資料3 「地球観測の推進戦略」策定以降の我が国の取組状況に基づく地球観測等事業の進捗状況のレビューについて

平成27年4月28日

「地球観測の推進戦略」策定以降の我が国の取組状況に基づく地球観測等事業の進捗状況のレビューについて

総合科学技術・イノベーション会議 環境ワーキンググループ

1.「地球観測の推進戦略」策定以降におけるレビューの主旨

 総合科学技術会議(当時)は、「地球観測の推進戦略」(平成16年12月27日付け関係大臣に対する意見具申)をとりまとめ、平成24年度まで毎年フォローアップを実施してきた。決定から10年が経つ「地球観測の推進戦略」について、総合科学技術会議(当時)は、平成24年12月に見直しの検討に向けた実施状況のレビューを行うこととした。
 そのため、地球観測推進部会は、平成25年に、地球観測のこれまでの取組全体をとりまとめた(「地球観測の推進戦略の見直しに向けた我が国の地球観測の取組状況についての報告(平成25年8月)」)。一方、2015年秋の策定を目指した「全球地球観測システム(GEOSS)の2015年以降の新たな10年実施計画の検討」が現在行われている。そこで、内閣府政策統括官(科学技術・イノベーション担当)は、文部科学省や関係各省と連携して長期的な実施方針を策定することを提案した(平成26年8月26日、総合科学技術・イノベーション会議有識者議員懇談会)。
 このような経緯により、総合科学技術・イノベーション会議の環境ワーキンググループが主体となりレビューを実施し、このレビューを踏まえて文部科学省が新たな10年の実施方針を策定することとなっている。

2.「地球観測の推進戦略」策定以降の取組状況に対するレビューの方針

上記を受け、以下の項目についてレビューを行った。

3.「地球観測の推進戦略」策定以降の取組状況に対するレビュー
 3.1 戦略的な重点化に対して
 3.2 地球観測システムの統合化に対して
 3.3 国際的な地球観測の枠組みへの対応に対して
 3.4 統合された地球観測システムの推進体制・組織に対して

4.「地球観測の推進戦略」策定以降の近年の状況について
 4.1 社会状況の変化
 4.2 地球観測が貢献する国際的分野
 4.3 科学技術、技術革新の進展
 4.4 観測技術の向上

5.結論
 5.1 この10年の成果

次の3つの項目について、達成度を評価した。

 (1) 国民の安心・安全の確保
 (2) 経済社会の発展と国民生活の質の向上
 (3) 国際社会への貢献

 5.2 新たな10年に向けた克服すべき課題

今後新たな10年に向けた我が国の国民の安心・安全、経済社会保発展、人類の持続可能性と福祉の確保のための克服すべき課題は、以下の通り。これらの課題を踏まえて、文部科学省は新たな10年の実施方針を策定する。

 (1) 喫緊の社会的ニーズへの対応
   異常気象や極端現象等による災害や生物多様性の損失への対応
   中長期的な変動・影響の把握と変動の兆候の早期発見
 (2) 政策課題の解決に向けた地球観測の貢献
   途上国における森林の減少・劣化に由来する排出の削減(REDD+)への寄与
   「愛知目標」の達成度の評価
   生物多様性及び生態系サービスに関する政府間プラットフォーム(IPBES)アセスメントへの貢献
 (3) データ活用の促進とそのための人材育成
   個人の携帯端末を利用した新たな技術革新への対応
   情報通信技術の利用に困難を抱える方々への情報提供
   研究成果の共有と相互利用を促すオープンサイエンスの動向の把握
   DIAS等のデータ共有基盤の活用
   各機関の連携の促進と研究と社会との連携を橋渡しする人材の育成
 (4) 長期継続的な地球観測の実施
   既存の観測項目の必要性や課題解決への貢献度の評価
   新たな観測項目の洗い出し
   我が国が長期継続すべき観測項目の特定
 (5) 分野間の連携及び多様なステークホルダーの関与の促進とそれを担う人材育成について
   地球観測データと社会とをつなぐ技術開発の促進とそれを担う人材の育成
 (6) 科学技術外交・国際協力への地球観測の貢献
   アフリカ等への対象地域の拡大
   地域的課題の解決への貢献や人材育成も含めた国際戦略の再検討
 (7) 地球観測による科学技術イノベーションの推進
   国際協力による観測データの取得と長期観測に向けた体制の整備
   環境技術イノベーションの着実な達成
   衛星のデータ利活用のさらなる連携によるデータ統合

 5.3 今後の地球観測の実施方針・推進体制

 (1) 【地球観測推進部会の役割】
    「地球観測の推進戦略」に基づき文部科学省科学技術・学術審議会に設置されている地球観測推進部会は、関係府省・機関の緊密な連携・調整の下、地球観測の推進、地球観測体制の整備、国際的な貢献策等について、毎年の方針を策定するための総合的な推進組織とされている。「地球観測の推進戦略」策定から10年が経過し、種々の社会的課題解決のための地球観測の貢献がより重要となった今般、地球観測推進部会は、観測から課題解決に至る取組を総合的に俯瞰し、その機能を強化し柔軟に活動すべきである。
  地球観測推進部会は、本レビューの5.2で記述した「新たな10年に向けた克服すべき課題」の7項目を的確に踏まえ、今後10年程度を目途とした「我が国の地球観測の実施方針」を作成する。これを、これまで「地球観測の推進戦略」の下で策定してきた「実施方針」に代わるものと位置づける。「我が国の地球観測の実施方針」は、国内外の地球観測の動向や社会情勢の変化に対応して、中長期的な推進への取組を示すべきである。そこで、毎年一律に見直す方式を改め、それらの動向や変化の時期を見極めて概ね3年~5年程度を目安に、地球観測推進部会が中心となって見直しを行う。
  一方、「地球観測の推進戦略」の下で毎年策定してきた「実施計画」については、上記の「我が国の地球観測の実施方針」にしたがって毎年策定する。

 (2) 【総合科学技術・イノベーション会議の役割】
    総合科学技術・イノベーション会議は、必要に応じて実施方針とそれに基づく事業の進捗状況について、科学技術・学術審議会(地球観測推進部会)からの報告を受けるとともに、関係府省・機関からも報告を受けて総合的な評価を行うこと等により、地球観測の運用状況をフォローする。

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(研究開発局環境エネルギー課)