原子力分野の研究開発に関する委員会 研究施設等廃棄物作業部会(第6回) 議事録

1.日時

平成21年8月20日(木曜日) 13時~15時

2.場所

文部科学省 6階 6F3会議室

3.議題

  1. 埋設処分業務の実施に関する計画について(原子力機構)
  2. 研究施設等廃棄物に係る安全規制の現状について(放射線審議会における検討状況について)(文部科学省)
  3. 研究施設等廃棄物に係る安全規制の現状について(放射線安全規制検討会における検討状況について)(文部科学省)
  4. 研究施設等廃棄物に係る安全規制の現状について(原子力安全委員会における検討状況について)(原子力安全委員会事務局)

4.出席者

委員

山名主査、石榑委員、五味委員、佐々木委員、柴田委員、白羽委員、高橋委員、辰巳委員、平山委員、三代委員、森委員、山内委員

文部科学省

田口原子力計画課長、川口放射性廃棄物企画室長

5.議事録

 【山名主査】
 皆さん、こんにちは。お忙しい中ご参集いただきまして、ありがとうございます。それでは、ただいまから第6回の研究施設等廃棄物作業部会を開催いたします。 
 まず初めに、このたび事務局で原子力計画課長と放射性廃棄物企画室長の人事異動がございました。一言ご挨拶をお願いします。 

【田口原子力計画課長】
 私、山野の後任で原子力計画課長を拝命いたしました田口でございます。原子力の仕事は科学技術庁時代から色々やってまいりましたが、またこういう形で原子力の仕事に携われるということで、私自身も身の引き締まる思いでございます。特にこの廃棄物の話、非常に重要だと思っていますので、ぜひ委員の皆様のお知恵を借りながら、行政としての課題をうまく着実に解決、あるいはこなしていきたいと考えてございますので、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。

【川口放射性廃棄物企画室長】
 7月6日付で次田の後任で参りました川口と申します。今後ともよろしくお願いいたします。

【山名主査】
 それでは、事務局のほうから本日の議題と配付資料について説明をお願いいたします。

【川口放射性廃棄物企画室長】
 議事としては本日2つございまして、1つ目が、埋設処分業務の実施に関する計画について、原子力機構よりご報告いただきます。2つ目は、研究施設等廃棄物に係る安全規制の現状について、文部科学省の安全規制当局及び原子力安全委員会よりご報告をいただきます。それに関する配付資料が5点ございます。
 資料1-1としまして、埋設処分業務の実施に関する計画についての横紙がございます。その次に資料1-2として、埋設処分業務において当面実施する事項についてという横紙がございます。資料2-1といたしまして、放射線審議会基本部会報告書(案)というものがございます。その次に、資料2-2として、これは1枚紙ですが、放射線障害防止法におけるクリアランス制度導入等に係る制度設計の基本方針という紙がございます。資料2-3といたしまして、原子力安全委員会における検討状況についてという資料がございます。
 机上配付資料として、昨年の12月にまとめました「埋設処分業務の実施に関する基本方針」が置いてございます。それから、前回の議事録の案が同じように机上に配付してございますので、これについて先生方でご確認いただき、何かコメント等があれば、後で事務局のほうまでいただければと思います。
 以上が配付資料でございますが、不足等があれば挙手いただければと思います。

【山名主査】
 ありがとうございました。
 それでは、議題の1でございますが、埋設処分業務の実施に関する計画について、に入りたいと思います。まず、この議題の取り扱いの位置づけについて、文部科学省の田口課長からご説明をいただきまして、三代委員から概要を説明いただきました上で、詳細について原子力機構の大澤正秀埋設事業推進センター長よりお話をいただくと、こういう計画にしております。
 では、課長のほうから。

【田口原子力計画課長】
 お手元に議題として提示してございます埋設処分業務の実施に関する計画は、法律に基づきまして原子力機構が作成して、国の認可を得るという形になってございます。これまで国が策定いたします基本方針につきまして議論をいただいて、12月に策定した基本方針が本日配付されてございますが、機構はこの方針に従って、この計画を作成するということになってございます。特に作業部会の委員の先生方には、この基本方針と現在機構のほうで作成中の実施計画を、概要という形でこれからご説明いたしますが、整合がきちんととれているかというところを中心に、ご意見をいただきたいと思ってございます。
 その他、お気づきの点がございましたら、ぜひ大所高所に立った観点からご意見をいただければ、これから機構のほうで計画の詳細を書いていく際に適宜参考、あるいは肉づけ、そういうものに生かしていきたいと思ってございますので、ぜひよりよい実施計画が作成できますように、皆様の有識者としてのご意見をいただきたいと思ってございます。本議題の位置づけは以上でございます。

【山名主査】
 三代委員のほうからお願いいたします。

【三代委員】
 三代でございます。今、田口課長からお話のありましたとおりでございまして、昨年の12月、基本方針が定められて、一度この作業部会でも5月に簡単にご説明させていただきましたけれども、鋭意、原子力機構の中で検討を進めております。今般、原子力機構といたしまして、埋設事業の基本的事項について、何を実施計画に記載するか、当面何を行うべきであるかということについて固まりつつあるところでございます。
 本日、この作業部会において皆様にご説明をさせていただいて、その結果をもとにさらに良い実施計画にしていきたいと考えているところでございます。今日はかなり詳細になりますので、前回、5月と同様に大澤埋設センター長に説明をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【日本原子力研究開発機構(大澤)】
 それでは、説明させていただきます。大澤でございます。よろしくお願いいたします。
 本日は、お手元に資料1-1と1-2の2つの説明資料を用意させていただいております。まず、この資料の構成の考え方について若干触れさせていただきます。今原子力機構では、理事の三代のほうからございましたように、実施計画を基本方針にのっとりまして慎重に検討しているところでございます。基本方針におきましては、立地地点の選定に関わる手順の透明性を確保し、公正な選定を基本として立地基準及び立地手順をあらかじめ公表することが示されています。
 これに沿って国民の皆様のご理解が得られるよう立地選定を行うためには、私どもとしては特に立地基準、立地手順は十分な技術的根拠に裏打ちされていることが重要であると考えております。また、全国の様々な事業者の方々のもとで発生しております様々な放射性廃棄物を埋設処分することも、これから進める本事業の特徴であります。
 埋設事業を確実に進めていくためには、様々な廃棄物を確実に処理・輸送するための体制整備等についてもあわせて十分な検討と調整が必要と考えております。また、国民の皆様に本事業へのご理解を深めていただくための活動が重要とも考えております。
 そこで、申請させていただく実施計画においては、1つ目として、今後長期にわたり実施する埋設事業について基本的な事項を定める。これに加えて、2つ目として、先ほど検討・調整が必要と述べましたような立地基準及び立地手順案の策定、処理・輸送体制の整備、理解を深めていただく活動など、実施計画の認可をいただきました後に、当面実施していく事項についても定めることを考えております。
 このような考え方から、これから説明させていただく1-1の資料では、実施計画にて記載しようとしている基本的な事項を取りまとめ、後ほど説明させていただく資料1-2の資料では、当面実施しようとしている事項を取りまとめております。なお、実施計画文案そのものにつきましては、先ほど三代のほうからも申し上げたように、本日の作業部会のご意見などを踏まえて作成を進めてまいりたいと考えております。
 それでは、本資料の説明をさせていただきます。次のページをご覧いただきたいと思います。まず、埋設処分業務の実施に関する計画の位置づけでございます。昨年6月に原子力機構法の改正をいただきまして、私どもが研究施設等廃棄物の処分の実施主体と位置づけておりますが、改正された機構法の第19条を抜粋してございます。ここの19条の抜粋にございますように、基本方針に即して埋設処分業務の実施計画を作成するということが書かれております。これにつきましては、主務大臣の認可を受けるということになってございます。
 その実施計画に書くべき事項としては6項目ございます。一として、対象とする廃棄物の種類、その量の見込み、二として、その時期、その量、これに必要な埋設施設の規模、能力、三といたしまして設置に関すること、四といたしまして実施の方法に関すること、五として収支計画及び資金計画に関すること、六として、その他省令で定めていただく事項ということになっております。
 なお、この3項にございますように、認可を受けた際には、遅滞なくその計画を公表しなければならないということも定められてございます。
 こういう機構法上の法律に基づきまして検討しているわけでございます。
 次のページをご覧いただきたいと思います。今、機構法のほうで説明させていただきましたように、実施計画では基本方針に即して作成することになっておりますので、このページ以降につきましては、基本方針の概要を赤枠で示させていただいております。それに対比させた形で、現在私どもが実施計画に記載しようとしている内容につきまして記載してございます。
 以下、同様でございます。まず1、基本方針の概要でございます。先ほどご説明した機構法には特段この「はじめに」に相当する部分を書くことは定められておりませんが、基本方針でも書いていただいておりまして、私どもの実施計画としても、冒頭に青枠で示したようなことを書きたいと考えております。
 具体的には、私どもが実施主体として責任を持って埋設処分を確実に実施すること、安全の確保、事業の透明性及び信頼性の確保、国民の理解と地域との共生、発生者による応分の負担と協力、合理的な処分の実施等について留意して事業を進めたいということを記載しようと考えております。
 次のページをご覧いただきたいと思います。これは基本方針の2項に即して記載しようとする内容でございまして、機構法で言いますと、19条第2項の第1号に相当する部分でございます。ここではまず、放射性廃棄物の種類ということで、業務の対象としようとするものにつきましては、2行目でございますが、高レベル放射性廃棄物を除いた低レベル放射性廃棄物で、ピット処分、トレンチ処分及び余裕深度処分による処分を必要とする廃棄物ということでございます。
 その中で、1つは機構廃棄物でございます。これは、機構の業務に伴い発生したものでございまして、過去のものも含まれてございます。それから、受託廃棄物といたしましては、機構以外のところ、研究機関だとか、大学だとか、そういったところで発生した放射性廃棄物についても対象とするということでございまして、最後のところで、これらの対象廃棄物については、国全体として抜け落ちがないように合理的、網羅的な処分ができるように関係機関と連携協力して対応してまいりたいということを記載しようと考えております。
 次のページにも続いておりますので、ご覧いただきたいと思います。実施計画に記載する内容として、その対象とする放射性廃棄物でございますが、平成60年度までに発生が見込まれる対象廃棄物で、トレンチ、ピットによる埋設処分が可能なもの。それから、余裕深度処分が必要となる放射性廃棄物については、合理的かつ効率的な処分が可能となるよう、国及び各関係機関と連携協力して、今後処分のあり方について調整を進め、その結果を踏まえて、具体化を図るということを記載しようと考えております。
 第1期事業において処分を行う量の見込みでございますが、平成20年度における調査の結果、廃棄体が約53万本でございまして、この見込みにつきましては、原則、私どもの中期目標期間、5年間でございますが、これにあわせて定期的な調査を実施し、見直すということも記載したいと考えております。
 次のページもご覧いただきますが、これも先ほどの続きでございます。埋設処分を行う時期、量、規模及び能力でございます。これは立地の合意をいただいた後の話でございますが、環境調査段階だとかを含めて初期建設期間で8年、その次の項でございますが、操業期間としては50年でございます。その後、2つ目の項の2行目でございますが、3年間程度の最終覆土期間を設け、その後、閉鎖後管理段階といたしまして、ピット処分は覆土後約300年を、トレンチ処分につきましては約50年を目安に管理期間を設けたいと考えております。
 規模でございますが、廃棄体につきましては、ピット22万本、トレンチ38万本、合計60万本に相当する規模を想定してございます。埋設施設の能力といたしましては、全操業期間の年平均でピット約4,000本、トレンチ約8,000本の埋設処分が可能な能力を考えてございます。
 次のページをお願いします。これは、機構法によるところの第3号でございます。実施計画、埋設施設の設置に関する事項でございます。ここでは、我々の心構えとして、埋設事業を円滑かつ確実に推進するため、国と一体となって、原子力機構以外の発生者等の協力をいただきながら、埋設施設の立地のために必要な活動に取り組むということにしてございます。
 次のページでございますが、続きでございますけれども、立地基準と立地手順の策定という部分でございます。冒頭でも述べましたように、繰り返しになりますが、立地地点の選定については、透明性の確保、公正な選定を行うために技術的な根拠が必要と考えておりまして、これを行うためには概念設計を実施したいと考えております。これらの結果に基づいて得られる客観的な技術的及び経済的な根拠、並びに社会的要件等を踏まえて立地基準、手順を策定し、公表していきたいと考えております。個別地点を対象とした活動につきましては、公正な立地選定の観点から、基準及び手順を明確に定め、実施計画の変更認可を受けた後、着手したいと考えております。
 国民の理解に関する事項でございますが、埋設事業の必要性、安全確保の取り組み等について情報発信するとともに、一元的な相談・情報発信を行う窓口を設置し、対応していきたいということを記載したいと考えております。
 地域との共生につきましては、国及び原子力機構以外の発生者の方々の協力をいただきながら、立地地点の持続的な活性化につながるような方策を講じていくということを書かせていただきたいと考えております。
 次のページでございますが、これは機構法の第4号に相当するところでございます。埋設処分の方法に関する部分でございます。第一期事業における処分につきましては、原子力委員会や規制当局における埋設処分に係る検討状況を踏まえながら、廃棄体に含まれる放射性核種の種類や濃度、性状等に応じて、ピット処分やトレンチ処分をそれぞれ実施することを書かせていただきたいと考えております。埋設施設の構成としては、埋設施設は、廃棄物埋設地とその附属施設から構成するということも記載させていただくということを考えております。
 次のページをお願いします。これも続きでございますが、処分の手順といたしましては、ピット処分及びトレンチ処分の基本的な手順を記載したいと考えております。これらの埋設設備につきましては、埋設処分の進捗に応じて順次設置していくということを考えております。
 それから、事業運営に係る事項でございますけれども、これにつきましては、最初の項では、必要な人員を確保すること。2つ目の項では、十分な教育訓練を実施すること。3つ目の項では、コンプライアンスの徹底に努めるということ。4つ目の項では、埋設事業に係る経理については、私ども従来は一般勘定、または電源利用勘定を持っておりましたが、その他に埋設処分業務勘定を作っていただいておりまして、これらの事業と厳正に区分して適切に管理を実施していきたいということを記載したいと考えております。最後のところでございますが、私どもの必要な額につきましては、一般勘定及び電源利用勘定から埋設処分業務勘定に繰り入れるということでございまして、原子力機構以外の発生者からの受託に伴って受け取った資金につきましては、直接埋設処分業務勘定に入れるということを考えております。これらの埋設処分業務勘定の資金につきましては、確実に埋設事業に充ててまいりたいと考えております。
 その次も続いておりますが、事業運営の続きでございますけれども、最初の項といたしましては、安全規制の整備が進みますので、その進捗に合わせて適切に対応してまいりたい。2つ目の項でありますが、最新の技術的知見を最大限に活用して、合理的な方法により埋設処分を展開するということ。3つ目の項でございますが、処理処分に係る技術開発の成果を埋設事業に反映していくということ。4つ目の項でございますが、埋設事業の進捗状況に応じて、機構以外の発生者の方々に対しまして進捗状況を周知説明するといったこととか、関係者のニーズの把握に努めるということ。5つ目の項でございますが、機構以外の発生者の方々に対しまして、実施計画の策定だとか、事業の認可の申請だとか、年度計画の策定だとか、そういった様々な情報について、情報の提供・協力を要請していくということを記載したいと考えております。下から2つ目でございますが、廃棄体確認というのが必要になってきますけれども、こういった廃棄体の内容に関する情報を提供して、さらに共有していきたいと考えております。最後でございますが、発生者等からの問い合わせに対して、適宜技術的助言、協力等を実施してまいりたいということを記載しようとしております。
 11ページでございますが、これにつきましては機構法の第5号に定められるものでございまして、埋設処分業務の総費用に関することでございます。総費用につきましては、埋設処分を行う時期、その量等に基づき算定いたします。詳細については、また後ほど説明します。総費用につきましては、将来の物価変動や埋設事業の進捗状況等を反映するために、定期的に見直す予定でございます。総費用につきましては、現在先行事例を参考に暫定的に2,000億円としております。概念設計の結果に基づきまして、今後見直してまいりたいと思います。収支計画と資金計画でございますが、これにつきましても、総費用の暫定額に基づきまして、当面の間の収支計画及び資金計画を示してまいりたいと考えております。
 次のページに続いておりますが、処分勘定の繰り入れにつきましては、これは繰り返しになりますが、区分して繰入金額を算定し、繰り入れる予定でございます。その繰入金額につきましては、年度計画で示す予定でございます。受託処分でございますが、機構以外の発生者の方々から委託を受ける場合につきましては、受託契約を締結し、料金の支払いを受けるということも書かせていただきたいと考えております。資金の適正な管理という意味では、適切な管理はもちろんでございますが、2つ目の項でありますけれども、決算につきましては独法の会計基準や、私どもが定めます規定等に基づいて独立して行うこと。それから、繰入額の算定につきましては、これも規定を定めて行うことも書きたいと考えております。
 次のページでございますが、これは特に機構法の第2項で定められているわけではございませんが、安全の確保という意味では、最初の項にありますように、関係法令を遵守し、安全の確保を最優先で進めること。その3行目にもございますが、一般公衆及び従事者等が十分安全に防護されるように放射線防護対策を講じ、4行目では、環境保全のための適切な措置を講ずることを書くとともに、2つ目の項でございますが、教育・訓練の実施、3つ目の項ですが、多種多様な研究施設等廃棄物の埋設処分が合理的で適切な安全対策のもとに実施されるように、規制当局に対して適切に情報を提供していきたいと思っております。廃棄物の発生段階の対応といたしましては、可能な限り低減するように努めることと、適切に廃棄物の分類・管理を実施していきたいと考えております。
 最後でございますが、輸送、処理等の体系的な対応。これは冒頭でも少し説明させていただきましたけれども、「機構廃棄物」につきましては、これは必要に応じて機構が廃棄体化処理を行い、法令に基づいて輸送するということ。それから、受託廃棄物につきましては、原子力機構以外の発生者の責任に基づきまして、必要に応じて廃棄体化処理を行っていただき、廃棄体を確認の上輸送すること。これらにつきましては、体系的、合理的に行われるように、国及び関係機関と連携・協力して、十分な調整を図ってまいりたいと考えております。
 それから、安全性の向上のために、これは埋設処分業務勘定として行うわけではございませんが、効率性の向上を目指して、継続的に技術開発、研究開発を機構として実施してまいりたいと考えております。
 年度計画の作成と実施状況でございますが、年度計画を作成することも書きたいと考えております。その中では、当該事業年度の実施計画の業務の内容だとか、予算、収支、資金計画等を書いて公表していきたいと考えております。実施計画に記載しようとしている基本的な事項につきましては、以上でございます。

【山名主査】
 ありがとうございました。
 それでは、以上が記載される内容になります。ここで皆様のご意見を伺いたいと思います。何かございましたら挙手をお願いいたします。
 森委員、どうぞ。

【森委員】
 RANDECの森でございます。4ページに余裕深度処分のことについて記載されておりまして、これは基本方針ではたしか検討するという位置づけでございましたけれども、ここでは具体化を図るという話でございますので、少し内容が変わっているんですが。我々のほうは、大学、民間におきましても、余裕深度処分相当の廃棄物を保有している者がございますので、そういう観点からいえば、第一期の事業計画が、今回のご説明ですと50年間ということですので、50年間の中にこの余裕深度処分について具体化を図るということであれば、大学、民間で保有している廃棄物も着実に処分していただけると思うわけでございますので、ここのあたりは基本方針と実施計画の間で少し前へ進んでおられるような気がいたしますので、そこについてもう少しご説明をいただけたらと思います。

【山名主査】
 これは当面のところで出てまいりますか。

【日本原子力研究開発機構(大澤)】
 はい、出てきます。

【山名主査】
 そうですか。とりあえず解説、お願いします。

【日本原子力研究開発機構(大澤)】
 まず具体化を図るというところの読み方でございますけれども、余裕深度処分につきましては、これから十分検討していきたいというのは、基本方針の段階から、我々としてはそう大きく進んでいるという理解ではございませんで、これは目標として具体化を図っていきたいということでございます。

【山名主査】
 具体化を図っていきたいと。

【日本原子力研究開発機構(大澤)】
 そのとおりです。

【山名主査】
 後で、当面実施する事項の話がありますから、それとの関連でまた議論したいと思います。
 他にございませんか。佐々木委員、どうぞ。

【佐々木委員】
 ありがとうございます。まずちょっと確認をしておきたいんですが、これまで我々がやってきた「基本方針」、それと今日出た「実施計画」と、この作業部会との関わり方、私の理解をまず申し上げておきたいと。この作業部会は、「基本方針」を作ることについては主体的に関わってきたと思うのです。これは国が基本的には決めるというか、確定するものですから。
 今日からの議論というのは、ここに出てきた「実施計画」というのは、私の理解では、これは他の省庁等々では「アクションプラン」とか、「アクションプログラム」と言われているものだと理解しています。これは、だから実施部隊である機構が基本方針というフィロソフィーを実現するために機構が主体的に関わる。そういうふうに理解しています。
 ですから、我々作業部会としても、「基本方針」についてはかなり主体的に色々申し上げて注文を出しましたが、それを受けて機構が今回の「実施計画」を出してくるわけですから、これについては、作業部会としてはそれほど主体的に関われないというか、関わるべきではないのではないかと思うのです。
 だから、参考意見は申し上げますけれども、あくまで主体は機構ですから、機構が作る。これからこういう計画でやりますよという意気込みがあるわけですから、それを我々は尊重するというふうに、作業部会としてはとらえていいのではないかと思うのです。そういう理解でいいかどうかというのが、まず1つ。
 それから、もう一つは、その理解の上で申し上げますが、そのときに気になることがある。1つは、6ページ、7ページあたりに「立地基準」という言葉がありますね。「立地の手順」というのならば非常によくわかるのですが、「立地の基準」というのは、先ほどの私の理解でいうと、どちらかというと「基本方針」に関わるというか、フィロソフィーに関わるもののように思うのです。
 ちなみに机上に配付されている「基本方針」のところの3ページを見ると、やはり基本的にはここのところで、「基本方針」の本文の3の(1)のところで、原子力安全委員会云々と書いていますね、基本的な考え方。あるいは、それから1行飛んで、下にまた「基本的立地条件」と書いてある。これが、私の言うフィロソフィーだと思うのです。私の言葉では、これが「立地基準」だろうと思うのです。これを踏まえた上で、機構が具体的な個別の地点を決める、選定するわけです。
 だから、資料1-1の言葉で言えば、「立地手順」というか、そういうふうにむしろ言葉を使っていたほうが、私の理解ではよりわかりやすい。「基準」というと、フィロソフィーに関わるように思うのです。もしそうだとすると、実施部隊がフィロソフィーを決めてしまうというのはおかしな話ではないかと思う。そこがちょっと気になる。
 それから、もう一つ、これはお願いなのですが、今日出たものはまだ途中の段階だと承っていますから、今後この「実施計画」が完璧なものに近づいて公表されるときに、より具体的な目標というか、数値化できるものは、できるだけしてもらいたいという、これはお願いです。どうしてかというと、それをやらないと、我々外部の者が今後1年、2年と「実施計画」が進んでくるときの、いわゆる進捗管理を外部の者として色々評価とか、分析しなければいけないときに、数値が具体的に目標として予め出ているほうがやりやすいということもあるので、これはお願いです。以上。

【山名主査】
 まず、この部会と実施計画の関係について、これは文科省のほうからお願いします。

【田口原子力計画課長】
 関係につきましては、佐々木先生がおっしゃるとおりでございます。あえてつけ加えさせていただきますと、基本方針について深く関与していただいたので、後段の計画についてもフォローアップをきちんとしていただきたいということでございます。

【佐々木委員】
 わかりました。

【日本原子力研究開発機構(大澤)】
 立地基準のほうでございますけれども、基本方針にも立地基準、手順を明確に定めると書いていただきました。

【佐々木委員】
 選定の基準と書いてあるんですね、こっちは。

【日本原子力研究開発機構(大澤)】
 それで、私どものいわゆる基準という意味合いは、後ほど説明させていただきますけれども、実際にその場所を決めるに当たっては、経済的なことも考えなければいけませんし、安全性ももちろん考えなければいけないということですので。

【佐々木委員】
 社会的なこととか、色々。

【日本原子力研究開発機構(大澤)】
 そういうことを書くのが、我々の申し上げております立地基準というご理解をいただければと思います。

【山名主査】
 佐々木委員、いかがでしょう。

【佐々木委員】
 要するに同じことを繰り返すことになるかもわかりませんが、実際にある具体的な立地の地点を選定する、そのときの「基本方針」はいわゆるフィロソフィーというか、それに違わないような方法でやりましたよと。それで、具体的にはA地点、B地点とか、こういう候補が出てきましたよということを、機構は「実施計画」等々できちっと作って公表するということが必要だと思うのです。だから、それを「基準」と言うか、「手順」と言うかはわかりませんけれども、それは私の言葉では「手順」なのですね。

【日本原子力研究開発機構(大澤)】
 ありがとうございました。十分その辺、わかるように、フィロソフィーと我々のいわゆるプラクティカルな部分とわかるように記載したいと思います。よろしくお願いします。

【山名主査】
 この後話します、当面実施する事項と関係してまいります。概念設計の進捗と関係して、今の立地の基準、手順の話が出てきますので、このディスカッションが終わった後で、もう一度1-2の資料の説明を聞いてから、そこを議論したいと思いますが、よろしゅうございますか。
 他にいかがでしょうか。石榑委員、どうぞ。

【石榑委員】
 1つお尋ねしたいんです。ここで今お話しになっている計画というのは、先ほどの話でいえば50年とか、その先の期間をどう考えるかということもあるんですが、事業全体に関する計画ということかなと思うんです。要するに時間軸の話がこの中には何も書いていないんですね。
 例えば立地に関わる問題ということについては非常に予測することが難しいということもあるのかもしれませんが、例えば差し迫ったところでいつ頃この計画をお出しになるのか。あるいは認可がおりてから、次に出てきます、当面実施する項目というのが挙がっているわけですが、それを大体何年ぐらいと考えておられるのか。その後、さらに精査されるというのは。公表した後にまた色々ある。その辺のところを、そのとおりにいかないかもしれないけれども、わきから見ていると、その時間軸が見えないと。操業が始まるまでにトータル8年とか10年とかしかないわけでして、その間でどうなのかなというのが1つです。
 さらに、非常に細かいことで申し上げますと、12ページ、受託処分のところで、受託料金の支払いを受けると書いてあるわけですが、例えばこれについては、いつ頃からそういうことが可能になるのか。これは私どもに直結しているものですから。
 というのは、公益法人化ということがあって、資金計画を明確にしないといけないわけです。そこのところが見えないと計画が立てられない。それが変わっても、それはやむを得ないんですけれども、時間スケールをある程度示していただけるとありがたい。

【山名主査】
 それでは、粗く。

【日本原子力研究開発機構(大澤)】
 時間スケールのお話でございますけれども、おおよそ、次の当面ということを考えておりますが、1年ないし2年程度を考えております。そこで、先生からご指摘のありましたように受託契約をいつ頃からできるかという話ですが、これは先ほどの中で少し触れさせていただきましたが、当面の準備期間みたいなものとして8年を考えております。その半ば頃には、受託契約ができるような形に持っていきたい。それは、その頃に安全審査が具体的に見えてきますので、そういった段階で詳細設計もできて、かなり詰まってまいりますので、そのぐらいの時点ではご相談できるかなと考えております。
 あと、具体的なその中の時間スケールにつきましては、50年という全体の中ですので、今のご説明ではなかなか細かいところまでは至っておりませんけれども、当面の間につきましては、1年ないし2年につきまして、次の資料でご説明させていただきたいと考えております。

【山名主査】
 よろしゅうございますか。柴田委員。

【柴田委員】
 ありがとうございます。ちょっと細かいことになるんですが、14ページのところの輸送、処理等の体系的な対応というところの書きぶりがちょっと気になりますのは、基本方針のほうでは、ここについては、国及び原子力機構が色々と協力しながら、廃棄物の集荷や輸送、処理を含めて、合理的・体系的な処理・処分体系を構築すると書かれているんですが、この14ページを見ますと、まず機構廃棄物と受託廃棄物という書きぶりがありまして、受託廃棄物のほうは勝手にやって持っていらっしゃいと、ちょっと変な言い方ですが、そう読めるんです。ぜひこれは、この体系を議論するときには、機構廃棄物、受託廃棄物という区分けを無しに、オールジャパンで最も合理的なものは何かという観点で、ぜひ計画を作っていただきたいということでございます。
 もちろん、そうだというのであれば、私の杞憂でございます。すみませんが。

【日本原子力研究開発機構(大澤)】
 後ほどの資料でも、当面のところでも説明させていただきますけれども、その辺につきましては十分議論、調整させていただきたいと思っています。
 ただ、制度的には、私どもは処理につきましては、いわゆる受託廃棄物については、ご希望に応じて我々の余力の範囲で実施させていただくという、機構法の制度的なところではそうなっておりますので、そういう中でどういうことが一番合理的なのかということを、ぜひ相談させていただきたいと思います。
 我々、持ってこいという立場ではないと思っておりますので、ぜひご相談させていただきたいと思います。

【山名主査】
 森委員、どうぞ。

【森委員】
 今の柴田委員のお話にも関係するかもわかりませんけれども、基本方針の議論をしていたときに、処理・処分というのは不可分だという話があったと思うんです。かつ、原子力機構においては、国からの予算を使っているということで、資金的にも量的にも圧倒的に多いということからすると、情報をどう共有するかという議論があったと思います。
 それに関して、10ページに、事業運営の中に情報共有らしきと言うと怒られますが、情報共有の事項が書かれてございますが、少し狭いのではないかと思うんです。例えばパブコメ等で出てきた議論を見てみますと、技術開発の成果についても共有すべきだとか、もう少し広い意味の共有になっていたと思います。それから、廃棄物については特にデータベースをどういうふうに作っていくかということが極めて重要だと思うんです。
 そのときには、やはり量的に一番多い原子力機構がどういうデータベースを作るかによって、それに合わせて、例えば大学、民間でどういうデータベース、それから、RI協会でどういうデータベースをそれに合わせて作っていくということのほうがよいと思います。多分三者がそれぞれ勝手にデータベースを作ってまとめ上げるというのは、これはまた無駄なことだと思います。情報の共有というのは、ここですと進捗状況を教えます、廃棄体の内容の情報について情報共有しますということで、極めて限定的な情報共有になっております。たしか基本方針のときには、もう少し広めの情報共有だったと思います。
 それが先ほど柴田委員が言われたような、日本全体をとらえて経済的にも合理的なやり方を追求すべきですと、こういう意見だったような気がします。そういうところを、実施計画に落とすときにケアしていただきたいと思うところでございます。

【山名主査】
 今、情報共有のお話でしたが、柴田委員ご指摘の点は、むしろ処理という行為が原子力機構以外の発生者の責任において行われるべきだと明記されてあるわけで、この点については基本方針の6ページの6.(3)輸送処理に関わる体系的な対応。柴田委員はここのことをおっしゃっていますね。ここでは、機構が主要な関係機関と協力しながら廃棄物の集荷輸送、焼却や減容等の処理などを含めて合理的・体系的な構築をすると書かれておりまして、多分この方針と今ここに責任においてというのは、かなりミスマッチがあるというご指摘なんです。
 大澤さんのおっしゃるように、全体的に合理的にやっていかれるということでありましたら、ここの記載は多少基本方針と一歩進んでいますね。何か法律上おっしゃいましたか、機構法上何かの問題があると。

【日本原子力研究開発機構(大澤)】
 まず今回定めていただきました機構法の18条、7、8、9で進めるわけでございますが、基本的には、機構としては埋設処分をする事業主体であるというところは、まず1つあります。
 それから、外部の方々のものにつきましては、処理につきましては、機構の余力の範囲で受託を受けてやるというのが、機構法に定められている我々のできる範囲でございまして、それは適正な対価をいただいてやるということになっております。そういう意味では、今廃棄物の処理と輸送につきましては発生者責任という範疇に入っておりますので、そこをどういうふうに合理的にやるかということを、我々としては調整させていただきたいと考えております。我々の立場は、繰り返しになりますが、そういう枠組みの中でどういうふうに合理的に進めるかという立場に立って記載していきたいということでございます。

【山名主査】
 ということでございますが、皆さん、何かこの点についていかがでしょうか。法律で定める中で対応可能な限りの努力はするよと今おっしゃったように聞こえたんですが、そのとおりでございますか。三代委員。

【三代委員】
 まさにそういうことだと思いますけれども、処理と処分というのは確かに分けられないし、処理というのがオールジャパンでうまくいくということが非常に大事であるということは、このRI・研究所廃棄物作業部会の時代から色々議論があったところ。原子力機構としては一番大量の廃棄物を持っているということで、処理設備をこれからちゃんと整備して、まず機構の廃棄物を処理して小型にしていくと。
 そういうのが一番大事だと思いますけれども、先ほど大澤センター長が言ったように、業務に支障のない限り、あるいは地元自治体等と色々と相談しつつ、外部の廃棄物もいずれ処理できるようになるかもしれない。そういうことも考えつつやっていって、オールジャパンとして本当にいい体制ができるように、また、これは日本原電などとも相談してやっていく必要があると思います。

【山名主査】
 その他。高橋委員、どうぞ。

【高橋委員】
 結論だけ見ているので、あまりよくわからないんですけれども、内容的にざっと見ると、かなり疎密があるような気がしています。実施計画というのは何かというと、多分機構が業務を進める上で、よりわかりやすく実施の、基本方針の枠の中で業務の進め方を明確にするということではないかと思うんですけれども。ざっと見ていったときに、実施計画ができるところで認可事項になるので、そこの枠の中で機構は動かれると思いますので、色々問題が出てきたときに基本方針に戻って考えられるようなことを考えておいたほうがいいだろうと。
 そうすると、この基本方針と実施計画の間で、うまくカテゴライズできないんですけれども、例えば機構が自分たちで物事を進める上でより明確にしたとか、時間的な推移があったので検討がより明確になったので具体的に範囲を絞りましたとか、そういう考え方を少し整理されておいたほうが、後でもう一度色々な議論をしたときに、基本方針に戻ってというときに理解しやすいのかなというところがあります。先ほどのような議論もそういう整理の中に入ってくるのではないかと思います。
 もう一つは、全体のまとめ方なんですけれども、これは認可事項になるんですが、最終的にまとめるときには、ここの1ページの2番の漢数字の一から六というような形で編集をされていくのか、それとも基本方針のベースでずっと書いていかれるのかというところも、少し考えながら進めたほうがいいのではないかと思いますけれども、現時点ではどのようにお考えでしょうか。

【日本原子力研究開発機構(大澤)】
 後段につきましては、機構法に基づいた項立てをしたいというふうに考えております。

【山名主査】
 よろしいでしょうか。辰巳委員、どうぞ。

【辰巳委員】
 私の立場としては、国民にちゃんと理解を得るというお話のところなんですけれども、やはり先ほどからもお話があったように、具体的なことが何も書かれていないもので、忘れずにいますよというレベルでしかここには書かれていないような気がするんです。なかなか難しいところがあると思うので、この次のところで出てくるのかもしれませんが、具体的にどんなことを考えておられるのかが見えるといいなと今思ったんです。
 あと1つ、先ほどのやりとりを聞いていて気になったんですけれども、機構のほうでもちろん主体的に自分たちがやれることをやっていくんだというところで、余力があったら他の人の分を入れるという単語があって、私、そこら辺が理解できなくて。通常、事業者の人というのは、人のことなんか考えないで自分たちのために考えてやっていくのが普通で、だからこそ一緒にやっていこうというのが基本方針にあるんだと思うんですけれども。
 それなのに、今のような余力がある限りというのは、余力がなかったらできないという話なのか、あるいは総量的なものがある程度見えているから、それも含めてやっていくんだというお話なのか、ちょっと私には理解しがたかったので、すみません。

【山名主査】
 解説、お願いいたします。

【日本原子力研究開発機構(大澤)】
 1点目につきましては後ほど説明させていただきます。
 2点目につきましては、機構法に基づきまして、私どもの業務を進めることがメインということが定められています。その業務に支障がない範囲で、つまり本来業務に影響がない範囲で、ちゃんと契約に基づいて色々な、例えば処理業務を引き受けてもいいというような規定がございますので、そのことを申し上げております。別に言葉では非常に冷たいというか、杓子定規になりますけれども、そういうような規定でございます。
 あとは、先ほど主査からありましたように、いかに対応可能な限りというか、合理的にやっていくかということを、その中で相談させていただくと。残念ながら、枠組みとしてはそうなっていますという前提のもとにお話をさせていただいております。以上です。

【辰巳委員】
 余力がないから契約できませんというお話が起こり得るかということが気になっただけなんです。

【日本原子力研究開発機構(大澤)】
 杓子定規に言えば、余力がなければできませんが、それはまさに先ほどの色々な相談をさせていただく中で、ここの基本方針の中では、日本全体として合理的に進むようにという趣旨が述べられておりますので、その趣旨を我々は十分踏まえて対応させていただきたいと考えます。以上です。

【辰巳委員】
 わかりました。

【山名主査】
 我々としては機構が頑張ってくれて余力を作ってほしいというのが正直なところですが、法律上の絡み、あるいはその他の主体が何をできるか、そういうのをよく解剖した上で、全体で本当にベストな道を探るというプロセスがこれから始まるわけですね。ぜひそれを、つっけんどんではないと、ベストなアプローチをしていただけるというふうに今お聞きしましたので、この文章は過激に見えたわけでございまして。
 時間も遅れ気味ですが、できますれば、当面の実施内容を聞いた上でまた議論したいと思いますが、よろしゅうございますか。では、大澤さん、お願いします。

【日本原子力研究開発機構(大澤)】
 少し重複するかもしれませんが、これから説明させていただく1-2の資料につきましては、これから当面、先ほど私、1年ないし2年ということを申し上げましたが、その程度の時間軸の中で進める事業についてご説明させていただきます。
 次のページをご覧いただきたいと思います。基本方針について様々書かれているわけでございますが、私どもといたしましては、基本方針に即しますと、実施計画の認可をいただいた後、当面必要となるのはここに書かせていただいたような5項目であると受けとめております。
 まずマル1でございますが、基本方針の第3項にしたためられていますけれども、埋設処分地の選定につきましては、それに先立ち選定手順、これは先ほど少し議論がありましたけれども、基準という言葉を使わせていただきますが、手順・基準を定めておくことになっています。機構といたしましては、この基準を定めるためには、先ほど冒頭申し上げましたように技術的な根拠を固めておく必要があるだろうと考えております。
 そのためにも概念設計というものを進めまして、その技術的な検討をしっかりいたしまして、技術的な根拠に基づいた立地基準と手順を定めて実施計画を改定し、公表していきたいと考えております。この基準・手順に沿って立地の選定を行っていきたいと考えております。
 それから、マル2でございますが、基本方針の3項に定めておられますが、先ほど先生がおっしゃいました情報発信などについてもここで書かれておりますので、当面の間においても進めなければいけないだろうと理解しております。
 基本方針の第4項に定めているのがマル3でございまして、これも先ほど来ご議論がありますが、関係者のニーズの把握と連携協力ということでございます。
 マル4でございますが、これにつきましては、物量調査に基づいた総事業費の見積り等をやらなければいけないと思っておりますし、輸送処理にかかる体系的な対応についてもマル5で書かれているというところでございます。
 ここのアスタリスクで書かせていただきましたけれども、立地基準の選定につきましては、手順・基準を明確に定めて公表しなさいということでありますので、ここで一旦、我々の検討結果をもう一度こういった場でご確認いただいたほうが、公明性、透明性を持って進められるのではないかと考えております。
 そういう意味で次のページをご覧いただきますと、この色刷りで書いたところが当面の間というところでございます。まず、今申し上げました1から5の丸印、これは前ページの数字と対応するわけでございますが、当面実施する事項として、まず概念設計を実施するということでございます。これに基づいて基準や手順の案を策定すると。それから、概念設計に基づきまして総費用等の精査を行うと。
 それから、この最初の段階から処理、輸送等に関する調整だとか、理解増進に向けた活動をしていくと。こういうことを一、二年の間は少なくともしていきたい。これらができますと、特に立地手順・基準、総費用等の作成につきましては、この段階でもう一度実施計画を変更いたしまして明確にした上で認可をいただいて、次のステップに入っていきたいと考えております。
 次のステップでは、立地基準の下のほうに少し小さい字になっておりますが、認可いただいた後、立地基準・手順を公表させていただき、それに基づいた立地活動をし、その後その地域の了解を得て、事業の実施に向けた手続等に入っていきたいというふうに考えております。それから、総費用等の精査に基づきまして収支計画だとか、処分単価の公表をさせていただいて、これは先ほど石榑委員のほうからご指摘がございましたけれども、いつ頃かということになりますが、この頃から受託契約の開始を考えていきたいと考えております。
 処理、輸送等につきましても、これはある程度立地が進みましたら場所も特定できまして、もう少し処理、輸送に対してさらに調整を進めなければいけないと思っておりますし、この立地のある程度進めた段階では、この理解増進につきましても、地域に向けた理解増進活動というのがかなり重点化されるのではないかと理解しております。
 次のページをご覧いただきたいと思います。まず概念設計の実施でございます。ここでは文章で書いてありますが、後ほど絵でもう一回おさらいしますので、少し念頭に置いていただきたいことだけ説明します。埋設処分の規模につきましては、60万本で概念設計したいと思っています。処理能力につきましては、年間1万2,000本を前提としていきたいと思います。
 それから、あと、第1期事業において対象とするものでございますが、様々な条件がございます。少し割愛しますが、廃棄体の性状だとか、放射性物質の濃度とかいったことを踏まえ、かつ、その4行目でございますが、様々な法律に基づく技術基準等を考慮して設計し、線量評価、費用試算等に基づきまして合理的な施設の設備仕様、レイアウト等を設計するということを、まずやりたい。
 その後、概念設計により得られる設備仕様に基づきまして、安全審査指針に示されている埋設施設及びその周辺における基本的立地条件と書いてありますが、例えばそのところの地盤の耐力だとか、水の流れ方だとか、そういったような条件を考えなさいと、こういうことについても大丈夫なようなことを考えなさいということが定められておりますので、そういったことを踏まえて、先ほどの基本的なレイアウトができますので、それに様々な立地条件における線量評価だとか、線量、安全性を守るために必要な費用試算、費用はどう変わるのかといったようなことを検討して、合理性の観点から埋設施設の安全性、経済性に関する評価・検討を実施していきたいと。
 平たく言えば、例えば安全のためにどれだけお金をかけてもいいかということには、多分ならないので、安全性が確保できる範囲でどれだけ合理的なものができるかといったようなことも検討していきたいと考えます。
 次のページですが、それらに基づいて立地基準とか手順を策定していきたいということでございます。概念設計に基づきまして、星印みたいなところですが、自然環境や社会環境等に関して、立地選定に当たって考慮すべき項目といったようなことを、この場でそういったことを明らかにして基準を定めていきたいと思います。例えば、事業用地の面積と書いてありますが、場所によっては面積、例えば形状と書いてありますけれども、真四角の形状の場合と、かなり細長い形状では、安全性の確保の観点で多少変わってまいります。そういったことも明らかにして、基準、手順を技術的な根拠をもって明示していきたいと考えております。
 事業の円滑な推進の観点から社会的な要件等、色々あると思いますけれども、例えば廃棄体の輸送の利便性だとか、そういったようなこともあると思いますので、そういったものもどのように基準として繰り込んでいくかということも考えていきたいと考えております。そういったことを考えながら、基準、手順を作成していきたいと考えております。「なお」のところでありますが、それらを明確にした上でもう一回認可をいただきまして、その後に認可いただいた基準、手順で物事を進めていきたいと考えております。
 次のページでございますが、5ページでございます。これは繰り返しになりますので少し飛ばさせていただきますが、概念設計につきましては、今申し上げましたような、例えば廃棄体の種類だとか、インベントリー、どういうものがあるかというのを設定いたします。それから、一般的な立地条件等も設定いたします。例えば平均的な水の流れだとか、平均的な地盤だとか、通常は平地であるとか、そういったようなこと。
 それから、一番上の一番右でございますが、法令要件等も考えながら、それらを踏まえて廃棄体の受け入れだとか、定置等、どうやって埋設場所に置くかといったようなことについての手法だとか、工程を検討し、それらを踏まえて廃棄体の受け入れだとか、そういったところに対する必要な施設を抽出します。それぞれにつきまして構造等の詳細な設計、例えば壁厚をどれだけにするかとか、そういったようなことを設計いたします。
 そういった個々の施設が設計できれば、その横にありますけれども、それらをどういうふうに適切に配置するかということも考える。これらができますと、それらを踏まえて、それらが本当に安全性上問題ないのかと。様々な耐震だとか、構造強度だとかいった安全性の確認と、もう一つ大事なことは、放射線に関して安全性が確認できるか。例えば、そういうところから万が一流出した場合にどういうことになるかといったようなことも検討し、これで確認する。ここで確認できなければ、前の段階に戻ってもう一回詳細な設計をし直すということを繰り返します。
 これらが確認できましたら、それでは、その建設費はどの程度になるのかといったことを積算して、概念設計を終えるということになります。そうすると、合理的な施設設計ができますので、それを踏まえて、先ほど言いましたように、様々な立地条件を振るというか、例えば水理が早くなったらどうなるんだろう、地盤が弱くなったらどうなるんだということを検討しまして、そうなると、お金がどのぐらい変わるかといったようなことも明らかにしていきます。これらの検討結果を踏まえて基準、手順を作っていきたいということを考えております。
 その次でございます。少し飛ばさせていただきますが、6ページでございます。総費用の精査ということでは、今の概念設計から得られる施設やレイアウトに基づき計算するということでございます。
 次のページに図示してございますが、例えば建設費、操業費とか人件費、今はこれは先行施設のものを参考にさせていただいて約2,000億円という数字を出しておりますけれども、この概念設計によって得られる詳細な設備仕様とレイアウト等を踏まえて、それらがしっかり検討できれば、建設費だとか、ボーリング環境調査費だとか、公租公課だとか、操業費だとか、その赤字で書いてあるようなところが明確になってまいりますので、これできちっと精査して総費用を算出し、収支計画・資金計画を立てていきたいと考えております。
 この総費用に基づきまして、変更の認可をいただきましたら、その次に単価を設定していくという手順になります。
 次の8ページでございますが、これらの概念設計の後、単価を設定するわけですが、その考え方、公正かつ合理的な単価の設定方法だとか、機構以外の発生者からの処分の委託を受ける際に締結する受託契約に当たって、どういうことを契約として条件を設定したらいいかということも、この期間の間に検討していきたいと思います。それから、処分単価につきましては今申し上げたとおりでございます。
 次のページでございますが、9ページです。輸送、処理等につきましては、先ほど来ご議論いただいておりますけれども、機構としては、所有する施設の解体とか、処理設備の整備等を精査、それから、廃棄体化処理に係る計画等をもう一回この期間で精査していきたいと考えておりますし、国と関係機関と十分協力を図りながら大学、民間の方々から発生する廃棄物の集荷、輸送、そういったものを含めて、全体として体系的、合理的に行えるように、ここも繰り返しになりますが、ちゃんと調整していきたいと考えております。これらの調整で具体的な計画が得られれば、適宜実施計画に反映して、またご議論いただきたいと思っております。
 10ページでございますが、今言ったことが絵で書いてございまして、全体としてはこういう流れ。左のほうから廃棄物が流れていくわけでございますが、実線で書かれているところはおおよそ計画はあるわけでございますけれども、例えばその下の各発生者というところの研究機関から出ております炉規制法廃棄物の処理の委託というところがございますが、この辺につきましても、委託されるのか、発生者独自で処理されるのかというのはまだ色々オプションがあると思いますし、委託して、これはRANDECさんが今まさに検討しておられて、前回のこの場でもご報告されたと思いますが、そういった一括した処理も考えられるのかといったことも、今後詰められていくと考えております。
 場合によっては、それは先ほどの機構の、ちょっと冷たい言い方をして恐縮でしたが、委託というところで、余力の範囲で上のほうに行くということも考えられるだろうと思います。輸送については、色々な法律的な検討は進めますが、もちろんこの場所にもよりますので、輸送につきましてはできる範囲で検討し、場所が決まった段階でさらに詳細に詰めていくということになると思います。
 次のページでございますが、具体的にどういうことを考えているかということでございます。合理的、体系的な輸送というのは重要でございますので、まずは廃棄体の状況を精査していく。そういったことを踏まえて、青いところでございますが、処理方法の検討等をしていく。例えば、それは減容しなければいけないのか、例えば焼却をしなければいけないかといったようなことも当然考えられるわけですが、そういったことをよく調整すると。
 問題は、それは誰がやるかということにもなりますので、ピンクのような部分の実施体制についても、これは処理方法と密接に関係するので、お互いにやりとりしながら進めていくということになるかと思います。実施処理計画の精査・検討をするとか、輸送の検討もすると。それらを踏まえて実施体制の検討・調整をするわけですが、これらにつきましても先ほどの処理方法と密接に関係しますので、関係機関ともよく調整しながら、進めていきたいと考えております。
 12ページでございます。理解増進ということでは、私ども、具体的には、まずホームページを立ち上げたいと思います。実施計画の認可をいただきましたら、できるだけ速やかにホームページ等を立ち上げたいと思います。それから、立ち上げた後色々な相談があるかと思います。私ども、10カ所に上るような拠点も持っておりますので、たらい回しにならないように、我々は対応を考えていきたいと考えております。
 先ほどの発生者に対する様々な情報提供なり共有があるかと思いますが、この辺に対しましても、どういうことを考えたらいいのかといったガイドラインとかマニュアル等を整備して、また情報提供をしていきたいと思います。それから、我々、料金を適切に管理しなければいけませんので、そういったシステム、これは内部の話ですが、そういうことの整理も考えております。そういった、事業を円滑にするために必要な準備活動を実施していきたいということでございます。
 最後、一番大事なところでございますけれども、理解増進に向けた活動ということで、情報提供はきちっとしていきたい。それから、お問い合わせに対してもきちっと対応していきたいと思いますし、大事なことは、わかりやすくということでございますので、わかりやすさを十分考慮したような広報素材の作成にも努めて、情報発信に努めたいと考えております。以上でございます。

【山名主査】
 ありがとうございました。それでは、これについてご意見等ございますでしょうか。石榑委員、どうぞ。

【石榑委員】
 2点ほど質問というか、お願いというか。まず第1点は、概念設計の話なんですが、この資料の3ページの文章でいきますと、原子炉等規制法、放射線障害防止法に定められる、とある。この定められるというのは、これから定められることも含んでいるのかなとは思うんですが、技術基準等を考慮しということで、この技術基準というところは非常に重要な問題を含んでおります。
 ここの文章では、確かに炉規制法ではある程度、障害防止法もある程度のことは記述されているわけですけれども、例えば濃度上限値1つとっても、障害防止法はまだ定められていないわけですね。さらに言えば、これはちょっと余分かもしれませんが、私の聞いているところでは、文科省さんは障害防止法のコンクリートピット処分の濃度上限値はやらないとおっしゃっていたこともありまして、その辺のところは大丈夫なのかなということは気になります。
 もう一つはトレンチ処分です。これは炉規制法では既に実施しているんですが、ここでやろうとしているトレンチ処分と炉規制法のトレンチ処分というのは対象が相当異なってくる可能性があるわけで、そういう意味で、トレンチ処分の中で特に有害物質をどう考えるかという問題は非常に大きいわけです。それによって、これは廃掃法との関係になるわけですが、安定型処分場にするのか、管理型処分場にするのかと。これはまさに概念設計で費用すべてに関わってくるわけですね。そういった技術基準、あるいは法規制、それが先ほど質問した一、二年でこういう作業をおやりになる中で間に合うんですかと、その辺のことをお尋ねしたいというのが第1点です。
 第2点は、先ほど来議論になっていますが、処理・処分というのは全く不可分で、処理は当然処分を視野に入れて、処理をしていくということになるわけです。そういう意味で、ここで扱う廃棄物というのは、色々な異なった法律で規制された廃棄物をここで一緒に処分をすることになります。処分について前回お尋ねしたときは、渾然一体とした処分を考えていますと、そういうふうに機構が回答されたんです。
 その渾然一体というのは処理についても同じことが言えるわけで、処分が渾然一体であるならば処理も渾然一体でいいのかどうか。それが法律的に許されないと、合理的な処理ができないという問題があります。そのあたりのところを、これはむしろ機構が文科省、あるいは他のところに対して規制を整備してもらうということであるわけですが、どういうふうに考えておられるかということ。2点、お尋ねしたいと思います。

【山名主査】
 お願いいたします。

【日本原子力研究開発機構(原)】
 前回も同じような議論をさせていただきましたが、最初のこの技術基準等を考慮しということですけれども、当然既に決まっている原子炉廃棄物の基準がある。

【石榑委員】
 炉規制法。

【日本原子力研究開発機構(原)】
 炉規制法のほうですね。また、障防法のほうはこれから基準が決められていくという状況にありますので、ここは過去形、将来形を含めて考慮してやっていくという趣旨でございます。1年から2年ぐらいかけてこの作業をやっていきますので、できるだけ最新の規制基準の進捗を取り込んだ概念設計にしたいと考えています。
 それから、有害物に関連して前回もお話しさせていただいたような気がしますけれども、一応管理型の処分施設も視野に入れて、遮水シートを引いたようなトレンチ処分の形態も含めて概念設計の中で検討はしてみたいと考えています。結果はどうなるかちょっとわかりませんけれども、先生のご心配されている案件は、色々この期間の間にできるだけ取り入れ、考慮して検討していきたいと考えています。

【山名主査】
 よろしゅうございますか。他に何かございますか。高橋委員、どうぞ。

【高橋委員】
 輸送、処理のところなんですけれども、ここだけ調整という引いた書きぶりになっていて、基本方針を見ると、輸送、処理に関わる体系的な対応をして構築するというふうになっているんです。ずっと見ると、実施計画では、機構はここの点線のところは、調整はするけれども、主体的にはやらないよというふうに言っているように読めて、基本方針と若干齟齬があるような気がするし、ここのところのマネジメント体系全体を構築するのが、非常にこの全体の処分を合理的にする中で重要な業務だと思うんですけれども、この辺、どのようにお考えでしょうか。

【山名主査】
 お願いします。

【日本原子力研究開発機構(大澤)】
 言われることは大変よくわかりますが、基本方針の書きぶりと多少我々のほうが引いているようなことだと思います。ただ、私どもとしては、繰り返しになりますけれども、法律的には先ほど申し上げたようなことになりますので、その中で合理的にやれる方法を考えていきたいという立場でございますので、そこは基本方針の趣旨を踏まえた形でやっていくということを、今の段階ではお答えしたいと思います。

【山名主査】
 高橋さん、いかがでしょうか。

【高橋委員】
 とりあえず、第1期のところでは、すっと機構の中の話でいくと思いますけれども、その先が結構まだ色々大変だと思いますので、ここのところ、やっぱり機構が主体的に、調整だけではなくて、全体を構築していくというつもりになっていただけるような志を持っていただくことが非常に重要かなと思います。

【日本原子力研究開発機構(大澤)】
 はい、十分踏まえて。この一、二年で、先ほどの当面実施する中で調整することにしておりますので、次回の実施計画でどこまで書き込まれるか、我々精いっぱい頑張りたいと思います。

【高橋委員】
 よろしくお願いします。

【石榑委員】
 ちょっとよろしいですか、関連して。先ほどの処理・処分の分担の話なんですが、この作業部会の前の作業部会があって、そこで結構議論されたんです。多分半分ぐらいのメンバーの方は重なっておられないので、あまりご存じないかもしれない。でも、そのときの議論がベースになって機構法が定められた。
 そのとき、処分はもちろんやるわけですが、処理を加えるかどうかという議論があったんです。前のフェーズの議論では、結局処分に絞って進めようということになったわけです。ただ、そうは言いながらも、処理と処分というのは非常に密接に関連しているのでという議論は残っているわけです。
 そういう経緯があって現在の法律ができていますから、機構としては、ここに書いておられるようなことで精いっぱいの意思表示をしておられるのかなというのが私の理解です。先ほどあまり申し上げませんでしたけれども、そういう経緯があったことは確かで、処理は除いてしまったんですね。

【山名主査】
 本件は、基本方針には、国及び原子力機構が主語になっておりまして、文科省のほうからこの件について何か。

【田口原子力計画課長】
 今、山名先生のほうから言及していただきましたように、基本方針のほうは合理的・体系的な処理・処分体制を構築するというのは、主語は国と機構ということになっていますので、原子力機構のほうを所管して、中期目標を作ったり、あるいは予算措置をしたりするという国の立場からも、ここは国がある程度責任を持って機構をリードしながら、ここの基本方針に書いてあることが達成できるようにするということでございますから、機構がいやいやしても、おしりをたたいてやらせるぐらいの責任が基本的に国にあると思っておりますので、機構だけというよりは、国も含めて対応させていただきたいと考えております。

【山名主査】
 森委員。

【森委員】
 ありがとうございます。概念設計をされて資金計画を精査されるということは、これは我々のほうから見ても極めて重要だと思うんです。とはいえ、また概念設計、先ほど石榑委員からも、まだ課題があるよというお話がございました。そう言いながら、概念設計がややもすると、段階的にならないように、ぜひしていただきたいなと思います。
 すなわち大学、民間サイドも、まさに昭和31年から過去50年間廃棄物を自分たちの倉庫に持っていまして、いかに早く処分場ができて、これを出すことができるかという希望が強いんです。そういうことからいえば、この概念設計をされて、費用等についてしっかり精査していただくということは極めて重要だと思います。
 とはいいながら、全体計画として、後ろの8年を例えば6年ぐらいでやるとか、そういうご努力もあわせてしていただきながら、全体計画としては、平成30年ぐらいに動き出すとか、そういう努力目標もあわせて持っていただくようなことがぜひ必要ではないかと、こんなふうに思いました。これはあくまでお願いでございますので、原子力機構にぜひそこのあたりは、我々のほうのニーズもよく酌み取っていただきたいと思います。

【山名主査】
 機構のほうから何か。

【日本原子力研究開発機構(大澤)】
 我々もわざわざ埋設勘定を作っていただいて、従来の研究開発費と違って、事業としてきちっと進めなさいという国のほうの意思でもありますし、我々もそういうふうに受けとめておりますので、事業というのはスピード感を持って、かつ合理的にやるというのが事業だと私は認識しておりますので、今森委員からご指摘いただきました点は十分頭に入れて事業を進めていきたいと思います。

【山名主査】
 ありがとうございました。他に何かございますか。辰巳委員、どうぞ。

【辰巳委員】
 全然違う話になるのかもしれないですけれども、概念設計のときに忘れてほしくないなと、この中には多分書かれていないような気がしたもので。それは、来年、2010年に生物多様性の会合が日本で行われまして、こういう地を掘り返したり、山を切ったりとかしたときに、そこに生きるすべてのものたちのバランスが崩れてしまうというのが非常に問題になるわけですので、ここの中のどこかに少し何かあったような気もするんですけれども、そういう言葉があまりきちんと書かれていないので。
 そんなことを言い出すと、またコストがかかるのはわかっているんですけれども、事前の調査とかなさるのはわかるんですけれども、幅広く検討してほしいなと思ったんです。そういうことをどこかに書いていただきたいなと思っております。そういう意味で安全な場所であれば、人間にとっても絶対安全だろうと私なんかは思えるので、だから、国民に理解をいただくとかどうとかという話があるときにも、そういうこともちゃんと検討していますと言ってくださることがすごく大事かなと。
 COP10です、すみません、これが名古屋で行われますので、そういうふうに通常の廃棄物等の処理などでも、そういうことを非常に今気にしておりますもので、いいコミュニケーションのテーマにもなるかと思いますので、よろしくお願いします。

【日本原子力研究開発機構(大澤)】
 ありがとうございました。私どももその認識は持っておりまして、基本方針のところで簡単に飛ばしてしまったので、先生のお目に触れなかったかと思いますが、資料1-1のほうの13ページの安全の確保の中、上から4行目のところでございますが、「埋設施設及びその周辺に十分配慮した環境保全のための適切な措置」というのも考えたいと思います。今の先生のようなお話につきましても、我々、十分認識しながら進めていきたいと思います。よろしくお願いします。

【辰巳委員】
 ここに入れてほしいですね、この表の中に入れていただきたい。

【山名主査】
 それでは、手短にお願いします。

【白羽委員】
 会計士の白羽でございます。今回、私の立場から処分の単価についてお伺いしたいと思います。当初の基本方針では、埋設処分方法ごとの単価ということで書かれていたわけですけれども、今回埋設処分の方法ごとという文言が私が見た限り見受けられないというところが、1つ気になる点。
 あと、先ほどの2つ目の資料のほうで、かなりコストの計算の仕方というのが細かく示されております。特に資料1-2の7ページのほうで、建設費、操業費、人件費等というふうに、操業費の見積りをここで示されているわけですけれども、通常、こういった事業の場合、建設費が非常に膨大にかかると。建設期間が長いと、建設の見積りが資金計画を作ったときの建設費がかなりぶれてくる可能性があるという中で、この2ページで実施計画の認可、変更認可等がありまして、資金計画、収支計画の公表があって、その後に処分単価の公表があって、すぐに受託契約の開始ということで、建設のコストが計画時の資金計画をベースに処分単価が公表されて、それで契約がすぐにされるということになりますと、おそらくここの段階ではまだ建設費が固定されていない、確定していないと理解するんですけれども。
 その後の建設計画の見積りのぶれというのは、今おそらく定期的に見直されるということになると、どこかに記載はあったと思うんですけれども。ただ、契約は開始されてしまいますと、その分の後からのぶれについての補正というのはどのように考えているのかというところについて、ご確認させていただきたいと。
 あと最後、3つ目に、手短にということで申しわけない、よくこういう1つの事業体の中で事業を区分経理してやりなさいというお話がございます。区分経理する際に、ある程度基準を持って経理をしていかないと、どうしてもこの事業間のコストのつけかえ案分というところで、後から問題が起きがちだと。この資料を見ていきますと、7ページのところで、これは細かいんですけれども、操業費の中に役務費というのが入っています。おそらくこれは人件費相当分だと思います。
 右側に人件費、職員人件費、一般管理費と。これ、基本的には勘定とすると、埋設処分勘定を設定して、ここにすべて収支を集めるということで、おそらく一般勘定からの振りかえというのは、一般勘定で計上されているような一般管理相当部分、おそらく機構の役員様の人件費だとか、そういうのがおそらく機構の一般勘定はあると思うんです。そこの分については一般勘定で、そこからのつけかえはおそらくないだろうと。それ以外の機構を支える総務だとか、人事だとか、一般に起こり得る部署の職員の人件費についても、おそらく一般勘定にあって、そこからのつけかえというのが、通常の公益法人ですとあるんですけれども、区分の仕方というところを一応ルール化してこないと、その後から、ここはどうなっているんだということがおそらく起きがちなのかなと。
 ただ、これはまだ実施計画ですので、そこまではまだやる必要はないですよというお話であれば構わないですけれども、ここで図が示されると、そういうあらぬ憶測も起きますので、そこの確認だけでお願いさせていただければと思います。

【山名主査】
 2つ質問がありました。

【日本原子力研究開発機構(大澤)】
 まず、ピット、トレンチについては区分いたします。
 それから、確かにこの事業は50年の長期にわたるわけでありますけれども、建設につきましては初めから全部作るわけではなくて、順次つけ加えていきますので、見直しは必要だろうと思います。そういう意味では、長期的なところでありますので、ぶれが起こるのではないかというお話がありました。
 これにつきましては、確かに契約時点で見積もった単価で契約させていただくつもりです。将来的には、いわゆる遡及みたいな、単価がぶれたからといって、さかのぼって精算するということは、今のところ考えておりません。
 それから、共通経費の取扱いを含めた新勘定の会計処理につきましては、機構法、省令等に基づいて、社内規定を策定し、国の認可を得るなど、きちっとルール化して、齟齬のないようにしていきたいと考えております。

【山名主査】
 今のお答えでよろしいですか。

【白羽委員】
 1点だけ追加で確認させていただきたいんですが、遡及的にやらないということになりますと、ぶれた分は後から契約した方だけで分けて負担するという理解でよろしいんでしょうか。

【日本原子力研究開発機構(大澤)】
 というか、最初から50年の作業を見越して割り戻すわけで、そういう意味では、全体的に公平であろうと思います。ただ、色々な要因で、将来の変動要因がわからない部分がありまして、それはプラスに働くか、マイナスに働くかわかりませんから、それはそれで1つの割り切りとして、その時点で定まった単価で契約させていただきたいとは今考えています。

【山名主査】
 細かい話になりますので、また今後、前例もあると思いますので、その辺は詰めていこうと思います。
 それから、五味さんですね。

【五味委員】
 1点だけ、最後、申し上げたいんですけれども。やはり、できるだけ早急にこの実施計画の認可を得るべきではないかなと思っています。実施計画の中身をどの程度具体的に書くのか、精度をどの程度高めていくのかという議論は非常に重要なことで、しっかり議論すべきではないかと、当然のことだと思います。
 基本方針の冒頭に書いてありますとおり、このミッションが早急に着手するべき重要な課題であると。かつ、社会的な必要性が非常に強いというふうにうたっていますので、原子力機構が活動の第一歩をまず踏み出すためには、やっぱりこの実施計画というのはよりどころになってきますので、そういう意味では、この実施計画の認可というものをできるだけ早く取りつけるということが重要ではないかと、ちょっと私、感じたことです。
 やはり将来どのような環境変化が起こるかというのを見きわめることというのは大変難しいですので、かなり精度を高めても当然将来変わってくるという中で、当面の作業の中の2ページのところで変更認可という言葉が出てくるんです。ですから、当然外部環境が変わっていく中で、当然計画も変わってきます。ですから、とりあえず、色々な要件、条件、必要かと思いますけれども、現状で把握できる予見でまずは実施計画を作ってスタートをするということが、私は大事かなと思っています。
 特に国民的な理解促進活動の中で、この埋設処分が悪いイメージだけが先行してしまうと。説明する前に、当然こういった廃棄物処理問題というのは悪いイメージがどうしても先行しやすいですので、まずはそれに先手を打って活動を早めていくということが大事かなと思いました。以上です。

【山名主査】
 ありがとうございました。大変重要な点をおっしゃっていただきました。
 この議論はもう何年もやってまいりまして、とにかく何とかここまで来て、これからまさに一歩でも、二歩でも進めていかないとだめだと。立ち止まっている暇はないと思うんです。ぜひそういう意味で着実に進めていただきたいと思います。
 平山さん、何か。

【平山委員】
 ちょっとだけ確認させていただきたいんですが、実施計画と変更という言葉がありますけれども、どういう場合に変更が必要なのかということは明確になっているのでしょうか。要するにどこまではいいんだけれども、こういうことが、係るときには変更してやらないといけないというのは明確になっているんでしょうか。そのあたりがはっきりしていないと、細かなことまで変更して認可されないとできないとか、本来やるべき枠を超えているのに変更しないとかいうことになってしまうと、何のための計画かということになってくると思うので、そのあたりが明確になっているかどうかだけ確認させていただきたいんですけれども。

【山名主査】
 これは認可者の文部科学省のほうからお願いします。

【田口原子力計画課長】
 措置に申し上げますと、これの場合は認可する、しないというのは明確な基準があるわけではございません。むしろ実施計画の内容を踏まえて、その中でどこまでできるのかというのはケース・バイ・ケースで判断していくしかないと。ただ、いずれにせよ変更の申請等が出てきた場合には、なるべく文科省としても速やかに対応していくということに尽きるのだと思ってございます。

【山名主査】
 それでは、ちょっと時間が押しておりますので、次の議題に移らせていただきたいと思います。
 議題2ですが、研究施設等廃棄物に係る安全規制の現状について、お話を伺うことにしております。まず、放射線審議会における検討状況について、原子力安全課、粟辻課長補佐よりご説明をお願いいたします。

【粟辻原子力安全課長補佐】
 原子力安全課の粟辻と申します。
 資料2-1を用意していますので、ごく簡単に説明させていただきます。まず最初の1ページ、構成の後、1.「はじめに」というところがございますけれども、これまでの経緯を簡単に紹介しているところ、4ページのところでございます。(1)昭和62年放射線審議会基本部会報告という1987年に出されたものがございまして、ここで放射性固体廃棄物のいわゆる浅地中処分において放射線障害防止の観点からの管理を規制除外する際の判断の基準とすべき線量というものが定められております。具体的には、数値としては10マイクロシーベルト/年という数値がうたわれておりました。これに基づいて、その後、国内的には炉規法、障防法などで法令の整備や事業の進捗があったわけです。
 その次のページにありますように、87年以降、国際的にはICRPなどで、新たな廃棄物埋設処分等に関する放射線防護の新たな勧告文書が出ておりまして、今回こういったICRPの文書などを踏まえまして、昭和62年の報告の見直しに関する検討を、今年の1月から放射線審議会の基本部会で重ねてきたところでございます。
 今日は主に結論を簡単に紹介させていただきたいと思っております。次はちょっと端折らせていただきまして、3.のところが国際的な動向で、4.のところに行っていただきたいのですが、ここは我が国で国際的な動向を踏まえてどう考えるのかというところでございます。4.1といいますのが、放射線防護の最適化における線量基準ということで、具体的には、放射性固体廃棄物埋設地の管理期間終了後における線量基準というものを検討しております。
 細かいところは省略しまして、結論といたしましては、次の12ページのところにありますように、我が国における放射性固体廃棄物埋設地の管理期間終了後の公衆の線量基準というものは、線量拘束値である300マイクロシーベルト/年を上限とした値とすることが妥当である。300マイクロシーベルト/年を超えないような値を設定することが妥当だという趣旨の結論を導き出しております。
 次のページに行っていただきまして、今のが一般的な基準なんですけれども、さらに長寿命核種による潜在被ばくを考慮した基準というものを別途考慮しております。こちらのほうは、説明はあまりありませんけれども、極めて発生確率が低いような事象で、しかし影響が大きいようなものについて、確率も組み合わせて評価をすべきではないかという考え方で、その判断基準としては、この下の結論にありますように、線量としては先ほどと同じ300マイクロシーベルト/年。確率の判断基準であるリスク拘束値としては10のマイナス5乗/年オーダーの数値というものをICRPの勧告に基づいて導き出しております。
 さらに、その次の4.2の長寿命核種による潜在被ばくを考慮した基準のところの(2)の偶然の人間侵入というものがございます。この偶然の人間侵入につきましては、さらに特別な基準を設けております。
 もう一回めくっていただきまして、結論は次のページです。偶然の人間侵入による公衆の被ばく線量が20ミリシーベルト/年を上限として設定された値を超えないように、あらかじめ計画段階で適切な防護のための設計がなされるべきことが必要であると。偶然の人間侵入につきましては、これによって生ずる公衆の被ばくの線量基準というものは、特に20ミリシーベルト/年を上限とした値にすべきだという結論を導き出しているところでございます。
 ここはクリアランスの基準で、これが引き続き10マイクロシーベルト/年を今後も使用すべきだというのを確認しているところです。
 一番最後のページが「おわりに」で、この放射線審議会基本部会報告の位置づけとしましては、基本的に廃棄物の種類ですとか、埋設処分方法とか、こういったものに依存しない共通する基本的な考え方をまとめたもので、実際に個別の廃棄物の処分方法とか種類に応じた細かいほうの規制の考え方とか、あるいは審査の線量基準といったものについては、今後文科省などの規制行政庁、あるいは、今日であれば原子力安全委員会といったところが検討していくことを期待しているということで、結びにしております。
 簡単ですけれども、以上でございます。

【山名主査】
 それでは、ただいまの点につきまして、何かご質問等ございますか。よろしゅうございますか。
 それでは、引き続きまして、放射線規制室の服部室長補佐より、放射線安全規制検討会における検討状況をご説明願います。

【服部放射線規制室長補佐】
 放射線規制室の服部でございます。資料2-2をご覧いただけますでしょか。タイトルに、放射線障害防止法におけるクリアランス制度導入等に係る制度設計の基本方針と書かれた紙でございます。
 これは、平成21年7月30日に放射線規制室としてこの紙を一応取りまとめまして、同日に放射線安全規制検討会、当局の私的諮問機関でございますが、そこにおいて一応この方針でご了解をいただいたものでございます。クリアランス制度の導入について、これによってキックオフというか、検討を始めるということの基本方針をここで決めましょうというペーパーになってございます。
 基本方針につきましては、まさにここの一番上に書いてございます1、2、3でございます。原子炉等規制法に準じたクリアランス制度を導入するということ。2番目に、放射線発生装置から発生します放射化物に対しまして、現状は行政指導で規制を行っているところなんですが、これを法規制に入れるということ。3番目に、廃止措置について、廃止措置計画届出化をすると。それで廃止措置を確実にやられたかどうかをしっかり事前にチェックし、事後にもこれに基づいてチェックをすると。この3本立てで法改正に臨んでいきましょうということを取りまとめているところでございます。
 その具体的なスケジュールにつきまして、その下のところに書いてございます。そこの段落の4行目のところでございますが、本年12月頃までに法改正作業に資する取りまとめを行いまして、順次法改正が済んだ時点で、一応我々の想定としましては、平成22年11月頃までに法律を踏まえた政省令・告示等の整備に資する取りまとめを行いたいと。これは法改正のスケジュールによって政省令、告示等の整備はずれていくわけでございますが、我々の想定としては、これを目途にこういったスケジュール感を持って作業を進めていくということを考えてございます。
 一番目の炉規法に準じたクリアランス制度の導入でございますが、一応注目すべきポイントのところについて、かいつまんでご説明します。上から4行目のところで、クリアランスで一番重要なところは、どういった判断方法でクリアランスというのは判断していくのかというのが重要になるんですけれども、炉規法の判断方法というのは既に存在するわけでございますが、それに加えてRI廃棄物独自の判断方法というのも考えていかなければいけないでしょうということで、それも含めてちゃんと検討していかなければいけないということが課題としてあるということが1点目。
 「また」以降のところに書いてございますが、実際のどれぐらいのレベルでクリアランスしていいのかというレベルの算定についても、コンクリートとか、金属とか、可燃物等の対象物によって有意な差が生じて、クリアランス判断時に実効性のある分類とか判断が実現可能であるのかどうか、ある意味で言うとごみの分別のような概念でございますが、そういったものがはっきりできるというのであれば、クリアランスレベルというのも柔軟にしてもいいのではないかということも、必要に応じて、事業者も含めましてそういったニーズがあれば、そこにも対応していきたいと。それも将来の検討で柔軟に対応していきたいというふうに考えてございます。
 法律に規定する中身といたしましては、ここに書かれております、2ページにわたって恐縮なんですが、4点ございます。まず1点目が、使用者等が行う放射能濃度の評価方法を認可する。どういうふうにして評価しますかということを認可する。これは国が認可いたします。
 2番目に、その認可方法に基づいて使用者が評価した放射能濃度等について、国またはここでは登録機関ということが書かれてございますが、炉規法のほうではそのままJNESという形で法律で書かれているわけでございますが、RI法のほうはこの登録機関制度というのがとってございまして、国または登録機関で確認を行うということ。
 3番目、クリアランスされたものについては、関係法令において放射性物質によって汚染された物ではないというふうに取り扱うということ。
 4番目に、その登録機関の登録基準ですとか、登録機関に課する義務について規定することということで、法律の整備を行っていきましょうということを考えてございます。
 2点目の放射化物に対する安全規制でございますが、今の現状のところは、ここの段落で3行目、「なお」書きで書いてあるところなんですけれども、現状は平成10年当時の科技庁が課長通知ということで、この放射化物の取り扱いについては、行政指導においてどういう取り扱いをしていけばいいのかということについて周知徹底を行っているところでありますが、最近の出力が高まっていることとか、実際にこういった放射化物についてもクリアランスとともに考えていかなければいけない問題でございますので、そういった様々な事情を踏まえて法規制に導入するという形で、今のところ我々は考えているところでございます。
 まず(1)でございますが、放射化物につきましては汚染物としての取り扱いというので、RI法の中には位置づけさせていただくと。2番目に、省令とか告示等で定める具体的な基準については実態を踏まえて策定していくことが重要でございまして、まず1つ目に必要なのは放射化物の判断基準です。どういったものを放射化物とするのかという点。
 2番目に、実際に放射化物の判断というのがはっきりした時点で、その取り扱いをどういうふうにしていけばいいのか、それを具体的な基準に落とし込む作業でございます。この2点で作業を進めていきたいと考えてございます。
 最後の3番目に、廃止措置計画の届出化でございます。現状RI法、障防法上は、30日以内で廃止措置を行いなさいと法律上記載されているわけでございますが、近年廃止する施設が大規模化していることとか、そもそもクリアランス制度を導入いたしますと確認に時間を要するということもございますので、この30日以内という期間というのは撤廃をいたしまして、そのかわりといたしまして廃止措置計画というのを出していただいて、その見込みというのを報告いただくような形に改めるということを考える。この3本立てで進めていこうと思ってございます。
 今後のスケジュールでございますが、この基本方針を一応安全規制検討会でご了解いただきましたので、順次手続を進めまして、国民の皆様にご意見を伺うということで、一旦この基本方針についてパブリックコメントをすることを予定してございます。それで、パブリックコメントを経た上で法改正の準備に入っていきたいと考えてございます。

【山名主査】
 ありがとうございました。それでは、ただいまの件に関しまして、ご質問ございますか。石榑委員。

【石榑委員】
 1点だけ教えていただきたいんですが。おっしゃっているように、登録機関のところは炉規制法と違うわけですが、ここでこういう条項を入れられるということは、この基準を満たして義務を果たすならば、純然たる民間でもあり得ると、そう考えてよろしいんですか。

【服部放射線規制室長補佐】
 法律上は基準を満たせば登録していただけると。指定機関ではございませんので、唯一の機関ということの必要はございませんし、実際にRI法上で、他の登録機関は色々試験とかあるんですけれども、実際に講習機関などは複数、5機関ぐらいございますので、実施の際、そういうことをやろうと思えば、そういうこともあり得るということでございます。

【石榑委員】
 逆に言えば、基準とか義務が民間でもクリアできるようなものになるかどうかということにもなるわけですが。

【服部放射線規制室長補佐】
 今の現状のところで、やはりみずからがRIを使っているとなると、そこは利益相反といった形になりますので、そこは認めることはできないと思いますが、それ以外の要件については現状のところでは想定はされていません。ただ、具体的に今後の検討をする中で、そういった課題というのも出ていけば、解決していかなければいけない問題であると思います。現状、私が思う限りは、そういったことは想定されない。いわゆる本当の利益相反みたいなことがない限りは想定はされないと思います。

【山名主査】
 他に何かございませんか。基本的に原子炉等規制法でやってきたものと非常に同じなわけですね。ただ、RIの場合には、原子炉の場合には代表的な放射性核種があって、スケーリング法が使えたり、検認がしやすかったりというのに対して、RIの場合は何が入っているかわからないとか、色々なものが混ざっているとか、明確な相関がないとか、マトリックスがばらばらだとか、やはり多少違うところがあって、我々、研究施設等廃棄物でもそこが大きな問題になると思うんですが、そのあたりについて審議は行われているということでしょうか。

【服部放射線規制室長補佐】
 まず、そこら辺というのはまさにRI法で一番考えなければいけない。特に判断方法が難しいと先ほど申し上げたところも、まさにそこの点に尽きるかと思います。
 今のところ、我々が考えているのは、それはまずカテゴリーをしっかり考えようというふうに考えてございます。もしごみの分別ができるのであれば、分別で短半減期ですと、そのまま置いておけば減衰保管ということは考えられるわけでございますので、そういった方策が現実に可能であるのかどうか、品質保証ができるのかどうかということを考えるというのが、まず第1点であります。
 ただ、それにつきましては将来の廃棄物ということになってしまって、過去の廃棄物についてはそういったことを適用するのはなかなか難しいんだろうなとは考えてございます。
 あとは、長半減期なり、放射化物なりという、この3タイプで我々は考えて議論していくんですが、まず一番先の議論というのは、短半減期で見込める部分、そういったところから議論を進めていきたいと思ってございます。そこは同時並行的に混ざったものがどう実現可能性があるのかについても、考えていく予定は当然してございます。

【山名主査】
 それでは、よろしゅうございます。どうぞ。

【辰巳委員】
 あまりわからないままなんですけれども、要するにクリアランスされてしまっていると判断したら、普通の産廃と同じだということなんですか。そうすると、廃棄物処理法のほうからは、原子力に関係するものは今除外していますけれども、そこら辺の見直しというのはどうなるんですか。

【服部放射線規制室長補佐】
 先ほどご説明させていただいたとおり、1ページ目の3番目のところに書いてあるんですけれども、まさにそこのところは関係法令をどう整理していくのかというところが非常に重要な問題です。ですので、そこは法律事項としてしっかりと規定したいと考えてございます。クリアランスの判断をされたものについては、まさにここに書かれている放射性物質によって汚染された物ではないものとして取り扱うと、はっきりと法律に明示いたしますので、それに従いますと、当然産廃の方で規制がされるということになります。

【山名主査】
 よろしゅうございますか。それでは、原子力安全委員会における検討状況についてご説明をお願いしたいと思います。原子力安全委員会事務局の澁谷廃棄物班長よりお願いいたします。

【澁谷廃棄物班長】
 原子力安全委員会事務局の澁谷でございます。本日は、原子力安全委員会における放射性廃棄物処分の安全確保に係る取り組みについて、特に研究施設等廃棄物の埋設事業に係る部分を中心にご説明したいと思います。時間もございませんので少し端折らせていただきます。
 「はじめに」のところにつきましては、安全委員会と、安全委員会の主な活動ということを書いてございますが、ここはご承知だと思いますので、飛ばさせていただきます。3ページ目をご覧いただきたいと思います。原子力安全委員会における放射性廃棄物に係る取り組みは、基本的には廃棄物の埋設事業の2次審査というものに対応してございます。その2次審査のために大きく3つの取り組みというものを行ってございます。
 1つ目は、安全規制の基本的考え方の策定ということで、ここでは放射性廃棄物の埋設処分の方法や安全の評価についてまとめてございます。2つ目は、基準値の策定ということで、こちらは埋設に係る濃度上限値の策定や、クリアランスレベルの策定などを行っています。3つ目として、安全審査指針の策定ということで、こちらは廃棄物の埋設の要は2次審査に使う安全審査指針というものを作っているところでございます。
 引き続き4ページ目のほうに行かせてもらいまして、最近の特に廃棄物埋設の安全性確保に係る取り組みなんですけれども、先ほど言った3つの柱に対して、大きくここに書いてあります4つの報告書を挙げてございます。特にウラン取り扱い施設におけるこの赤い部分、クリアランスレベルについて。それから、「放射性廃棄物埋設施設の安全審査の基本的考え方」、これは安全審査指針なんですけれども、この一部改訂につきまして、現在意見公募中というところでございますので、こちらについて後ほどゆっくりご説明したいと思います。
 まず最初に、安全規制の基本的な考え方に係る最近の取り組みについてということで、7ページ目のところでございます。現在行われている放射性廃棄物の埋設は原子炉施設から発生する低レベル放射性廃棄物で、放射能濃度が一定期間管理を行うと十分に減衰するというものだったんですけれども、余裕深度処分対象の原子炉内構造物や、今後出てくると想定される、例えば再処理施設などから発生する廃棄物には、長半減期の放射性核種が存在しますので、管理期間終了後の長期の安全評価によって安全を確保するということになります。
 ここで言う長期というのは数万年オーダーでございますので、当然その評価の不確実性、どのように取り扱うかという点が重要になります。そこで、こちらの資料にありますように、平成16年代、少し議論が進められておりまして、リスク論的な考え方を導入すると。それから、シナリオの発生の可能性を考慮した放射線防護の基準の検討を行っていくということ。
 それで、特に平成19年の報告では、個々のシナリオごとに発生の可能性との影響の程度を比べつつ個別にリスク評価を行う、線量/確率分解アプローチを参考とすることが妥当ということで、7ページ目に書かれているように、不確実性を考慮して、シナリオを基本シナリオ、変動シナリオ、人為・稀頻度事象シナリオの3つに大きく区分しまして、そこの目安線量というものを10μSv/年、300μSv/年、それからあとは10mSvから100mSv/年としてはどうかというところを取りまとめてございます。
 こちらは、先ほど粟辻補佐のほうからもご説明いただきましたように、放射線審議会の検討や、ICRPの最新の勧告などで若干数値が変わったりしておりますので、そういったもので、今後、指針のときには見直しが行われていくということでございます。
 基準値に係るところなんですけれども、こちらにつきましては少し飛ばさせていただいて、10ページ目のところなんですけれども、ここに書かれているのは埋設に係る基準値でございます。先ほども出ましたとおり、現在平成19年に取りまとめたものでございますけれども、対象施設を原子炉施設と核燃料サイクル施設にしておりまして、浅地中処分、トレンチ処分、ピット処分、それから余裕深度処分としております。
 それから、低レベル放射性固体廃棄物ということで、固体廃棄物全般に対して濃度上限値をとってございます。ただし、自然起源のウランを主たる組成とする廃棄物は除くとさせていただいてございます。濃度上限値は11ページに書いてあるものがそれでございます。
 12ページ以降、クリアランスレベルについて少し書いてあります。クリアランスレベルにつきましては、原子炉等規制法に係る部分について、安全委員会のほうで今まで策定してございまして、主な原子炉施設と一部の核燃料使用施設について取りまとめが終わってございます。平成16年12月、12ページの4番目のところなんですけれども、こちらにつきましては最新の知見を踏まえて、先ほどのクリアランスレベルの再評価を行ったというところでございます。
 13ページ以降は今現在行っているウランのクリアランスレベルの評価のところのお話なんですけれども、今までは人工起源の放射性核種ということで、通常の10μSv/年というもの相当するものとして、あのクリアランスレベルを決めていたんですけれども、ウランといいますと、バックグラウンド、自然起源の放射性核種ということもございまして、世界的には規制除外の考え方に基づいて、世界規模での土壌中の自然起源の放射性核種の放射能濃度の測定結果の上限をもとに設定ということをやってございます。
 そこで、安全委員会といたしましては、もちろん国際的整合性からIAEAの基準を導入するというのは非常に重要なことなんですけれども、これまでの実績として10μSvということで国民にもこういう数値でご説明しているということもありますので、実効線量に基づくクリアランスレベルというものも一方で評価しようということでございます。ウランにつきましても、10μSv/年に基づくクリアランスレベルというものも別途評価してございます。
 対象といたします核種が14ページ目のほうにございます。天然のU-234、235、238に比べまして、あとは実際回収ウラン等を扱いますので、U-232、236なども出てくるということで、この5核種を対象としてございます。
 それから、評価対象物、特にクリアランス対象物というのは、約9割ということで金属廃棄物を今回対象にさせていただいてございます。
 評価結果は15ページ目に示しまして、評価結果の表の一番右から2番目の原案委というところを見ていただければわかると思いますけれども、U-232に対しては0.1Bq/g、残りの核種については1Bq/g程度の数値となってございます。こちらにつきましてはIAEAのRS-G-1.7という国際的な基準と比較いたしましても、ほぼ同程度ぐらいの値ということを確認してございます。
 16ページのほうに行きまして、クリアランスレベル以下であることの判断基準なんですけれども、こちらは、それぞれの核種、1核種ごとであれば、先ほどのクリアランスレベルで10μSv/年を満たすんですけれども、複数の放射性核種すべてがクリアランスレベルまで持ってこられますと、当然その分線量が増してしまいますので、ここで書かれたように実際の濃度をクリアランスレベルで除したものの総和が1以下となるような判断基準を持ってきてございます。
 こちらにつきましては、ただ、一方で自然起源の放射性核種につきましては、RS-G-1.7では、個々の放射性核種の濃度は与えられた放射能濃度を下回るべきであると。それから、自然起源と人工核種の両方の放射性核種の混合物は、個々の放射性核種の濃度が与えられた放射能濃度を下回るというものと、先ほどのこの赤で示した式で書かれたような両方の基準が満たされるべきというふうに言っておりますので、こちらにつきましても安全委員会のほうで色々検討いたしました。
 結果といたしますと、自然起源の放射性核種についても、1Bq/gが10μSv/年の目安線量を十分満足していることを確認しているということもありますので、RS-G-1.7と同じ判断の方法を適用することは適切であるという結論としてございます。
 安全規制、安全審査指針の改訂のことなんですけれども、現在18ページに書かれてございますように、安全審査指針の改訂を行っております。左側に書かれているものが現行の安全審査指針でございまして、右側の赤で書かれた部分が今プラスアルファをするというところでございます。主なところでは、核燃料サイクル施設を入れるということ、それから余裕深度処分を入れるということが大きなところでございます。
 もう一つ、トレンチ処分の金属というものも入れるということでございまして、今19ページに示してございますように、こちらにつきましては先に審議を終了させまして、現行の指針にトレンチ処分に金属を入れるというところ、その部分の改訂につきまして、現在意見公募を行っており、まずここの部分の改訂を先にやってしまって、その後で、先ほども申しましたサイクル施設を入れるとか、余裕深度処分であるとかいうところの指針の改訂のほうを進めていくというスケジュールで、現在進めています。
 少し雑駁でございましたが、説明は以上でございます。

【山名主査】
 ありがとうございました。何かご質問等、ございますでしょうか。森委員、どうぞ。

【森委員】
 今の18ページの安全審査指針の改訂の方向の中で、トレンチのところに、従来ですと容器に固型化しないコンクリート廃棄物ということでしたけれども、低レベル放射性固体廃棄物、金属のみということですが、入れていただくというのは非常にありがたいんですが、容器に固型化しないというのはそのままでしょうか。
 といいますのも、例えば大学、民間ですと、既にドラム缶に入っているものがございまして、それを金属ということでクリアランスで出そうとしたときに、そのまま捨ててしまうと、例えば後で土でかぶせたときに、50年ぐらいたつと陥没してしまう可能性があると。そういうこともあって、その場合ですと、むしろ逆にコンクリートを入れたほうがより安全になるのではないかと思いまして、そうすると、ここに固型化しないというふうに書かれてしまうと、逆安全ではないかと思います。そういう意味で、少し枠を広げていただいたほうが、我々としてはよろしいのではないかとも思うんですが、いかがでしょうか。

【澁谷廃棄物班長】
 こちら、容器に固型化していないといいますのは、例えばコンクリートがそのまま固化等の処理をしていなくても、当然溶出率等、その分早く出ていくということを考慮しても十分安全に処分できるということで、容器に固型化しなくても大丈夫と言っておりますので、容器に固型化してあって、例えば核種移行抑制が十分図られているものであれば、当然審査の段階でそれは許容されるものと考えてございます。

【森委員】
 ありがとうございました。

【山名主査】
 他に何かございますか。よろしゅうございますか。ありがとうございました。
 それでは、本日の審議事項は以上でございますが、実施計画に関しての今後の予定等については、田口課長のほうからお願いします。

【田口原子力計画課長】
 本日、機構のほうから説明させていただきました実施計画につきましては、本日の意見も踏まえまして作成を進めていきたいと思ってございます。また、作成の過程で、これから関係機関との調整もございますが、大きな変更がございましたら、また改めてこの部会を開催してご説明ということになりますが、そうでなければ、実際の計画自体、皆さんのお手元に今日の意見を踏まえた形で、最終的にお配りというか、ご連絡をさせていただくような格好にしたいと思ってございます。
 今後、色々手続がございますので、認可の時期がどのタイミングになるかはわかりませんが、なるべく早く進めていけるように、文科省としても、あるいは計画を作っている機構としても努力をしていきたいと思ってございます。また次の部会につきましても、あわせて今後調整をさせていただきたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

【山名主査】
 それでは、第6回の研究施設等廃棄物作業部会を終了いたします。ありがとうございました。

── 了 ──

 

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