます基本政策推進専門調査会のほうでまとめられた資料の、特に環境分野を抜粋したものでございます。5月の段階で中間フォローアップということで分野別にまとめられたうちの環境分野のほうでございますが、2ページ目が、環境分野の重要な研究開発課題ということで、実際には6つでございますけれども、気候変動研究領域が気候変動と対策技術の2つに分かれた形で全体のマップが書かれております。このマップごとに3ページ以降を各研究領域ごとの状況認識、また課題の進捗状況、今後の取り組みということでまとめられてございます。
 中間フォローアップでございますので、それぞれの進捗状況につきましては、おおむね計画どおりに進捗しているということ、あるいは具体的な成果が出たものについてはその成果が整理をされてございます。
 また、今後の取り組みということで、引き続きどういうことに取り組んでいくべきかということも整理をされてございます。
 時間も限られておりますので、個々にはご説明は割愛させていただきたいと思いますけれども、本日のご議論の参考資料としてお配りさせていただいておりますので、ご説明をさせていただきました。
 議題の1の関係の資料については、説明は以上でございます。

【安岡主査】  ありがとうございます。この委員会のポジションですけれども、第4期の科学技術基本計画にインプットする。そのためには基本計画特別委員会にまずインプットがされるということになります。並行しまして、参考資料の2にありますように、総合科学技術会議の中でもフォローアップが行われていて、この辺が全部統合的に見られて、最終的に第4期の科学技術基本計画に書き込まれるという段取りになっていくかと思います。したがいまして、我々としては、地球環境科学技術に関しては、ここで議論をして、そして基本計画特別委員会、さらには総合科学技術会議に上げていくという手順になります。
 それでは、資料1についてご意見を伺うことにしたいと思いますが、まず全体の構成について、ここでは1、2、3と分けてございます。この構成はよろしいでしょうか。もちろん最終的には少し変動があるかもしれませんが。

【小池(俊)委員】  こういうのをつくるときは、やっぱり第3期に何をやったのかということをきちっとレビューすべきではないでしょうか。地球環境科学技術として計画を立ててやっているわけですので、レビューが最初に来て、それに対して、その間にこれだけの動向の変化があったと。だからこうすべきというロジックのほうがいいのではないかと思います。最初が今のままではないように思いますが。

【安岡主査】  具体的には今、1に基本認識があるわけですけれども、その前に3期のレビューを、初めに書き込むのか、章を立てて書くのかは別として、そういうのがあったほうがいいという話ですね。

【小池(俊)委員】  はい。

【安岡主査】  これに関しては何か事務局のほうでございますか。

【谷室長】  そういうことで書くべしということでありましたら、そのとおりやらせていただきたいと思います。ただ、3期のレビューは、非常に幅広く、また課題も多うございますので、そこの書き方については工夫が必要であろうと思っておりますので、そういうものがダーッとあまり大部にというか、そういうものが頭にバーッとあるというのも、どうかなといいますか……。おっしゃるとおり、3期を当然踏まえてどうするかということであると思いますので、具体的な書き方については工夫をさせていただきたいと思います。

【小池(勲)委員】  今のお話ですが、第4期に何を重点的にやるかというところで、第3期で何をやって、何が問題になっているかというところが課題として出てくると思います。この全体の書き方が、非常にオーバービュー的な、どれにウエートがあるのかわからないような章立てになっているので、この委員会として第4期に何を出したらいいかということに関しては、もう少しめり張りをつける必要があります。これだとだらだらと話が来てしまって、最後に一体何が一番ポイントなのかわからないというような印象をこの章立てだと受けるので、少しその辺の工夫をしていただきたいと思います。

【小池(俊)委員】  今、小池勲夫先生がおっしゃったことに関係するんですが、例えば2の(1)の丸の3つ目で、経済社会システムとか、4つ目で分野横断とかとございますが、これは前にもあったような気がするんですけれども、ちゃんと覚えていませんが、でも、なかなか実現できていないところがあるわけですね。特に社会経済のところはなかなかというか、施策としても打ち出されてないように思うんですけれども、そういうところを、今、小池勲夫先生がおっしゃったように、もしもそういうところに焦点を当てるとしたら、レビューの書き方もそこに焦点があるような書き方になると思うんですね。全部を見るというわけではなくて、ここで何を主張するかということに応じて、レビューの書き方はあるのではないかと思います。

【安岡主査】  安井委員、その後三村委員。

【安井主査代理】  最後の3のところなんですけれども……。

【安岡主査】  個別のやつは後で順番にまいります。全体の構成。

【安井主査代理】  全体の構成ですね。最後の3のところ、こういう書き方をしてしまうと何となく3期と変わらないような感じがする。こういうところを全く枠組みを変えてしまって、例えばほんとうに解決すべき問題みたいなとらえ方でいくべきじゃないかと思うんですね。というのは、こういうことだと、また細分化された研究がバッと走るというイメージじゃないですか。そうじゃなくて、細分化された研究じゃだめで、総合化し、シナリオ化し、何かを全体的に考えるという考え方じゃないと問題が解けませんよということでやるとすると、3というところには、向こう5年間なら5年間に解くべき課題というか、難問みたいなやつを書くべきなんじゃないかなという気がします。

【三村委員】  先ほど来、小池先生がおっしゃっていることは全くそのとおりだと思います。それで、特に第4期において挑戦すべき課題の中で重要な点について、第3期の総括を焦点を絞って書くというのは非常にいいと思います。例えば分野融合では連携拠点とか、連携施策をやってきて、それによってすごく進んだ分野もあれば、そういう仕組みがうまくできなかったような問題もある。そこら辺のめり張りをつけて書かれると、第4期での課題が浮かび上がってくると思います。個々の問題はまだいろいろあると思いますけれども、総花的でなく、そういう焦点を合わせた総括というのが必要と思います。

【安岡主査】  ありがとうございました。今まで大きく分けて2つ意見があると思います。1つは、第3期を踏まえた書き方にすべきであるということですね。これはまさにそのとおりだろうと思います。ただ、実際にはこの委員会でレビューをするということはなかなか難しいということもあって、総合科学技術会議で今フォローアップされていますが、そういう結果を踏まえ、またそれ以外の情報も踏まえて、どうまとめるかということについては工夫が要るのではないかな。それをどういうふうに書くかということも含めて、検討させていただきたいと思います。
 それからもう一つは、めり張りのつけ方ということになりますが、第3期を当然反省した上で、それでよかったかどうかを踏まえて、第4期に向けてを構造を変えることも考えつつ、視野に入れつつやるんだろうと。ただ、ガラガラポンをするというのもなかなか難しいところがあって、そこはどういうふうにするか。これもなかなか難しくて、事務局のほうには大変重い宿題が2つ出てきてしまったかなという気がいたしますが、いずれにしてもいいものをつくりたい。確かに3の重要課題については、この書き方は第3期もそうだったわけですが、ややボトムアップ的に、第2期もややそういう傾向がありましたけれども、ボトムアップ的に、科学技術のほうから立ち上げてきたということがあります。それはそれで非常に重要だと思いますが、やはり解くべき問題、問題の空間のほうからも考えるという視野が要るだろうということで、そこの工夫は要るのかなという気はいたしました。全体の構造についてはそういうことで少し工夫をさせていただきたいと思います。
 では、1について、これは全体の動向を見るということで、ここにつきましては、ここは絶対に要る部分ですけれども、事務局のほうで挙げていただいた、これ以外にも、こういうものがあるよ、ああいうものがあるよということがあれば、ぜひ情報を挙げていただくようにお願いしたいと思います。

【小池(俊)委員】  この分野、やっぱり海洋基本法と宇宙基本法及び計画の議論がこの間出てきていますので、これは必ず書いていただきたいと思います。
 それから、これは総合科学技術会議(CSTP)のほうでも中間フォローアップでレビューされておりますが、国家基幹技術で海洋地球観測探査システムが動いて、それがどういうふうに中間フォローアップされて今あるかということも、この中では要るのではないかと思うんですけれども、そういうものが入ったほうがいいように思います。

【安岡主査】  これは幾つか、今、小池委員からお話があった海、宇宙に関する基本法は非常に重要なものだと思います。これ以外にも、ここで全部挙げていただきますと、時間の関係もありますので、貴重な情報だと思いますが、ぜひ事務局のほうにご連絡いただければと思います。これは、後ほどそのチャネルはどこかにつくっていただけますかね。ご意見をいただくチャネルというのは。

【谷室長】  わかりました。

【安岡主査】  個人のメールアドレスでも構いませんし。

【谷室長】  はい。

【安岡主査】  ご意見をいただくチャネルということでつくっていただければと思います。
 それでは、個別の項目、順番にまいりたいと思いますが、1については以上のようなことでよろしいでしょうか。

【持田委員】  今の議論を聞いていますと、この第1項は第3期をベースに書かれているように思いますね。そういう意味では、第4期でかなり変わった内容が入ってくれば、それに対するフォローアップもこういうふうにしていただくのが必然かなと思いますので、1があってというよりは、4があって1かなという感じもします。4というか、3というんですか。そう思いますので、その辺もご配慮いただければと思います。

【住委員】  そういう点では、地球温暖化に関する中期目標の策定というのは、国内の動向においても非常に大きいので、その結果に関する評価はいろいろあるとしても、新しい方向であることには間違いが無いので、ここに書いておかないとまずいんじゃないですかね。

【住委員】  そういう点では、中期目標の策定というのは、この間、国内の動向においても非常に大きいので、やっぱりそれは……。しかも、評価はいろいろあるとしても、新しい方向をとったのは僕は事実だと思うので、パブコメ含めて、だから、それはここに書いておかないとまずいんじゃないですかね。

【安岡主査】  もし中期目標があるとすると、その経緯としては、系譜としては、2年前のクールアース・フィフティから去年の福田ビジョンもあって、そして今回の中期目標という、全体の流れを見る必要があるだろう。その前には当然IPCCがあるわけですが。そういうものもバックグラウンドのデータとしては書き込んでおいたほうがいいかなという気もいたします。ただ、若干やや政治的な動きの部分もありますので、注意しながら、書き込み方は考えさせていただきたいと思います。
 それでは、時間もありますので、2番目の基本理念、それから推進に当たって配慮すべき事項というところです。これは当然全体の構造にかかわる話ですから、少し変わる可能性もありますけれども、書き込まなければいけない事項については当然あると思いますので、ここに加えたほうがいい、もしくはこの表現は誤解を招くのではないかというご意見がありましたら、2についてご意見いただければと思います。

【石川委員】  基本理念のところで、1のところで、21世紀環境立国戦略からスタートしているわけですけれども、このタームで見ますと、こういったスタートというのは非常に妥当性があると思うんですが、この環境立国戦略の中では、循環型、低炭素化、そして自然共生という、一応この3点セットでやっているんですね。今どこに行きましてもこの3点セットで、ここで1ページの下の白丸ですけれども、循環と低炭素しかないので、2点になっているので、これでいくかどうかは別として、絶対に欠かすことはできないと思います。自然共生に関しましては、先ほど第3期のレビューとめり張りということがございますけれども、第3期においては非常に不十分だったと思います。逆に、さまざまな技術が進展してまいりましたので、非常にミクロな、かなりアバウトなところから、非常に技術が近寄ってきた。そういうことで、自然共生に関しては随分大きな展開が4期では可能になるのではないかと私は思っておりますので、相変わらずこういう3点セットでいくのかどうか。そういう議論はここでしていただくとして、やはり欠かすことができない重要な要因としてご認識いただければと思います。

【安岡主査】  ありがとうございます。

【高村委員】  2点でございますけれども、1点目は、少し言葉の補いをしたほうがよいかと思いましたのが、基本理念のところの冒頭にあります安全保障問題としての地球環境問題。先ほどのご説明では、おそらくそのご趣旨だろうと思いましたけれども、安全保障問題としますと、伝統的には国の安全保障の議論として概念を立てておりますので、むしろここでは、この間例えば日本政府なども言っている人間の安全保障ですとか、食料安全保障ですとか、もう少し多義的な意味を意図されているのだと思います。ここはそういう意味で言葉を補っていただくのがよいかと思いました。
 それと2点目でございますけれども、2ページ目の一番最初の経済社会システムの変革と地球環境科学技術の点ですが、非常に意識してこの項目を入れていただいたのは大変よいと、私、思っております。中に立てられている項目も、この間の議論を反映していただいていると思うんですけれども、もう一つ、あえて小項目といいますか、この項目のもとでぜひ入れていただきたいと思いますのは、環境科学技術をデリバーし、あるいは促進する政策研究という観点ではないかと思っております。これはきょうお配りいただきました資料の中で、基本政策推進専門調査会の参考資料2のところの3ページに、まさにそういう趣旨かなと思われる言及がございまして、気候変動研究領域のところでありますが、今後の取り組みの一番最後の項目が、これは気候変動研究に特化した形で整理されてございますけれども、この趣旨は、おそらく全体の環境技術研究にも、環境科学技術に関する方策としても、研究方策としても非常に大事な項目ではないかと思います。そういう意味で、こちらを敷衍してこの内容を入れていただくのがよいのではないかと思いました。
 あと、最後もう1点つけ加えますと、先ほど項目の位置のお話をなさっておりましたが、(2)のところの科学技術の社会への導入による負の側面の点ですね。これはこちらの今の経済社会システムの変革のところに入れていただくほうが座りがよいように思いました。これも非常に重要な項目だと認識しております。以上です。

【安岡主査】  ありがとうございます。笹野委員、住委員の順番でお願いします。

【笹野委員】  2点あります。2の(1)の2つ目、先ほどもお話、少しありましたけれども、循環、低炭素、自然共生と3点セットをどう扱うかということなんですが、今ここに出ている丸の後ろの循環・持続型社会、そして低炭素社会という、この書き方がこのまま残るとやはり誤解を与えるなと。循環・持続型社会というのは狭くとらえ過ぎているところがあるんじゃないか。全体として持続可能な社会。そして、その下に循環とか低炭素とか自然共生とかが来るのではないのかなと感じております。
 もう1点は次のページの一番上、経済社会システムの変革と地球環境科学技術ですが、1つ目のポツは結構だと思います。要請にこたえる成果を出していくと。しかしながら、2つ目のポツが、意図がわかりかねるところがあったんですが、地球環境科学技術が経済社会システムを変革というのは、これはある種のシナリオとかビジョンのもとで科学技術が経済社会システムを変革するという意味でとらえてよろしいのでしょうか。そうだとすると、もしかすると1つ目のポツと同じ意味を言っていることになりますし、違う意味だとしたら、望まない形で科学技術が経済社会システムを変革してしまうという意味にもとられかねないなと思いました。そこら辺整理をしたほうがいいと思います。

【谷室長】  今の笹野先生のご質問ですが、経済社会システムの変革のところでは、社会から要請される、まさに課題解決への、それにこたえる形で科学技術が成果を出していくというのが通常あると思います。もう一つは、ブレークスルーと申しますか、いろんな基礎研究の成果がある意味ではまさにブレークスルーとして、全く革新的な形で出て、それが社会を変えていくドライビングフォースになるということもあり得るだろうということでございます。ですから、基本的には違う方向と考えておりまして、別に書かせていただいております。
 ただ、じゃあ、例えばどういうものがあるのかということについては、今の段階ではなかなか、まさにブレークスルーですので、こういうものということを言いにくいところがあるわけですけれども、例えばインターネットが我々の生活を非常に大きく変えたということがございまして、これはもともと何かそういうものをつくろうとして誰かがビジョンを作ってというよりは、まさにインターネットがいろんな形で生活を変えてきたというところがあるのではないかと思っております。地球環境科学技術についてもそういうものがあり得るだろうということで書かせていただきました。
 文章化したときにどういうふうに書き分けられるか、方向性としては基本的には課題解決ということで、あるいは社会が目指すべき方向というものを見据えて、科学技術としてもその後進んでいくというのが自然な流れといいますか、あるべき方向だと思っておりますが、それを超えたようなブレークスルーといったようなものもあり得るのではないかということで、今考えております。

【住委員】  (2)の基盤整備等推進体制、こういうのが入ったのは非常にいいと思うんですが、書きぶりは注意していただきたい。何かどうしてもハード中心のように感じます。共通プラットフォームの整備というと、ハードウェアという感じが強く出るような気がするので、もう少し人間が関係するヒューマンウェアみたいな、人とコミュニケーションするような部分も含めて、そういうトータル総合システムみたいなことを強調しておかないと、システムを入れればいいみたいなふうに偏るとまずいんじゃないかという気がするのが1点です。
 それから、人材育成なのですが、これはすべて必ず入ってくるんだけど、おざなりにいつも入っているような印象を非常に持つんですね。どういう人材を育成するんだというのがわからないというか、ないまま人材育成と書いてあるのが結構多いので、このあたりでね。裏のほうにありますけれども、具体的にどういう人材か、例を示してもらいたい。それから、普通地球環境科学技術を担うというと、研究者とかエンジニアと思うんだけど、先ほど言ったように、社会との接点とコミュニケーションをとるなど、ヒューマンインターフェースの部分ってこれからどんどん増えてくると思うんですよ。そういうようなことも、従来型の科学技術の担い手だけではなくて、新しいタイプが必要という意味で、書いていただけると非常にいいのと、あと1つは、所掌が違うんですが、小中高の環境教育とのリンクというのは、人材育成で、何らかそこに触れておいたほうがいいのではないか。ここが直接やるわけではないとしても、幼稚園から一貫して人材育成というのはあるべきなので、そこはどこかで触れておいていただければと思います。以上です。

【安岡主査】  それでは、井上委員。

【井上委員】  この2ポツのところですが、これは基本理念と推進に当たって配慮すべき事項とが少し入り組んでいるように思います。ここの基本理念のところは、文部科学省として地球環境科学技術に関して何を目指し、何をやるのかという理念、考え方、何を我々やるんだという文部科学省の立場というのか、いろいろな科学技術を扱える、あるいは基盤を扱える、人材の育成もできるという省の特色を生かしながら、地球環境科学技術について何を目指して、何をやるのかということに焦点を絞ったほうがいいかと思います。
 それから、推進に当たって配慮すべき事項というのは、本来いろいろな課題があって、それに対する推進策というのが多分あるんだろうと思うんです。繰り返しですけれども、ここの2ポツに入れるのがほんとうにいいのかどうか、ここのところはむしろ基本理念だけにしておいて、次の3ポツに課題があって、さらにその推進方策というように書くべきかもしれない。課題に対する推進方策。そんなことを感じます。

【安岡主査】  ありがとうございます。いろいろご意見があると思いますが、45分までにここの項目を終わることになっています。なかなか難しいんですが、ここは非常に重要ですから、少し時間をかけさせていただきたいと思います。じゃあ、甲斐沼委員から2ポツについては最後のご意見をいただきます。

【甲斐沼委員】  先ほど高村委員からもおっしゃられたことなんですけれども、政策研究のほうの重要性について、3番目の丸のところですか、そこに入れておいていただきたいというのがあります。といいますのも、IPCCのほうの第4次報告書のほうが最初に引用されておりましたけれども、今度つくられる第5次報告書の中で、最終的にどういう章構成になるかわからないんですが、第4次のときは、特に各技術といいますか、各分野ごとの技術を中心にどのぐらい削減ポテンシャルがあるか、全体にどうあるか、個別の技術が議論の中心でしたが、第5次報告書では、セクターごとの削減だけではなく、さらにエクイティとかフェアネスとか、公平性、日本語だと漢字が違うんですけれども、公平性と衡平性、及び地域のサステイナブルディベロップメントについて章として取り上げてはどうかというような案が出ています。貧困だかと、ジャスティスとかいうようなことを議論する章が提案されていますが、こういった議論は日本人は得意ではないように思います。こういった議論の能力を増強するのも技術を浸透するのに重要だと思います。

【安岡主査】  ありがとうございます。では、持田委員、最後に。

【持田委員】  今のお話を聞いていて、これは国の方針を考えているんですが、国としては、世界で競争する日本という国、それから、世界と一緒にやらないと、特に資源問題等を考えると、協調せざるを得ない国とのつき合いが日本にはある。3つ目は、人類貢献というか、恩恵的に世界とつき合おうかという、日本が優位の立場でやろうかという、その3つがあるんですが、その立場がちょっと、私、ここでは薄く感じて、外交というのは、恩恵的な印象が非常に強いんですが、アジアにおいても日本は競争の真っただ中、どこかと一緒にやらないと生きていけない状況に置かれている面もあるんですね。そこの3つの点をぜひ安全保障という中で切り分けていただいて、ぜひお考えいただきたいなといつも感じています。

【安岡主査】  ありがとうございます。ご意見あると思いますが、後ほど幾つかのチャネルをつくっていただくという話をしましたので、そこへのインプットもお願いしたいと思います。
 最後に、3ポツだけは、先ほど安井委員から非常に重要なご指摘ありました。今ここに挙がっていますのは、第3期で挙げられた項目が中心になっていますが、3ポツについて5分ほどご意見いただければと思います。

【小池(俊)委員】  内容というよりは、第3期のときはイニシアティブがあって、特に気候変動と水はわりと強く……。

【小池(勲)委員】  2期のとき。

【小池(俊)委員】  2期のときですね。2期のときにあった。すみません。3期を設計するときに、イニシアティブで相当議論をして、積み上げてきて、こういう項目が出てきたと理解しているんですが、第4期を設計する今、そのよりどころはどこにあると考えればよろしいんでしょうか。

【安岡主査】  これは事務局からお答えいただけますか。

【谷室長】  よりどころというのは、まさに地球環境委員会でご議論いただきたいということで考えておりますけれども。

【小池(俊)委員】  そうだと思うんですけれども、そうすると、ここについて、かなり集中的な議論をしないと、まさに先ほど安井先生がおっしゃったように、そのまますらっといってしまいそうな気がするんですが、もう少しちゃんと時間をとって、あるいは、ある考えを出して議論する枠組みが必要ではないでしょうか。

【安岡主査】  安成委員、その後三村委員、お願いします。

【安成委員】  私もこれ、3期の個別的な課題とほとんど変わらないなという感じは持っていて、いろんな研究が進展したことは確かだと思うんです。今は実質的には、安井さんが言われたように、何が問題かというと、かなりクロスカットしたような研究テーマがいっぱい出てきている。気候変動と水循環はそうですし、もちろん生態系、水循環、気候、化学的なプロセス、みんな絡んだような問題が今、出てきているというのは確かなんですね。だから、その辺のレビューを踏まえて、3ポツの課題を組み直すことは必要かなという気がいたします。

【三村委員】  安井先生がおっしゃったみたいに、現実で解くべき課題を考えると、非常にクロスカッティングで融合的なアプローチが必要。一方、文部科学省の研究の1つの特徴は、基礎的なモニタリング、観測をずっとやってきたとか、プロセスを研究したとか、一番ベースになるところを積み上げてきて、それが具体的な課題を理解する非常に大きなベースを与えている面があると思うんですね。そうすると、基礎から現実的な課題まで全部をカバーしなきゃいけないことになるわけですけれども、文科省の研究としてはどういうスタンスを取るのかということももう考える必要があるんじゃないかなと感じます。

【安岡主査】  ありがとうございます。順番からいうと、井上委員、まずお願いします。

【井上委員】  研究領域ごとにこの項目が書かれているのに対して、課題ごとに書くとどういうことになるかということだと思うんですね。ざっと見ますと、これ、研究領域という書き方をしているけれども、実際にはこれは課題というふうにもとれ、こういう課題があるよという書き方にしても、かなり共通というか、動かさなくても済むんじゃないかなという感じがするんです。ここのところで、気候変動の問題とか、あるいは水・物質循環と流域圏の問題、こういうような課題問題・課題をまず挙げておいて、それに対してこういうことをやるということで、かなり整理がつくのではないかと。これをざっと見ているとそういう感じがして、そう大変そうでもないなと思うんですけれども、いかがですか。

【安岡主査】  事実関係として申しますと、第3期をつくったときも、あれは総合科学技術会議での議論だったと思いますが、解くべき課題というのが先にまずあって、そこからこれを起こしてきた経緯がありますので、そのときの報告書を読んでいただくと、ちょっと私もうろ覚えになってしまっていますが、解くべき課題というのが先にありました。そのためにこういう課題が必要だということになっていますので、その構造はそんなには変わらなくて済むかなと。ただ、クロスカッティングイシューとか、問題空間から先に考えるべきだという思想そのものは頭で書き込んでおかなければいけないだろうなという気はしています。

【小池(勲)委員】  今の課題が先かこういう領域が先かという話ですけれども、もっと人間に直接の話ですと、例えば食料ですとか健康ですとかというテーマになるわけですね。ですから、この場合、アウトプットがどこに行くかということで、先ほど三村さんが言われたように、文部科学省とすると、その大本のところをやるのが文部科学省だというスタンスはきちんと出したほうがいいと思います。ただ、それはアウトプットとしては結果的にはそこにいくということがきちんと見えていれば、私はそれでいいのではないかということです。そうでないと、文部科学省から出す地球環境に対するこういうことをやるべきだという重点化になかなかなりにくい気がします。ですから、そういう形でこれを整理するのが必要だと思います。
 あともう一つは、おそらく今度、総合科学技術会議のほうで、従来の重点化を同じようにやるのかどうかという議論が多分あると思います。結果的にはそれの影響も大分受けてしまう。ですから、ある程度フレキシブルな形で出しておかないと、ここで非常に強固に固めてしまうと、なかなかその後がやりにくくなるような気はします。ですから、その2点、ちょっと注意したほうがいいのではないかと思います。

【持田委員】  基礎と課題とは常に両立しないと……。基礎が何をやるべきかも出てくると思いますが、その両立をお考えいただくという原則のもとに、統合的な面で見ますと、二酸化炭素排出削減、日本は15%をまず約束し、30%、50%を約束し、80%を約束しようかという時期にありますので、これは基盤から見るのか、統合から見るのか、その視点はぜひ考えていただきたいと思います。
 それから、今まで私がお聞きしていたのでは、エネルギーそのものを正面から取り扱う分野が地球環境の中にやや、バイオマスという項目が載っておりますが、1つだけ切り抜いているような気がいたしますので、エネルギー全体が地球科学的な視点から見たらどうかということはかなり大きな問題として既に広がってきているのではないかと。特に1つのテーマを挙げる気はありませんけれども、先ほどの課題とあわせて考えていただきたいなと思っているところでございます。エネルギーベストミックスも、時代とともに大きく変化する状況であろうということは間違いありませんので、それをどんなふうに基盤から、あるいは社会から、あるいは技術の動向から見ていくかという視点はぜひ入れていただきたいと考えております。

【安岡主査】  一応ここで議論を切らせていただきたいと思います。確かに今ご意見があったように、地球環境問題を考えれば、これはエネルギーの話、もっと言えば人口の話がベースに出てくるわけで、そこは基本方針として書き込んだ上で、そしてどこに焦点を絞るかということが重要な課題になってくると思います。まだご意見、多数あると思いますが、時間の関係で、15分既にオーバーしてしまいましたので、1番目の議題についてはここで終了させていただき、後ほどまた別のチャネルでご意見を伺うということにさせていただきたいと思います。

 

(以降、非公開)

【議題2「21世紀気候変動予測革新プログラムの中間評価について」】
21世紀気候変動予測革新プログラムの中間評価票について議論がなされた。

【議題3「平成22年度概算要求における重要課題について」】
平成22年度概算要求における重要課題について議論がなされ、新規要求案件については事前評価が実施された。

 

―― 了 ――

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