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付録7.原子力委員会、「原子力政策大綱」一部抜粋、平成17年10月(P.32から)

第3章 原子力利用の着実な推進
 原子力利用にはエネルギー利用と放射線利用がある。以下では3-1においてエネルギー利用、3-2において放射線利用の着実な推進に向けての取組の基本的考え方を示す。

3-1.エネルギー利用
3-1-1.基本的考え方
 原子力発電は、地球温暖化対策と我が国のエネルギー安定供給に貢献している。国は、こうした貢献が今後とも公共の福祉の観点から最適な水準に維持されるように、原子力発電を基幹電源に位置付けて、着実に推進していくべきである。このため、国は、必要な原子力施設の立地が適時になされ、効率的に利用されるように、基本的考え方の明確化、事業環境の整備、研究開発の推進、国民や立地地域への広聴・広報活動による理解促進等に取り組むべきである。また、民間事業者には、巨大技術を用いて事業を行うためのノウハウ等を蓄積し、誠実なリスクコミュニケーションを含む相互理解活動を通じて地域社会における信頼を醸成する一方、必要な投資と技術開発を行うことにより、我が国の原子力発電とそれに必要な核燃料サイクル事業を長期にわたって着実に推進していくことに取り組むことを期待する。

3-1-2.原子力発電
(1) 基本的考え方
 我が国において各種エネルギー源の特性を踏まえたエネルギー供給のベストミックスを追求していくなかで、原子力発電がエネルギー安定供給及び地球温暖化対策に引き続き有意に貢献していくことを期待するためには、2030年以後も総発電電力量の30〜40パーセント程度という現在の水準程度か、それ以上の供給割合を原子力発電が担うことを目指すことが適切である。そして、このことを目指すためには、今後の原子力発電の推進に当たって、以下を指針とすることが適切である。

1. 既設の原子力発電施設を安全の確保を前提に最大限活用するとともに、立地地域をはじめとする国民の理解を大前提に新規の発電所の立地に着実に取り組む。
2. 2030年前後から始まると見込まれる既設の原子力発電施設の代替に際しては、炉型としては現行の軽水炉を改良したものを採用する。原子炉の出力規模はスケールメリットを享受する観点から大型軽水炉を中心とする。ただし、各電気事業者の需要規模・需要動向や経済性等によっては標準化された中型軽水炉も選択肢となり得ることに留意する。
3. 高速増殖炉については、軽水炉核燃料サイクル事業の進捗や「高速増殖炉サイクルの実用化戦略調査研究」、「もんじゅ」等の成果に基づいた実用化への取組を踏まえつつ、ウラン需給の動向等を勘案し、経済性等の諸条件が整うことを前提に、2050年頃から商業ベースでの導入を目指す。なお、導入条件が整う時期が前後することも予想されるが、これが整うのが遅れる場合には、これが整うまで改良型軽水炉の導入を継続する。

(2) 今後の取組
 国は、電力自由化の下で総合的に公益等を勘案して、上記の指針に則った民間の長期投資を促しつつ、環境整備を行うべきである。このため、核燃料サイクルの条件整備等の将来ビジョンを関係者と共有しつつ、電力自由化に伴う制度面等での対応や新規立地の長期化等を踏まえた立地推進対策のあり方、技術開発活動の戦略的プロジェクトへの重点化等の政策課題について、その具体策の検討とその速やかな実施を、不断の見直しを踏まえつつ、行っていくことが適切である。また、我が国の原子力発電は、設備利用率や作業者の被ばく線量低減の実績において欧米の後塵を拝している。この状況に鑑み、電気事業者には、日本原子力技術協会等を通じて国内外の技術情報の共有・活用を図りつつ、経年変化の技術的評価を基に計画的に適切な保守・保全活動を行うとともに、安全確保に係る性能指標において世界最高水準を達成することを目標に掲げて保守管理技術の高度化にも取り組み、安全性と安定性に優れた原子力発電を実現していくことを期待する。さらに、出力増強、定期検査の柔軟化や長期サイクル運転による設備利用率向上といった高度利用に関しても、定期検査の柔軟化を実現できる検査技術や、安全余裕の適正化のために高度化された安全評価技術を、欧米における経験も踏まえて安全確保の観点から十分に評価・検証した上で採用することにも取り組むことを期待する。国は、こうした事業者の創意工夫に基づく取組の提案に積極的に耳を傾け、リスクを十分に抑制しつつ実現できるかどうかを厳格に評価して判断を下していくべきである。
 製造事業者には、国や電気事業者のこうした取組と相まって、原子炉設備の徹底した標準化や斬新な設計思想に基づく独自技術の開発に努め、その発信能力を高めるとともに、事業者間の連携を進める等の取組によって事業の効率性を格段に高めることにより、世界市場で通用する規模と競争力を持つよう体質を強化することを期待する。

3-1-3.核燃料サイクル
(1) 天然ウランの確保
<内容省略>

(2) ウラン濃縮
<内容省略>

(3) 使用済燃料の取扱い(核燃料サイクルの基本的考え方)
<内容省略>

(4) 軽水炉によるMOX燃料利用(プルサーマル)
 我が国においては、使用済燃料を再処理し、回収されるプルトニウム、ウラン等を有効利用するという基本的方針を踏まえ、当面、プルサーマルを着実に推進することとする。このため、国においては、国民や立地地域との相互理解を図るための広聴・広報活動への積極的な取組を行うなど、一層の努力が求められる。事業者には、プルサーマルを計画的かつ着実に推進し、六ヶ所再処理工場の運転と歩調を合わせ、国内のMOX燃料加工事業の整備を進めることを期待する。なお、プルサーマルを進めるために必要な燃料は、当面、海外において回収されたプルトニウムを原料とし、海外においてMOX燃料に加工して、国内に輸送することとする。このため、国及び事業者は、輸送ルートの沿岸諸国に対して輸送の際に講じている安全対策等を我が国の原子力政策や輸送の必要性とともに丁寧に説明し理解を得る努力を今後も継続していくことが必要である。


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