安全・安心科学技術委員会(第5回) 議事要旨

1.日時

平成18年8月11日(金曜日) 10時~12時

2.場所

文部科学省 10F 3会議室(文部科学省ビル10階)

3.議題

  1. 安全・安心科学技術に関する研究開発の推進方策について
  2. 平成19年度予算概算要求に関する事前評価について
  3. 研究開発課題抽出作業部会の設置について
  4. その他

4.出席者

委員

 板生委員、井上委員、大野委員、岸委員、竹内委員、原委員、札野委員、堀井委員

文部科学省

 小田局長、袴着次長、吉川総括官、戸渡課長、生川計画官、岡村安全・安心科学技術企画室長

5.議事要旨

(1)岡村室長より、事務局の人事異動について説明。袴着次長、戸渡課長、生川計画官より挨拶。

(2)岡村室長より、資料1-1、資料1-2により、「安全・安心科学技術に関する研究開発の推進方策」の第4回委員会以降の変更点と、研究計画・評価分科会にて他分野の推進方策とともに決定されたことについて説明。

(3)岡村室長より、資料2-1により、安全・安心科学技術の推進に関する平成19年度予算概算要求の内容について説明。次に、資料2-2により、平成19年度新規課題に関する事前評価について説明後、審議。
  以下の議論を踏まえ、評価結果は板生主査に一任すること、最終的には8月31日の研究計画・評価分科会で、報告することを確認。

○委員、●事務局

委員
 従来の戦略的創造推進事業とは違う枠組みなのか。

事務局
 こちらはシンクタンク機能で研究開発ではなく、戦略的創造推進事業とは別の施策である。委託費として予算化し、公募して最適機関において実施する形を考えている。

委員
 資料2-2の「必要性」のところには「テロリズム・犯罪等の人為的脅威への対策に資する科学技術」と書かれているが、5年間これらのみに限定して実施するということか。

事務局
 5年間の活動を考えている。単年度では、知は蓄積できない。平成20年の予算要求では、残りの必要性の高い領域に対し、また予算要求を検討していく。

委員
 競争的資金で、具体的な研究を実施する場合には、1つのテーマで5年間というのはあり得る。しかし、シンクタンク機能についても、毎年機能を追加していくのか。

事務局
 平成13年にナノテクノロジーの同様の施策であるナノテクノジー総合支援プロジェクトセンターが開始された。平成14年度に5年間のプロジェクトとしてナノテクノロジーの同様な機能を持ったものが開始され、機能を十分に果たしてきたところ。そのような形で具現化していくことはできるのではないかと考えている次第である。

委員
 シンクタンク機能に特化したプロジェクトと「安全・安心科学技術国際イニシアティブ共同研究」の二本立ての柱ということか。

事務局
 そうである。他の国内における研究については、既存の競争的資金で新しいテーマを立てたいと考えている。

委員
 予算規模はどの程度か。

事務局
 省内で予算の調整をしている段階である。

委員
 新しく国民のニーズに沿った形で研究開発の芽を引き出して進めるという点を大変評価する。人文科学等、他の研究と協働して研究を進める事は可能か。また、国際関係についても、アメリカ、イギリス、フランス等の研究機関と連携するなど可変的な組み合わせは可能か。

事務局
 公募による研究開発制度の一つとして、JSTの社会技術研究開発センターにおいて、人文社会学中心の社会に貢献をする安全・安心の研究についての公募事業があり、活用したい。また、戦略的創造推進事業で1研究領域を立てたいとも考えている。

事務局
 もっと海外の研究との協力があるのではないか。

委員
 国際協力は、日本の技術の向上にとって何がメリットであるかを考えて、積極的に進めていきたい。

事務局
 ニーズ側とのマッチングを考えていこうとすると、国際的に議論して本当に重要だという議論になったとしても、日本として応募がないというケースも出てくるのではないか。

委員
 「安全・安心科学技術国際イニシアティブ共同研究の推進」は、具体的課題の決定に当たって何らかの審査の過程をへるものの、日米行政機関でマッチングできたものについて、トップダウンで実施する。国際的な調整をする段階では、既に実施する機関や研究者がある程度特定された状態になっている。

委員
 危機管理の観点からすると、議論は世界中でするが基本的には自分たちの問題である。サイエンスの世界はすべてを論文でオープンにするのが基本的な姿勢である。それと全然違う世界が近いところにあることを、指摘しておきたい。

委員
 本当は、危機管理も含めてカバーできるようなことをするのが、日本の国としての安全・安心政策だとは思うが、現状の日本の行政機構上難しい。だが、科学技術という範囲においても安全・安心を確保するために文部科学省がやらなければいけないことは多い。

事務局
 日米安全・安心科学技術協力イニシアティブの中でも、日米両省庁から様々な科学技術の提案が出ている。

委員
 長期的に、文部科学省としてこの領域をどのように育てていこうとしているのかというロードマップを示していく必要があるのではないか。

事務局
 資料2-1には社会システムの脆弱性だけ特記してあるが、人文・社会科学というのは各分野に共通する要素であると考えている。テロ・犯罪対策についても、そこから社会科学、自然科学への広がりを考えながら、人材育成に関しては少し広く捉えていきたい。
  また、短期の講義や講座を、大学や公的研究機関から応募していただき、それを審査し、有意義だというものについて、委託するという取り組みをしていきたい。

委員
 初年度はテロリズム、犯罪について具体的な研究課題をスタートさせるというのはいいが、それ以外の分野についてどうするかは検討しておく必要がある。またその上で、どのような順で具体的な研究課題を掘り下げていくのかという検討も、シンクタンク機能で実施すべきなのではないか。

事務局
 まずは、既存の機能との連携を進めていくことが必要だと考えている。その上で足りない分野を抽出していくこととしたい。

事務局
 推進機能の運営委員会を設置し、既存の他のプロジェクトにも入ってもらって補完関係を構築し、さらなる2年目以降の方針の検討や課題の抽出をしていけるような仕組みをつくってやっていきたい。

委員
 1カ所に集めてやるというものではないという理解でよいか。分散型の研究システムで、何かがあればコーディネーションのセンターへ上がってきて、そこで調整を図る。そういうイメージか。

事務局
 そうである。どのぐらいの規模になるかというのはあるが、例えば生物剤と、核物質と、画像処理では専門性が大きく異なる。公募で選び、幾つかポテンシャルのある機関において実施することになる。

委員
 安全・安心科学技術プロジェクトは、実際に大きなテロリズムやアクシデントが起きて機能するかどうかまで見えなければ、本当に価値がある研究だったかどうかというのは分からないので、評価は難しい。

事務局
 評価については、情報の発信をいろいろな機関の求めに応じてどれだけしたか、技術アドバイスをどれだけしたか、そういうことが評価の基準になると思われる。

委員
 ユーザーのニーズとシーズをつなぐということは大変難しい。最終的にできたものはユーザーが考えていたものと全然イメージが違ってしまうことが多々ある。ユーザーニーズのシーズ側に対するレベルを下げることが実際に効果的なものを作るという点では役に立つのではないか。ニーズとシーズのギャップがかなり高いということを十分に意識した上でやっていかなければいけない。

委員
 資料2-2の「4.」の必要性、有効性、効率性は、ここに書かれたとおりでありよくまとめられている。重要な分野であり、今後は予算措置など資源をこの分野に充てていくことが社会・国民への成果の還元という観点から重要なことではないか。

委員
 競争的資金制度の活用による安全・安心に資する科学技術の研究開発の充実も重用である。安全・安心科学技術総合推進機能を有効に活用して、国民に成果が還元されるような科学技術を開発しなければいけない。こうした趣旨を「5.評価結果」に盛り込んでいただきたい。

委員
 今回は新規の直接安全・安心を目的とした予算要求であるので、文部科学省ではそれほど研究開発をしてこなかったテロリズムや犯罪対策に関する技術を優先的にやっていこうということは、現時点では妥当だと考える。

委員
 安全・安心に関する産業がどの程度の産業規模なのかということも把握しておくべきである。数値として産業的にも大きなものになっているという観点を把握しておくことが、経済的意義ということから考えると、必要があるのではないか。

委員
 安全・安心という言葉は修飾語としてつけやすい言葉であり、競争的資金による研究開発のプロジェクトにも安全・安心に関する多くの応募があるが、それらの中で、安全・安心と完全にリンクしているものは、必ずしも多くない。

委員
 研究開発を実際に応募する立場からすると、どういうことをやれば安全・安心のために寄与するのかという、応募の段階でのガイドラインを作る必要がある。ユーザーニーズや技術のロードマップをこれからさらに検討していくことが必要である。

委員
 国際的協力の中で、アメリカが非常に進んでいるが、ほかにも、国連やWHOのような国際機関のもとの協調の中で役割を果たすことが、より安全・安心に寄与するのではないか。

委員
 G8サミットで、この分野の課題はプライオリティが高く取り上げられている。バイオテロやNBCテロに関する討論を、サミットのレベルでやっている。

事務局
 国際関係の協力については、まずはアメリカ、イギリス、フランスからとしているが、限定せず取り組んでいきたい。

(4)岡村室長より、資料3-1、3-2、3-3により、本委員会の下の新たな作業部会の設置について説明後、設置が了承。

(5)岡村室長より、今後の予定について説明。

お問合せ先

科学技術・学術政策局政策課安全・安心科学技術企画室

(科学技術・学術政策局政策課安全・安心科学技術企画室)