ここからサイトの主なメニューです

3.照射後試験施設の現状

3.1  照射後試験施設の役割と現状
 照射後試験施設は、材料試験用原子炉等で照射された燃料や材料の照射後試験を行うための施設であり、材料試験用原子炉の機能と深く関連する最も重要な施設である。国外の照射後試験施設は、材料試験用原子炉と距離的に離れたところに設置されており、JMTRホットラボのように直接材料試験用原子炉に連結されている施設はほとんどない。また、図3.1に示すようにJMTRの近郊には、原子力機構のNSRR、常陽等の燃料・材料の原子炉、各種の照射後試験施設、民間のNFDやNDCの照射後試験施設が隣接しており、表3.1に示すように、それぞれの特色を生かして広範で多岐にわたる照射後試験が行われているという実態がある。

 
図3.1 大洗地区・東海地区に設置されている照射後試験施設群

3.2  国際照射試験センター(仮称)構想
 検討委員会では、JMTRを中核とした材料試験用原子炉と照射後試験施設を有機的に活用する国際照射試験センター(仮称)構想が提案された。図3.2は、国際照射試験センター構想のイメージである。
 今後、中国、韓国をはじめとしたアジア地域での軽水炉を中心とした原子力発電が大幅に増加することが予測されている。しかし、軽水炉利用を支えるべき重要な基盤施設である材料試験用原子炉は、アジア地域ではJMTRが唯一である。このため、JMTRと照射後試験施設群、さらにはこれらの施設に蓄積されている最先端の照射試験、照射後試験技術を有機的に活用することにより、国内はもとよりアジアの国際照射試験センターとしての役割を担うことができるというのが本構想の主旨である。
 特に、大洗地区は図3.3に示すように、JMTRを中心に民間や大学の照射後試験施設が隣接していることから、民間、大学が主体的に参加した「運用協議体(仮称)」を発足させ、それぞれの施設や人材、知見を有効に活用できる総合的な運用体制を早急に構築すべきであるとの提案があった。これは、照射試験に関わる様々な要求に柔軟に対応し、各施設が保有する世界有数の装置の利用を可能とし、近接した施設間の低コストでの照射試料の輸送などによるコスト削減を図り、照射後試験技術の共有化やその継承さらには照射後試験技術に係わる人材の育成を相互協力のもとに効率的に進めることで、国際的な競争力を生み出すための仕組みとして重要であるという主旨である。また、国際照射試験センターは、欧米の主要な材料試験用原子炉や照射後試験施設との技術交流や人材交流、互いの特徴を生かした照射試験の相互協力、施設運営の効率化や照射技術等の共有化や高度化、「照射試験の世界標準化」といった国際協力において、主導的な役割を担う上でも有効であり、我が国の原子力技術の国際展開の基盤となることが期待される。そういう期待に応えるためには、国内外のユーザから利用されやすいような条件整備が不可欠である。

 
表3.1 大洗地区・東海地区における照射後試験施設の特徴
  照射後試験施設 組織 主な利用目的 特徴
大洗地区 JMTRホットラボ 原子力機構 軽水炉関係
照射済の燃料・材料に関する汎用的な照射後試験が可能
JMTRとカナルで接続し、照射下試験用再照射キャプセルの組立が可能
現行軽水炉の高経年化対応に係る照射後試験機器が充実
NFDホットラボ 日本核燃料開発株式会社
BWR燃料の集合体及びピンの照射後試験が可能
照射済の燃料・材料に係る機械的強度試験、腐食試験、組織観察及び熱分析が可能
東北大学ホットラボ 東北大学金属材料研究所
原子炉構造材料の照射損傷メカニズム解明のため、陽電子消滅装置や3次元アトムプローブ顕微鏡等の最先端分析技術を所有し、原子力基礎研究分野に貢献
東海地区 燃料試験施設 原子力機構
実用燃料集合体(約4メートル)及び燃料棒の非破壊試験、燃料の破壊試験が可能
アルファ-ガンマセルを有し、高プルトニウム富化燃料の取扱いが可能
廃棄物安全試験施設(WASTEF)
軽水炉及び再処理施設での実環境を模擬した材料試験や腐食試験が可能
放射性廃棄物の処分、アクチノイド燃料の基礎物性に係る試験が可能
NDCホットラボ ニュークリア・デベロップメント株式会社
PWR燃料の集合体及びピンの照射後試験が可能
照射済の燃料・材料に係る機械的強度試験及び分析が可能
大洗地区 FMFホットラボ 原子力機構 高速増殖炉関係 ・高速増殖炉(FBR)用の燃料集合体に関する照射後試験が可能
MMFホットラボ ・高速増殖炉(FBR)用の構造材料に関する照射後試験が可能
AGFホットラボ ・高速増殖炉(FBR)用の燃料に関するアルファ-ガンマセルを用いた照射後試験が可能

 
図3.2 世界的な材料試験用原子炉ネットワークの構築

図3.3 大洗地区におけるJMTRを核とした照射後試験施設群


前のページへ 次のページへ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ