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資料1−5

海洋地球観測探査システムの推進の在り方について(案)

平成18年6月○日
地球観測に係る国家基幹技術検討作業部会

1 評価の目的と実施方法
1. 目的
   平成18年3月に閣議決定された第3期科学技術基本計画においては、「国家基幹技術」を具現化するための研究開発の実施に当たり、総合科学技術会議があらかじめ厳正な評価等を実施することとされている。
 本評価は、「国家基幹技術」の一つとして選定された海洋地球観測探査システムについて、総合科学技術会議の評価に先立ち、効果的かつ効率的なシステムの構築・運用を図る観点から評価を行うものである。

2. 評価対象及びその概要
 
(1) 構成技術
 
次世代海洋探査技術として研究開発を行うべき技術
 
深海底ライザー掘削技術
次世代型深海探査技術
衛星観測監視システム
 
陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS
温室効果ガス観測技術衛星(GOSAT
全球降水観測/二周波降水レーダ(GPM/DPR)
地球環境変動観測ミッション(GCOM)衛星
準天頂衛星
データ統合・解析システム

(2) 開発期間
  開始・終了年度:平成18年度〜平成27年度
※各個別プロジェクトの開始は、以下のとおり。
深海底ライザー掘削技術については、平成18年度〜
次世代型深海探査技術(次世代型巡航探査機技術)については、平成19年度〜
次世代型深海探査技術(大深度高機能無人探査機技術)については、平成19年度〜
陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)については、平成8年度〜
温室効果ガス観測技術衛星(GOSAT)については、平成14年度〜
全球降水観測/二周波降水レーダ(GPM/DPR)については、平成14年度〜
地球環境変動観測ミッション(GCOM)衛星については、平成18年度以降に開発研究段階へフェーズアップする予定
準天頂衛星については、平成15年度〜
データ統合・解析システムについては、平成18年度〜

(3) 予算
  総事業費:2,058億円(第3期科学技術基本計画期間中)
※現時点での試算であり、今後変更もあり得る。

(4) 目標
   国家基幹技術「海洋地球観測探査システム」として必要とされる観測データ及びその観測に必要となる技術は以下のとおり。

1 地球環境変動の把握・解明
   地球環境変動の把握・解明には、大気中・海洋中のCO2(二酸化炭素)濃度の把握による炭素循環メカニズムの解明、自然および人為的な影響による水循環変動の実態把握とプロセスの理解、生態系の把握と変動要因の解明および機能の評価、地殻内の地層試料による現在までの気候変動履歴の把握による変動周期の解明等が必要であり、CO2(二酸化炭素)濃度、植生分布、海面水温、降水分布、氷河分布など、陸域・海域における各種観測データの充実が不可欠である。
<現状>
炭素循環メカニズム解明のための大気中・海洋中CO2(二酸化炭素)濃度データが不足
高精度の古気候復元のための海底下深部堆積物サンプルが欠如
地球温暖化に起因する地球表層環境変動や陸域・海域の生態系変動等を把握するためのモニタリングデータが不足
<必要とされるデータ及び観測に必要となる技術>
海水中のCO2(二酸化炭素)濃度、塩分濃度、溶存酸素量、硫化水素など   次世代型巡航探査機技術
海中・海底・海底下の生物試料、岩石試料など 大深度高機能無人探査機技術
地殻内微生物、地質構造、古環境データなど 深海底ライザー掘削技術
陸域の植生分布、氷河分布など 陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS
大気中のCO2(二酸化炭素)・CH4(メタン)濃度など 温室効果ガス観測技術衛星(GOSAT
降水分布など 全球降水観測/二周波降水レーダ(GPM/DPR)
海面水温、海氷分布、雲、エアロゾルなど 地球環境変動観測ミッション(GCOM)衛星

2 大規模自然災害の防災・減災
   大規模自然災害の防災・減災には、大陸プレート境界部分における地殻データや地殻の構造の把握、海底における常時地震モニタリング、発災直後の被災状況の把握や位置情報の把握等が不可欠である。
<現状>
海底での観測データ、精密地殻構造データが不足
海底火山付近などの極限環境下における観測が不可能
地殻変動のリアルタイムでの把握が困難
発災直後の被災地状況の把握が困難
被災地における正確な位置情報の把握が困難
<必要とされるデータ及び観測に必要となる技術>
海底地形・地質構造データなど   次世代型巡航探査機技術
深海底ライザー掘削技術
海底岩石試料、地質構造データなど 大深度高機能無人探査機技術
深海底ライザー掘削技術
地震計・歪計・津波計の設置 大深度高機能無人探査機技術
発災直後の被災地観測データなど 陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS
被災地における位置情報など 準天頂衛星

3 資源・安全保障の確保・確立
   資源・安全保障の確保・確立に当たっては、陸域における資源分布の把握、海域における地殻構造の詳細な探査に加え、特に資源採取が困難な海底における採取技術を確保することが不可欠である。
<現状>
海域における地殻構造探査が船上から行われており、精度が低い
海底火山付近などの極限環境下における観測が不可能
海底におけるサンプリング能力が脆弱
地殻の表層域までしか地層試料が採取できない
<必要とされるデータ及び観測に必要となる技術>
海底地形、海底電磁気のデータなど   次世代型巡航探査機技術
海中・海底・海底下の生物試料、岩石試料など 大深度高機能無人探査機技術
地殻内微生物、地質構造データなど 深海底ライザー掘削技術
海底下の資源データの採取 大深度高機能無人探査機技術

4 地球観測データの統合化による意思決定に資する情報の提供
   衛星観測、海洋観測、陸上観測など、様々な地球観測データを社会的・科学的に有用な情報に変換するためには、それぞれ独立的に存在するこれらのデータを統合化する必要がある。
<現状>
地球観測データの体系的な収集、合理的な管理がなされていない
地球観測データが科学的、社会的に有用な情報へと十分変換されていない
不均質で大容量かつ多様な地球観測データの包括的な取り扱いが困難
<必要とされるデータ及び観測に必要となる技術>
データ統合・情報融合コアシステム
データの相互流通性の実現支援システム

3. 評価項目
   海洋地球観測探査システムは、第3期科学技術基本計画に基づき策定された分野別推進戦略において、国家基幹技術として「基本計画期間中に集中的な投資が必要」な技術として精選されたものであり、今回の評価に当たっては、システム全体としての一貫した推進体制・評価体制等のマネージメントの有効性・効率性を主たる観点とする。
 なお、総合科学技術会議においても、国家基幹技術の評価に当たっては、上記と同様の観点による評価を行うこととしている。
 以上の状況を踏まえ、今回の評価の具体的な観点は、以下のとおりとする。

(1) 計画の妥当性
 
1 研究開発の目標・期間・投入金額の妥当性
2 評価・計画見直し等の実施時期・判断基準の妥当性

(2) 体制の妥当性
 
1 計画実施体制の妥当性
2 マネージメント体制の妥当性

(3) 運営の妥当性

 なお、海洋地球観測システムとして一元的な体制を整え、実施戦略を取りまとめている時期から作業部会としての評価を行い始めたことから、上記の評価の観点から、積極的に推進本部に対し、実施戦略に対し意見を述べたところである。

2 評価結論
1. 総合評価
   「海洋地球観測探査システム」については、文部科学省内に担当課室及び研究開発実施主体で構成された海洋地球観測探査システム推進本部が設置され、この推進本部がシステム全体の司令塔の役割を担うことにより、責任の所在の明確化及び一貫した研究開発の推進体制が構築されていると認められる。また、研究開発を出口指向型に確実に方向付けるため、推進本部の構成員にデータユーザーを追加するとともに、フォーラムの定期的な開催を予定していることは評価できる。
 推進本部が策定した実施戦略は、システム全体の共通的な研究開発計画であり、その内容においては、各研究開発技術の開発計画が明確化され、共有化が図られている。なお、実施戦略の策定に当たっては、事前に宇宙開発委員会、科学技術・学術審議会海洋開発分科会次世代海洋探査技術委員会及び同審議会研究計画・評価分科会地球環境科学技術委員会において、必要となる技術やその妥当性等について議論されている。
 本システムを構成する技術の開発に当たっては、他の観測手段・プラットフォームとの役割分担に十分留意しつつ、コスト管理を十分に行うとともに、不断の見直し・精査により経費の適正化が図られることを期待する。
 今後、定期的に実施戦略を見直すとともに、研究開発の進捗状況等に応じ、中間評価、事後評価を適切に実施し、当初の目的が効果的・効率的に達成できることを期待する。

(1) 計画の妥当性
   海洋地球観測探査システムを構成する各研究開発技術の目標については、分野別推進戦略において明確化されているほか、海洋地球観測探査システム推進本部(以下「推進本部」)において策定した「国家基幹技術『海洋地球観測探査システム』実施戦略」(以下「実施戦略」)においても、各研究開発技術の開発計画が明確化され、共有化が図られている。なお、実施戦略の策定に当たっては、宇宙開発委員会、科学技術・学術審議会海洋開発分科会次世代海洋探査技術委員会及び地球環境科学技術委員会において、必要となる技術やその妥当性等について事前に議論が行われた。
 衛星、海洋探査機をはじめとする様々な観測プラットフォームにより得られる観測データは、データ統合・解析システムにより、データユーザーのニーズを踏まえてデータを統合・管理・提供されることとされており、今後、出口指向型のプロジェクトの推進が図られることを期待する。
 研究期間については、当面の5年間で、衛星4機の打上げ・運用を図るとともに、衛星3機の開発を行い、また、平成19年秋から本格運用を開始する地球深部探査船「ちきゅう」の深海底ライザー掘削を確立するとともに、次世代型深海探査技術の要素技術の確立を図る一方、様々な観測プラットフォームにより得られた観測データの統合・解析・提供を行うシステムの整備を行うこととしている。これは、全球地球観測システム(GEOSS)の10年実施計画を受け、地球規模の諸現象について、正確かつ広範な規模で観測情報を取得し、流通させるためのシステムを今後10年間で構築する必要があること等を踏まえると、妥当なものであると考える。
 海洋地球観測探査システムの実現には、相当の費用が必要とされることが想定されるが、今後、これらの技術の開発に当たり、他の観測手段・プラットフォームとの役割分担に十分留意しつつ技術開発を行うとともに、また、コスト管理を十分に行うとともに、不断の見直し・精査により、総開発費及び運用段階における経費の適正化が図られることを期待する。
 今後、実施戦略については、毎年度、定期的な見直しも実施するとともに、研究開発の進捗等に応じ、上記の委員会・審議会における検討を踏まえつつ推進本部において検討を行い、適切な時期に見直しが行われることが必要である。また、「国の研究開発評価に関する大綱的指針」に基づき、プロジェクト開始後3年を目処に、これらの委員会・審議会において中間評価が行われるとともに、事後評価が適切に実施されることが必要である。
 海洋地球観測探査システムのマネージメントについては、今回、地球観測に係る国家基幹技術検討作業部会において研究開発開始段階の事前評価を実施しているが、定期的にフォローアップを実施する必要があると考える。

(2) 体制の妥当性
   海洋地球観測探査システム全体の司令塔として、文部科学省内に、文部科学省内の関係課室長、研究開発実施主体の理事及びグループリーダーにより構成される推進本部が設置され、責任の所在を明確化するとともに、一貫した研究開発の推進を図る体制が構築されている。今後、観測データを利用する者からのニーズを踏まえた研究開発を行うため、推進本部の構成員にデータユーザーを追加することとしており、その早期実現が望まれる。
 また、既に各種データを保有する者、今後観測データを取得する者、これらのデータの統合機能を担う者及びデータのユーザーが一同に会し、意見交換を行うフォーラムを定期的に開催することとしており、これにより出口指向型の研究開発が一層促進されることが期待される。
 研究開発の実施に当たっては、以下のとおり、各研究実施機関において、実施戦略に基づき研究開発を実施する体制を構築していると認められる。
 まず、衛星観測監視システムの研究開発主体である宇宙航空研究開発機構(JAXA(ジャクサ))においては、理事長の直属機関として設置されている宇宙利用推進本部を中心とし、その責任体制を明確化するとともに、システムズエンジニアリング組織を新設し、プロジェクトを組織的に支援する体制を構築している。また、宇宙開発における最重要事項である信頼性の確保については、JAXA(ジャクサ)内に信頼性改革本部を設置して、製造企業と協働して取り組む体制を構築し、体制の整備を図ってきたところである。
次に、次世代海洋探査技術の研究開発主体である海洋研究開発機構(JAMSTEC)においては、理事長の直属機関である次世代海洋探査技術開発推進会議を設置した。本推進会議は、深海底ライザー掘削技術開発グループ、次世代型巡航探査機技術開発グループ、大深度高機能無人探査機技術開発グループ及びデータ活用調査・推進グループにより構成される予定でおり、一貫的な研究開発体制を構築するとともに、責任体制を明確化するものである。今後、JAMSTECにおいて、利用者ニーズや海洋探査全体の中での役割等について議論するため、外部有識者を交えた体制を整備することが望まれる。
 データ統合・解析システムは、まず地球観測分野において、東京大学、JAMSTEC、JAXA(ジャクサ)の3機関の連携により今後5年間で基本的アーキテクチャの開発を含めたプロトタイプの構築を行うこととしている。これらの機関間では、既に本システムの技術的課題等に関して緊密に連絡調整を実施しているほか、今後、これら3機関を中心として、データを保有し、或いは利用する他の関係機関と一層の連携協力を図るべく体制を構築することとしている。今後、災害監視分野、資源探査分野においても、データの利用者のニーズを的確に把握しつつ、実施体制に求められる要件の検討、実施体制の具体化が早急に行われることを期待する。

(3) 運営の妥当性
   これまでは宇宙、海洋など各分野の研究開発が別々に行われてきたが、海洋地球観測探査システムは分野・機関横断的に研究開発を実施するものである。
 実施戦略は、策定時点の状況に基づき策定されたものであるが、今後、研究開発の進捗状況を踏まえつつ各委員会・審議会において検討が行われることとされている。また、このほか、各委員会・審議会において行われる個々のプロジェクトの中間評価などの機会を通じて、推進本部が実施戦略を適時に見直すとともに、少なくとも毎年度1回の見直しを行うこととしている。このように、推進本部は、実施戦略を見直し、全体の研究開発計画を調整し、重点化を行うなど、これまで以上に主導的な役割を担うこととしている。なお、実施戦略見直しに当たっては、各委員会・審議会における専門的検討を踏まえつつ実施されることが望ましい。
 一方、今回、地球観測に係る国家基幹技術検討作業部会において海洋地球観測探査システムのマネージメントに対する評価を行ったところであるが、今後も、定期的(毎年度1回)にフォローアップを行うことが望ましい。

2. 指摘事項
  <各委員からの個別の指摘事項を整理>
海洋地球観測探査システムは、観測プラットフォームと、データ統合・解析システムが相互協調的に整備されることが必要である。とりわけ観測プラットフォーム開発要素の多い<災害監視分野>、<資源探査分野>においては、まずは、観測プラットフォームの整備が着実に行われ、データ統合解析システムで使用されるデータ収集が、可能な限り早期に実現されるよう、努力されることを期待する。
海洋地球観測探査システムに係る研究開発の推進に当たり必要とされる経費が、着実に確保されることを期待する。

別添資料案
これまでの審議状況
実施戦略(概要)
宇宙開発委員会の見解(衛星観測監視システム)
次世代海洋探査技術委員会研究開発計画
地球観測に係る国家基幹技術検討作業部会設置紙
地球観測に係る国家基幹技術検討作業部会構成員


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