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5.スーパーコンピューティング人材の育成について

 我が国の計算科学技術を持続的に発展させ、スーパーコンピュータを用いて研究開発を強化していくためには、高性能計算機の開発を行う開発者、最先端のアプリケーションを開発・利用して革新的な研究結果を生み出すことのできる研究者及び企業等において計算科学技術を利用して高度なものづくりを可能とする技術者などのスーパーコンピューティング人材の育成が不可欠である。
 そこで、WGにおいて現状のスーパーコンピューティング人材育成の現状と課題、今後の方策について議論を行ったところ、以下の点が挙げられた。

(1) 大学等における人材育成の現状
   大学・大学共同利用機関における現状については、「学術情報基盤の今後の在り方について(報告)」の「3.3国家的観点からのハイ・パフォーマンス・コンピューティングの在り方 (2)情報基盤センター等におけるハイ・パフォーマンス・コンピューティング」において、以下のように記されている。
 
情報基盤センター等のスーパーコンピュータの利用者は、スーパーコンピュータを大規模かつ長時間に利用するいわゆるヘビーユーザーから、これからの自身の研究活動においてスーパーコンピュータを利用することが必要になってくるような若手研究者まで幅広い利用者層がある。また、情報基盤センター等のスーパーコンピュータを利用して推進されている研究は、さまざまな研究分野における最先端の研究に限らず、萌芽的な研究やそれまで研究手法としてスーパーコンピュータを利用してこなかった研究分野で新たにスーパーコンピュータを利用するような研究などがある。
 このような状況の中、利用者の多くは必ずしもプログラミングの専門家ではないため、多種多様な研究活動等が円滑かつ高度に推進されるよう情報基盤センター等の教職員がプログラムの改良を行うことを含め、スーパーコンピュータが利用しやすいようなサポート体制を構築する必要がある。それとともに、特に今後の我が国の科学技術・学術を強力に推進していく源とも言うべき若手研究者や大学院生、学生等に対して、利用講習会やスーパーコンピュータを活用した講義・演習を実施するなどの方策に積極的に取り組み、スーパーコンピュータを利用しようという意識を醸成する必要がある。

(2) 産業界における人材育成の現状
   シミュレーションは、現在様々な産業分野で広く活用されており、製品の開発・設計に不可欠となっているが、高度な実用ソフトウェアの開発や高性能計算機の設計、先端的なシミュレーション技術を産業に応用できる人材が不足しつつある。

(3) 今後のスーパーコンピューティング人材育成に関する課題
   大学等におけるスーパーコンピュータセンターでは運用に関わる人員、特に利用者支援に関係する人員が不足しており、ソフトウェアの移植やチューニング等に関する高度なスキルを備えた人材の育成はもちろんのこと、日本全体として計算機システムとアプリケーションの橋渡しができるような人材を安定的に育成していくための今後の枠組み作りが望まれる。
 また、近年、計算科学のアプリケーションソフトウェアの操作性が向上するにつれて、利用者がアプリケーションソフトウェアの作動原理や、理論的背景を理解していないという状況が増えつつあるが、アプリケーションソフトウェアをブラックボックス的に利用して信頼できる計算結果を得ることは難しいため、アプリケーションソフトウェアの内部に精通した人材が必要である。

(4) 今後のスーパーコンピューティング人材育成に関する方策
   スーパーコンピューティング技術を発展させ、様々な分野において計算機を利活用していくためには、以下のような人材が必要となる。
最先端のハードウェアを継続的に研究開発し、性能の持続的な向上を可能にする人材
新規のモデルやアルゴリズムの研究によって、計算科学技術の適応範囲を広げることのできる人材
アプリケーションソフトウェアをハードウェアに適合させ、ハードウェアの性能を十分発揮させることのできる人材
従来スーパーコンピュータを利用していない実験系の研究者・技術者をサポートし、スーパーコンピュータの利用者層を拡大することのできる人材
産業界において、計算科学技術を適切に利用し、革新性・信頼性のあるものづくりにつなげることのできる人材

   これらの人材を輩出するためには、体系的な育成拠点を形成することが望ましく、テストベッド上で計算機・アプリケーションソフトウェアを実際に利用しながら、計算科学の研究者やアプリケーションソフトウェア開発者によって体系的な教育を行うことが効率的である。
 また、次世代スーパーコンピュータのようなNLSに人材プールとして計算科学技術に関する幅広い人材をそろえることが重要であり、運用における利用者のソフトウェア開発支援等を通じて、シミュレーション技術や最適化等のチューニング技術等の進展が見込まれ、結果として次世代スーパーコンピュータ以降のスーパーコンピュータの開発や運用のためのさまざまな知見を蓄積することができる。

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