原子力分野の研究開発に関する委員会 研究施設等廃棄物作業部会(第7回) 議事録

1.日時

平成21年11月2日(月曜日) 15時~16時30分

2.場所

文部科学省 旧文部省庁舎2階 第1会議室

3.議題

  1. 埋設処分業務の実施に関する計画について(文部科学省)
  2. 研究施設等廃棄物の輸送・処理に係る今後の検討課題について(文部科学省)

4.出席者

委員

山名主査、石榑委員、小佐古委員、五味委員、佐々木委員、白羽委員、東嶋委員、冨永委員、三代委員、森委員

文部科学省

箱﨑大臣官房審議官(研究開発局担当)、田口原子力計画課長、川口放射性廃棄物企画室長

オブザーバー

丸茂 電気事業連合会原子力部部長

5.議事録


【山名主査】
 定刻になりましたので、ただいまから第7回の研究施設等廃棄物作業部会を開催いたします。
 議事に入る前に1点お諮りさせていただきますが、本日電気事業連合会の高橋委員が欠席でございます。代理として、電気事業連合会原子力部部長の丸茂俊二様がお見えでございます。オブザーバーとして本日の議論にご参加いただきたいと考えておりますが、皆様方よろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【山名主査】
 ありがとうございます。そのようにさせていただきたいと思います。
 本日は箱﨑審議官がお見えになる予定でございますが、ちょっと遅れているようですので、会議の資料の確認等を先に進めていきたいと思います。
 それでは川口室長、よろしくお願いします。

【川口放射性廃棄物企画室長】
 それでは、本日の議事はまず2件ございまして、「埋設処分業務の実施に関する計画について」と、「研究施設等廃棄物の輸送・処理に係る今後の検討課題について」です。
 資料は2点ございまして、議事次第の後に資料1として「埋設処分実施の業務に関する計画」、それから資料2として「研究施設等廃棄物の輸送・処理に係る今後の検討課題について(論点整理)」、あと机上資料として、「基本方針概要」と「実施計画概要」の大要の資料が載せてあります。
 資料は以上のとおりですが、不足等ありましたら挙手をお願いします。

【山名主査】
 皆様、よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、箱﨑審議官がおいでですので、審議官のほうから一言ご挨拶をお願いいたします。

【箱﨑大臣官房審議官】
 研究開発局担当審議官の箱﨑でございます。私は7月に参りまして、初めての部会でございます。よろしくお願いいたします。部会の開催に当たりまして、一言ご挨拶を申し上げます。
 大変お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございました。ご案内のように、研究施設等廃棄物の問題につきましては、法律を改正いたしまして、原子力機構を実施主体とするという体制の枠組みができたところでございます。それを受けまして、この部会でご議論いただきまして、基本方針を昨年の12月に無事策定したところでございます。やはり廃棄物に関する問題、特にこの研究施設の廃棄物の問題は、非常に多種多様な廃棄物が存在するとともに、廃棄物を出している主体も非常に様々ございます。そういう意味で、この処理体制の確立問題は、非常に丁寧に細かく一つ一つ積み重ねてやっていくべき話じゃないかというふうに私は考えてございます。その観点から、この部会でぜひ皆様方から国民目線で、あるいは専門的な目線で、大所高所からのご議論をいただければというふうに考えておるところでございます。
 週末、若干報道もございましたけれども、原子力機構のほうから基本方針に即した計画の申請が出てまいりました。やっと一歩を踏み出したかなという感じでございます。ぜひとも今日、色々な輸送・処理の問題についてご意見を賜りたいと思っておりますので、よろしくお願いできればと思います。引き続きどうぞよろしくお願いします。失礼しました。

【山名主査】
 審議官、ありがとうございます。
 それでは、早速ですが議題1に入ろうと思います。埋設処分業務の実施に関する計画についてということでございます。まず、この議題に関しましては文部科学省のほうから、この議題の位置付けについて説明をいただいて、その後三代委員から概要をお願いいたします。さらに詳細については原子力機構の大澤センター長より説明をお願いするという手はずで進めたいと思います。
 それでは田口課長、お願いいたします。

【田口原子力計画課長】
 原子力計画課長の田口でございます。お手元にございます資料1「埋設処分業務の実施に関する計画」、これは先ほど審議官からも申し上げましたように、法律に基づく計画として、先週10月30日に原子力機構のほうから文部科学省、それから経済産業省のほうに提出されたものでございます。法律上はこれを認可いたしまして、最終的な計画になるという形でございます。
 ちなみに前回の第6回の本作業部会におきまして、この計画の骨子、ポイントについてご説明をさせていただきまして、ご議論をいただいたと思います。そのときにご説明させていただいた内容、それからそのときいただいたご意見も踏まえた格好で、今回の実施計画が提出されて作成されたということは事務的には確認してございますが、これから説明をさせていただいて、委員の皆様にご確認をいただきたいというふうに考えております。その上で文部科学省、経済産業省ともども、省内の手続を踏んで認可をするという手順を考えてございます。
 ということでございますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【山名主査】
 それでは、三代委員のほうからよろしくお願いいたします。

【三代委員】
 原子力機構の三代でございます。今、田口課長から話がありましたように、前回、8月20日の第6回の作業部会で実施計画の概要についてご説明させていただいたところでございます。その後、皆様方からいただいたご意見に即して文章化いたしまして実施計画を取りまとめ、先週10月30日金曜日に文部科学省、経済産業省へ申請させていただいたところでございます。まさに今お話にありましたように、研究施設等廃棄物の処理・処分、非常に大事な事業でございます。特にここで埋設事業を議論しているわけですけれども、これを一歩一歩、安全かつ着実に進めていくということは、我が国の原子力の研究開発、それからRI、放射線の利用等、これらを円滑に進める上で極めて重要な役割であるというふうに考えているところでございます。
 本日、申請した実施計画について報告をさせていただきます。そして、先ほどお話がありましたけれども、国の認可を得て、文部科学省、経済産業省、関係の各機関と協力して、埋設事業を進めていく所存でございます。本日はこの実施計画の詳細について、原子力機構の埋設事業推進センター、大澤センター長から詳細について説明いたしますのでよろしくお願いいたします。

【日本原子力研究開発機構(大澤)】
 それでは、埋設処分業務の実施に関する計画について説明をさせていただきます。説明では本計画を実施計画というふうに称させていただきます。繰り返しになりますけれども、この実施計画の構成や内容につきましては、8月20日の第6回の作業部会で説明させていただいた資料に即しておりまして、作業部会でいただいたご意見を踏まえて作成したものでございます。本日はポイントとなるところ、それから前回の作業部会でご意見を賜ったところなどを中心に説明させていただきます。
 それでは1枚めくっていただきまして、まず、本資料の構成でございます。目次をごらんいただきますと、実施計画は第1章と第2章から成っておりまして、第1章では計画全体について記載しております。目次のほう、ちょっと目を移していただきまして、第2項から第6項の資金計画までにつきましては、機構法に定められております事項を記載しております。
 それから、第2章につきましてでございますが、次のページでございますけれども、これは当面実施する事項について記載しております。当面の期間につきましては、前回の作業部会でも申し上げましたように、1年から2年程度を予定しております。
 それでは、1ページ目をごらんいただきたいと思います。
 1ページ目の「はじめに」でございますが、これは最初のパラグラフで機構が埋設処分の実施主体に位置付けられたこと、それから第2パラグラフでは、機構法に基づき、基本方針に即してこの実施計画を作ったということ、それから第3パラグラフでは、今ご説明したような1章と2章で構成していること、それから最後のパラグラフでは、必要に応じて所要の見直しを行い、国の認可をいただいて、その後遅滞なく公表するというようなことが書いてございます。
 それから次のページをごらんいただきます。2ページでございます。
 第1章でございますけれども、最初の第1項につきましては、私どもが事業を進める際の基本的な考え方を説明しております。下のほうに5つの丸がございますけれども、前回は項目を説明させていただきましたが、今回それについて少し考え方を整理して、ここに記載させていただいております。
 3ページ目の第2項でございますが、第2項では対象廃棄物の種類とその量の見込みについて記述してございます。内容は前回と同様でございますけれども、根拠となる法律などを明記しております。
 具体的には、そこの2.1のところの4行目ぐらいから書いてございますけれども、私どもは高レベル放射性廃棄物を除いた低レベル放射性廃棄物のうち、次の(1)、(2)に掲げるものでございます。なお、低レベルというのはピット及びトレンチと余裕深度を含んでございます。これらのうち、機構から発生した機構廃棄物と、受託廃棄物ということで委託を受けたものについても埋設をするというようなものを対象とするということが書いてございます。なお、一番最後のところでございますけれども、原子力機構の埋設処分業務の対象とはしていないけれども、我が国全体として抜け落ちがなく、合理的・網羅的な埋設処分が可能とするために、原子力機構は関係機関と密接に連携し、柔軟に対応してまいりたいということも書いてございます。
 それから2.2でございますが、第一期事業において埋設処分の対象とする廃棄物ということで書いてございます。今の2.1は全体の私どもの事業の対象でございますが、そのうち、第一期事業として我々事業を進めるわけでございまして、その第一期事業につきましては、一番最後の行でございますが、昭和60年度までに発生が見込まれる廃棄物であって、ピット、トレンチを対象とするということが書いてございます。ただ、その先ほどの余裕深度処分が必要となるものにつきましては、合理的・効率的な処分が可能となるように、国や関係機関と連携協力して、これから議論をさせていただいて、決めてまいりたいというふうに考えております。
 2.3でございますが、これも前回の作業部会でご説明した53万本の廃棄体について、内容を記載してございます。具体的には、5行目から書いてございますけれども、廃棄体52万8,500本で、うち機構廃棄物は43万3,100本を見込んでおります。それから、処分方法ごとによる内容でございますが、ピットにつきましては20万1,500本、それからトレンチについては32万7,000本という数字を見込んでございます。それから、4ページの一番下から4行目のところでございますが、これらの数量につきましては、中期目標の期間の開始時期にあわせまして、定期的に調査をし、見直しを行いたいというふうに考えてございます。
 次に5ページでございますが、5ページの第3項では第一期事業の概要を記述しております。これも前回と同じようなものでございますが、その第2パラグラフのところですけれども、第一期事業においては、環境調査段階や安全審査段階、施設の一部建設段階を含む8年、それから操業期間は50年、その下の、飛んで5行目ですが、閉鎖管理段階における管理期間といたしましては、ピット処分については覆土後約300年、トレンチについては約50年間を目安として考えてございます。それから埋設施設の規模でございますけれども、下から5行目のところに書いてございますが、廃棄体約60万本に相当する施設を考えてございます。
 それから、第4項でございますが、これは埋設施設の設置に関する事項を記述しております。4.1のところで、立地基準と立地手順の策定ということを書いてございます。この埋設施設を立地する地点の選定につきましては、手続きの透明性を確保し、公正な選定を行うことを基本として考えてまいります。そのために埋設施設に係る概念設計をまず行い、その結果に基づいて得られる技術的及び経済的な根拠を踏まえまして、基準や手順を策定し、その後もう1回、この実施計画の変更の認可を受けて、これを公表するというようなことにしたいというふうに考えております。具体的には第2章でもう一度触れます。
 それから、下から3行目でございますが、なお書きで書いてございますけれども、個別の地点を対象とした活動につきましては、公正な立地選定を行う観点から、立地基準及び手順を明確に定めた実施計画の変更の認可を受けた後に着手したいというふうに考えてございます。
 6ページでございますが、4.2と4.3は割愛しまして、第5項でございますけれども、ここにつきましては埋設施設の方法に関する事項を記述してございます。少し繰り返しになりますので、ここは割愛させていただきますが、処分の方法はその5.1の2つの丸に書いてありますけれども、ピット処分とトレンチ処分を行う。それから5.2でございますけれども、施設の構成としては、廃棄物の埋設地とか、7ページに行きまして、その他廃棄体確認というようなことも行いますので、そうした施設の管理を運営するための検査施設等も考えてございます。
 それから、5.3の埋設処分の手順でございますけれども、これも繰り返しになりますので簡単にさせていただきますが、(2)のところに書いてありますように、ピット処分につきましてはコンクリートピットを設置し、(1)の共通的な事項というところで書いてございますけれども、廃棄体を受入・検査施設に搬入して、廃棄体確認の申請がなされた廃棄体であることなどを整理番号などにより確認していきたいと。また、そういう中で様々な検査をしていくというようなことで手順を考えてございます。2)でそういったことを行い定置した後、セメント等で充填して覆いを施工すると。その後、表面を土砂層で覆うというような手順を考えているということでございます。
 5.4でございますが、事業運営でございます。事業運営としましては、次の8ページをご覧いただきますと、上から3行目のところで、特に以下の事業に特段の配慮を払いながらということでございますが、(1)では人員を確保するとか、十分な教育を行う、コンプライアンスの遵守に努める等を書いてございます。その他書いてございますが、(5)でございますけれども、下から4行目のところでございますが、前回の委員会においてはデータベースの作成についてのご意見があり、情報共有に関する今後のご意見を参考に具体化していきたいということを考えておりますけれども、それに関しましてはこの下から4行目の記述で、機構は廃棄体確認の際に必要となる廃棄体の内容に関する情報を発生者の皆様方と共有するような仕組みを考えていきたいというふうに考えています。
 9ページでございますが、9ページは収支計画と資金計画を書いてございます。これは前回の8月20日の作業部会では、その下から3行目に書いてございますが、総費用を暫定的に約2,000億に設定し、今後の概念設計に基づいて見直しを行うというようなことをご報告申し上げました。今回、その考え方に基づいておりますけれども、その6.1に内訳を書いてございまして、トータル約2,000億円の内訳が、建設、操業、人件費、一般管理費ということで、そこに記述しているような数字を考えてございます。
 それから収支計画と資金計画、6.2でございますけれども、概念設計の結果に基づいて見直しを行うこととしております。見直しにつきましては、平成23年度までに行うこととしておりますので、それまでの間の計画を記載してございます。10ページと11ページに書いてございますが、表の6-2は収支計画を記載しております。注意書きを見ていただきますと、期間中の積立金とその利子及び人件費の繰り入れで185億円を考えてございます。それから、支出予算としては15億円を見込んでいます。経常費用としては、資産に相当するものは費用として計上していないために、14億円としております。それから、純利益、総利益という言葉の名称科目がございますけれども、これも下に注意書きしてありますように、この期間中に機構の予算から178億円繰り入れて、利子利益と合わせて184億円の収益を見込んでいるということでございます。
 それから表の6-3でございますが、これも資金計画でありますけれども、表6-2でご説明したように、収入予算185、支出について予算15億の見積もりで作成してございます。
 それから、次の12ページでございますが、6.3でございますけれども、埋設処分の勘定への繰入金額につきましては、下から5行目に書いてございますように、電源利用勘定や一般勘定から、今回新たにつくりました埋設処分業務勘定に繰入金額をそれぞれ算定して繰り入れます。これらにつきましては、後ほど少し触れますが、年度計画において示していくということを考えております。
 それから、6.4の受託でございますけれども、受託料金を算定する際に用いる処分単価につきましては、廃棄体の処分に要する実費相当としたいというふうに考えております。前回の作業部会において、処分単価に関してピット、トレンチ、それぞれについて設定するような記述にしたらどうかというようなご意見がありまして、ここに「埋設処分方法ごとに」というふうに明記させていただきました。
 それから、6.5でございますが、資金の適正な管理としては、そこの下から2行に書いてございますように、独法会計基準や機構が定める規定等に基づいて、毎年度独立して行うということを考えてございます。
 第7項でございますが、その他の業務に関する重要事項としては安全の確保、これはもう当然でございますけれども、それから13ページに行きまして、廃棄物の発生段階の対応でございますが、これにつきましても機構としては適切に管理してまいりたい。それから輸送、処理の体系につきましては、これは先ほども少し触れさせていただきましたけれども、下から3行目にもまた書いてございますが、前回の作業部会でオールジャパンとして合理的な観点からの計画となるようにというようなご意見がございまして、国のご指導のもとに処理等が合理的かつ体系的に行われるよう、機構は関係機関と協力していくことを記載してございます。
 それから、7.5でございますが、先ほどもちょっと触れましたけれども、機構は毎年度、年度計画を作成し公表するということを考えております。これらにつきましては年度終了後、速やかに年度計画の評価を行って、その結果を公表するということも考えてございます。
 14ページでございますが、ここから第2章でございます。第2章につきましては、この一、二年の間に行うことを書いてございまして、まず概念設計でございますが、埋設施設の規模が約60万本で、それから埋設施設の能力1万2,000本/年を前提として、その3行目にございますような合理的な施設の設備仕様やレイアウト等を設計してまいりたいというふうに思っております。なお、前回の作業部会におきまして、環境保全に十分配慮したほうがよいというようなこともコメントいただいておりますので、それも2行目のところに「環境保全に配慮しつつ」というようなことを記載しました。
 それから1.2でございますけれども、この概念設計に基づきまして色々な設備仕様が得られるわけですが、その下の3行目ですけれども、色々な自然環境や社会環境下の色々な条件を考えまして、その中で線量評価や費用試算を行って、最後のところでございますが、合理性の観点から埋設の安全性や経済性に関する検討を行っていきたいというふうに考えています。
 第2項でございますが、それらの今説明させていただきました検討結果を踏まえて、基準、手順を策定したいということでございます。これは第1章で説明したようなことの繰り返しになりますので割愛しますが、そういったことを踏まえまして、立地基準と手順を作っていきたいと。なお、これも繰り返しになりますが、これらにつきましては実施計画の認可を受けた後、もう1回変更認可を受けるというということを考えています。
 立地基準、手順につきましても、繰り返しになりますので少し割愛させていただきまして、あと第3項でございますけれども、総費用と収支計画、資金計画でございますが、これらにつきましても先ほど説明したように、これらの概念設計を踏まえまして、4行目に書いてございますけれども、施設の建設、操業、人件費、一般管理費等、改めて精緻に見積もりたい。これを総費用に反映していきたいと。それらを含めまして、一番下に書いてございますが、第一期事業の全期間にわたる収支計画及び資金計画を策定するということでございます。
 それから第4項でございますが、処分単価、受託単価についても、この当面実施する事項の中でやっていきたいというふうに考えておりまして、3行目でございますが、受託契約に当たり必要となる事項、内容、条件等についても検討していきたいというふうに考えております。
 第5項につきましては輸送、処理に関する計画でございまして、これも繰り返しになりますが、16ページをご覧いただきますと、私どもの廃棄体化の処理に係る計画を精査するとともに、その結果を踏まえて国の指導のもとに大学、民間等から発生した廃棄物の集荷や輸送が、全体として合理的かつ体系的に行われるように、関係機関と協力してまいりたいと。それから、これらにつきまして具体的な計画が得られましたら、適宜実施計画に反映していきたいというふうに考えております。
 それから、その他の業務でございますが、事業の実施に当たりましてはホームページ等を開設するとともに、情報発信に努め、一元的な相談・情報発信を行う窓口の設置などをしていきたいというふうに思います。また、機構以外の発生者に対するガイドラインやマニュアル等の作成なども考えたい。それから、私ども受託料金をいただくわけですので、そうしたことも適切に管理できるように、お金を管理するシステム等、事業を円滑に推進するために必要な準備活動を行って参りたいというふうに考えております。
 以上、説明を終わらせていただきます。

【山名主査】
 ありがとうございます。
 それでは、この実施計画について皆様のご質問やご意見を伺いたいと思います。10月30日に既に認可申請されている資料でございますので、国の認可のプロセスの中で参考となる意見等ございましたら、ぜひよろしくお願いいたします。どなたからでも結構でございます。挙手をお願いいたします。森委員、どうぞ。

【森委員】
 実施計画を前の部会でも早く出してくださいと言っていた手前からすると、出されたということで、これを早く認可して事業として進めていただきたいと思いますけれども、同時にその概念設計をこれから行われるということで、その結果についてどういうふうに関係者にお示しになるのかということに関しては、ここの中で必ずしも明確ではないと思いますが、先ほど一、二年概念設計をおやりになるということでございますので、大学、民間のほうのこれから処分を委託しようという立場からとってみましても、どのような結果が出てきているのかということは極めて興味はあるというか、重要なことだと思いますので、その検討結果について、2年ぐらいたってから結果がこうですと言われるのではなくて、できれば毎年でも、その実施された結果について、あるいは節目でも結構でございますが、その成果が出たら示していただきたいと、こういうふうに思います。

【山名主査】
 実施計画上、今のようなことは、どこか読めるでしょうか。大澤さん、どうぞ。

【日本原子力研究開発機構(大澤)】
 ありがとうございます。13ページをご覧いただけるでしょうか。私ども、その7.5に年度計画の作成と実施状況の評価というふうに書いております。私どもここの中で、毎事業年度ごとの年度計画を作成するとともに、事業年度終了後、速やかに年度計画の評価を行って、その結果を公表するというふうに書いてございまして、こういった場で私どもの進捗状況を適宜報告するということを考えております。
 それからもう1点、節目ということになりますと、これとは別のときの何かまとまったとか、そういうことがきっとあると思いますけれども、そういったときは適宜ホームページで公開するというようなことも書いてございまして、そういう積極的な情報公開、情報発信に努めたいというふうに考えております。
 以上でございます。

【山名主査】
 森委員、よろしゅうございますか。

【森委員】
 ありがとうございます。よろしくお願いします。

【山名主査】
 その他何か、ご質問等ございますか。五味委員からどうぞ。

【五味委員】
 早いもので、昨年の12月に国の基本方針が策定をされまして、1年たったわけですけれども、基本方針の中で、やはり急がねばならないこの問題について早急に着手すべきだという精神が基本方針の中にあったと思います。そういう意味では、今森委員がおっしゃったように、早急に着手する環境を整えるという意味では実施計画がこういう形で申請をされたというのは大変評価すべきことではないかなというふうに思っています。また、若干の章立て、あるいは項目ごとに深掘りしているところ、していないところ、若干濃淡は見えますけれども、やっぱり今後原子力機構のほうで肉付けをして、適宜計画変更されていくというふうに弾力的な運用が初めのところでうたわれておりますので、そういう意味では大変評価すべき実施計画ではないかなというふうに思っています。
 それからもう一つ、やはりこの実施計画がオープンになるわけですけれども、一般の国民にとってなじみのない専門的な用語というのが多々含まれておりますので、そういう意味では、例えば他の審議会でもよくやるんですが、専門用語集というんでしょうか、そういったものを例えば参考資料という形で少し最後のほうにつけ足してもいいのかなという印象を少し受けました。
 以上です。

【山名主査】
 今の用語集については、国のほうですか。まずは大澤さんのほうから。

【日本原子力研究開発機構(大澤)】
 今、ここにつけるということではなくて、うちのホームページで、これからこれも公表させていただきますし、付随する色々な説明資料もつけていきたいと思います。今の五味委員のご意見も参考に、私ども一生懸命そういった、わかりやすい情報に努めるということにしておりますので、ぜひそういったことも考えてまいりたいというふうに考えております。できるだけ早くホームページは開設したいというふうに考えております。

【山名主査】
 よろしゅうございますか。あくまで実施計画とは離れた話ですね。小佐古委員、どうぞ。

【小佐古委員】
 すみません。小佐古です。
 いくつかあるんですが、今も話が出てきて、柔軟に対応して変更を重ねてやっていかれるということで結構だと思うんですけれども、例えば炉規法等々で変更申請というようなことになると、大体大事になっちゃうんですね。ワンアクション起こすと1年以上ぐらいかかってしまいますので、変更が五、六箇所になれば、それだけ遅れてしまうということですね。原子炉の解体等々では、解体の概要計画を出すと。その詳細は二段構えになっていて、毎回本体をひっくり返して変更するというような構造をとっていないんですよ。だから、初めから変更がいっぱいあるというふうな言われ方をされるんだったら、変更という形ではなくて、構造を上手にやっていただいて、大まかなものから細かくなっていくと。もう既に示されていますけれども、一期計画とか、そこのところの構造をしっかり議論をやっていただかないと、変更しましたというのが五回ぐらい重なると、一体どういう計画をやっているんだというような批判は必ず受けることになるし、手続上でもかなり厄介なことになるのではないのかなと思うんですね。
 2番目ですけれども、これ全体がピットとトレンチということで、炉規法等々で我々が経験している、一番大きな部分を中心にしてこれは書かれているんですね。非常に重要なのが、特に研究所では、例えば出入り口で手をふくというようなことになってペーパータオルがある。これも廃棄物になるわけですね。確認をしない限りは放射性廃棄物から切り離せないですから、その種のものは通常はクリアランスレベルというものを設定して、切り離すというのが通常なんですね。ですから、ちょっとこれの中でどういう位置付けになっているかですけれども、大量な物量が出てくる中、クリアランスレベルに相当するものがあるしっかりした割合で出てくると、それをもってどういうふうに扱うか、炉規法では既に施行されているところで、この文科省傘下でもクリアランスについて議論があるんですが、実はクリアランスの議論も若干迷走しているところがあって、炉規法のほうはPWRやBWRが主であると。その他も核燃施設はあるんですが、パターンが少ない。こちらのほうではバリエーションは非常に大きい。やりやすい施設からやって、とりあえずそれだけというような議論もあって、ぜひそこのところはどういうふうにクリアランスをやっていくのかというのも、抱き合わせでしっかり議論をやられないと、資金計画とか色々なことを書かれても、本当に大きな物量が出てくるほうが抜けてしまうということになるので、そのことはぜひ、どこかで気に留めて、クリアランスレベルもここでご指摘のように合理的な処分の実施という形の中では大変重要な意味を占めるので、どこかで強調しておいていただけたらと思うんですね。
 次ですけれども、後でもおそらくご説明があるんだと思うんですが、集荷、あるいは輸送と処理というところの問題ですね。私たちの議論は処分をするというところにかなりの時間を費やして、それをどういうふうにやる、これが主題ということですから、それで結構だと思うんですが、実際のことを考えると、炉規法と違って対象となる事業所は全国に5,000事業所あると。非密封だけでも2,000事業所あるということで、アイトソープ協会も集荷されているところもあるんですが、それであってもさらにまだ散らばっているところがあると。処理用の核燃関係、研究炉関係というのもこちらに入っているわけですから、やはり輸送をどういうふうに扱うのかというのを真剣に議論しないと、廃棄物はクリアランスに近いようなものであっても、輸送のところで、例えば通常の低レベルというのはドラム缶1本が3万円から7万円ぐらいなんですけれども、クリアランスということになると、すごく下がるということですね。その下がったものに輸送の経費というのがかかってくるということになると、もうこれは全体計画というのがかなりちぐはぐなものになってしまうということですね。
 いわゆる輸送のほうでは、輸送規則が色々なものを決めておって、A型、B型とかそういうのではなくて、IP型というのを整備しているところなんですけれども、そちら側のほうとの絡みのところもしっかり見て、どういう手当てが必要なのかというのもちゃんと議論されないと、全体の計画というのはかなりちぐはぐになるんじゃないのかなというふうに思います。
 それで、ここのところではあまり明確に書いてないんですけれども、処理関係のことをどういうふうにされるのかというのも、やはり物が集まってきて、それで最終的に処分されるという流れの中では、処理のところもやっぱり位置を持つということですね。処理に行く前のところで、廃棄体の確認、あるいは廃棄体の基準というような話が必ず登場してくることになります。廃棄体の確認は、炉規法ではJNESで廃棄体の確認委員会とか、結構手間のかかる作業を随分いっぱいやっておりまして、一体そういうことをどこが主体でやるのかと。あちらのほうは仕組みができ上がっておって、保安院の意図を受けてJNESが実際に確認の機動部隊を動かして、色々なものをやるという仕組みがあるんですけれども、こちらのほうはあちらと違って、申請が出てくると、それこそどういう仕組みでそれの審査をやっていくんですかと。廃棄体の確認等は数十万本と言われているときに、誰が一体どういう仕組みでやるんですか、実施主体が自分でやるんですか、あるいはもうちょっと客観性を持たせるんですかと。その種のものが記録と言っているんだけれども、廃棄体の記録関係をどういうふうに扱っていくんですかというのも、一気にというのは難しいんですが、ぜひ忘れないでやっていただけたらというふうに思うのですね。
 もう既にお話を少しさせていただいたのですが、誰が申請を許可するのですかと。どういう基準で審査するのですか。実はこちらのほうは基準の体系を持っておりませんで、障害防止法で別の体系になりますので、そこら辺のところもどこかの段階で、これは機構側というよりは、国とかで全体どうされるのかということになるんだと思うのですが。
 最後の点ですが、やはりここでも残した部分を我々は持っているということをある程度認識すべきじゃないかなというふうに思います。既に中でも触れられているんですが、余裕深度、50mから100mぐらいの深度を確保したいと言われているものが、さっきご説明になった中でも6万本という数字が登場していますし、ピットとトレンチでそれをこなすというのは、やはり無理があるということですね。それと非常に大きな特徴としてあるのは、こちらの分野では使用済みの小さい線源があるということです。1個1個は小さいのですが、比放射能ということになるとこれは随分高いと。グラム当たりの放射能ということになると随分高いということになって、国際的に見ればコアホールとか、様々な議論がやられているところでありますけれども、全体と一期計画を示されるとここでスタートをする。これはご努力であり、随分立派なことだから、それはどんどんやられたほうがいいと思うのですが、そういう余裕深度に当たるものとか、使用済み線源に当たるものも抱えているというのは、やはり皆さんが共通の認識として持っておられると、この分野というのは非常に包括的な議論をやったことになるのではないのかなというふうに思います。ありがとうございました。

【山名主査】
 ありがとうございます。4つほどご指摘いただきましたが、集荷輸送、それから基準云々のところは次の議題2で少し詳しく議論できるかと思います。
 それ以外のところですね。計画の変更、それからクリアランスの設定の話、それから残された課題への取り組み、何か大澤さんのほうからお答えいただけますか。

【日本原子力研究開発機構(大澤)】
 まず構造ですが、2つというか、1つはこの実施計画の構造という話と、それから認可申請の構造というのがあると思います。認可申請は、安全審査のほうの構造があると思います。これにつきましては、先生からご意見いただきましたように、当面のものにつきましては最終的な形にして、1つの構造にしていくというふうになると思います。
 それから、許認可申請のほうにつきましては、今ご指摘ありましたが、多分あと、少なくとも一、二年終わった後、安全解析等しまして申請することになりますので、そのときまでにまた色々考えていきたいというふうに考えております。
 それからクリアランスにつきましては、これは私どものこの事業だけではなかなかお答えできないというか、全体的に今後規制とか、色々なところからご指導いただきつつ、解決していかなきゃいけない問題だというふうに受けとめさせていただきました。そういうことを、きちっと今の先生のご意見を踏まえながら、関係各所とよく協議するということはございますので、合理的になるような形で十分検討していきたいというふうに思います。
 それから残された部分の話につきましては、確かに現在のところ、これもまたこれから国ないし関係機関と十分協議しながらやっていくということもここに明記してございますので、その方針に沿ってやっていきたいというふうに考えております。
 以上でございます。

【山名主査】
 ありがとうございます。石榑委員、どうぞ。

【石榑委員】
 1点お尋ねというか、むしろお願いなのですが、概念設計を進められるということで、その基本になるのはこの5ページのところに書いてございますけれども、40年ぐらい先までを見た60万本で、ピット22万本、トレンチ38万本と、これがベースになるということだと思うのです。ただ、この数そのものは、40年先の話も含めて色々不確定要因が大きいわけですね。
 1つは将来における発生量がどうなるかということで、今話にもちょっと出ておりますが、クリアランス制度が導入されるというようなことになると、状況によっては廃棄物の、いわゆるここに該当する廃棄物の発生量がどんどん減ってくるということが1つ。私どもアイソトープ協会でもそういったこともある程度評価をしながら、以前こちらに数字を出したときにはそういうようなことも考慮しているわけです。それからあともう1点は、この内訳ですね。ピット、トレンチ、22万本、38万本と、これはその根拠については4ページですか、前のページの2.3のところに基づいてということなのですが、これはまあ、現時点ではある前提を置いて計算をされたということであって、本当に厳密にこういう数字になりますかと。
 例えば我々アイソトープ協会が持っているものについて問われても、なるべく現時点では合理的な数字を出しているつもりですけれども、これは将来技術基準の内容等々によって当然変わってくるもの。それは見直しをかけられるということでよろしいかと思うのですが、やっぱり概念設計、あるいはその後の基本設計とかおやりになるんだろうと思うのですけれども、そこのところでそういった変動要因を十分考慮して、なおかつ過剰に無駄なものを設計に組み込まない、そういう形で設計を進めていただきたい。それが結局合理的な処分につながるということではないかと思います。よろしくお願いいたします。

【山名主査】
 今の件は、例えば4ページの2.3に、中期目標の期間の時期に合わせて数量を再調査するというような方針が書かれておりますので、石榑先生のご指摘、重く受けとめて、そのように動いていただくという理解でおりますが。

【日本原子力研究開発機構(大澤)】
 わかりました。今の先生のご意見、十分踏まえてやっていきたいと思います。ただ、設計に当たりましては、今の先生のご意見の大事なところは多分前提をきちっと、どういう前提で設計をしたかということを明らかにしておくということが大事だと思いますので、設計に当たりましては、どういう前提で設定して設計をしたかということをできるだけ明らかにして、根拠を明確にして合理性を追求していきたいというふうに考えております。

【石榑委員】
 それと、要するに変動したときに、変動幅の大きさにもよるんですが、それがうまく吸収できるような、ちょっと難しいのかもしれないですが。

【日本原子力研究開発機構(大澤)】
 確かに非常に難しいところですが、先生の今のご意見を踏まえて、できるだけ期待に応えられるようにしたいと思います。

【山名主査】
 はい、ありがとうございます。それでは他にいかがでしょう。
 小佐古委員、どうぞ。

【小佐古委員】
 実は今朝の日経新聞の社説なんですけれども、低炭素の要に原発に正面から向き合えと記事があります。25%の削減は如何に実現するかという、かなり紙面をとった説明があって、大きなタイトルのところにも、廃棄物処分は国の責任と、こういうふうな言いぶりが書いてあるのですね。書いてあるのは、やはり処分場選び等々については事業者、そういう実施主体と自治体との関係だけではなくて、地元の働きかけとか、国の積極的な関与が欠かせないというような指摘があるんですね。低炭素で原子力発電所しっかりやれと。それはそうなんだけれども、批判が多いところの廃棄物の処分とか、そういうところにもやはり光を当ててしっかりやれと、こういうエールだと思うのですね。
 それで、なぜ今のお話をさせていただいたかというと、この処分の実施に関する計画、原子力研究開発機構のお名前でお出しになるのでしょうけれども、これが実現するためには、既に中にも書いてあるような地域との共生とか、様々な、ある程度公の周辺整備等々がないと、やはり実現できないということなのだと思うのですね。何が言いたいかというと、色々なところに公表されるのに、これだけが単独で出てきて、あなた勝手にやってちょうだいよということではなくで、こういう計画が出るときには、国としてもこういう社会インフラ的なものは側面支援をしっかりしたいというような、短いものであってもそういう声明と一緒にこれが出ていかないことには、これだけが出てきて、私は技術的に頑張りますというようなことを言われても、実際に立地はかなり困難を伴うということになるので、ぜひこういうものを公表されるときには社会インフラを整えるという側面が、原子力発電所のものよりはるかに研究施設等廃棄物のほうがそういう側面が強いんですね。というのは、大学もそうですけれども、我々のほうは利益を求めて事業ができないというか、基本的に収益を得るような仕組みではないんですね。もちろん病院なんかも若干は収益的なこともあるんでしょうけれども、発電のほうはやっぱり電気をつくると。それに上乗せをするという受益者負担というのがある程度、非常に明確に出てくるのですが、基礎研究とか、そういうところも抱えているこちらのほうは、国側の周辺整備というようなことをセットにしてこのご説明が進まないと、やはり実際の事業としてはできないということになるのではないのかなと思うのですね。ありがとうございました。

【山名主査】
 文部科学省のほうから、その点何か。

【田口原子力計画課長】
 小佐古先生のご指摘、ごもっともでございまして、それなればこそ、昨年策定した基本方針等にも、特に立地のところを中心に、国の関与をきっちりと書かせていただいているところでございますので、あと実際にこの計画を公表するときに、例えば基本方針もセットで公表するとか、他のものをつけるとか、ちょっとそこは工夫をさせていただきたいと思います。検討させてください。

【山名主査】
 それでは、どなたかもう1名ございましたら。もしなければ、大体意見を承ったということで、田口課長、今後の本件の予定でございますが。

【田口原子力計画課長】
 冒頭で申し上げましたように、この機構から申請されましたこの計画でございますが、今後文部科学省、それから今日のご議論は経産省にも伝えた上で、経産省の中で所要の手続きを踏みまして、それで認可をさせていただきたいと思ってございます。
 この後、先ほどの意見も踏まえて、公表の仕方とか、その辺は既に機構から申請の段階で公表はされてございますが、認可の公表に当たっては、そのやり方も検討させていただきたいというふうに思っております。

【山名主査】
 ありがとうございます。それでは議題2のほうに移りたいと思います。
 小佐古委員から今、奇しくもご指摘がありました、集荷、処理、輸送、このあたりであります。前回も非常に大きな議論になりました。この件について、今日特別に議題2として設定しております。ではこの議題について、まずは文部科学省のほうから位置付けをご説明いただいたほうがよろしいでしょう。

【田口原子力計画課長】
 これも前回のこの部会のときにご議論があったかと思いますが、処分の前段に来ます輸送と処理について、この委員会に限らず、これまで様々なところで議論があったと承知をしております。国の制度といたしましては、その処分を原子力研究開発機構が一括してやるということでございますが、その前段の輸送・処理、これは廃棄物の発生者、それから処分の主体である機構、これが協力をしてやっていくということになるんだと思いますが、それに関係します、これまでに皆さんにご議論いただいた課題、これを論点整理という格好でまとめてございます。
 これをスタートに、我々これから具体的に何をやっていくか、あるいは、原子力機構もこの基本計画の中に色々この輸送・処理に関連した項目も入ってございます。それについて、改めてここで皆さんにご議論いただいて、問題点を整理した上でこれから仕事を進めていきたいというふうに考えていただきますので、たたき台として論点整理という紙を用意させていただきました。この欠けているところ等、あるいはコメント等ございましたら、意見をいただければというふうに考えております。

【山名主査】
 川口室長のほうからご説明をお願いいたします。

【川口放射性廃棄物企画室長】
 それでは、資料2の内容について説明させていただきます。資料2の構成は4つありまして、1つが現状、次が課題の所在、それからめくっていただいて、課題解決のオプション、それから3ページ目に当面の対応という、4つから成っております。
 まず現状につきましては、研究施設等廃棄物の処分と処理・輸送の違いというのは、今田口課長から説明いただいたところだと思います。それで、実際その廃棄物が現状どうなっているかというと、大きく3つに分けられるかというふうに考えておりまして、1つが原子力機構から発生する廃棄物、それからRI廃棄物、それから3つ目が大学・民間等から発生する核燃料物質関係の廃棄物と、その3つがあるかと思います。
 最初については、原子力機構の廃棄物は同機構において貯蔵・処理を実施しているという状況です。それからRI廃棄物については、各事業者が所要の費用を負担した上でRI協会がまとめて集荷・貯蔵・処理事業を実施しているという状況です。3番目の大学・民間等については、今それぞれの事業所において廃棄物が保管されている状況です。一方、第5回の作業部会で説明があったかと思いますが、RANDECがこれらの廃棄物を安全確実に輸送・保管・処理をし、処分場へ搬出するための事業化、物流システムに向けた調査研究を平成20年度から3カ年計画で実施中と、そういう状況でございます。
 その中でまず、2項の課題になっていくわけですが、(1)と(2)については、輸送をどうしていくか、それから処理をどうしていくかという体系ができているのですが、大学・民間等から発生する廃棄物については、現時点では輸送・処理体系がなく、以下のような特徴・課題があるということになっています。
 まず、これら大学・民間等の廃棄物については、特徴として各発生者が全国に散在しているということと、その保有している廃棄物がまちまちで、たくさん保管しているところもあれば、少量の廃棄物だけ保管しているところもあるというので、これまで統一的な対応というのがなかったというふうに思っております。そしてまた、基本的に発生者責任として発生者みずからが処理・輸送を行うということなのですが、その中で処理施設の建設費・運転費というのをそれぞれの事業者が負担できるのかとか、それからその運転を行うに当たっての人材はどうなのか、また、実際処理施設を建てるにせよ、その場所をどうするのかという処理場の問題とか、あと輸送においては色々手続きが煩雑とか、色々な課題が挙げられていて、なかなかその議論が進んでいなかったというふうに思っております。
 その中で、これまでの議論をもとに、3項として課題解決のオプションというのを整理させていただいております。
 まず最初に、各発生者が輸送・処理を行うけれども、それに対して処理施設を、例えば設置・運転するための人材育成や技術面での助言、こういうものの支援を行うことによって、そのような動きが進まないかというのが1つ目のオプションでございます。これについては、仮にこういうことをする場合でも、全国に散在する発生者がほんとうに個別に1個1個処理施設をつくるというのが、国全体として効率的なのかという議論はあるかと思います。また一方で、先ほどの課題として挙げられている施設の建設費・運転費とかいう金銭面の問題、それから場所の問題、それから輸送に係る手続きとかいうのは、いずれにせよ課題として残っているということになります。
 次にもう少し事業者が皆で集まって協力していけばどうか。例えば、その廃棄物の属性、可燃、難燃、不燃、廃液とか、放射性物質の種類、放射能レベル、発生施設の種類、例えば研究炉、使用施設、そういうようなもので分類して、グループ化をして、各グループごとで協力体制を構築してはどうかというのが2つ目の選択肢でございます。
 これを行うためには、やはり各発生者が、まずみずからの廃棄物がどうなのか、放射能インベントリをきちんと把握して、それを国全体としても体系的に把握するということが必要かと思います。また、各グループができたとして、その処理施設をどこにつくるのかとか、その費用分担はどうなるのかという、グループ内のマネジメントということが当然必要になります。さらに全体として抜けが生じないよう、適切にグループ化するために、大学・民間等の発生者全体の廃棄物がどうなっているか、マネジメントする者も必要かという課題があるかと思います。
 今度は3番目で、幾つかグループをつくるというよりも、国全体を1つのグループと考えまして、大学・民間等の廃棄物について専門の事業者に一元的に処理・輸送を委託する。RANDECが今行っている調査研究もこういうことかと思います。一元的に輸送処理を行う事業者としては、技術的能力とか、マネジメント能力とか、財政的基盤とか、あと特に廃棄物処理は多分何十年にもわたる長期間の作業なので、それを安定的にできる形態とか、そういうものをちゃんと当該事業者が能力を持っている必要があるかと思います。
 一方重要な課題としては、そういう事業者があったとしても、きちんと発生者の方から仕事がお願いできないとそういうのを続けていくということは難しいので、発生者から当該輸送・処理事業者への関わり方、そういうことも重要な課題になってくるかと思います。あと、やはり施設の設置場所、どこにつくるかということも重要な課題かと思います。
 そして4番目ですが、こういう1から3、それぞれ実施する、グループ化して実施する、一元的に実施する、そういう動きをさらに円滑に推進するためには、例えば溶融のような難しい処理の部分について原子力機構に委託すると。そういうことが考えられるかと思います。ただ、その場合の課題としては、もともと原子力機構の処理施設については、そもそも35万本というかなり多量な、自らの廃棄物を処理するということのためにつくられているということがありまして、そういう意味では、その原子力機構の貯蔵能力と本来の業務との関係での処理能力、そういったものを考慮することが必要かと思います。
 その意味で原子力機構上は、処分の業務については本来業務ということで、先般の法改正で改正されたわけですが、この貯蔵や処理については、あくまでも本来業務に支障がない範囲内で貯蔵、処理を受託できると、そういうふうに規定上の位置付けが違っているというところについて留意する必要があるかと思います。また、実際に原子力機構が受託するにせよ、施設を有効に利用するためには、発生者側においても、例えばあらかじめ廃棄物の十分な分別管理をするというような所要の協力を行うことによって、全体として効率的にこのような活動を進めることができるといった意味での発生者側の協力も課題かと思っております。
 そして、このような選択肢を踏まえて、当面の対応として4つまとめさせていただいております。まず1つは、やはり各発生者において、自らの廃棄物の放射能インベントリ、どういったものがあるのかということを把握することが必要かというふうに思っております。
 次に処分主体としての原子力機構は、埋設事業を円滑に進めるために、実施計画にも記載があったと思いますが、原子力機構以外の発生者に対して情報発信、ニーズ把握、安全規制に必要な情報提供・協力の要請、技術的助言を行ったり、廃棄体に関する情報を発生者と共有すると。こういう活動を行うことが必要かというふうに考えております。
 また、大学・民間企業等については、発生する研究所、自らの廃棄物をどのようにしたいのか、どういう体制でやるのかということについて、各発生者間できちんとその体制について検討していくことが必要かと思いますし、大学・民間企業の廃棄物の世界だけでなくて、研究施設等廃棄物はもっと大きな世界もありますので、そこは国全体としてどう合理的・体系的な輸送・処理体系を構築するかということについて、原子力機構も含めた発生者が協議を行う場というのが、別途必要ではないかということが、当面の対応として挙げられるかというふうに思っております。
 残りは参考資料として、平成18年にまとめました報告書の関連部分の抜粋と、あと参考2として、原子力機構の関連する法律の抜粋をまとめさせていただいております。
 資料の内容は以上でございます。

【山名主査】
 ありがとうございます。それでは、この件についてご自由に少しご意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
 東嶋委員。

【東嶋委員】
 ありがとうございます。1ページ目のRANDECが、今問題になっています大学・民間企業から発生する廃棄物について、事業化に向けて調査研究をしているということですので、ある程度データをお持ちと思います。今ご提示いただいた内容だけでは、ちょっと意見を申しかねるといいますか、例えば大学・民間企業といってもどの程度あるのかなどということがわからないので、議論のしようがないので、ある程度この調査研究でわかっているデータをお示しいただければと思うのですが。

【山名主査】
 それでは森委員のほうからお答え願います。

【森委員】
 森ですけれども、これは今年の5月にRANDECのほうが今までどういう検討をしているかというのは、この部会で出させていただいたのですが、もうそれから約半年経ちましたので、どれだけの事業者がどういうふうにあるかということを申し上げたいと思います。今我々が押さえているのは、約80事業者ございます。それで、事業所数は約100でございます。その中で多く持っておられるところと、非常に少ないところ、一、二本のところまで、今言った100事業所の中にはございまして、そのうち6社、これは民間でございますけれども、6社だけで全体の7割5分持っておられます。それであと100本以下のところが、20から30ぐらいでございます。ですので、量として非常に少ないところから、3,000本以上持っておられる6者がございまして、そういうような格好で、少しずつ形態が違うということでございます。
 

【東嶋委員】
 その前のこの場でそのデータを出されたということで、私そのとき欠席でしたので申しわけないのですが、そういった調査研究された内容が今ここに出ている課題という理解でよろしいんですか。

【森委員】
 これは私のほうからすると、非常に色々なオプションをお考えですけれども、今ご説明したような形から考えると、あまりオプションが、実はないんじゃないかなと、こういうふうに思います。というのは、例えばオプションの1ですと、各事業者でやりなさいと。これは数本しかないところで処理施設つくるなんて、こんなばかなことを考える人はまずいませんし、それからグルーピングといっても、先ほどちょっとご説明しようと思ったんですが、グルーピングの数が実は非常に限定されているということからすると、グルーピングすること自体はあまり意味ないだろうと。そうすると、あとは全国的に統一的に考えるのか、一部原子力機構にお願いするかと、こういう方策しか出てこないので、あまりオプションというのはそれほど多くありませんというふうに思っております。

【山名主査】
 オプションの議論の前に、データをどう扱うかという議論ですね。これは、じゃあ小佐古委員、何か。

【小佐古委員】
 小佐古です。東嶋さんがお聞きになったのは、調査された結果が反映されて、そのままこれになっているんですかということなんだと思うんですね。ただ、これは国の川口さんのところで中心になってやられて、調査された結果というよりは、お気づきになった議論の論点のたたき台としてお出しになったんだと思うのですね。むしろ調査された結果というよりは。
 というのが、ここの分類があるんですが、実は先ほども話をさせていただいたように、炉規法と違って、こちら側のほうはバラエティーがあるということで、なかなかこれほどシンプルにならないんですね。先ほど3分類があったのですが、各自でやるというのは、実は各自で色々やっているんです。液体シンチレーションというのがあって、小さな焼却炉を持ってばらばらで処理しているんですね。それは早いうちにどうするかを決めないと、ばらばらのものをずっと出し続けるということになるような課題を抱えたまま走っているということですね。
 グルーピングというのも、実は医療用は別のグループになって集まっていたりとか、不揃いなのですね。さらにウラン等々が入るところは非常に錯綜しておりまして、計量管理をいつ切り離すかとか、あるいは、利用者のほうは廃棄物と称しているんですが、少量国際規制物質ということで、電子顕微鏡しか持っていないような人が25グラムの瓶にウランがある、トリウムがあると。昭和52年以前は自由に薬局で売り買いしていましたので、それの残滓があるみたいなものが、彼らは皆廃棄物だと思っているのですよ。だから、そういうようなものをどういうふうに扱うのかとか、必ずしも平板的ではないということですね。
 ここでRANDECのご提案といいますか、一元的に集めるというところも実はかなり複雑になっていまして、というのが、さっきもお話ししたように25グラムの瓶が1個あるところにわざわざ集荷に出かけるのかということですよね。実際にはアイソトープをデリバーするときに、帰りにまた乗せるとか、先ほど輸送規則のこともお話ししたのですが、混載ですね。色々なものと混ぜて廃棄物が運べるのかとか、そういうような問題が非常に縦に横に複雑に絡んでおりまして、そこをクリアしないと炉規法のように大きな物量のものがあって、美しく組織を作ってまとめてやるということが、こちらの分野ではできないのですよ。
 実はアイソトープ協会の集荷のところはノウハウをいっぱいお持ちなのですが、これはある意味で業務上のノウハウになって、それを全部ここで開陳しろというのも、私はどうなのかなという気もちょっとするのですが。だからぜひ議論をやられるときには、お気づきだと思うのですけれども、縦に横に複雑に絡んでいるので、それを糸をほぐすように丁寧に議論をやっていただくと、非常にローコストで皆さんに喜ばれて、事業としてもスムーズにいくような形の話なのではないのかなと思いますね。
 今日川口さんがお出しになったのは、私どもの了解では議論のためにまず一石を投じてみたというポジションではないのかなという、私なりの理解です。

【山名主査】
 石榑先生、何か。はい、どうぞ。

【石榑委員】
 1つ確認なのですが、ここで今対象となっている廃棄物というのは、基本的にはRANDECが調査されたものがメインであると。そういう理解でよろしいのですか。
 それが1点と、あとはこのオプションの位置付けは、先ほど小佐古委員が言われたように、まずはスタートポイントとして原則的に何が考えられるかというのを整理されたということだと私も理解しておりますが、皆それぞれ大変難点があってなかなか難しい。それであるがゆえにこれまでなかなか進まなかったということだと思うのです。私の個人的な感想で申し上げますと、2番目のオプションというのは、これはかなり分別に大きく依存しているようなのですが、分別に100%の信を置くことは大変危険であるというのが私どもの経験で、RI廃棄物の場合には帳票をつける、廃棄物にちゃんと中身について記載して受け取ることになっておりますが、なかなか色々ございます。分別は非常に重要です。重要なのですが、それに全面的に依存してしまうようなシステムというのは大変危険である。
 それから、小佐古委員もおっしゃったのですが、3の輸送と処理を、一元的という意味は輸送と処理を同一事業者が行うと、そういう意味であるとしますと、ここは必ずしも一元にしなくてもよろしいのではないかなと。輸送と処理というのはかなり違っていまして、例えば私どもアイソトープ協会は公益法人でございますが、公益のために行っているつもりでありますけれども、全国ネットのそういう集荷システムを持っているわけですね。一方その処理になりますと、これは、たとえ処理といえども、非常に立地の問題が大きなバリアになっていることはもう明らかであります。ですから、そういうところを2つ一括でやってしまうのか、輸送は輸送で、例えば、法律をよく精査しないで申し上げることは具合が悪いのですが、例えばアイソトープ協会が混載できる、そういうようなことがあれば、アイソトープ協会が受け持つということを検討することもあり得ることかなと私は思っておりまして、そういう意味も考えますと、ここは必ずしも、一元的ということでなくてもよろしいんじゃないか。
 ただ、ユーザーは我々の経験では、やはり廃棄物を手放すときに全部お金を払って、全部そこで終わりにしてしまいたい、そういう気持ちがあることは確かだと思いますが。
 以上です。

【小佐古委員】
 それと2番目の属性ごとのというのが、今もアイソトープ協会は、医療用というのは別に集められているんですね。これはやはり、分別が大変だからということだけではなくて、医療用はメディカルハザードというようなものも峻別をしないといけないという意味で、その意味でいきますと、やはり医療用をこういうグループ分けして集荷されるというのは、法律上の適用される法律が違うとか、違うファクターも抱えているというような面で、やはり残っていくのではないのかなという気がいたしました。すみません。

【山名主査】
 森委員、何か。

【森委員】
 私のほうからは、やはりこの全国に廃棄物があって、それは基本方針のときにも議論したのですけれども、日本全体としてコストを如何に低くするかと。これは常に持っていないといけませんねと。これがまず第1前提に私はあると思うのです。その中で私は、あるところは、例えば大学・民間でも量が少ないところは、廃棄物は例えば原子力機構にお願いできないかとか、あるいは、逆に原子力機構のやつでも、少量の施設、事業所もございますから、それは逆に大学・民間と一緒にやったらいいじゃないかとか、色々なオプションが考えられて、それはすべて日本全体としてこういう廃棄物の処理処分をするために必要な経費をなるべく少なくするために、どういうふうに皆が頭を使ったらいいかということでございまして、そういうことからいいますと、例えば今ご指摘があったような輸送についても、これはRI協会がお持ちの輸送システムがあれば、それは提携してお互いが使い合うということは当然考えるべきであるし、逆に、例えば1万本持っているところを、例えばRI協会にお願いすると、これまたRI協会の全国集荷の中からいうと、オーバーフローしてしまうようなところもありますから、逆にそこは専用の輸送のやり方を考えたほうがいい場合もあります。
 そういうような格好で、あるいは事業所によっては非常に大型の容器を持っている業者だってあるわけなんですね。そういうやつをどうやって運ぶのだというと、これはまた逆にRI協会というよりも、むしろそういう輸送の専門会社がありますから、そういうところの力を借りたほうがきっといい運び方ができるとか、色々なことを今我々のほうでも検討しております。
 そういう中でやっていくことと、それからもう一つ、日本全体でどうするかということを考えた中で、先ほど小佐古委員のほうからクリアランスの話が出たと思うのですけれども、大学・民間でも、運営していく中で出てくる廃棄物もありますし、それから廃止措置から出てくる廃棄物もございます。その中で、例えばこの事業をやっているということで、低レベルだけ持ってきますという、あるいは余裕深度のものを残していきますと、あるいは場合によるとウランを持っていて困っている事業者もあるとか、そういうような状況でありますので、そうすると、例えばクリアランスのものについては産業廃棄物との関連においてどういうシステムを作っていったらいいかとか、そういうところまでやっぱりトータルにその廃棄物を扱っていくことをぜひ検討すべきだと、こういうふうに思っています。
 我々RANDECは今、その観点からどうあるべきかということで昨年から検討しておりまして、例えば経済性、事業として成立するための経済的には大体どれぐらいの費用がかかるかというところまで、実ははじき出してきておりまして、そういうものについて、じゃあ大学・民間の人はそれでもって受け入れることができるのかどうか、そういうようなことをこれから議論していきたい、こういうふうに考えております。

【山名主査】
 三代委員、何か。

【三代委員】
 処分について、確かに実施計画を出させていただいて、今日の議論、これは処理と輸送、これは非常に大事な問題であるという認識をしています。これは今日の中で色々なオプションがありますけれども、実際には廃棄物というのは、先ほどから小佐古先生、石榑先生がおっしゃっているように、非常に奥深い複雑な縦糸と横糸があって、これをどうやってほぐしていくかということで考えていかなくてはいけない。原子力機構の場合は処理というのもこれから色々な設備を作って、35万本のほとんどまだ廃棄体になっていないものが大多数なんですけれども、それを処理していかなくてはいけない。ただ、色々な原子炉等規制法に関わるもの、あるいはRI法に関わる、色々な廃棄物を持っている。そういう中で、実際に処理が進んでいく、そして処分場が何か進展ができるというような形になったときに、前回の余力の範囲でという議論がありましたけれども、そういう形で色々な人の廃棄物の処理というのができるのではないかと思います。
 ただ、ここで考えておかなくてはいけないのは、やはり法律的な問題、それから地元との関係、ここは十分配慮しつつ進めていかなくてはいけないと思っております。ちょっとここで私として言っておきたいのは、当面の対応で、みずからの廃棄物の放射能インベントリを把握することが必要と一番最初に書いてあります。これは非常に大事であると思います。また、それと同時に、これは大変な作業であると。これをどこまでしっかりやるかということによるんですけれども、どういう核種がどのくらいの濃度でどういう形で入っていたと。他に化学的に有害物質なんかが入っているかどうかとか、そういうのをしっかり把握しておかないと、実際に処理するときに後で色々な問題が起きてくる可能性があるということを指摘しておきたいと思います。とりあえず今の話です。

【山名主査】
 佐々木先生何か。どうぞ。

【佐々木委員】
 もう大分意見が色々出揃いました。他にあまり大きな言うべきことはないのじゃないかなと思いますが、先ほどの川口さんのご説明の中で、「この資料にさらに何か補うものがあるか」とおっしゃったと思うのですが、あえて言えば、経済とか経営の専門の者として言えば、もし何か今まで出た意見の他に補うことがあるとすると、この資料2の5ページのところ、一番下のほうに、「各発生者が個別分散的に行うより、集中的に行う方が合理的である」と、こう一文があるわけですけれども、我々の立場から見ると、本当に個別分散的にやる場合と集中的にやる場合と、どちらがよりメリットがあるかというようなことを判断する場合に、どれだけの物量を処理あるいは色々と稼働する場合に、あるいはここで言えば「輸送」とか「処理」とか色々な作業がありますが、そのときそれぞれにコストがどれだけかかり、しかもそれがどのように変化するかという、「コストビヘイビア」といいますが、それがやっぱり一番気になります。つまり、ここでいう「集荷」から「処理」とか、あるいは「貯蔵」、「輸送」とか色々なプロセスがあるわけですが、それらの過程ごとのコストがその作業数量が多い時と少ない時で、どのように変化するかというところの実証的な分析とか、そういうようなものがある程度わかれば、「個別分散的」にやったほうがいいのか、あるいは「集中的」にやったほうがメリットが大きいのかということは判断しやすいと思いますね。それが1つ。
 それからもう一つは、やはり我々の分野から言うと、「一元的にやる」というやり方が1つあるわけですけれども、ただ、その場合にはそれでまた色々弊害もあり得ると思うのですね。やはり事業を行う場合に、同業の中に2つ以上のものがあって、互いに競争したほうがおそらくコストはより安くなるだろうというのが普通ですから、もしそれが1社体制でやるのであれば、何らかの規制とか、総コストの規制とか、何か要るということになるのではないかと思うのですね。ですから、もしできればある程度「競合」とか、「競争的」な、そういう要素が加味されたほうがいい、そのほうがコストをより縮減するという意識がより働くだろうということは当然考えられる。もし補うとしたらその2つです。

【山名主査】
 ありがとうございます。手短にお願いいたします。小佐古委員、どうぞ。

【小佐古委員】
 はい、小佐古です。一般の商品とか、一般のものなら今の議論でいいんですが、原子力とか放射線が違うのは、法律とか、規制とか、確認をするとか、検認をするというプロセスが入っているところが一番違うということですね。だから、クリアランスなんかも検認も確認もなければ、現場で測って済むのなら今の議論でいいんですが、実際には現場で検認をしたりとか、確認をしたりとか、確認もしないで世間に出すのかと言われるから、検認機関を動かすということになると大ごとになる、仕組みがどうなると大ごとになるという議論をやっているわけですから、コストをはじけば、集中か分散がいいというわけにはいかないということですね。コストとか、そっちのほうはむしろ制度設計のずっと後ろ側にあるということじゃないのかなと思うのですね。
 2番目の点ですが、もちろん競争をやればよろしいんですけれども、この議論の中でもどなたが最終的に実施主体になるかというので、やっぱり皆さん苦しいわけです。だから、やはり規制があり、立地の了解をいただき、非常に困難な道を歩いていくということですから、一番最初のスタートとか、一番最初のやり方というのは、やはり基本形となるものをしっかりやっていただくところを視野に入れて、しっかりした議論をやられるのが一番よろしいのじゃないのかなというふうに思います。単純にやっていいという話であれば競争でいいんですけれども、許可をいただくとか、地元の了解をいただくとか、そういうプロセスを考えると、国が2カ所も3カ所も応援してやれるような状況には、私はないように思うのですけれども。

【山名主査】
 ありがとうございます。五味委員、どうぞ。

【五味委員】
 手短に。お聞きしていて、私は誰が合意形成を図っていくのかなと思ったんですね。大小様々、数多の発生者、さっき小佐古委員から5,000以上というお話を聞きましたけれども、勝手にこの場で議論をしています。ですから、やっぱりそういう数多の発生者の合意をどういう形で誰が理解促進をしていくのかというところの議論というのは、やっぱり結構大事じゃないかなという感じがしました。
 以上です。

【山名主査】
 ありがとうございます。そろそろもう時間が来ておりまして、今日はとにかく色々な意見をいただきました。何よりもやはり、今わかっているデータをよく見た上で、今何人かの先生がご指摘の、個別の総論で議論していると実は最後に各論のところがネックだというのはよくある話でありまして、そこの各論をきちんと見ないとなかなか議論ができないということが、今の議論でよくわかってまいりました。ということで、今後、例えばRANDECの調査の話をもう一度聞くとか、今ご指摘いただいたコスト、安全性、属性の検認云々、様々な現実的な問題を少しずつ紐といていくというプロセスが必要であるというふうに思います。今日はその第1回の切り口を開いていただいたということで、大変貴重なご意見を承りました。最後に五味委員もおっしゃるように、誰が合意形成をと。これは非常に難しいところで、ただ、合意形成を誰が引っ張っていってくださるかということは非常に重要なところがありまして、これは国としてもこういう取り組みについてのお考えがあるかと思います。田口課長。

【田口原子力計画課長】
 今日は、色々ご意見をありがとうございました。ご指摘ありましたように、今回の論点整理自体は、まさにこれからの出発点ということで用意をさせていただいたつもりでございます。もちろん背景としては発生者がたくさんいるとか、そういう基本的なデータは一応考えていますが、ただ、どこにどれだけあるかという、本当の正確なデータは実をいうとわかっていない。これは、機構はこれから処分の実施主体としてデータを集めて、処分の事業に向けてやっていかなきゃいけない話だと思っています。
 それからあとは、ここに書かせていただいておりますが、発生者同士の協議の場というものをやはりつくる必要があると考えていまして、それも誰が集めるのかというのも実をいうとあるんですが、これも鋭意作業を進めていきたいというふうに思ってございます。処分自体は機構が責任、法律に基づいてやる。それから処理・輸送のところは、基本的には発生者責任ということではございますが、国全体としてきちんと進むように、国が調整をしてやっていきたいということでございますので、今後とも皆様のお知恵を色々拝借しながら進めさせていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【山名主査】
 とりあえず文部科学省のほうでリーダーシップをとっていただけそうでございます。この問題はそもそも発生者が、自分たちが何を作ってきて、何を貯めてきて、どういうものであるかという、発生者の認識がまずあるレベルに達することが一番大事なことでありまして、いずれにせよ国全体として発生者責任、それからこういった統一行動をとるという動きに何とか持っていくということが至上命題であるというふうに思います。国のリーダーシップも今、表明がございましたので、次回以降、またここ議論を続けていくという理解でおりますが、よろしゅうございますね。
 それでは、ちょっと時間押してしまいましたが、今日は貴重な意見を伺ったということで、以上で議論を打ち切りたいと思います。それでは今後の予定等につきまして、川口室長のほうから何か。

【川口放射性廃棄物企画室長】
 次回作業部会についての日程等については、また後日事務局よりご相談させていただきたいと思います。また、本日の議事録につきましては、出来次第メールにてご相談させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

【山名主査】
 それでは、第7回研究施設等廃棄物作業部会をこれにて閉会いたします。ありがとうございました。

 

── 了 ──

 

お問合せ先

研究開発局 原子力計画課 放射性廃棄物企画室

電話番号:03-6734-4119
ファクシミリ番号:03-6734-4162

(研究開発局 原子力計画課 放射性廃棄物企画室)