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資料5

「次世代スーパーコンピュータの共用のあり方について

平成18年2月1日
研究振興局情報課

 次世代スーパーコンピュータの共用のあり方について、前回(第14回)の計算科学技術推進WGでの議論及びその後のメールによる委員からの意見を取りまとめた。

1.次世代スーパーコンピュータを整備・共用する意義に関する意見
  (1)計算科学のインフラについて
  次世代スーパーコンピュータは計算科学の「大規模実験装置」として位置付け、国として整備すべきである。
  計算機科学(スーパーコンピュータ・アーキテクチャ)の研究ではなく研究開発基盤としてのインフラ整備とすべきである。

(2)共用設備の意義について
  外部ユーザーが不公平感なく計算機システムを使えるような仕組みが必要である。
  スーパーコンピュータのように巨大な設備を共同利用することは、費用的に大きな負担となる資源の効率的運用という観点で、大きな意義がある。
  単独の研究機関や企業では、幅広い計算ニーズに対応する世界最高性能の計算機システムを導入・維持することは、設置スペースや費用等の問題で困難である。従って、外部からの共同利用が可能な超高速計算機センターが設置されることへの要望が強い。
  先端計算科学技術センター(仮称)(以下、「スパコンセンター」)は、国策として「トップダウン型」のチャンピオンデータの計算に用いられるのはもちろんのことであるが、大学等の情報基盤センター群の負っている「ボトムアップ型」研究のための計算がより巨大なリソースを必要としたときに、それを受け入れる余地を残しておくべきである。
  情報基盤センターから溢れるジョブは、大規模な実行資源を要求するものであり、スパコンによる実行が繰り返され高性能演算のために研鑽され尽くしたものであるので、次世代スーパーコンピュータにおいても、実行する価値のあるものである。
  グリッド技術を用いて次世代スーパーコンピュータで実行できるような制度と支援が必要である。

2.次世代スーパーコンピュータの整備に関する意見

  (1)運用を考慮した整備について
  運用方針に応じて、システムに対する要件も変化してくる。このため整備段階において運用方針も並行して検討すべきである。
  セキュリティ、データスループット、巨大実験装置からなるシステムの一部として、次世代スーパーコンピュータが位置付けられるとすると、データ収集とシミュレーションをリンクした形のシステムも考えられ、運用要件について集中的に議論する場が必要である。
  データに関するセキュリティは大きな課題であるが、企業側がシステムを利用する上での要求を精査する必要がある。

(2)グリッドとデータベース技術について
  世界最高水準の仮想研究環境の中のデータベース化された実験データと次世代スーパーコンピュータの膨大な計算結果データを、知的資産として容易に再利用できる仮想研究環境を構築することで、革新的な共同研究成果に発展させる必要がある。
  利用技術もデータベースとして管理し、データマイニングによって得られた新たな知見を蓄積するような利用技術の展開が必須である。
  外部利用者のための、遠隔地からのネットワーク利用が可能な環境整備が必要である。
  機密保持などのセキュリティへの要望が高いため、グリッドでの認証等を検討すべきである。

(3)パーティショニングとセキュリティについて
  産業界のユーザーに対応するための空間的なパーティショニング機能が必要である。
  時間的なパーティショニングだけでは不十分であり、それを考えた上でのアーキテクチャの検討が必要である。
  ストレージのデータにおけるコンフィデンシャリティ(秘匿性)、ネットワークに対するアーキテクチャの検討も必要である。
  セキュリティの確保の重要性は大学・公的研究機関と産業界とで変わることはない。研究では2番手は意味がないことから産業界よりも厳しくセキュリティを要求される場合がある。
  システムを分割して利用する場合、システムソフトウェアを作るよりは、運用でカバーした方がコストが安い。
  システムを分割して利用することは、大規模計算を志向する次世代スーパーコンピュータとしては不適当である。

(4)スーパーコンピュータに係るアプリケーションについて
  次世代スーパーコンピュータプロジェクト内で整備されるアプリケーション(ナノ・材料、ライフサイエンス)だけでなく、より広範に大規模ソフトウェア開発プロジェクトに関しては是非とも次世代スーパーコンピュータの活用を視野に入れたものとすべきである。

(5)ソフトウェアの収集について
  共用促進をしていく過程で、良い実績のある枯れたソフトウェアがスパコンセンターに集まる仕組みを考えるべきである。
  文部科学省を中心に日本には非常に優れたソフトがすでに開発されている。しかし、現状では開発関係者以外には広く使われているという状況ではない。これは実行環境が整備されていなかったことが一つの要因と考えられる。これらのソフトウェアはすでに研究としては済んでいるため、改めて研究開発の対象に選ばれることは非常に少ない。しかしその一方では動作の安定性が実証されていることも多く、そのままにしておくのはもったいないと考えられる。そうした中で、戦略的基盤ソフトウェア・革新的ソフトウェアの開発では、保守・普及を担当する民間企業があり画期的である。
  商用ソフトウェアのポーティングのためには商用ソフトウェアベンダーの協力を得ることが必要である。

3.運用段階における組織・体制に関する意見

  (1)利用研究業務について
  共用促進主体の中に技術的な研究を行う組織が必要である。組織設計を検討項目に反映させる必要がある。検討にあたり、共用促進主体が運用だけを行うのか、継続的な取り組みを行うのかが検討する前提として重要になってくる。
  スパコンセンターにおいて、研究を行わないと優秀な人材を集めることができないため、研究業務を行うべきである。そこで計算科学の分野で独自の成果を出す必要があり、計算機科学では新しい技術を開発、あるいは世間一般の新技術を運用に反映させる必要がある。
  研究者を新しい組織に迎えるためには、何らかの優遇措置が必要である。例えば、計算機の優先利用や計算時間配分の配慮、処遇の配慮などである。
  スパコンセンターの研究者はハードウェアの設置される場所に滞在すべきである。ネットワークが発展しても、研究の進展はやはりface to faceが基本である。
  技術が蓄積されるような継続的な取り組みを如何にして行っていくかを検討する必要がある。

(2)人材育成関連について
  スーパーコンピュータの利用技術をもった人材(並列プログラム開発者、次世代スパコンシステムに精通した開発支援者など)を育成すべきである。
  人材育成のための特徴ある研究拠点の形成が必要である。
  広報活動等を通じた教育が必要である。
  人材育成により利用者の能力アップを図ることで、得られる成果が増加する。

(3)研究交流について
  利用者間の研究交流を図るべきである。
  広報誌、研究会、ネットワークを通じた情報共有・情報公開を行うべきである。
  開発段階においても、情報発信(学会での発表等)により、利用者の掘り起こしを行うべきである。
  国外の研究機関との研究交流を行うべきである。

(4)研究者集積の必要について
  継続的な取り組みには、運用からの要望を統合して、ソフトウェア、あるいはハードウェアのアーキテクトがスパコンセンターにいる必要がある。
  次世代スーパーコンピュータの次のシステムを考えてゆくグループは、次世代スーパーコンピュータを運用しているグループとヘビーユーザーのグループの近いところにいることは、継続性の上で重要である。

(5)継続性のための組織について
  開発段階で共用促進主体に移行するような共用のしくみとなっているようだが、開発主体は次世代で消えるのか、それとも生き続けるのか、あるいは、共用促進主体に新たに次々世代の開発主体を作ってゆくのかを明確にすべきである。
  継続性を維持するのに、開発主体が消えてしまうのは心配である。
  共用促進主体と先端計算科学技術センター(仮称)の位置付けや相違点が不明確であるため、開発主体と合わせた関係を整理すべきである。
  次の次のスーパーコンピュータの研究開発グループを持つべきであるが、特定の機関が継続的に行うのは良くない。

4.課題選定、資源配分のあり方に関する意見
  (1)選定の基準について
  次世代スーパーコンピュータは、我が国における最高性能計算機であるので、次世代スーパーコンピュータでなければ実行できないもの(一定水準以上の超大規模ジョブ)に限定する。
  課題選定は、我が国の科学技術振興および産業発展の見地から行われるべきである。
  利用申請を一般から公募するが、グランドチャレンジを行う事業とは別なのか、それとも、グランドチャレンジを含めたすべての事業は何らかの審査を行うのか(全てボトムアップ的に公募を行うのか)を決めておく必要がある。
  資金をばらまくとほとんど意味がなくなることから、何らかの絞り込みが必要と考えられる。
  計算機利用能力を考慮した利用者の絞り込みも必要である。あまりにユーザーを拡げすぎると次世代スーパーコンピュータの利用による成果も発散してしまうおそれがある。

(2)計算科学と計算機科学について
  次世代スーパーコンピュータの利用については、計算科学優先なのか、計算機科学も利用可能にするのか検討を行う必要がある。計算機科学において次世代スーパーコンピュータの評価研究、開発したソフトウェアの評価研究を行うならば、ある程度のマシン利用時間は必要となり、しかもシステム全体を使う必要がある。特にOSなど基本ソフトウェアやライブラリなどの研究の場合には、マシン不安定を引き起こすことがあるため、計算科学の研究に影響を与えるおそれがある。

5.成果の取扱いと費用負担のあり方に関する意見
  (1)費用負担の考え方について
  次世代スーパーコンピュータを産学官で共同利用するために、費用負担、セキュリティ、情報公開などの仕組みを整備すべきである。
  費用負担とセキュリティと成果の帰属は密接な関係があるので、これにいろいろな選択肢を用意することを検討すべきである。知的財産権を含めた成果の扱いによって費用負担は変わるべきであり、セキュリティの保証のレベルにも関わる。
  多くの企業は見合う成果が得られるのであれば相応の費用負担をするため、成果の取扱いと連動させたメニューを用意することが顧客獲得には必要である。

(2)運営費の確保について
  スパコンセンターは1年間の運用経費を保持する必要がある。運用経費の一部を外部資金に依存することになると、年間を通じたマシン運転の計画が立てることができない。
  利用者への課金により得た収入は、次年度に組み入れて、国からの運用経費を削減するなど、多年度の決算が可能な財務体制にするなどの仕組みを検討すべきである。
  課題選定で認められた計算機利用料をダイレクトにスパコンセンターに振り替えられる制度などを検討すべきである。
  フルで稼働させる経費が定常的にスパコンセンターに予算化されるべきで、そうでないと利用状況に応じてマシン停止が発生し、せっかくの施設の有効利用を図ることができなくなる。

6.利用支援に関する意見
 
  プログラムの最適化や利用に関する技術的な支援を行うべきである。
  利用手続の簡素化、共同利用メニューの多様化を検討すべきである。
  ユーザーが、このような大規模なシステムを使うには、人的支援が必要である。そのため、ユーザーの選定と同時に資金の支援も検討する必要がある。

7.大学・研究機関の情報基盤センターとの連携に関する意見
 
  高速化支援などの利用者支援については、スパコンセンター側、大学・研究機関などの情報基盤センター側が適宜分担するべきである。
  既存の情報基盤センターとスパコンセンターはともに一層の機能の充実を図り、将来とも十分に役割を果たすべきである。
  大学・研究機関などの情報基盤センターは、現在の役割(大学共同利用など)を保持し続けるとともに、大学・研究機関などの多様な研究者の萌芽的、かつ潜在的に大規模計算を必要とする研究に対し支援を行い、スパコンセンターのフロントエンドマシンの位置付けとして、プログラム開発やデバッグを可能とするなどの分担が考えられる。
  大学・研究機関などの情報基盤センターの計算機をグリッド化し、そこでは「疎結合」連成計算を行い、スパコンセンターでは「密結合」連成計算を行うといった「使い分け」を考慮するべきである。


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