資料4-2 「GEOSS新10年実施計画の検討に向けた我が国の地球観測の方針」(中間取りまとめ)の概要

「GEOSS新10年実施計画の検討に向けた我が国の地球観測の方針」中間取りまとめ(概要)

 地球観測推進部会(第5期)は、我が国の地球観測の取組に当たっての基本的考え方を明確化することで、今後10年程度の中・長期を見据えた実施方針を策定するため、平成27年1月に「GEOSS新10年実施計画の検討に向けた我が国の地球観測の方針」(中間取りまとめ)を策定した。本中間とりまとめ、及び総合科学技術・イノベーション会議による「地球観測の推進戦略」のレビュー等を踏まえ、今後、我が国の地球観測の新たな実施方針を取りまとめる。

1.今後の地球観測の取組に当たっての基本的考え方
 今後の地球観測の目的とあるべき姿を、「課題解決のニーズに基づく地球観測の実施」、「科学的挑戦への貢献としての地球観測」、「国際貢献としての地球観測」の観点で整理した。なお、利用者のニーズを踏まえた観測データの効率的な取得・提供のためには、利用者及び観測者のより一層の相互連携を図る必要があり、そのためのステークホルダーとの対話や関係省庁・機関の連携の場が、今後ますます重要となる。

(1)課題解決のニーズに基づく地球観測の実施
 今後、国として取り組む地球観測では、社会からの課題解決の要請(利用者のニーズ)に具体的に対応することに留意し、その成果を社会のイノベーションや様々な意思決定をする際の基盤として活用すべき。

(2)科学的挑戦への貢献としての地球観測
 未知の現象の解明や新たな科学的知見の創出を目指した観測も、引き続き推進していく必要がある。

(3)国際貢献としての地球観測
 我が国が国際的リーダーシップを発揮し、かつ、世界から信頼できる国と認識されるためにも、戦略的に地球観測を推進すべき。GEOSSやフューチャー・アース等の動きに対応し、国際的な連携の下、地球規模の課題解決やその基盤となる地球システムの理解においても地球観測を通じた貢献を果たしていく必要がある。

2.今後10年間の具体的な実施方針
 「課題解決への貢献」、「観測基盤の維持・強化とイノベーション、データの利活用」、「GEOSSへの貢献」の観点で、今後10年間に実施すべき取組を取りまとめた。

(1)課題解決への貢献
1)活力のある社会の実現
 水資源や、エネルギー・鉱物資源、森林資源、農業資源、海洋生物資源等の資源の確保・利用、健康等に関する課題解決のための基礎的な情報を収集・提供する。これにより、土地の利活用や保全、生活の質の向上、経済社会の活力向上及び持続可能な発展など、現在及び将来にわたって人類全体が安心して豊かな生活を営むことができる社会の実現に貢献する。
2)防災・減災への貢献
 地震災害、津波災害、火山災害、風水害、雪害等に関する課題解決のため、即時性の高い情報を含め、基礎的な情報を収集・提供する。これにより、災害発生の予測と、被害防止・軽減、危機管理につながる恒常的な地球観測や監視等を実施することで、国民及び国際社会の安全・安心の確保に貢献する。
3)将来の環境創造への貢献
 地球温暖化や地球環境の保全等に関する課題解決のための基礎的な情報を収集・提供する。これにより、複雑な地球環境変動の把握に貢献するとともに、将来世代にも及び得る新たな課題を発見あるいは予測し、影響を軽減する等の適切な対応の検討に活用する。

(2)観測基盤の維持・強化とイノベーション、データの利活用
 必要十分な観測精度や観測頻度、観測網の展開・観測地点の適切な配置を考慮し、地球観測を長期にわたり安定的に実施する。また、今後新たに発生する課題解決にも対応しうる質の高いデータを提供していくためには、安定的な資金を確保の上、観測基盤を維持し長期にわたり安定的に観測データを取得するとともに、そのための観測機器類の開発を進める取組も重要である。

(3)GEOSSへの貢献
 我が国がGEOSS新10年実施計画の検討・実施に向け引き続き主導的な役割を果たしていくためには、人類社会に対しいかに貢献するかの観点から、課題対応型の取組と地球システムのさらなる理解、現象解明への取組のバランスを持った観測活動が推進されることが望ましい。

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