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資料9

次世代スーパーコンピュータの共用のあり方についての意見(計算科学技術推進ワーキンググループ委員の意見のとりまとめ)


1.   次世代スーパーコンピュータの意義に関する意見

 
次世代スーパーコンピュータは計算科学の「大規模実験装置」として位置付け、国として整備すべきである。
単独の研究機関や企業では、幅広い計算ニーズに対応する世界最高性能の計算機システムを導入・維持することは、設置スペースや費用等の問題で困難である。従って、外部からの共同利用が可能な超高速計算機センターが設置されるべきである。

2.   施設利用研究に関する意見

 
(1) 実施すべき課題及びその選定のあり方
  外部ユーザーが不公平感なく計算機システムを使える仕組みが必要である。
計算機資源や資金をばらまいてしまうと成果が発散してしまい、投資の意味がなくなることから、何らかの絞り込みが必要である。
計算機利用能力を考慮した利用者の絞り込みが必要である。
一般から公募する利用申請と、グランドチャレンジの事業で行う利用との利用配分や審査の方法などを決めておく必要がある。
課題選定は我が国の科学技術振興及び産業発展の見地から行われるべきである。
次世代スーパーコンピュータは、我が国における最高性能計算機であるので、次世代スーパーコンピュータでなければ実行できないもの(一定水準以上の超大規模ジョブ)に限定すべきである。
計算科学(シミュレーションなど)と計算機科学(基本ソフトウェア等の研究)の利用配分を考慮すべきである。計算機科学のための利用も、計算機の専有が必要となるなど、計算科学での利用と共存できないことがある。
先端計算科学技術センター(仮称)(以下、「スパコンセンター」)は、国策として「トップダウン型」のチャンピオンデータの計算に用いられるのはもちろんのことであるが、大学等の情報基盤センター群の負っている「ボトムアップ型」研究のための計算がより巨大なリソースを必要としたときに、それを受け入れる余地を残しておくべきである。
情報基盤センターからあふれるジョブは、大規模な実行資源を要求するものであり、スパコンによる実行が繰り返され高性能演算のために研鑽され尽くしたものであるので、次世代スーパーコンピュータにおいても、実行する価値のあるものである。

(2) 研究支援のあり方
  プログラムの最適化や利用に関する技術的な支援を行うべきである。
ユーザーが、このような大規模なシステムを使うには、人的支援が必要である。そのため、ユーザーの選定と同時に(人的支援を得るための)資金の支援も検討する必要がある。

(3) 利用料金や成果の取扱いの考え方
  次世代スーパーコンピュータを共同利用するためには、費用負担、セキュリティ、情報公開などの仕組みを整備すべきである。
費用負担、セキュリティ、成果の帰属は密接な関係があるので、これらに対しいろいろな選択肢を用意すべきである。知的財産権を含めた成果の扱いによって費用負担は変わるべきであり、セキュリティの保証レベルも変わるべきである。
多くの企業は見合う成果が得られるのであれば相応の費用負担をするため、成果の取扱いと連動させた費用負担が有効である。
公的資金を使って行われた研究は、一定期間後公開、企業等が使用料を支払って行った計算結果については非公開、などの枠組みが有効である。
産業界の利用、特に利用者が費用負担をする利用形態では、ある程度の試用枠が必要である。
公的資金を使って行われる研究は、計算機の費用負担とは別の観点で考えるべきである。

(4) 施設における研究機能・人材育成機能
  運営主体の中に技術的な研究を行う組織が必要である。組織設計を検討項目に反映させる必要がある。検討にあたり、運営主体が運用だけを行うのか、継続的な取り組みを行うのかが検討する前提として重要になってくる。
運営主体において、研究を行わないと計算機利用やシミュレーションについての優秀な人材を集めることができないため、研究業務を行うべきである。そこで計算科学の分野で独自の成果を出す必要があり、計算機科学では新しい技術を開発、あるいは世間一般の新技術を運用に反映させる必要がある。
研究者を新しい組織に迎えるためには、何らかの優遇措置が必要である。例えば、計算機の優先利用や計算時間配分の配慮、処遇の配慮などである。
運営主体の研究者はハードウェアの設置される場所に滞在させるべきである。ネットワークが発展しても、研究の進展はやはりface to faceが基本である。
運用やユーザー支援を行う人たちと計算機を利用している最先端分野の研究者の人たちが一緒になって共通の目標を達成する組織作りをすること。
運営主体は研究開発機関としての役割を果たすとともに、人材育成機関としての役割も果たすべき。運営主体での人材が次の世代の計算機システムの研究開発の中心となって行くべきである。
スーパーコンピュータの利用技術をもった人材(並列プログラム開発者、次世代スーパーコンピュータシステムに精通した開発支援者など)を育成すべきである。
運営主体には、計算結果をデータベースに蓄積し、そのデータベースから新たな知見を得るような役割を果たすべきである。
次世代スーパーコンピュータの次のシステムを考えていくなどの継続的な取り組みには、運用からの要望を統合して、ソフトウェア、あるいはハードウェアのアーキテクトが運営主体にいる必要がある。

3.   次世代スーパーコンピュータの整備に関する意見

 
(1) 施設の位置付け
  計算機科学(スーパーコンピュータ・アーキテクチャ)の研究ではなく研究開発基盤としてのインフラ整備とすべきである。
スーパーコンピュータのように巨大な施設を共同利用することは、費用的に大きな負担となる資源が有効利用されるという観点で、大きな意義がある。

(2) 施設整備の際の留意事項
  運用方針に応じて、システムに対する要件も変化してくる。このため整備段階において運用方針も並行して検討すべきである。
セキュリティ、データスループット、巨大実験装置からなるシステムの一部として、次世代スーパーコンピュータが位置付けられるとすると、データ収集とシミュレーションをリンクした形のシステムも考えられ、運用要件について集中的に議論する場が必要である。
世界最高水準の仮想研究環境の中のデータベース化された実験データと次世代スーパーコンピュータの膨大な計算結果データを、知的資産として容易に再利用できる仮想研究環境を構築することで、革新的な共同研究成果に発展させる必要がある。
産業界のユーザーに対応するための空間的なパーティショニング機能が必要である。
時間的なパーティショニングだけでは不十分であり、それを考えた上でのアーキテクチャの検討が必要である。
ストレージのデータにおけるコンフィデンシャリティ(秘匿性)、ネットワークに対するアーキテクチャの検討も必要である。
データに関するセキュリティは大きな課題であるが、企業側がシステムを利用する上での要求を精査する必要がある。
機密保持などのセキュリティへの要望が高いため、グリッドでの認証等を検討すべきである。
企業利用のための一貫した認証システムや、通信からファイルシステムまで含めた暗号化システム等のセキュリティシステムを設計段階から考慮すべき。

4.   次世代スーパーコンピュータの運用に関する意見

 
外部利用者のための、遠隔地からのネットワーク利用が可能な環境整備が必要である。
グリッド技術を用いて次世代スーパーコンピュータで実行できるような制度と支援が必要である。
利用手続の簡素化、共同利用メニューの多様化を検討すべきである。
セキュリティの確保の重要性は大学・公的研究機関と産業界とで変わることはない。研究では2番手は意味がないことから産業界よりも厳しくセキュリティを要求される場合がある。
システムを分割して利用する場合、システムソフトウェアを作るよりは、運用でカバーした方がコストが安い。
システムを分割して利用することは、大規模計算を志向する次世代スーパーコンピュータとしては不適当である。
利用者への課金によって得られた収入は、運営主体が積み立て可能とするなど、多年度の決算が可能な財務体制にするなどの仕組みを検討すべきである。
運営主体の経費をすべてまかなえるような予算化を行うべきである。さもないと利用状況に応じて計算機を停止せざるを得なくなり、せっかくの施設の有効利用を図ることができなくなる。
課題選定で認められた(国の委託事業での)計算機利用料が課題担当者を経ずに直接スパコンセンターに振り替えられる制度などを検討すべきである。
次世代スーパーコンピュータで動作する有用なソフトウェアが集まる仕組みを作るべきである。

5.   その他

 
(1) 研究交流の促進
  利用者間の研究交流を図るべきである。
広報誌、研究会、ネットワークを通じた情報共有・情報公開を行うべきである。
開発段階においても、学会での発表等により情報発信を行い、利用者の掘り起こしを行うべきである。

(2) 他の関係機関との協力
  国外の研究機関との研究交流を行うべきである。
世界のトップとなる計算機であるため、国際貢献の観点からは広く海外に門戸を開くべきである。しかしその一方で産業競争力の観点からは最初の利益は我が国になるような仕組みであるべき。
(計算機利用成果などの)データベースは広く公開しないと使い勝手が悪いため、国外を含めたユーザーの拡大が必要だが、それでも国内ユーザーと国外ユーザーの区別をつけるべきである。

(3) 大学・研究機関との関係
  既存の大学・研究機関などの情報基盤センターとスパコンセンターはともに一層の機能の充実を図り、将来とも十分に役割を果たすべきである。
情報基盤センターは、現在の役割(大学共同利用など)を保持し続けるとともに、大学・研究機関などの多様な研究者の萌芽的、かつ潜在的に大規模計算を必要とする研究に対し支援を行い、スパコンセンターのフロントエンドマシンの位置付けとして、プログラム開発やデバッグを可能とするなどの分担が考えられる。
高速化支援の利用者支援については、スパコンセンター側、情報基盤センター側が適宜分担すべきである。
情報基盤センターの計算機をグリッド化し、そこではデータ交換の少ない連成計算を行い、一方、スパコンセンターではデータ交換の多い連成計算を行うといった使い分けを考慮すべきである。

以上



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