安全・安心科学技術委員会(第3回) 議事要旨

1.日時

平成18年5月24日(水曜日) 16時~18時

2.場所

文部科学省 F1会議室(古河ビル6階)

3.議題

  1. 安全・安心科学技術 分野別研究開発の推進方策について
  2. その他

4.出席者

委員

 板生委員、井上委員、大野委員、岡田委員、岸委員、竹内委員、中村委員、原委員、堀井委員

文部科学省

 小田局長、下村次長、吉川総括官、岡村安全・安心科学技術企画室長

オブザーバー

 山口研究員(説明者)

5.議事要旨

(1)岡田委員より、資料1の5.(2)1について説明が行われた。

(2)岡村室長より、資料1の5.(2)2について説明後、意見交換が行われた。
 ○委員、△説明者、●事務局

委員
 最近は鉄道の事故もあり、地上での事故もかなり大きな被害になる。そのあたりの検討や研究も重要ではないか。

事務局
 ここはもう少し普遍的に、いろいろな技術、機器、もしくは輸送のための手段に広げていきたい。また、ヒューマンパフォーマンス、ヒューマンファクターについても記載したい。

委員
 輸送機関と並んで、危険物施設がある。これについては、例えば、原子力発電所も、複雑な機器の中で扱うのか。

事務局
 そうである。

(3)竹内委員より、資料1の5.(2)3について説明後、意見交換が行われた。

事務局
 指摘をいただいた、新興・再興感染症の中だけでは整理が難しい大きな問題については、人文・社会科学面からの取り組み、人材育成に共通する概念として入れさせていただいた。

(4)原委員より、資料1の5.(2)4について説明後、意見交換が行われた。

委員
 新興・再興感染症と食品の安全問題は裏腹の問題で、非常に強く密接している。食品由来感染症に関して、食品のトレーサビリティが担保できていない例が多い。各省庁が協働で、食品のトレーシングをするシステムをつくっていくことが重要と考える。

(5)岸委員より、資料1の5.(2)6について説明後、意見交換が行われた。

事務局
 5月4日に開催された日米科学技術合同高級委員会で、日米安全・安心な社会に資する科学技術に関して、イニシアチブという、従来より大きな枠組みとして国際的な協力を進めていくことが合意された。

委員
 監視システムは、イギリスの場合、後々のテロ・犯罪対策という意味では機能したと考える。入出国の個人の認証や、システム的なものも別添1に入れたらどうか。

(6)井上主査代理より、資料1の5.(2)7について説明後、意見交換が行われた。

委員
 不審者の監視問題と被害者になる可能性のある児童あるいは高齢者の行動の監視、コンタクト状況の監視、自己防護といった観点で、科学技術課題を抽出している。

委員
 自己防衛をどのようにしたら技術として補強できるのかというところが、技術開発のテーマとしてある。

(7)大野委員より、資料1の5.(2)5について説明後、意見交換が行われた。

事務局
 指摘のあった情報セキュリティに関する教育の部分については、人材育成にも加筆した。

委員
 各種犯罪のところに、犯人をつかまえる犯罪捜査の面も必要だという文言を入れて頂きたい。

委員
 犯罪が起きると、犯罪者の心理状況がいつも問題になる。なぜ心を病んでしまうのか、犯罪に走ってしまうのかという心理学的な分析やアプローチも非常に重要ではないか。

(8)堀井委員より、資料1の5.(3)について説明後、意見交換が行われた。

委員
 別添資料があっても良いと考える。例えば、横軸に1から7の事態、縦軸は相互依存性解析や早期復旧などの取り組み、あるいは課題が書かれており、具体的にそれぞれの事態では相互依存性解析には何が求められるかという表を準備すると、この委員会の特徴が、そこでうまく表現できるのではないか。

委員
 新興・再興感染症とバイオテロに関し、国際機関では国際保健規則を定めている。国際的懸念のある公衆衛生緊急状態を定義しており、バイオテロと新興・再興感染症を同列に扱っている。
また、法制度の観点で見ると、バイオテロが発生したら対応ができない状態にある。人文・社会科学的研究のどこかに、法制度の整備も触れていただきたい。

委員
 別添資料をつくるのであれば、まず大きな俯瞰をその中に作っておくべきと考える。何が課題か、方策としてどのような種類のものがあり得るのかが別添の資料になると良い。

委員
 ユーザーニーズを明確にとらえるところが、キーポイントと考える。法整備も一つの明確なニーズと考える。特に、不特定の人を実際に画像に記録していくことは、大勢の人の肖像権を侵すことになる。しかし、ある人を救うことができる。そこでセキュリティの問題と個人のプライバシーの問題との接点をどう考えるかという難しい問題が出てくる。

(9)山口研究員より資料2-1、2-2の説明後、意見交換が行われた。

委員
 安心問題が最後に出ているが、これはあまりないのか。

説明者 いろいろな取り組みで、キーワード的に使われているものは非常に多くある。まだ体系化されておらず、分類するとどうなるかということで、今回、四つの視点を提案させていただいた。心理学的なもの、情報、利害調整、手続の公正さが、混在して使われている印象を受ける。

事務局
 非常に専門的な学科レベルの細かい講座レベルで、ある特定のものに対し、従来から長く取り組まれてきたものはある。しかし、今の時勢にこたえるような人材育成が必要ではないかと考える。

(10)岡村室長より、資料1の6.について説明後、意見交換が行われた。

委員
 第3期科学技術基本計画の中でも主専攻、副専攻ということが、人材養成に絡んで述べられている。大学においても、ダブルメジャーやメジャーマイナーの議論が以前からされている。ダブルメジャーは難しいが、総長が出す資格として、例えばメジャーマイナー(副修士)というような資格を出すことの提案も考えられる。
大学院レベルでの分野横断的な教育を行うことが必要である。専門に入ってから、自分の専門性を深めると同時に幅広い教育を行うということが重要と考えるが、その際、安全・安心は、横断的な教育として行うべきものの一つとしてかなり重要な分野になる。

委員
 数的には、圧倒的に高度でない専門家のほうが世の中には多い。そのために、生涯教育という視点を人材育成の中に入れてはどうか。世の中に出て技術者になった方の社会人教育を、例えば産学連携で一緒に行うようなシステムを提案してはどうか。

委員
 安全と安心に関する人材育成については、時代の変化にあわせた、いろいろな方法がある。例えばコンピュータネットワークの安全と安心に近いノウハウ集が、2000年冒頭ぐらいから多数つくられているが、今では役に立たなくなってしまっている。そのころには、フィッシングや、あなたも加害者になるかもしれないというような話は出てこなかった。ゆっくり教科書をつくって、大学院で単位を出してとやっていても間に合わない。運転免許更新のときに行うレクチャーが大変タイムリーで良いと考える。そういうものも、一つのモデルになるのではないか。

委員
 感染症のところで、人材育成について「感染症の専門家の育成のみならず、感染症を専門としない医師、看護師、関連職種等に対する教育を通じた人材の裾野の拡大が重要である」と、新興・再興感染症に特化した書き方になっている。これは違う言葉で言えば、サブスペシャリティをどのように付けるかである。サブスペシャリティを付与する教育、人材育成というものを拡充していくという記載はどうか。

委員
 人数の問題からいえば、例えば、大規模自然災害やテロなど、それぞれの事態のところで要求される人材のほうがはるかに多い。テロと犯罪は特殊になるが、それらのところでどういう人材が必要なのか、不足しているのかを詰めたほうが良いと考える。

委員
 どういう人材が不足しているかが明確にされていると、潜在的能力のある先生方が、それだったら協力しようと、いい意味で出てくる可能性がある。

委員
 人材で、専門家と市民の間に行政官のような人が実際に現場にいる。例えば消防や警察、そういう現場の人達がこういうことを担う中堅のところなので、そういう人もこの間にあってもよいのではないか。

(11)岡村室長より、資料1の7.、8.、9.について説明後、意見交換が行われた。

委員
 危機事態に対応する上で官民の協力、官民パートナーシップは極めて重要と考える。ロンドンテロの教訓からも、その重要性は指摘されている。官民パートナーシップを円滑にするための支援システムは、科学技術を使って構築する必要があると考える。

委員
 極東、ASEAN(アセアン)に対して日本がイニシアチブをとって、法的な面でも、国際法の面でも、相互依存の面でも協力を強化していく取り組みが必要と考える。

委員
 研究者が成果を出し合ってお互いに切磋琢磨するという、学界の一番基本的な役割も安全・安心のところで再確認したほうがよいのではないか。それが、結局、研究者にとってのモラルアップになる。

委員
 最近は、いろいろなメーカーと共同研究が行われている。最終的なアウトプットになると、やはり民間の役割は極めて大きい。そういう意味で、ここの重要性は強調すべき。

委員
 報告書には、国民の安全・安心に研究成果が生かされるものであってほしいという結語が要るのではないか。

委員
 10ページの「政策立案・推進に資するシンクタンク機能」のところで、「海外における安全・安心関連の政策動向の調査・分析」とある。もっと重要なのは、安全・安心に関する動向である。例えば、どのような感染症が出てきているのか、どのようなリスクが起こっているのか。テロであれば、どのような新たなテロが起こっているのか。そういう新たなリスクの分析が、非常に重要だと考える。

(12)岡村室長より、資料3の今後のスケジュールの説明あり。

 事務局から、次回は、6月5日に開催を予定していたが、本委員会の進捗状況、他の委員会の推進状況等を総合的に勘案して、6月5日の開催を中止し、6月20日の開催だけにしたい旨の提案があり、了解された。

(了)

お問合せ先

科学技術・学術政策局政策課安全・安心科学技術企画室

(科学技術・学術政策局政策課安全・安心科学技術企画室)