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(参考3)

アプリケーション分野毎の必要性能条件について

 報告書のP9〜22に記述しているアプリケーション分野毎の、必要性能条件を示している具体的な計算例について、以下に示す。


≪ライフサイエンス分野≫

  高精度スクリーニング、巨大生体分子の動作機構解明、タンパク質の立体構造予測【10〜100ペタフロップス級】
     高精度スクリーニングでは、水を含め50,000原子程度の系(たんぱく質としては形状にもよるが、100残基強)を対象とし、古典分子動力学的手法を使用し、タイムスケールとしてナノ秒で、薬剤候補物質10,000個毎日のスクリーニングを行った場合、専用機で10ペタフロップス程度、汎用機では数ペタフロップス程度が必要となる。

  生体高分子の量子化学計算【1〜100ペタフロップス級】
     例えば、300残基程度のたんぱく質を対象とした場合、Fragment MOを用いた第一原理分子動力学を使い、タイムスケールをナノ秒とすると、1週間程度で計算するには100ペタフロップスが必要である。

  生体力学・生理学シミュレーション【1〜10ペタフロップス級】
     例えば、診療用ではメッシュサイズ平均0.25ミリメートル、計算ボクセル数48Gとし、約1時間で計算するならば、実効性能で1ペタフロップスが必要である。また、研究用としては、メッシュサイズ最小0.01ミリメートル(240ペタワード)のものを約30日で計算するならば、実効性能で1ペタフロップスが必要である。

  ヒューマンシミュレーション【1〜100ペタフロップス級】
     生体力学・生理学シミュレーションとミクロな分子系のシミュレーションを組み合わせる。計算ネックとなるのは、生理的なシミュレーションに相当するマクロな分布定数系である。ヒューマンシミュレーションでは、実時間で1ヶ月程度の変化を追う必要があるため、生体力学・生理学シミュレーションに適応モデルを組み込むことにより数十倍程度の時間がかかる。メッシュ数は診療用の場合、メッシュサイズ平均0.25ミリメートル、計算ボクセル数48ギガを数時間程度で計算を終えるためには、実効性能10ペタフロップスが必要である。また、研究用の場合、メッシュサイズで最小0.01ミリメートルとすると、数日程度で計算を終えるためには、実効性能100ペタフロップスが必要である。

≪天体分野≫

  銀河形成シミュレーション【10ペタフロップス級】
     銀河の多様性の理解のために、星形成までを含めた銀河形成のシミュレーションを行う場合、粒子数100億、タイムスケールが宇宙年齢(150億年、〜10,000ステップ)とすると、計算時間を1モデルあたり10日とすると、約10ペタフロップスの性能が必要となる。

  惑星形成シミュレーション【10ペタフロップス級】
     ガス円盤と原始惑星・微惑星の相互作用を含めた惑星形成のシミュレーションを行う場合、粒子数を1億、タイムスケールが500万年とし、5億ステップで、計算時間を1モデルあたり20日とすると、約10ペタフロップスの性能が必要となる。

≪宇宙・航空分野≫

  乱流燃焼シミュレーション【500テラフロップス級】
     現状行っている水素の燃焼解析から、メタンの燃焼解析に切り替えるためには、約500テラフロップスが実現できれば、数ヶ月で計算できる。

  飛行安全環境シミュレーション【500テラフロップス級】
     飛行機に対して縦横5倍程度の広さ、縦方向2倍程度の高さの計算領域の計算を行うには、500テラフロップス程度が必要である。

  リアルタイム安全運航システム【600テラフロップス級】
     リアルタイム性が要求されるため、例えば、約1分で計算結果を得るためには、600テラフロップス程度の性能が必要である。

≪物質・材料分野≫

  触媒設計シミュレーション【数10ペタフロップス級】
     3000原子程度の多数原子群に対する100ピコ秒間程度の第一原理MD計算を行った場合、1日程度で結果を出すには、数10ペタフロップスの性能が必要である。

  光励起反応シミュレーション【数ペタフロップス級】
     1000原子程度の原子群に対する1ピコ秒間程度の第一原理MD計算を行う場合、3日で計算結果を出すには1ペタフロップスの性能が必要である。

  強相関電子系バーチャル物質設計シミュレーション【数ペタフロップス級】
     強相関電子系の物質設計で、例えば、NiOの磁性を解明するには、最低限64原子NiOに対して、10のマイナス4乗eV程度の精度での計算が必要であり、これは、数テラ機で約100ヶ月の計算である。数日で結果を得るには、数ペタフロップスの性能が必要である。

≪原子力分野≫

  熱流動直接解析【1〜1000ペタフロップス級】
     次世代稠密炉心原子炉の技術実証炉の炉心(直径約7メートル)全体について燃料棒間で生じる気液二相流の挙動を気泡の動きも把握できる10マイクロ程度の空間メッシュ幅で予測する場合に必要な性能を以下に試算する。
    [試算例]
 現在は、計算資源の制約があるため、37本の燃料棒から成る小型燃料集合体(断面が1辺約51.6ミリメートルの正六角形で高さが1260ミリメートルの六角柱形状の中に直径約13ミリメートルの燃料棒が37本配列)1体のみを想定し、水平方向0.15ミリメートル鉛直方向0.45ミリメートルメッシュで622かける555かける2800個の格子点を用い、記憶容量約3.866テラバイトの計算を行っている。これをこの精度のままで、217本の燃料棒から成る標準燃料集合体282体から成る次世代稠密炉心原子炉の技術実証炉炉心全体を計算しようとすると、(217/37)かける282倍の6.394ペタバイトの記憶容量が必要になる。さらに、燃料棒間で生じる気液二相流の挙動解析を気泡の動きも把握できる高精度のシミュレーションに近づけるため、例えば水平方向15マイクロ鉛直方向45マイクロ10倍高精度なメッシュにすると、格子点数が1000倍になるので、6394ペタバイトとなる。従って、現在のシミュレーションによる処理速度を1テラバイトあたり1テラフロップスだと仮定すれば、6394ペタバイトのデータを同じ時間で処理するためには6394ペタバイトの計算速度が必要になる。

  核融合プラズマ注釈の微視的乱流シミュレーション【1〜100ペタフロップス級】
     数メートルの核融合プラズマ全体の中で、1ミリメートルオーダーの微視的乱流状態にあるイオンとさらにその百分の1スケールの微視的乱流状態にある電子の両方を把握できる空間メッシュ幅で予測する場合に必要な性能。
    [試算例]
 現在は、計算資源の制約があるため、JT-60サイズの核融合プラズマについて1ミリメートルオーダーの大きさで微視的乱流状態になるイオンのみを計算している。160かける128かける128の格子点で10000ステップの計算をするのに、0.5テラバイト、0.5テラフロップスで1ヶ月を要している。電子の微視的乱流状態は、イオンの微視的乱流状態のスケールよりも百分の1以上小さい。このため、電子の運動も把握できる高精度のシミュレーションに近づけるため、例えば、各方向とも100倍高精度なメッシュにすると、計算速度が 0.5テラフロップスかける100かける100かける100イコール500ペタフロップス の場合にはじめて従来と同じ計算時間をキープできることになる。

  高強度レーザーと物質の相互作用シミュレーション【0.1〜1ペタフロップス級】
     高強度レーザーと固体密度物質の相互作用、レーザーによるレーザーの反射などの現象を、レーザーの物質への染みこみ状態や反射波したレーザーの波長程度のスケールまで把握できる数ナノメートルの空間メッシュ幅で予測する場合に必要な性能。
    [試算例]
 高強度レーザーと固体密度物質の相互作用を解析するシミュレーションでは、光が物質に染み込む長さ(スキン長)で、計算格子はこれを分解できる程度に細かくなければならない。計算体系を、レーザーの集光径の2倍程度〜20ミクロンを一辺とする断面とレーザー進行方向に対して長さ200ミクロンからなる直方体(200マイクロかける20マイクロかける20マイクロ)とし、例えば5ナノメートルのメッシュ幅を仮定すると、格子数は40,000かける4,000かける4,000程度となる。記憶容量としては、100テラバイト近くが必要となる。また、レーザーによるレーザーの反射現象の解析(フライングミラーシミュレーション)においても、反射するレーザー光の波長は、数ナノメートルとなり、これを分解できるメッシュ幅を仮定すると、上記と同様に100TB程度の記憶容量が必要となる。現在行っている小規模なシミュレーションでは、1TBの情報を1テラフロップスで処理していて約10日間の計算時間を要している。従って、100TBなら、100テラフロップスの計算機があれば従来と同じ10日間で処理できる。すなわち、これを1日で終わらせようとすれば、1ペタフロップスが必要である。

≪地球環境分野≫

  大気・海洋結合シミュレーション【数100テラフロップス級】
  非静力・大気海洋陸面雲物理結合を考慮した全球−領域−局所連結階層シミュレーション【数100テラフロップス級】
     数100テラフロップス級の内訳については、海洋研究開発機構・地球シミュレータセンターが提案している連結階層シミュレーターで実現することを想定した場合、大気の循環を400テラフロップス級のベクトル機を、雲・雨生成の物理を100テラフロップス級のスカラ汎用機を用いることから、合計約500テラフロップスとみなしている。このケースでは、全球規模(水平方向1万キロメートルスケール、鉛直方向10キロメートルスケール)と局所領域(1ミリメートルスケール以下)を同時に解くためには、水平方向に10の10乗のスケール差、鉛直方向に10の7乗のスケール差を解く。

≪防災分野≫

  数値震動台【数ペタフロップス級】
     5.5メートルかける7.28メートルの2階建て木造住宅、20秒分、接点数 1,000自由度 2,000要素数 2,500要素相互の接触・衝突を考慮し、ステップ数 200,000 (1/10,000秒)では、10時間で100ケースを計算する場合、1ペタフロップスの性能が必要となる。

  地震波伝播シミュレーション【数100テラフロップス級】
     50メートルメッシュ、5分間分、格子数2400かける4000かける100とした場合、1ケースあたり、7.5時間で結果を得るためには、640テラフロップスの性能が必要となる。理想的には、7.5時間から1時間への短縮のためには、4.8ペタフロップス、更に、20ケースを同時に計算できるには、100ペタフロップスが必要である。

  溶岩流シミュレーション【数100テラフロップス級】
     例えば、50メートルメッシュ、408時間分、格子数800かける800かける100では、6時間で10ケースを同時に行う場合、120テラフロップスが必要となる。

    以上


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