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第3章 今後必要な施策

1.長期的な観点に立った施策

目的

核融合研究が、我が国の持続的な発展を支える基幹的技術開発として効率的に推進され、さらに様々な科学や技術の礎を形作る先端的学術として幅広く展開するために、開放的で流動性が高い人材育成システムを構築する必要がある。

施策

【ビジョン作り】

  •  核融合エネルギー開発の長期的ビジョンの提示。特に原型炉を具体化するロードマップの策定。それをモデルプランとして、原型炉開発のプロジェクトが必要とする研究者の規模を示し、人材育成のための具体的・定量的なビジョンを示す。〔国、コミュニティ〕

【人材育成・確保システムの構築・強化】

  •  現実的で魅力的な、キャリアパスのモデルの作成およびポストを確保。高度な専門教育を受けた若手研究者が安定的に活動できる仕組みづくりは、国の根幹を形作るための最も重要な課題である。〔各研究機関、コミュニティ〕
  •  大学の研究・教育基盤の強化。大学院専攻や教育プログラム、連携大学院などの設置を進める。〔各研究機関、コミュニティ〕
  •  核融合科学研究所と大学との教育面での連携強化。双方向型共同研究に連携大学院、特別研究員制度を組み込んだ教育・研究制度を構築する。〔各研究機関、特に核融合科学研究所〕
  •  海外からの留学生による人材育成。我が国における人材確保だけでなく国際的な貢献としての責務である。特にアジアを対象として、APFA(アジアプラズマ核融合学会)の活用など、関連する学協会の連携・協力を推進する。〔各研究機関、コミュニティ〕

【他分野・セクター間の幅広い連携】

  •  他分野との交流・連携の強化。天体プラズマ、プロセスプラズマ、光源プラズマ、加速器科学等プラズマ理工学の関連領域は学術、産業技術として最近ますます広がっており、核融合とプラズマ理工学を総合する研究機関の創設を期待する。また、核融合分野で蓄積された計算機科学技術により他分野の計算科学に貢献していくことが人材育成につながる。〔コミュニティ〕
  •  分野融合型の大型プロジェクトとしてSpring-8 J-PARC等があり、核融合分野からもレーザー核融合のリーディングプロジェクトなどの試みがなされており、このようなプロジェクトを他分野と協力して立ち上げる。〔各研究機関〕

2.ITER(イーター)・BA計画推進のための施策

目的

ITER(イーター)およびBAを推進するための人材供給とともに、これらのプロジェクト推進を通じて核融合研究の次世代を担う人材を育成するシステムを構築する必要がある。

施策

【ビジョン作り】

  •  我が国として維持すべき技術の継承方針を明示する。〔国、産業界〕

【人材育成・確保システムの構築・強化】

  •  ITER(イーター)・BA活動の経験者が学術界および産業界に戻り、その経験を活かして活躍できるキャリアパスの確立。実績のあるシニアに限らず、若手研究者をITER(イーター)・BA活動へ送る仕組み作り。また、ITER(イーター)・BA活動へ人を送ることが、本人および法人に不利益とならない派遣元での身分を残した「国際組織」への出向の形態。例えば、派遣元で、派遣者の人件費を別な人の採用に使うことが出来るように。〔コミュニティ〕
  •  JT-60改修期、ITER(イーター)の建設期にITPAやJT-60の物理や計測・制御の研究、IFERCの実証炉プラズマ設計と基礎的な乱流研究等の背景理解を幅広く日常研究に取り込み、テーマ間で研究者の流動性を確保。多様な他分野の若手研究者にITER(イーター)を身近に感じてもらうことにより、長期的にITER(イーター)への参画を促すことにも配慮する。そのための人事制度(派遣、出向)、旅費・人件費を確保する。〔国、コミュニティ〕

【他分野・セクター間の幅広い連携】

  •  ITER(イーター)機構における公募選考への対応について、産学官の連携をとり協力する。〔実施機関としてのJAEA、国、コミュニティ〕
  •  他の大型プロジェクトの人材を活用。また、分野横断的な大型プロジェクトの立案。〔コミュニティ〕
  •  大学に原子力関連講座を増設。核融合を勉強した人材を原子力産業界、電力業界に送るとともに、逆に原子力専門の人材からITER(イーター)・BAでの活躍を期待する。〔各研究機関〕

【技術の継承】

  •  核融合特有の技術(炉心プラズマの運転、制御に関する技術等)については、国が責任をもって推進。〔国〕

【予算の確保】

  •  ITER(イーター)・BA活動のための国内・海外の研究機関との研究協力、旅費・研究費の確保。これを原資とした、ITER(イーター)、BA、実証炉研究間の研究者の流動化促進。〔国〕

3.緊急に行うべき施策

目的

ITER(イーター)およびBAをオールジャパン体制で推進するため、優秀な人材を投入できるシステムの構築が急務である。また、核融合研究が学術としての多様性を維持・発展させるために、大学等の基礎研究を一層強化し、優秀な人材を育成する必要がある。

施策

【ビジョン作り】

  •  実用化を視野に入れた計画推進〔国、産業界〕
  •  核融合科学の人材養成のためのプログラムを国立大学法人、大学共同利用機関法人の中期計画に書き込むこと。〔各研究機関〕

【人材育成・確保システムの構築・強化】

  •  募集間口を広げ、公募の際の競争力を高めるための派遣前教育プログラムを発足。〔実施機関としてのJAEA、国〕
  •  大学からITER(イーター)への長期派遣の際の、派遣元の大学へのサポートを大学共同利用機関である核融合科学研究所に期待する。大学と核融合科学研究所あるいは大学間の人材交流の促進のための契約が容易となるよう資金補助および環境整備に当たる。〔大学および核融合科学研究所〕
  •  シニア人材の研究・教育参加。〔各研究機関、コミュニティ〕
  •  核融合開発に必要な定期的チェック&レビューに参加し、評価できる能力を確保する。〔産業界、コミュニティ〕
  •  現在、ITER(イーター)に出向している日本人研究者の人物紹介やプロジェクトの全体像を広く紹介。文部科学省等に設けたITER(イーター)広報専用ホームページを強化し、「ITER(イーター)通信」のような形をつくり、若手研究者、学生に伝える。連合学会、連合シンポジウムの企画を進めて取り上げる。特に、ITER(イーター)で働く研究者像をアピールすることが重要。〔実施機関としてのJAEA、国〕

【他分野・セクター間の幅広い連携】

  •  日本原子力研究開発機構職員の増員、機構内の配置転換(共に1年あたり数人程度)、大学からの出向と共同研究の強化。〔実施機関としてのJAEA、国〕
  •  学協会、産業界レベルでの人材募集の周知や交流による原子力以外の工学分野からのリクルート。〔コミュニティ〕
  •  大学間連携及び大学と産業界とが連携した核融合教育プログラムの立ち上げ。〔各研究機関、産業界、コミュニティ〕
  •  エネルギー問題への積極的関与を各セクターにおいて示す努力。〔国、各研究機関、コミュニティ〕

【予算の確保】

  •  (ボランタリー的な)ITER(イーター)・BA活用への貢献者の経費(主として旅費)を国として措置。〔国〕
  •  研究者においては大型の競争的研究資金への積極的な応募とそのために必要な準備などへのネットワークからの支援。〔コミュニティ〕