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3章 科学技術基本計画を実行するに当たっての総合科学技術会議の使命

1. 運営の基本

 総合科学技術会議は、内閣総理大臣のリーダーシップの下、総合戦略及びこれに基づき策定される科学技術基本計画に示された重要政策が、我が国全体として的確、着実に具現化されるよう、政策推進の司令塔として、省庁間の縦割りを排し、先見性と機動性を持って運営を行う。その際、経済財政諮問会議、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT戦略本部)等と密接な連携をとることとする。
 総合科学技術会議は、21世紀の人間社会のあり方を視野に置き、常に世界に開かれた視点を持ちつつ、人文・社会科学とも融合化した「知恵の場」として、積極的に活動する。また、「社会のための、社会の中の科学技術」という認識の下に、科学技術の両面性に対して市民がもつ期待と不安の感情に配慮し、生命倫理など科学技術に関する倫理と社会的責任を重視して運営を行う。

2. 重点分野における研究開発の推進

 総合科学技術会議は、基本計画が定める重点化戦略に基づき、各重点分野において重点領域並びに当該領域における研究開発の目標及び推進方策の基本的事項を定めた推進戦略を作成し、内閣総理大臣及び関係大臣に意見を述べる。特に重要な領域については、必要に応じて専門調査会を設けるなどの方法により、戦略を作成する。
 科学技術の進歩が激しく、社会も急速に変動する現在、総合科学技術会議は、広範な分野にわたる第一線の専門家の助言を得て重点分野の最新の動向を把握するとともに、急速に生じてきた科学技術に対するニーズへの対応について、継続的な検討を行う。その結果、推進戦略に変更の必要が生じた場合には、柔軟かつ機動的に対応する。

3. 資源配分の方針

 総合科学技術会議は、基本計画、重点分野における研究開発の推進戦略等を踏まえて、関係府省における施策の取組を把握し、不必要な重複など府省縦割りの弊害の有無や実施中の施策の効果を評価する。それを踏まえ、より効果的・効率的な取組を実現するとの観点から、次年度における特に重点的に推進すべき事項、質の高い科学技術推進のための科学技術に関する予算の規模等について内閣総理大臣に意見を述べる。その上で、総合科学技術会議は、次年度の重要な施策、資源の配分に関する考え方を明らかにし、関係大臣に示す。さらに、総合科学技術会議において示された考え方を踏まえた資源配分が行われるよう、必要に応じて予算編成過程において財政当局との連携を図る。

4. 国家的に重要なプロジェクトの推進

 国家的に重要なプロジェクトについて、特に府省の枠を越えて実施すべきプロジェクトに対しては、上記の資源配分の方針に加え、総合科学技術会議は、その実施体制等が最も効果的・効率的なものとなるよう、不必要な重複の排除等の調整に必要な意見を述べる。さらに、プロジェクトの実施段階においても、総合科学技術会議は、実施状況や施策の効果に関し必要な評価を行うことにより、国全体として整合性を持った効果的・効率的な施策の推進を図る。

5. 重要施策についての基本的指針の策定

 研究開発評価に関する大綱的指針は制定後既に3年を経過しており、基本計画を踏まえて速やかに改定する。また、研究者の流動化その他の科学技術システム改革に関する施策についても、基本計画を踏まえ、必要に応じ、基本的な指針を取りまとめる。

6. 評価

 総合科学技術会議は、大規模な研究開発その他の国家的に重要な研究開発について評価を行い、その結果を公開するとともに、推進体制の改善及び予算配分に反映させるよう関係府省に提示する。また、基本的な政策や重要事項に係る方針等に反映させるため、必要に応じ、各府省における科学技術の施策について評価を行う。

7. 基本計画のフォローアップ

 総合科学技術会議は、以上のような取組を行うとともに、基本計画に掲げる施策の実施状況を、関係府省の協力の下、フォローアップし、必要に応じ意見を付して、内閣総理大臣及び関係大臣に提示する。特に基本計画で実施計画を求めた項目については、総合科学技術会議はできるだけ早く実施計画の提出を求める。フォローアップは毎年度末に行い、3年を経過したときにより詳細なフォローアップを実施し、必要に応じて基本計画に掲げた施策の変更などに柔軟に対応する。
 また、総合科学技術会議は、関係府省の協力も得つつ、民間の活動も含め国内外の科学技術活動の実態の把握を行う。
 なお、我が国の研究開発の実施体制の在り方については、今後とも総合科学技術会議で検討を進める。


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