ここからサイトの主なメニューです
情報科学技術委員会 計算科学技術推進ワーキンググループ(第2回)議事録

1.日時: 平成16年9月29日(水曜日)10時〜12時

2.場所: 三菱ビル地下1階 M1会議室

3.出席者
(委員)   石井委員、伊藤委員、宇佐見委員、大野委員、岡本委員、奥田委員、下條委員、泰地委員、羽生委員、姫野委員、松尾委員、松岡(浩)委員、村上委員、室井委員、諸星委員、矢川委員(主査)、渡邉委員
(科学官)   西尾科学官
(ベンダ)   インテル
(事務局)   文部科学省    
    研究振興局  振興企画課  森振興企画課長
       情報課  三浦情報課長、星野情報科学技術研究企画官
 當麻学術基盤整備室長、中里課長補佐

4. 議事
(1) 計算科学技術推進ワーキンググループ中間報告について
(2) HPCベンダにおけるHPCハードウェア開発の動向について:インテル
(3) 将来(2010年前後を想定)の研究目標とスーパーコンピューティング環境について
1理化学研究所 2宇宙航空研究開発機構
(3) その他

5. 配付資料
資料1   計算科学技術推進ワーキンググループ(第1回)議事概要(案)
資料2−1   計算科学技術推進ワーキンググループ中間報告概要(案)
資料2−2   計算科学技術推進ワーキンググループ中間報告(案)
資料3   将来の超高速計算機に必要な要素技術の研究開発について(インテル)
資料4−1   将来(2010年前後を想定)の研究目標とスーパーコンピューティング環境について(姫野委員)
資料4−2   将来(2010年前後を想定)の研究目標とスーパーコンピューティング環境について(松尾委員)
参考1   将来のスーパーコンピューティングのための要素技術の研究開発プロジェクト
参考2   革新的シミュレーションソフトウェアの研究開発プロジェクト

6. 議事
(1) 資料1に基づき、事務局から、第1回ワーキンググループの議事録確認依頼を行った。

(2) 計算科学技術ワーキンググループ中間報告について
資料2−1、2−2に基づき、事務局から、中間報告の案についての説明を行った後、以下のような議論が行われた。(○:委員、△:事務局)

委員 マルチフィジックスという言葉は初めて聞いたが、一般的に使われているのか?

事務局 世の中にどういう言葉を使えば、伝わるかをベンダにもお聞きし、記載したが、他に適切な言葉があればそれに変えたい。

委員 結構、使われていると思う。

委員 例えば、構造解析と流体解析を一度に実施。電磁場解析、流体解析、構造解析を一挙にやるなどある。


(3) HPCベンダにおけるHPCハードウェア開発の動向について:インテル
資料3に基づき、インテルよりHPCハードウェア開発の動向について説明があった後、以下の質疑応答が行われた。(○:委員、●:ベンダー)

委員 今日の話はマイクロプロセッサの話だったが、ハイパフォーマンスコンピューティングを行うとすると、グラフィックス、通信等、プロセッサとは違うタイプの石が必要になると思うが、その辺は何か考えがあるのか?

ベンダー エンタープライズエリアで、有効な、数のでる製品は手掛ける。但し、グラフィックスに特化したものはなく、あくまで汎用品である。例を挙げると、Infinibandのチップセットを開発していたが、2〜3年前にやめてしまった。当時では、HPC分野以外では使えなかったので、開発した技術については、ニッチなマーケットを狙う企業に技術を譲って管理頂く形をとった。HPC分野に特化したものはそういうよう形になるのではないか。あくまで、一般的な産業界で使われるものをインテルはやる。

委員 アプリケーションの話をあまりされなかったが、実際にどれだけのパフォーマンスで、具体的な問題に対応できるのかを予想できるか?ネットワークの速度、プロセッサの速度の関係でプロセッサだけでもパフォーマンス上がらない。これまで具体的な経験はあるのか?

ベンダー ソフトウェアの話は殆どしなかったが、マルチコア化、マルチスレッド化をするに当たり、専用のツールを開発している。インテルは性能よりも使いやすさ、ソフトウェア開発のしやすさを一番気にしており、コアが何個になるかわからないが、マルチコアを有効に使うためのツールを提供している。コンパイラに始まり、クラスタ環境でオプティマイズされたライブラリとか、あるいは、グリッドのためのツールなどを提供している。そのようなツールを提供し、ユーザの持つプログラムが性能を出すための活動をしています。アドバンス計算センタが世界で5ヶ所あり、こちらで次機種のプロセッサの性能に関するご協力やテストをしている。

委員 そこでアプリケーション側やユーザの声を聞くのか?

ベンダー Itaniumアーキテクチャは1,800個くらいソフトウェアがあります。今はもっと増えていると思うが、アプリケーションを増やすことは大変な作業であり、アプリケーションメーカとの活動等の努力もしている。

委員 汎用ソフトもインテルのItaniumマシンの上で動作することができるか?

ベンダー ISVには、既にMontecitodual coreマシンのプロトタイプ、発売前のマシンを予めお渡しして、発売の時に発表していただくという活動をしている。これからもそういうことは続けていく。

委員 IA32とIA64の比較が気になる。将来IA64もIA32の代わりになるということだが、根拠が明確でないと感じる。プロセッサ性能で2倍になると考えられているのか?

ベンダー アーキテクチャの話から論理的に説明するのは時間的に難しい。動的に依存性を判断するようなプロセッサと、コンパイラを使ってスタティックに依存性を解決しているプロセッサと、向き不向きがある。すべてのアプリケーションの性能が2倍なわけではなく、科学技術計算で特に静的に依存性を判断できるようなアプリケーションに関しては、もともと並列化できるので2倍くらいの性能になる。

委員 プロセッサのスタックとしては単純なのに、なぜ、クロックがXeonに比べて遅いのか気になる。

ベンダー ひとつは、プロセス技術が1世代遅れていることです。90ナノメートルが出てくるのは来年なので。1世代前を考えていただけると、Pentium4のクロックはすごくあがっているので、1.6ギガヘルツあるいは2ギガヘルツになるが。プロセスのずれで考えるとつじつまがあうと思う。

委員 Pentium4は、130ナノメートルで3.2ギガヘルツだが?

ベンダー 消費電力の問題がある。リソースを一杯持っているので、消費電力が上がりやすい。少なくとも次世代までは、最高性能で動いた場合の消費電力を抑えないといけないので、高性能なプロセッサでは不利に働く。Montecitoではその辺を解決するためにfoxtonという、リソースは有効に使っていないときにはクロックをあげる技術の導入を考えている。

委員 消費電力について質問だが、100ワットあるいは130ワットに目標を置かれていると思うが。周波数は、2007年度でも2ギガヘルツ強くらい。その後も2ギガヘルツくらいということで、周波数に関して抑えていないのか?

ベンダー そのようには言っていない。

委員 100ワットをキープしたとき、決め手となるような低消費電力に関する技術に関してはどのような考えか?

ベンダー すでに使われているような技術の組合せでできると考えている。クロックで大きく変わるのは、45ナノメートルになるときにHigh-k(メタルゲート)技術を入れようとしているので、そこで変わるかもしれない。今、周波数のもたつきは、ある意味予定されたものであり、消費電力を下げるためにクロックを低めにした。電圧をかけると周波数が比例にあがっていく部分と電圧をかけても周波数が上がらない部分があり、消費電力を減らすためにクロックを控えめにしているのが現状である。その前提でクロックをあげていくことはできる。トランジスタが小さくなれば、理想的には電圧が1/2にできる。そういったものを2個使い、同じ面積に2個入れられれば性能をキープできる。キャッシュの消費電力は演算ロジックと比べると低いが、そういったものをどう組合せるかということである。消費電力に関して注目し始めたのは、90年代半ば位からであり、その成果は昨年Pentium-Mにかなり入れたが、今後も、今ある技術の組合せでできると考える。

委員 電源電圧はどのくらい?ITRSのロードマップに沿うものと考えてよいか?

ベンダー はい。電源電圧も複数入れることを考えている。


(4) 将来(2010年前後を想定)の研究目標とスーパーコンピューティング環境について
  1 資料4−1に基づき、姫野委員より理化学研究所における将来の研究目標とスーパーコンピューティング環境について説明があった後、以下の質疑応答が行われた。(○:委員、●:姫野委員、△:事務局)

委員 昔はベクトルアプリケーションが多かったが、最近はクラスタ系になっているという印象を受けているが、全体としてその資産をどの程度有効に使えているのか?アプリケーションを動かしている時に、ピーク性能の何パーセントで動いているのか?

姫野委員 ベクトル並列計算機の時代はシステムが非常に高かったので、今のようなどのくらいの効率で動かしているかということは非常に重要なことだった。今、実は、金額に換算しないと意味が無いのではないかと思う。全体システムの4割くらいの金額がベクトル機にかかっているので、ここは効率化に関しては真剣に言うが、スカラマシンは、真剣に見なくても良い。最悪、アイドルしていなければ良い。

委員 ベクトル化が落ちてきたことは、ライフサイエンス系が中心というところからきているのか?

姫野委員 いくつかのことが複合的に起こっている。ソフトウェアベンダがベクトル化のチューニングをちゃんとしていない。たとえば計算化学系のコードはもともとベクトル化を意識せず書かれており、その使用率が増えるとベクトル化率がさがっていく。更にユーザが自分でプログラムを作らなくなりつつある。これは非常に大きいと思う。その2つが複合して起こっている。
委員 商用プログラムの殆どが欧米製であり、そのためベクトルを意識していないと理解してよいか?

姫野委員 はい。逆に流体系のソフトウェアは今でもベクトル化率高い。

委員 ユーザがソフトを作らなくなったのは同感で、当方の研究所もそうである。ユーザがマシンを意識しなくても使えると聞いたが、ユーザはどんな使い方をされているのか。サポート体制はどうなっているのか?管理者側が全部ユーザに指導するのか?SEがやるのか?

姫野委員 Webから使えるようにしていることを説明したが、それは初心者用。専門家用には直接いける手段を用意している。ジョブクラスを分けて自分でどこのマシンをどう使うか指定できる。サポート体制は、職員に専門家を育てていかないと、まずいと思っていて、並列化の講習会は自分達で企画して、実際に提供している。必ずしも理研内に閉じておらず、全国オープンにたとえばMPIの並列化の講習会をしている。

委員 前回の富士通発表資料の中に、ユーザとSEが共同のセンタを作ってコラボレーションする必要性が記載されており、私自身重要だと感じている。

姫野委員 そこは重要かもしれない。ハードではなくて、専門家、技術者、そこが大きな資産。下手をすると散り散りになってしまう。何らかの形で集約して継承していく仕組みが必要だと感じている。

委員 紹介していただいた将来のシステムメージ、同感であり、必要だと感じている。COTSという考えなら受け入れられないと思うが、MD-Grapeクラスタのところも、将来のシステムイメージにおいて、現実的に今実現できるものでは無いかと思う。理研の場合、このような形がうまくいったのかもしれないが、導入するにあたり、どんな議論があったのか?ユーザの声とかベンダの声とか。
姫野委員 MD-Grapeは自分たちで、組上げているので、ベンダはボードの供給だけ。今はPCIのボードとして入っているのでPCとは完全に分離している。そこがネックになって、この先のボトルネックを作り出しているので、もう少し、タイトにしたい。今は、MD計算しかやっていないので。MD計算と何かを結びつけようとすると何かが足りない。今は通信がボトルネックになっているのでだめだ。

委員 ハイブリッドシステムがほしいとの事も、ベンダには話をしたのか?

姫野委員 最初の段階で、そういうものがあったら良いねということで終わってしまった。今は、導入直後だが、次はこうしたいと言っている。準備が必要。

事務局 理化学研究所では科学技術の先端技術は何でもできるという構造だと思うが、将来の研究目標に関してライフサイエンス分野や高エネルギー分野などが整理されているが、高性能な超高速計算機ができた時には何に使えるかは政府にとって大きな問題であり、整理していかなくてはならないが。理化学研究所の中のアンケート等で、ライフサイエンスが一番需要大きいと理解してよいか?

姫野委員 理研の公式見解かと言われると困りますが、理研でHPC研究会をやっていて、そこで、理研の中でHPC必が要な研究者に集まって頂いて、将来、こういうものが必要だということをしている。今回纏めたものは、その中の比較的目立ったもの。必ずしも全ての分野でサーベイを行っていないが、顕著なところは網羅している。一部足りないところはあるが、話ができなかったので、後ほど、資料を修正する。

事務局 ラフなことを教えてほしいが、利用者に広く問い合わせれば、あれば使いたいという事か?ライフサイエンスが多そうだということか?

姫野委員 ライフサイエンスが非常に大きな計算機のジャンプがあると、一番大きな研究のインパクトがあるということです。今、彼らのやっていることはそんなに大きくないです。たとえば1,000倍のコンピュータがあると生命現象に迫れる。大きなジャンプが期待できるということである。

委員 それは理研の周辺の話?

姫野委員 はい。

委員 タンパク3000プログラムの経験で言えば、5年間くらいで、実験から理論までをコンピュータでのシミュレーションでつなぐことができると考えている。


  2 資料4−2に基づき、松尾委員より宇宙航空研究機構における将来の研究目標とスーパーコンピューティング環境について説明があった後、以下の質疑応答が行われた。(○:委員、●:松尾委員、△:事務局)

委員 サイエンス系からエンジニア系にデータを受け渡す仕組みは有るのか?

松尾委員 仕組みがあるということではないが、非常に転送速度の高いストレージを持っている。

委員 インタコネクトについてクロスバーが必要との考えか?行列の転置等以外では、メッシュでは充分ではないか?

松尾委員 隣としか接続されていないメッシュだと、近距離だけが速いので、効率良くジョブを詰込むことが難しい。その点でも、クロスバーの方が良い。
委員 最初は設計だけだったものが、設計、製造の主役になりつつある。次世代の飛行機の開発にコンピュータがなくてはできないと言い切れるか?

松尾委員 言い切れます。不可欠なものだと思っている。

委員 次世代の飛行機がつくれないとか、開発期間が短縮できないとか。たとえば自動車もそうですね。

委員 自動車の開発にもスーパコンピュータがないとできない。

委員 シミュレーションだけで飛行機やロケットが飛ぶ時代は、まだまだ先かなと思いますが、従来の実験をシミュレーションに置き換えているのか?両方とも発展しているのか?

松尾委員 後者ですが、役割分担は明確化している。実験はお金がかかるので限られたところをきちんとやる。シミュレーションとの組合せにより、実験には、ますます精度が求められるようになってきている。飛行機は実際、計算だけではできないので、最も重要な部分は実験が必要である。相対的にシミュレーションのウェイトが、増している。

委員 実験屋さんも使うようになると、教育、人材育成も重要。

松尾委員 はい。その他にセキュリティも大事。実際、最先端の研究ではモニタで操作している後ろを人が通ることができない。

事務局 地球シミュレータの後継機が欲しいという話と、あれば使いたいという話を聞くが、宇宙航空分野では、是非、ペタフロップス級が欲しいという要望なのか、あれば使いたいというのか、ラフでよいのかどうか?

松尾委員 シミュレーションをフルにやっている人は、全然足りないのでペタフロップスマシンがほしいと感じている。バリエーションもいろいろあり、パラメータサーベイでは、最適化も絡んで100回、1000回のシミュレーションが設計のツールとして必要。業界全体として欲しいが、一方、メッシュ生成等、ペタフロップス計算をするためには、単に大規模化するだけでなく、解決すべき技術課題もある。我々としては技術課題に取り組んでいきたい。

委員 ハードが先行していてソフトウェアの開発は遅い。地球シミュレータでも、できたころに走るソフトウェアが殆ど無かったと思う。2010年にはペタフロップス計算機ができると確信して、今からソフトウェア開発を始めるとか、アプリケーション側からの発想を豊かにする必要があると思う。

委員 航空機開発の際のコラボレーションが気になるが、そういった観点は如何か?

松尾委員 今は、三菱重工と共同開発を行っている。国産飛行機の開発等、All Japan的に考えて対応している。

委員 1ペタフロップスという数値自身に大きな意味はあるとは思わないが、シミュレーションとしては早ければ早いほうが良いが、それに何千億もかかってしまっては困る。ペタフロップス程度の要素技術を開発しないと日本の国際競争力がなくなってしまう。ところで反論ですが、地球シミュレータは動き出してすぐに大気循環で実効効率35パーセントを出ている。

委員 航空分野では、ペタフロップスマシンになると、地球シミュレータマシンで動いていたソフトウェアは何か変えないといけないのか?ソフトウェア的な投資は更に必要か?

松尾委員 必要だと考えている。

松尾委員 OpenMPとMPIを組合せてプログラムを開発しているが、ユーザからするとそのプログラミング方法がドラスティックに変わると困る。

委員 プロセッサがマルチコア、マルチスレッドになると、ユーザはプログラムを考えないといけないのか?

委員 コンパイラが自動で処理する部分はあるが、特に実効性能を出すためには人間が考えないといけない。

委員 ペタフロップスマシンが必要かという点について、原子力関係では、プラズマの核融合シミュレーションとかレーザとか、シミュレーションでペタフロップスマシンが絶対に必要である。特に核融合炉や原子炉について設計からリアルタイムの制御までシミュレーションを利用することが必要とされており、その際にはペタフロップスマシンでは足りなくて、いくらでもあればどんどん先へ進むし、不可欠である。

  以上



(研究振興局情報課)

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ