原子力分野の研究開発に関する委員会 核融合研究作業部会(第17回) 議事録

1.日時

平成21年6月10日(水曜日) 15時~17時

2.場所

文部科学省5階 5F7会議室

3.議題

  1. 核融合研究作業部会について
  2. ITER/BA活動の進展を踏まえた核融合研究の推進について
  3. その他

4.出席者

委員

本島主査、石塚委員、小森委員、香山委員、笹尾委員、髙村委員、常松委員、
東嶋委員、平山委員、堀池委員、松田委員、疇地委員、吉田委員

文部科学省

千原研究開発戦略官、山本核融合科学専門官、河原原子力国際協力官、吉田科学官、山田学術調査官

5.議事録

 【千原研究開発戦略官】  本日はお忙しいところありがとうございます。定刻を過ぎておりますので、ただいまから17回の核融合研究作業部会を開催させていただきます。

 今回は第5期の科学技術・学術審議会における第1回目の会議ということでございますので、冒頭のみ、事務局で議事を進行させていただきたいと思っております。

 まず、今回新たに加わった委員の先生もいらっしゃいますので、事務局から委員のご紹介をさせていただきたいと思っております。お手元の資料1-1でございます。これを1枚おめくりいただきまして2ページ目でございます。この名簿の順にご紹介をさせていただきます。

 本島修委員でございます。

【本島委員】  本島です。どうぞよろしく。

【千原研究開発戦略官】  疇地宏委員でございます。

【疇地委員】  疇地です。よろしくお願いします。

【千原研究開発戦略官】  石塚昶雄委員でございます。

【石塚委員】  石塚でございます。よろしくお願いいたします。

【千原研究開発戦略官】  大島まり委員でございます。本日はご欠席でございます。

 香山晃委員でございます。

【香山委員】  香山でございます。よろしく。

【千原研究開発戦略官】  小森彰夫委員でございます。

【小森委員】  小森です。よろしくお願いします。

【千原研究開発戦略官】  笹尾眞實子委員でございます。

【笹尾委員】  笹尾です。よろしくお願いいたします。

【千原研究開発戦略官】  髙村秀一委員でございます。

【髙村委員】  髙村です。よろしくお願いします。

【千原研究開発戦略官】  常松俊秀委員でございます。

【常松委員】  常松です。よろしくお願いします。

【千原研究開発戦略官】  東嶋和子委員でございます。

【東嶋委員】  よろしくお願いします。

【千原研究開発戦略官】  平山英夫委員でございます。

【平山委員】  よろしくお願いします。

【千原研究開発戦略官】  堀池寛委員でございます。

【堀池委員】  堀池でございます。

【千原研究開発戦略官】  松田慎三郎委員でございます。

【松田委員】  松田です。よろしくお願いいたします。

【千原研究開発戦略官】  吉田直亮委員でございます。

【吉田委員】  吉田です。どうぞよろしくお願いします。

【千原研究開発戦略官】  科学官として、吉田善章様。今日はご欠席でございます。

 それから学術調査官として、山田弘司調査官でございます。

【山田調査官】  よろしくお願いいたします。

【千原研究開発戦略官】  ありがとうございます。

 次に、本作業部会の主査についてご報告をさせていただきます。作業部会の主査につきましては、お手元の資料1-2でございます。原子力分野の研究開発に関する委員会運営規則がございますけれども、これに基づきまして、原子力分野の研究開発に関する委員会の主査の田中東大教授が指名をさせていただくということになってございます。既に本島委員に指名されておりますので、ご紹介を申し上げます。

 それで、ここからの議事は、本島委員にお願いをしたいと思っております。よろしくお願いいたします。

【本島主査】  今、千原戦略官からご紹介いただきました本島です。どうぞよろしくお願いいたします。

 当作業部会、今期の第1回目でございますが、お手元の資料にありますように、平成19年にはITER計画、幅広いアプローチ活動をはじめとする我が国の核融合研究の推進方策について、そして昨年、平成20年には核融合研究の推進に必要な人材の育成・確保、重要な報告書を出していることに象徴されるとおり、今後の我が国の核融合研究について、大変重要な審議をしてきました。今期につきましても、これから議事のご紹介等をまずさせていただきますけれども、ここで決まったことは、文部科学省の施策、国の施策としても大変重要な意味を持ってまいりますので、どうぞよろしくご審議のほどお願いいたします。

 初めに、まず主査代理を指名させていただきたますが、先ほど戦略官から紹介があったとおり、原子力分野の研究開発に関する委員会の運営規則により、あらかじめ主査代理を指名することになっております。主査代理は平山先生にお願いしたと思いますので、平山先生、どうぞよろしくお願いいたします。

【平山主査代理】  よろしくお願いします。

【本島主査】  では、議事に関することをお諮りしたいと思います。議事次第にもありますように、本日は、新任の委員の先生もいらっしゃいますので、核融合研究作業部会について必要なところをまずご紹介いただきます。そして、ITER/BA活動の進展を踏まえての核融合研究の推進を中心として、論点整理等に向けてまずはいろいろなご意見を伺いたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは早速ですが、事務局から配付資料の確認をお願いできますでしょうか。

【山本核融合科学専門官】  お手元の議事次第の真ん中より下、4.配付資料というのがございます。それに従いまして、資料の確認をさせていただきます。

 今、既にごらんいただきましたけれども、資料1-1、科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会原子力分野の研究開発に関する委員会核融合研究作業部会の設置についてという2枚紙でございます。

 1-2が同じく、若干省略しますが、原子力分野の研究開発に関する委員会の運営規則でございます。

 1-3、原子力分野の研究開発に関する委員会核融合研究作業部会の運営規則でございます。

 資料2といたしまして、1枚紙ですが、今後の検討課題(前期からの申し送り事項)でございます。

 参考資料1と2は冊子でございますので番号は振ってございませんが、参考資料1が、ITER計画、幅広いアプローチ活動をはじめとする我が国の核融合研究の推進方策について。

 参考資料2が、核融合研究の推進に必要な人材の育成・確保について。当作業部会でおまとめいただいたものでございます。

 参考資料3が同じく、「核融合研究の推進に必要な人材の育成・確保について」のフォローアップの概要でございます。

 参考資料4が、「核融合研究の推進に必要な人材の育成・確保について」に対する原子力機構の取り組みについて、【平成21年1月8日核融合研究作業部会(第16回)発表後の進捗状況】という紙でございます。

 参考資料5といたしまして、ITER計画等の現状と今後の見通しについて。

 参考資料6が、核融合エネルギーの実現に向けた「幅広いアプローチ活動」に関する第5回運営委員会~ 日・欧共同プレスリリース~でございます。

 最後に参考資料7、第4回ITER理事会の開催についてという資料でございます。

 たくさんございますが、もし漏れなどがございましたら、事務局にお申しつけいただきたいと思います。

 以上でございます。

【本島主査】  どうもありがとうございました。

 それでは、資料の確認をしていただいたと思いますので、本日ご出席をいただいている櫻井審議官にごあいさつをお願いできますでしょうか。

【櫻井審議官】  本日はお忙しいところ、新しい委員の方々も含めましてご参集いただきまして、大変ありがとうございます。もとより日ごろからいろいろな場面で大所高所からのご指導、ご示唆いただいているということでございます。今後ともにそういう機会が増えてございますが、今日はそういうことも踏まえつつ、この場での議論ということかと思います。

 ご案内のとおり、今、千原からもお話がありましたが、今年の2月から科学技術・学術審議会が第5期目に入っているということでございます。核融合という面で見ましても、ITER・BAということで、先月、青森の六ヶ所村で第5回目のBA運営委員会が開催され、また、今月の17、18日にはITERの4回目の理事会を水戸でやるということで、いろいろなものが地に足を着けて動きつつある状況にあるのではないかと思っております。

 ただ、この技術、先行きを見たときにチャレンジングな面も多うございます。そういう中で、実施主体であるところの原子力機構という面で見ますれば、21年度からの中期目標、中期計画の議論が今、足元で起こってございます。この中にどういうものを反映し、実施主体としてやっていくかということ。それから、原子力委員会では次の政策大綱という形で議論が始まるやに漏れ聞いているところでございます。この中でも、原子力、この中での核融合分野の位置づけというものがまた議論されるということがございまして、かかる観点にかんがみますれば、今回の作業部会というのは非常に重要な位置づけにある議論の場ということで、私ども、政策部隊としても認識しているところでございます。

 いずれにしましても、このITER計画とか、幅広いアプローチ活動というものを踏まえた形での今後の総合的な融合の研究開発の推進というものにつきまして、この場におきまして、本島先生、核融合研の所長を終えられてほっとしているところで、また座長ということでいろいろとお力添えいただきますが、先生をはじめとしまして、皆様方のご支援、ご示唆、ご協力を賜りまして、実りある政策議論ができますことをお願いしまして、また、もとより忌憚のない意見の交換会ということで、ご遠慮なくご発言していただくことをお願いいたしまして、私の挨拶とさせていただきます。

【本島主査】  櫻井審議官、どうもありがとうございました。この第5期第1回の作業部会のキックオフとしての重要なご発言をいただいたと思います。当方が責任を果たしてほっとしていることは事実でございます。

 それでは、議事に入りたいと思いますが、本作業部会の概要をご確認いただくという意味で、事務局から説明をお願いいたします。

【山本核融合科学専門官】  それでは、資料1-1をご覧いただきたいと思います。「核融合研究作業部会の設置について」という、平成19年2月に、作業部会の親委員会になります、先ほど来申し上げております原子力分野の研究開発に関する委員会で了承いただいたものでございます。この作業部会、既に当初からご参加いただいている先生方が多くございますが、いま一度、この設置の趣旨等を確認していただくという意味でご説明させていただきたいと思います。

 「設置の趣旨」と最初に書いてございます。

 ITER計画の本格化や幅広いアプローチ活動の始動等により、核融合研究が新たなフェーズに入ったことに伴い、今後、我が国としてどのようにITER計画等の国際共同研究に取り組むのかが重要な課題となっている。

 また、平成15年1月の学術分科会基本問題特別委員会核融合研究ワーキンググループによる「今後の我が国の核融合研究の在り方について(報告)」で示された核融合研究の重点化等についても、これまでの進捗状況を確認した上で、今後の進め方について検討する必要がある。

 このため、我が国における核融合研究に関する新たな展開について、調査審議を行う作業部会を設置するものである。

 これが設置の趣旨となってございます。

 「主な検討課題」として、ここに3つございます。これは現時点においても重要な課題と考えてよろしいかと思いますが、「ITER計画に関する国内における推進体制の構築等について」、「核融合研究の重点化等について」、「その他、核融合研究に関する諸課題について」ということが、一応の目安でございますけれども、主な検討課題として挙げられてございます。

 「設置形態」です。これは、ITERを踏まえた今後の核融合研究について検討することから、原子力分野の研究開発の推進に関する重要事項について審議をする、この原子力分野の研究開発に関する委員会のもとに設置するという設置形態をとっております。

 それから、「留意事項」がございます。この作業部会の調査審議については、大学等における学術研究についても重要な検討課題となるということがございます。これは当然のことでございます。学術分科会学術研究推進部会と十分な連携・協力を図ることに留意するということでございます。

 これはこれまで具体的に何をしてきたかということですけれども、現在はこの学術研究推進部会というのはなくなっておりまして、研究環境基盤部会というものになっております。そこに今日、参考資料として報告書を2つまとめていただいておりますけれども、そういったものを報告する、あるいはそこでご議論をいただくというようなことを具体的にやっております。この「十分な連携・協力」というのは、学術分科会にも当作業部会の動きをご報告し、いろいろご意見を賜るということをしてございます。

 「構成員」、「庶務」については省略させていただきます。

 作業部会の位置づけといいますか、どういうものであるかということにつきまして、簡単でございますが、以上でございます。

【本島主査】  どうもありがとうございました。

 確認の意味もありますので、何かご質問、または、今後の議論の方向性に関することでご意見等ありますでしょうか。

 「主な検討課題」としては、その他の諸課題も入れて3点、ITERに関すること、研究の重点化です。

 それから、「留意事項」につきましては、特に大学の先生方にとっては大事なポイントになりますから、十分な連携・協力を図ることについても、重要な点としてテイクノートを今後もしていただきたいし、いきたいと思っております。また、ここの設置の基本方針には常に立ち返り、さかのぼりながら議論を進めさせていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 どうぞ、香山先生。

【香山委員】  すいません、1点確認したいんですが、経緯はよく忘れたんですが、「設置の趣旨」のところで、ITER計画の本格化と幅広いアプローチ活動の始動と2つ書かれているんですけれども、検討課題のところでBA活動に関することが書いていないですね。これ、どういう経緯が入っていなかったのかというのをはっきり覚えていないんですけれども、この中ではどういうふうにとらえるか、BA活動というのはどこに入っていると見るんでしょうか。何か議論があったような記憶はうっすらあるんですけれども、どうしてなのかなと。

【山本核融合科学専門官】  その当時いた者が事務方におりませんのではっきりしませんけれども、これは想像の域を出ませんが、2ポツの(1)に「ITER計画に関する」と書いてありますが、ITERの中に包含されていると読むのが自然かなと思っております。

 特にITER計画と幅広いアプローチ活動を分けて考えるということではなくて、おそらくそういうことだろうと思います。

【本島主査】  私もそのように理解しておりましたし、この後、香山先生から炉工学のことについてご発言あるかと思いますが、それを念頭に置いて指摘されたものと思います。

 ITERの生き字引とも言える常松委員、何かありますでしょうか。

【常松委員】  「ITER/BA」といつもセットにしておいたほうが多分無難なんだと思うんですけれども、お互いでどうしても片っぽうにしか特筆せねばならないときはそれを書くというやり方のほうが、今後……。そうでないと、ITERとBAのそれぞれに似たようなことを書くと多分長ったらしくなると思うので。基本的には、「ITER」という場合には当方がやっている、日本がやっている部分じゃなくて、ITER全部です。全世界でやっている部分とBA全部ということでセットにしていただいたほうがよろしいのかと思いますが。

【本島主査】  ほかにございますでしょうか。

 それでは、議事を進めさせていただきたいと思います。2番目、ITER/BA活動の進展を踏まえた核融合研究の推進について、お願いしたいと思います。

 この議題ですが、今後の核融合研究を推進していくに当たっての検討事項、その考え方について、忌憚のない意見交換をさせていただきたいと思っております。

 そのご意見を伺う前に、前期までの本部会で検討を行ってきました、先ほどもちょっと申しましたが、「核融合研究の推進に必要な人材の育成・確保について」のフォローアップされたポイントについて、4つの項目に分類して、資料2に――これは大変な重要な紙になると私も認識しておりますけれども――ありますから、ご覧いただきたいと思います。この4点について、そして、もし足りない点のご指摘があれば、その点についてもご意見を伺いたいと思います。

 その審議を具体的に進めさせていただく前に、参考資料2の核融合研究の推進に必要な人材の育成・確保について、参考資料3の「核融合研究の推進に必要な人材の育成・確保について」(平成20年7月)のフォローアップ概要、参考資料4の「核融合研究に必要な人材の育成・確保について」に対する原子力機構の取組みについてを、事務局からまず簡単にご説明していただいて、委員の方に再確認していただこうと思います。

 よろしくお願いします。

【千原研究開発戦略官】  承りました。

 今、主査からお話のあった点、先生方ご高承のことも繰り返しになるかと思いますが、前期から時間もたっておりますので、思い出していただくために、また、新しく委員になっていただいた先生方もいらっしゃいますので、事務局から簡単にご説明させていただきます。

 時系列的にご説明させていただくために、最初に2つある冊子のうちの1つ、人材の育成・確保についてのほうでございます。これが、前期のこの部会で大変な作業をしていただき、ご議論いただき、まとめていただいた報告書でございます。

 これの一番最後のページをおめくりいただけますでしょうか。カラー刷りで、この報告書の概要が入ってございます。22ページでございます。この報告書については、時間もございますので詳しくはご説明申し上げませんけれども、第1章、第2章、第3章ということで、核融合研究の推進と人材育成と――人材育成にポイントを当ててご議論いただきました。現状の分析ということが2章に書かれておりまして、基本的な課題、ITER計画・BA活動を中心とした中長期的な課題、また、それの喫緊の課題、それぞれについて課題が何があるかというご議論をまとめていただきまして、その下の色刷りのところですが、第3章で、それぞれの現状の分析と課題に対して今どういうことをしなければならないかということを、それぞれ、基本的な課題に対する施策、中長期的な課題に対する施策、喫緊の課題に対する施策ということでまとめていただきました。

 ちょっと字が細かくて恐縮ですが、グリーンのところでございます。例えば、一番最初は長期ビジョンの提示が大事だということで、それについては名あて人が最後に括弧で書いてありまして、長期ビジョン(技術戦略ロードマップ)の提示については、国、コミュニティがこれを宿題の名あて人として受け取るというか、実際にやっていくべきだと、そのような形でまとめていただいたものでございます。

 これをまとめていただいた後に、それぞれ宿題を受け取った者が現在どういうことになっているかというフォローアップを行いましょうということで、参考資料3でございます。関係機関の方々にご出席いただいて、この部会で2回かけてフォローアップをさせていただきました。この参考資料3の1ポツの「趣旨」のところでございますけれども、そのような報告を受けて、この施策について今後具体的に取り組むべき担い手を明記したと。今、宿題の受け手と私申しましたが、担い手を明記したと。それぞれの担い手の方々から、問題点や課題は何か、現状の認識の共有、あるいは、現在どういう状況になっているかというのをヒアリングさせていただきまして、アンダーラインのところですが、ここで指摘された意見、論点については、21年2月からの、今期、第5期の核融合作業部会においても引き続き議論されるべきことというふうになってございます。

 ざっと見ながらやらせていただきますけれども、4ポツのところにありますように、コミュニティから、あるいはロードマップをつくっていただいた岡野先生から、あるいは、日本原子力研究開発機構、核融合研究所、産業界と、それぞれの方から現状その他をご報告いただきまして、議論していただいたところでございます。

 例えば「(1)コミュニティ」ということでは、東京大学の小川先生からご発表いただきまして、教育研究基盤を活性化させることの重要性とか、学生にとってはその出口を示すことが重要であると。また、原型炉を対象とした次世代を担う人材の育成の重要性、学生の勉学継続の動機づけとなるキャリアパスの確立の重要性と、そういったご意見を発表していただいております。

 ページを振っていなくて大変恐縮ですが、1枚めくってください。そういった発表に対してそれぞれご意見がありまして、最初のほうでは、例えば研究室の中にとどまった教育を受けるよりも、外に出ていろいろな人に触れるほうが学生のモチベーションも上がるというご意見。あるいは、核融合研では、書いてございますような大学と連携して研究を今実施しておりますというようなご指摘。また、コミュニティということで、これは具体的にだれを指すかというのは多義があるけれども、コミュニティが課題を解決するための具体的アクションを起こすことが期待されているんだというご指摘。また、コミュニティみずからが行動するに当たっては、原子力機構、核融合研究所のサポートが非常に大事だというご指摘もいただいております。

 また、「(2)ロードマップ」ということで、これは文部科学省から核融合エネルギーフォーラムに、一つのケーススタディーとして原型炉へ向けたロードマップをつくってくださいとお願いしたことを受けて、ロードマップをつくっていただいた主査の岡野先生からご意見をいただきました。このご発表では、原型炉に向けた研究のための人材の採用をすぐ開始すべきであるというご指摘、また、その研究開発の実施に向けて、その予算措置もしっかりとっていくべきである。あるいは、発表の資料にあったんですが、原型炉の建設体制に向けてキーポイントとなる総合調整会社の基盤をつくっていくべきだというご指摘もいただきまして、ここにありますように、これに基づいてご議論がありました。

 個人的にこの議論の中で1つだけ例示させていただきますと、一番最後の白丸のところで、今、第3段階という状況で始まっているので、次に第4段階の議論をスタートさせたい、国の原型炉への承認を早く宣言していただくことが重要だというご指摘もいただいてございます。

 (3)では、日本原子力研究開発機構のほうから今実施していただいている取り組みをご説明いただきまして、原型炉工学研究開発に対する公募共同研究とか、ブローダーアプローチ活動の連携協力を開始したというご説明。

 次のページに行っていただきますけれども、2ポツでございます。ITER及びJT-60SAの研究プランの検討体制を、コミュニティと言ってよろしいでしょうか、核融合エネルギーフォーラムと核融合ネットワークと合同で今構築していますというご紹介。また、原子力機構が結んでいるIEA協定のもとでの協力に大学の先生方、研究者が参画できるよう、今、核融合研との間で枠組みの構築を協議していますというご説明。5ポツに飛びますけれども、ITER機構への客員研究員の派遣制度について核融合研と検討しておりますというご紹介がございました。

 ちょっと間が入って申しわけございませんが、この原子力機構の取り組みについて、その後、フォローアップの資料をいただいてございまして、それが参考資料4でございます。これは、去年の末から今年の年初にかけての状況でございましたけれども、今回、その後の取り組みの進捗状況ということで、A4横ですが、参考資料4ということで、今ご紹介申し上げたような「主要な取り組み」が左から2段目にありますけれども、それに対して、「現状」、「今後の予定」ということで、さらに引き続きフォローアップしていただいておりまして、ここは詳しくはご紹介いたしませんけれども、さらにこういったことについて、今、原子力機構のほうで鋭意尽力していただいていると、そういうフォローアップの紙でございます。

 もとに戻らせていただきまして、(4)でございます。核融合科学研究所のほうからも、1ポツでは炉工学について、双方向型の共同研究を核融合研究所でやっていただいておりますけれども、その形態に近いネットワーク型の共同研究体制を構築するというお話。また、2ポツですが、核融合科学人材育成プログラムというのを作成されているというお話。3ポツで、ITER/BA活動への1年以内の短期の参画について研究者派遣の枠組みを確立したいというお話。あるいは、4ポツ、LHDの共同利用・共同研究のさらなる活用というお話をいただいてございます。

 1枚めくっていただきまして、こういったご紹介に対して、下から2つ目の白丸、アンダーラインのところでございます。核融合研には人材交流のバッファになってほしいと。そういう機能を通じて、大学を含めた連合体のマネジメントを期待したいというご意見。あるいは、その下のアンダーラインでございますけれども、産業界とともに大学から実業に向けての人材の養成をどうするかということを考えていくことが必要だといったご意見をいただいてございます。

 最後に、(5)でございます。産業界からということで、日本原子力産業協会様のほうから近藤先生にご出席いただきまして、1ポツでは、こういう核融合野分野では、機械工学をはじめとした工学系の技術の確保育成が急務だというご指摘。あと、産学官によるロードマップ評価委員会みたいなものを設けて、毎年1年間の研究実績を評価する仕組みを設けてはどうかというようなこと。あるいは3ポツ、EUで見られるようなフレームワークプログラムといった、複数年の計画が導入されたほうが、その産業界にとっては長期にわたる開発をやっていくときには非常に助かるというご指摘をいただいております。

 これに対しては、そこのアンダーラインのところでございますけれども、原型炉に向けた実施機関を早く決めないといけないというご指摘。あるいは、研究開発を、ちゃんとした研究開発機関あるいはメーカーが参加してやらないと、ロードマップで議論したようなことはなかなか難しいというご指摘をいただいています。また、核融合を国益としてどのように推進するかをよく考える必要があると。原型炉を見込んだキーパーソンを育てる仕組みが大事であると。産業界も、ITER機構への人材派遣に関していろいろ危惧をするだけではなくて、ぜひ解決の具体的提案をいただければという話。

 最後のアンダーラインのところでは、炉工学の双方向の新しい企画をつくるときに、そのBA活動を活用して、JAEA、大学、核融合研の協力体制を構築することがかなり重要だと。それに対しても、シンボリックな意味でも非常に大事だというご指摘をいただいてございます。

 ちょっと長くなって恐縮でございますが、こういったご議論のポイントとなるところを、このたび、前期からの申し送り事項ということで、資料2の1枚紙でございますけれども、事務方としてご用意させていただきました。ここに4つございますように、また主査からご紹介いただきましたように、原型炉に向けた戦略的人材育成について、産業界との連携について、炉工学研究の推進について、長期的ビジョン(技術戦略、ロードマップ)について。そういったところは引き続き今期においてもご議論いただきまして、今後、文科省として政策を立てていく上での重要なご示唆、ご指導と受けとめたいと思ってございます。

 簡単でございますが、以上でございます。

【本島主査】   千原戦略官、どうもありがとうございました。

 駆け足での説明をお願いいたしましたが、この後、1時間超ありますので、先生方には、今後の議論の中でも再確認をしながら議論を進めていただきたいと思います。

 今のご説明に対して、特に何かご質問とかご指摘ありますでしょうか。

 論点整理として、この参考資料3をまとめたものが資料2であると。参考資料3につきましては、ポイントとしてまとめてあるわけですが、それぞれお名前が出ておりますけれども、そのお名前の出ている方にはその趣旨の確認はできているわけですね。

【千原研究開発戦略官】  はい。

【本島主査】  そういうことでございます。いかがでしょうか。

 もちろん、時間がたって内容が進んだり、変更が必要になったりというところはあると思います。フォローアップされたものとかですね。いかがでしょうか。

 髙村先生。

【髙村委員】  後ほど問題になるのかもしれませんけれども、今期の検討課題として、先ほどの人材育成等についてを中心にということで、それを資料2にまとめられましたと思うんです。今期の重要課題であるということはよく認識させていただけるんですけれども、何でもかんでもということにはならないと思うんですが、これ以外には……。というのは、ちょっと危惧するのは、ITER計画そのものの動向とか、デザインレビューとかをやられていますよね。その後のフォローアップみたいな、その辺のところがどうなっていくのかなといのがちょっと心配な面があるんです。その点は特に取り上げなくてもよろしいのかというのが質問です。

【本島主査】  今の点は、大変重要な点ですし、核融合エネルギーフォーラムとの関連も出てまいりましたので、戦略官から。

【千原研究開発戦略官】  資料2は前期からの申し送り事項ですので、ここについても当然ご議論をいただくんですが、今、先生からあったように、別にこれに限られるわけではないと思っております。本日よきご議論をいただいて、これ以外にも「こういう点は」と――まさに今ご指導あった、ITER計画の実際のレビューが進んでいて、その後のフォローアップとかですね、そのことは、例えば今後、来週に理事会がございますので、そこでの議論がどうであるかとか、そういうことはこういう部会を開催するたびに事務局のほうからご紹介させていただいて、先生方にご指摘いただこうと思っております。それ以外でも、先生方のご議論において、これはやはり項目として今期しっかり議論すべきだというご指摘をいただければ、それはもちろん、先生方、主査のご判断かとは思いますけれども、事務局としては全く異存ございません。むしろありがたいと思っております。

【本島主査】  髙村先生、よろしいでしょうか。

【髙村委員】  はい。

【本島主査】  タイムスケジュールが比較ロングタームであると言いましても、10年単位で20年か30年先というところですから、ある程度階層化といいますか、分けて進めていく必要があるだろうと思います。そういうことでよろしいでしょうか。

【髙村委員】  はい、結構です。

【本島主査】  じゃ、平山先生。

【平山委員】  参考資料4というのはどういう扱いになるんでしょうか。今日少しご報告があるのでしょうか。それとも、これまでのということで……。多分、今ご報告いただいた内容とその中身にも絡んでいる話なので、少しご紹介していただいたほうがいいんじゃないかなという気がしたんですけれども。

【千原研究開発戦略官】  かしこまりました。そうしましたら、今お時間をいただいてよろしゅうございますでしょうか。

【本島主査】  そうですね。

【千原研究開発戦略官】  もしつけ加えるところがあれば、松田委員、常松委員からもご発言をいただければと思います。

【山本核融合科学専門官】  参考資料4でございます。今回お配りしている参考資料3の中で、比較的進捗があったということで、原子力機構にお願いしましてこの資料をつくっていただいたんです。今回は説明ということまでは考えておりませんでしたので、事務局で聞いている範囲のことをお話しさせていただきます。

 まず1枚目ですが、「施策」、【研究者・技術者の拡充】というところで、幾つか重要な取り組みというのがあります。主なところを申し上げますと、まず1つ目の、原型炉工学R&D及びIFMIF/EVEDAに関する共同研究の公募ということで、これは核融合エネルギーフォーラム、それからネットワークを通じて共同研究の公募の案内を発信したということでございます。課題選択を合同作業会で了承したという手続を踏んだ上で、平成21年度に、原型炉工学のR&Dについては31課題、IFMIF/EVEDAについては4課題が選択されたということでございます。

 もちろん、この中の採択された方を見ますと、ほとんどは大学の先生方ということで、そういう意味での連携といいますか、大学の先生がこういうところに参加しやすい仕組みづくりに一役買っているのではないかと思われます。

 「今後の予定等」についても、継続していくという方針になってございます。

 それから、BA連携協力は、今年の3月にオープンセミナーを六ヶ所で開催したというのが現状ですが、セミナーに加えて、さらに他の形態の協力も検討するという方向で検討中ということでございます。

 それから、4つ目のところでございます。大学等の研究者が、原子力機構が有する機関間の国際協定に核融合研を通して参画できるように、原子力機構と核融合研の間の新しい研究協力の枠組みを構築ということでありました。これは、1月の段階ではどうなっていたかと申しますと、今後、核融合研と具体的な進め方を議論することになっていたんですが、ここにございますように、議論が開始されているということでございます。具体的には、4月末にこの問題に関する全体的な議論を行ったと伺っております。先週にも事務部門も含めて打ち合わせを進めているということで、これも進展があるということでございます。

 2枚目でございます。ここでも幾つか書いてございます。上の3つは継続ということで、これもいい方向に継続して進んでいるということであります。3つ目の、例えばITER機構の職員公募に関する情報提供のための登録制度ということで、これはウェブからこういう職員募集、最近かなり頻繁に行われてきておりますので、それについての情報がある都度、メールアドレスを登録していただいた方にその情報を送るというものであります。1月のご報告のときにはこの数字が91名でございましたけれども、157に登録者数が増えたということであります。

 それから、3つ目の項目の、【産業界・大学等のITER計画・BA活動への参画】ということで、また核融合研との関係でありますけれども、2つ目の項目、ITER機構への客員研究員の派遣について、原子力機構と核融合研との間で検討を行うということでございまして、これについても、1月の段階では議論することを検討する、今後やっていくという話だったんですが、これも既に始められているということでございます。今後の方向としては、何らかの取り決めを核融合研と締結したいということでございます。まだこうなりましたという結果ではないんですけれども、着実に検討を進められているということでございます。

 あまり十分な説明ではございませんけれども、もし補足がございましたらお願いいたします。

【本島主査】  それでは、それぞれのところで特に補足されることはありますでしょうか。JAEA、核融合研、大学からご発言いただけますでしょうか。では、香山先生から。

【香山委員】  これは私が言うべきことかどうかあれですが、この資料の一番上の、原型炉のための共同研究の公募のところで、これは当然、目的志向の公募研究ですので、目的を意識した応募がいっぱいあったわけですけれども、この合同作業会で、かなり込み入った、掘り下げた議論をやりました。例えば対象の絞り込みとか目的の明確化とか。その中での新規性の確認をかなり厳しくやって、非常にいい結果が出たと認識しています。関係者の努力に敬意を表したいと思います。

【本島主査】  どうもありがとうございました。

 松田委員、お願いします。

【松田委員】  ブローダーアプローチ活動のIFMIF/EVEDA事業の人の募集ですが、つい昨日か、任期付きで5名の方を公募しているというのがインターネットに出ておりますので、ちょっとこの表には見当たらないんですが、そちらのほうも具体的に走っております。

【本島主査】  核融合研のほうから何かありますか。今説明があった範囲で、補足されることはありますか。

【小森委員】  特にありませんが、原子力開発機構さんと幾つか議論を進めているという状況で、なるべく早く結論を出したいと思っています。

 全体的に言いますと、包括的な協定を結ぶという方向で今検討しているところです。

【本島主査】  ありがとうございました。

 平山先生、今の段階の議論としてはよろしいでしょうか。

【平山委員】  はい。

【本島主査】  では、どうもありがとうございました。

 それでは、この資料2の各項目について、1時間ぐらいかけて意見交換をお願いしたいと思います。ここまでの議論の展開で、この順番でさせていただいてよろしいでしょうか。

 どうぞ、山田調査官。

【山田調査官】  個別のことに入る前に、髙村先生の言葉を引き取って、事務局の一員として考えを述べさせていただきます。

 ITER/BAに関してはもちろん大事なことで、だからこそ実施主体である原研と、吉田先生がITER・BA技術推進委員会という形で、非常に短期間でのいろいろな作業を非常に努力されているということで、もちろんそれは大事なので、ここで議論していただくことはしっかりしていただきたいと思いますけれども、一方、前期の報告書からの今後の検討課題ということで、どちらかというと中長期的な議論をしないといけないということがあって、これについて議論する場がおそらくここしかないというところなんです。

 櫻井審議官からもご指摘がありましたけれども、ちょうどここ一、二年で、科学技術基本計画、原子力政策大綱の見直し、あと、JAEAでの中期目標、中期計画の見直しが22年度に始まるとおっしゃっていましたけれども、大学も、大学共同利用機関も平成22年度から第2期の中期計画が始まるということで、そういった中長期的な議論をしないといけない。

 あと、共同利用・共同研究に関しては、学術分科会でこの2年間非常に熱心な議論をされて、共同利用・共同研究に対する新しいフレームワークが打ち出されているわけです。そういったところを引き取って、櫻井審議官は格好よくチャレンジングとおっしゃいましたけれども、研究者、技術者のいろいろな努力を国策とどうマッチさせていくかが非常に大事だということで、これは非常に茫漠としたイメージですけれども、1年程度の議論を踏まえて、そういったイシューのマッピングといいますか、スケジューリングを整理していければなというのが、プロダクトとしては期待するところです。

【本島主査】  最後におっしゃった大事な言葉、イシューのマッピングというのは、別の言葉で言えば、クリティカルパスを評価して定めるということでよろしいでしょうか。。順位づけも場合によってはあり得るという意味も含んでいるのでしょうか。

【山田調査官】  はい。それと、ここまで言っていいかどうか躊躇するところはありますけれども、できれば担い手まで明らかにしていければなと考えています。

【本島主査】  それはもちろん、個人を特定するということではなくて、集団としてという意味ですね。

【山田調査官】  はい。

【本島主査】  髙村先生、今の調査官の意見に対して何かありますか。

【髙村委員】  あまりありませんけれども、先ほど千原戦略官も言われましたが、短期的な観点についても時々報告をしていただくと。順調に進んでいる場合には問題ないんですけれども、かなりクリティカルな議論もされていると聞いていますので、そういうところは現状認識としてこういう場にも出していただいたほうがいいんではないかという認識です。

【本島主査】   吉田先生、髙村先生のご指摘に対していかがでしょうか。

【吉田委員】  髙村先生の関連で。前年度も、ITER・BA技術推進委員会の議論の状況については適時報告させていただいておりました。

 本年度も議事の中に入れていただいて、進捗状況、場合によってはご意見をお伺いするということも出てくるのではないかと思います。非常に大事な議論が続くんじゃないかと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【本島主査】  どうぞよろしくお願いいたします。

 香山先生。

【香山委員】  すいません。議論の前に1つ。

 この資料2の書き方というか、表現のところなんですが、「産業界との連携について」。原型炉の製作技術の継承体制が最重要課題であるということは間違いない認識で、これでいいと思うんですが、ちょっと危惧するのは、「継承体制について」と書くと、何となくある程度基盤があって今の状態を維持すればいいんだという印象になりかねないかなという気もします。議論の中身は、最低限現状を維持するための体制は要ると。だけど、同時に核融合の技術はどんどん進んでいるわけで、そういう意味では、そういう技術を体系化してきちんと産業界が動けるような体制化への努力も要るという議論があったと思うんです。

 ですから、多分、例えば「継承プラス体系化へ向けた体制について」とかいう表現にしていただけないのかなという、希望というか、コメントなんですが。

【本島主査】  もう一回お願いします。

【香山委員】  いや、むしろ産業界から適切な言葉をいただければいいと思うんですが。

【石塚委員】  すぐ適切な言葉が出るわけじゃないんですが、香山先生が今おっしゃられたので、ちょっと申し上げます。この非常に長い研究開発の段階の中で、技術を開発し、それをどこに蓄積し、どこにこれをまた継承していくかという、非常に長いプログラムだと思います。

 その中で、この体制といっても、今この短い期間でどこへ持っていけばいいというだけの話ではなくて、長いスパンの中でそれを考えていかなきゃならない話だと思います。

 言うには優しいんですけれども、我が国における原子力関係の技術開発と、それの産業化が必ずしもうまくいってこなかったんだと考えます。それは、炉の場合でもあるし、ウラン濃縮の場合でもあるし、再処理の場合でも、必ずしも技術の蓄積と継承がうまくいってこなかったんじゃないかということだと思うんです。それはこの研究会と同じ傘の下にある、原子力基盤強化作業部会というところで、本質的な議論をされているところなんです。これは、これまでの技術の中でどこがうまくいかなかったのか、どうしてそうしなかったのかということを、原点に返って議論をされているわけです。過去の事例をしっかりと取り入れて、その後やる核融合の中ではどうしていくかということを考えるべきです。

 つまり、私が申し上げたいのは、せっかく同じ傘の中でこれをやっているわけですので、どういうふうにそれを生かすかはちょっと考えていただきたいんです。過去の事例をみても、国が行っている技術開発の産業化をどうしていくか、実用化にどう持っていくかということが、なかなか難しいステップなんです。まして核融合は長期にわたる非常に難しいステップですので、過去のことをよく研究しながら、調整しながらやっていただきたいという感じがいたします。ちょっと言葉の話じゃなくて申しわけないんですが、それをちょっと今日は申し上げたかったんです。

【本島主査】  重要なご指摘だと思います。もちろん原型炉の製作技術というのは、まだ存在していないものもあるわけですから。

【香山委員】  そうですね。

【本島主査】  開発体制をいかに継承していくかというふうに読みかえていただいたらどうでしょうか。私もそういうつもりで読んでおりました。

 専門家がどんどん議論していますが、ここらあたりでちょっとブレーキをかけていただいたほうがいいんのではないかと思います。社会との関係というのは切り離して議論できないものですから、今後の検討課題について、今、石塚委員にも産業界はどうなのですかということをお聞きしたいと思っていたのですが、丁度ご発言もありましたので。

 東嶋先生、今の時点で何かご発言いただくこと、多分あると思うのですが、いかがですか。

【東嶋委員】  今までの議論とちょっと離れてしまって申しわけないんですが、前の議論のときも申し上げましたが、一般の国民にもわかるようなロードマップ、それはいつの時点でどんなところが開発し、そしてどの程度の人材が必要かというのが明確にわかるようなものをつくっていただきたいということが1つです。

 それと関連して、今もちょっと先のほうの参考資料、報道発表というのを拝見していたんです。なぜかといいますと、ここでいろいろ、人材も含めさまざまなことを議論してきたんですが、一般国民に、例えばBA活動といっても、今どんな研究者がどこに集まり、どんな研究がされつつあるのかというのはあまり知られていないものですから、それを報道する側の立場から見ますと、どこに行き、だれに取材したら一番具体的な全体像がわかるのかがいま一つわかりにくくて、ぜひそのブローダーアプローチに関して、このコミュニティの中で、広報委員会じゃないんですけれども、プレス対応的なことを考えていただきますと、私、取材する側から見て非常にやりやすいということを考えておりました。

 すいません、論点が外れてしまって申しわけないんですが。

【本島主査】  大変重要なご指摘をいただきまして、ありがとうございました。

 今の役割は、副委員長の役割なのか、調査官の役割なのか、そこはもちろん文科省が大変重要な責務を持っておられますので、そのことも念頭に置きながら、この4つの議論を進めさせていただいてよろしいでしょうか。4つの項目は強くリンクしていますから、常にフィードバックしながら議論を進めていかないといけないと思います。

 議論の進め方に関してのご意見になるんでしょうか、どうぞ。

 

【松田委員】  昨年までといいますか、課題を摘出するような議論を深めてきたわけですけれども、検討した結果が効果を持つためには、報告書をまとめて上の審議会に上がったというだけでは多分あまり効果がありません。それは最低限の必要条件だと思いますけれども。国民の一般の方々が、これは政策として認知されたなというアピアランスが必要なんだと思うんです。

 そういう意味で、こういう審議の結果をどのドキュメントに、どういうところに反映させるかというのは非常に重要なところで、しばらく議論が進んでいったら、どういうところにこういうことを書きたいんだとか、そういう議論をしていって、ストラテジックに進めていったほうがいいように思うんです。そうしないと、コミュニティの中だけで満足していて外への発信の力は弱いです。そういう点で、ちょうど先ほどの説明にありましたような原子力政策大綱とか科学技術基本計画とか、いろいろな国の大きい政策レベルの改定のタイミングがありますので、そういうところのどこにターゲットを絞って、どういうことをメッセージとして伝えたいかというのを念頭に置いて、しばらく経ったらもっとそこをシャープに絞り込んで議論していったほうが効果的じゃないかと思います。

【本島主査】  どうもありがとうございました。

 今回は1回目ですから、入り口のというと何ですが、議論をしていたのですが、出口の設定も非常に重要だというご指摘だと思います。もちろんアウトプットの出し方については、松田委員からも具体的にこういうところという指摘はまたいただけるものと思いますので、各委員からもよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、この順番で進めさせていただこうと思います。もう既に議論に入っておりますけれども、原型炉に向けた戦略的な人材育成について、少なくとも大きく見て原型炉の製作に必要なリーダーシップをとる人材の育成方策について、そしてITER/BAを活用した計画的人材育成のあり方について、先ほども、キャリアパスをしっかり確保しないと若い人のやる気を引き出せないということに象徴される指摘があったわけです。

 各項目について、自分に白羽の矢が当たりそうだという方は大体わかっておられるかと思いますが、いかがでしょうか。

 では、山田調査官、最初に発言をしてもらえますか。

【山田調査官】  ご指摘としては、特に髙村先生、吉田先生あたりから、出口がきちっと学生さんに見えていないとなかなかうまく進みませんねというのがあって、それに対しては、常松さんから、原子力機構ではなかなか人員のことで苦慮されているということと、ある程度人数としては限られていますけれども、核融合研については人事が回っているというところがあるので、小森先生がおっしゃったほうがいいと思いますが、1年間に10名とは言わないですけれども、数名の新しい回転があるわけです。それをバネにしてどう使っていくかとか、そういった観点があれば、具体的に少しは進むところがあるかなというところだと思います。

 整理できてなくて申しわけなかったですけど。

【本島主査】  いや、整理はもちろんこれからしますから、何でも忌憚のないところをお願いするつもりでした。

 大学が担う部分もありますし、JAEAが計画を立てるべき部分もありますし、政府の方針としてもありますので、その順番で少しずつご意見をお伺いしてもよろしいでしょうか。

 堀池委員、まずは大学におられる立場で。

【堀池委員】  ちょっと勝手な意見になるかもしれないんですけれども、私たちは学部を持っておりますので、一番大事なのが、髙村先生もそうだと思いますが、大学の入試の倍率です。それでまず競争して、私たちの場合では2年、3年生として上がってくる間に原子力、核融合系にどれぐらい引き込むことができて、それがほんとうにちゃんとそういうところに就職してくれるかという過程が一番大事かと思うんです。

 今結構きついのは、去年ぐらいから原子力ルネサンスで、重工業系の会社に就職が大分増えてきたのでちょっと緩和されているんですけれども、それ以前は就職が悲惨だったものですから、その意味で言うと、重電機系、重工系の研究に学生があまり来ないというのがあって、こういうところで議事録に載っちゃうとちょっとまずいんですけれども……

【堀池委員】  数値計算のテーマがあるから、数値計算は何でも応用が効きますよというようなことで学生を説得するとか、ある程度学生が興味を持てるような、高校3年生から就職まで至るような一連のコースの設定というのが1つ非常に大事かなと思うんです。

 それからもう1つは、ITER/BAを活用した計画的人材育成のあり方について、ちょっと参考になるようなことを言いますと、二、三カ月前に、高度人材育成GPの募集とかいうのが公募でございまして、それに阪大では、高速炉や、ITER関係の研究をやらせていただいていますので、外国との往来が多いものですから、そういう機会を使って異文化コミュニケーションの人材育成ができるじゃないかという提案を出したのですけれども、それが大学の中で全然理解されなかった。ITERって何ですか、核融合って何ですかというところから大学の先生の、例えば人材育成を担当される先生は、我々の場合だと文学部長を経由した副学長が担当しているわけです。そうすると、その先生に向かってそういう科学技術のプログラムがあるんですよというところから説明していくと、与えられた10分のプレゼンの時間では何も説明できないとかいうことがありまして、見事に落ちてしまったんです。

 そういうことを考えますと、これから国際的な場で活躍できるような人材を、このITERとかブローダーアプローチとか、核融合の研究を通じて育成していける素地は十分あると思うのですけれども、その辺りが僕らとしてはうまく利用できるような状態にはまだ至っていないという現実があるかなと思いました。

 以上、とりあえずそういうことで。

【本島主査】  どうもありがとうございました。

 議事録から削除する、しないは後ほど先生に確認いたしますので、まずは論点整理ですから、しっかり記録しておいてください。

 これからの議論の進め方ですが、ここまで来て、一つずつというのもなかなか難しい点があることが分かってきました。ですから、ご発言いただくときは、特にどこに重点を置いてしゃべるということを発言していただくと、ほかの委員の方の方もわかりやすくなるのではないかと思いますので、そういう発言の仕方もお願いしたいと思います。

 平山先生、今の「ITERって何ですか」ということに関しては、先生の分野では「J-PARCって何ですか」というのと一緒だと思いますが、そういうことについて、何か戦略はございますか。

【平山委員】  多分、ほかの分野でも同じだと思いますが、自分たちの分野では、自分たちのことはだれでも知っていると思っているわけです。でも、例えば大学共同利用という言葉一つとって見ても、大学人全体から見てみると、知っている人のほうがはるかに少ないわけです。我々の高エネルギー加速器研究機構という組織についても、中の人は自分たちのことはよく知られているものだと思っていますけれども、ちょっと外に出ると、ほとんど知られていない。例えば技術職員を募集しようとして、高専に行っても、ほとんど「どこですか」という。たまたま昨年度、ノーベル賞のことがあって大分世の中に名前が出たので、少しは変わりましたけれども、それ以前だと、何をやっているところなのかというのが知られていないのが現実だと思うんです。

 例えばITERは、確かに新聞とかにもいろいろ出ていて、誘致のこともあったので、知っている人も多いと思うんですけれども、多分、BAについては何のことかとわかっていない人のほうが圧倒的に多く――それは一般的な国民だけではなくて、研究者の中でもそうだと思います。BAのことを知っている人というのは、核融合以外の人だと、皆無とは言いませんけれども、多分それに近い状況じゃないでしょうか。

 そういう意味では、もうちょっといろいろ名前のこととかも考える必要があると思います。研究者はすぐに簡単に略語を使って自分たちでわかりやすい言葉をつくりますが、その内容を理解し、知ってもらうことが伴わないと、仲間うちだけでしかわからないことになっていくので、そのあたりはやはり何か工夫が必要なんじゃないかなと思います。

 前回からずっと参加していて、人材育成のいろいろな課題が議論の中で出されていること自身は非常にすばらしいし、それが実現したら非常にいいとは思うんですけれども、それと現実とのギャップが、率直に言ってかなりあり過ぎる。どうやったらそれができるのかというところでは、どこかで予算がついて、人が増えることが実現すれば良いのですが、現実そんなうまい話はないし、そこをどうつないでいくのかというときに、どうやってみんなに理解してもらうのかということを考慮してネーミングについて考える必要があるのではないでしょうか。

 こういう場とか仲間うちの議論はBAで十分だと思うんですけれども、今後のことを考えると検討する余地はあるんじゃないかなと思います。

 例えばIFMIFだって、知っている人は知っているけれども、多分、知らない人のほうが多いと思います。それが、今出されているものが、本来もともと考えているもののどこの段階までのものなのか、どこにつくるのか、このBAの中でどこまで行くのか、それがほかのところにも波及するようなことがあるのかないのかというようなところも考えておかないと、核融合はエネルギーなので当然必要だと思っているんだという前提だけでは、なかなか進まないような気がします。一つ一つの言葉のことを含めて、少し知恵を出してやっていったほうがいいんじゃないかなと思います。

【本島主査】  ありがとうございました。

 関連の意見をどんどん出していただけるものと思いますが、産業界との連携についても進めたいと思いますので、石塚委員、お願いしたいと思います。その後、炉工学について、香山先生、吉田先生、発言を期待しております。

 人材育成については、笹尾先生、学生を指導していく上で、例えばインターネットを使って学生は非常によく勉強しているということを先般お伺いしましたけれども、そういったことを含めて少しご発言いただけないでしょうか。

【笹尾委員】  ここのトップにある、原型炉に向けた戦略的人材育成とITER/BAを活用した人材育成、もう1つは、さらに少し視点を遠くに置いた、原型炉でリーダーシップをとる人材と。これらの項目というのは非常にリンクしています。これらの人材育成にとって重要な点というのは、長期的ビジョン、最後の項目にある、エネルギー政策の中での核融合の位置づけの問題と非常に絡んでいると思います。

 ごく近いところでは、現在大学に入ってきた学生、今勉強している学生が原子力に興味を持って、原子力の中でも核融合に興味を持って、そして核融合に興味を持った学生の多くは産業界で勉強したことを使えるような人材になると同時に、何人かはこの核融合の目標に沿った人材になっていく。その先ではITERやBA、あるいは、それを通して育った人たちが、DEMO炉のデザインや設計というところまで行ってほしいと思うのですが、それらの人材となるのは今いる学生なんです。

 先ほど東嶋委員、あるいは皆さんがおっしゃっていたと思うんですけれども、一般の人たちから見ると、自分の子供が原子力の分野を選択して、その中でも核融合をやっていくときに、親の目から見て、「うん、それはいいね。本当に頑張ってね」と言えるような核融合のプロジェクトが国民の前に提示されることが重要だと思います。

 それには、最後のエネルギー戦略の中の核融合の意味づけ、これは高めると書いてありますけれども、高めるよりはもう少し科学的に明確化して、今後の日本のエネルギー戦略、CO2問題、地球資源の問題を考えた上で、核融合の意味はこういうところにあると明確化することが重要。太陽光発電と核融合というのは必ずしも同じベクトルを向いているわけではありませんので、その辺も、クリーンなエネルギーという一つの言葉でくくってしまうと国民に誤解されてしまう。

 それから、あくまで核融合というのは、現在においては原子力の中に入っていますので、原子力の中での核融合の位置づけ――私はこの最後の課題が非常に重要ではないかと思っています。そういうことで、現在いる学生や若い世代にきちっと提示する。多分、この位置づけや意味づけというのも時代とともに変わってくると思います。10年前の核融合の位置づけと今の位置づけは明らかに違っている。そういうことをありうるでしょうが、現時点でもう少し何かはっきりとした形でまとめられたらいいなと思っています。その中でITER/BAやデモに活躍する人材が生まれてくるし、お母さんやお父さんたちも、子供たちが出発するときに背中を押してくれると思います。

【本島主査】  どうもありがとうございました。

【堀池委員】  すいません、もう一個さっき言い忘れたことがあって、最初なのでちょっと言わせていただきたいんです。

 こういう分野に若い人が来るために非常に大事だと思うのですが、小学校ぐらいで使える易しい本というのがないのです。知り合いがいて、話に聞いているのですけれども、小学校の先生が、課外授業みたいなので、こういうエネルギーについて勉強するというときに、例えば図書館に行って本を探される。今ですと、例えば原子力関係の易しい解説本があったりするのです。そうすると、小学校の先生は、そういうものを持っていって、児童に原子力と太陽エネルギーの関係について教えるということが行われているようです。

 そういう意味で言うと、核融合も、せめて小学校の低学年並みと高学年並みの2つのグレードの易しい入門書があっても全然不思議じゃないと思う。原子力もそうなのですけれども、そういうことでちょっと見てみると、易しい入門書というのは、原研から出ているのとか、核融合研が書いておられるのとか、髙村先生が書いておられるのがあるんですけれども、小学生向けではないです。もっと易しい本を何冊も出さないといけない、というのが最近思っているところです。

【本島主査】  どうもありがとうございました。

【松田委員】  学会に頼んで、学会に。

【堀池委員】  学会のほうがいいですか。

【本島主査】   松田委員の後を引き受けて学会長になったばかりのところですから。いや、それは大事だと思います。

 東嶋委員、何か関連してございますか。今、笹尾委員からも、子供に勧められるようなということもあったわけですが。

【東嶋委員】  どの分野でもそれは必要だと思いますが、それに加えて、先ほど来のお話を伺っていますと、平山先生のおっしゃった、まずブローダーアプローチ活動のネーミングを再考すべき、IFMIFについてもわかりやすい名前にすべきとか、つまり、原子力分野に全般に言えますけれども、言葉の使い方が非常に……。原語をそのまま使う。適切な日本語で、しかも万人にわかりやすい日本語に変えていくべきというのは賛成であります。そして、小学生向けにというのも賛成であります。

 私は、今の議論を伺っていて2点思っていましたのは、先ほど報道のことについてもちょっとお話しさせていただいたんですが、1つは、内容が難しいだけに具体的なものがイメージしにくいので、報道、例えば各新聞社、各テレビ局の科学部の人たち、あるいはこの分野に関心を持つ学生さんに説明するときに、非常に難しいわけです。それをまずとりあえずわかっていただくのは、それこそカダラッシュに行ってもらうとか、六ヶ所の新しくできた、例えば国際核融合エネルギー研究センターですか、建物ができたんでしょうか、ちょっと内容をまだ私伺っていないのでわかりませんが、こういったところに行って研究者の皆さんに会っていただく、核融合研に行く、JT-60に行くとか、専門家の皆さんで、核融合の分野の全体を素人にわかってもらうには、どんなツアーができるかというのを考えていただきますと、お金は報道する者が出すにしても、例えばこんな取材先があるよ、解説はこんな人ができるよということを教えていただいて、核融合をよく知るツアーというのがあれば、最も報道しやすく、なおかつ包括的にわかってもらえる機会ではないかと思うんです。

 私もこの分野に興味がありますが、例えば個人的に取材をするとなると、まことに……。

【本島主査】  敷居が高いのでしょうか。

【東嶋委員】  ええ。敷居が高いし、カダラッシュにも取材に行きにくい、JT-60も見に行きにくいとか、一つ一つ申し込まなければいけない。それを包括的に、モデルとしてこんな取材先があるよということを、学生さんについても、例えば面倒なので、お金がかかるので、報道陣と学生を一緒に連れていくとか、予算のことは考えていませんが、そんなことがあったらいいなというのが1つです。

 それから、私はロードマップのことを何度も申し上げていますが、1つは核融合という新しいエネルギー、この技術が実現したとき、実用化されたときの未来像は一体どうなっているんだというポンチ絵みたいなもの、例えば今、核分裂の原子力発電について、一般の人が懸念されているようなことがなくなるのかとか、核融合、太陽光、風力、バイオマスとか、どんなエネルギーのミックスがあってどんな社会になるのかという、簡単なポンチ絵でもいいので、そんなものも提示されると非常に未来が描きやすく、核融合の位置づけもわかりやすいのかなと思っております。

【本島主査】  どうもありがとうございました。大変重要なご意見をいただきました。

【笹尾委員】  今のお話及び私の先ほどの発言に絡んで1つ質問です。

 このエネルギー戦略ということについては、この親委員会の原子力分野の研究開発に関する委員会で議論されているのか、あるいは、もう少し別のところで議論されているのか、ちょっと教えていただけたらと思います。

【千原研究開発戦略官】  ここで書かせていただいたエネルギー戦略ですけれども、原子力以外のエネルギー源もございますので、全エネルギーについては、おそらく例えば経済産業省の資源エネルギー調査会みたいなところになるんだろうと思います。

 ここに書かせていただいたのは、そういう意味で、この場、あるいは親の原子力の委員会でやるというよりは、全体のエネルギー像の中で、一般論的になりますけれども、今先生方からご指摘いただいたような核融合の認知度が低いとか、そういったことがあって、やはり核融合というものの意味の明確化とか、そういったことを高めていく取り組み、あるいは、そういうのを我々のつくる長期ビジョンの中に示していくということなのかなということも念頭に置いてここに書いてございますが、実際に政府としてやるのは、繰り返しになりますけれども……。

【笹尾委員】  経産省ですか。

【千原研究開発戦略官】  私の知る限りでは、例えば資源エネルギー調査会というのがございます。

【松田委員】  ただし、せいぜい2050年までですよね。それから先まで含めて議論されている場というのはほとんどないんじゃないですか。だから多分、つくり上げていかないといけないんですよ。

【櫻井審議官】  超長期では、あれでしょう。さっき言ったエネ庁の中で超長期というのをやっていて、多分2100年……。

【松田委員】  そうですか。

【櫻井審議官】  50年から100年に向けてというのは、一部この間の2030年の……。

【吉田委員】  JAEAさんでね。原子炉230基の世界……。

【常松委員】  核融合炉32基だか38基だっけ。

【香山委員】  超長期になれば、要は、精度が悪くて何でもありですから、どんどん膨らんだ話をしてみんなが何かハッピーになるということで終わるので、今大事なのは近いところですよね。

 核融合の議論で、こういうところで私が一番感じるのは、今、資源エネルギー庁の話も出ましたけれども、そういうところでエネルギー全体を議論したときの核融合の位置づけというのは、やはり我々が認識しているよりずっと小さくて、現状に対して我々は、かなり予算は少ないし、もっと健全に発展するためにはもっと予算が要ると言っているわけです。みんな、「そうだ、そうだ」と納得しているわけです。

 多分そういうところ、東嶋さんなども出ておられると思うんですが、いろいろなところで漏れ伺う意見だと、既に多くの人は核融合の重要性を十分認識して、必要以上に予算を出しているんだという認識の人は多いと感じるんです。そうすると、まずそこの一番基本のところを変えていかないと、大きいところで直っていかないような気がするんです。そういう努力をしただろうかというと、していないような気がするんです。

 まず狭い領域で議論するのは大事だけれども、大きい、エネルギー全体の中で核融合のより強い地盤をつくるとか、現状が不足であるということを認識させる努力をしないとだめなような……。私、いろいろな人に聞くと、核融合は十分お金が来ているという意見の人が多いんですよね。いかがでしょうか。

【堀池委員】  だから、ほぼ無限の、無尽蔵のエネルギー源のコストはいくらが妥当かという議論がないということですよね。

【香山委員】  いや、だから論理でいけば、もちろん今がだめだというのはいくらでも言えるんだけれども……。

【吉田委員】  ちょっと人材育成の話をさせてください。

 人材育成、内部で研究者を育てるとか技術者を育てるという点では、日本の環境は申し分ないと思うんです。ほんとうにレベルが高いところへ来ているんですけれども、例えばITER機構の職員を募集するとか、そういうところに如実にあらわれていると思うんですが、国際的な競争の中でちゃんとリーダーシップをとれるような人の教育というか、そういう人がどんどん育っていくような環境をつくっていく必要があるんじゃないかと思うんです。これはおそらくこの分野に限らず、日本のどの分野でも国際化というのは大事だと思うんです。ですから、英語教育とかその辺は、もっと根源的な問題ではあるんですけれども、例えば核融合の分野の研究室に入れば、例えば4年生とかマスターでも留学して勉強できるよとか、ドクターコースへ行けば、フランスの何とか研究所に1年間ぐらい行ってこられるよとか、学生に希望があるような環境とか、そういうものは結構大事。

 それから、そういう長期の滞在ではなくても、いろいろなワークショップとかサマーセミナーとかに積極的に派遣する、あるいは国際会議の手伝いなどもどんどん精力的にやってもらうとか、もう少し努力が要るんじゃないかなという気がします。自分のことを考えますと、どうしても語学のことでブレーキがかかってしまいます。それは私自身が成長していなかったということもあるんですけれども、その辺を。英語のしゃべれる子はたくさんいるのはいるんですけれども、かなりの子が英語に対して、まだまだディスカッションするには不足の学力ですね、うちの学生などを見たら。そこを何とか……。

【本島主査】  どうもありがとうございます。国際性をつけさせる努力はもっと必要だということも、今のご発言にあったと思います。

 あと10時間ぐらいあれば大変おもしろい議論になると思いますが、座長に議事進行の不手際があってはいけませんので、産業界、それから炉工学のことも含めてご発言をお願いしたいと思います。

 最後に長期ビジョンの話を、既にいろいろなところが関係していますが、石塚委員から、 その後、香山委員、お願いできますか。双方向ということですから、香山委員も参加していただきたいと思います。

【石塚委員】  先ほどの原型炉製作技術の継承体制については、本島先生にきれいにまとめていただいたんですけれども、この継承体制とかを考えていくに当たって、原型炉の実施主体が決まっていない。産業界の連携だけじゃなくて、いつも議論をしている中で、全体にわたって、どうもここに中核がない。どこに技術を継承していくのか、どこにどういう人材をやっていくのかということを考えたときに、現時点においても実施主体が決まっていない。あるいは、イメージもまだあまり固まっていないということが大きな支障となっているのではないかと思うんです。

 ここの申し送り事項には明確には書いていないんですけれども、実施主体をどうするかということを考えながら、この議論をしていかなきゃならないんじゃないかと思っております。

 それからもう1つの、産業界が参画しやすい研究開発、まさに参画しやすい形を考えていただきたいし、考えていかなきゃならないんだと思うんですけれども、それもITER計画という実験段階の中で、限られた予算の中で考えていくと、その中で産業界が蓄積し、開発すべき技術はどこで、そこに集中して参画しやすいものを考えていくということだと思うんです。

 そこを今後検討していく必要があるんじゃないかなと思ったところです。

【本島主査】  技術の継承という場合に、具体的にどういう形ですればいいかというのは大変重要だと思います。物として残る部分と、おそらく人ですから、ソフト的なこと。技術の体系化ということもあると思いますので、そういうことを全体にわたってご発言いただいたと思います。

【石塚委員】   先ほど申し上げました作業部会の中では、単に紙だけではなく、人を移転していかないとならない。それから、早い段階で、実施にかかわる産業界がかかわっていかなきゃならない、産業界のほうもリスクを負わなきゃいけないといった、非常に重要な指摘がされています。ここでもこれらのことを、何らかの形で議論していかなきゃいけないと思います。

【本島主査】  ありがとうございます。

 それでは、香山先生、やはり炉工学は特に産業界との関係も強くあるわけですから、その観点を含めてお願いできますでしょうか。

【香山委員】  最初にちょっと産業界のことで。私は実は今年9月にビジネスフォーラムをやろうと計画して、いろいろ産業界の方に参加をお願いしているところなんですが、一番認識がずれているなと思ったのは、産業界の方とお話ししていると、最近ITER計画が動いたり、BA活動も少し動いているので、それなりの産業界の関係のところは少しは潤っているだろうと思いがちなんです。しかし、聞いてみると、短期的に少々黒になったところはあるとしても、ちょっとスパンを長くすると、激しい赤字の中でどうやって活動を維持するかと苦労しておられる。特に将来が見えないと、これは何度も言われているところなんですが、そういう意味で、確かに将来が見えるような格好にしないと、ほんとうに危機的な状況が続いているんだなというのは痛切に感じたということであります。

 それから、そこから今度は炉工学のほうに行きますと、炉工学が高いピークをつくるためには当然、支えが要るわけですけれども、一方、ピークをつくるというのには、脆弱なピークでないためには、当然、底辺が広がらなきゃいけない。ピークだけをつくってはいけないという警鐘はここの議論の中でもずっとあって、同時に基盤研究もやらなきゃいけないということは言われているんですけれども、理屈はそうだとしても、具体的にどんな割合でやるべきだという議論になかなかならない。

 そのために、私が先ほど申し上げましたが、エネルギー分野の中で核融合がどれぐらいのスケールで、どれぐらいのことを目標にやるのが適切と皆さんが思えるのかというあたりをなるべく明確にして、その中でベストのソリューションというか、一番いいアイデアを出すべきかなと思っています。

 そのときに視点として重要だと思っているのは、原子力の共通技術としてやるべきところがあるし、一方では、核融合として非常にスペシフィックなもので、一気にやらなきゃいけないものがある。多分我々、特にここで議論しなきゃいけないと思うのは、緊急に核融合のスペシフィックな技術として求められているものを、いかに効率よく高いピークをつくるか。しかも、それは脆弱性がないように、底辺も一緒につくりながらという非常に虫のいいことを考えると、それなりにかなり絞り込んだ議論をしていく必要があるなと思います。

 そういう意味では、今やっている双方向型の共同研究というのは非常に大事な意味を持っていて、ピークをつくることと、ピークがそれなりの安定性を持った形でぜひ今後進めていただきたいと思っていまして、小森先生にお願いするところが多いところなんですが。

【本島主査】  お願いします。

【小森委員】  双方向のお話が出ていましたけれども、まず、全体的な話として、核融合研としては、これまでLHDを中心にすべてを動かしてきました。工学的な研究も、例えば超伝導、サブクールですけれども、LHDの磁場の高いところを実現するため、いろいろ進めてきました。

 今後のことですけれども、今まで、LHDをつくった工学的な部隊は、LHDに集中はしてきたため、原型炉に向けた研究という意味では、個人的と言うと語弊がありますけれども、研究所としての戦略を持って進めてはいなかったと言えます。戦略としては、あくまでもLHDを高性能化するというところに集中していたわけです。この部分は一応、本島先生の時代で終了したという認識で、特に来年から第2期中期計画が始まりますから、核融合研としては、今後、戦略的にヘリカル型原型炉の――もちろんトクマクと共通ですが、本格的な工学研究を、戦略的に始めたいと考えています。

 特にこれまで我々が進めていた、超伝導や微小トリチウムの研究とか、そういうところを中心に、場合によっては改組して工学研究が進められる状態をまず核融合研でつくりたい。これに、核融合研以外の大学の炉工学を、双方向型で取り込んでいきたいと考えています。

 ただし、プラズマの双方向はセンターの活動を予算ごと取り込んだので、一遍に取り込むことができたわけですけれども、工学の場合はそういう状況ではないので、まず核融合研のほうが予算的にもきちっとしたものをつくって、徐々に必要なところから、もちろんコミュニティにもご相談しながら、取り込んでいき、完成させたいと考えています。

 特に今、共同利用・共同研究拠点構想が進んでいますけれども、これとすみ分けられなければいけません。この辺も考慮すると、一遍にはできないことになります。

 それから人材育成ですが、我々のところは、総合研究大学院大学(総研大)に所属しています。これまでドクターの課程しか持っていなかったんですけれども、数年前にマスターからドクターまで一貫した課程を設けました。実際に始めてみると、マスターでやめて就職したいという人がかなりいます。最初はそういう人を想定していなかったんですけれども、今はマスターでやめる人に対応した制度にしようということで、総研大でマスター修了の認定をして、就職できるようにしています。

 マスターでやめる原因ですけれども、入ってみたら考えていたのと違うとか、いろいろあるかもしれませんが、先ほどの議論は入り口の議論でしたが、問題は出口だと思います。

 たまたま持ってきたんですけれども、うちの核融合専攻の案内です。核融合専攻の場合、平成16年から19年の間に博士課程を修了した人が全部で23人います。外国人のうち5人は帰国し、多分国で就職していると思います。民間企業に6人の方が行っています。残り12人のうち、このパンフレットをつくった時点で、常勤で勤めている人が1人です。11人が非常勤です。(最近の調査では、常勤3人、非常勤6人、その他3人(求職中, 未定, 主婦)。)これはまだ若い人の話ですが、実際に35歳とかそういうところまで、非常勤で、常勤の研究者になれなかった人は、技術部に務めたり、国へ家事手伝いで帰ったりしています。

 そういう話を聞いているため、入り口の話はいいんですけれども、もうちょっと出口のほうも何とかできないものかなと思います。先ほどの山田調査官の説明にありましたが、核融合研では、助教として年間五、六人を採っています。総研大だけから採るわけにはいかず、優秀な人を全国から採っているため、12人研究者になりたい人がいても、常勤になれたのは1人とか、そういう状況になっています。

 ITER/BAが始まったので、学生が集まってくるきっかけ、入り口はあると思います。ですが、実際に入ってみたら出口がないじゃないかということになると、せっかく集まってもマスターでやめてしまうことになりかねません。人材をさらに育成する必要があるということが前の部会で決まって、核融合研、それから、双方向に参画している大学はもっと努力してくださいということになり、今、我々もそれに従って、外から見える奨学金制度とか、入学金免除制度なども、優秀な人材をたくさん集めようと、相談を始めています。しかし、ほんとうに集めて良いのかなと思うところもあります。

 ITER/BAが今一番大きいと思うんですけれども、出口、常勤をもう少し何とかしてほしいと思います。言っても実現できないので皆さんおっしゃっていないと思うのですが、もう少し何とかしていただきたいと思っています。

【本島主査】  大変重要な点のご指摘だと思いますが、今のポスドクの仕組みにしても、大学で助手のポストがどんどんなくなっていることにしても、構造的な問題がありますからそこをしっかり分析せねばなりません。

【香山委員】  すいません、1点。今の問題は確かにあるんですが、私が学生と、特に修士とか博士に行くかどうしようかと考えているような学生と話していて非常に驚くのは、最近の学生にとっての価値観というのは、私の認識では、学生のときに苦しむことをいとう人はわりあいと少ない。ほんとうの研究を知らないせいもあるんですが、苦しさには耐えるだけの覚悟はある人は多い。だけど、出た後にあまりにも悲惨な人生が待っているというのが一番来ない理由だと私は思っているんです。

 最近の若い学生の価値というのは、立派な研究は確かにいい。だけど、今、一般的な評価というのは金銭での評価が一番わかりやすいし、普通であると。そういう意味で見たときに、やはり理系がまず基本的に金銭的な評価が低過ぎるという事実がありますね。次に、今度は理系の中でも核融合に向かってみると、ほんとうに高給の職場はほとんどない。機構に行くと大変に立派な給料をいただけるんですが、大学ではとても悲惨な給料のもとで生きるわけですし、それにしたって、よそと比べたら大したことがない。

 だから、今後、いい学生をつかまえたり頑張らせるためには、例えばITER機構などは一つの魅力なのかもしれないですけれども、そういうものを少しアピールすることも必要かなと思っています。

 私が言いたかったポイントは、大学のときに楽させることで来るよりは、むしろ先で楽させるようなことを見せることのほうが、いい学生が来るだろうと私は思っています。

【本島主査】  今日はいろいろな観点でのご指摘をいただくのが目的でしたが、大体5時には終わりにする必要があると思います。ご意見については、今日言い切れなかった部分もあると思いますので、そこは事務局にeメール等でご連絡いただくというのが論点整理のために重要だと思います。

 また最後に、長期的ビジョンについてご発言をいただいておいたほうがいいのではないかと思います。疇地委員と常松委員がまだご発言になっていないと思いますので、短時間になってしまいますが、発言いただけますか。

 疇地委員については、レーザーに関することを除いて発言していただくのがいいと思いますが、一般化した議論をお願いします。

【疇地委員】  わかりました。

 長期的ビジョンではなくて、話は少し戻ってしまうんですが、よろしいでしょうか。2つあります。

 1つは、今日、人材育成が大分議論されましたが、私は人材育成もさることながら、人材確保に大変危機感を持っていて、私の周りのオブザベーションでいうと、レーザー研を例に出しますけれども、ここ3年とか4年の間、希望する学生がどんどん減っております。どうしてそうなったのかというのはまだ分析中ですけれども、一般論にして言うと、大学の附置研・センターというのは、基本的には大学院教育をするものであって、学部教育をすることにはなっていないんです。例外的にとか、歴史的な背景で学部教育をしている先生ももちろんおられますけれども、そういう方は退職されたりとかいうことで、だんだんそういうところが減ってくる。要は、研究者の背中を見せれば学生は来るんだよと私はずっと思っていたんですが、背中を見せる機会がなくなっているのではないかと思っています。

 つまり、附置センターの先生は大学院で講義をするのであって、学部でそういう研究の魅力を教える場が、例外的にはあっても原則的としてはそういうのはないという、仕組みを話しているんです。だから、そこの部分、日本の大学のことですけれども、学部の学生の教育に附置研・センターの先生がコミットしていくような仕組みに変えていかないと、今後、少し人材確保が難しくなってくるのではないかという危惧をまず持っています。

 もう1つは、産業界の連携についてです。これもレーザーの場合を例に出してレーザーガラスの話をしますけれども、レーザーガラスを超伝導の素材とかに置きかえて考えていただいたら何となく想像ができるのではないかと思います。レーザーガラスというのは、日本がかつては最もすぐれたものをつくっていて――保谷ガラスというところです。ところが、日本の中でレーザー核融合のプロジェクトがそんなにぽんぽんあるわけではないので、そういうガラスメーカーというのは、当然、工場をシャットダウンするわけです。それで、僕たちが最近レーザーをつくったときに、アメリカから逆輸入をして、これもDOEの予算が出ていたものですから、文部科学省にお願いして、向こうのDOEに依頼して。そうすると、いろいろなことを言ってくるわけです。そういう交渉をしながらやらざるを得なかった。

 それでも、レーザーガラスの場合には、友好国から手に入ったからよかったんですが、じゃあ次にどうするか。アメリカのファクトリーも、プロジェクトに対する供給が終わったので、それはもうシャットダウンして、今度は中国別の国にその技術が行っているんです。

【本島主査】  すいません。今のお話、大体みんな知っていると思いますので、ポイントだけということでお願いできませんか。

【疇地委員】  ポイントは、僕は答えを持っているわけではないので、議論にしていただきたいなというのが趣旨です。宮大工のようなシステムが要るのかとか、いや、もうそういうことは技術の流れだから外国から輸入すべしとなるのかというのが議論のポイントかなと思っています。

 長くなってどうもすいませんでした。

【本島主査】  どうもすみませんでした。急いでもらいまして。

 次回以降も論点整理した後で必要な議論を続けることは十分可能ですので、ここでのこの4つのテーマについてはすべて出尽くしているとは私も思いませが、ここの議論に資する重要なご発言が多数あったということで、次に移らせていただきたいと思います。

 それでは、そのほかということではありますが、第5回のBA運営委員会の結果と、第4回のITER理事会開催予定について、千原戦略官、お願いできますでしょうか。

【千原研究開発戦略官】  お手元の参考資料6及び参考資料7でございます。時間もございますので、細かくは省略させていただきます。

 まず、先ほど櫻井審議官からも申し上げてさせていただいた、第5回の幅広いアプローチ活動に関する運営委員会が、5月12日に青森県六ヶ所村にて開催されております。基本的には、IFMIF/EVIDA、IFERC、サテライト・トカマク計画。発表資料とかはここにつけてあるとおりですが、私どもの見立てとしましては、ブローダーアプローチ活動については比較的順調に推移しているのかなと考えております。それぞれの事業についての今年度の事業計画の承認をいたしまして、また次年度の事業計画をどうするかといった議論が行われているところでございます。次回第6回は、12月にイタリアで開催されるという形になっております。

 申し遅れましたが、日本からの今回の運営委員会の代表は櫻井審議官が務め、ヨーロッパ側はキンタナ=トリアス欧州委員会のエネルギー局長が務めたということでございます。

 それから、参考資料7でございます。これは、来週、第4回のITER理事会を、日本の茨城県水戸市で17、18日に開催させていただきます。3ポツにありますように議題が予定されておりまして、今、『ネイチャー』等で報道されましたが、スケジュールの問題、コストの問題、(4)にありますベースライン文書にかかわってくるんですけれども、そういう問題点について、これからこの理事会で議論していくという形を予定してございます。これにつきましては、髙村先生からありましたように、おそらく次回のこの作業部会で概要の結果をご報告させていただいて、ご指導いただければと思います。

 あと、資料にはないんですけれども、先日、国会での議論をいただきました、補正予算につきまして、ITER関係で25億円の補正予算措置をいただきましたので、あわせてご紹介させていただきます。

 以上でございます。

【本島主査】  どうもありがとうございました。何かご質問ございますでしょうか。

 『ネイチャー』の記事のことをちょっとおっしゃいましたけれども、その後はどういう状況でしょうか。

【千原研究開発戦略官】  『ネイチャー』の記事につきましては、その後、朝日新聞がたしかその記事を引用して、報道されてございます。あそこには主に3ポイントぐらいがあったかなと。1つは、ITER計画の、おそらく重水素、三重水素の点だと思いますけれども、そのDT実験の開始が2006年の協定署名のときに比べて5年遅れているという報道。それから、コストが2倍になると見込まれるという報道。それから、いわゆるシナリオ1と呼ばれる新しい建設スケジュールについて、その3点が主に報道のポイントだったかと思ってございます。

 私ども、最初の点、スケジュール5年遅れということについては、2006年の署名のときに5年遅れということは、2020年にいわゆる重水素・三重水素実験をすることがあったかということについては、調べてみたんですが、特にそういう具体的なものはなくて、特にITER機構としては、ITER機構発足後、重水素・三重水素実験をいつやるかというのはまだ公表しておられないということで、そのことは次の水戸の理事会のときに、シナリオ1というものについてのご説明と一緒に提案があると聞いております。

 それから、コストが2倍になるという点についても、今、追加機器の議論、あるいは、ITER機構の中の運営費の増加みたいなことは議論しておりまして、そこは一体どのぐらいかかるのかを今精査中でございますので、具体的に2倍というふうに『ネイチャー』が書かれた根拠はどこにあるのか、ちょっとよくわからないところではございます。いずれそういったコスト精査が進めば、もし増えるとすれば幾らということになってまいりますが、現時点ではそこはつまびらかになってございません。

 シナリオ1については、そういう議論が今度の水戸の理事会で出てくると承知しております。これはこれまで、前回、第2回の理事会で、暫定スケジュールといいますか、参照スケジュールとしてご議論あったのは、すべての建設をしてから2018年にファーストプラズマという、このスケジュールで今やっておりますが、例えば建設のときのリスクを低減するとか、そういった観点で、ファーストプラズマを発生させるのに必要な機器を先に建設して、ファーストプラズマをやりまして、その状況を見ながら段階的にその後建設も進めていくという概要のシナリオ1というふうに聞いてございます。

 このことについては、そういった方向でいくのかどうかを水戸の場で議論いたしまして、最終的には11月の理事会で、いろいろコストとか、スケジュールとか、そういったところを決めていくことになろうかと見ております。

 以上でございます。

【本島主査】  ありがとうございました。

 6月に開催されるITER理事会ですね、その結果については、次回のこの作業部会でご報告いただけると考えております。

 今後の予定をお諮りしたいと思いますが、今日の議論を踏まえまして、事務局及び私、平山先生で論点整理させていただきまして、必要な資料等はできるだけ次回に備えて、この部会の開催に備えたいと思っております。

 日本国全体でエネルギーの戦略がどうなっているかということについても、可能でしたら次回に全体的な話を文部科学省のほうからインプットしていただけると審議に大変役立つと思います。

 私は、学術会議のエネルギーと科学技術の分科会の委員長をしている関係で、内閣府から西川審議官に来ていただいて、話を聞いたりしておりまして、方針としては、50年なのか、100年なのかというところは少し注意して見る必要があるんですが、国としても、文部科学省も巻き込みながらいろいろやっておられることは間違いありません。核融合はその中で少しずつ市民権をエクスプリシットに得ているというのは、もう皆さんのご尽力のたまものだと思っております。

 それでは、今後の予定について、事務局からお諮りいただけますか。

【山本核融合科学専門官】  本日は、どうもありがとうございました。

 次回につきましては、今、本島主査がおっしゃったように、論点整理を行ってまいりたいと思いますが、日程につきましては7月の中下旬を今予定してございますが、また各委員の日程を調整してご案内を差し上げたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【櫻井審議官】  すいません、最後に一言だけ。

 今日は活発なご議論をいただきまして、大変ありがとうございます。聞かせていただいていまして、思いつきも含めて、2点ばかりあります。

 1つは、ポスドクの人とか、いろいろなものは、多分、核融合とかそういう部分だけじゃなくて、大学のシステムというのが問われているんだと思っています。

 いろいろなところで聞きますに、ポスドクの人をどういうふうに処遇してあげればいいか、優秀な人は海外でさらに腕を磨くのに特別なお金をつけましょうとか、かなりいろいろなものが出ています。また一方で、大学院にシフトし過ぎているのではないですかというので、科技庁と文部省と一緒になって、これは非常にいい面だと思うんです。今、たくさん問題意識を投げかけていただいたんですけれども、横断的にやっている施策で、答えのヒントになるような施策とか実際のツールとして少しやられているものがありますから、身内の話ですので当方でも調べさせていただいて、こういうのは使えるんじゃないでしょうかみたいなものは、どこぞの会のところで少しきちっとしゃべらせていただくのが一ついいんじゃないかと。

 それから、東嶋先生からお話がありましたが、いろいろ取材なりをして発信していただくということもあるんですが、分野分野でよくご案内なんですけれども、我々自身ももう少し横の状況を目で見て――私は、知は現場にありというのをモットーにしてやっているんです。要するに、現場という意味においては、こういうメンバーの人たちで、実は千原とも、うちでも少し雑談しているんですが、どこまでできるかとここでお約束できる話でもないんですけれども、旅費の関係もあるので実現性はちょっと保証できないんですが、例えばこういう会を六ヶ所の核融合の研究所の場でやり、議論をし、なおかつ、会が閉じたところで実際にそこで研究している方々と意見交換をし、どういう問題意識で、ここが大変だというのを実際にお聞きするというのがあるかなと。例えば大学の研究室で、どういう施設でどういうことをやられていて、実際にそのときに、自分たちは今ポスドクをやっているんだけれどもこれでは話にならんとか、出口なのか確保なのか。例えば今、代表の先生に来ていただいていますけれども、その先生方と少し議論させていただく、さらに残り30分は生徒の方々と話をさせていただくとか、そういうことを少し実際にやらせていただくといいのではないかと。

 すいません、ちょっと思いつき、感想で申しわけないんですが、少しそういうのも、できる範囲で皆さんからお知恵をまたいただきながら、主査にも仕切っていただきながらということも考えておりますので、よろしくお願いします。

【本島主査】  どうもありがとうございました。

 今後の方針について審議官から心強い発言をいただきました。

 次回以降は、本日のような論点整理のための議論にはならない予定であるということをはっきり申し上げておきたいと思います。今日、大変重要なご議論をいただいたので、私自身も今後の展開が随分読めたということで、感謝申し上げます。

 では、今日のこの作業部会としては終了してもよろしいでしょうか。

 どうもありがとうございました。

お問合せ先

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最所
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