第4期 地球環境科学技術委員会(第4回) 議事要旨

1.日時

平成19年7月20日(金曜日) 10時~12時

2.場所

宇宙開発委員会 会議室(文部科学省4階)

3.議題

  1. 「人・自然・地球共生プロジェクト」事後評価結果報告
  2. 「地球観測システム構築推進プラン」中間及び事後評価結果報告
  3. その他

4.出席者

委員

 小池(勲)主査、井上(元)委員、井上(孝)委員、小池(俊)委員、酒井委員、笹野委員、住委員、高村委員、西岡委員、安岡委員、三村委員、若林委員(委員13名)

文部科学省

 塩崎地球・環境科学技術推進室長、西山地球・環境科学技術推進室長補佐、宮内海洋地球課長補佐

5.議事要旨

(1)「人・自然・地球共生プロジェクト」事後評価結果報告

 事務局から資料1に基づき、「人・自然・地球共生プロジェクト」事後評価作業部会がまとめた事後評価(案)についての説明があり、その後意見交換が行われた。各委員の意見に基づいた修正を行うことを条件として事後評価(案)は承認され、8月28日開催の研究計画・評価分科会において報告することとなった。

 委員からの主な意見は以下のとおり。

  • 本プロジェクトで構築されたモデルは政策に反映させることができる水準にまで達していた。モデル以外の観測や水循環変動分野は様々な地域・海域で行われて来たが、これらの成果をどのように社会的なアウトプットに繋げていくかが課題。
  • 今後は良い成果を挙げている課題については、他省庁などの様々なファンドも使ってその成果を上手く繋げていくようなことが必要ではないか。
  • 海外、例えばメコン川や乾燥地域などで展開されているものは、それぞれの国で役に立って初めて大きな成果になる。その点に関しては、社会科学的観点が欠けているという指摘もあるため、今後はこの点も強化して、現地の行政や研究者と連携していくことが必要。また、文部科学省には、現地の日本の行政関係の人達と連携などを図り、蒔いた種が消えてしまわないような努力をしていただきたい。

(2)「地球観測システム構築推進プラン」中間及び事後評価結果報告

 事務局から資料2に基づき、「地球観測システム構築推進プラン」中間及び事後評価作業部会がまとめた評価(案)についての説明があり、その後意見交換が行われた。各委員の意見に基づいた修正を行うことを条件として評価(案)は承認され、8月28日開催の研究計画・評価分科会において報告することとなった。

 委員からの主な意見は以下のとおり。

  • このプログラムの場合、同額5ヵ年の当初予算計画が立てられたが途中で予算が大きく減少した。このような予算の減少はしばしば起きるが、5カ年の研究計画は予算が当初どおり確保できることを前提に立てられているので、予算が減ってしまうと当初の目標が達成できないことも起こりうる。
  • このような現状を踏まえると、予算の動きに伴って課題の達成目標を変えていかないと評価の意味があまり無くなる。一方で、予算の減少を踏まえて、毎年目標を変更することもあまり現実的ではない。
  • 予算と目標とは密接に関係するので、とりあえず中間評価の際に、当事者から予算配分の状況と目標との関係についてのヒアリングを行い、その記述を残しておくことは最低限必要である。
  • 研究成果などのデータは一般に利用しやすいように、しっかりとした管理体制を作っていかなければならない。例えば、これまで様々な研究資金による厖大な成果報告書が出ているがこれらをPDFファイルなどにして出来るだけ一元的に管理・公開して社会に還元出来る体制を至急整備すべきである。

(3)その他

 資料3に基づき事務局から、平成20年度の新規施策案についての概要説明が行われた。
 平成20年度の概算要求に向け、本委員会での審議を踏まえて内容を詰めた上で、今後事前評価を行っていくこととなった。

 委員からの主な意見は以下のとおり。

  • 大都市圏の湾内などを対象とし、陸域を含めた都市政策や土地利用の影響評価などの政策応用と連携ができないか。
  • 地球温暖化、海洋酸性化といったグローバルな問題と、水産業・珊瑚礁への影響評価という沿岸・近海の問題が上手く繋がっていないように見える。グローバルな視点であれば二酸化炭素の海中隔離などを政策応用として打ち出してみてはどうか。
  • 海洋基本法と整合させた形で打ち出して行った方が良いのではないか。
  • 海洋基本法を踏まえた総合的な施策という観点ということを考えると、東シナ海、日本海などの縁辺海が重要になる。研究の新規性を考えると、陸域からの影響もあり、陸・海・大気と総合的に取り組むという観点から提案しないと新規性がない。
  • 環境省の類似のプログラムと、連携を図るのか、住分けるのか、枠組みをはっきりとさせておく必要がある。
  • 研究者の人的リソースでいうと、沿岸域が圧倒的に多く、そこからグローバルになるほど研究者は減っていく。研究者が多くいる分野でプロジェクトを立ち上げるのか、プロジェクトを立ち上げることで研究者をその方向に誘導するのか、その点はしっかりと考えておく必要がある。
  • 現在問題となっているのは、沿岸とグローバルの中間である日本周辺の海域。「人・自然・地球共生プロジェクト」では、海水温や黒潮の変動などかなりの部分が成果として出てきているが、それらが生物資源を含めて我々の生活にどう影響するかが海域では抜けている。
  • こうした政策的研究は、アウトプットとして私たちの生活との関わりが見える形にしないといけない。

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研究開発局海洋地球課地球・環境科学技術推進室

(研究開発局海洋地球課地球・環境科学技術推進室)