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計算科学技術推進WG(第11回)議事録

1. 日時: 平成17年8月10日(水曜日)13時〜15時

2. 場所: 文部科学省ビル10階10F1会議室

3. 出席者
(委員)   石井委員、伊藤委員、宇佐見委員、大野委員、岡本委員、下條委員、泰地委員、鷹野委員、中野委員、根元委員、羽生委員、姫野委員、松尾委員、松岡(浩)委員、村上委員、室井委員、諸星委員、矢川主査、横川委員、渡邉委員
(特別講演者)   朴 泰祐 様(筑波大学計算科学研究センター 教授)
(事務局)   文部科学省 研究振興局 清水局長、情報課 星野情報科学技術研究企画官、柴崎学術基盤整備室長、中里課長補佐

4. 議事  
 
(1) ペタフロップス超級スーパーコンピュータ実現に向けての超並列方式アプローチ
<説明者>朴 泰祐(筑波大学計算科学研究センター 教授)
(2) 「最先端・高性能汎用スーパーコンピュータの開発利用」プロジェクトの実現に向けて
(3) 計算科学技術推進ワーキンググループ第2次中間報告について
(4) その他

5. 配付資料
資料1   計算科学技術推進ワーキンググループ(第10回)議事概要(案)
資料2   ペタフロップス超級スーパーコンピュータ実現に向けての超並列方式アプローチ
(朴 泰祐(筑波大学計算科学研究センター 教授))
資料3   「最先端・高性能汎用スーパーコンピュータの開発利用」プロジェクトの実現に向けて(案)
資料4-1   計算科学技術推進ワーキンググループ第2次中間報告概要(案)
資料4-2   計算科学技術推進ワーキンググループ第2次中間報告(案)
資料5   事業評価票(最先端・高性能汎用スーパーコンピュータの開発利用)


6. 議事概要
  (1) 『ペタフロップス超級スーパーコンピュータ実現に向けての超並列方式アプローチ』について、資料2に基づき、朴泰祐様が説明を行った後、以下の質疑応答が行われた。
    (□:朴様、●:委員、○:主査、△:事務局)

   
委員 超並列について、これまで、アプリケーション開発はネットワークトポロジーに依存して行われてきており、開発の苦労が水泡に帰したという苦い経験をもっている。新しいトポロジーに依存したアプリケーション開発を行うことが、アプリケーション開発者に受け入れられるのか。ソフトウェアの生産性の観点から、長期間持続するモデルを提供することがアプリケーション開発者にとって重要となるが、これについてどのように考えているのか。
朴様 スケーラブルなネットワークはメッシュ(トーラス)型でなければうまくいかない。数百万、数十万繋ごうとしたときにハイパーキューブ型だと限界がある。ネットワークの型を決めてしまうと色々な問題が出てくることについては、そのとおりだと思うが、ペタやその上を目指すときには汎用かつ柔軟なネットワークというものはいつまでも保証されなくなる。つまり、いずれは、苦労してアプリケーションを開発しなければ、その先の性能が見込めなくなる。ハザードを恐れずに、このようなネットワークしかないと割り切り、その上でアプリケーションを開発していくべきである。したがって、ソフトウェア開発をがんばらなければならない。それを実施しなければその先にたどり着けないところまで来ている。
委員 帯行列を解くことを考えた場合、メッシュ型でよいかどうかは躊躇してしまう。その点についてはどのように考えておられるのか。
朴様 それは専用アプリケーションでのことか、それとも汎用アプリケーションでのことか。
委員 メッシュ型でできるアプリケーションはたくさんあるので、それで押していくことはよいと思うが、メッシュ型でどこまでいけるかの見通しはあるか。
朴様 我々の物性チームで密度汎関数法の計算を開始している。次に作るPACS−CSでは数千atomでの計算を考えている。
委員 PACS−CSはハイパークロスバーではないのか。
朴様 実際には隣接通信しか行わない。
委員 組み込み系の技術を使うのは良いが、高性能プロセッサという観点から見て、ギガFLOPSあたりの消費電力を考えると、高性能プロセスを使ったほうが消費電力として少なくなるはずである。
朴様 そうは思っていない。
委員 リークは下がるが、レート容量が増えるので、スイッチング電力が上がる。
朴様 電圧を下げなくてはいけないが、それを高性能プロセッサで行おうとすると、バックバイアスの問題や、リークのほうがむしろ大きくなると思われる。
委員 電圧は、0.9から0.8ぐらいが限界であり、それ以下に下げられる根拠はない。高性能プロセスは65ナノで1.0から1.2くらいで、45ナノくらいになると高性能プロセスでも1.0で打ち止めとなっている。電力を考えると高性能プロセスが必要であるが、日本で開発してくれるところが少なくなっている。
朴様 いくつかの要因の複合で答えることが出来ると思うが、まず、省電力については実際に検討しており、そのあたりまでいけるというフィージビリティ(実行可能性)をつかんでいる。次に、ハイエンドのプロセッサも米国製であり、将来的に日本がこのあたりの技術を抑えておく必要がある。さらに、CPU性能とメモリ性能とネットワーク性能のバランスを保つということについて、トータルバランスはこちらが有利と思っている。
委員 メッシュ型は問題ないが、組み込みプロセスは、止まっているときに電力を食わないというものを要点として作っているところがあるので、ハイエンドのプロセスは必要になってくると思う。
朴様 今の組み込みプロセスで進めるといっているわけではなく、どこまで中間的なところを追いかけていき、バランスをとるかということだと思う。たかだか1ギガヘルツを考えるのであれば、今の組み込みプロセスから持ち上げていったほうが楽だと思う。
委員 そのときに、IOの話なども考慮されているのか。
朴様 ディスクIOのことかネットワークIOのことか。
委員 両方である。
朴様 バランスをどう考えているかというと、だいたい1CPUで15ギガFLOPSを目標としている。メモリ10ギガバイト毎秒については、既に6.4ギガバイト毎秒から8ギガバイト毎秒までいっているので難しくない。ネットワーク性能15ギガバイト毎秒については、JSTのCRESTで提案している話であるが、ネットワークリンクのスピードについて、だいたい10ギガビット・パー・セコンドを10ミリワットくらいで実現できるという値がある。これは近距離の話であり、何本か束ねて同時転送を行えばバランスがとれると思っている。CPUの性能をこれ以上あげると無駄になる。隣接でのレイテンシーとしては、数キロバイトオーダーのメッセージを飛ばす分には問題ない。ネットワークに関しては、スイッチをおいてそこに対して太いバンド幅で行う場合と、メッシュで行う場合とでアルゴリズムをどうするかという話になってくる。アルゴリズムを隣接で抑え、実空間のメッシュで行うことを考えるとスイッチはいらない。
委員 故障率について、地球シミュレータでは、5000個で週に1回故障する。数十万個だと1日で数回というレベルになるがどのように考えているか。
朴様 故障率の問題は避けて通れない。ハードウェアでどこまで回避するかということと、ソフトウェアでどこまで回避するかということになる。重要になってくるのはディペンダビリティの技術だと思う。メッシュ型だとハードウェアでのディペンダビリティは大変なので、ソフトウェアで対応すべきであると考えている。長期的な問題と短期的な問題がある。短期的なものはソフトウェアで対応する。ネットワークリンクについては、10ギガビット・パー・セコンドを束ねることによりディペンダビリティを出そうとしている。ノードの故障については、チェックポイント技術を用いてソフトウェアで行う。
委員 5年間で、プログラムを超並列にポーティングしつつ、ディペンダビリティの技術を確保しながら、カスタムのLSIを作るわけであるが、時間的なオーダーをどのように考えているのか。
朴様 開発に関しては、ハードウェアは思ったほど大変ではない。アプリケーションが一番難しいかもしれない。基礎的な宇宙や素粒子の問題については超並列のアプローチを進めている。
主査 プロセッサを何十万も使うとパフォーマンスが悪くなる可能性がある。そのシミュレーションはしているのか。
朴様 一つは、ネットワークのレイテンシーに対しては、バランスをとることで底上げが出来るという希望をもっている。もう一つは、何のためにペタをやるかということであるが、それはケーパビリティコンピューティングであり、問題規模を100倍から1000倍にしたいからペタが必要という観点で考えれば、計算の粒度が落ちるわけではないので性能がガタ落ちすることはない。

  (2) 『「最先端・高性能汎用スーパーコンピュータの開発利用」プロジェクトの実現に向けて』について、資料3に基づき、事務局が説明を行った後、以下の質疑応答が行われた。(●:委員、○:主査、△:事務局)

   
委員 評価の一つの基準としてLINPACKが使われるのは良いと思うが、表現として世界一を奪取というものがあるが、中間報告に反映されるとすればこの表現はよくない。
事務局 ご指摘の通りである。LINPACKで世界一を取ることは政策目標としては必要でも、WGの議論としては必要ないと理解している。
委員 我が国のHPCそのもののインフラに対するグランドデザインが必要である。これを描いた上で京速計算機をどのように位置付けるかということになる。地球シミュレータもあるし、大学の計算センターや国立研究所の計算機などもあり、サイバーサイエンスインフラスチラクチャ(CSI)という言葉は記載されているが、これは繋ぐということなので、2010年頃のHPCのインフラデザインをどのようにし、この京速計算機をどのように位置付けるかということが明確になっているとよい。また、センターを導入することは重要だと思うが、ネットワークで繋がっていく上でシミュレーションした結果をユーザの元に戻すには10ギガビット・パー・セコンドのネットワークでも時間を要するので、遠隔地からシミュレーション結果を分析する仕掛けが必要である。例えば、遠隔可視化などの技術が不可欠であると思われる。WGでも議論すべきであると思うが、分析するためには可視化技術が重要である。
主査 グランドデザインについては、色々なところで議論がある。一度書き物にしてみることは重要である。
事務局 中間報告のところで申し上げるべきことであるが、資料4−2に、大きなコンセプトとしてリーダシップシステムが大学や研究機関の計算機を牽引する流れを作っていきたいという精神を示している。
委員 技術開発と利用の二つの側面がある。技術開発についてはまとまっている。利用についてはCSIを含め補完的に必要である。センターを作ることはすばらしいが、HPCを作るだけでなく、ネットワークなど周辺技術に広がっていくため、この計画で行うことと大学で行うことをうまく吸い上げ、HPCに昇華する仕掛けが技術開発においても重要である。

  (3) 『計算科学技術推進ワーキンググループ第2次中間報告について』について、資料4−1、資料4−2に基づき、事務局が説明を行った後、以下の質疑応答が行われた。(●:委員、○:主査、△:事務局)

   
委員 整理上の問題であるが、資料4−1の3頁において、核融合分野が2箇所あるので、うまく整理していただきたい。
事務局 分野毎の整理が十分出来ていないので修正する。
委員 特定処理計算加速機というのは、GRAPEを指しているのかそれとも、行列計算機を指しているのか。
事務局 特定のものを指していない。現時点で決める必要はないと考えている。イメージとして今までの議論を積み重ねると、大規模処理と逐次処理と特定処理に向いたものが必要という結論になったというだけである。
委員 LINPACKで一位を奪取するということであれば、行列計算機であろう。
事務局 そのとおりだと思うが、GRAPEも行列計算や第一原理計算などを可能とする準汎用性を持たせるよう発展しているようであり、振興調整費でGRAPE−DRとして進められているため、そのようなものを導入することも考えられる。
委員 資料4−2の7、8、9頁であるが、「従来の1000倍の精度で」などの表現は止めることになったのではなかったか。これはミスリーディングする表現だと思われる。
主査 止めるとまではいっていなかったと思う。誤解のないよう注釈をつければよい。
事務局 何をもって1000倍かということを明確にしたい。
委員 地球シミュレータを利用しているユーザと利用していないユーザがおり、「従来の1000倍」というときに何をもって従来とするかが違ってしまうことから、前回のWGでそのような発言をした。
主査 あったほうがインフォメーションとして多いのでよい。
委員 資料4−1の3頁について、天文・宇宙物理分野だけノーベル賞級を目指すとあるが、他の分野では目指さないように受け取れるので削除したほうが良い。この分野だけが学術的な成果を目指しているわけではない。
委員 資料4−2の7、8、9頁の具体的成果において、赤字で具体的に数字などを示しているが、全く根拠がない。具体的に書いてしまって大丈夫か。地球シミュレータのときに、100年先の天気予報をするといっていたがマイナスイメージだった。
主査 現実的な数字で書かれているわけでなく、どのような効果があるかをざっくり示すために書かれているものであると捉えればよい。イメージ的にこのようなものがなければ一般に伝えることができないためあったほうがよい。数値の正確性は問わない。
事務局 イメージとして例示していることを明確に記載したい。
委員 数値が一人歩きする可能性がある。財務省宛てであればよいかもしれないが、WGの報告として数値を入れてよいか。
事務局 数値についてはイメージであるという注釈を記載することとしたい。
事務局 6頁に注が書いてある。表が次の頁になっているので表と注の関係が分かりにくいが、一応ここに記載してある。今日の議論をさらにここに追記したい。
委員 資料4において、ソフトウェアとハードウェアを同時に進めると書かれているが、資料3では研究開発体制が個々に記載されており、ソフトウェアとハードウェアを一体的に進めることが分かりにくい。例えばこれらの間の受け渡しをする委員会等があるような、タイトに進められることが分かるようになっているほうがよい。
事務局 リーダーはハードウェアとソフトウェアとで同一人物である。それぞれの補佐は、このリーダーと机を並べて仕事するイメージである。
委員 資料5に、高度なデータマイニングや非数値計算と書かれているが、報告書にはこれらの記載がない。
事務局 きちんと書かれていなければいけないと思っている。追記する。
主査 資料4には、資料3、資料5の内容が織り込まれ、第2次中間報告書としてまとめられることになるが、8月24日に開催される情報科学技術委員会に提出することになる。したがって、それまでの間に最低1回メール等で委員と事務局の間でやり取りしていただき、まとめさせていただきたい。

  (4) その他
    なし

事務局から、次回開催のための日程表の記載依頼があった。また、第2次中間報告に対するコメントについては、8月16日(火曜日)までに事務局までメールで送付することとされた。

以上


(研究振興局情報課)

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