第5期 地球環境科学技術委員会(第1回) 議事録

1.日時

平成21年4月15日(水曜日)14時~16時

2.場所

文部科学省 16F特別会議室(中央合同庁舎7号館東館16階)

3.議題

  1. 地球環境科学技術委員会主査代理の指名について
  2. 地球環境科学技術委員会について
  3. 文部科学省における地球環境科学技術分野の研究開発について
  4. 平成21年度地球環境科学技術分野における研究評価計画(案)
  5. 「21世紀気候変動予測革新プログラム」の中間評価について
  6. その他

4.出席者

委員

安岡主査、安井主査代理、石川委員、井上委員、甲斐沼委員、小池俊雄委員、笹野委員、笹之内委員、住委員、高橋委員、高村委員、三村委員、持田委員、安成委員、山口委員

文部科学省

藤木研究開発局長、谷地球・環境科学技術推進室長、西山地球・環境科学技術推進室室長補佐、岡本地球・環境科学技術推進室課長補佐、金城地球・環境科学技術推進室室長補佐

5.議事録

(本回の議事は、主査代理の指名などがあったため、開会から議題2の地球環境科学技術委員会運営規則の決定までは非公開。)

【議題1「地球環境科学技術委員会主査代理の指名について」】
科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会運営規則第4条七の規定に基づき、安井委員が主査代理に指名された。

【議題2「地球環境科学技術委員会の議事運営について」】
当委員会の運営規則(案)(資料1-3)について事務局より説明がなされた。特段の意見等は無く、本案をもって運営規則が決定された。

以降、運営規則第4条の規定に基づき公開。

 

【安岡主査】  よろしいでしょうか。
 それでは、ただいまから第5期地球環境科学技術委員会を始めたいと思います。委員会の発足に当たりまして、研究開発局の藤木局長よりごあいさつをいただきたいと思います。
 よろしくお願いします。

【藤木局長】  ただいまご紹介いただきました、研究開発局長、藤木でございます。本日は、お忙しい中、このように多数のご出席を賜りまして、ほんとうにありがとうございます。多くの先生方とはこれまでもたびたび文部科学省はお世話になってきておるわけでございますけれど、今回、第5期の科学技術・学術審議会の新しい会期に入るということで、改めて地球環境科学技術委員会の委員にご就任いただくということで、快くご承諾いただきまして、この点に関しても、まず改めて心から感謝申し上げます。
 昨年夏の洞爺湖サミット、あの主題は地球温暖化でございました。国民的関心も、世界の関心も、地球の変動問題、環境変動問題というのは、今、大変大きな関心が集まっていると思います。それに加えまして、昨年後半からの大変な金融危機、そしてそれに引き続きます経済不況、そういった中で、一方では経済成長をどうしていくのかということもまた大きな問題になっているということで、こういった環境と経済の両立、これは以前から大変大きな課題として政策課題であったわけでございますが、それがまさに今、現実、今まで現実でなかったわけではありませんけれども、大きな壁となって我々の前にあらわれてきているというふうに思います。今も新年度に当たりましての補正予算の議論等々さまざま行われておりますが、そういった制度的対応も当然さまざま行われるべきでございますけれども、長期にわたって経済と環境を両立させていく、そういった手段の根っこというのはやっぱり、地球環境のことを考えました科学技術、そういったことに根差す、そういった解決策が求められるのではないかと、心から思うわけでございます。
 文部科学省はこれまでも、現在、第3期の科学技術基本計画期間中でございますけれども、その中で環境に関する科学技術というのは大きな四大柱の1つに位置づけられております。そういった位置づけに基づきまして、文部科学省におきましても、種々、地球環境に関する科学技術に取り組んできてございます。特に、世界各国と連携いたしまして、地球をよく観測し、データを集めて集約し、一方で並行して地球環境をあらわすモデルをつくり、そしてそのデータと合わせて将来を予測するといったような点については大変力を入れてやってきているところでございますし、その成果はIPCCなどにもさまざまな局面でインプットされてきたというふうに思います。しかしながら、これからの2年間、ちょうど大変重要な時期ではないかと思うわけでありまして、2013年にはIPCCの5次報告がつくられる、そういった報告を準備する期間に当たります。また、第4期の科学技術基本計画は再来年からその計画期間に入るわけでございまして、この2年間というのは、まさにその中身を決める議論が行われる、大変重要な時期でございます。こういった時期に第5期の地球環境科学技術委員会にこれからの地球環境科学技術のあり方についてご審議をいただくということでお願いするわけでございます。大変重要な時期でございますので、ぜひ活発で忌憚ないご意見を出していただけますよう、お願い申し上げたいと思います。
 一言、余計なことでございますけれども、これまで文部科学省の取り組んでまいりました地球環境の科学技術は先ほど申しましたようにデータを集めて予測をするといったようなところが施策の大変大きな柱になってきたかと思いますけれど、ほんとうはその先にある部分も見て、予測した成果を生かして社会や国民にほんとうに地球環境のためになる具体策を提案し、そしてそれを実現していく、そういった先のところまで視野に入れた施策のご検討をぜひお願いしたいと思っているわけでございます。もちろん、いろんな省庁との連携の中で行われるべき施策も多々ございます。私ども、いろんな施策を、議論いただきましたその結果を踏まえまして、文科省自身もしっかり取り組みますし、必要な場合には関係省庁に声をかけて一緒になって取り組んでいくということもいとわずやってまいりたいと思っておりますので、そういった幅の広いご議論をぜひぜひお願い申し上げたいということでございます。
 この2年間、先ほど申したように大変重要な期間だと思っておりますので、どうぞ活発なご議論をいただいて、ご提言をいただき、そして、私どもも誠実にそれを実行するというようなことで臨んでまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 最後に一言。毎年、プログラムの評価といったものも定例的にお願いするということではございますけれど、そちらのほうも大変恐縮でございます。評価というのは最近、賛否両論、いろいろな議論がございますけれど、ぜひ評価というものをポジティブに生かしたいと思いますので、そういった意味では、そちらのほうに対しても、よろしくご審議のほどをお願い申し上げたいと思います。
 どうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。

【安岡主査】  どうもありがとうございました。この委員会への期待が述べられたわけですが、全部で16名いる委員のうちの15名までが参加するという、第1回目から非常に出席率が高くて、このメンバーでこれだけの方が出席されるというのは、まさに今局長に問われたことの一つの解を出しているかもしれません。ぜひ活発な議論をしたいと思います。
 今、藤木局長からお話ありましたように、観測、それからモデル予測というふうに進んでまいりました。私も4年ほどこの委員を務めさせていただいていますが、観測ということ、それからモデルを使った予測ということにかなり力を注いでまいりまして、かなりの成果が得られたのではないかなと思っています。ここに来てさらに、緩和策も含め、対策に向けて少し方向が動いてきたかなと。ちょうど折しも景気浮揚、それから雇用促進ということで、今はグリーン・ニューディールという言葉は使わないんですけれども、そういう補正が起きた中でかなりの部分が環境・エネルギーに対する将来の投資というところで議論が進んでおります。そういうこともありまして、この委員会での議論への期待は大きいのではないかと思います。ぜひ気を引き締めてやりたいと思いますので、よろしくお願いします。
 それでは、議題(3)に移らせていただきます。議題(3)は、文部科学省における地球環境科学技術分野の研究開発についてということでございます。資料が準備されておりますが、まずこの資料について事務局からご説明をいただいて、議論を始めたいと思います。
 よろしくお願いします。

【谷室長】  それでは、資料2-1に基づきまして、ご説明をさせていただきます。
 まず1枚目の上段部分でございますが、これは国全体の地球環境科学技術の政策をまとめたものでございます。これもおさらいになりますが、平成18年に第3期の科学技術基本計画がつくられ、先ほど局長から申し上げましたが、環境については重点推進4分野の1つということで重点化をされているという現状がございます。
 その中で、環境分野につきましては6つの研究領域が設定をされてございます。1つ目が気候変動の研究領域、2つ目が水・物質循環と流域圏の研究領域、3つ目が生態系管理研究領域、4番目が化学物質リスク・安全管理の技術研究領域、5番目が3R(リデュース、リユース、リサイクル)の技術研究領域、6つ目にバイオマスの利活用研究領域ということで、非常に幅広い分野を6つに整理をされているということでございます。
 それから、平成18年7月に、「地球環境科学技術に関する研究開発の推進方策について」、これは、科学技術基本計画全体のフレームワークを踏まえつつ、具体的に地球環境科学技術分野で行う方策を示したものでございますが、先ほども若干申し上げましたが、昨年8月に最近の諸情勢を踏まえて改定をしたところでございます。
 こういった全体の政策体系の中で、大学・研究機関のすぐれた能力を結集し、地球環境科学技術に関する研究開発を推進しているということでございます。
 また、最近の国内外での諸情勢ということで、下段のほうに整理をさせていただいております。国内情勢で申し上げますと、平成20年5月、総合科学技術会議のほうで「環境エネルギー技術革新計画」がまとめられております。これはその後の「低炭素社会づくり行動計画」といったところへ結びついていくわけでございますけれども、具体的には、低炭素社会づくりを実現するための技術に着目をして、どのような取り組みを進めていくべきかというものでございます。この中には、もちろん太陽光発電でありますとか、そういったまさにエネルギーの観点がたくさん盛り込まれておるわけでございますけれども、文部科学省が取り組んでまいりました地球観測、それから気候変動予測といったものについてもしっかりやるべしということが記載をされておるところでございます。
 また、「科学技術外交の強化に向けて」ということで、同時期でございますが総合科学技術会議のほうで、国際協力・国際貢献ということは従来からやってきたわけでございますが、科学技術外交というフラッグシップでやっていくという方向性が打ち出されたところでございます。これの関係では、全球地球観測システム(GEOSS)の取り組みといったものについてリーダーシップを発揮していくというようなことがございます。
 国際情勢でございますけれども、先ほどから何回か出てきておりますが、昨年7月にはG8の北海道洞爺湖サミット。環境・気候変動について主要議題として、議論がなされました。この中ではGEOSSの加速ということも盛り込まれたところでございます。GEOSSの、これは地球観測に関する政府間会合という形で書かせていただいておりますが、2010年の地球観測サミットに向けて、今、折り返し地点を迎えようとしておるところでございます。
 IPCCでございますけれども、2007年に第4次評価報告書をまとめ、それがノーベル平和賞を受賞するというところにつながっていったわけでございますけれども、既に第5次評価報告書に向けた動きが本格化しております。体制が決まり、これから章立てを決めようということで、来週からIPCCの総会が開催されますけれども、具体的な話がいよいよ始まっていくという現状でございます。
 また、国連気候変動枠組条約につきましては、ことし12月にデンマークで開催されますけれども、ここで京都議定書の次期枠組みについて決めるという大きな節目を迎えるという状況にございます。現在、国内では、中期削減目標について近々まさに案が示されまして、この選択肢を、国民的な議論を踏まえて、国としての目標を最終的に決定をしていくというような状況にございます。
 おめくりいただきまして裏でございますけれども、文部科学省における地球環境科学技術分野の研究開発ということで、全体を取りまとめさせていただいております。これは、先ほどの全体の政策、それから諸情勢を踏まえつつ、現行、文部科学省で取り組んでおる内容をあらあらまとめたものでございます。十分に表現し切れていないところがあります。文部科学省と書いておりますけれども、もっぱら地球・環境科学技術推進室のほうで主体的にやっておるものを中心に書かせていただいておりますので原子力でありますとかいう部分についてちょっと抜けておりますが、次の議題でもご議論いただきますけれども、そういった中でいろいろ補足的にご紹介をさせていただきたいというふうに思っておりますので、ここでは当室がやっております施策をちょっとご紹介させていただきたいと思います。
 先ほど局長からも申し上げたとおり、観測・予測については従来から非常に力を入れてやってまいりましたということで、観測につきましては、衛星、海洋――船舶によるもの、あるいは極域観測といった分野で幅広くなされてきました。これらのデータにつきましては、データ統合・解析システム、これは、東京大学、小池先生においでいただいておりますが、代表で研究を進めていただいておりますところに集約をして、社会的に有用な知見としてここから出していくという形で進めております。その際、観測から何が言えるかということについては、地球シミュレータを活用して気候変動予測、これは、21世紀気候変動予測革新プログラム、オールジャパンで関係各省・各機関の主要な研究者が一堂に会して我が国の気候変動の中核研究を進めておるところでございます。データ統合・解析システムには、この気候変動予測の結果のデータも含めて、さまざまなデータを組み合わせて社会的に有用な知見として抽出をしていくという取り組みがなされているところでございます。
 また、観測ということでは、地球観測システム構築推進プランということで「GEOSS10年実施計画」に対応した形で、空白域、あるいはアジア・太平洋地域での集中的な観測プログラムというのを先導的に実施をしているというところでございます。
 右下になりますが、環境対策技術開発、これも非常に簡単に書かせていただいておりまして恐縮でございますが、例えばJSTの戦略創造研究推進事業などを活用して、二酸化炭素排出抑制に資する革新的技術の創出でありますとか、持続可能な水利用を実現する革新的な技術とシステム、これは、今走っておる、あるいは今年度から始まる課題でございますけれども、環境に特化した課題を推進しておるところでございます。ここは環境対策技術開発でございますので、このほかに、原子力でありますとか、あるいは環境にやさしい航空機の開発でありますとか、さらには環境対策に資するナノ材料の開発、あるいは環境の研究拠点をつくるといったような動きも、別途ございます。
 こういった取り組みを国際的に展開していくということにつきまして国際共同研究ということで右上に書かせていただいておりますが、例えばJSTの地球規模課題対応国際科学技術協力事業といったような施策の中に、例えば地球観測システム構築推進プランの課題を発展的にこういったところで展開をしていくというような取り組みをしておるところでございます。
 雑駁でございますけれども、資料のご説明をさせていただきました。

【安岡主査】  ありがとうございました。資料2-1について、これまでの経緯を含めて、ご説明をいただきました。
 ここまででご質問等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。この委員会でも既にこの数年間でいろいろ議論をしていた内容についてご紹介いただいたと思いますが、よろしいですか。
 それでは、いよいよ今後どうしていくかという、それが主な課題になっていくわけですが、それにつきまして、資料2-2を使ってご説明いただきたいと思います。

【谷室長】  資料2-2の1枚紙でございますけれども、ごらんいただきたいと思います。これは、「今後の地球環境科学技術分野の研究開発について」ということで、粗々でございますが、まとめさせていただいております。
 ご議論いただきたいポイントということでございますが、まず問題意識、このような紙を配らせていただきまして、ご議論をいただきたいということの問題意識でございますけれども、先ほど局長からも申し上げましたが、第4期科学技術基本計画の議論がこれから本格化していくという状況でございます。現在は第3期のフォローアップというものが進んでおるところでございますけれども、来年には具体的に第4期の基本計画の中身の議論がされていくという状況にございます。その中で重要な地位を占めるというふうに考えられます地球環境分野について、どのように取り組んでいくべきか、これは第4期基本計画が策定される中で適切にインプットをしていく必要があるであろうということで、秋までにその一定の整理を行いたいということでございます。全体として先ほど申し上げました現在やっております施策がございますので、こういった現状認識は現状認識としてお踏まえいただき、ただ、その現行の枠にとらわれない新たな地球環境科学技術のあり方というものを、ある意味では骨太の議論ということをお願いしたいということでございます。これが問題意識でございます。
 そういう問題意識を持った上で、1ポツ、2ポツ、3ポツということで整理をさせていただいておりますが、1ポツは基本認識、これは地球環境をめぐる状況がどうなっているかということを共通に整理をするというのが1点目でございます。
 2点目は、これは現状認識ということで、基本的には大きくは第3期の基本計画の6分野を念頭に置きつつ整理をして、あるいは、現行、文部科学省のほうで推進をしております事業を踏まえつつ、そういうフレームワークで一旦整理をしていただく。ここは、現状認識と、それから次の方向性を少しご議論いただくということでございます。
 3ポツでございますけれども、第4期の科学技術基本計画に向けて、非常に簡単に書いておりますが、地球環境科学技術分野として盛り込むべき論点ということで、ここではまだこれだけしか書いてございません。これからいろいろ材料を出させていただきましてご議論をいただきたいというふうに思っておりますが、大きくはこういった3つの論点でご議論をいただければというふうに思っております。
 ちょっと戻りまして1ポツの基本認識でございますけれども、ここはあまり、繰り返すまでもないといいますか、今さらということではございますが、地球環境問題、特に気候変動への取り組みへの社会的要請の高まり。国際情勢、国内情勢、いろいろ動きがございます。非常に急速に動いております。そういったものを踏まえる必要があるというふうに考えております。また、他方で厳しい財政状況というのがございますし、そういったことから観測の合理化でありますとか、他方で予測についても相当進展してきたというのもございます。観測・予測から、対策ということがこれから非常に重要になってきているということがございまして、そういった状況を踏まえて、どういったあり方が望ましいのかということを考える必要があるというのが、基本認識のところでございます。
 2ポツの検討すべき課題でございますけれども、(1)(2)(3)につきましては、観測・予測を整理したものでございます。観測につきましては、地球観測活動の合理化・統合化や継続的に観測すべき対象の整理ということで、観測についてもここ数年、非常に取り組みが進んでまいりまして、いろんなデータが出てくるようになってまいりました。それらのデータを、これから空白域を集中的にさらに精緻に探していくということをやるのか、あるいは出てくるデータをうまく活用していくのか、あるいはばらばらになされている観測を統合していくということがあり得るのか、観測についてもいろんな論点があり得るかというふうに思っております。地球観測推進部会でも、今、重点化、優先順位を念頭に置いて議論をしていこうというような方向でございますので、その連携をしつつ、このご議論をいただきたいと思っております。
 また、気候変動予測が2つ目に書かれておりますが、現在、21世紀気候変動予測革新プログラムに集中的に取り組んでおるわけでございますけれども、この次の段階の気候変動予測というのは一体どういう方向になっていくのであろうかと。ことしはちょうど中間評価をしていただくタイミングになっておる関係もございますので、気候変動予測については、中身をよくご議論いただきたいというふうに思っております。
 また、データ統合・解析システムにつきましても、先ほど申し上げましたような構えで研究開発を進めてきておりますけれども、これから適応策との関係で例えばどういう発展的なあり方があり得るのか、これについてもご議論をいただきたいというふうに思っております。
 対策技術につきましては、近々はとにかく二酸化炭素の削減というのが主眼でいろいろ議論をされておりまして、緩和の技術というものは非常に集中的な議論がされておるところでございます。この緩和の技術というところで文部科学省は重点的にどういった方面から取り組んでいくべきか。また、緩和の技術に比べれば議論が若干おくれておりまして、これから議論が高まってくるということかと思いますが、適応の技術について適応策をどのようにして取り組んでいくべきなのかということについても少し、(4)のところでご議論をいただければありがたいということでございます。
 それから、第3期の基本計画での6分野のところで、従来、文部科学省は取り組みとしては少し、観測・予測に比べれば、ちょっと語弊がありますが、十分でなかったかなという感じもいたします、バイオマス、3R、化学物質リスクへの取り組み、こういったものをどういうふうにして考えるかということについて、これまでの取り組みも含めてご紹介をしながら、ご議論をいただければというふうに思っております。
 6番目は、横串でございます国際協力、科学技術外交という新しい方向性が打ち出されたところでございますけれども、GEOSSといったような国際的なフレームワークの中でどういうふうにやっていくか、あるいは科学技術外交という観点でどういう取り組みが望まれるかといったような、国際的な協力の横串といいますか、分野横断的な議論としてご議論をいただきたいということでございます。
 この2ポツが基本的には現状認識ということでございますが、それらを踏まえまして、若干繰り返しで恐縮でございますが、2ポツのこういうフレームワークで将来どうやっていきましょうか、ということをご議論いただきたいということではありません。この枠にとらわれずに、第4期に向けて地球環境科学技術のあり方というのを幅広くご議論いただきたいということでございます。
 以上でございます。

【安岡主査】  どうもありがとうございました。
 今、文部科学省のほうで考えております、今後どういう視点で見るかということについて、ご説明をいただきました。ここの部分が非常に重要になります。次期の科学技術基本計画に何をインプットすべきか、少なくともポイントをここで議論をして、ぜひいい次期計画を立てたいというふうに思います。
 きょうはまだ少し時間があります。この点に関しては、自由討論をここで15分、20分ほどさせていただきたいと思います。今後というのがキーワードですので、今、室長からもありました2ポツに必ずしもとらわれることなく、どういう視点が今後必要になるか、重要になるかということについて、自由にご議論をいただければ。キーワードを出していただくだけでもよろしいかと思います。いかがでしょうか。

【安井主査代理】  別に代理だからというわけじゃございませんが、今のお話で文科省の積極的な意気込みが感じられて大変望ましいと思っているわけでございますけれども、ここに座っております主査が環境省系で、代理が経済産業省系という、そういう構成になっていまして、それで、いささかなんでございますけど、実を言いますと、文科省というものの役割というものをもう一遍ちゃんとしっかり議論したほうがよろしいかなという気もしないでもないと。特に個別の技術になってきますと、各省庁、例えば先ほど来の二酸化炭素の排出抑制技術なんかになりますと、NEDOが年間2,200億ぐらいかな? 2,000億ぐらいかな? そのぐらいのお金を突っ込んで、全体としてでございますけれども、そのお金の中で結構頑張ってやっているというようなこともある。しかも、これまでですとわりあいと最終的な商品に近いようなところしかやらなかったものが、かなりプロトタイピング以前みたいな、すごく基礎的なところまでお金を突っ込み始めているという状況があって、やっているのは実を言うと大学の人間がやっているという状況があって、その中で文科省の研究というのは一体どういうものなのかと。向こうがいいと言って認めるというわけでは全然ないんでありますけれども、その辺の、きっちりデマケをやれということでとらえていただかないほうがいいかと思うのでありますが、少なくとも外から見たときに、外部から見たときに、一応シームレスにつながった研究が行われているように見えることというのが多分最後の形かと思うんですけど、その辺に向けて、一体何なんだというのは、実を言うと私も答えがよくわからないんですね。実際にやっているのは大学の先生なものですから、一体どういうふうに考えたらいいのかなというあたりは前のポジションにおりましたJSTのCRDSにとっても非常に大きな問題だったものですから、そこあたり、ここで議論をしてすぐ答えが出るようなものじゃございませんけど、大きな問題意識としてちょっとしゃべらせていただきました。

【安岡主査】  ありがとうございます。たしか第3期の科学技術基本計画を決めるときも、総合科学技術会議での議論、文部科学省での議論、それから、例えば環境分野ですと環境省での議論、どういうふうに仕分けるかという議論がやられたと思います。必ずしもそれがうまい形でコラボレーションができたかどうかというのは、もう一回整理する必要があると思いますが、非常に重要な視点だろうというふうに思います。
 ほかにご意見ございますか。じゃ、小池先生が先で、次に井上先生、お願いします。

【小池(俊)委員】  きょうご説明いただいた資料2-1の裏側に非常によくまとめていただいていると思うんですが、見ていると、黄色なり、青なり、紫なりが、それぞれ1つ1つの施策なんですね。これが、先ほど室長、口ではおっしゃったんですが、連携した形として見えることが、もしかしたら安井先生が今おっしゃった文部科学省ならではの科学技術政策のお立場かなというふうに思います。
 私どもの前の総長は「知の構造化」ということを言って私どもの中でもいろんなことを、私自身もやらせていただいておりますが、ちょっと違う視点で「知の構造化」ということをこの図を見ながら考えますと、1つは、知をつくり出す、知を創造するという部分があって、これは科学技術の根幹であろうと思います。そこは、安井先生が今おっしゃった個々の技術としてやる政策はいろいろあるわけですが、だけどここの部分がないということはあり得ないわけで、知を創造するという部分をきちっと持つことがまず第一だろうと思います。
 次は、例えば地球観測システム構築推進プランでもそうなんですけれども、いろんな創造されたものがほんとうに蓄積されていく部分が今まであまりなかったのではないかと。こういうものが国際的にも、あるいは科学技術的にもどんどん蓄積されて、そして例えばJSTの地球規模対応課題のようなものに発展していく枠組みが一部できたわけですが、創造された知が蓄積されるメカニズムというものを持つということが次に必要であろうと。
 3番目は、これが世の中にちゃんと役に立つんだということがわからなきゃいけないので、ビジュアライゼーションといいますか、顕在化させる。こういうものが蓄積されたものがあるんだということを我々がシェアできるということが3つ目としてあると思います。
 そういうことが進むと、これも先ほど室長おっしゃいましたが、さまざまなところでこういう知を使い始めるわけで、これは府省連携で進む部分もあると思います。そういう意味でアプリケーションの部分に、これには、今、温暖化の話のコンテキストの中では緩和策と適応策、適応策に力を入れるということは大変大事なことだと思いますが、適応策そのものはおそらく、農林水産省だとか、環境省だとか、国土交通省だとか、ほかの府省が中心になるわけですね。だけど、そこへ蓄積された知がきちっと投入されていく枠組み。ですから応用にかかわるものが必要であろうと。
 そして、これは研究ですから、単なる技術的な応用だけじゃなくて、全体としての研究ということで、こういうような全体が構造化されていく、科学技術政策として構造化されたものがあって、それがちゃんと連携して見えているというか、連携させるというような枠組みを今後つくっていく必要があるのではないかなというふうに思います。
 以上です。

【安岡主査】  どうもありがとうございます。
 それでは、井上委員。

【井上委員】  今、安井さんと小池さんからお話があった件に関係することですが、この委員会の名称が地球環境科学技術ということになっているわけですね。それから、室の名前もそういう名前になっているということで、環境技術、あるいは環境に関する研究という観点から見ると、地球環境と、「地球」という言葉がついていることで抜けが生じないか、抜けがあっても良いのかどうか。これは何年か前にも一度議論をしたかと思いまが、環境問題全体を扱う、環境の科学技術全体を扱うのかどうかということが、まず一つ議論があると思うんですね。今までどちらかというと地球環境ということで地球気候変動の科学といいますか、かなりそういうところに絞られてきたという感じがしないでもない。今話題になっている気候変動の適応・緩和という問題についても、特に緩和技術、対策技術については、文科省全体として多少遅れているような感じがしています。
 それから、環境問題全体を取り上げたときに、今度、環境省、それから経産省――これは安井先生もご指摘ありました。それから厚労省、こういうところとの住み分けというか、連携体制をどうするかですね。一つの解は、2年ほど前、ここで少し方向変換があって、例えば気候変動の予測技術、観測技術から一歩進めて、気象のほうへ出口を求めて気象庁と協力しましょうという、こういうやり方があったわけです。ですから、ここで文科省としては、科学技術の先端的なことを全体的にやっておいて、その出口側で各省と連携をとる。住み分けというよりは、連携をとるという方策をもっとおおらかに考えてやっていくのがいいんじゃないかなというふうに思います。
 以上です。

【安岡主査】  どうもありがとうございます。
 じゃあ、山口委員、それから甲斐沼委員。あっ、ごめんなさい。石川委員が先でしたですね。

【石川委員】  どちらでも結構です。

【安岡主査】  まず石川委員から。

【石川委員】  私はこの間いつも同じことを何度もこの委員会で繰り返してきたんですけれども、今たまたま資料2-1の裏側を見まして、やはり地球環境ということで非常に、革新プログラムにしても、地球という、鳥の目でいろいろな着実な観測が進んでいるわけですが、先ほど局長さんがおっしゃいましたように、社会に還元ということを、出口ということを考えますと、それはとりもなおさず1人1人の人間、つまり鳥の目に対して虫の目なわけですね。地球環境ということであえて虫の目ということを意識しないで、意識してはいけないというふうに思っていらっしゃるのかどうか、それはよくわかりません。何か呪縛があるような気がするんですけれども、この資料2-1の鳥の目に対して、実際には虫の目で1人1人の人間が暮らしているわけですから、そこで、こういった鳥の目の研究が虫の目のところでどういうふうなスコープを持って何ができるかということをやはり本気で考えるべきだと思うんです。
 それに対して先ほどおっしゃったようにいろいろな省庁がやっているわけですけれども、私がいろいろ意見を申し上げますと、それは環境省でやっているとか、国土交通省でやっているとかということになって、なかなかうまく着地できなかったと思うんですが、今回、始めるということであれば、どこの省庁がやっているとか、そういうせせこましいことは考えずに、社会に還元するときに何が必要かというそもそも論から考えて、その上で、じゃあここはどうしましょうという、そういうもう少し、縦割りでいやそこはというふうなことは言わないで、もう一度きちんとやっていただきたいというのが、私の希望です。
 私、総合科学技術会議にこの18年にかかわっておりますけれども、6つの研究領域ということで資料2-1にありますが、この中で私が一番希薄だと思っているのは、結局は文化という問題なんですけれども、そういったものが科学技術ということで理工系のようなところであえて非常に禁欲的にやっているというところもありまして、ほんとうに目指すべきそれぞれの地域、地球全体のそれぞれの地域が持っている文化の多様性。ここに生物多様性とありますけれども、気候、水、生態、こういったものが一つのコンパクトなセットとしてあらわれているのが地域固有の文化ですので、私はいろいろあちらこちら歩いておりますけれども、何が危機かというと、そういう地域ごとの文化の固有性が非常に急速な勢いで危機に瀕している。次回、この6つの分野というものをさらにバージョンアップして何かここで打ち出すというのであれば、地球全体の文化の多様性というものを維持し、さらに消滅の危機から救うような、そういう虫の目で着地できるような地球環境技術の展開、そういったものをぜひこの場でもう少しおおらかに議論をして、何かいい目標を設定することができれば、大変意義のある委員会になるんじゃないかというふうに思っております。

【安岡主査】  どうもありがとうございます。
 では、山口委員、お願いします。

【山口委員】  基本的に、皆さんのおっしゃっていることと同じことなんですけれども、私なりの意見をちょっと述べますと、局長がおっしゃったように、観測、予測、対策と、まさにこのステップというのは不可欠だと思うんですね。ただ、これまでの文科省の役割というのは、サイエンスということを中心にして、観測、データ収集、予測をうまくやってこられたということで、私はそれなりの意義があったのかなと。逆に、この領域というのは、経産省とか環境省さんではなかなか踏み込まれてない部分ではないかなと思います。ただ、その一、二のステップだけでとまってはだめだよというのが、まさに局長のおっしゃることだと思うんですね。したがって、1つは、文科省としてはやはり、観測並びに予測のレベルアップと申しますか、もっともっと質を高める、精度を高めるということは、何としても一番目の柱としてやる必要があるのかなと思います。
 ただ、それだけでとどまったのでは、実際の温暖化対策とか、汚染を防ぐとか、リサイクルを高めるということには結びつかない。したがって、対策が必要であるということになると思うんですけれども、対策については、実は経産省さんとか、特に経産省は一番力、それだけの国費も投入しているわけでございますけれども、経産省、環境省、農水省が個別の技術そのものは点としてかなり対策されているわけですね。したがって、文科省としてやるべきことというのは、これまで開発され、もしくは完成しようとしている技術に対して、逆に今度はバックキャスティングで観測なり効果の予測をしてみるとか、そういうところに入り込む方法もあるのかなと。というのは、文科省さんの中で技術開発されるということは、使える技術、実用化される、商用化される技術を開発するというのはなかなか、バックグラウンド的にも難しい面がある。しかし、それはほかの省庁でやっているということでございますので、ぜひとも文科省さんとしては、他の省庁がやっている固有技術なりシステムを実行した場合に、じゃあ予測モデルがどう変わるのかとか、そういう進み方もあるのかなと。
 したがって、ぜひともこの3つのステップをうまく連携してやるためには、内閣府あたり、もしくは総合科学技術会議あたりがそこら辺の音頭取りは当然されているとは思いますけれども、それをより一層強化していくのが必要なのかなと、そういう気がいたしました。

【安岡主査】  ありがとうございます。
 それでは、そろそろ時間もあれですので、ここの部分はもう一回最後に戻ります。それから、次の議題のときにもお話をいただきますが、まず、ここで最後に甲斐沼さん、お願いします。

【甲斐沼委員】  甲斐沼です。今回初めて参加させていただいているので、この委員会でどういったことが議論の対象になるのか、どこまで扱えるのかというのがよくわからないまま、印象だけ述べさせていただきます。いただいた資料2-1の裏側ですが、印象としては気候の観測・予測研究というのが中心に入っておりますが、もともとの地球環境科学技術分野というともっと広いと思います。観測については、成果を上げられておられますので問題ないのですが、今後はそれをどうやって温暖化の影響や適応分野に応用するのか、あるいは政策とどう結びついていけるかということが非常に重要になってくると思います。
 私は対策の研究をしています。先週、低炭素社会研究ネットワークの立ち上げの会議に出席しました。これはもともと昨年、神戸で開催されたG8の環境大臣会合のイニシアチブとして挙げられたものですが、それを今度のイタリアでの環境大臣会合でも取り上げて下さることになりました。そのときに低炭素社会研究ネットワークの特徴というのは何かということが議論されました。今まで、適応技術、あるいは緩和技術と、技術が中心の研究が多くありましたが、それだけではやはり温暖化問題を解決するのが難しいということが認識されています。技術は非常に大切で、サイエンスとテクノロジーを研究することは大切ですが、それと社会との接点、あるいは政策との接点、その3つを融合した形で研究も進めていかなければ、温暖化問題の解決の着地点が見出せないということが議論されました。IEAの方も、今までずっと技術に焦点をあててきたけれども、やはりシステムとして研究を進めないと、温暖化問題の解決に導くのは難しいと言われていました。
 もう1点だけ指摘させて下さい。IPCCの第5次評価報告書に向けた作業では排出の予測と気候モデルと適応の研究について、それぞれのグループでコンソーシアムをつくって、お互いに連携を深めようという動きが進んでいます。こういったお互いの連携をもう少し進めていけるような形のテーマをつくっていただければありがたいと思います。
 以上です。

【安岡主査】  ありがとうございます。
 せっかくですから、もう過半数の方がしゃべられましたので、お話になられてない方から、ここでご意見をいただこうと思います。(笑)すみません、座長がころころ変えるといけないんですが。まず安成委員から。それから、笹野委員からお願いします。

【安成委員】  気候変動の観測・予測、これまでかなり精力的に、いろんなプロジェクト含めて進めてこられたと思うんですね。私、実はこの委員会初めてなのでまだ役割等をちゃんと理解していない面もありますけど、これから多分、IPCCの第5次評価報告書の中でより高解像の予測を、特に発展途上国を含めて地域的な気候予測、これは、水循環とか、そういうことも含めてだと思うんですが、それが非常に重要になってくると思うんですね。そういう意味ではより精度の高い観測プラス予測は進めないといけないということは、多分あると思うんです。
 一方で、今、石川先生が言われましたけど、どういう予測とか、今後どういう形の環境・気候であるべきかというようなところは価値が入りますね。例えばアジアを見てもいろんな多様な文化があって、それぞれのアジアの国、あるいは民族によって、例えば環境はどうあるべきかというのは相当、価値観のバラエティーがある。多分その辺も同時に、ある意味ではサーベイというか、いろいろ調べながら、文科省ですから、環境省とか、ほかの省庁はかなり技術的に何をすべきかというところに行くと思うんですけど、文科省は、文化という問題も含めて、いかなる環境が大事かと。一方で、両輪としてはより精度の高い観測、あるいは予測をやっていくということと同時に、実際にどういう予測が必要かというのは価値が必ず入りますので、ここではあまり話題になりませんが、多分、同じ文科省でも局が違うと随分違うのかなという気もするんですけど、例えば総合地球環境学研究所というのが文科省の下にあって、そこではまさに、地球環境、あるいは広い意味での環境における人間の文化と価値という、その辺を考えようということでいろいろ活動している。例えば、その辺との連携というのが今後重要じゃないか。特に文科省として非常に重要なところとしては、今後どういう予測を例えばアジアという地域でやっていかないかんかと、そのアセスメントがないと、いくら精度を上げよう、上げようといったって、これははっきり言って切りがないということになると思うんですね。そういうところをアジア各国と連携しながら、あるいは文科省、あるいは大学なんかも結構フィロソフィカルに環境の問題を考えているグループがたくさんいますので、そういうコミュニティーとの連携といいますか、あるいはそういうところにここでの情報を提供しながら文科省として進めていくという。多分、中心のところはいわゆる文化、地球環境に関する価値とか、文化とか、その辺を考えていくというのが非常に大事じゃないかという気がします。ちょっと一般的になりましたが。

【安岡主査】  順番からいきますと、笹野委員。

【笹野委員】  では、手短に2点だけ。
 1つは、ちょっと個別の話になりますが、資料2-2の検討すべき課題を見ているんですが、地球観測【地球観測推進部会との連携に留意】、そのとおりだと思います。あちらはある意味でオールジャパンのことを見ている。その中で我々、おそらくここでは文科省としての地球観測活動のことを検討するんだと思うんですが、全体の中で文科省としてどうやっていくべきかというのを考える上で、推進部会との連携をぜひ事務局としてもとっていただきたいということ。
 ただ、今、世間の金融事情はこうなんだけれども、すぐ合理化という話が出てくるのかなというのはちょっと気になったところでありまして、仮に合理化、あるいは統合化というのも、合理化の意味での統合化なのか、あるいはシステムの意味での統合化なのかわからないんだけれども、いずれにせよ地球観測システムの全体像を見た上で議論をしていく必要があると思います。個別、個別の課題を立ち上げた、評価した、終わったというのではなくて、もう少し全体像が見えたらいいなということが1点。
 それからもう1点は、これは前にもこの委員会でお話ししたことがあるんですが、観測の話と、2番目の予測、あるいはモデルの話、観測とモデル間での連携というのをぜひ進められるような、そういう仕組みを考えていきたいというふうに思います。

【安岡主査】  ありがとうございます。
 それでは、三村委員、その次は高村委員で、持田委員。

【住委員】  僕は?(笑)

【安岡主査】  すみません、必ず入れます。

【三村委員】  どうもありがとうございます。
 皆さんが言われたことも含まれますけど、1つだけ言いたいのは、地球環境の研究をやっていたら、ますます地域が重要になってきたというような印象があります。例えば、日本の影響予測の成果を昨年出したんですが、そうすると自治体から自分の県のデータだけ切り出して送ってくれというふうに要求がたくさん来まして、何で必要なのかというと、各県とか市町村の環境基本計画の中にそれを入れたいという話なわけですね。我々のほうは若干逡巡しました。というのは、気候予測のモデルの分解能は今、100キロのようなものをダウンスケールしている。それに基づいて地域のことをやっているわけですから、日本全体を見る鳥の目ではそれなりの精度が出て、分布も出たなと思うんだけど、何々市の環境計画に使うほどの予測精度があるかと言われると、ちょっと出しにくいわけですね。要するに、地球環境研究のレベルが社会とどの辺で接点を持つかという、そういうところまでおりてきていると思うんですね。だから、そういう意味では気候予測システムのほうでも非常に空間精度の高いものを出していただいて、影響予測のほうでも、県の中でさらに分布を持ったような、あるいは流域レベルの予測ができるようなところまで入っていく必要があるんじゃないかと思います。
 さて、地域に問題をおろしていくと、それぞれの地域ごとに、皆さんおっしゃっているように、水の状況も違えば、生態系も違えば、農業も違えば、海岸があるところも、ないところもあるわけですから、そういうふうに非常に具体的な、いわゆる従来型の環境、地域環境というのと結びつくことになるわけです。だから、片一方で地球全体のことを見ながら、実際の社会とか施策と結びつくときにはそういう地域のところまでおりていかなきゃいけない。そういうのが今の特徴なんじゃないかなと思います。
 それから、ここまでは日本の話をちょっと考えたんですけど、当然、きょうの問題提起にあります国際共同研究とか、国際という視点はまた別にあるので、それはそれで、国際でも日本と同じぐらいハイレゾでいかなきゃいけないかどうかというのはちょっとまた別問題なので、そこは他の方が議論されるんじゃないかと思います。

【安岡主査】  ありがとうございます。
 それでは、高村委員、お願いします。

【高村委員】  ありがとうございます。3点でございますけれども、1つ目は、甲斐沼先生がおっしゃった点とかかわるんですが、より具体的に成果を生かすという局長のお話もありましたけど、対策技術に重点を置くということは非常に重要だと思っております。ただ、もし一つつけ加えて申し上げますと、解釈の問題かもしれませんけれども、おそらく狭い意味での「技術」だけではなくて、それを実際にデリバーする政策、施策の研究がおそらく非常に重要になってきているのだと思っております。表現の仕方ではございますけれども、その趣旨をぜひ盛り込んでいただきたいというふうに思っております。
 安成先生もご出席の学術会議でも、ここ10年ぐらいの学術の展望を考えているところですが、やはり日本では予測・観測は非常に進んできており、環境技術も非常に強みを持っているけれども、今後政策の研究というところに焦点を置く必要性があるのではないかと議論しております。これは、特定の政策手法に焦点当てる必要はなくて、おそらく政策、施策に関する研究が焦点分野であるということを明確にまずはメッセージとして出すことが必要ではないかということです。
 2つ目は、これも安成先生がおっしゃっていたように思いますが、アジアに焦点を置く日本の貢献ということが非常に重要なように思います。それは温暖化問題一つをとっても明らかにアジアに大きな排出源があることははっきりしておりますし、そういう意味で日本が外交協力を進めていく焦点は明らかではないかと思います。実際に共生などのプロジェクトで個別のプロジェクトごとにかなり努力をしていただいてキャパシティービルディングをアジアの諸国となさっている実態も存じ上げておりますので、それを組織的にどう行えるかという点が今後必要ではないかと思います。
 そして最後に、これは多くの先生がおっしゃいましたが、井上先生がおっしゃったように、いろいろかかわる省庁を含めて連携・協働・調整というのが必要で、ひょっとしたら各省庁の重点や方向性の違いを超えて科学研究という観点から調整ができる唯一の場としていの、文科省の役割があるのではないかと思います。

【安岡主査】  ありがとうございます。
 高橋委員もさっき手を挙げられていましたか。

【高橋委員】  住先生の……。

【安岡主査】  住先生には最後に総括をお願いする。(笑)

【高橋委員】  じゃあ、私のほうが先に申し上げます。

【安岡主査】  じゃあ、先にどうぞ。

【高橋委員】  ありがとうございます。
 では、2点ほど申し上げたいと思いますが、1つは、先ほど局長のほうからもお話ありました、適応・緩和に関しては具体的な施策が進んでいるということで、実問題にほんとうにかかわってきた学問というふうな形になってくるんだなというふうに感じます。そのときにおそらく、効率的な対策、あるいは有効な対策というまくら言葉が今後はついてくるはずですので、そこに関しましては、他分野、例えば制御とかデータマイニングみたいなことも含めて、他分野の情報活用というような形での他分野からの協力というのも非常に大事になってくるのではないかというふうに考えられます。これが1点。
 もう1つは、対策と申しますと可及的なところに目が向きがちですけれども、文部科学省といたしましては、国交省や経産省はおそらく今ある知見を最大限に使うというところでフォーカスをされるであろうと。ですが、実は地球環境科学技術ということになりますと、おそらく多段階の時間スケールや分野的な包括的な考え方というのを推し進めなくてはいけないはずで、このときにどうしても基礎研究というものを大事にしていただきたいと。逆のトレンドかもしれませんけれども、科学技術の対策というものの次を考えるときには、どうしても基礎研究を大事にしていかなきゃならないということは大事だと思いますので、多段階的な視点というのも持っていただきたいというふうに考えます。
 この2点でございます。

【安岡主査】  ありがとうございます。
 それでは、持田委員、それから最後に住さん。

【持田委員】  持田でございます。私もこの委員会に初めて出させていただいて、私、エネルギー関係、エネルギーにかかわる材料等の研究をやっているものですから、この委員会には、地球科学というとあまり関係ないなというふうに思ったんですが、資料1-2のここにかかわる分科会を見ていると、地球科学技術を地球にかかわる環境科学技術ということに読みかえれば、これはすべてを統括する委員会で、ここからどこに焦点を当てていくかということが大事だということで、委員会の名前からは縛りはないなというふうに感じました。
 2番目は、分野別推進戦略で環境とエネルギーとが重点推進と推進ということに分離されておりますが、環境の大部分の問題はエネルギーと裏腹の問題でございますので、その点の視点を明確にすべきだなと。つまり、エネルギーというのは経済の問題をそこに含んでいるわけですけど、その問題が裏表であって環境問題があるんだなというふうに思っておりますので、そのあわせた視点をぜひお考えいただきたいなというふうに思います。
 エネルギーの問題に関しますと、文科省はかつて、原子力以外にも、オイルショックのころは随分一生懸命やっておられたんですが、その後、エネルギーはちょっと違うんじゃないという、石油の値段も安くなったし、違うんじゃないという印象を強く私どもは感じておりまして、経産省から予算をもらう日々が多かったなと思っております。(笑)そういう意味で今回改めて環境問題をグローバルな視点から見るとすれば、エネルギーの問題と切り離せないというのは、今申したとおりでございます。
 先ほどから出ておりますように、鳥の目、虫の目がございますが、先ほどおっしゃったように、文科省、あるいは経産省、どこでもですけど、時間的な目を持っていただくことが大事で、既に実用化になったような技術でも、もう一回見直すということが常に必要になってきますので、そういう意味の時間差をぜひ持っていただきたいなと思います。
 それから3番目は、すそ野と飛び出した重点分野という、まさに基礎と重点ということになるわけですが、どちらも非常に重要ですが、私の印象は、特にエネルギーに関係する研究でありますと、基礎は、おやりになるときには何に結びつくかわからないけど、結果が出たときはこれが何かに結びつくんじゃないかという目を常に研究者の人たちが持っていただくことが極めて大事じゃないかなと思います。
 4番目は、環境・エネルギーになりますと、文明の生き方がどうなるかということになってきまして、これは国際連携とも関係するんですが、世界の国々がアメリカのような生活、日本の生活もほとんどそれに近いですが、それを目指すのが2100年以降可能なのかなと思っておりまして、我々だけいい思いをしたら、ほかはしないでいいというエゴイズムにもつながりかねないんですけれども、多様性という言葉を使いますとそれも合理化されるような雰囲気を持っておりますが、そこらは、哲学の問題含めて、ぜひ必要かなと思います。
 5番目は、これも出ておりますが、政策への反映ですが、特に外交政策への反映がほとんどなされていないように私どもは感じておりまして、京都議定書以後も、日本の科学技術ないしは先見性に対する科学技術、あるいは国際的な説得力を日本が言い出せるかどうか、甚だ疑問に感じているところでございますが、この委員会がそういうことの一端でも背負えればというふうに感じています。
 以上でございます。

【安岡主査】  ありがとうございます。
 それでは、笹之内委員、お願いします。

【笹之内委員】  笹之内と申します。もうほとんどの先生方が言われたものですからあまりないんですけれど、基本的にはやっぱり文部科学省がやるという点では、地球観測と気候変動予測というのが、山口様がおっしゃられたようにビジネスから遠いところなものですから、これはぜひ重要なことですから、こういうことは国でやっていただきたいと思います。ただ、我々産業界から見ていると、観測とか予測が非常に勉強にはなるんですけど、どういう方向へ向かっているかということですね。一言で言うと、科学的不確実性という言葉があるわけですが、この不確実さを順番に小さくしていこうというんですけど、「ほんとうに小さくなっているんですかと。ほんとうに小さくなるような心意気で観測とかそういうのをやっているんですか」というのをわかるようにしていただきたい。そのためにはやっぱり、研究のある意味での基本だと思うんですけど、特異点をきちっと見つけて、それの一般解をわかりやすく説明してもらうような、非常に言うはやすし、行うはがたしなんですけど、そのような視点で地球観測とか気候変動予測をやっていただいて、それが我々産業界がやる対策の重要性を優先順位づけるときのベースになるとありがたい。
 それともう1つは、先ほど文化的なインパクトという話も出ましたけど、先々週ですか、高村先生もおられましたが、AWGへ行ってまいりまして、今まで以上に、何かはやり言葉のように、スピルオーバーという、副作用というのが随分議論されたんですね。温暖化対策をやることによっていろんな意味の負のインパクトというのが出てくるということが、いろいろ皆さん心配し始めたわけですね。それは多分、文化的な話も、経済学的な話も、社会学的な話も、技術的な話もあると思うんですけれど、少なくとも、ビジネスとか、経済産業省とか、環境省が検討できないようなところのスピルオーバー。だからといって私は温暖化対策やるなと言っているわけじゃなくて、そういうのを避けながら温暖化対策をやっていくにはどうしたらいいかというのをそろそろ考えるころかなという感想を先々週その会議に出て持ちました。
 以上でございます。

【安岡主査】  どうもありがとうございます。
 じゃあ、住先生、最後に総括を。

【住委員】  東京大学では、サステイナビリティ学の創出ということでいろいろ具体的に問題を考えてきましたが、そうするとどうしても社会の問題が入ってきます。また、最後の目標は何かと考えると、やはり世界に住んでいる、将来の世界も含めて、すべての、できる限り多くの人が幸せに暮らせるようにすることとなります。温暖化を防ぐのも、いろんなことも、そのための手段なわけですね。そのために一つ、温暖化研究のマッピングというのをおこないました。どこでどういう研究がどうやられているか、どこに資金が投じられているかを解析したわけです。明らかにはっきりわかることは、社会科学が非常に関与していない。要するに、社会科学研究者は研究費が要らないからかもしれませんが、社会科学の人がほとんど入ってこない。そういうある意味では、やりやすいところに非常にお金がばらまかれている。これは世界でも同じですが、この調査から最適な研究費の配分に対して何か言えとするのは非常に難しくて、現在でも、例えば南極観測をやっている人は、日本の観測経費は少ないと文句言っているわけです。そこでは絶対値が決められないところはあるのですが、配分に資するような、総合的な物の取り組みが必要だろうというふうに思っています。
 ところが、現実に考えますと、やはり統合的なことをできるのは、東大の小宮山さんが「知の構造化」とかいろいろなことをやってきたのですが、結局、結論は、「それは人による」ということになります。要するに、学問を統合化できるのは、万人ができるわけではなく、また、何かそういう手法を考えたら、だれでもできるものではなくて、多分それは非常に才が必要なのということ、言い換えれば、天才が必要ということです。その天才を探せるような努力をするしかないというのが私の結論なのです。だから、逆に言うと、そういう天才を見つける努力は要るでしょうということです。チャンスをつくる必要はあるんだけれども、だれでも森羅万象を全部理解できるようなことは不可能だし、ツールを準備したからだれでもなれるというのも嘘だろうということになります。なりやすさとか、何かはあるかもしれないけど。そう考えると、チャンスをふやすことと同時に、反面、個別の学問のスキルを強化する必要があるということになります。今、我々は専門性と総合性のどう調和させるか?というジレンマがあるのですが、現在は、ともすればちゃらちゃらとした総合性に流れ過ぎる傾向があるのが懸念されます。現実の社会を支えるというと、頑固で頑迷固陋な腕のある職人かもしれないわけですね。いろんなことはわかってないけど、物をつくらせたら絶対安心できるというものがないと上部構造はできませんので、そういう点では基礎的なスキルを維持するような仕組みなんかが必要なのではないかと、僕は思います。
 その観点で考えますと、地球観測と地球科学、僕は特に予測なんかをよくやってきているのですが、科学を支えてきた日本の基盤的な職人芸と言われる部分がかなり弱まってきているのではないか、と思います。現在の大学なんかの業績評価での論文至上主義でやりますと、例えば、こつこつと基礎的な数値計算スキームをつくったり、モデルをつくったりする人が淘汰されていく傾向にあります。まず、大学ではなかなか生き残れない。論文の数だけ稼いだほうがいいというふうになっちゃうわけですよ。そうすると、そういうほんとうに偏屈だけど、例えば30年に一度ぐらいいい仕事をするかどうかは知らないけれども、そういう人材を飼っておけるようなスキームがどこかにないとだめなんですね。
 アメリカは、非常に競争社会のように思いますけど、軍だとか、NASAだとか、いろんなところは結構融通のきくお金がいっぱいあって、かなりの人材を飼っていけているんですね。例えば宇宙なんかでもそうですけど、センサーのキャリブレーションだけで一生食っているような人が何人もいるわけです。僕が最近非常に危惧するのは、世界の科学・技術のレベルが高度化しているときに、なかなか今の日本人だけでそういう科学・技術レヴェルに追いつけなくなっていくのではないかということです。どんどん物事が高度化していきますので、そういう点では非常に深い専門家というのも相当数用意していかないと難しいなということがあって、その辺の戦略というか、例えばプログラマーでもそうですけど、ほんとうに高速のプログラムするのは専門職ですから、いろんな機能の専門職を維持するという努力は必要で、その中に例えばいろんな学問をインテグレーションするような専門職もいるはずなのです。だから、そういう点では、そういうところを考えた人材育成をすることと、あとは長期の戦略プランですね。
 これは前から言っているのですけど、日本の温暖化対策で非常に欠けているのは、日本の国家ビジョンです。日本の国というのは21世紀、例えば2100年に日本の国はどうあるんですかということを決めないと、具体的な戦略は決まらないと思うんですね。だから、もし科学技術外交ということを言われるんでしたら、やはりその辺のところも非常に強化をする必要があります。そうすると、黒川先生じゃないけど、100年というのはわからないと言うべきなのかもしれません。国際政治の分野では100年というのはわからないと言うべきらしいのですが、今あることを延長したところで仕方がありませんので、新しい枠組みを考え入れることが非常に大事だと思います。
 それから、文化とか、そういう問題は非常に大事なことであると思うんですが、それも、例えば社会科学系の人は好きにやっていますし、あまり人のことを聞かないので、それもつき合いの中でぼちぼちとやっていくしかないだろう。
 最後に、テクノロジーを重視して将来を考えているのは日本だけみたいです。サステイナビリティ学で海外とつき合いますと、すべてのところで社会科学の問題だと言っているわけですね。そこでは技術はあまり重視しなくて、人間のあり方とか、人間哲学とか、そういうことばかり考えています。アメリカなんかでもそうだけど、みんな観念論、原理主義者をやっているわけ。だけど、実際は技術が物を変えるから、そこを注視していかないと、どんな観念論になってしまします。それでは問題を解決できなくなっちゃうわけ。だから、やっぱり科学技術を利用して社会を設計していかないと、普通の人は不幸になりますよということになります。日本はそういう点では、ある意味で職人の国ですから、その特徴を掲げながらやっていくことが非常に大事かなと思っております。

【安岡主査】  ありがとうございました。

【安井主査代理】  一言だけ。すみません、一番最初に発言させていただいたのに。
 今の住先生の発言にインスパイアされてなんですけど、先ほどの住さんの話で、融合型の研究のリーダーとか、そういうものはできないという話はそのとおりで、今のこの議論は、ここのどういうファンディングをするか。プロジェクトのファンディングだけじゃなくて、文科省全体のファンディングである例えば科研費の仕組みというのは、今、研究者は動かないほうが有利になる、しかも複合的に物を見ないほうが有利になる仕組みだと、私は理解しているわけです。実を言うとその辺まで絡むのではないか。ですから、ある意味で研究者が動くと有利になるような仕組みをつくらない限り、環境研究というのはだめなんじゃないかというようなことまで含むのではないかというような気がします。

【安岡主査】  最後の視点は多分、これからのお金の使い方というような議論で、今まで視点になかったポイントだと思います。
 それから、私、今までの中になかった1点だけ付け加えたいと思いますが、この地球環境科学、さらには、先ほどの議論から言うと、地球環境科学哲学まで入れたほうがいいのかもしれません、文化の話なんかを入れますと。そういう分野で人を育てて推進していかなきゃいけないわけですが、人を育成するというのは雇用とセットにしなければいけないので、この分野でいかに雇用を起こすかということが非常に重要で、これもやっぱりこの委員会で少し議論しなければいけないかなという気がしています。
 ということで、大変たくさんのご議論を、キーワードをいただきました。次回までに事務局の方が大変ご苦労されるんだろうなあというふうに思いますが、せっかくですから、2100年の環境を考える上で、ぜひ頭をみんなで絞り合って、いいものをつくりたいというふうに思います。
 それでは、この議題(3)については一応これで終了させていただきます。次に、議題(4)に移らせていただきます。議題(4)というのは、研究評価計画についてということで、これから我々は評価も行わなければいけないわけで、これは粛々と進めなきゃいけない部分ももちろんあるわけです。それについて、事務局のほうから、どういう評価を我々が行わなければいけないかということについて、ご説明をいただきたいと思います。
 よろしくお願いします。

【谷室長】  ありがとうございます。
 それでは、資料3をごらんいただきたいと思います。研究開発の評価につきましては、これまでにも取り組んできたところでございまして、大きなフレームワークにつきましては、例えば文部科学省における研究・開発の評価指針、きょうも参考資料でお配りさせていただいておりますけれども、こういったものが定められておりまして、これらに基づいて進めてきたところでございます。今般、研究計画・評価分科会も新しい体制になりましたところで、評価の進め方についてリバイスがされてございます。その進め方に基づきますと、毎年度、研究評価計画をつくることということが新しく定められておりまして、その規定に基づきまして、平成21年度につきまして研究評価計画を以下のような形で進めさせていただきたいということでお諮りするものでございます。
 評価のやり方、観点でありますとか、事前、中間、事後といったような、大きなフレームワークのところで大きな変更はございません。したがいまして、どういう課題を対象とするかということ、どのタイミングでやるかということ、それから具体的なやり方について、簡単にご紹介をさせていただきたいと思います。
 2ポツの評価対象課題のところに早速入らせていただきますが、まず22年度の新規予算要求課題でございます。これは、現在検討中でございますけれども、夏に向けて、概算要求に向けて、ご審議をいただくことになろうかと思っております。
 それから、中間評価でございますが、先ほど来名前が挙がっておりますけれども、21世紀気候変動予測革新プログラムにつきまして、これは19年度から実施をしておりますが、ちょうど折り返しということでございますので、中間評価をお願いしたい。これは、22年度、23年度の事業の展開ということを考えて、そこへ反映をさせていくということが必要でございますので、7月をめどにこれらの中間評価をいただきたいというふうに思っております。
 革新プログラムにつきましては、そこに大きくグルーピングをしておりますけれども、こういった大きな課題が5つ設定されておりますが、これらをまとめて一本で評価をお願いしたいというふうに思っております。したがいまして、プログラム統括を松野先生と西岡先生にお願いしておりますが、プレゼンテーションをしていただいて事業の内容をご紹介いただいて、これまでの成果について見ていただいて、評価をしていただくというようなことで運んでまいりたいというふうに思っております。
 それから、事後評価の課題でございますけれども、これは地球観測システム構築推進プランを対象に考えてございます。観測プランも、従来、実は非常に細かい課題ごとに評価をしていたというのが現状としてございますけれども、評価全体の効率的な実施ということを考えまして、少し大くくりの形で評価をお願いしたいというふうに思っております。これは21年度に終了する課題を対象にするということで、大きく分けて2つの、炭素循環のプロジェクト、それから水循環のプロジェクトがございますが、この2つをそれぞれまとめた形で評価をいただきたいというふうに思っております。こちらは事後評価ということで、最終年度でございます。一応年度内に評価をお願いしたいと思っておりまして、具体の時期は3月を考えてございます。
 なお、今般、21年度の評価の計画の中には含まれておりませんが、ただし施策として評価の対象となり得るものということにつきまして、2ポツの最後のところに書かせていただいております。データ統合・解析システム、それから観測プランのうちの対流圏の観測プロジェクトにつきましては、現在いずれも4年目に当たる課題ということでございますので、事後評価ということで、これは来年度ということになろうかと思っております。
 評価の方法につきましてでございますが、事前評価、中間評価、事後評価、それぞれ、基本的に従来進めてきたやり方と大きく変わってございません。例えば事前評価でございますと、先生方に事前に、必要性、有効性、効率性といった観点から評価のシートをおつくりいただきまして、それをまとめた形で事務局のほうで事前評価票というものをまとめて、これをご議論いただきたいというふうに思っております。評価の結果は研究計画・評価分科会のほうへ報告をするという形でございます。やり方としては、中間評価、事後評価、同じでございます。いずれも走っておる課題でございますので、実施者側から発表いただいて、それを踏まえて評価シートをつくり、それを評価票に落とし込んでいって、最終的にまとめていくというふうな形でございます。
 それぞれの評価のシートにつきましては、後ろに別添の様式としてつけさせていただいております。これは研究計画・評価分科会のほうで決められました評価票に沿った形でございます。また、評価の観点、論点につきましても、同様でございます。統一的にやるということで進めてきておりますので、これでお願いをしたいというふうに思っております。
 雑駁でございますが、研究評価計画については、以上でございます。

【安岡主査】  どうもありがとうございます。継続してきた課題について、中間もしくは事後等の評価をしなければいけません。それから、平成22年度に始まるものについては事前評価を行うということがこの委員会の責務になっておりますので、これから日程調整等を行いますが、皆さん方にはぜひ評価をお願いしたいというふうに思います。
 この研究評価計画の(案)というのは、きょう(案)をとるということでよろしいんですね。もしこの資料3について、ご意見、ご質問ございましたら、どうぞ。
 どうぞ。

【持田委員】  計画自体、全体について特にコメントはないんですけれども、先ほど中間評価のときに、21世紀気候変動予測革新プログラムについても全体だし、事後評価も大きなくくりでとおっしゃいましたね。だけど、これは相当大きなプログラムで、かなりいろんなパーツもあるわけですね。全体としてこのプログラムが目指したものを達成しているかどうかという議論をすることは可能だと思うんですけれども、そのときにも個々のものを見ないとできないというところがありますね。そこの関係はどういうふうに考えておられるんですかね。

【谷室長】  すみません、ちょっと説明を省略した部分がございました。基本的に事業については、個々の課題も含めてきちんとご説明をさせていただいて、ご議論をいただくということでございます。ただ、最終的に評価票という形で取りまとめるものにつきましては一本化をしたいということでございまして、まとめて評価というのは、別に手を抜いてご説明するというつもりは全くございません。これはきちんと、中身、個々の課題についてもご説明させていただいて、個々の課題についても、取り組みが十分かどうかということについては見ていただきたいというふうに思っております。

【持田委員】  ありがとうございます。

【安岡主査】  ほかによろしいでしょうか。どうぞ。

【井上委員】  聞き落としたのかもしれないんですけど、事後評価の時期というのは、プロジェクトが3月に全部終わって、その後やるんですか。それとも、もう少し前にやるのか。

【谷室長】  今回考えておりますのは、年度内を考えております。3月、終了でほぼ全体の成果が見えたタイミングで、ただし年度をまたがないということで考えております。これは、継続性、次にどう発展させていくかというようなこともございますし、あと、実際に研究が終わって、これもちょっと語弊があるんですが、関係が切れてしまった状態で評価というのも、やや賞味期限が切れた話になってしまうということもございまして、基本的には、完全に終わってしまう前に、事業終了の少し前に行うということで考えております。

【井上委員】  むしろ少し前にやって、どういう着手をしてもらうかということも議論したほうがいいかもしれないですね。また、あまり間をあけると、何をやっているかわからなくなってしまう。事後評価の反映の仕方というのは、非常に難しいと思うんですね。単に評価をすればいいのか、あるいは何かに生かすのかということで、少しやり方が違うと思うんです。

【安岡主査】  井上委員のご意見というのは、例えば最終年度の10月とか9月ぐらいに一たん発表をいただいて、最後にこういうふうにまとめたらどうでしょうかという意見を報告者に反映してもらう。

【井上委員】  こういうやり方はそのプロジェクトの完結の仕方としては有効なんですね。逆に言うと、全部終わった後の評価はできていないということになってしまうので、一長一短があるんですよ。ちょっと別件でJICAのほうのをやったら、ODAの評価なんかはかなり前にやっていますね。それで、どういうふうに着地してもらうかという議論をしているんです。だから、そういうやり方もあるかなと思った。

【小池(俊)委員】  実は3月にODAの終了時評価というのを受けまして、プロジェクト自身は6月に終わるんですね。3カ月前にやるんです。ただし、終了時評価の後に事後評価というのが2年ぐらい先にあるんですね。ですから、そういう政策の評価というのは、それが価値を生み出してきたところまで含めてやっているわけです。ですから、今、井上委員がおっしゃったように、JICA流に言うならば、終了時評価というのは、私も最初はなかなかなじめなかったんですが、まだもうちょっとやる要素があるのにというところで終了時評価されたんですが、そこでまとめていただくと、最後どういうふうにまとめてくださいというようなところが明確になって、確かに非常にプラスになるところがあるなということを経験しました。ですから、その場合には、逆に言うと事後評価が別に要るということになってしまいます。

【安岡主査】  ただ、こういう方向でまとめたほうがいいというのが、評価委員会のミッションなのか、プログラムディレクターのミッションなのか、ここの切り分けもちょっと難しいところがありますね。ちょっと考えないといけないかなという気がします。評価委員会としてのミッションというのはある程度明確にしておかなきゃいけませんので、そこについては議論が要るのではないかと。
 これはどうでしょう。ここの委員会が担当しなければいけないプロジェクト以外にもたくさんプロジェクトはあるわけですけれども、ほかのところでも大体同じようなスケジュールですか。

【谷室長】  そうですね。今、事務的に私が承知している範囲では、基本的には先ほどご説明したようなフェーズでやらせていただいているというふうに認識しております。ただ、評価は非常に多様なといいますか、評価者もいろいろな形で、またプロジェクトの評価もプロジェクトの中でなされている部分もございますし、地球環境委員会のほうでご評価をいただくときに、どのタイミングでやるのがベストかということについて、特に事後評価、この21年度のものは、今、3月ということを申し上げましたけれども、時期については、一旦ちょっと考えさせていただきます。ただ、これも評価指針に書かれているんですが、先ほど小池先生からもあった、終わった後に、追跡評価という言い方だったと思いますが、追跡評価というのを物によってはやるべしということが書かれておりまして、評価は重要でありますが、他方で効率的にやるということも考えなきゃいかんということだと思いますので、ちょっとそういった目から、21年度の観測プランの評価についてのタイミング、これは事務局のほうで考えさせていただいて、改めてお諮りさせていただきたい。

【住委員】  この委員会は、プロジェクトの採択に関与したんだよね。

【安岡主査】  しました。

【住委員】  したんでしょう。だから、そう考えると、事後評価というのは自分の自己反省の場ととらえるべきなんだよね。プロジェクトを選んでやらせてみて、途中でごちゃごちゃ文句言っているわけだから、執行に関してはここの委員会は責任を持っているわけですね。だから、終わってしまって、あそこに金をつけてほんとうによかったのかなという反省なんじゃないの。

【安岡主査】  ただ、スタートしたときの事前評価というのはやりますが、スタートの決定はここではないですよね。

【小池(俊)委員】  でも、セレクションを。

【安岡主査】  セレクションはやりましたけど。そうすると、そこがまた評価をするという自己撞着が起こる可能性はあるんですよね、ほんとうは。

【住委員】  自己反省の場なの。自己評価をすれば、完結するじゃない。自分が選んでやってもらったやつが終わって、ちゃんと動いたかどうかと自分たちが反省する。

【安岡主査】  これはちょっと事務的に調べていただきと思いますが、何年か前に決まった、あれは何とか大綱だったと思いますが、評価の仕方を決めたところがあって、そこでPD・POを置くというのもあって、PDのミッションの中にどういうふうに進めるかという、今回は川辺先生がやられているわけですけど、そのミッションがあって、そことのミッションの切り分けというのはやっぱりあるんだろうと思いますね。ですから、ちょっとそこを調べていただけますか。

【谷室長】  わかりました。今の話を含めて、ちょっと整理をさせていただきます。いずれにしても事後評価をしないということはないので、それはタイミングと具体的にどこまでやるかというようなお話かとは思いますが、いずれにしても事後評価は必要なので、それはぜひお願いしたいと思っております。

【安岡主査】  これはきょう(案)をとらなくてもよろしいですか。あっ、これは時期は言ってないので、(案)はとってもよろしいんですね。時期についてということですね。
 どうぞ。

【笹野委員】  もし(案)をとるのであれば、聞き漏らしたのかもしれませんが、事前評価に関しては、提案者からの発表を受けるというプロセスはなくて、紙だけでやるということでしょうか。

【谷室長】  提案者というか、事務局のほうでこういう施策を考えておりますということをご紹介させていただく。実施者はまだ決まっておりませんので、事務局のほうからこういう施策を考えておりますということでご評価をいただくということを考えております。

【笹野委員】  そうしますと、先ほどの話のセレクションとかの意味での事前評価ではなくて、課題というよりも、施策の評価。

【谷室長】  そうです。

【笹野委員】  わかりました。

【安岡主査】  ほかによろしいでしょうか。ちょっとここは整理させていただきますが、この研究評価計画そのものにつきましては、特に時期等は明記されておりませんし、こういう方向でいきますということですので、多分、きょうここで(案)をとっていただいても、先ほどの点については問題ないだろうと思います。これは(案)をとらせていただいてよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【安岡主査】  ありがとうございます。それでは、きょうここで(案)をとらせていただきます。具体的な実行手順については、事務局のほうでご検討いただくということにしたいと思います。
 それでは、きょうの議題は4件終わりました。あと、資料が残っておりまして、その他のところでちょっとご説明をいただくということになると思いますが、これは最後のその他の議題になります。これは資料の何でしたですかね。

【谷室長】  参考資料3-3でございます。

【安岡主査】  3-3ですね。3-3について、ご説明いただければと思います。

【谷室長】  ごく簡単にご紹介をさせていただきます。昨年8月の環境委員会で国立大学における環境科学技術分野の取り組みということで昨年3月に実施をした大学からのヒアリングの結果をこの形でご紹介させていただきまして、そのときにこれは今後どういうふうにして活用していくのかというご指摘がございました。事務局のほうで何かしら分析をしてまたご説明をさせていただきたいということで、宿題になっておったものでございます。これは、左側に各大学からご紹介いただいた研究課題を、長いタイトルのものもございますので、取りまとめたものでございます。それをずらっと並べまして、まず、それがどういう分野に相当するかということで、環境の6分野、特に気候変動については中身を科学的理解、適応、緩和ということで少し分けておりますけれども、それぞれに該当するところについては、1という形ですが、チェックを入れているということでございます。
 さらに、持田委員からお話ございましたが、環境とエネルギーというのは切っても切り離せないということで、エネルギーとも相当関連するものがございますので、エネルギーという形で見るとどうなるかということで、再生可能エネルギー、あるいは、水素・燃料電池、化石燃料、供給システム、省エネルギーという形で該当するものについてチェックを入れている。
 さらに、ほかの分野との関連ということもあり得るだろうということで、材料であるとか、ライフ、情報、社会科学という観点での切り口でどうかというのを見たということでございます。
 さらには、国際的な観点で言うとどうか、特にアジア、アフリカで言うとどうかというようなことで整理をしております。
 全部で381課題ございます。一番最後のページを見ていただきますと、例えば分野別推進戦略で言うとバイオマスが一番多いとか、エネルギー分野で言うと再生可能エネルギーについての課題が多いというようなことが見て取れるということではございます。ただこれは、大学のほうには、研究組織、組織的な取り組みがどうか、それからもう1つは、特色のある研究開発課題、環境研究への取り組みというのをご紹介してくださいということを申し上げて、各大学によって受け取られ方が少し違っておりまして、特色のあるというところでごく限られたものだけご紹介いただいているところと、非常に幅広くご紹介いただいているところと、ちょっと差がございます。例えば東京大学なんかは非常に広くて、一番左で言うと19番に相当するわけですが、住先生のところのサステイナビリティ学連携機構のお話、ほかは多すぎて紹介し切れないよということだと思うんですが、そういうこともあってこれは必ずしも全体像ではなくて、そういったちょっと限定的なものでありますので、全体の傾向をこれでどうかということについては若干無理があるのかなということは思いますが、前回ご紹介させていただきましたものを粗々に分析したものということで見ていただければというふうに思っております。
 前回の宿題ということで認識をしておりましたので、こういう形でかえさせていただいたということでございます。

【安岡主査】  ありがとうございます。確かに、私も大学にいたからわかりますけど、大学はどこにアンケートが行ったかによって全然対応が違ったりしますので、東京大学と、鹿児島大学は全部で何件あるんですかね、この数の差がその分野でやっているかどうかの差だということでは決してないと思いますが、一つの指標としてご活用いただければというふうに思います。

【西山補佐】  国立大学法人を対象にしましたので、研究協力・支援を担当している事務局の課長レベルのほうにまず連絡をして、協力を要請したということでございます。それで、紹介をしていただいたところに行ったかと思います。

【安岡主査】  それでは、これはあくまでも情報提供ということでいただきました。
 一応、議題は全部終了いたしましたが、委員の皆様方からもし何か、今後ということでございましたら。よろしいでしょうか。
 次回以降につきましては?

【岡本補佐】  第2回目の技術委員会については、現在日程調整中でございまして、今のところ5月18日から6月12日の間で調整させていただいております。本日、委員の皆様方の机の上に次回委員会の日程調整表を配付しましたが、まだご連絡をいただいていない委員、または、既に連絡したもののご予定の変更が生じた委員におかれましては、配付しました日程調整表にお名前とご予定をご記入いただいて、後日で結構ですので当方までファックス等で提出してくださるよう、お願いいたします。
 3回目の委員会は7月、4回目は8月を予定しておりますが、詳しいことについては追ってご連絡いたします。
 以上でございます。

【安岡主査】  どうもありがとうございます。
 それでは、これできょうの委員会を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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