原子力分野の研究開発に関する委員会 核融合研究作業部会(第19回) 議事録

1.日時

平成21年9月29日(火曜日) 10時~12時

2.場所

文部科学省16階 特別会議室

3.議題

  1. 核融合研究開発のあり方について
  2. その他

4.出席者

委員

本島主査、疇地委員、石塚委員、小森委員、笹尾委員、髙村委員、常松委員、東嶋委員、堀池委員、松田委員、吉田委員

文部科学省

千原研究開発戦略官、山本核融合科学専門官、河原国際原子力協力官、吉田科学官、山田学術調査官

5.議事録

 【本島主査】  今日は、ご多忙のところをご出席いただきましてありがとうございました。事前の出欠の連絡では大島委員と香山委員、平山委員がご欠席でございます。本日は説明者として電力中央研究所の岡野先生にお越しいただいております。最初にプレゼンテーションをお願いする予定になっております。

 それでは、本日の議事についてご紹介したいと思います。本日は核融合研究開発の今後のあり方を中心としまして、その他の議題が複数ございます。よろしくお願いいたします。配付資料につきまして、事務局から確認をお願いしたいと思います。

【山本核融合科学専門官】  それではお手元の資料をご確認いただきたいと思います。

 資料1でございますが、岡野先生の発表資料でございます。「核融合開発ロードマップと今後の原型炉開発への展望」ということで資料1でございます。資料2が「BA活動の現状と今後の計画」で、これは日本原子力研究開発機構の常松委員からのご発表の資料でございます。資料3、「『必要な研究基盤』に関する諮問・検討事項について」という1枚紙でございます。参考資料といたしまして、これは既にお示ししているものでございますが、「核融合分野における国際プロジェクト及び国内政策等の主な今後のスケジュール(案)」でございます。いわゆるロードマップの案でございます。参考資料2ですが、「大学における人材育成及び産学連携に関係する施策一覧」でございます。参考資料3が高速増殖炉サイクルの実用化を目指した研究開発ロードマップということで、それに関連する資料として2枚お配りをしております。

 机上のファイル、過去の報告書をつけましたものを置かせていただいております。以上でございますが、もし漏れなどがございましたらお申しつけいただければと思います。以上です。

【本島主査】   よろしいでしょうか。それでは、議事に入りたいと思います。

 議事の最初のテーマは核融合研究開発の今後のあり方についてであります。岡野先生から、ロードマップと今後の原型炉の開発への展望について、これは資料1が用意されていますが、まず、ご説明をお願いしたいと考えております。特に資料の中にもありますけれども、現時点で検討が不十分な技術項目及びBAの中で取り組むべき課題事項等、それらを考案して何がクリティカルパスであるかといった観点からのご説明をいただく予定になっております。

 では、電力中央研究所の岡野先生、よろしくお願いいたします。時間は約20分で、その後十分議論する時間もとりたいと思っております。よろしくお願いいたします。

【岡野先生】  それでは、今ご紹介いただいた岡野でございます。机上の資料1でご紹介されていただこうと思います。ロードマップと原型炉開発への展望ということでお話しさせていただきますが、今日のお話しさせていただくベースは、昨年度文部科学省さんに提出させていただいたロードマップの報告書になっております。皆さん、おそらくそちらはお持ちだと思うのですが、核融合エネルギーフォーラムのwebサイト、1ページ目の左下に書いてあるところからダウンロードができるので、もしも万が一お持ちでなければダウンロードしていただければと思います。

 1ページめくっていただいて次なのですが、ロードマップワーキンググループの委員の名前を書かせていただいてあります。9名の委員で検討したものです。ただ、この9名はある意味、その分野の代表という形で来ていて、懸案のあった事項はそれぞれの分野に持ち帰っていただいて検討して、持ち帰ってまた議論するという作業をしたものでございます。

 特徴としては、原子力産業協会から産業界のメンバー2名にも委員に入っていただいている点が、あまりこれまでになかった委員構成かと思います。2007年11月より16回の会合を実施してまとめたロードマップになっております。

 1ページめくっていただきまして、ロードマップはどんな目的で実施したかを簡単に書いておりますが、核融合エネルギーフォーラム社会と核融合クラスター実用化戦略サブクラスター、ロードマップ検討委員会というクラスター活動、自主活動の一環としてまとめた中間報告が2007年11月に出ております。実はそれと前後して文部科学省から核融合エネルギーフォーラムへの依頼がございまして、その中で特にロードマップに関連するのが以下の3項目でして、1つは21世紀中葉までに核融合エネルギー実用化のめどを得るためのロードマップの作成。産業界を含めた日本の技術戦略、枠組み、役割分担の検討。3番目が人材育成や確保の分析、計画の提案になっております。

 今日は主に1を中心にお話ししたいと思います。このタスクはどんな意味があるかというと、要請されたものが、トカマクで実現する場合を想定したケーススタディーだったので、それを実施しております。特に1については、原子力委員会核融合専門部会報告書、2005年「今後の核融合研究開発の推進方策について」の中に書いてあるものをもとにしまして、その目標実現のための具体的なロードマップを書いた、という位置づけになっております。

 3については今日はあまり述べませんが、当然トカマクをケーススタディーとしておりまして、その範囲であることと、あくまでもITER、BA、トカマク原型炉を進めるためのコアとなる人材を検討したというものでして、日本の核融合開発に関連した人材全体を検討したものではないことはご理解いただきたいと思っています。

 以上がロードマップの位置づけでございますが、次のページにはロードマップの第1章に書いてある目標を定めた時の考え方が書いてございます。これは簡単に申し上げますと、核融合をいつ実現するべきかは、もちろん技術的に実現できるのがいつかという考え方も1つであって、だからこそロードマップを作るのですが、ここでは、逆にゆっくり開発してもいいのかについての考え方が書いてあります。すなわち、核融合は2100年の時点で大幅にCO2を削減するというIPCCなどの報告書に沿った考え方で、それに寄与するという考え方をしますと、2050年ぐらいには1号機が投入されていなければ役に立たないのだということがここに書いてございます。つまり、2050年代に核融合を投入することは核融合開発に非常に重要な意味づけをするということになります。2090年でいいのですか、2080年ではどうですかという議論に対して、できる限り早くなければ仮に実用化しても環境問題への寄与が非常に小さくなってしまうことがここに述べられていまして、そういうことを考えて2030年代に原型炉を運転開始して2050年代には1号機を投入したいと考えたわけです。それによって2100年ごろに核融合炉は最大で電力の20%ぐらいを供給できるところまで成長するはずだというシナリオが背景にございます。

 次がロードマップの概要でございますが、全体を説明する前に非常に簡単に概要を説明しますと、まず21世紀中葉までに核融合エネルギー実用化の目途を立ててくださいというのが文部科学省からの要請だったわけですが、それに対して委員会のほうでの解釈は2040年までに原型炉の運転を開始して、発電を10年間程度実証することで2050年代での初代炉投入を可能とするロードマップを目指すことにいたしました。つまり、短期間の発電ができたからそれで発電実証が終了というわけにはいかなくて、やはり10年間程度は実証運転をしてみせるべきであろうという考えが背景にあり、そのために2040年までに原型炉を投入して運用を開始できるというのが1つの時間の期限になっているわけです。

 ただし、それを技術的に可能かどうかを確認せずにロードマップの線を引いても何の意味もないですから、技術を確認するために原型炉に必要なR&D事項を全部書き出してみました。これは多分野にわたります。いろいろな方からヒアリングしながら、おおよそ1000項目――1200ぐらいあったと思うのですが――からなるWork Breakdown Structure、略して「WBS」を作成しました。これはプロジェクトを進めるときには必ずつくられるものだと思います。ただ、ITERなどのような実際のプラントをつくるためのWBSではなく、あくまでもロードマップを描くためのWBSですからリストは1200ぐらいしかないのですけれども、それでもロードマップを考えるにはこういったものをつくった例はそう多くはないと思います。それだけに、非常に大きな仕事になってしまいましたけれども、後々にもこのリストは役に立つものだと思います。特に、たとえば「こういう開発項目は抜けているのではないか」、という検討をするためには非常に役立つ構造になっています。

 普通ロードマップを描くとき、原型炉は具体的にこういう設計パラメータであるというのがわかればすごく描きやすい、それは言うまでもないのです。しかし、核融合研究の現状を考えると、まだ原型炉のパラメーターを選んでしまうのは、現時点ではちょっと早いだろうという判断をいたしました。

 というのも、今すぐにパラメータを選ぼうと思えば、比較的保守的なパラメータを選ぶことになってしまって、核融合炉としての将来展望が魅力的でないものになるかもしれない。しかし、これからJT-60SAも動きますしITERも動くのですから、今後の10年、15年の進歩を予想して少しアドバンスな技術も採用していきたいということもあります。そこで、ここでは原型炉の設計パラメーターの上限値を決めませんでした。しかし、そうすると何でもありなのか、ということになってしまうので、開発中の各技術の原型炉の採用可否の判断をいつするか、ということを、ロードマップの中に、つまりWBSの中にしっかり書きました。

 これは、そのポイントでパラメータや技術が一つ選ばれると書いたわけですので、その分野をやっている方にとっては非常に大きな判断をすることになります。そこまで書いたということです。これは、ロードマップの信頼度をあげるにはどうしても必要だったと思います。

 複数のオプションがある技術についてもそれをいつ選択するかをWBSの上に書いてあります。これも何でもかんでもずっと並列してずっとやり続けます、というイメージを持たれては困るので、選択時期をしっかり書いたということです。

 これのようにした意味を言い換えますと、原型炉の性能そのものは今後の開発で少し変わる可能性があるけれども、発電実証するという最終的なターゲットに関しては、クリティカルパスを最小限に抑えられるロードマップを描いているとご理解いただければと思います。

 4番目、これが今日、多分重要な項目だと思うのですが、隠れていたR&D。忘れていたわけではないのですが、どうしても手がまだ伸びていなかった、あるいはまだ抜けている、といったR&Dがないかを、一生懸命探しました。こういうWBSをつくると、概して今ある技術、今研究者がいる分野だけのリストになりがちですけれども、そうではなくて1人もやっている人がいないが、でも重要ではないか、という項目でも、もしあったら出してほしいということを各方面にお願いして、重要なものをリストしています。特に、現時点で全くないとまでは言えないにしても、ちょっと弱いなというもので、かなり緊急にやらないと原型炉の設計を進められないと思われるものが9項目あったので、それを提言しております。これは後で述べます。

 次のページは、ここでのロードマップのご紹介では全体を大雑把にご紹介することしかできないのですが、そのベースになる考え方を1ページにまとめて書いてしまったものです。こういう書き方をすると誤解を招きがちですが、あえて誤解を恐れずにわかりやすくご説明するつもりでつくったものなので、厳密にみればあれが書いてない、これが書いてないと気がつく点もいろいろあると思いますが、このページはほんとうにポイントだけ押さえた記載と思ってご理解ください。詳細な内容はロードマップの報告書を読んでいただければと思います。

 開発戦略の考え方を、かなり単純化していいますと、まず、核燃焼はITERでしかできないわけですから、これはITERで確認して、エネルギー増倍率が10以上の放電がITERでできた、つまり核燃焼ができたことを確認していただく。ただし、ITERは最初は定常運転ではなくて、いわゆる誘導電流のプラズマですから、300秒程度のパルスなのですが、核燃焼が数百秒続くことを確認したことで連続的な核燃焼の実現を確認できると考えます。

 定常運転に関しては、定常運転とプラズマの高性能化の上限は原型炉ではITERの超える範囲を想定することもあり得るので、JT-60SAに期待することを考えています。そこと燃焼プラズマの間はどうやってつなぐのかといいますと、シミュレーションでつなぐしかないので、そこはシミュレーションも重要であると考えます。

 ダイバータは、シミュレーションと組み合わせてJT-60SAとITERで開発して、最終的な原型炉のダイバータを設計するという考え方ですので、ここでもJT-60SAとITERに加えて、シミュレーションの役割が重要だと思います。

 材料については、工学設計段階は現在進んでいる原子炉照射データでやってしまうことを考えていまして、IFMIFによって、原型炉の製造設計後期までには80dpaまでの確認を行なう。初期ブランケット装荷までには150dpaまでの確認が終了することを期待する形で、IFMIFの確認を最終的なチェックとして使うという考え方をします。

 5番目ですが、原型炉の初期装荷ブランケットはいろいろ考え方があり、日本とヨーロッパでも違うのですが、日本案のテストブランケットモジュールによって開発したものと同じ形式のものが原型炉に入ると考えています。つまり、その後にいろいろな取捨選択が起こるのだと思いますが、日本の原型炉の初期装填のブランケットは日本型が入ると考えます。ただし、その後、先進的なブランケットが導入できないと、将来の経済性が確保できないので、「原型炉TBM」という考え方も導入しまして、経済性にすぐれた先進ブランケットを原型炉運用中に継続的に開発すると考えています。

 これは、多分従来は言われたことがない考え方です。最初のブランケット形式がそのまま使われ続けるという考え方を今までしていましたけれども、ブランケットも原型炉段階の中でより先進的なものを開発していくのだと初めて言ったものだと思います。

 6番目、BA期間中はBAを最大限に利用して、ただし、原型炉に向けて必須ながらBAには含まれていない開発があり、BA以外の開発枠も必要です。BA期間以降は、当然なことですけれども、BAが延長されてもされなくても「工学設計活動」として必要な研究開発は継続するものと考えます。

 1ページめくっていただくと、今日は時間もないので1ページ分だけWBSの例をお示ししております。これはトカマク本体という大項目の下のTFコイルシステムというところのほんの一部です。こういう項目が1,200並んでいると想像してください。各項目も、例えば、TFコイルの材料開発について、時間軸が横に並んでいて、開発ステップの細かな項目が縦に並んでいるとなっているわけです。

 マイルストーンを書きましたといいましたけれども、その一例として上から3つ目の赤い四角形、材料選択がありますが、これが超電導材として何を選択しますか、という選択ポイントです。

 先ほど申しましたとおり、選択の時期を明記しましたという一例です。この場合、超電導材を2014年に決定して、もしもここでITER以上のコイルを選択した場合にはそれ以降の開発が入ります。材料がITERと違う場合は、線材の量産化の研究といったものも入りますし、強磁場を目指すのであれば構造材、絶縁材の開発とかも必要ですし、ITERと違うコイルになるのであれば、コイルの試作も必要ですというのが、これより下に書いてある項目になっています。

 もちろん材料の選択で、万が一ITERと同じコイルを選択したら、その開発は大幅にいらなくなるわけです。そういった選択もここでしますと書いてあるわけです。これはWBSの一例ですが、こういったものが1,200項目並んで、次のページをめくっていただくと、そういったものを全体の時間を取りまとめて書いたのが、このロードマップということになります。これでもまだかなり複雑なので、ITERと原型炉の関係部分だけをクローズアップしたのが次のページに載っておりますのでごらんください。

 これがITERと原型炉の時間関係を示したものでございます。1つおことわりしておきたいのが、現在ITERはシナリオ1という新シナリオが提案されていて、2026年にDT燃焼を開始することになっています。それは今年提案されたものでして、このロードマップは昨年の夏に出しておりますので、その時点で決まっていたものをベースにつくっておりますので、Q>10を達成するという連続燃焼が2023年達成になっています。これは今後、ITER・BA技術推進委員会で議論していただいて、できれば見直しをかけたいと考えてはいますが、勝手に書き直すことはできないので23年のまま描かれているのを注意してごらんください。

 この3年程度のずれはどうするのかというと、もともとこのロードマップはいろいろかなり前倒しにしたもので、タイトではありますが、ある程度の時間差の吸収は可能であろうと考えています。ここが3年おくれたら全部後ろに下がるわけではないように私は考えていますが、これはこれから見直したいと思います。

 ITERのところから見ていただくと、ITERでDT運転を開始して連続燃焼を確認したら、そこで原型炉段階の建設準備作業開始判断をしていただいて、製造設計に入る。製造設計に5年程度かかって、並行してサイト整備をしながら建設に入って2035年には調整運転に入りたいと考えています。調整運転は5年ぐらいかかるので5年ほどしたところで発電実証が初めて行なわれるので、2039年ぐらいに発電実証をする形になっています。

 次のページが、今度は原型炉とその他の工学設計・R&D関係、その他の開発を示した表でして、これはロードマップの報告書には載っておりません。WBSの中の記載をもとに新たに整理して作成させていただきました。マイルストーンを幾つか大事なところを拾って、それぞれの技術を横軸に書くという形で見やすくしてみたつもりなのです。BA実施期間が2018年まででそれより少し手前から工学設計活動を開始することが書かれています。

 超電導の線材を選択するのは2014年と先ほど申し上げましたけれども、それが2列目の超電導というところです。最終選択は2018年の終わりと。

 ブランケットはIFMIFとITER、TBM(テストブランケットモジュール)を使って開発するのですけれども、DEMOブランケットはそれとは別の形になりますから、その1次仕様は2015年に決めて、実規模モックアップは2021年といった形で進めます。

 ブランケットは最後に入ればいいので、比較的最終仕様決定は2030年です。2030年にブランケットの最終仕様を決めて、原型炉が完成したところに入れるということです。

 あとはダイバータ、加熱電流駆動、先進ブランケットの開発といったものが並んでいるわけですが、こういった計画のもとに先ほどの全体ロードマップが描かれているということです。それぞれにこういった選択点とか決定点というマイルストーンが設定されています。そういう意味では、先ほども申しましたけれども、原型炉のパラメーターを定めなかったからといって何でもありのロードマップを書きましたということではないというのはご理解いただければと思います。

 次のページですが、ここからが大事なところかもしれませんが、「BA活動で実施される原型炉関連R&D」というのを書いております。次のページでは、BA活動でできない、新しく始めないといけないのではないかと思われるR&Dの9項目をご紹介しますので、その前に、BAで何をするのかをまず思い出していただかないといけないと思ったので、こういう表をつくったわけです。IFERCでは原型炉概念設計活動をするということになっているわけで、現在進んでおりますが、ただし、これはEUとの共通課題のみの検討を実施する場でございますので、必ずしも日本型の原型炉を検討できるとは限らないですし、具体的な原型炉設計に入れるかどうかも現段階では不明だと思います。少なくとも5年ぐらいは共通部分をやるのだろうと考えています。

 R&Dに関してはご存じと思いますが、5項目のR&Dを今IFERCで実施しています。さらに計算機シミュレーションセンターも設置されます。

 そのほか、IFMIF-EVEDAが進んでいるのもご存じだと思います。

 那珂市ではサテライト・トカマクとしてJT-60SAの超電導化改造とその後の実験が予定されています。これがBA活動で実施される原型炉に関連するR&Dです。

 次のページには、「BA期間中に、我が国独自に技術開発を開始することが望まれると判断されたBAに含まれないR&D項目の重要な例」が9項目書かれています。「BAに含まれない」はひょっとすると言い過ぎなのかもしれません。一部やっているものもございますが、不十分であろうと考えてられるものです。もちろん、今でも細々ながらやっているのもあると思います。ただ、もっと大きく加速していただかないといけないと考えている9項目だと思ってください。

 一番上に書いてあるのは、ITER-TBMの開発です。当然のことではありますが、これはBAに入っておりませんので漏れのないように書かせていただいています。当前ですが、TBMは早くつくらないとITERに間に合いません。

 2番目が、ITER用超電導コイルの性能を超える原型炉用コイルの開発。これは強磁場化、高電流密度化です。これをやるのだったら、早く決心できるだけのデータを出さないといけないということです。線材など材料の量産についても考えておかないといけないということになります。

 超電導コイルの材料というのは原型炉建設のときに1回だけ大量に調達されるというもので、産業界から見るとあまりありがたくない調達の仕方なので、調達方法はよく考えなければいけないと思います。

 次は原型炉向けダイバータです。ITER用ではない、原型炉用ダイバータの開発。

 Li-6の濃縮技術が、今世界にないです。量産工場が世界にないという意味です。ですから、Li-6を大量に使うのだったら、そこから考える必要がございます。次はトリチウム関連の技術です。メンテナンス手法の開発。規格基準検討。環境安全性評価手法の開発とJT-60SAの国内重点化装置としての実験研究。以上の9項目を挙げさせていただいております。

 ちょっと戻ってトリチウム関連技術ですが、これは2つあって、初期装荷トリチウムをどうやって手に入れるのですかという問題点です。多分、ITERがかなり使ってしまいますので、カナダからは買えないかもしれません。原型炉はできたけれども、初期に装荷するトリチウムがないという事態は大いにあり得るので、入手方法を考えておく必要があります。また、冷却系のトリチウム透過がどのぐらいあるかをきちんと評価して、もしも透過するのを防止できないならば、冷却系は三次系までつくらないといけない可能性がございます。それは原型炉の概念設計にかかわってくるので、その辺の技術の確立が必要だとトリチウムのところでは書いております。

 メンテナンス手法に関しては、ITERと同じ方式を原型炉に採用するのは不可能とまでは言いませんが、実用炉につながらない可能性が高いので、別の方法を考えないといけないのですが、それが変わると原型炉の概念設計そのものが変わりますので、ここからまず攻めないと原型炉設計が進まないだろうと思ってこういうことが書いてございます。

 9項目が一番大事なんだと思いますが、規格基準検討開始と環境安全性評価手法の開発です。そういった重要なものが9項目ございますということです。

 最後にまとめですが、原型炉建設に向けて必要なR&Dに関するWBSを作成して、この作成したWBSを用いてスケジュールを検討しました。原型炉のパラメーターは明示していないけれども、多くの技術選択の決断時期を示すということで、それとは違ったクリティカルパス最小化のロードマップを描きました。

 原型炉建設に向けて、極めて重要にもかかわらず現時点で開発計画がないか、不十分な技術項目を同定しました。その基礎設計段階での実施のために必要な予算規模を記載したとありますのは、ロードマップの報告書に書いてあるという意味でございます。今回は具体的な数字をお見せしませんでしたが、ロードマップの報告書をごらんください。

 2050年代に初代炉投入可能な開発計画を作成し、その実現には、ITER計画、BA計画を着実に進めつつ、上記の追加R&Dを遅滞なく実施することが必要です。ただし、ロードマップは、今回WBSをしっかりつくったがゆえに、1年ごとに全部見えています。そうすると、今回のITERシナリオ1への対応が典型的な例ですが、何かひとつ変わると全部変わるのかというイメージを持たれてしまいがちです。しかし、これは違っていて、あくまでもこのロードマップは時間をなるべく詰めて前倒しにしたケースですので、2050年までという目標に対していくらかの裕度が存在しています。その裕度は10年の遅れも吸収できるほどあるのですかと言われたらそれはないと思いますが、何年かの裕度は存在していますし、順番を入れ替えるといったことをすることで、多少の時間的余裕を生み出せるのはご注意いただければと思います。

 ここまでがロードマップに沿ったお話でして、次の最後の1枚は私見です。ロードマップ報告書には書いてございません。あくまでも個人的な意見として言わせていただこうと思ったものでございます。産官学の連携によって、計画が絵にかいたもちにならないように原型炉に向けた活動を具体化することが、今は重要だと思っています。何かが具体的に動きださないと、動きが外から見えないです。

 今後原型炉に向けては産業界の協力が絶対必要だと私は思っているのですが、産業界が核融合開発に継続的に参画していただけるためには、社内や株主に核融合の将来展望が説明できることが絶対必要なのです。現状ではそれははっきり言ってできないと思います。

 即ち、ITER以降の核融合開発計画の継続性が確かに見えることを示さないと、社内で説明できないはずなのです。そういったものが見えるようにしたいというのが、私がロードマップを推進した最大の理由です。でも、ロードマップはただの紙の束ですから、一歩目がそれに沿って動いていることが具体的に見えないと、やはり説得力がないと思っています。ですから、ロードマップとの多少の時間のずれはあり得るにしても、原型炉に向けた開発がロードマップに沿って着実に、外からも見える形で実施されることが必要だと思います。

 例えばですが、9項目のR&Dももちろんなのですが、そもそも日本型の原型炉はどんなものですかと言われたときに、今、必ずしも決まっていないのです。いろいろな設計例はありますが、幅広いいろいろな意見がありますから、そういったものをとりまとめつつ、日本の原型炉がどんなものであるべきかという検討を進める仕組みが必要かと思っていまして、これは正直言ってBAでは全部はできないと思います。

 EUのとの同意で進むといっても、EUはセラミック増殖剤と水冷却の組み合わせには賛成しないですから、それだけとっても完全に同じ原型炉を設計するわけにはいかないので、BAだけではできないので、国内の設計の何かの仕組み、もちろんJAEA中心でいいと思うし、NIFS中心でもいいと思うし、国内のみんなの力をあわせた1つのチームでもいいと思うのですが、そういったものが必要かと思っています。

 漠然としたイメージでは、アメリカにはARIESというチームがあるのです。中心はUCサンディエゴ校ですが、彼らはトカマクももちろんですが、ヘリカル、レーザー核融合もスフェリカルトーラスも設計してみせているという優秀なチームなのです。そういうものも日本にあればいいと前から私は思っています。

 9項目のR&Dについては、言うまでもありませんが、これ進めてほしいのです。国内での分担を決めて、個別でもいいので、予算獲得をする作業を進めていただきたいと思っています。この後、常松部門長からお話があると思うのですが、JAEAだけですべてがやれるものではないと思うので、全日本規模でこれを手分けしてやっていただければと思っています。

 以上でございます。どうもありがとうございました。

【本島主査】  岡野先生、どうもありがとうございました。

 ロードマップと検討ワーキンググループの報告書につきまして1000を超える項目の観点からの技術マップ、WBSをおつくりいただいたわけですが、大変コンパクトにご説明いただきましてありがとうございました。

 最後の私見とおことわりになっておられた3つの項目につきましては前回までの作業委員会におきましても、今後の議論の方向性にかかわるサブジェクトであるとされていることであると、まさしくそういうふうにも言えるかと思います。

 それでは、ご質問等、お願いしたいと思います。最初に私から1つだけ。これは大前提になります4ページのゼロエミッションベースという図で緑と黄色の1と2の領域についてです。今の鳩山新内閣が新しい方向として打ち出している25%削減の目標と、検討するに当たっての新しい要素であることは間違いないと思いますので、どれぐらい違っているかというあたりを簡単にご説明いただけますでしょうか。

【岡野先生】  鳩山新内閣は1990年比でマイナス25%ですよね。ですから、今まで言っていたところのマイナス15%は2005年比でしたから、30数%ぐらいを減らす感じです。つまり非常に大変であることは事実なのですが、私が思うに、この絵で言うと、この緑の領域はそれに匹敵するはずなのだろうと思っております。だから、この絵の範囲を超えてはいないし、ロードマップの目標で、緑か、黄色の部分を目指すべきだと述べた内容からは外れてはいないはずだと思っています。

 ただ、私の言うことではないのかもしれないのですけれども、懸念としては「2020年」と、あまりにも手前に目標を設定していただいたために、核融合はもっと先ですから関係がないですね、ということにならないように、その先も低炭素社会をを維持するためには新技術が必要だと主張していく必要があると思います。2020年までの新技術は、電気自動車ぐらいしか登場してこないと思うので、それだけでは先の展望がないですから、その辺は核融合コミュニティーとしては、それを維持するために核融合研究開発は必要だと主張していってはどうかと思っています。

【本島主査】  どうもありがとうございました。長期的なエネルギー戦略に基づいて2020年を想定していく上で、私どもが目指しております核融合エネルギーが我が国及び世界全体の何%ぐらいのエネルギー需要を担っていくかということでの議論に大変重要なバウンダリーコンディション、またエンカレッジメントを与えるものであると私も理解しております。

 それでは、先ほどのBAにかかわる9項目については、この後常松委員から詳細な資料に基づいてのプレゼンとディスカッションの時間もとってあるわけですが、質問等、意見交換お願いします。

 疇地委員、お願いいたします。

【疇地委員】  少し勉強不足なので1点だけ確認させて下さい。核融合エネルギー開発は、昔から実験炉、原型炉、実証炉と進むと理解していたのですが、5ページでは2040年までに原型炉の運転を開始して、発電を10年間実証して、その次は初代炉をつくるとなっております。実証炉の段階のミッションはどこかでどちらかに吸収されるということでよろしいのでしょうか。

【岡野先生】  はい。最近の流れとして、原型炉1台で実用炉に行くんだという言い方をしていることが多くて、これもそれに沿って書いてあります。その対応として、今回描かれているのは原型炉でもテストブランケットモジュール、これはITERのような小さいものでなくて大きいものですけれども、テストブランケットモジュールを入れて、原型炉運転中も先進的な、つまり発電効率の高いブランケットの開発を続けると言っているところが実証炉を吸収した意味に入っていると思っていただいていいのかと思います。

 それから、2001年ごろの戦略検討分科会のころの考え方も似ていたのですが、あのころは実用炉の1号機が実証炉なのだという考え方をしていたような記憶があります。ですから、大きく変わったわけではないと思います。

【疇地委員】  わかりました。2005年の原子力委員会のときは、言葉としては最終的にはなくなりましたが、原型炉と実証炉を一緒にした「発電実証プラント」をベースにして議論をしていたと思います。それと基本的には同じと思ったらよろしいのですね。

【岡野先生】  はい。そこから逸脱することはないように考えて書いています。

【疇地委員】  どうもありがとうございました。

【本島主査】  石塚委員、どうぞ。

【石塚委員】  岡野先生が最後のところでおっしゃった原型炉段階における国際協力をどう考えるかということなのですけれども、ITER、BAをやって、その成果を生かして、それに日本でしかできないものを加えて日本型の原型炉をつくっていく、こういけば一番いいのでしょうけれども、11ページのところにも、EUとの原型炉概念設計については具体的な原型炉が設計できるかどうかは不明であると書いてありました。やっぱり原型炉段階に行ったときに国際協力をどうしていくのか。多分日本独自というわけには行かないと思うので、その辺をどう考えていくのかお考えを聞かせていただければと思います。

【岡野先生】  理想的にはBAの中の炉設計に関連する協議でEUと双方に技術的な詰めをして、そうすると同意できるところが技術的にはあるはずなのです。原型炉の建設時期を具体的に想定すれば、こういうブランケットしか入らないはずだという考え方、プラズマはこんなものだ、というのが技術的にはあると思うので、技術者としては同意できるかもしれないことは期待しています。その場合には、日本型原型炉と同じものがヨーロッパの原型炉になる可能性もあります。

 原則として、日本の原型炉は日本でつくると思っていますが、それが国際協力で1台しかできないということもあり得るかもしれないとは思っています。そこで大事なのがEUとの炉設計関連の協議だと思うのです。

 だから、私が日本の中でも統合チームが必要ではないですかと申し上げた理由は、EUとの協議に日本の案として持っていくものがないと、EUのフュージョンフォーエナジーとかは概念設計費を持っているようですから――EUに議論で負けるのではないだろうかという心配をしています。JAEAさんもしっかりやっていただいておりますので大丈夫だと思うのですが、やはり日本の概念案を強力に出していって、切磋琢磨して1つに合わせるというのが理想の姿だと思っています。

 もう一つ心配しているのは、技術的には同意できるとしても、過去の歴史の経緯があって、例えば、ヨーロッパは日本が主案と考えているセラミックス増殖剤と水の組み合わせに今さら賛成できない、とかいうような、さまざまな過去のしがらみがあるかもしれないです。そういったところで非常に難しいことにならないかを心配しています。

【石塚委員】  ありがとうございました。

【本島主査】  高村委員、お願いいたします。

【高村委員】  岡野さんはロードマップをはじめ、原型炉の設計とか非常に見識を持っておられる方で、ぜひこの機会にご意見をいただきたいです。一番最後に私見を書かれているわけですけれども、もうちょっとさらに踏み込んで、現在の日本のBA活動とITERへの参画、そういうもの全体を含めて、原型炉に向かって、今作業部会の1つのメーンテーマではあるわけですけれども、オール日本でどういう体制でやっていったらいいかと。我々の課題ではあるのですけれども、もし岡野さんの――先ほど米国のARIESの話をちらっとされましたけれども、そういうことを含めて、今国際協力の話がありましたけれども、そういうことを含めて、もしよろしければ私見をもっと踏み込んでおっしゃっていただければ大変ありがたいです。

【岡野先生】  ARIESについては、ARIESは炉設計チームですので、年間予算としては人件費を含めて5億円ぐらいのシステムなのです。ただし、彼らは大規模なR&Dは基本的にはできないですから、ARIESのチームが日本にできたら原型炉ができるというわけではないです。しかし、ARIESチームは、いろいろな設計をして比較をできるチームで、彼らが大きなR&Dプロジェクトを持っていないがゆえに、ARIESのチームはさまざまなアイデアに基づく炉設計を自由に実施することができ、いろいろな意味での制約が少ないように見えます。あるときはレーザー核融合をやっていたり、スフェリカルトーラスをやったり、それなりに時代の要請に乗ってはいるのだと思うのですけれども、それぞれを中立に評価していて、実にうまく機能しているチームです。日本にもそういうチームがあってもいいのではないかと思っています。

 ただし、R&Dについては概念設計よりさらにお金がかかります。全日本で9項目にお金がまとめて大きくつけば問題ないのですけれども、多分そういうことにはならないので、NIFSとJAEAと、各大学の研究室レベルでもいいのですけれども、それぞれが概算要求して、1個1個自分の得意なところをとっていってもらうしかないのではないかと思っています。それで、全日本でやればいいのかと。

 そのときに、これも私が言ってはいけないことかもしれませんが、だれも調整をしないと、おもしろそうなところだけの予算がついて、大事なんだけれどもつまらないものは残ってしまわないだろうかと心配はしています。例えば、規格基準とかは、面倒なわりにはあまり論文にもならないし、研究者としては手が伸びにくいところです。でも、ITERが日本に来なかったために抜けた部分でもあるので、そういったところを漏れなくやるためには、たとえばこの作業部会でもいいと思うのですが、うまくコントロールしていただく仕組みが必要ではないかと思っています。

 BAもR&Dもそうですよね。今、5つやっていただいていますけれども、実は、どのような原型炉にも共通に使える5項目しかできなかったわけでもあります。それに対して、原型炉がある程度決まってくれば、「これにはこの技術が要ります」、というのもわかり、集中して進められるようになるので、そういった意味でも原型炉全体を見るのと、それぞれで予算をつけてR&Dをやっていくことの全体をうまく統括する部門が要るのだと思います

【本島主査】  議論が続いておるわけですが、次の常松委員からのご説明をいただいて、さらに深めていただいたほうがいい点もありますので、特に、今ご発言がなければ先に進ませていただいて、関連の議論を続けさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。

 それでは、常松委員、資料2を中心としましてご説明をお願いいたします。

【常松委員】  資料をつくってみたものの、実施者のしんどさが先に出ちゃったと思いますのでご勘弁ください。というのは、いきなり建屋の話から入ってますから。

 1ページ目、もともと六ヶ所サイトにITERのサイトで、ITERとBAがパッケージになりまして、原子力機構あるいはオールジャパンでやるBAの炉工学の部分の中心を六ヶ所に持っていくことで、いわゆる何もなかったところに建屋を4つ建てるのでも2年ぐらいかかりました。

 現在、今年の春に管理研究棟ができて、事務部門と研究管理部門が入ってございます。この奥にあと3つ、研究の施設になります原型炉R&D棟、計算機・遠隔実験棟、IFMIF/EVEDAのいろいろな試験あるいは設計をする開発棟という3つが来年の3月に完成して、原子力機構、あるいは共同研究でお願いしている大学の研究者の方を中心に炉工学の研究開発を始めるということで、六ヶ所サイトの整備は進捗どおり行ってございます。

 最近になりまして、66キロボルト、特にIFMIFと計算機棟なのですが、送電線のめどが立ちまして、東北電力との共同で途中に鉄塔を建てて、中央変電所まで引き込んだということがございます。

以上がサイト関連で、次に、いわゆる幅広いアプローチ、BAには3つプロジェクトがございます。1つは国際核融合材料照射施設という装置がございますが、これの工学設計と工学実証を行なう。ITERでいうと、1つ前にやりました工学設計、EDAという段階でございまして、実際に建設が始まったときの設計と、それを裏打ちする実規模大が大事で、いろいろなパーツを寄せ集めても1つの装置になりませんから、かなりの規模、実規模というのは全く同じサイズで全く同じスペックが最大限でありまして、必ずしもそうではなくて、サイズが小さかったり、スペックが何分の1かだったりということはございますが、実規模が見えるのは通常、ミニマムでも4分の1ぐらいかという感じはしていますが、かなり大きな、大がかりなものをやります。

 その下に今後、IFMIF/EVEDAと略語で呼ばせていただきますが、International fusion material irradiation facilityのEngineering Validation and Engineering Design Activityというえらく長たらしい名称でございます。このプロジェクトの大きなところは4つございまして、上の3つはR&Dで一番下が工学設計でございます。

 この前に概念設計を何年かやってございまして、まあこんなものというのはわかっていまして、そこから現実につくろうとすると何と何を実施しておかないと設計ができないというので、ピックアップした大きなのが3つございまして、まず加速器でございます。

 後で出てきますが、5MeVから9MeVという非常に、ある意味で中途半端なエネルギー、ただし連続で大電流ということがございます。ITERのニュートラルビームはせいぜい1MeVですし、加速器そのものはパルスでいうと何GeVという非常に高いエネルギー、それを数MeVのところで大電流で連続運転するという、ある意味で加速器の狭間の開発でございます。そのために、入射装置だとかいろいろございますが、加速器系のプロトタイプをつくります。

 それから、そこから出てくるプロトンをリチウムのターゲットにぶち当てて、そこから14ミリオンエレクトロボルトの、いわゆる核融合中性子をたたき出すわけですが、それのターゲット、液体リチウムを含んだループ試験がターゲット系です。

 その中性子を受けて、非常に小さな材料を集中的に照射するという部分と、ある程度中性子の積算個数は少ないのですが、数十センチ規模の何かの構造体も試験できるようなテストセル系。

 この3つを、実質規模に相当するものを製作して試験しようというのが3つ、R&Dでございまして、過去にやりました概念設計を見直しつつ、このR&Dの成果を逐次取り入れていって、それで設計はほぼ完結するのですが、それだけではなくて、現実に建設しようとすると、その建設は何年ぐらいかけて幾らぐらいのお金、何人ぐらいでという。

 そのためのサイトの要件は何か。どういった組織でやるのかといった建設のシナリオを書くのが工学設計の中に入っていて、2013年にはそういった最終設計報告書が出てまいりますと、そこで国際協議に入れるという形になります。

 これが照射試験のプロジェクトの概要でございまして、現在、これを取り仕切っているのは両方の日本とヨーロッパの政府、あるいは国内の実施期間とは独立したグループが全体を取り仕切ると。プロジェクトマネジメントの部分だけ独立させていると。これはいろいろな事情があってこうしたのですが、その事業長がパスカル・ギャランさんというフランス人の方で、事業チームは現在、日本人3人、欧州5人の専門家と、日本人4人の支援要員。これは年末までに支援要員が5人ぐらいまた増えます。ヨーロッパからの人も増えると聞いています。

 次のページですが、これが加速器系のお話でございまして、最終的に5MeVから9MeVぐらいのプロトンで電流は120、この電流は加速器としては結構大きいのですが、そのために初弾に高周波のウェーブ加速を入れまして―RFQと言っていますが、これで初弾加速をして、今度超伝導リニアックで、いわゆる加速器でもって5MeVから9MeVぐらいまでに上げていく形でございます。これをあと4段やりますと本体になるので、これが成功しますと、この部分は建設のときに実機の一部として使えるというシナリオになってございます。

 済みません、今の加速器はEUの分担です。EUの中でいろいろな国がばらばらとつくっているのですが、まとめはサークレー研究所がまとめてございます。

 今度はターゲット系で、リチウムを流すのですが、流れているリチウムの滝のところにプロトンビームをぶつけて、そこから中性子を飛び出させるというやり方をいたします。これは日本が分担しました。

 本来だったら六ヶ所につくりたかったのですけれども、既存の施設とこれをやっている研究者が原子力機構の大洗にしかいないということで、その人たちはいわゆるもんじゅの基礎試験もやってございますし、高速炉の次世代炉の研究もしているということで、かけ持ちでやるわけで、残念ながらこれは大洗に持っていかざるを得なかったのですが、実機の建設になれば、実機にこの施設の一部を移設することになります。液体リチウムは非常に活性度の高いものでございますので、いろいろな材料が浸食されます。浸食される割合とか何か、どういった形の安定な流れをつくれるか、あるいはどういった形で材料が変形していくかといったものを試験するものでございます。

 現在、これはメーカーさんに発注して、製作の途上でございます。後でタイムスケールが出てくると思います。テストセルは非常に小さいもので、これはヨーロッパが担当することになっています。

もう一つの事業が国際核融合エネルギーセンター事業と変な事業なのですが、IFERCと呼んでおります。これはDEMOの概念設計を日欧で実施しと、岡野先生がおっしゃっていたように非常に悩ましい事業なのです。共通概念の確立を目指しますが、それと同時に、原型炉の早期実現に向けての道筋を確立するために、物理的及び工学的課題を確認し、概念設計及び関連する研究開発活動の調整と予備的研究開発を実施と。これは後で出てまいります。

 これはすぐに立ち上がるといったって、全く違う国の、全く違うアクティビティが並列して走っていて、その国の中でも幾つか並列している状況なものですから、最初の3年間、2007年、8年、9年、今年度いっぱいですが、これを第一段階と称しましてお互いに何をやっているのかというのの共通理解をつくるのと、工学R&Dの中で非常に長い期間を要して、必ずどんな概念だろうと成果は生きるものというのは、特に材料関係なのですが、そういうもののR&Dを確定するのがこの3年間で、今年が最終年に入ります。

 来年からは第2段階に入って、原型炉の概念設計に向けた活動。ほんとうは概念設計をすると言いたいのですが、向けた活動で、日欧の共同設計グループを設置したいと考えてございます。ということで、来年度からは少し新しいベースに入ります。このIFERCの中にまた幾つかございます。

 次に移る前に、原型炉の工学R&Dとして、先ほど岡野先生に出てきた5項目、非常にベーシックな――特にa)とb)なのですが、ブランケットの材料。低放射化フェライト鋼と先進ブランケットのためのセラミック系、これの製造技術とか接合技術とか、照射効果の予測といったものを、これだけではなくて最後のテーブルに出てまいりますが、原子力機構、あるいは大学で既にやっているものとうまくコンバインすることも考えているのですが、基本的には材料の利用基準、設計上必要な利用基準みたいなものの基礎データがとれるかというのは最終目標でございます。そのほか、機能材としてブランケットの増倍材とか増殖材、トリチウム技術。

 トリチウム技術はいわゆるトリチウムは増殖・回収技術とか、そんなものですけれども、小規模のものを考えてございます。

 IFERC事業の2番目が計算機シミュレーション。これは数百テラFLOPSの計算機を導入いたします。これについては、まず調達準備。

 調達はヨーロッパがやりますが、ベンチマークテストか何かは日欧共同でやります。そういったものの段どりをつくりました。それが特別作業グループ。これがほぼ見通しが立ちまして、現実に調達の仕様書を書く段階に来ております。今度は利用規程の策定が次に入ってきて、2012年から運転を開始するという形になります。

 3番目のプロジェクトがサテライト・トカマク。これがJT-60の改造ですが、これは那珂で行ないます。ですから、将来は炉工学は六ヶ所、物流は那珂、ITERはカダラッシュという3極体制で行くのかという感じになります。これはJT-60を超伝導化いたしまして、ITERでかなり後期にしかやらないような高ベータの定常運転という――高ベータとは非常にコンパクトな炉心で、それをいかようにでも長く続けられるという定常運転のあれで、JT-60の規模ですとタイムスケールで100秒がほぼ無限大と等しくなります。こういったものをつくるというので、60の改造をやってございます。

 これはJT-60の施設、特にプラント系はそのままにして、真ん中と加熱の一部を取り換えるという形で、一番大きいのはコイル類をすべて超伝導化するということで、日欧で分担してやっている。特に、コイル系、トロイダル磁場コイルという非常に大きな超伝導コイルですが、ITERではこれは日本が分担します。J-T60はヨーロッパが分担する。

 ITERのいろいろな取り組みとか何かはITER機構がやるのですが、全体の建設の統合を日本側がやること、ITERでの分担と違った機器を日・EUで分担してお互いに何らかの技術が蓄積されることを考えてございます。

 現在、いろいろな機器の発注ができてございまして、来年から本体の解体の準備を始めまして、再来年から本格的解体をして組み立てなのですが、物の発注は既に走っていまして、真空容器の部分試作、長電導コイルの巻線は現地で行ないますので、那珂研究所の中に巻線工場をつくりました。ダミー導体についても既にできておりまして、素線とか、そういうものの発注は開始してございます。

 ヨーロッパも近々にクライオスタットという全体の魔法瓶とポロイダル磁場コイルの発注に年内、あるいは年度内に開始すると聞いております。

 これはちょっと見にくいのでお手元をごらんいただきたいと思います。いわゆる9項目でどう対応してきたか。左側は9項目の項目立てで、真ん中がBA、あるいはBAの実施機関としての研究開発――これは必ずしも原子力機構だけではなくて、大学との共同研究が入ってございます。一番右側は原子力機構のいわゆる独自研究としてやってきた部分でございまして、TBM、テストブランケットモジュールは本来のブランケットの非常に小さい数十センチ規模の模型で、これをITERに入れて試験するのですが、これは低放射化フェライト鋼の材料の研究は一部BAに入っていますが、その構造体そのものについて見ましては一番右側の原子力機構としての独自開発の範疇に入ってございます。

 原型炉ブランケットの開発は先ほどのBAの5項目の中で、特にa、b、材料に主力を注いで、そのほかは幾つか増倍材、増殖材、あるいはトリチウム技術の研究もBAに入ってございます。

 現在のIFMIFができるまでの数十dpaまでというのは、HFIRというどちらかといえば固い、2MeV以上だったか、何かのニュートロンを出すフィッションの照射実験装置がアメリカにございまして、日米共定に基づいて、ここで現在20dpaまで、ターゲットとしては30だったか50だったか、その辺までやることになって、照射試験をやることになってございます。

 超電導開発につきましては、Nb3Sn以外のものは今のところBAでは入ってございません。原子力機構の独自のものでNb3Snをやって15テスラぐらいまでもつ素線はできていますし、おそらく量産をやればかなりのものができるだろうと。一時期、ITERの一部、あるいはJ-T60のコイルをこれでつくろうとしていてかなりの量産のテストをいたしました。問題はここよりも磁場を上げますと構造材がもたなくなるので、その材料のほうが問題なのだろうということでございます。ここを話しますと長くなりますので飛ばします。

 それと同時に、今度は逆に、弱磁場で、いわゆるぶよぶよのコイルだけれども温度が高くていいという高温超電導線材の開発も一部進めてございます。弱磁場で安くて大きな装置にするか、強磁場でコンパクトな装置にするか。素線の研究だけは細々と続けています。

 ダイバータに関しましては、構造材としてBAは低放射化フェライト鋼があります。

 独自の研究としては、タングステン、アーマーの基礎物性等を今のところやってございますが、ここのところを今後どう広めていくかがポイント。Li-6は非常に悩ましい話で、リチウムとチタンと酸素のいろいろな化合物で、新しい濃縮技術を実験室レベルで細々とやっているところでございまして、これをどうするかというのはLi-6はある国によって戦略物質なので、下手に大量生産をやりますと、言った途端にいろいろと国際的に物議をかもす可能性がある。非常に慎重にやらないといけないことは事実でございます。コンベンショナルなことをどうするのかと同時に、やはりかなり効率を上げないと、やったことないと岡野先生からご指摘をいただきましたので、効率を上げる意味で、新たな化合物にトライするという路線を今細々とやっているところでございます。

 トリチウム関連技術は何を目的にするかといいますと、まずITERに対して出力が数倍になります。それと稼働率が数倍から10倍高くなります。ということは大量のトリチウムを取り扱うわけで、プラントの効率が今のままだったらものすごい巨大なプラントになりますから、その効率をいかに上げるかというので、プラントの概念はそう大きく変わらないのですが、個々の機器の高効率化を目指します。

 まずは、トリチウムの回収側からすると透過膜とか何かという原型炉のシステムから出てくる課題の一部はBAに入っていますが、3番目の冷却水技術の水管理云々というのは右側に原子力機構のプラントとしての機器効率。いわゆるトリチウムの分離だとか不純物の除去とかいったものの効率を1桁以上、パーツとして上げる技術。それをループの中に組み込んでプラントの動作を習熟するといったところは、現在東海にあるトリチウムプロセスラボラトリー、いわゆるループ試験ができる施設で行なうという考え方をしています。芽出し研究でございますが、路線としては強化していけばしかるべきところまで行くのだろうと思っています。考え方は効率を上げることをターゲットにしています。

 メンテナンスの手法は確かにそうなのですが、どっちかというと私はブランケットの概念が決まればそんなに難しいものではないだろうと。今は小さな1メートル四方の4トンぐらいのマージャンパイのような形でやっていますが、長さ20メートルぐらいの長尺ものの引き出しは昔やったこともありますし、やってできないことはないだろうと思います。まず、ブランケットの概念を決めることが先であって、そうすれば自動的に出てくるだろうと思っております。規格基準と安全、これはどっちかというと相当頭をひねらないといけないことであって、まさにこれのためのガイドラインをつくるのが日欧共同のいわゆる設計ではないのですが、設計のインフラを確立するための大きな課題だろう。これによって概念そのものも変わる可能性がある。

 例えば、マグネットの場合ですと高強度の材料が磁場を上げて、電磁力に材料がもたなかったときどうするかは、材料の開発はするのも1つですけれども、変形を許容するもの。プラントの亀裂の進展を許容するような設計。

 弾性から塑性に移って、別な材料の状態で運転する考え方によって、材料の使い方がかなり変わってまいります。そのための基準を考えるとすると、設計の幅を広げることによって概念が変わる可能性があるので、ここのところをどうまとめていくかが1つのキーであろうと思っております。安全に関しても同じです。

 最後の国内重点化装置は、先ほど申しましたように、できるだけ熱容量が高くて長時間もつプラズマをどうやって制御するかということで、これは必ずしもBAだろうが何だろうが、すべていわゆるプラズマの研究者の努力にかかっているところですから、これはできるだけ実験時間を確保して幅を広げる、これに尽きる。こういった意味での研究者をこの7年間、JT-60の建設期間にいかに維持していくかがまず第一の問題だろうと思っております。

 以上でございます。

【本島主査】  常松先生、どうもありがとうございました。私も六ヶ所村のBAサイトを9月の終わりに見に行く機会がありましたが、着実に進展してきています。今年度中に環境が整うと、大変心強く思いました。関係者の皆さんの多大な尽力の結果であることは間違いございません。

 時間が限られていて駆け足ではありましたが、12ページ、13ページに「主要R&D」についてのIFERCの重要性、これは前回高村先生からもご指摘のあったとおりですが、それがこういう表の形でも非常に明確になってきています。原子力機構としての研究開発をかなりのレベル進めておられるわけですが、これからにかかるところももちろん多くあります。そうしますと、おそらくその右側に、大学、核融合研としての役割が入ってくるわけです。そういったことをこの作業部会で、政策提言につながるような報告書にまとめていければと思っております。先ほど来、出ておりましたサンディエゴのARIESグループも、DOEの支援のもとに大学でやっているわけです。

 それでは、ご質問、ご意見とありましたら、お願いしたいと思います。

 常松委員。

【常松委員】  済みません。岡野先生が私見を書いておられましたので、最後に私見を述べさせていただきたいと思うのですが、じゃあ具体的に設定ってどうするのだろう。来年から始めないといけないわけです。R&Dは多分ロードマップに従い若干のメリハリをつければ見えてくるのだろうと思うのですが、問題はどの程度の規模で、何をすると設計がギャランティできるのかというところが、いわゆる設計部対応のコアをどうするかなので、じゃあ、今お金をつけるからやれと言われたとき、正直な話、原子力機構の中、大学を見渡してもコアになる人間は多分いないのじゃないかと思う。非常にネガティブなことを申し上げます。

 逆に、もしいれば、私の本音からすると、ITERとIFMIFとJT-60のものづくりにその人たちを投入したいのが正直なところです。今そっちも足りません。これから本格化していくと、コアになる人間をどうするんだというと、ITERの最初のころ、炉設計の人たちはいっぱいいましたけれども、結局概念をつくっただけで、設計と建設に行かなかったという。CDAのとき各局から10人ずつ引きはがして4局で40人をコアチームにして立ち上げたのが事実であります。

 ですから、多分10人ぐらいの規模があると次のコアになるのだと思うので、その人間をいかに、ここ数年の間にコアチームをつくるか。それは類似タイプのやり方をするのか……。私は別の考え方を持っていて、いわゆる原型炉の工学設計活動の規模と中身を定義する。設計はそこから始めたって構わないと思っています。現にITERだって3回も設計変わっていますから。と思っていますので、コアになる人間はおそらく20代後半から30代前半の人間だろう。これから十数年引っ張っていくとすると。その人たちを、どう早く集めて、教育するかがまず必要なことだろう。それだけとは言いません。まず必要なことだと思います。

 ですから、今ITERとBAにかかずらわっている方よりもっと若い世代の方を早めに集合して、その人たちに仕事を覚えさせて――手さぐりで結構です――仕事をしてもらうのが、まず第一のことだろうと思います。多分、ヨーロッパも同じような事情じゃないかという気がいたします。人はいますけれども、皆さんも定年間近の人ばかりですから。その人たちに原型炉を任せるわけには多分いかないと思う。我々の世代も全く同じと思います。勝手な私見でございます。

【本島主査】  最後に重要な私見をありがとうございます。

 研究開発が進んで、当然規模が大きくなります。それにかかわる、必要な人数が増えるわけですから、足りなくなるのは火を見るよりも明らかな点がありますので、いかにそれを確保するか、養成するかは大きな課題です。よその分野から引っ張ってくる必要もあるでしょう。そのことについては大学もかなり頑張っておられるわけですが、研究・開発にはコストがかかるわけですし、大学にかかわることについて、人も含めてですが、ご発言をいただきたいと思います。

 笹尾先生、いかがでしょうか。

【笹尾委員】  今、常松委員がおっしゃられたことに基づきますと、大学の役割は非常に大きいのですが、結局今博士をとった方とか、あるいはポスドクをしている方たちがこういう重要な項目に視点を向けるときに必要なのは、安定したポストを提供することだと思います。予算の確保も重要なのですけれども、安定したポストをどこに配置するかという点について、やはりこの委員会で何らかの提言ができればよろしいのではないかと思います。

【本島主査】  どうもありがとうございました。重要なご指摘だと思います。

 吉田科学官、お願いします。

【吉田科学官】  今2つ、中核となるプレゼンテーションをしていただいたので、今後どういうふうにこの作業部会で議論を進めていただくかということについて、少し科学官から発言させていただきたいと思います。

 最初に申し上げましたように、このロードマップの特に時間軸を念頭に置きつつ、この分野としてはどういった戦略で核融合エネルギー開発を行なっていくかについて、国として整合性のとれた作戦書をつくることがこの作業部会の主要な目的だと思うのです。

 今日、具体的に9つの主要な項目を出していただきましたが、これ以外にももしあるとするならばそれも委員の方々からご指摘いただく必要があります。また、9項目について常松委員から原子力機構として具体的にどこの部分がどのように対応しているのかを示していただきましたが、ほかの重点研究、あるいは大学の基盤研究はどのように対応できるか議論していただく必要があります。それぞれ規模の階層があろうかと思うのですけれども、9つの項目は巨大なプロジェクトだけではなくて、裾野が広くて基盤的な課題として、大学で行なうほうがいい項目があると思うのです。

プリンシプルというよりもむしろ具体案として、どのようなものが必要か議論を進めていければ、具体的な提言ができるのではないかと考えています。本島主査がおっしゃっているのはそういうことだろうと思っております。

 今後の議論との関連で少しコメントをさせていただきますと、岡野先生から説明をいただいた中に明確に出てきた軸は、つまりロードマップをつくるというのは基本的には選択、集中をしていく、収斂していく作業だということです。どこの時点で何を我々が選択すべきかが中心的なテーマであって、それを具体化していただいたことは非常に大きな意味があります。

 例えば、大学の人はこのロードマップを参照にしつつ、科研費を申請するときも、核融合エネルギー開発はこの時期までにこれをやらねばならないのだということを積極的にプロポーザルの中に書いていただというような使い方もできる。コミュニティーとして、この分野の進め方のガイドラインを与えているものなので、例えば、プラズマ・核融合学会等で会員に具体的な核融合エネルギー開発のイメージとして広めていただいて、各大学の研究者が積極的にこのロードマップ、あるいは作業部会で行なっている議論を自分たちの研究の中に生かしていくことができればと思います。

 それと同時にもう一方大事なことは、選択と集中は開発を目指した一つの軸なのですけれども、これはしばしば言われていることですが、学術の多様性というもう一つの軸がある。例えば選択と集中で、選択から漏れたものはどうなるのというと、これは選挙に落ちた候補者というような意味では決してなくて、それは横軸の上で、つまり学問として生き残っていかないといけない。

 特に大学の研究者にとってはそちらの軸が生命線です。例えば、核融合エネルギー開発が1本の木だとすると、それが砂漠の中に1本生えていて、その成長戦略から漏れたものはどんどん枯れていくということではなくて、むしろ、大きな学術の森の中で核融合という木を育てるのはどういうことなのかいう意識で大学の人は捉えるべきだろうと思います。

 ただし,もう一方の軸と簡単に言うのですが、これは実はなかなか大変なことであって、軸が漠然としていると、選択、集中というプロジェクトの軸と、学術の多様性の軸が相互に侵食してしまうと、何をやっているのかわからないという事態に陥ります。もう一方の軸を明確にしていくことは

非常に大切であり、かつそれはこの作業部会でもずっと議論してきた人材育成という観点とも重なっています。その点についてもぜひ作業部会でも議論する機会が必要なのではないかと思っております。

【本島主査】  吉田科学官、どうもありがとうございました。

 今後のここでの審議の方向性にかかわる重要なご指摘をいただきました。

 松田委員、お願いします。

【松田委員】  原型炉に向けた設計とR&D、研究開発をどうやっていくかに関して、先ほど常松委員が強調されましたけれども、何がドライビングフォースになるかを考えると、原型炉を引っ張っていく部隊といいますかチームというかが一番重要だと私も思います。

 というのは、例えば、岡野さんのロードマップでいろいろなタイミングで決定すべき事項があるわけです。ところが、それは決定のタイミングを言っているのであって、これ、実は一方向ではないのです。こういう決定をやるためにはデザインサイドというか原型炉のプロジェクトサイドからリクワイアメント、原型炉としてはこういうものが必要だと。こういうベースが必要だというリクワイアメントが最初に出ていて、それに対して研究開発をやって、その結果が設計の決定にどう生かされるかを示した矢印であって、これより以前に背景にはリクワイアメントからの矢印が出ているのです。

 そういうことをまとめていくのはインテグレーションというファンクションだと思うのですが、ITERもそうですけれども、最近のプロジェクトを見ていると、インテグレーションの能力は非常に少ない。世界的にもITERでもまとめる人が少ないのが大きな1つの問題になっています。そういう意味で、原型炉をやろうとしたら、まずコアのチームになれる人材と言いますか、そういう人たちがいないといくら予算をつけたってだめだし、制度的に整えようとしてもなかなかうまくかみ合わない。

 そういう若い世代の人たちで新しい原型炉の中枢部隊とかに入って活躍していく人をつくるのが私は最大のポイントだと思います。そういう人たちが全体の計画をつくって、R&Dのリクアイメントは実はこうなんだよという、具体的なスペックを出していかないと、R&Dサイドから物事を決めていくとどうしても弱いのです。自分の好きなことはやるけれども、ほんとうにそれが世間の役に立つかどうかは、かなりのところは役に立たないのが進んでしまう可能性がある。つまり、R&Dは非常に高い目標というと変ですけれども、目標とするところがこういうところにあるというガイドをしっかりやらないと、役に立たない結果になるのです。そこは非常に注意しないといけないので、そこは設計サイドとR&Dサイドのいかに緊密に連携して研究開発を進めていくかに非常によるので、突き詰めて言えば、今何が本質的に足りないかというと、多分R&Dやる人はお金さえつけば出てくると思うのですけれども、全体を引っ張っていく人は確実に足りない。そういう人たちを育てるというか……。

 それがしかも実務をとおして育てるという非常にいい機会だと思うのです。BAでも原型炉の設計を始めようとしているので、実際の作業を通じて育っていくというフェーズをうまく活用すべきだと思います。

【本島主査】  松田委員、ありがとうございました。

 松田委員ご自身の今までの経験を踏まえての発言で、大変重みのあるご発言だったと思います。やはり大変重要なことといたしまして、今後研究を進めていく上で、さあやるぞという雰囲気もつくっていく必要があります。そういう観点で、時間も限られておりますが、ぜひ石塚委員と東嶋委員に産業界と社会とのかかわり方についてご意見を伺いたいと思います。今後の核融合研究は産業界を巻き込んでいかないといけませんし、社会にも発信をしていかないといけない。理解を得ていかないといけませんので、ぜひご意見を伺いたいと思っております。

 後ほど、参考資料2の説明も予定されているのですが、これを見ますと、例えば、グローバルCOEプログラムで342億使われているという表があります。このグローバルCOEプログラムは、大学の研究と教育プログラムの活性化のための重要な競争的資金なわけです。現在のグローバルCOEは学術的な、スモールサイエンス的なものに多く支援が行っておりますが、日本の今後を考えますと、エネルギー分野がより重要な施策の中心になっていくわけですから、グローバルエネルギーCOEプログラムに習ってよりよいイメージの計画を提言していくことも1つの重要なことではないかと思います。それに成功しますと数億規模の計画が数年間続けられるわけですから、いろいろな流れをつくることができると思います。

 それでは、石塚委員、お願いできますでしょうか。

【石塚委員】  先ほど岡野先生が最後におっしゃったことに尽きるのではないかと思うのです。それは先生が、産業界が継続的に協力をしていくためには原型炉への計画、ロードマップをきっちりと示していく、それがないと産業界は、企業の中で、自分たちの仕事とか活動の位置づけを説明をできないということだと思うのです。それは人を採るとか、あるいは工場の設備だとか作業上のスペースだとかいうものをとっていくに当たっても、位置づけがないとなかなかそれができないわけです。、企業の中でこの核融合の仕事が将来自分たちにどうなっていくのか、産業界にとってどうなっていくのかということを明らかにする、つまり原型炉のロードマップがきっちりしているということが非常に重要だと思います。

 先ほど、松田委員がおっしゃった原型炉を引っ張っていくチームも重要だと思うのです。原型炉をどうイメージしていくのかというところがやはりすごく重要なので、これは多分研究者だけではなくて、もうちょっと広い人の参画があって、それで将来のエネルギーも考えながら、どういうふうに原型炉をイメージしていくのか。あるいは、先ほど申し上げた国際協力をどうしていくのかといったところの議論が必要なのではないかと私は考えます。

【本島主査】  どうもありがとうございました。では、お願いできますでしょうか。

【東嶋委員】  常松委員のお話で13ページの「主要R&D(9項目)」を挙げていただいているのですが、私の分野から言いますと、社会需要性とかそういうことでいいますと8番は重要かと思っていまして、この9項目が並列して進んでいくというよりは多分専門の研究者の皆さん方は8番がわりとできてから後でもいいとお考えになるかと思うのですが、私自身は環境安全性評価は原型炉の設計とか、建設とか、それと同時に、同じぐらいの重要性という認識を持ってやっていかないと、結局研究がうまくいっても社会重要性がないと、トリチウムが怖いじゃないかというようなことを言われてしまって予算がつかなかったり、研究がストップしたり、建設がとまったりということになるわけですから、ここのところは重要なことと思って力を入れていただきたい。

 そして、その際に、もちろん今までほかの分野での放射線のリスク評価とかいった方々の知見を生かすこともあるかと思いますが、例えば、産総研などでやってらっしゃる化学物質のリスク評価といった、もうちょっと広い視点でもやってらっしゃる先生方と交流して、リスク評価とリスクをどう認識するかという社会の重要性について広い認識でやっていただけたらというのが現状の意見です。

 ありがとうございます。

【本島主査】  大変重要なご指摘ありがとうございました。それでは、たくさん重要なご意見をいただきましたので、今後の議論につなげていきたいと思います。今後の議論でございますが、その予定としまして、次回以降、核融合科学研究所からLHDの現状と今後の計画、大阪大学からレーザー核融合の現状の今後の計画について発表していただく予定になっています。これは、単に将来計画を聞くということではなくて、本部会として聴取したい観点に基づいて発表していただきたいと考えているわけですが、今日は小森所長と疇地センター長に議論に参加していただいておりますので、ここまでの議論を踏まえてのプレゼンをしていただくのが非常に重要なことであるかと思います。

 既に十分なご認識をいただいているわけですが、さらに加えてどういった点のプレゼンをしてもらいたいというご意見がありましたら、ぜひ伺いたいと思います。加えてということになるかと思いますが、いかがでしょうか。

【堀池委員】  先ほど大学との研究開発機関との分担とかいう話がちょっと出てきたと思うのですけれども、従来は我々、項目で分けられていたと思うのですけれども、階層で分けるというのですか。ある程度、科研費で拾うような萌芽的研究の部分と、そこから少し中規模、大規模に成長させていくという体系的なシステムで科研費とか、先ほど本島先生がおっしゃったCOEの申請とか、そういうものを全体でコミュニティーとして構想していくのが大事かと思うのです。

 そういう意味で、私はLHD共同研究とか双方向研究とか核融研を中心にいろいろ行なわれている取り組みが非常に先進的な部分を持っていて、そういうものも活用しながら、核融合コミュニティー全体としてシステム開発をどう進めていくのかがこれから重要じゃないかと思っていまして、ぜひ小森所長には次回そういう視点からのコメントもお聞かせいただければ幸いかと思います。

【本島主査】  ありがとうございました。研究コミュニティーの一つのメンバーであることとあわせて全体についても責任を分担していく部分もあるはずだから、その点についての展望もあわせてほしいということだと理解しています。

 高村先生、お願いします。

【高村委員】  今、堀池さんがおっしゃったことと関連が深いと思います。今日、お話を聞かせていただいて、常松さんと松田さんがドライビングフォースが必要で、若い人たちのあるグループをつくるという提案が大変印象的だったのですけれども、そういう意味で核融合研として、あるいはレーザー研もそうかもしれませんけれども、そういうものを実際つくるとすればどういう可能性があるかとかいうことも少し検討いただいてプレゼンしていただくとありがたい。

 これはJAEAにも期待すべきなのかもしれませんけれども、大変魅力的に私は聞こえましたので、せっかくこういうアイデアをできるだけ具体化できるような方向の議論ができればと期待しております。

【本島主査】  ありがとうございました。吉田先生、お願いいたします。

【吉田委員】  済みません。今日はご報告を非常に興味深く聞かせていただいたのですけれども、核融研とレーザー研、今後ご報告ということなのですが、特に核融研に対してお願いしたいのは全国共同利用研究所、先ほど吉田科学官もおっしゃいましたように、非常に多様な研究をされる、核融合絡みのところですから、プロジェクト絡みのところと、いわゆる学術の研究を支えるという2つの視点。それともう一つ、大学関係で非常に重要な教育ということですので、その辺も絡めた形で全体構想をお聞かせ願えればと思います。

 先ほどから若い世代が次の計画を持たなければいけないという議論が盛んに出ておりますけれども、全くそう思います。そういう経験を積まれているのは若い人たちがたくさんおられる核融研であり、レーザー研。今、ほんとうに世代をずっと連ねた研究の構成になっておられると思いますので、そうとうところからぜひ具体的なご提案が欲しいなという気がいたします。どうぞよろしくお願いします。

【本島主査】  どうもありがとうございました。

 今続いて高村先生、吉田先生からお話があったことを私なりに理解した点としましては、高村先生のご発言の企画が重要であって、いいものを出していただければそれをコミュニティー全体で応援しようじゃないかということ、吉田先生のご発言のプロジェクト性と、もう一つは言葉を少し変えると、核融合の分野はビッグサイエンスになっているのだという点がまさしくそのとおりであると思います。これが大学等のドライビングフォースになるはずだという観点もあったと思います。

 ほかにもあるかと思いますが、松田委員、加えてということでいいでしょうか。原子力機構がぜひその点で責任を持って発言していきたいということでしょうか。

【松田委員】  今、高村先生、吉田先生おっしゃったのをちょっと別の言葉でもっとストレートフォワードに言いますと、例えば、ちょうど始まろうとしている原型炉の設計はまさに設計仕法というものに深くかかわっているので。

 例えば、NIFSの方がそこに加わられて設計されるのは非常にいいと思うのです。NIFSだからヘリカルだけやるというのではなくて、BAの設計に加わって、それで何年かそれをおやりになるのは比較設計する上でも非常に将来役に立つと思いますし、従来の枠にとらわれない形で若い人が育っていけば。

 実験の部門では既に交流はどんどん進んで、今ほとんど一緒にやっているわけで、工学の部門でもそういう視点で全体の日本の研究者の層を高めることが必要じゃないかと思います。

【本島主査】  ありがとうございました。制度設計も変えていく必要があるという点のご指摘でもあったと思いますので、まさしくここでの新項目になると思います。それでは、この後のワークシートのこともありますので、そこでもまた意見を、今日のホットな議論を、頭を冷まして考えていただくこともできますので、今のNIFSとレーザー研につきましては座長の立場で申し上げたいと思うことがひとつあります。それは、今日いただいたご意見、ワークシートについてのご意見は、ある意味すべてにレスポンドする必要はないのではないかということです。

 したがって、小森所長及び疇地センター長が委員の立場で、ご自身で理解されたこと、または主張すべきことについて強弱をつけていただいて、現状を踏まえてプレゼンをしていただくことでよいのではないかとかんがえます。その後は、更に議論を深めて、必要なことを追加するという進め方ができると思いますので、限られた時間内に100%こたえようとされないことをお願いしたいと思います。それでよろしいですよね。

 それでは、今後の議論につながりますワークシートを宿題として提案させていただきたいと思っておりますので、資料3のとおりに議案を科学官、学術調査官につくっていただいておりますので、その説明を吉田科学官、お願いできますでしょうか。

【吉田科学官】  資料3ですけれども、ワークシートというかレポート課題ですので、こういった項目を仮に立てておりますけれども、ほかにどういうことが重要かという意見を本日いただきまして、その後少しブラッシュアップしたものを次回お出しする予定になるかと思います。

 既に何回か申し上げておりますけれども、作業部会としては、特に時間的に、どのタイミングで、具体的にどのような研究を行なう必要があるのかという点についてご意見をいただきたいということであります。もう既に今日の議論で岡野先生からロードマップの中で、どの時点でどういったことが重要であるかのご指摘があり、それに対応して具体的には常松委員、あるいは松田委員から、そのディシジョンメイキングにはインプットが必要であること、具体的なインプットをする研究アクティビティが具体化されることが必要なのだとご議論いただきました。

 それが具体的な例だろうと思います。このワークシートの原案は山田先生にまとめていただいたものなので、具体的な説明を山田先生からしていただきたいと思います。本日は、このワークシート――レポート課題がこれで妥当かどうかを議論いただくという機会にしたいと思っております。

【山田学術調査官】  報告書としてまとめるに当たり、作業部会から制度設計をこういうふうにしたいという提言を行なっていく、つまり非常に大事なプロダクトとしての報告書をまとめていかないといけないということで、先生方には宿題になってしまいますけれども、こういった内容が報告書にうまく盛り込まれていければということで考えた次第です。これはあくまでたたき台です。作業部会として、今日も先生方が議論されたことについて、プロダクティブな制度設計を提言していくためのものでございます。かなり大部の宿題にはなるかと思いますけれども、ご検討いただきたいと思います。

【本島主査】  簡単で結構ですが、趣旨的なところをもうちょっと説明してもらえませんか。読めば明白ではあるのですが。

【山田学術調査官】  参考資料1にあります全体像に当たって、ここ、吉田科学官がおっしゃいましたように、時系列の中で全日本的に、要するに、核融合のコミュニティーとして束となってどうやってかかっていくかを、クリティカルパスを明らかにしつつ示していきたいということです。キーワードとしてはそのクリティカルパスであるとか、岡野先生がおっしゃっていた選択のポイントとかいったものが非常に重要になってくるということで、そういったことを考える上での課題、その次に取り組む担い手、規模であるとか、前後関係がどうしても必要ですので、必要条件や制約条件、選択とか可能かということで、いつまでどこまでやることが必要かということが記入項目としてまず大事だと思います。

 これについては今日お話があった内容について、批判的であっても構わないということですので、結論として一意な結果が出るとは考えていませんので、そういったことのご意見をいただきたいと思います。

 出されてきたものひとつひとつについて事務局でいろいろな分析を加えていきたいと考えていますけれども、先生方のお知恵も必ず必要ですので、記入していただいたものに関して、依存関係とか問題点といったものについて、分析に必要な考え方をご指摘いただきたいというのが2番目でございます。

 3番目は全くフリーハンドで、我々のプロダクトとしての提言を書くに当たって、どういったことが必要かをお書きいただきたいと思います。

【松田委員】  済みません。

【本島主査】  はい、どうぞ。

【松田委員】  何を書いていいのかよくわからないので質問させていただきたいのですが、例えば、記入項目の課題は、例えば、何が選ばれるのですか。何を書くのですか。

【山田学術調査官】  ここは、例えば、ハードウェアであったり、ソフトウェアであったり、メソドロジーであったり、何でも構わないと思います。課題というと、何か研究課題的なものをイメージされるかと思いますけれども、研究課題で必要なことは研究者コミュニティーで背負うところがありますので、そういうものとは違い、いわゆるロードマップに描いてこれなかった、非常に肝心な課題のことです。答えが抽象的で申しわけないのですけれども、あまり研究課題という形でとらわれると矮小化してしまうと思います。

【吉田科学官】  具体例を述べさせていただくと、今日、まさに松田委員がおっしゃられていた設計のアクティビティ、要するに設計研究が課題であるとするならば、設計研究をどの規模でいつまでに答えを出すプロジェクトとして行うことが必要であると指摘していただきたい。それはほかのR&Dとも絡んでいるので、そういった事項を分析項目として挙げていただいて、他との関係を議論していただくと。それが一例だろう思うのです。

 これをお願いしている心というか目的は、核融合エネルギー開発をしていく中で、こういったプロジェクトをやる必要がある、逆にいいますと、そこの部分が抜けていると核融合研究という全体の作戦行動が成り立たない。そういうことがあってはいけないので、具体的にどういう研究グループなり研究プロジェクトを組織してやっていく必要があるか。そういう具体的な提言を期待してお願いをしているのです。

【松田委員】  1個書こうと思えば1個書けるし、100個書こうと思えば100個書けるんだけれども、非常に強く課題として認識していることを書きなさいということですか。小さい課題も大きい課題もいっぱいありますよね。

【吉田科学官】  これは何度も申し上げているように、この作業部会は核融合エネルギー開発を国策としてやっていく上で、何が必要かを議論する場なので、そのための重要不可欠なものとして、具体的なものを上げていただくと。

 先ほども申し上げましたけれども、その一方で研究者個々が無限の多様性を持って関心を持っている事項も一方であって、それはまた別の軸としてしっかりと議論しないといけないのですけれども、今は核融合エネルギー開発の一つのロードマップをスケールとして念頭に置きながら、それが全体として整合性を持って進むために今どのような施策が必要か、それを提言することが作業部会の目的ですので、そういった観点で非常に重要と思われる、不可欠と思われるものを挙げていただきたいということです。

【吉田委員】  ちょっと確認なのですけれども、9項目の指摘がございますよね。そういうものに対して、例えば、実際こういうふうに具体的に進めていったらいいのじゃないかとか、こういう視点が大事ですよとか、そういうことをこの中に書いても困るのですね。

【吉田科学官】  それが欲しい……。

【吉田委員】  それが欲しいといことなんですね。

【吉田科学官】  ええ。それに必ずしも今日の資料に束縛される必要はありません。

【吉田委員】  それとプラスアルファ。

【吉田科学官】  ええ。それに必ずしも。

【吉田委員】  報告が出されれば。

【吉田科学官】  ロードマップが具体的なイメージとして本日議論されましたので、そういった議論はもちろん踏まえて。

【吉田委員】  それともう一つ、体制をどうするかという議論は今回随分ありましたよね。オールジャパンとかいうことも出ていますし、そういうことに関する意見もこの中、この流れとは沿わないかもしれませんけれども、コメントとして出してもいいということでしょうか。今幅広くとおっしゃったのは。

【吉田科学官】  そのとおりでございます。

【本島主査】  常松委員。

【常松委員】  済みません。いつまでですか。来月いっぱいとか、今年いっぱいとか……。

【本島主査】  まず次回の議論にフィードバックしたいということがありますし、それ以降、また再度出してもらうことも必要になるでしょうね。

【山本核融合科学専門官】  事務局としては、次回は主査からご指示がございましたように、核融合研と阪大レーザー研から原型炉に向けた今後の構想ということでお伺いすることになってございますので、この様式については次回にご回答いただくということではなくて、次回の様式、フォーマットがこんな形でよろしいかどうかをメールか何かでご意見を伺って、それで次回に、フォーマットをきちっとしたというか修正したものをお配りして、そこからまた1カ月なりそのぐらい時間をいただいて締め切りとさせていただいて、集めていきたいと思います。すぐにやってくださいということは考えておりません。

【本島主査】  そういうことでよろしいでしょうか。

【石塚委員】  ということは、今考えなきゃいけないのはこのフォーマットでいいかどうかを考えるということですね。

【山本核融合科学専門官】  抜けている点がないかとか、あるいはこういう書き方ではなくて、もう少し何かこういう項目があるのではないかとか、全く別の様式をつくってもいいのではないかとか、そういうフォーマットについてのご意見もいただきたいということです。

 済みません、ちょっと説明が足りませんでした。

【石塚委員】  核融合開発を国策としてやっていくためにはどういうものが重要不可欠なものであるかと、こういう大命題なのですけれども、そうしますと、体制の問題から研究開発の問題と非常に広くなっちゃうので、できればこのフォーマットの段階である程度絞るか項目別にするかをしないと、非常に話がばらばらになってしまうという気がしていますので、そうした作業もこちらのほうでお願いできればと思います。

【本島主査】  次回改めてそこでの議論も含めて、もう一度検討する時間があると思います。、岡野さんの作業ワーキンググループだけで1,000項目も検討しているわけですから、課題を挙げることは非常に重要だと思いますので、まずこういったワークシートをつくる場合に、その場合には戦略性と戦術的な面を使い分けていただきたいということと、あとは分析等にかかわるのは今日出ておりました、選択と集中、多様性です。そういったことを頭に置きながら、ご自身の委員の考えをまとめることに役に立つかもしれないと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、時間が予定の時間になっておりますが、参考資料がありますので、こちらを簡単に済ませていただけると思います。

 もう一つは、今後の予定について事務局からお願いできますか。

 まず、その他につきまして、千原戦略官。

【千原研究開発戦略官】  もう時間も過ぎておりますので。

 まず、参考資料2でございますが、これは前々回のときに人材育成とか若手を育てる施策が大学における若手育成とか、産学連携に関する施策にどういうのがあるかという宿題をいただいておりまして、1回さぼって申しわけございません。

 先ほど、主査からありましたように、グローバルCOEプログラムをはじめ、具体的には説明しませんが、ここにあるようなかなり多様な施策が出ておるところでございます。後ろには参考まで、全部網羅してないのですけれども、もう少し具体的にどういう施策かを添付したポンチ絵がついております。このような施策をご活用いただけると非常にありがたいと思っております。

 参考資料3は前回の宿題でございまして、今回、我々核融合の原型炉へ向けたロードマップをつくっていく、作戦書をつくるということですが、それに当たって高速増殖炉サイクルのほうで既にロードマップができているから、それが我々が検討する際の1つの参考になるのではないかということでとってきてみました。これは主にロードマップといわれますのは、めくっていただいた2枚目かと思います。これは、この作業部会が所属します科学技術学術審議会のもとの原子力に関する研究開発の委員会のほうで2006年の11月に決定いただきまして、また原子力委員会は内閣府でございますが、原子力委員会でも12月にオーソライズをしていただいていると聞いております。2015年までの研究開発計画を作成するに当たって、将来高速増殖炉サイクルを導入する。あるいは、核燃料サイクル増殖炉に関するサイクルを導入するにはどういうことを描いたらいいかということで、2050年ぐらいまでの見通しを書いたものでございます。

 大変簡単ですが、以上でございます。

【本島主査】  どうもありがとうございました。

 今後を予想いたしましても、こういった審議のルートでおさらいされていくことは十分想定できますので、今の千原戦略官のお話は大変重要であると思います。

 それでは、今後の予定について山本専門官、お願いいたします。

【山本核融合科学専門官】  済みません。今後の予定でございますが、次回は1カ月ぐらい、少し間をいただきまして、10月の下旬をめどに開催をさせていただければと思います。また、日程調整をメール等でさせていただきたいと思いますので、ご協力よろしくお願いいたします。ありがとうございます。

【本島主査】  では、次回の予定のアナウンスもありましたので、最後に何か特別ということがありましたら、お受けしたいと思いますが、次回は今日の審議の延長線上で審議を深めていただくというふうにお願いしたいと思います。それでよろしいでしょうか。

 今日はどうもありがとうございました。次回もどうぞよろしくお願いいたします。

 

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