原子力分野の研究開発に関する委員会 核融合研究作業部会 タスクフォース(第2回) 議事録

1.日時

平成20年6月9日(月曜日) 15時~17時

2.場所

文部科学省 13F 2会議室

3.議題

  1. 核融合研究作業部会タスクフォースについて
  2. ITER(イーター)計画・幅広いアプローチの現状について
  3. ITER(イーター)設計レビューについて
  4. その他

4.出席者

委員

 高村座長、平山座長代理、家委員、石塚委員、小川委員、草間委員、関委員、高瀬委員、田邉委員、山崎委員

文部科学省

 松尾研究開発戦略官、山本核融合科学専門官、三木専門官、有林課長補佐

オブザーバー

(科学官、学術調査官)
 吉田科学官、山田学術調査官

5.議事録

(1)核融合研究作業部会タスクフォースについて

 事務局より、資料1-1、1-2、1-3に基づき、タスクフォースの設置の経緯及び審議予定について説明があった。
 主な審議内容は以下のとおり。

【家委員】
 日本のコメントをSTACに出すということですが、ここと同じようなメカニズムを7極全部が持っているわけなのでしょうか。

【松尾研究開発戦略官】
 おそらく、国内評価の体制については各国によって違うと思います。国によっては、国内のレビューをかけないで、STACのメンバーがそれぞれ意見を言っているケースもあるかもしれません。ただ、日本の場合、ITER(イーター)は原子力委員会で決めていただいて、こういう仕様にするとか、あるいは、建設後こういった研究ができるようなとか、しっかりと最初に決めましたので、それにかなっているのかどうか。あるいは、こういった研究ができるような仕様にチェンジするとすれば、それが例えば原型炉につながるのかどうかなど、そういったレビューを国内でやって、国内の意見をまとめて、それを例えば科学技術者の集まりであるSTACであるとか、あるいは最終的にデザインが決まるのが理事会での承認になりますので、理事会に上がるまでの委員会で物申していくということをしていくということで、こういう評価の体制をつくってございます。基本的には原子力委員会で決めていただいた大きなものは変えないわけですが、それに至るいろいろな仕様がやはりモデルによって変わっていきますので、それが本当にいいのかどうか。あるいはマネージメントとしていいのかどうかということを物申していくということをレビューしていこうということでございます。

【家委員】
 例えば学術会議は、こういう絵の中ではどういう位置づけにあるのでしょうか。それから、私は天文なのですが、天文はわりと個人研究者の集団が望遠鏡をつくりたいとか、衛星を上げたいとかというので、研究者のコミュニティの会というものがあるのですが、この核融合エネルギーフォーラムというものは、そういう理解でいいのか。または研究者レベルでは別にあるのか。その辺をちょっと教えていただけないでしょうか。

【小川委員】
 核融合コミュニティの活動に関しては後で私のほうで説明させていただきます。

【松尾研究開発戦略官】
 特に今、学術会議のほうにお願いを出しているということはありません。おそらく核融合のコミュニティといいますか、多くはこの核融合エネルギーフォーラムの中に入っておられるのではないかと思っておりまして、そこで意見が集約できれば、それで日本としての意見ということにさせていただきたいと思っている次第なのですが。

【吉田科学官】
 少し正確を期しますと、核融合エネルギーフォーラムというものは、基本的にはトカマクという方式の核融合研究を中心にしているグループでして、またそこにいろいろなクラスターがあります。核融合全般、さらに学術的な部分に関しては学会があります。それからもう一つ、ネットワークという組織もありまして、縦横にいろいろな研究者のグルーピングというか、情報交換のパスがあります。核融合エネルギーフォーラムというものは、その中で特にトカマク型の核融合エネルギー開発にかかわるものという位置づけになっていると思います。

【高瀬委員】
 資料1-3のいろいろな種類の矢印があるのですが、特に右側の文科省から作業部会のほうに来る赤い矢印、それから原子力委員会に行く赤い矢印、返ってくる点々ですね。矢印の種類で何か意味があるのでしょうか。

【松尾研究開発戦略官】
 意味はないです。助言・報告を受けるということで、きちんとしたリポートが核融合エネルギーフォーラムから出てきましたら、文部科学省から作業部会、原子力委員会に行くと。それを受けた形で助言を受けるということなので、違うものになっているということだけでありまして、時々受けるとか、常に受けるとかという意味はないと思いますので。

【草間委員】
 このタスクフォースのミッションの最初に、核融合エネルギーフォーラムが行うITER(イーター)設計レビューの評価を行うとあります。先ほどのご説明では、技術的なことに関しては核融合エネルギーフォーラムでということだったので、技術的には私たちは行わなくてもいいのかなと安心して、この会に参加させていただいいているのですが、こちらに、最初のミッションに、タスクフォースが行うものとしてありまして、何か違う印象を受けるのですが。

【松尾研究開発戦略官】
 基本的に屋上屋を重ねることはないと思いますので、技術的な評価は核融合エネルギーフォーラムのITER(イーター)・BA技術推進委員会で行っていただいて、例えばマネージメントの関係でありますとか、そういったものも加味した形でお願いしたいと思っております。実際、設計ということになると、技術的な観点ばかりではなくて、どう外部とのマネージメントをしていくかとか、内部管理をしていくかなどありますので、それで例えば、ここの委員に入っていただいた先生方にはビッグプロジェクトの管理運営といいますか、他の分野との関係であるとか、中でのマネージメントのあり方であるとか、そういったものも含めて、設計というものを見ていただいて評価をしていただきたいという視点でございます。

(2)ITER(イーター)計画・幅広いアプローチの現状について

 1.事務局より、資料2-1-1、2-1-2、2-1-3に基づき、ITER(イーター)計画・幅広いアプローチの現状について説明があった。
 主な審議内容は以下のとおり。

【家委員】
 BAに第三国が加盟する場合は、その活動拠点は日本の六ヶ所村とか、那珂になるのでしょうか。

【松尾研究開発戦略官】
 どういう参加の形態かによりますが、通常、研究者が来てやる場合には六ヶ所村か那珂を拠点にしてやってもらうということだと思います。

【家委員】
 何か別の国に、またそういうものをつくるということではないわけですね。

【松尾研究開発戦略官】
 はい。それは今のところ考えておりません。基本的にブローダー・アプローチは、つくられた経緯上、ITER(イーター)を日本の六ヶ所村にするか、カダラッシュにするかということで、カダラッシュに決まったがために、それを補完するためのプロジェクトとして日本に設置されていますので、その基本原則からすると、日本でやっていただくというのが基本的なコンセプトだと思います。またいろいろ違うシチュエーションでやるといった場合には、また一から議論をするということになるのではないかと思います。

【高村座長】
 今の参加について、ITER(イーター)参加国にオープンになっているということですが、現状でアメリカなどは興味を持っているというのは聞いていますが、何かございますでしょうか。

【松尾研究開発戦略官】
 私どもは今、ITER(イーター)加盟極とはバイの協力もいろいろやらせていただいておりまして、アメリカについてはエネルギー協定のもとでやってきまして、現在エネルギー協定が失効していますが、そのもとでのプロジェクトがあります。あとはヨーロッパ、韓国、それから中国と取り決めをバイで結んでいますが、今、具体的にはアメリカ、それから韓国も関心を寄せていると。あと、おそらく中国も関心を示しているというようなことを聞いてございますので、また何らかの正式なアプローチがあるのだと思います。

【高瀬委員】
 資料2-1-3の2ページ目のサテライト・トカマク計画というところに、12月に統合設計の報告書を運営委員会に出すわけですね。その2つ目のところに、「統合設計のための統合組織体制を構築」とありますが、これは日本とEUと合同のチームという意味でしょうか。

【松尾研究開発戦略官】
 そうです。

【三木専門官】
 ホームチームとプロジェクトチームが一緒になったというものです。ホームチームですが、日欧で合意しているのは日本から30名、欧州から12名の専門家を出し、そしてプロジェクトチームのほうからも、当然、プロジェクトリーダーも入るのですが、人が入ってきて、話し合おうというものです。

【松尾研究開発戦略官】
 したがって、日本だけのチームではなくて、日本とEUが一緒になって機能する統合組織体制ということだと思います。

【高村座長】
 今のと関連するのですが、この辺の情報が、大体3ページぐらいでまとめられているのですが、このベースになっている情報は少し手薄かなという印象を持っています。しかし、あまりたくさん出されると、また消化不良ということになりますので、その辺がどういうものがいいのかなと考えながらお聞きしていたのですが、何かベースになる資料とか、情報があれば、わかるようになっていればいいのではないかなと思うのですが、いかがでしょうか。

【松尾研究開発戦略官】
 そうですね。どこか工夫をします。

【小川委員】
 BAの他極の参加のガイドラインで、2点、質問ですが、「各BA事業に」とありますが、各BA事業というのは、先ほど言った3つの事業なわけですね。そうすると、IFERCは、IFERCの中で幾つか分かれていますが、これらを1つとして見るわけですか。
 それからあと、知財に関してですが、これの区別がよくわからないので、もう少しお願いします。

【三木専門官】
 まず各事業への参加ということなのですが、それは参加したい極がどの事業に興味があるかということをまず言います。したがって、IFERCということをまず言っていただくことになるのですが、ただ、参加したい時の規模によりましては、IFERCの中の全部に参加できる場合もあれば、その中の例えばシミュレーションにかかる部分にしか参加できない場合、それは参加したい極の意向にこちらができるだけ合わせられるかどうかを調整していくという形になってまいります。調整しきったものについては、実際に取り決めをお互いに結んで、どこまでを共同研究の範囲とするということを、そこで初めて決めることになります。いろいろなパターンが可能かと思っております。
 あと、知財の扱いのところなのですが、2つに分けていますのは、上のほうが、今やっています日本、欧州のほうで知的財産を生み出した場合というのが一つあり得るかと思うのですが、その知財については参加国も権利がないわけですが、同じ事業チームですので実施権は許諾されるというのが一つ。そして、それは共同研究の範囲に限ってということになります。原則としてそうなりますが、もちろんチームの中で、具体的にはどうこうというのはないのですが、もう少し範囲を超えた部分についても、知財が必要という話があれば、そこは交渉の余地はあるものと思っております。具体論を一つ一つやっていただく時に出てくるものだと思っておりますが、原則としては、共同研究の範囲内で日欧が生み出したものについては参加極も実施権を許されるというものです。それから下のほうですが、今度は逆に参加している中で、参加極のほうで知財を生み出した場合ですが、それは当然、インフラを整備してきております日欧についても実施権は許諾されると。このどちらが知財を生み出したかの区別で2つに整理させていただいております。

【小川委員】
 上と下はどちらが知財を生み出したかというのは、大体、今のでわかりました。上の場合、例えば日欧がやっているプロジェクトで、例えばIFERCに入った場合、IFERCに入った事業のすべてに対して、それに直接関連していなくても、実施権を得られるということでいいのでしょうか。

【三木専門官】
 いえ、共同研究の範囲に限ってになります。

【小川委員】
 そうすると、下も参加極が参加した共同研究で生み出されたのですから、そうすると、これも共同研究の範囲ですよね。

【三木専門官】
 はい、そうです。

【小川委員】
 そうすると、上と下は結局、共同研究に参加していないと、参加極は実施権を得られないのだから、生み出したという意味では同じではないでしょうか。上も共同研究に参加していないとですね。

【三木専門官】
 はい、切り口のお話だと思います。先生と多分、お話は合っていると思うのですが、共同研究の中で一緒にチームでやっている分につきましては、お互いに実施権を許諾しあうのですが、共同研究の外につきましては、それは通常の知的財産権にのっとった形を原則とするということでお話を考えてきたのですが。

【山崎委員】
 分けて書かなくてもいいということをおっしゃりたいわけですよね。

【小川委員】
 ええ、分けて書かなくてもいいのではないかと。

【三木専門官】
 ここを分けて書いたというのは、協定でこのような整理がされていましたので。

【小川委員】
 大体わかりました。

【家委員】
 この国際協力事業での、人の行き来のイメージがまだよくわからないのですが、ITER(イーター)のほうに日本から常駐で行かれる方が何人ぐらいの想定なのか。それから、BAの関係で日本に常駐でヨーロッパあるいはその他の国から来られる方についてどのぐらいの規模を考えておられるのか。その辺を教えていただけますでしょうか。

【松尾研究開発戦略官】
 まずITER(イーター)につきましては、今、目標としますのは大体、ITER(イーター)機構で雇用される人たちの18パーセント、これを日本の目標にしてございます。日本は今、9パーセントのお金を出して、それからEUから9パーセント、さらにお金をもらって18パーセント分の機器を出すことになっているのですが、それと同じぐらいの規模で、ぜひITER(イーター)機構に派遣をしたいと思っております。現状を申し上げれば、ITER(イーター)機構に、この4月現在で約200名の専門家がいますが、日本からは、まだ9パーセントしかいません。したがって、あと9パーセントをぜひ出したいと思ってございます。ただ一方で、常時、微分値で9パーセント必要かというと、おそらく建設期間、研究の期間で、それぞれ日本にいる人材も違いますので、微分値で 18パーセントということはないと思いますが、トータルで考えれば、それぐらいを出したいというのが今の私どもの希望でございます。
 ブローダー・アプローチについては、どれぐらい人が要るというのは、これはなかなか難しいのですが、常時何人要るのか、あるいは研究のフェーズによって、微分値でどれぐらいかというのはございますが、大体、青森でいえば、試算として200とか、100とか、それぐらいの研究者が要るだろうというのが想定としてはございます。研究のフェーズであるとか、時期の山谷がありますのでよくわからないところなのですが、それの相当数をヨーロッパから来てほしいというのがございます。サテライト・トカマクにつきましては、今現在、JT-60が那珂研で動いて、これからリニューアルということになりますので、その規模がどれぐらいになるかによって、随分、人が変わるのではないかと思いますが、そこは原子力機構の中核の施設の一つでございますので、原子力機構を中核にして、ヨーロッパから人が入るというような形で、人数については、その規模にもよりますので、定かにはまだわからないところでありますが、そういうイメージを考えてございます。

【平山座長代理】
 おそらく、少しわかりにくいのが、ITER(イーター)とBAでは人の関係で少し違いますよね。ITER(イーター)機構の場合には、ITER(イーター)機構が人を採用するわけでして、BAのほうは、どちらかというと、ほかの学術研究と同じように、日本でやっていて、外国から来る場合には、そこに参加してくるという形態です。なので、BAのほうは、ほかの分野がやっている共同研究的なものに近くて、ITER(イーター)の場合は、それとかなり構造が違って、国際組織が人を採用すると。だから、枠があったとしても、別にそこに採用されなければいけないと。いわゆる学術的な共同で何かをつくりますよとはかなり違った組織になっているのが、少しわかりにくいところではないかなと思います。

【家委員】
 そのITER(イーター)機構の200人でしたか、その人数は職員であって、例えば受注メーカーで出向している人なんかは含まないお話なのですね。

【松尾研究開発戦略官】
 含みません。したがって、ITER(イーター)が採用しているのが、この4月現在で約200名ぐらいで、あとその周りにビジティングで行っている人たちもいます。

【高村座長】
 人材については問題が多くて、今、松尾戦略官が紹介されましたが、9パーセントの段階にとどまっているというところで現在の我が国の対応としてはまだ不十分なところでして、これを改善すべく検討しているところです。
 ITER(イーター)に戻りますと、テスト・ブランケット・モジュールの計画ですね。資料2-1-2の裏面ですが、これはITER(イーター)計画のもとで実施すると。そういうふうになる予定であるということなのですが、そうしますと、これは調達とか、そういうものもITER(イーター)の考え方と同じになるのでしょうか。

【松尾研究開発戦略官】
 協定上、大きく2つに分かれてございまして、ITER(イーター)を建設するというもの、そして、ITER(イーター)を使って実験をするというものがございます。先ほど、いろいろな調達と言いましたのは、ITER(イーター)を建設する部分でございまして、これはまさに日本や各国が9パーセント、EU が45パーセントを出してつくるというものでございます。もう一つ、ITER(イーター)を使って研究するというもの、こちらにテスト・ブランケット・モジュールが入るわけでございます。こちらについてのコントリビューションの仕方というのは決まりがございません。ITER(イーター)を使って研究するほうについてはそれぞれやりたい国がお金を出すというような枠組みに多分なると思います。ただ一方で、精神は入っていますので、そういったことで協定の枠内ということでございます。
 ただ、問題は、その中で行う研究について知財をどうするのか。背景的知財をどうするのかというのは、これから、この枠組みをつくって、そこで議論していくということでございます。現実問題、ポートが6つある中で、どこがどうポートをシェアリングするかとか、まだ決まってございませんので、そのポートのシェアリング、知財のあり方とか、そういったものはこれからその枠組みを決めていくというのが今の現状でございます。

 2.小川委員より、資料2-2に基づき、核融合エネルギーフォーラムについて説明があった。
 主な審議内容は以下のとおり。

【高村座長】
 ITER(イーター)・BA技術推進委員会は、小川委員のご説明で、行政サイドからのチャージを受けてという言葉が何回かございまして、そのとおりなのですが、もとの趣旨としては、推進という言葉が入っていまして、ある程度自立的にやっていく側面もあるわけで、先ほど、活動費に関してですが、自立的に意見をまとめておられるということを聞いて若干安心したところもございますが、ぜひチャージを受けて動くだけではないということをよろしくお願いしたいと思います。

【小川委員】
 そのつもりで今動いています。

【石塚委員】
 産業界のほうのかかわりなのですが、原産協会の中にITER(イーター)・BA対応検討会というものをつくって、関係者に入っていただいて、情報の受け渡しをやりながら検討をしております。

【高村座長】
 ありがとうございます。家先生の先ほどのご質問にお答えすることができましたか。

【家委員】
 最初、BAという話を聞いたときには、ブローダー・アプローチで、何かそういうものも含んでいるのかなと一瞬思ったのですが、そうではないですね。

【高村座長】
 ええ、そうではないですね。

【家委員】
 BAの方は、研究者レベルでいろいろな参加の共同利用的な側面があると思うのですが、ITER(イーター)のほうは、やはり若い人が――これは天文でも同じ問題を持っているのですが、大プロジェクトになると、若い人が個人的にどういうコミットをして、自分にメリットがあるかというのがなかなか難しい問題が出てくると思うのですが、そういう面があるのではないでしょうか。

【高村座長】
 そうですね。おっしゃるとおりだと思います。逆に我々といいますか、核融合の場合にどういうふうにやって行けばいいかというのを、ほかのビッグプロジェクトの例とか、苦労されている点とか、その辺のノウハウを教えていただきたいという気持ちもございまして、ぜひよろしくお願いしたいと思っております。

【小川委員】
 若い人を中心とした人材の確保・育成というものに対して非常に危惧しております。人材をどう育成していくかと。そのためにはまず、核融合炉開発(具体的には、実験炉ITER(イーター)の次の原型炉開発)のロードマップを明確にする必要があります。文部科学省からの検討依頼も踏まえ、核融合エネルギーフォーラムの中にロードマップ等検討ワーキンググループが設置されました。本検討会には、産業界からも委員に入っていただいて、非常に我々としては心強く思っています。本検討会では技術マップと併せて、今後の核融合研究における人材育成・確保を検討しております。どういう人材がどういう役割で何人くらい必要かということを、ロードマップを踏まえ、ボトムアップ的に算出・評価しております。
 それから、先ほど高村先生からもフォローしていただきましたように、研究者コミュニティの横断的な活動も重要ですので、その活動費を確保していきたいと思っています。ITER(イーター)やBAなどのプロジェクト自身の事業費は、文科省及びコミュニティの努力によって確保できていますが、それの潤滑油的な活動費が十分ではありません。我々が考えているのは、若手の研究者、ポスドクなどのポストの充実であり、さらに技術検討するための研究活動資金の確保であります。このような核融合コミュニティからの要望を議論する場としての、またこれらの要望に対する文科省とのパイプ役としての役割をITER(イーター)・BA技術推進委員会に期待している次第です。

【家委員】
 もう一ついいでしょうか。私は学術振興会学術システム研究センターの主任研究員でして、学振のPDやDCの研究員の審査システムなどの議論をしている立場にいるので、少しお伺いしたいのですが、核融合分野では、若手助成のお金さえあれば、たくさんそういうお金でプロモートできる若手がたくさんいる状況なのでしょうか。それともそれだけではないとか、何かその辺、分野としてのご認識をもしお聞かせ願えればと思うのですが。

【吉田科学官】
 ご発言の意味を取り違えているかもしれませんが、要するに十分な数の若手が大学院から出ているのかどうか、またその後、そういう人たちのキャリアパスが確保されているかというご質問だと思うのですね。特にPDというレベルで。それに関して言いますと、かなり厳しい状況にあります。基本的には今、大学院からこの分野に出ていく若手研究者の数はもう少し増やしたほうがいいという分析はありますが、そういう人たちのアカデミック・キャリアパスが確保できるかというと、これはどこの分野も今、大変厳しいのですが、我々の分野も非常に厳しい。大学院から出た後のキャリアパスをきちんとするということがまず第一で、それがきちんとしないと、これは学生にも丸見えでありますから、当然、大学院への進学にも影響を与える。そういう状況は、我々の分野も厳しい状況にあります。
 先ほどから議論がありますように、例えばITER(イーター)・BAというものが立ち上がっていった時に、実質的にどのぐらいの雇用が発生しているのかというと、実はほとんどネグリジブルに近いぐらいのプラスアルファのポスト数なのですね。ところが、研究課題と必要な研究者数を分析しますと、研究者の数はほぼ倍増ぐらいにしないといけない。ITER(イーター)の建設が約10年かかりますから、10年後に向けて約2倍ぐらいに研究者を増やしていかないといけない。そういう人たちが、どこから雇用されるのかということを考えますと、これはやはり大学等を含めて、アカデミック・ポジションをつくっていかないといけないわけですが、そのためにはポスドクの数が非常に厳しいという分析になっています。これは一つ、核融合だけではなく、すべてに共通の問題ではありますが、核融合においても、研究者を確保していくために、アカデミック・キャリアパスを連続的にするということが重要な課題だと思っています。

【家委員】
 最近卒業されて学位を取られた方は、わりとそれでもこれに近い分野のメーカーとかに就職されている方は多いのですか。それとも、分野が変わってしまっている方が多いのでしょうか。

【吉田科学官】
 変わってしまう場合が多いと思います。メーカーに行かれた場合、これも少し議論があるのですが、核融合エンジニアというようなカラーがつかないのです。核融合というのはまだ産業になっていないわけで、そういった意味では、核融合に残っていないように見える面もあります。メーカーで、例えば超電導技術であるとか、高周波発振器の技術であるとか、そういうところに行って、ある時期、核融合の仕事をされるということではあるのでしょうが、メーカーの中に核融合部門というものがあって、そこに就職しているという形ではない。メーカーについては、そういう状況だと思います。
 それから、アカデミックなポジションがどうかというと、全国共同利用機関の核融合科学研究所というところがわりあいに大きなポジション数を持っておりますが、これもある意味で定常状態にあります。例えば具体的に言いますと、私のところなんかですと、ほとんどの学生は海外のPDに出ます。そこから後はどうするかということが問題で、学生にとってはなかなか厳しい状況だろうと思います。

【高村座長】
 家先生が言われた中で、学振のPDの、たしか吉田科学官が以前に言われていたのではないかと思うのですが、カテゴリーというか、分野別にセレクションがありますよね。その辺で一部、若干問題があるというようなことを言われたことがあったような気がするのですが。

【吉田科学官】
 おそらく数字的には厳しい状況になっていると思います。それは一つには審査の問題があるのではないかと思いますが。

【家委員】
 プラズマ科学分野は、わりといろいろな分野と一緒になってやっていますよね。だから、ちょっと票が分かれたりするので、不利になっている面があるとは思います。

【高村座長】
 客観的に何かそういう不利というか、不都合な点があれば、ぜひ改善していただければと。

【家委員】
 例えばITER(イーター)の場合、出資割合に応じて何かギブ・アンド・テイクというか、できたあかつきの権利というのですか、それは国ごとに受注するとかということもあるかもしれませんが、研究者サイドから見た時に、何か共同利用とか、自分のすばらしいアイデアを実験に生かせるとか、そういう枠組みは、どうなっているのでしょうか。天文だと、できた望遠鏡を使って、観測したいという提案を出したりするという期待があるのですが。

【松尾研究開発戦略官】
 協定上はそういうものはございません。協定上は20年間の研究をどうするか、これからどうやっていくかということになります。これは多分、想定ですが、つくった時の分担が9パーセントでありますが、その後はまた13パーセントと分担割合が変わりますので、それに応じた形で多分なるのかもしれませんが、まだそこは定かに決まっていません。あと、それからプロバイドされたものについての知財でありますとか、それから背景的知財、これはむしろ研究者というよりは産業界のほうですが、それは協定上、しっかり決まってございまして、基本的に産業応用あるいは国のプロジェクト的には知財は共通に使えるというような形になってございます。研究者レベルでのものは、これから議論していくことになってくるのだと思います。

【高村座長】
 学術的な面で、吉田先生にお願いすることになりますが、種まき論というのがあると思いますが、その辺のことについて簡単にご説明をお願いします。

【吉田科学官】
 種まき論といいますのは、ITER(イーター)という大きなプロジェクトが進んでいる時に、特に大学等の学術的な基盤の部分で研究している人たちがどういう形で今後研究参加していくのかということが問題になるわけです。大きなプロジェクトを推進するときは、選択と集中ということがキーワードですが、一方で大学等の基礎研究では多様性というものが第1のキーワードですね。これらはどうしてもぶつかるわけです。その時にいろいろな言い方ができると思うのですが、ビッグプロジェクトをやっている側から見ると、そこにさまざまな要素科学技術を集中していく、それらを吸い込んでいって総合化して、プロジェクトを成功させるのだという言い方をするのですが、大学のほうは吸い込まれる側になってしまうということでは良くない。同じ構図の中で、では大学はどういうふうに言うことができるのかというと、フロントランナーであるビッグプロジェクトの先端から、さまざまなテーマが種としてディスエミネートされるはずである。そういったものを持ってきて、基礎研究を発展させる。そういうデュアルな関係というか、視点によって違う意味をビッグプロジェクトに与える必要がある。ビッグプロジェクトの側からは、とにかく選択と集中で使えるものを一本釣りしつつ、いろいろな知識を吸収しながらやっていくのだとおっしゃってももちろんいいのですが、大学の研究者は、吸収される側というか、搾取されるようなイメージでは大学の文化の中で生きていけません。

【高瀬委員】
 釣られる魚のほうが先になくなってしまう。

【吉田科学官】
 大学から釣られていくと、大学のあいたポストは全く別分野で埋められるということもあります。大学としてはきちんとしたアカデミックなテーマでやっていかないといけない。大学の人は、むしろ一般性というか、普遍性というものを研究しているわけですから、それが大きなプロジェクトでどのように活かされるかと同時に、プロジェクトの先端から、新しいテーマが降ってくる、そういう見方で見ていかないといけないのではないか。そういう環境をITER(イーター)でぜひつくっていただく必要があります。先ほどから話が出ています活動費は、そういう大学でのアクティビティを支えるためのロジスティックスという意味でも必要だと思います。

(3)ITER(イーター)設計レビューについて

 関委員より、資料3に基づき、科学技術諮問委員会(STAC)での検討状況について説明があった。

主な審議内容は以下のとおり。

【山崎委員】
 この3項目について話題になっているのですが、ほかはどうなっているのでしょうか。

【関委員】
 3項目が特にコスト増の要因が大きいということですね。それから特にダイバーター材料については、我が国ではタングステンに対するコンサーンが非常に強いということもあって、我々がSTACに、伊藤先生と一緒に、前に国内の技術評価委員会で、やはりタングステンに関するコンサーンをきちんと述べて、カーボンについての可能性をしっかり残すようにという議論もあったこともあり、我々としては、ここの部分についてはかなり気をつけて、STACで議論をしてきました。

【山崎委員】
 ほかのテーマは?

【関委員】
 ほかのテーマについても、それぞれに問題や議論はありますが、基本的に国際チームが現在行っている設計のやり方で、改善は続けてくださいというのが基本的な結論になっています。

【山崎委員】
 ほかのはもっと安定しているということですか。

【関委員】
 はい、もう少し安定しているということです。

【高村座長】
 この設計仕様に関して、引き続きSTACでウォッチしていくということだと思いますが、それに対して我が国としては、そういうことでよろしいということをどこかで言うのでしょうか。

【松尾研究開発戦略官】
 この設計については、ITER(イーター)・BA技術推進委員会のほうにチャージを出させていただいて、いろいろな意見をいただいていきますので、そのコメントをSTACを通して言っています。最終的に、コストも含めて、おそらく次々回のITER(イーター)理事会に上がりますので、そこまでの間で我が国としてコメントを出していくことになると思います。したがって、ITER(イーター)・BA技術推進委員会のほうで今、議論していただいているのを我々として受けさせていただいて、それをもう既にITER(イーター)のほうでそれが修正されていれば、それはそれでよしとしますし、またそれについてのコンサーンを含めて、ITER(イーター)のほうに意見を言っていくというような形になろうかと思います。

【高村座長】
 それはSTACを通してということになるのですか。

【松尾研究開発戦略官】
 はい。技術的な観点はSTACを通して、そうではないマネージメントの部分については、先ほど関先生からありましたMACというマネージメントを行うコミッティがあるので、そこを通したい。あるいはITER(イーター)理事会を通して、日本国として物申していくということになると思います。

【高瀬委員】
 今のに関連してですが、コストあるいはスケジュールまで含めて、日本としてどういう主張をするかということに対しては、技術的な検討のほうは理解しましたが、それはどのように行われますか。

【松尾研究開発戦略官】
 そこは、どの程度のものになるかによって、行政府のほうとして、今、協定上認められているコストがありますので、その範囲の中であれば、それは ITER(イーター)機構のマネージメントの問題ですので、そのマネージメントがいいのかどうかを議論して言うということになります。それを超えてということになると、そこはもう一回、日本政府の中で議論しないといけないので、どういった形であと半年でしょうか、次々回のITER(イーター)理事会でどういう提案がなされるかによって、少し対応のレベルを考えていきたいと思っています。コストに関してはいえば、協定の範囲の中であれば、それはもう国として認めている範囲でありますので、あとはその運用がいいかどうかということですので、こういった場にお諮りしたり、あるいは行政府の中で見つつ、回答を返していくと。マネージメントに関していうと、いろいろ情報をとって、議論をここにかけさせていただいたりとかしながらやっていきたいということで、少し状況を見つつ対応を検討していきたいとは考えてございます。

【高瀬委員】
 多分、問題はトレードオフとなって、ここを多少削減してでも、ここは絶対に死守するのだというものを。おそらく今までのITER(イーター)・BA技術推進委員会とかでの検討では、そこまではコストがどうなのかも多分わかっておらず、そういう意味で、どれがITER(イーター)のエクスプロテーションの場面で大事になってくるかと。そういうところへのインプットというのは我々からというか、研究者側からする余地があるのだろうかと。

【松尾研究開発戦略官】
 それは我々としては欲しいところでありまして、多分、今、STACイシューが13あったとすれば、予算がなければ、どんなにこれをやりたいといってもできないわけですね。それと、あるいは設計に反映されるデッドラインを越えてしまえば、それはできないわけなので、できることであれば、STACイシューについても、ローディングリストというか、技術のインパクトがあれば、これぐらいの予算があれば、ここまではできると。ここまでに設計に投入できればできるというようなデッドラインとコストインパクトというようなローディングリストみたいなものがあると、我々はそれを今度はITER(イーター)理事会で話をしてということがあると思います。コストについても、今考えられる新しいコストというのは、例えば先ほど申し上げましたカザフスタンの新規加盟ということがあれば、新しいバジェットが出てくるわけですね。そうすると、こういった新しいバジェットがあれば、ここまで投入できる。ただ、設計はある程度フィックスしながら新しい技術を導入できるとか、そういった議論が多分できると思うので、そういったものを日本から提案していくというのもあり得ると思います。

【高村座長】
 今の件に関して、我が国としては、とにかくITER(イーター)の場合は物納ですよね。そうすると、金額で幾らという明確な書き方ではなかったと思うのですが、だとすれば、我が国の政府としては、例えば材料が高騰したとか、あるいはSTACイッシューで、ELMコイルとか云々とか、そういった場合に金額が上がろうが、協定の範囲内であれば、物納という観点からすると、予算的には、どうなるのですか。

【松尾研究開発戦略官】
 まず2点ありまして、協定の約束は今、高村先生が言われたように、キャッシュではなくて仕事量です。したがって、この机を入れるということが協定の約束になっているわけです。これを1万円で入れるかとかではなくて、この机を入れるというのが国際約束になっています。これが例えば材料費が高騰した場合には、その高騰に見合った分で入れるというのが、これが国際上の約束でございます。したがって、我々として財務省、財政当局に対しては、その金額を要求していくということになります。
 ただ一方で、今、ITER(イーター)については2つ予算がありまして、分担金、これは日本国政府が直接出しているお金。それからもう一つは、物納分で、これは実施機関である原子力機構が出すお金でございます。したがって、原子力機構は独立行政法人でありますので、どこかの大学と同じように、予算のアッパーがかかります。原子力機構は、J-PARCもやり、いろいろなプロジェクトを持っていますので、その中でITER(イーター)・BAに対する物納のお金を調達しなければいけないので、その予算にどれぐらい入るかというのは毎年毎年の予算でありますので、いくら材料が高騰したからといって、簡単にいくわけではなくて、材料が高騰するのであれば、その原子力機構の予算に入るように技術をもう少し高度化をして、予算を抑えてくれというような財政当局の要求が当然来るわけであります。したがって、協定上約束しているからといって、そのまま右から左ということはあり得ません。
 それで、先ほど言われましたSTACイシューで新しく入れるといった場合には、これは協定を越えていなければ、これは当然読み込める範囲でありますので、予算のアッパーの中で入るのであれば、それは当然のことだと思いますが、これがあるいは協定上約束されていない新しい技術を入れるということになれば、これは協定の附属書を変更することになりますので、これは理事会で合意して、毎年毎年、リニューアルしていくということになりますので、そこは検討する余地が必要ということになります。

【高村座長】
 わかりました。わかりましたというか、その基準も結構難しいところがあるのではないかなと想像するのですが。

【松尾研究開発戦略官】
 予算はやはり厳しいのですよね。右から左とはいかないので。ほかが圧迫されるだけですから。

(4)その他

 フリーディスカッション。
 主な審議内容は以下のとおり。

【家委員】
 そのコストアップするかは、インフレとか、為替変動がありますよね。それで計画を立てたときから、今、ユーロも大変高くなっているし、9パーセントから13パーセントというと、その辺はどう整合を取っていかれるのでしょうか。

【松尾研究開発戦略官】
 まず9パーセントについて言いますと、物納について言うと、これはある一定時期、決めた時期で換算をして、その仕事量で換算をしていますので、これでもうキャッシュフローではなくて、仕事量としての換算値で9パーセントというのは決まってございます。あと、分担金、これはキャッシュフローでありますが、これはユーロベースで払うということで、これはユーロが強くなると日本にとっては損でありますし、逆にユーロが落ち込めば他国にとっては得ということで、それは協定で差益が出るか、差損が出るかというのは飲み込むということになってございます。あと、素材の高騰は、したがって、物納分で材料費が上がった場合には、それは各極が飲み込むというのが協定の精神でございます。これは先ほど高村先生からありましたように、長いプロジェクトでありますので、ぴしっと決まらないところがあるので、仕事量ということで協定がつくられているということでございます。

【草間委員】
 全然別な視点ですが、ITER(イーター)に関して、大変大きなビッグプロジェクトですし、多額の税金を使うわけですので、一般の方たちにどれだけ情報を流していくかはすごく大事ではないかなと思うのですね。例えば、この間、ちょうど宇宙開発に関しては、見える形というか、JAXA(ジャクサ)がアメリカとの共同でやって、宇宙飛行士を飛ばすという形で、見える形で国民にすごくわかりやすいので、だから、すごく理解が得やすい。それに対して、こういった ITER(イーター)のようなものは、もともと難しいということと、日本ではなくて、カダラッシュに行ってしまったということとか、いろいろ考えた時に、どういう形で伝えていくかはすごく大事だと思うのですね。
 先ほど、フォーラムの中で、社会とのかかわりというものが出てきたわけですが、国としても、どうしていくかというのを考えていただきたいと思います。私もかつて、ITER(イーター)の委員会に関係していたりしたのですが、それでも情報に遅れていってしまっている。だから、少し関係していても必ずしも情報が入ってくるわけではないので、一般の方たちにしてみれば、もっとですね。例えば何か問題があったときに、すごくネガティブにとられてしまう可能性があるので、だから、私は原子力開発のときに、原子力の中に限ってやられてきたことの反省というのはしていただいて、なかなか難しいですが、これだけ情報化社会ですので、だから、どういう形で見える形で、しかもポジティブに受け取ってもらうような情報をどんどん流していかなければいけないのではないかなと、この間、ちょうど「きぼう」をドッキングさせたのを見ながら、今回、このITER(イーター)のタスクフォースを引き受けるにあたって、私の周りの人にどういうふうに知らせようかなと思っても、なかなか情報がないし、見えるものがないというのはすごく厳しいところですが、でもしていかなければいけないと思います。

【高村座長】
 そうですね。大変一番重要な点だと思います。だれに答えてもらうということではなくて、これは政府、それからコミュニティですね。産業界を含めて、全体で取り組んでいくべきことで、もちろん学会、あるいは先ほど出てきましたフォーラムとかで、逐次、いろいろな公開講演会とか、高校生に対するシンポジウムとか、いろいろな形で、それから原子力機構とか、核融合科学研究所でも、いろいろな一般向けのアピールとか、活動をやって展開しているのですが、大変どうやったらいいのかなというのはおっしゃるとおり難しいなと思っております。

【小川委員】
 核融合エネルギーフォーラムの社会と核融合クラスターの中でも、いろいろな分野のアウトリーチ活動を推進しています。プラズマ・核融合学会でも活動しておりますし、核融合研、原子力機構など、いろいろなところで推進していますので、これらのアウトリーチ活動に関してのネットワークを形成して情報交換しております。また最近は他分野のアウトリーチ活動との連携も図りながら進めています。ただし、活動資金を含めましていろいろ課題がありますので、是非とも各方面からのご支援ご協力をいただきたいと思っております。

【高瀬委員】
 やはり一般の人が見るテレビとか、ああいうところへ折り込まないと、やはり一般の人には届かない。

【松尾研究開発戦略官】
 そうですね。「サイエンスZERO」とか、「プロジェクトX」みたいなものですね。

【山崎委員】
 このタスクフォースの必然性がどの辺にあるのかということと、頻度と、どういう段階、どういうタイミングで、どういうスケジュールで、結論を出そうとしているものなのかというのを教えていただければと思います。

【松尾研究開発戦略官】
 必然は端的に申し上げますと、例えばITER(イーター)・BA技術推進委員会というのは名前のとおり、推進側なのです。いろいろなコミュニティが推進をしていこうということなのです。一方で、評価をどこかできっちりしなければいけないということがありまして、核融合研究作業部会、そして、このタスクフォースで、評価側として評価をしていくと。それで、そういったものを踏まえて、今度は推進側のほうで人口に膾炙して進めていくというのが必然ということになるのではないかなと思います。
 それで実際タイミングでありますが、我々として念頭に置いているのは、例えば、いろいろな活動がITER(イーター)とBAでありますので、それについて定期的に年1、2回ぐらいレビューしていただいて、それについてご意見を賜りたいというようなイメージでございます。またITER(イーター)・BAでどんなタイミングで何があるかによって、先生方にいつ頃お集まりいただくかというのは具体的に座長ともご相談していきたいと思ってございます。

【山崎委員】
 文科省でダイジェストされて、いろいろな宿題がいろいろなところへ飛んで行く構造になっていまして、だから、何を問題にするかということは全部、戦略的に決められるわけですよね。だから、どんな立場でお話を聞いていたらいいのか大体の感触なのですが。

【松尾研究開発戦略官】
 大体、大きな方針を決めるのが私ども作業部会、国の委員会にお願いをする部分であります。そして、それを受けた形でタスクフォースがあろうかと思います。したがって、ここでお願いしたいのは、ITER(イーター)・BAというものをフォローしていただいて、その方向性が間違わないように見ていただくというのが基本的なポイントであります。そして、先ほど申し上げましたように、任意団体であるフォーラムでは推進の立場で見ていますので、その一方で、ちょっと引いた形でビッグプロジェクトを見ておられる先生方も含めて、マネージメントを含めて、その評価をいただくという視点をタスクフォースにお願いして、国として方向を間違いないようなITER(イーター)・BAのあり方をご検討ご審議いただくというような感じだと思っている次第です。

【家委員】
 そういう意味では、先ほどの高瀬先生が言われた、この図でいうと、ここには黒い線が1本ついているだけで、矢印も何もないので。

【松尾研究開発戦略官】
 そこは一体に。

【家委員】
 一体という意味なのですね。

【吉田科学官】
 戦略官がなかなか言いにくいところなので、私からあえて申し上げると、ITER(イーター)・BAというものを推進していっていいのかというレベルの議論もしていただく必要が私はあると思うのですね。そういう議論をどこでやるのかといった時に、ITER(イーター)・BA技術推進委員会というのは、当事者として、研究の成功に向けて勝負を賭けてやっているわけですから、例えばコストが上がるという話が出てきても、何としてもやらなければという立場だと思うのですね。しかし、より客観的な立場からは、それをそのままずっとやっていていいのかという問題が当然あるわけで、そういった意見はやはり言っていただく必要がある。国としても、そういう意見もしっかりと聞くことが、プロセスとして大事である。ここでは、むしろ厳しい意見を言っていただき、プロジェクトを進めている方には、それを何とか論破してもらいたい。ですから、ITER(イーター)・BAが順調にいっている間は、あまり議論がないと思っていただいていいと思うのですが、いろいろ難しい局面になった時に、先ほど草間先生がご指摘されたとおりで、研究者の中の閉じた論理でものごとをやっていくということではよくない。そういった意味で、いろいろな角度から、ご意見をお聞かせいただくということが、このタスクフォースの第一のミッションだろうと思います。

【石塚委員】
 産業界としては、ITER(イーター)・BAを推進していくべきであるということなのですが、やはり産業界にとっては、これが将来の原型炉、あるいは将来のビジネスに結びついていくかというのが最大の視点なわけですよ。それで結びついていかないとなると、やはりいろいろなことを考えていかなければいけない。いろいろな協力の仕方とか、あるいは仕事の仕方を考えていかなければいけないということだと思うのですよね。その視点をいつも我々は持っているつもりでおるのですが。

【高村座長】
 的確なご意見だと思います。田邉先生どうぞ。

【田邉委員】
 やはり10年、20年後に人がいるということが非常に重要な点だと思うのですね。先ほど家先生がおっしゃったように、私は今、審査するほうから言うと、プラズマは非常に弱いのですね。今すぐ成果が出ない。だから、書き方が悪いのだと思うのですが、一般的にこういうふうに評価されてしまうと、どうしても普通に評価すれば、あした成果が出る。3日後に成果が出る。こういうものが採択されてしまうのですね。ですから、そういう意味では、今おっしゃったように、ほんとうに10年後、20年後に、かなりの人をかけて、これをやらないとできないという、我々は、そういう立場にあるわけですが、それでいいのかどうかということを含めて考えていただきたいし、家先生には、ぜひ採択の仕組みの中で、ほんとうに全部、平等でいいのかと。そういう視点も必要かなというのは思いますね。要するに、どうしても見ていると、本当に採択されるのが決まっているのですね。おそらく誰が採択しても変わらないと思うのですが、それは非常に近視的に2年後、3年後に出やすいと。そういうものが非常に有利、明らかに有利ですよね。長期的に見るという視点での採択というのがほとんどないと思いますね。ですから、そういう点でも、10年後の人をどうするかという視点の議論も入れていただきたいと思います。

―了―

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