アプリケーションの実行に要求されるシステム性能
●演算性能
以下に、2010年ごろに各アプリケーションに必要とされる、実効性能をまとめた。
1 |
各システムが連携して、シミュレーションを行う |
2 |
いずれかのシステムを採用 |
3 |
ピーク性能 |
4 |
特定処理計算加速機との連携処理を検討中。 |
| 分野 |
項目 |
応用 |
将来必要な実効性能(テラFLOPS) |
| 大規模処理 |
逐次処理 |
特定処理 |
| ライフサイエンス |
高精度スクリーニング、巨大生体分子の動作機構解明、タンパク質の立体構造予測 |
創薬のための近似模擬実験 |
 |
50 |
20,000 |
| 生体高分子の量子化学計算 |
創薬のための詳細模擬実験 |
1000 |
 |
 |
| 生体マルチシミュレーション |
人間丸ごとシミュレーション |
300 |
280 |
5,000 |
| 天文・宇宙物理 |
銀河形成シミュレーション |
銀河形成シミュレーション |
 |
50 |
20,000 |
| 惑星形成シミュレーション |
惑星形成シミュレーション |
 |
50 |
20,000 |
| 宇宙・航空 |
実用燃焼の詳細シミュレーションによる燃焼現象の解明と制御 |
ロケットエンジン燃焼シミュレーション |
 |
200 |
 |
| 航空機の飛行シミュレーションによる安全性・環境性の評価と改善 |
航空機安全性適合検証 |
 |
150 |
 |
| 航空宇宙機における賢い飛行制御 |
航空宇宙機リアルタイム運行制御 |
500 |
 |
 |
| 太陽系探査・宇宙環境利用/宇宙空間プラズマ解析 |
宇宙環境変動予測 |
1,000 |
 |
 |
| 物質・材料 |
触媒設計シミュレーション |
触媒設計シミュレーション |
200 |
50 |
4 |
| 光励起反応シミュレーション |
超高速光スイッチ設計等 |
500 |
 |
 |
| 強相関電子系バーチャル物質設計シミュレーション |
電子相互作用を考慮したデバイスシミュレーション |
 |
4,000 |
4 |
| 強相関ナノ物質の輸送現象シミュレーション |
強相関ナノ物質の輸送現象シミュレーション |
 |
200 |
 |
| 原子力 |
熱流動直接解析シミュレーション |
熱流動直接解析シミュレーション |
500 |
 |
10,000 |
| 核融合プラズマの微視的乱流シミュレーション |
核融合プラズマの微視的乱流シミュレーション |
500 |
 |
 |
| 高強度レーザーと物質の相互作用シミュレーション |
高強度レーザーと物質の相互作用シミュレーション |
500 |
200 |
 |
| 地球環境 |
大気・海洋結合シミュレーション |
全球雲解像シミュレーション |
600 |
 |
 |
| 非静力・大気海洋陸面雲物理結合を考慮した全球−領域−局所連結階層シミュレーション |
台風進路、集中豪雨予想 |
230 |
 |
 |
| エルニーニョ1年予測 |
エルニーニョ1年予測 |
500 |
 |
 |
| 防災 |
数値震動台 |
建築物振動耐性シミュレーション |
 |
10 |
 |
| 地震動予測シミュレーション |
地震被害予測 |
 |
100 |
 |
| 溶岩流シミュレーション |
溶岩流による被害予測 |
 |
3 |
 |
| 火山噴火シミュレーション |
火山噴火シミュレーション |
400 |
 |
 |
| オイルスピル(重油拡散)シミュレーション |
重油拡散シミュレーション |
2000 |
 |
 |
| 津波防災シミュレーション |
津波防災シミュレーション |
1000 |
 |
 |
| 流体(基礎科学) |
一様等方性乱流シミュレーション |
乱流シミュレーション |
500 |
 |
 |
| 宇宙プラズマ・核融合プラズマ |
磁気流体・粒子連結階層シミュレーション |
オーロラ発光と炉心プラズマ崩壊の解明 |
220 |
20 |
 |
| ものつくり |
VCAD |
仮想モックアップによる設計の大幅効率化 |
300 |
280 |
 |
| CAE |
自動車衝突解析自動化 |
256 |
461 |
 |
大規模処理計算機では、防災分野の「重油拡散シミュレーション」で2ペタFLOPS、ライフサイエンス分野の「創薬のための詳細模擬実験」と宇宙・航空分野の「宇宙環境変動予測」で、1ペタFLOPSという高い実効性能が必要となる。それ以外の大規模処理計算機を対象としているアプリケーションでは、200〜600ギガFLOPSの実効性能が必要とされる。
逐次処理計算機では、物質・材料分野の「電子相互作用を考慮したデバイスシミュレーション」で、4ペタFLOPSという非常に高い実効性能が必要とされる。「電子相互作用を考慮したデバイスシミュレーション」では、モンテカルロ法が使用されており、特定処理計算加速機での対応の可能性が検討されている。更に、触媒設計シミュレーションに関しても同様に、特定処理計算加速機を使った連携処理の可能性がある。それ以外の逐次処理計算機を対象としているアプリケーションでは、3〜461ギガFLOPSの実効性能が必要となる。
特定処理計算加速機については、ライフサイエンスの「創薬のための近似模擬実験」と天体・宇宙物理分野で20ペタFLOPSの実効性能が要求されている。
●メモリ転送性能・ノード間通信性能・メモリ容量
・大規模処理計算機
【2010年ごろに必要とされるメモリ転送能力、ノード間通信性能、ノード内のメモリ容量】
| 分野 |
項目 |
応用 |
メモリ転送能力(Byte 演算) |
ノード間通信性能(ギガByte ) |
ノード内メモリ容量(ギガByte) |
| ライフサイエンス |
生体高分子の量子化学計算 |
創薬のための詳細模擬実験 |
4 |
64 |
256 |
| 生体マルチシミュレーション |
人間丸ごとシミュレーション |
16 |
80 |
512 |
| 宇宙・航空 |
航空宇宙機における賢い飛行制御 |
航空宇宙機リアルタイム運行制御 |
 |
 |
10 |
| 太陽系探査・宇宙環境利用/宇宙空間プラズマ解析 |
宇宙環境変動予測 |
 |
 |
 |
| 物質・材料 |
触媒設計シミュレーション |
触媒設計シミュレーション |
8 |
24 |
128 |
| 光励起反応シミュレーション |
超高速光スイッチ設計等 |
8 |
50 |
512 |
| 原子力 |
熱流動直接解析シミュレーション |
熱流動直接解析シミュレーション |
4 |
16以上 |
400 |
| 核融合プラズマの微視的乱流シミュレーション |
核融合プラズマの微視的乱流シミュレーション |
4 |
16以上 |
400 |
| 高強度レーザーと物質の相互作用シミュレーション |
高強度レーザーと物質の相互作用シミュレーション |
4 |
16 |
400 |
| 地球環境 |
非静力学大気・海洋結合シミュレーション |
全球雲解像シミュレーション |
4 |
64 |
256 |
| 非静力・大気海洋陸面雲物理結合を考慮した全球−領域−局所連結階層シミュレーション |
台風進路、集中豪雨予想 |
4 |
64 |
128 |
| エルニーニョ1年予測 |
エルニーニョ1年予測 |
4 |
250 |
250 |
| 防災 |
火山噴火シミュレーション |
火山噴火シミュレーション |
4 |
250 |
250 |
| オイルスピル(重油拡散)シミュレーション |
重油拡散シミュレーション |
4 |
250 |
200 |
| 津波防災シミュレーション |
津波防災シミュレーション |
4 |
250 |
250 |
| 流体(基礎科学) |
一様等方性乱流シミュレーション |
乱流シミュレーション |
8 |
768 |
1500 |
| 宇宙プラズマ・核融合プラズマ |
磁気流体・粒子連結階層シミュレーション |
オーロラ発光と炉心プラズマ崩壊の解明 |
4 |
64 |
128 |
| ものつくり |
VCAD |
仮想モックアップによる設計の大幅効率化 |
16 |
80 |
4096 |
| CAE |
自動車衝突解析自動化 |
16 |
80 |
1024 |
メモリ転送能力については、ライフサイエンスの「人間丸ごとシミュレーション」、ものつくり分野において、16Byte 演算の高い性能が要求されている。それ以外のアプリケーションについては、4〜8Byte 演算の性能が要求されている。
ノード間通信性能については、流体分野で768ギガByte 、防災分野で250ギガByte と非常に高い転送性能が要求されている。流体・防災を除く分野での要求性能は、80ギガByte 以下である。ノード間通信性能と要求される実効演算性能を比較すると、流体分野で約1.5Byte 演算という演算に対して非常に高い通信性能が必要とされている。また、地球環境分野の「エルニーニョ1年予測」と防災分野の「火山噴火シミュレーション」においても、0.5Byte 演算以上の高い性能が必要となっている。これら以外のアプリケーションでは、概ね0.3Byte 演算以下の比率となっている。
ノード内メモリ容量については、ものつくり分野と流体分野で大容量のメモリが要求されている。(仮想モックアップによる設計の大幅効率化:4テラByte、自動車衝突解析自動化:1テラByte、乱流シミュレーション:1.5テラByte)
・逐次処理計算機
【2010年ごろに必要とされるメモリ転送能力、ノード間通信性能、ノード内のメモリ容量】
| 分野 |
項目 |
応用 |
メモリ転送能力(Byte 演算) |
ノード間通信性能(ギガByte ) |
ノード内メモリ容量(ギガByte) |
| ライフサイエンス |
高精度スクリーニング、巨大生体分子の動作機構解明、タンパク質の立体構造予測 |
創薬のための近似模擬実験 |
2 |
5 |
1 |
| 生体マルチシミュレーション |
人間丸ごとシミュレーション |
8 |
20 |
512 |
| 天文・宇宙物理 |
銀河形成 |
銀河形成シミュレーション |
2 |
5 |
1 |
| 惑星形成 |
惑星形成シミュレーション |
2 |
5 |
0.1 |
| 宇宙・航空 |
実用燃焼の詳細シミュレーションによる燃焼現象の解明と制御 |
ロケットエンジン燃焼シミュレーション |
1 |
50 |
256 |
| 航空機の飛行シミュレーションによる安全性・環境性の評価と改善 |
航空機安全性適合検証 |
1 |
50 |
256 |
| 物質・材料 |
触媒設計シミュレーション |
触媒設計シミュレーション |
2 |
8 |
128 |
| 強相関電子系バーチャル物質設計シミュレーション |
電子相互作用を考慮したデバイスシミュレーション |
1 |
12 |
32 |
| 強相関ナノ物質の輸送現象シミュレーション |
強相関ナノ物質の輸送現象シミュレーション |
2 |
16 |
192 |
| 原子力 |
高強度レーザーと物質の相互作用シミュレーション |
高強度レーザーと物質の相互作用シミュレーション |
1 |
1.6 |
512 |
| 防災 |
数値震動台 |
建築物振動耐性シミュレーション |
 |
 |
64 |
| 地震動予測シミュレーション |
地震被害予測 |
 |
 |
64 |
| 溶岩流シミュレーション |
溶岩流による被害予測 |
 |
 |
16 |
| ものつくり |
VCAD |
仮想モックアップによる設計の大幅効率化 |
8 |
20 |
4096 |
| CAE |
自動車衝突解析自動化 |
0.5 |
10 |
1024 |
| 宇宙プラズマ・核融合プラズマ |
磁気流体・粒子連結階層シミュレーション |
オーロラ発光と炉心プラズマ崩壊の解明 |
 |
5 |
256 |
メモリ転送能力については、ライフサイエンスの「人間丸ごとシミュレーション」、ものつくり分野の「仮想モックアップによる設計の大幅効率化」で大規模処理計算機並(8Byte 演算)の性能が必要となる。それら以外のアプリケーションについては、2Byte 演算以下が必要要件となっている。
ノード間通信性能については、5〜20ギガByte 程度の性能が要求されており、実効演算性能との比で見ると、0.33Byte 演算以下となっている。特に、ライフサイエンスと天体・宇宙物理分野では、高性能の特定処理計算加速機と組み合わせて実行されるため、実効演算性能に対する通信性能の比は小さい。
ノード内メモリ容量については、ものつくり分野で大容量のメモリが要求されている。(仮想モックアップによる設計の大幅効率化:4テラByte、自動車衝突解析自動化:1テラByte)逆にライフサイエンスの「創薬のための近似模擬実験」と天体・宇宙物理分野で要求されるメモリ容量は非常に小さい。 |