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情報科学技術委員会 計算科学技術推進ワーキンググループ(第3回)議事録

1.日時:  平成16年10月27日(水曜日)10時〜12時

2.場所: 文部科学省ビル10F3会議室

3.出席者:
(委員) 石井委員、伊藤委員、宇佐見委員、岡本委員、奥田委員、泰地委員、根元委員、羽生委員、姫野委員、松岡(浩)委員、松岡(聡)委員、室井委員、諸星委員、矢川委員(主査)、渡邉委員
(科学官) 西尾科学官
(事務局)
文部科学省 研究振興局  振興企画課
森振興企画課長、堀内課長補佐
   情報課
三浦情報課長、星野情報科学技術研究企画官
當麻学術基盤整備室長、中里課長補佐

4. 議事
(1) 計算科学技術推進ワーキンググループ中間報告について
(2) HPCユーザにおける研究目標とHPC環境について
1物質・材料研究機構  2日本原子力研究所  3東京大学人工物工学研究センター
(3) その他

5. 配付資料
資料1   計算科学技術推進ワーキンググループ(第2回)議事概要(案)
資料2−1   計算科学技術推進ワーキンググループ中間報告概要(案)
資料2−2   計算科学技術推進ワーキンググループ中間報告(案)
資料3−1   将来の研究目標とスーパーコンピューティング環境について(物質・材料研究機構)
資料3−2   将来の研究目標とスーパーコンピューティング環境について(日本原子力研究所)
資料3−3   将来の研究目標とスーパーコンピューティング環境について(東京大学人工物工学研究センター)

6. 議事
(1) 事務局から、資料1(第2回ワーキンググループの議事概要)確認の要請を行った。(11月5日締め切り)

(2) 計算科学技術ワーキンググループ中間報告について(●:主査、○:委員、△:事務局)
資料2−1、2−2に関して、事務局から、中間報告(案)の説明を行い、資料に関してのコメント要請(11月5日締め切り)を行った。そのうえで、質疑応答を実施した。

事務局 インテルPentium4のクロック4ギガヘルツ開発断念の新聞記事は、ロードマップと関連があるのか?

委員 現在のプロセス技術(90ナノメートル)で、熱の壁に突き当たったということである。65ナノメートル(のプロセス技術)が出てくると(周波数が)あがってくると思う。

主査 資料2−1、2−2はこれで確定したいと思うが如何か?

委員 本日のプレゼンテーションの結果、コメントで修正・追加することはできるか?

事務局 反映すべき事項があれば個別にメール等でご指摘頂くとともに、その対応を主査に一任させて頂きたい。但し、この場で案をとるということでなく、事前に委員にお図りしたい。(11月5日締め切り)

(3) HPCユーザにおける研究目標とHPC環境について
1 資料3−1に基づき、大野委員より物質・材料研究機構における将来の研究目標とスーパーコンピューティング環境について説明があった後、以下の質疑応答が行われた。(○:委員、●:大野委員)

委員 励起状態を扱う場合は、計算量はどのくらい変わるのか?

大野委員 励起させたあとの動きは、発散しないようにするためにタイムステップを非常に短くしないといけないのが今のネックである。そのため、第一原理のMDに比較すると2桁ほどタイムステップを小さくしている。タイムステップを荒くしても計算が安定するように工夫している。展開の仕方によって計算の安定性が決まる。現状では、2桁程度のコスト(計算量)になる。

委員 電子系でも有限温度は必要なのか?

大野委員 電子系はどの程度効いてくるかが、まだよくわからないが、手法としても電子系も温度を上げることはできる。むしろそれよりも格子系がエントロピーの効果がどの程度入ってくるかは、今の手法ではまじめに扱っていない。もちろん、格子振動からエントロピーを予測して解析はしているが、もっと真剣にやろうとすると、まず、そこのところ(エントロピーの効果をまじめに取り扱うこと)が一番大事である。

委員 第一原理関係に於いて、ペタフロップスマシンで、ひとつチャレンジングな課題をあげるとすると何か?

大野委員 機構内でも今聞いているところである。地球シミュレータ程度のマシンを使用すると数十万(原子)程度の計算はできる。その後でダイナミクスを追うためには、ある工夫をすればいろいろなバリアが取れて計算ができる。半導体のデバイスを作るために必要な表面の酸化の問題は、何ら解決されていないので、それを実際に解決するため長時間実行するということがある。かなり大きなナノスケールの構造が本当に正しいのかの情報を得ていない。大きくなればなるほど、正しい構造の探索は難しい。タンパク質tでもナノでも同じである。細かく見た時に構造が本当に正しいのか。構造がその電子の状態をどの程度変化させるのか。デバイスを作っていった時に、重要な存在になる、その構造を決めることがひとつ。その他、燃料電池とか光触媒等の触媒関係が今後重要な問題になってくる。ピンポイントで触媒機能の効果をどのように計算シミュレーションで可能性を探ればよいのかを、たとえばペタフロップスマシンでやみくもに実行してできるものなのか、もう少し工夫が必要である。やることはいっぱい有るが、どこにするかは、これから2〜3年真剣に考えていかなくてはならない。

委員 物材機構には大きなデータベースシステムがあるが、データベースの活用をどのように考えているのか?

大野委員 データベースは管理して作っており、それとのリンクは考えている。戦略的基盤ソフトウェアのプロジェクトで作っているが、データベースから容易にデータを取ってくる枠組みを作ることが必要。ナノ構造等の大きな構造は、現状手作りで構造を作り、解析している。構造を作るための簡単なツールが開発されることが必要。大きな構造を扱う場合、どれだけ容易に初期構造のモデルを作れるか、そのようなツールが意外に無い。研究者の中で(モデリングツールを)作っていくのか否かを考えているところである。

委員 汎用的なデータベースでは使いものにならないのか?

大野委員 私たちはそう思っている。実際に2元系、3元系のデータベースがあり、サーチすれば使える。もう少し先端的に構造を検討するとしたら、目的に合ったようなものを提供するデータベースが必要である。

委員 他の関連しているデータベースもお互い統合できるとか、アクセス連携ができるとか、考えているのか?

大野委員 両方を考えてはいるが、具体的には進んでいない。ある程度計算したら、入力データはどこかに格納しておいて、似たような計算でまた使うとか、その程度である。新しく構築するためのデータベースとして、作っていくことは難しい。また、それは研究者ができることか否かはわからない。

委員 (材料系のアプリケーションは、)メモリ使用量が少ないアプリが中心であると理解した。自分の理解でも材料系は、高次のオーダのアルゴリズムが多いが、実効性能の向上に対してメモリ容量が増えている。実効性能13倍、記憶容量16倍と記憶容量の向上が少ないのが腑に落ちない。並列化できなくて、かつメモリ容量がたくさん必要なアプリケーションはあるのか?

大野委員 まだ、研究者の努力が足りない。前のシステムでは4CPU程度の並列化を行ってきたので、それで使えるソフトウェアになっている。オーダNの並列化は進めているので、1CPUあたりのメモリ容量はいらなくなっている。第一原理計算では、それほどの並列化ができていないので、ノードあたりのメモリ容量では足りないと感じている。

委員 並列化が進んでくると減ってくるのか?

大野委員 1CPU辺り2GB位は必要である。スピンのループ統計に関して、メモリ(使用量)は少ない。数百メガバイト位のメモリで、長時間実行させるジョブがたくさんある。全体としてメモリは必要ないが、第一原理ではまだメモリが必要。まだ、バランスが取れていないので、このような構成になっている。

委員 何人のユーザで専有しているのか?

大野委員 全体で30名程度である。ヘビーユーザが10名弱である。

2 資料3−2に基づき、松岡(浩)委員より日本原子力研究所における将来の研究目標とスーパーコンピューティング環境について説明があった後、以下の質疑応答が行われた。
(○:委員、●:松岡(浩)委員)

委員 格子ガス法は、1秒あたり10ペタ演算(ができるマシンで)、5分で(計算)できるのか?

松岡(浩)委員 計算を頼んだ専門家の話だと、技術開発要素はたくさんあるが、今の技術で1キロメートルメッシュのオーダが計算できる。但し、格子ガス法なので浮動小数点計算はない。

委員 地球の問題が5分で終わるのか?

松岡(浩)委員 単なる流体計算を考えると地球全体の海で、5分くらいのオーダで1キロメートルメッシュの全球で流体計算ができる。塩分濃度とかいろんなことは考慮していない。オーダを試算してみた。

委員 他の方法より速いのか?

松岡(浩)委員 格子ガス法では、単純な電子回路で組むことができるので、集積度が高くて、専用計算機にできる。

松岡(浩)委員 ユビキタスな超小型で実用型のペタ演算マシンということで良いのではないか。

委員 「最適化をハードウェアで実現」ということを再度説明して欲しい。

松岡(浩)委員 格子ガス法の衝突規則を変更するために(動的再構成可能な)ハードウェアを使う。

事務局 中間報告では汎用のスーパーコンピュータを想定して作成している。専用の計算機の重要性を無視しているわけではない。CPUの高速化のために、ハイレベルなアーキテクチャの検討が必要とのことで(、専用計算機にも)対応していると考えているが、もう少し、突っ込んだ書き方が必要と考えているのか?

松岡(浩)委員 次々世代の超大型の要素計算機へ発展していくと考えているので、日本独自の技術、動的再構成とかを生かした汎用の次々世代超高速計算機への芽を今奪わないように、コメントを入れて欲しい。

事務局 矢川主査ともよく相談をさせて頂き、対応を検討させて頂きたい。11月5日までに案を委員の先生にお示ししたい。

3 資料3−3に基づき、奥田委員より将来の研究目標とスーパーコンピューティング環境について説明があった後、以下の質疑応答が行われた。(○:委員、●:奥田委員)

委員 グリッドは性能が上がらないという主旨の話が気になったので説明して欲しい。

奥田委員 グリッドはデータグリッドなどいろいろな使い方がある。1個の並列計算機で実行していたプログラムがグリッドで有効に機能できる使い方の可能性を試している。駄目に決まっていると言ったのは、遠くのクラスタが遅いネットワークで接続しているので、密結合の単一のPCクラスタやスーパコンピュータの性能と比べると落ちるということである。最初は、単一のクラスタで実行するよりもかなり遅い性能だと思ったが、そのようなこともなかった。ネットワーク性能はCPUの性能向上に比べて速いと聞いているし、ネットワークの総合的な性能があがってくると、近い将来は(グリッド的な使い方も)可能であると思う。ネットワークのレイテンシーが小さくならない。東工大ではそのような(グリッド的な)使い方をしていると聞いている。インタネットではどうなるか。

委員 今後、大事なことはデータベースである。米国では、サイエンティフィックデータベースという大きな分野があり、計算機の分野ではデータベース屋が一緒になってプロジェクトを行う。日本ではそういう傾向はないと考えているか?現状を教えて欲しい。

奥田委員 直接はわからない部分あるが、第一原理の世界でいうとポテンシャルのデータベースとか詳細な計算をして皆があとで使えるようなデータベースが整備されていることをよく聞く。構造解析の材料試験データベースを公開しているとか、個々の事例はあるが、どの程度、データベースの専門家と計算するためのコンテンツを準備する専門家がタッグを組んでいるとか、そのアクティビティは存じ上げない。

奥田委員 地球シミュレータは大きな計算ができるようになると、何十億点のモデルを計算できるが、それ(コンテンツ)が作れない。

委員 (マシンを)1人に使わせたほうが良いとのことですが、大きなお金を少ないプロジェクトに占有させるのか?ばら撒いた方が良いのか?難しい判断だと思うがその辺は考えているのか?

奥田委員 個人的な意見であるが、その場合は政治的判断ではないか。並列計算機があるのに、それをフルに使わないと意味がない。地球シミュレータでは10個くらいにわけるとその辺の(単体の)スパコンと差がない。東大の情報基盤センターにSR8000の128ノードがあり、1,000個ほどプロセッサがある。月に1回、全部のノードを専有する予約制のサービスがある。そのサービスを使う人は東大全学でも数人である。

委員 非構造のメッシュ解析などでは通信量が少ない部分が多く、分割できれば意外に早く処理ができるのではないかと思う。NAREGIではもうすぐ10ギガビット・パー・セコンドになるので、比較的早い。スカラマシン、特にCOTS(汎用的な商用品)では、実効効率の向上が日進月歩であり、Linpackで一喜一憂してもしょうがないが、Linpackで性能が出ないのは、何をやっても性能は出ないと思う。技術的に判断するときに、実効効率とマシンサイズを評価するためにどうすれば良いと考えるか?

奥田委員 データの大きさを変えながら実行するベンチマークでないといけない。いくつかの典型的な処理が入っていないといけない。非常に良く使われているアプリケーションを取り出して、それをいくつかのデータで流すようなベンチマークを作らないといけない。

委員 日本中にスパコンやクラスタがあり、リソースが余っているわけではないが、常に実行できる体制にあり、日本でベンチマークを作るのは容易ではないか。

奥田委員 地球シミュレータを作っているときに、三好先生が、物を作る以外にどういうアプリケーションがあるのかを探しておられた。ベンチマークとして使えるようなアプリケーションの抽出が大事であるということをおっしゃっていた。その流れがあるのなら、できると思う。最近は姫野ベンチが有名である。

委員 三好先生が日の丸ベンチマークのsuiteを作ろうとしていたときに、(姫野ベンチマークテストの)フルのプログラムを提出してくれないかと言われて提供した記憶がある。これを増やしていくのは良いことである。カーネルだけでは駄目な部分がある。カーネルだとマシンのどこを評価しているかがわかるが、入出力性能は見ない。カーネル部分は(姫野ベンチマークテストの)全体の6割で、残り4割は違う処理を行っている。これが評価されないと困る。

奥田委員 三好先生にプログラムをお渡ししたことがあるが、計算1に対して、入出力が10と多い。周辺を含めたトータルなベンチマークが必要だと思う。Linpackばかりという状況は何とかしたほうがよい。

委員 Linpackはベンチマークテストの1つであり、それでTOP500が構成され、新聞ネタになる。それ自身はLinpackのせいでは無く、使い方とか宣伝の仕方に(問題が)ある。

以上


(研究開発局情報課)

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