ここからサイトの主なメニューです
資料1

大強度陽子加速器計画評価作業部会(第1回)議事録(案)

1. 日時
平成18年12月5日(火曜日)15時〜16時50分

2. 場所
文部科学省10階 10F3、4会議室

3. 出席者
(委員) 井上(明)主査、飯吉委員、家委員、井上(信)委員、大野委員、小川委員、長我部委員、金子委員、駒宮委員、荘司委員、西村委員、福山委員、横山委員
(説明者) 永宮J-PARCセンター長、大山J-PARCセンター副センター長
(事務局) 藤木大臣官房審議官(研究振興局担当)、大竹基礎基盤研究課長、木村量子放射線研究推進室長、他関係官

4. 開会
 井上主査より、本作業部会立ち上げに当たり、挨拶があった。引き続き藤木審議官より挨拶と本作業部会の位置付け等についての説明があった。さらに、各委員から自己紹介がなされた。
 また、本作業部会の会議、会議資料、議事録は原則公開すること、別途特別に取り扱う事態が生じた場合には改めて諮ることとし、本作業部会は公開されることとなった。

5. 議事
(1) J-PARC計画の概要について、永宮J-PARCセンター長から説明があり、その後以下の議論が行われた。
(▲主査、○委員、●説明者、△事務局)
 
委員   J-PARCではすばらしい中性子ビームができることと思いますが、J-PARCができた暁には、原子炉を使った中性子研究との関係はどのように考えているのでしょうか。

説明者  中性子の炉は連続ビームが出てくる一方、J-PARCの方はパルスビームで、瞬間風速でいうと原子炉の100倍ぐらいの風速を持っています。しかしながら、平均すると原子炉の方も非常に有用なことがたくさんあるので、中性子のユーザーは両方同時に使いたい。相補的であり、折角近くにあるから、両方で研究を行いたいというのが非常に強い希望です。我々もそのように要求しているし、できればそうあって欲しいと思っています。

委員  できればというのは、それはどういうところで決まっていく問題なのか。

説明者  決定要素は予算ではないかと思います。その獲得のために頑張っています。JAEAは原子炉の予算を全部サポートしており、さらに、J-PARCの高額な維持費も確保していかねばなりません。ただ、現在のところ、原子炉を止めるというような話は聞いておりません。

事務局  今の話について、少々異なるケースですが、我が国ではSPring-8他いろいろ行っているが、世間からは、いいものができたら既存の施設は潰せという話が出て来ます。特にそういう声は、今、財政状況が厳しいから多いのです。これに対しては、例えばSPring-8やX線自由電子レーザーとか、KEKのフォトンファクトリーなど、それぞれに役割分担があって、それを利用するユーザーの数も多くいて、また、各々の施設でこれだけの成果が出て、役に立っているということを説明しております。
 今は、J-PARCが建設中ですが、そういう話は特に出ていません。JAEAの統合の際に別の原子炉の閉鎖という話もありましたが、JRR−3については特に話は出てきていません。ただ当然、J-PARCが運転に入った段階ではそういう議論が出る可能性があります。
 したがって、本日こちらにおられる先生方は評価者であると同時に、ユーザーの代表の方もおられますので、こういうものというのは日本に1台あれば足りるものではなくて、性質も違うし、非常に利用の度合いが高いということを様々な場所で宣伝していただきたいし、そういう見解を例えばこういう報告書の中でも盛り込んでいただくことは重要と考えております。

説明者  ちなみに、アメリカでもSNSという施設がそろそろ動き出すということで、パルス中性子源の横にある原子炉と一緒になって、原子炉とパルス中性子を一緒に運転するという組織を最近作りました。そういうニーズというのは非常によく分かるので、できるだけ同様な方向に近づいていきたいと思っています。

主査  22ページ目の建設組織から運営組織へという資料で、J-PARCセンターが今年の2月に62名で発足されたということですが、最終的に330名というのは、KEKとJAEAで兼務、又は専務で330名体制になるということなのでしょうか。それとも残りを業務委託にするということなのか教えてください。

説明者  最終的には、KEKとJAEAから330名ということで、業務委託を含めると600名位と考えています。今、平成19年度にどうするかということを議論しています。今日の評価部会には間に合わないのですが、次回の作業部会ぐらいまでには確定すると思います。多分、来年度はKEKとJAEAから200人以上の体制になると思います。

主査  見通しがあるということですか。

説明者  その通りです。正確な数はわかりませんが、300人に近づくような体制になります。業務委託は運転が始まらないと分からないという面もありますが、今、議論している途中です。

主査  21ページで、いかに運転経費を創出するかということがありますが、これはユーザーにとっては非常に重要です。それからビームラインの23本中6本に関しては、科研費等いろいろな経費によって建設するということのようですが、このあたりの見通しはいかがでしょうか。ユーザーとすると一番気がかりな点はこのあたりだと思われますが。

説明者  運転経費に関しては文部科学省ともたびたび相談しています。我々だけですべてアイデアを出せるわけではないので、今相談中です。何が問題かといいますと、この計画は、両法人が法人化する前にスタートしたものですが、運営費交付金はそんなに増やせない状況の中で、運転する時期には運営費交付金という制度が定着している時期であり、運営費交付金を大幅に増やさなければいけない点です。そのメカニズムをきっちり作り出していかなければならない。この点については、事務局のほうが詳しいと思うのですが。

事務局  これは国の方としても考えていかなければいけない話だと思っていますが、大学共同利用機関法人、独立行政法人という制度的な制約の中でこれだけの運転経費をどのように確保していくか、これは非常に難しい問題になっています。今と同様の面倒が見られるのか、あるいは見られないならどういう新しい枠組みをつくる必要があるのか等々、次回以降また御議論いただくことになると思うので、我々としても知恵を絞っていかなければならない問題だと思います。

主査  非常に重要なこの会議の1つの視点だと思われます。

説明者  ビームラインのことについては、今、6本ぐらいまでは見通しが立っているわけですが、全体的にどう考えていくかということについては、いろんな方向性があります。大型の科研費も1つの方法ですし、KEKのようなところで運転経費を捻出して、それで作るというのも1つ。2期計画も1つあります。いろんな角度から検討しています。また、SPring-8で行っている共用促進法も考えられるなど、一度整理して御報告したいと思います。

委員  先ほど、最後にちらっとおっしゃった共用促進法とJ-PARCとの関連に関しては、はっきりした方向が出ているのでしょうか。

事務局  今回、法改正を行って、SPring-8に加えてスーパーコンピュータが共用促進法の適用の対象になったわけですけれども、その共用促進法の対象施設を今後広げていくのか、あるいは広げていくときにJ-PARCが本当に共用促進法適用に適当な施設なのかどうか、適当な施設だった場合に、J-PARCのどの部分までを共用法の対象にするのかといったことは、多分これから相当議論していかないと明確にならない部分があると思います。我々もその部分については検討していきたいと思っており、次回以降の紹介になってしまうと思いますけれども、是非議論いただきたいと思います。

委員  この委員会の会期中に何か方向性が出てくるということですか。

事務局  そうですね。共用促進法を適用するかどうかも含めて、新しいフレームワークをつくるかどうかということについては、必ず議論いただきたいと思っている項目であります。

委員  完成後の運転経費を見積もるのは非常に難しいと思うのですが、これは例えば先ほどのビームライン23本が全部完成した暁のビームラインの維持、運転経費も含めたものでしょうか。

説明者  これは全部含んでいる訳ではなくて、大半は加速器部分のものです。現在は10本分までしか含めていません。

委員  例えば、科研費でビームラインを整備すると、当然、科研費の研究期間が終了した後には予算の手当てのめどがないわけですが、とはいえ建設期にはそんなことは言っていられないから、取れるところから取ってくるということでしょうか。

説明者  科研費の場合については、そのようなビームラインをJ-PARCへ移管していただいて、個々のビームラインの維持費も含めてこちらで見るような格好にならざるを得ないのではと思います。

委員  本体の方の運転経費が圧倒的に大きいと思ってよいのでしょうか。

説明者  その通りです。

主査  後で議論になってくるのだと思いますが、国内外に開かれた施設ということで、23ページ等での外国の状況というのは、これを実際に運営して行くに際して、外国との共同というか、あるいは職員の中にも外国の方をどれぐらい入れようと計画されているのか、その点についていかがでしょうか。

説明者  これはいろんな分野によって度合いがちょっと違いますが、国際化に関しては、研究面と生活面的なものと両方の国際化が問題になってくると思います。生活支援的な面での国際化というのはよく叫ばれるのですが、私が非常に気にしているのは研究面です。
 例えばニュートリノグループは非常に進んでいて、既に300人ぐらいの内200人余りが外国人です。だから、コラボレーションミーティングでも、みんなが英語でやっています。彼らが何を困っているかというと、出身国でいろいろな測定器を計画して、こちらでその一部分を作ろうとしても、一体だれが支援してくれるのか、どこにアカウントできるのか、といった点です。そういうことは全部日本ではできないシステムになっています。これを解決するには、インフラそのものを変えないといけません。外国の人は、今までは適当な銀行口座を作って、KEKなんかで実験をしていたわけですけれども、これは限界があり、そういうことばかりやっていると外国の法に触れるわけです。しっかりした機関が、外国グループの研究面での受け入れ体制を整えておかないといけません。CERNとか、諸外国では受け入れのための体制というのがきちっと整えられています。
 中性子分野では、今、実は外国の人が入ろうとしてきているのに、そのチャネルがなかなか見つけられていません。特にアジア圏で。
 後日、国際化の議題の折に、これらの諸点はまた改めて報告したいと思います。
 生活面の問題では、村とか県がそういうことを、資金拠出なんかも含めていろいろ考えてくださっています。JAEAではそもそも外国人が少ないということもありますし、この面でもいろんな問題が山積しています。

委員  先ほどの完成後の経費のことですが、15ページの建設のお金と完成後の運転経費を見比べると、大体同じぐらいになっています。普通我々は建設には非常にお金がかかると考え、完成後はメンテナンス費及び電気代なので、普通は減るのではないかと思うのですが、建設費とほとんど同じぐらい、190億円が半永久的にかかるわけです。これはそのように理解して良いのでしょうか。

説明者  運転経費は両機関あわせて190億円と言っているものです。だから、およそ今年の建設費プラス維持費予算総額の半分ぐらいになります。

委員  でも、この表を見ると、大体平均一機関あたり100億円ぐらいですよね。

説明者  たしかに、過去も含めての平均を取るとそうです。

委員  平均大体100億円ぐらいですね。今年は非常にピークかもしれませんが、そうするとその平均が未来永劫続くのかなというふうに思ってしまいます。これはメンテナンスのお金がかなり大きい。だから、そのメンテナンスをどのくらいシビアに国際レビュー委員会で評価したのかというのが、ちょっと引っかかるということです。

説明者  これについては、また次回以降にお答えさせていただきます。

委員  加速器の場合、比較的建設期間が長いプロジェクトの場合は、建設時と同じぐらいのコストで運営しているケースは多いと思います。ただ、完成後の費用という議論で、わかりにくいのはリニアックの回復ですが、これは多分、完成後に行うものでしょうが、先ほどのもろもろのビームライン等の整備が終わった後という意味でしょうか。そこがちょっと分かりにくかったのですが。

説明者  そうではなく、平成21年度からすぐということです。

委員  そうすると、今の百何十億とかいう運転経費的な部分に含まれるということですか。

説明者  実はその辺は少し細かく、注意深く見ていかなければいけないと思うのですが、190億円は初年度からすぐに欲しいけれども、一方ではじわじわと年次を追って上げていくというケースもあり得ると思います。また、リニアックの回復に要する施設整備費といっても年間30億円程度くらいと思っているので、そんなにこの分が大きなウエートを占めるとは思っていません。
 リニアックの性能回復について、我々の希望としては3年ですが、4年ということもあり得ます。それが運営経費にインパクトを与えるかどうか、どの辺がリーズナブルかというのを担当局と進めていかなければいけないと思っております。

(2) 平成12年度の事前評価及び平成15年度の中間評価等において指摘された事項等について、事務局から資料3に基づき、これまでの評価における主な指摘事項等について説明があり、その後以下の議論が行われた。
委員   J-PARC計画が発足してから7年ぐらい経過しますが、当初のときに議論されたことと、それから今評価されようとしていることにあまり大きな違いがなく、良い、ということが書いてあるような気がします。
 ところが、社会情勢の変化というのはものすごく大きくて、この7年の間に経済状況をはじめとして変わっている。それと同じように学問も、私の分野なんかは今と7年後ではものすごく大きな変化があるわけです。だから、ちょっと3年間、例えば違う方を向いて学問をした場合に、次に戻ってきたときに、その3年間の進歩を全部追い返すというのは非常に大変なことです。そのぐらいでまた大きなターンをしているという、考えもしなかった発見があったり、いろんなことがあったりということが分子生物学ではものすごく多いのです。それを例えば中性子、陽子加速器の学問においてそういう大きい変化が出てきたときに、こういう計画が全て実際に適用されて、大きな研究成果が上げられるのでしょうか。私は以前からその辺がよくわかりませんでした。

説明者  最初、事前評価を実施していただいた頃、パルス中性子がISISにはありましたけれども、SNSもそれほど建設が本格化しておらず、中性子科学が流行するのか懸念はありました。日本学術会議においても、X線については強く言っていたけれども、中性子については、言っていたには言っていたけれどもそれほど強くは言及されていませんでした。しかし、現在、中性子科学は,SNSがほぼ完成に近づいてきていまして、非常に速い勢いでユーザー人口が増えていっています。こういう研究は息の長い研究であり、逆に言うと、建設が進むにつれてこのような施設の完成がだんだん身近に迫ってくると、みんな真剣に考え出して、むしろ盛り上がっているのかなという感じを私は持っています。
 ニュートリノでもそうで、このごろは1日に平均1件以上の見学があり、世界中の研究施設の所長がやってきます。ついこの間も、アメリカのフェルミ研究所の所長グループが来るなど、多くの研究所が見学に来ています。だから、でき上がってくるというのが世界でわかってくると、何となく注目されて、そこで新たな値打ちみたいなのが出てくると感じています。

事務局  政策面のほうから一言発言させていただきますと、事前評価時に議論いただいた際にも産業利用というのは言われていたのですけれども、どちらかというと明確なイメージがないまま産業に使わせようというような感じでした。しかし今、例えば第3期科学技術基本計画の中でもイノベーションという言葉が多用されているし、あるいは総合科学技術会議のほうでイノベーション創出総合戦略みたいなのが出てくるようになってきて、イノベーションを実現するための明確なパスをどう設定していくのかというのが、我々にとっても1つの課題だと思っています。
 そういう中で、このJ-PARCという施設がどこに位置づけられるのかということは明確に意識をしていかなければいけないし、そのために利用者にとってどういう形で使っていただければ、いい成果を出していただけるのかということも考えていかなければいけません。そのための今回の作業部会だと我々は考えているところです。

委員  すごくそれは大切なことだと思います。初めの目的と、5年後、10年後でどんどん物の考え方や、情勢とか学問の進歩が変化していきます。それが本当に変化したこともあって、それにきちんと対応した非常に意義のあることだということが記載されないと、こういう評価だけではあまりいいような気がしません。どれでも同じという感じがします。
 私は事前評価のとき、例えば水素原子まで解析できるようになるということを言われて、タンパク質の構造解析を水素原子まで全部やると、生物学的には構造体とか、アクティブサイトとか、そういうのが全部わかってくるから、すごいことだとそのときは思いました。それが実際どこまで進んでいるのかなんていうのはフォローしていないものだから、その時はそう言ったけれども、実際は全然違った方に進んでいるということがあるので、そこを評価のところできちんと記載されないとおかしいなという気がします。

主査  タンパク質の視点から今のような発言はどうでしょうか。

委員  今、委員がおっしゃいましたタンパク質の解析とか、特に水素を含んだ解析とか、そういうことに関しての認識としては、確かにX線ではなかなか見えないので、中性子で見ていかないといけないのかなという程度です。
 実際に茨城県のつくばでちょっと話をしたときに、茨城県の方から、中性子線の施設がありますので、私が関わっているようなタンパク質の構造解析に使っていただきたいという話も具体的にあるのですけれども、ただ私たちはまだ新しいタンパク質を追いかけている段階で、とてもまだ実際に自分の持っているタンパクを結晶化して、構造解析してというところまでなかなかいかない。そういう意味合いでそっちのほうが遅れているのかなという感じが、ちょっと認識としてはあります。

委員  中間評価でも指摘されていますが、リニアックは当初200MeV(メガエレクトロンボルト)で運転をスタートして、400MeV(メガエレクトロンボルト)の本来の運転モードに回復するとありますが、これは具体的にはどういうことなのかということが1点と、それが実際に運用を開始してから、実際の運転の停止をしないのかどうかということを質問します。

説明者  リニアックの建屋は330メートルありますが、現在、半分ちょっとしか設備が入っていません。200MeV(メガエレクトロンボルト)まで加速して、後はビームを輸送するだけになっています。400MeV(メガエレクトロンボルト)の性能にするときに設備を据え付けますが、夏のシャットダウンというのがありますので、その時期にメインユーザーには御迷惑をかけないような格好で据付をしようと考えております。

委員  少々的が外れているかもしれませんが、この計画はKEKとJAEAとの共同で行われていますが、日本では建設期から一緒に行うというのは画期的なことだと思います。ですから、そういう意味では今後のビッグプロジェクトの進め方の1つの試金石といいますか、そういう形で見ている方は多いと思いますが、おそらく建設過程と実験に入った過程とで違うと思います。要するに両機関の力をどう結集して、仮にこれをそれぞれの研究機関が造ったとしたときと比較した時に、単独ではできなかった新しい展開があり、どういういいところがあるのか、ということに私は非常に関心を持っております。今、お答えしていただけるのであればしていただきたいし、また実験が始まったときは変わると思いますけれども、KEKの視点とJAEAの視点とは、開発と基礎研究という意味でもかなり違った性格を持っています。それがうまく合体したときに、どういう新しい成果が出てくるのか。ある意味ではこの計画を社会にPRするときにも、非常に大事な視点になるのではないでしょうか。また、このセンターというのは非常にうまく動いているようですから、いい成果になっているのだろうと思います。それを1つお聞きしたい。
 それからもう1つ、KEKは大学共同利用機関ですよね。共用という考えが最近出てきたときに、実験の中で、あるグループは共同研究をしている、あるグループは共用しているという事態になることが想定されるのでしょうか。そのときはどういうすみ分けをしていこうとされているのか、その辺ちょっとお聞かせ願います。

説明者  すべてを本日答えることはできませんし、今の発言にはいろいろ深いものもあるので、別の機会にもお答えしたいと思います。まず1つ目の点ですが、我々が当初スタートしたときは、両機関で別々の大強度陽子を使うプロジェクトであったので、共同で行えばお金を安くすることができるのではないかということが出発点であったと思います。何かそこから新しい文化が出てくる、新しいものが出てくるというのであれば、さらに非常にいいことであって、例えばJAEAでは核変換というのをやっています。これは廃棄物処理とか、そういう実用的な観点からのことですが、そういうことが学問というか、研究的な立場から見て興味を持たれるのも重要ではないでしょうか。最初の事前評価を行ったときは、科学と技術の合体からルネッサンスを開きなさいということを、インターナショナル・アドバイザリー・コミティに言われました。我々は異文化の融合の中から新たなものをつくり出すということをいつも探求していかなければいけないということで、現実に何が出てくるかというのはよく分かりませんが、そういうことを常に志向しながらやっていきたいと思っています。その例を今日1つ2つ述べるよりは、よく考えてからお答えしたいと思います。
 大学共同利用と共用の関係ですけれども、これは私自身も長年、両機関のトップとも何回も話していることです。さまざまなユーザー対応はあっても、J-PARCはユーザーのための施設です。したがって、1つのルールで、外から見たら混乱がないようなルールで行いたいというのが基本的な考え方にあります。外部の人も内部の人も、国内も外国も利用します。この基本的な原則を、このJ-PARCに関しては両機関でお認めいただきたいとお願いしています。JAEAの理事長、副理事長以下、徐々に認識していただけるようになってきているわけです。
 大学共同利用も大学だけじゃなくて、国外にも本当は門戸をきちっと開くような格好にしていかなければいけないので、そういう意味で大学共同利用だけが完璧かというと、必ずしもそうではないと思っています。そういう視点で、新しい利用の形態というものを、この際折角だから作っていきたいと思っています。障壁が多くありますが、ゴールはそういうふうにしたいと思っています。また、グループの内部の人にもその方向に努力するように言っております。
 両機関でルールが違います。業務方法書も違います。ビーム料金はJAEAでは有料になっていますが、KEKでは無料になっている。そこをどうするかということで、J-PARCとしてはJ-PARCとしての1つのルールで、たとえばビーム料金を原則無料にしたいと思っています。業務方法書が衝突するときは、両者で合議して1つのルールを作るというふうにして、両機関の二つの利用の形態を併存させない方向を我々は追求していこうと思っております。

委員   J-PARCの1つの目的の中には産業利用というのもあると思いますけれども、J-PARCの先生方が一生懸命、産業利用のために活動されているが、例えば今までの評価の中で、J-PARCの産業利用に関する活動に対しての評価というのは、何かこれから出てくるのでしょうか。

説明者  評価というのはわかりませんけれども、我々は産業利用を促進するためにどうしたらいいかということに関し、何回もそういう専門の部会も開いていただいております。現在、トライアルユースということで、産業界になるべく中性子になじんでいただくため、原子炉(JRR−3)を使っていろんな実験をスタートさせています。資生堂等いくつかの産業界の方々が来て、中性子というのはまずどういうものか体験いただいております。中性子はX線に比べて非常になじみにくいものですから、トライアルユースを一生懸命やっている訳です、J-PARCが完成したときには、もっと多くの方が来ていただけるようにする。また、産業応用フォーラムであるとか、いろんな機会を設けて、産業界との接触を持つように努力しています。
 すなわち、産業利用としては、とりあえず今ある原子炉を使って体験していただいて、それをJ-PARCにつなげるという活動を今進めているところです。

委員  事前評価と中間評価に経済的ということが書かれていて、それは産業利用と、先ほどおっしゃっていたイノベーションによる経済効果という意味合いで書かれたと思いますが、中間評価の時点で想定されておられたような産業利用のボリュームと、それから先ほど言われたように、社会情勢が変わってきて、現時点でもう1回評価するとしたら、さらに産業界からの利用の要望が増えているという実態があると、今回の評価がまたそういう視点で書けるかなと思うので、そういう意味で中間評価や事前評価の時点で、どのぐらいの産業利用を想定していたかということがもしあればいいかなと思います。 我々もトライアルユースに参加させていただいて、難しいなと思いつつも、何とか利用できないかなという観点を持っておりますし、それからSPring-8とか、他のシンクロトロン・ラディエーションもなるべく相互支援ということで、かなり産業界への窓口を広げて、利用が多くなっていると思う。ですから、そういう状況を踏まえて今の時点で見たときに、中間あるいは事前に比べて産業界からの声がどうなったかと、そういう少し定量的な比較ができるような種がないのかという質問です。

説明者  実際のデータは持ち合わせていませんが、JRR−3で産業利用、トライアルユースが始まる前と始まった後でどう変わってきたかというと、随分増えています。しかし、元々が非常に少ないのです。それがかなり進んできました。これをどう評価されるかは分かりませんが、もともと中性子の産業利用は25パーセントなんていうことを事前評価のあたりから言っていたことがあります。一方、SPring-8でも10パーセントに満たなかったところから共用促進法等を駆使していろんなことをやり、現在十数パーセントになっているのだと思います。我々もそう楽天的には考えられません。JRR−3でも10パーセントより下です。それを何とか解決したく、その数が上がってきているデータもあることから御理解いただけることもあるかと思います。

委員  例えば産業界が使うためには、我々は素人ですから、どのぐらいコストをかけないと使えないのか、また、使い出せば課金とかもいろいろできると思いますから、そういった少し定量的な議論が盛り込めればと思います。

説明者  私が個人的に考えているのは、産業界にいきなり課金をするというよりは、経過措置とか、産業界にとって使いやすい初期措置とか、そういうことをよく考えていかないと、永遠に産業界は来ないのではと思います。そういうことも我々の内部ではいろいろ検討しております。

委員  先ほど少々中性子線を使って創薬というような話も出たけれども、ここでよく考えないといけないのは、今、永宮先生がちらっと触れられました使いやすさについて、一番絡んでくるのが知的財産権です。SPring-8のときも、製薬メーカーにいていろいろ産業利用でという話は伺ったけれども、なかなか踏み出せないところがあります。
 それと1つは、産業界で持っている、各企業で大事なタンパク質ですので、それを外へ出すといことにはすごく抵抗がある。構造は調べたいけれども、もう少し生物学的なところでというような。それでどうしてもためらうので、そのあたりをさっといけるような、何か産業界として入りやすいシステムを考えていただかないといけない。こういう設備があるよ、中性子を使ったらX線では見られないものが見られるよ、と言われても産業界はなかなか踏み出せません。そこのところをよく考えて、あとの維持費というか、そういうのにも生かしていかないと、折角いい新しいテクノロジーがあるのに産業界としてはすごくためらってしまいます。様子を見てからにしようという話になるので、そのあたりはよく考えていただきたいなと思うし、特に使用というか、知的財産権を含めた利用方法を考えていただきたいなと思います。

委員  今の利用方法というところで、トライアルユースのほうのコーディネーターもやっているのですが、そこでも言わせていただいたけれども、中性子というのはX線に比べるとかなり遠い存在というか、親しみがないものです。X線であれば各会社に装置が何台もあったりするので、それの大きくなったようなものというので放射光は使えるかもしれません。ただ、中性子に関しても、特性は違っても同じような量子線であるから、同じだと思える人もいるかもしれません。どんなものだろうというところで、なじみのなさから測定そのものも自分たちでやるのが無理なんじゃないかと思っている産業人も多いのではと思います。
 だから、大学の先生方が使われるように、自分たちで測定しに行くという使い方だけではなくて、素人がサンプルを持参してお願いしますと言って持っていけば測定してもらえるというような、自分たちで測定しなくても使える制度が中性子の場合は必要と思っております。

説明者  実は私も昔、血液をどこかでとって検査に出したら戻ってくるというような感じの分析センターというのを作らなければいけないということを考えたことがあります。人手が沢山要るので、どのようにこれを進めるかは課題です。このような方向でご意見をいただければ、そういうことも積極的に考えていく時期と思います。
 ただ、中性子においては産業利用も促進していく必要はあるのですけれども、現状を言えば、7、8割は学術研究です。これらを考慮すると、トップレベルの世界に冠たる中性子の研究成果を出すのがまず重要であると考えております。これが第一義的なもので、別に産業界を無視するというわけでは全くございませんが、この点が非常に重要なことであることも留意しなければいけないと思います。

(3) 次回以降の議論の進め方について、資料4に基づき説明後、その後以下の議論が行われた。
主査  今の説明の中でJ-PARCの見学がありましたが、いつ頃と決めているのでしょうか。

事務局  まだいつ頃という具体的な日程はございませんが、委員各位と日程調整をさせていただきながら、今後決めていきたいと考えております。

主査  意見が弾むには、まずは早いほうがよろしいのかも知れません。実際にこうだということのイメージをつかむためにも、日程調整は早めにお願いできればと思います。

委員  会議の開催日については、例えば、第何週の何曜日ぐらいというのがいつも目安にあると、そのときの計画を立て易いと思います。委員会は、第何週の何曜日の10時からと決まっていると、1年計画であっても空けられるということになります。日程照会をその都度行われると、照会の時には空いていても、どんどん埋まっていってしまいます。そういうことがあるので、できるだけ日程を決めておいていただきたいと思います。

主査  今の意見を参考にしていただきまして、2回、3回目の日程を決めていただければと思います。

事務局  非常に集中的に議論をやっていただくということもありますので、日程調整のやり方は事務局のほうでも考えたいと思います。

−了−


ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ