ここからサイトの主なメニューです
計算科学技術推進WG(第15回)議事録

1. 日時
  平成18年2月1日(水曜日)15時〜17時

2. 場所
  文部科学省 F3・4会議室(10階)

3. 出席者
 
委員: 矢川主査、石井委員、伊藤委員、宇佐見委員、大島委員、岡本委員、奥田委員、泰地委員、根元委員、姫野委員、松尾委員、松岡(聡)委員、松岡(浩)委員、村上委員、室井委員、諸星委員、横川委員
特別講演者: 小池 秀耀 様(アドバンスソフト株式会社 代表取締役社長)
事務局: 文部科学省 研究振興局 清水局長、藤田審議官、情報課 松川課長、星野情報科学技術研究企画官、柴崎学術基盤整備室長、中里課長補佐
スーパーコンピュータ整備推進本部 渡辺研究振興官

4. 議題
 
(1) 「最先端・高性能汎用スーパーコンピュータの開発利用」プロジェクトの今後の説明について(報告)
(2) アプリケーションソフトウェアの発展に向けて
<説明者>小池 秀耀 様(アドバンスソフト株式会社 代表取締役社長)
(3) 「最先端・高性能汎用スーパーコンピュータの開発利用」におけるソフトウェアの普及方策について
(4) 次世代スーパーコンピュータの共用のあり方について
(5) その他

5. 配付資料
 
資料1   計算科学技術推進ワーキンググループ(第14回)議事概要(案)
資料2 「最先端・高性能汎用スーパーコンピュータの開発利用」プロジェクトの今後の進め方について(報告)
資料3 アプリケーションソフトウェアの発展に向けて
資料4 「最先端・高性能汎用スーパーコンピュータの開発利用」におけるソフトウェアの普及方策について
資料5 次世代スーパーコンピュータの共用について
資料6 計算科学技術推進ワーキンググループ これまでの活動と今後の予定(案)
参考1 先端大型研究施設の共用の枠組み
参考2 SC|05レポート

6. 議事概要
 
(1) 冒頭、渡辺研究振興官が紹介された。その後、「最先端・高性能汎用スーパーコンピュータの開発利用」プロジェクトの今後の進め方について、資料2に基づき、事務局が説明を行った後、以下の質疑応答が行われた。
  (●:委員、○:主査、△:事務局)

 
委員  ハードウェアの製作が平成22年度の1年とちょっとで行うことになっているが、このスケジュールでは難しいのではないか。

事務局  平成22年度にシステムの一部が導入され、平成23年度にシステム全体が完成するということである。

委員  ターゲットアプリケーションはナノテクノロジーとライフサイエンス分野のみから選定されるのか。

事務局  アプリケーション検討部会において検討を行っているところだが、ターゲットアプリケーションはナノテクノロジーとライフサイエンス分野に限らない。アプリケーション検討部会は、この2分野に限らず幅広い分野の委員から構成されている。

委員  計算科学技術推進ワーキンググループはプロジェクトにおいてどのような位置付けになるのか。

事務局  情報科学技術委員会は本プロジェクトを含むIT分野のプロジェクトに対する諮問機関である。計算科学技術推進ワーキンググループは情報科学技術委員会の下部組織であり、プロジェクトの上位に位置している。今後とも先生方のご意見を承りたい。

委員  プロジェクトは1,000人を超える大規模なものとなり、工程管理等が重要である。プロジェクトマネージメントの体制はどうなっているのか。

事務局  文部科学省内は推進本部7名と専任ではない情報課十数名の協力を得て推進する。開発主体である理化学研究所は、現在20名程度が専任となっており、予算が執行可能になり次第、人員の拡充を図っていく予定。

委員  スーパーコンピュータプロジェクトが継続的に行われることで、計算機科学、計算科学の両分野で人材育成の機運が高まるとともに、学生の人気が戻ってくると期待される。このプロジェクトにドクター、ポスドクを含め産学官から広く参加できるようにお願いしたい。

委員  ターゲットアプリケーションの定義は何か。

事務局  アーキテクチャ評価のための、次世代スーパーコンピュータで動作することが想定されるアプリケーションと定義している。

委員  アプリケーション部会がプロジェクト推進委員会の下にあり、理化学研究所の中にはアプリケーション検討部会があるが、これらはどう違うのか。

事務局  理化学研究所の検討部会は実際のアプリケーションの検討、選定、評価を行う。文部科学省の部会は、プロジェクト推進側の決定機関として設置する。メンバーは同じだが位置づけが異なる。


 
(2) アプリケーションソフトウェアの発展に向けて、資料3に基づき、小池様から講演を行った後、以下の質疑応答が行われた。
  (□:小池様、●:委員、○:主査、△:事務局)

 
委員  アプリケーションソフトウェアは、CADやPDM(Product Data Management)などのインフラと無関係ではないと思われるが、どのように考えているか。

小池様  今の産業界でのソフトウェアの利用形態は、流体だけ、構造だけという単独での利用ではなく、流体と構造を統合化してCADなどと連携して全体を最適化することが重要になってきている。
 自動車向けのCADはかなり標準化されており、アメリカのPro/EなどのCAEの会社は流体解析などを取り込んで統合する動きがある。CADAMがABAQUSを吸収したのも同様である。ソルバーだけでなく統合化を行う産業界の努力が必要である。アドバンスソフトでも「デジタルエンジニアリング」というコンセプトで、CADなどとインターフェースを取っていく所存。国のプロジェクトでその部分まで行うのは難しいだろう。

委員  すべて統合するのではなくて、CADとのインターフェースをきちんと定めるということか。

小池様  その通り。

委員  半導体分野ではそのようなプラットフォームが存在しており、デバイスレベルからトランジスタが数億個集まったLSIまで、原子の物理現象から論理的なものまで1つのプラットフォーム上で提供され、マルチスケール・マルチフィジックスが実現している。CadenceSynopsysといったベンダーが非常に強い力をもっている。どのような形で実現したかというと、アメリカの大学で新しいアルゴリズムやソフトウェアが実験の場として中央研究所的に使われ、それをもとにベンチャーが生まれ、複数のベンチャーが同じ問題に対してソリューションを提供するようになる。そしてその中でいいものをCadenceSynopsysというベンダーが吸収し、一連のツールを揃えていく。それに対し、ベンダーはプラットフォームの提供を行った。具体的には、データベースの提供、データフォーマットの統一、ユーザーフレンドリーなインターフェース、あるいはサポートである。つまりインフラ部分に集中し、残りの部分は大学の研究室や研究所をうまく使った。この流れはここ20年ぐらいのものである。
 このように最初はシングルフィジックスのシミュレーションをいろいろ組み合わせて大きな設計等の現場で使っていくといった戦略が必要ではないかと思うが、いかがか。

小池様  T-CADにおいてもPICESというプロセスシミュレーションでは、計算そのものは最初は一次元的な貧弱なものであったが、一連のプロセスを全部シミュレーションでき、さらにデバイスシミュレーションができるというものになった。半導体分野は統合化が進んでいる。ただ、統合の流れはSynopsysによるISEの吸収など、業界の独占の方向に向かっており、技術的要請というよりはビジネス戦略となっている。プラットフォームは国で1つのものにしてしまうよりも、民間企業が知恵を出し合ってマーケットで戦う方が重要である。国としては、統合するための基本となるソフトウェアを作っていくことが重要である。

委員  地球シミュレータの利用料は1ノード1時間あたり2,277円とのことだがその根拠は何か。またアドバンスソフトがそれを販売ないし手伝っているのはどうしてか。

小池様  地球シミュレータの利用料は、年間運用経費を利用可能時間で割ったものと聞いている。減価償却費が含まれていると思うが、事実かどうかは不明である。いずれにせよ、費用の積み上げから算出されている。
 このような地球シミュレータの利用はアドバンスソフト以外の会社でも2,277円で利用可能である。地球シミュレータセンターから特に依頼があった訳ではない。当社の考えとして、地球シミュレータを活用すべきであると思っていること、これをベースに解析業務を商売として行っていくということである。

委員  減価償却費は含まれていない設定になっているはずで、たぶん直接経費のみでないかと思う。

小池様  正確な話はわからない。いずれにせよ費用の積み上げで算定している。

委員  直接経費だけで価格設定をしてしまうと、商品としてのスーパーコンピュータを購入するよりも借りた方が安くなる。直接経費だけを負担することでこのような施設が使えることはいいことではあるが、メーカーから計算機の顧客を奪うことにもなり、その意味では不適切である。

主査  そのようなことをすべきではないということか?

委員  利用価格の設定が何を狙いとして定められているかということである。

主査  ベンダーの営業を圧迫するということか?

委員  場合によってはそういうことになる。

主査  問題になるかもしれないという指摘と理解した。

委員  ソフトウェア開発の重要性について興味深い話であった。私どももアプリケーションの開発を行っているが、なかなか人が集まらない。優秀な人ほど早くやめていく。研究者は、ソフトウェア開発は最初は大事だと思っていても、なかなか評価されないため、さっさと逃げていってしまう。これではソフトウェア開発は企業でなければできない、と感じてしまう。お金が3倍流れればソフトウェアの維持ができるということだが、大学や研究機関でも同じようなシミュレーションをしたいと思っている人はたくさんいて、同じような考えを持っていると思う。
 アプリケーション部会で既存のソフトウェアの収集をすることは、それはそれで大事だが、これからの計算機に向けたソフトウェア開発についての戦略をもつことが大事である。
 大学や研究機関で大規模ソフトウェアを開発していくためのアドバイスがあればいただきたい。

小池様  実用的なソフトウェアを大学が作れるかという問題を考えてみると、産業界で使われるソフトウェアの公募があるが、まじめに考えると、大学だけでは決してつくることはできない。従って、民間企業と産学連携でやっていく必要がある。これはハードウェアではあたりまえの話で、LSIの設計などの研究開発では、それを実用化するためには、民間企業の力が必要である。
 今やソフトウェアは工業製品になってしまったので、1個のちゃんとしたものを作ろうとしたら何十人もの人が3年4年かけて作らないと世界やマーケットで通用するものは作れない。このような連携関係を必ず最初から考えた、研究と実用化の役割分担が重要である。

委員  フリーソフトウェアの時代になってしまい、タンパク質などの画像を描くのに、かつてアメリカの企業が3,000万円くらいで売っていたものが、いまはタダでインターネットから入手できるようになってしまった。いろいろなものがどんどんタダになっている時代で、大学が予算を取ってプログラムを書いて、タダで公開している。タダだとみんなどんどん使うし、フィードバックも多くどんどんソフトウェアが良くなっていく。その中で営利を得るのは非常に難しいと思うが、どのようにお考えか。

小池様  そこは非常に検討が必要な部分である。ライフサイエンス分野とナノテクノトジー分野では、市販ソフトウェアも強化されているが、フリーソフトウェアの方が強い。これは産業利用が本格化しておらず、アカデミックサークル内での利用が多いためと考えられる。これが実用の話になると、ソフトウェアの専門家でない人がどんどん使えないと困る。したがって実用となっている構造解析ソフトウェアではフリーソフトウェアがデファクトスタンダードになっていない。サポートのついているNASTRANとかABAQUSを使うようになる。流体ソフトウェアも同様である。産業界で実質的に生産ラインに組み込まれている機構解析やT-CADも同様である。フリーのT-CADも存在するが、半導体メーカーはフリーのものは使わない。産業界で使われるソフトウェアは企業がサポートする必要がある。

委員  「戦略ソフト」はオープンソースであるためアドバンスソフトでなくても事業化は可能である。オープンソースで開発されたものをサポート、改良し事業化することにためらいがあるのか、むしろ非常に有利な仕組みだと思っているのか。

小池様  フリーソフトウェアにはサポートがないため、企業の中で使うことができない。そのため、我々の流体ソフトウェアが売れている。ナノ・分子シミュレーションあたりは、かなり実用になってきている。バイオはまだアカデミックが強く、フリーソフトウェアを使う人が多い。
 他の会社が「戦略ソフト」を使って売れるしくみになっているが、それぞれ改良して競争することは、健全な状態である。アメリカのソフトウェアにはそういうものが多い。T-CADも複数の会社にライセンスされており、競争が起こっている。
 アドバンスソフトとしては、競争に必ず勝つという自信があったので、全く躊躇はない。

 
(3) 「最先端・高性能汎用スーパーコンピュータの開発利用」におけるソフトウェアの普及方策について、資料4に基づき、事務局から説明を行った後、以下の質疑応答が行われた。
  (●:委員、○:主査、△:事務局)

 
委員  普及のためにすべきことは4つある。1番目はソフトウェアが将来に向けて継承されることである。つまり、計算機のアーキテクチャやシステムのプラットフォームが変更になることで今までのソフトウェア資産が使えなくなることがないようにすること。プラットフォームが変わってもアプリケーションソフトウェアからその変化が見えないような技術を使っていくなどして、連続性を確保してほしい。
 2番目は、NLS(ナショナル・リーダーシップ・スーパーコンピュータ)、NIS(ナショナル・インフラストラクチャ・スーパーコンピュータ)、その下の研究室レベルのシステムを含んだ垂直展開を考えることである。研究室ではPCだが、センターでは違うプラットフォームであり、これらをどうつないでいくかが重要である。ソフトウェアの継承と同様に、異なるプラットフォームに対して、ソフトウェア側から変化が見えない仕組みを取り入れる。
 3番目は、ISV(独立ソフトウェアベンダー)の商用パッケージソフトウェアが動作することである。アプリケーションを実行して結果がでればよいというユーザーにとって、ISVのソフトウェアが動作することは重要である。
 最後は、シミュレーションやアルゴリズムを開発するユーザーに対して、世界的な(標準化)環境を提供することである。

委員  使用料の話に戻るが、使用料は年間120億円である。これは、直接運用経費だけではなく、数年後にスーパーコンピュータが1台買える金額である。
 今や、ソフトウェアやアルゴリズムを開発する人で、1つの目的で入出力からすべてそなえた1つのアプリケーションソフトウェアを作ることはあまりなく、基本部分は既存のものを使うとか、あるソフトウェアのパッケージの中で、自分のアルゴリズムをサブルーチンとして加えることが多い。GAMES、素粒子、物理の世界などでは共通のプラットフォームが用意されていて、そこに追加することで研究のオリジナリティを出すことがアカデミックには行われている。このような動きは米欧では活発だが、日本ではあまり普及していない。国際的に日本がプラットフォームを提供することはあまりないので、プラットフォームを出していくとよい。
 使用料の設定について、普及させるための戦略が必要である。スーパーコンピュータの顧客を奪ってはいけないが、最初に、「こんなによいことがある」と実感してもらい、実際の使用時にはもう少し高い価格にするなどの戦略的な価格付けをするべきではないか。スーパーコンピュータの利用普及が行われないと計算機はPCばかりになってしまうので、新たな高みへ向かうためのインセンティブが必要である。また、このようなことを一社のためだけに提供することが難しいのであれば、ある業界団体、例えば材料開発を行う複数の会社が集まって、網羅的に計算するようなことにも使用料を割引して提供できる仕組みを作ってはどうか。

委員   NAREGIの推進者として提言すると、まず、標準化が重要である。NAREGIにおいてGGF(Global Grid Forum)における標準化を大きな戦略としている。標準化を基軸として欧米に普及を図っている。普及方策としては、マイクロソフトのようにデファクトを握る、あるいは同業の会社を統合する、という方法もあるが、標準化は重要な手段である。
 また、NAREGIではオープンソースとそれに対するポリシーの検討に時間をかけた。オープンソースによる普及と産業展開をいかに両立させていくかを検討した。いかに、普及を妨げず、オープンソースの危険性を回避しつつ、企業が新たなIP(知的財産)を注入した場合に普及の妨げとしないかを検討した。
 ナショナルポリシーとして行う場合、個別のプロジェクト毎にポリシーを定めるのではなく、文部科学省・文化庁としてIPポリシーやコピーライトポリシーを標準規格として提言していくことが重要である。プロジェクト毎にポリシーを定めていくのはもったいないので、国のプロジェクトについては、スポンサー側からの提言を行うべきである。これは非常に大事である。
 現在、大学が独立法人化し、独自のIPポリシー、独自の契約ポリシーを作成しようとしていて、国が設定すべきポリシーと齟齬が生じ始めている。大学のポリシーとプロジェクトのポリシーがぶつかると、プロジェクト側のポリシーを通すことは難しいが、国のポリシーないしファンディングのポリシーだと言えば通りやすい。企業だけでなく大学も囲い込みに入っているのでその対策にもなる。

 
(4) 次世代スーパーコンピュータの共用のあり方について、資料5に基づき、事務局から説明を行った後、以下の質疑応答が行われた。
  (●:委員、○:主査、△:事務局)

 
委員  この件についての議論は次回も行われるのか。

主査  その予定である。

委員  課題選定について、審査する機関は手を挙げた機関になるのか。自ら研究を行っている機関が審査を行うと、公平性が損なわれることにならないか。

事務局  参考1の資料にある通り、課題選定は機関が決めるのではなく、専門家による外部委員会において審査を行う。

委員  先端計算科学技術センターとは何を具体的に考えているのか。場所や設備はどうなるのか。

事務局  設備がセンターの看板を掲げることになる。そこが箱だけになることはない。人材育成やハードウェアと密接に関わるユーザーの拠点となる。次世代スーパーコンピュータは国内のどこかに置かれ、国際的な拠点となる。まだ具体的に決まっていないので「(仮称)」としている。


 
(5) SC|05レポートについて
参考2に基づき事務局から説明を行った。

(6) その他
資料4、資料5での議論に関する追加意見があれば、事務局まで連絡していただくこととなった。

以上


(研究振興局情報課)

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ