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情報科学技術委員会 計算科学技術推進WG(第5回)議事録


1. 日時 平成16年12月22日(火曜日)10時30分〜12時

2. 場所 経済産業省ビル 別館1014会議室

3. 出席者
(委員) 石井委員、伊藤委員、宇佐見委員、奥田委員、泰地委員、姫野委員、松尾委員、松岡(浩)委員、松岡(聡)委員、室井委員、諸星委員、矢川委員(主査)、渡邉委員
(事務局)
文部科学省   小田審議官
研究振興局 振興企画課 森振興企画課長
情報課 三浦情報課長、星野情報科学技術研究企画官、中里課長補佐

4. 議事
(1) 将来のスーパーコンピューティング環境について
1室井委員(気象庁気象研究所) 2諸星委員(防災科学研究所)
(2) 計算科学技術推進ワーキンググループ平成16年度報告骨子(案)について
(3) その他

5. 配布資料
資料1   計算科学技術推進ワーキンググループ(第4回)議事概要(案)
資料2−1   将来のスーパーコンピューティング環境について(気象庁 気象研究所 室井委員)
資料2−2   将来のスーパーコンピューティング環境について(防災科学研究所 諸星委員)
資料3   計算科学技術推進ワーキンググループ平成16年度報告骨子(案)

6. 議事
(1) 将来のスーパーコンピューティング環境について
(気象庁気象研究所 室井委員、防災科学研究所 諸星委員)
1 資料2−1にもとづき、室井委員より将来のスーパーコンピューティング環境について説明があった後、以下の質疑応答が行われた。(○:委員、●:室井委員)

委員 ベクトルに関する要件を教えて欲しい。ベクトルにチューニングしている3次元FFTコードをたとえばItaniumPower4にかけると効率がすごく悪くなり、10分の1位になると思う。それを普通のコードに直すと、ベクトルは算機における実行効率は変わらないが、ItaniumPower4では実行効率があがって60%になったりする。いわば、もともとのベクトル向けにチューニングされたコードが悪いとも言えるので、気象庁がもっているコードをキャッシュアーキテクチャに最適化する手もある。それにお金を掛けるのか、ベクトル計算機を導入するのとどちらが良いか?
室井委員 たしかに3次元FFTは、スカラ計算機であるSR11000ではディレクティブを10行〜20行入れるだけで強力に実行でき、非常にシンプルである。一方、ベクトル計算機であるSXでは目も当てられないものが何千行も書かれている。結果を同じであるプログラムを書換えるだけのプロジェクトは、まず、発足しない。物理屋だけの力でプログラムを改良するところに、人も予算も集まってこない。計算機をインストールする機会でもないと、最適化は全体として進んでいかない。気象庁は国の予算なのでベンチマークして、コストパフォーマンスの良い計算機を入れている。SR11000向けのチューニングはこれからも進んでいく。但し、その動きは非常に遅い。ニーズとしては現状のコードで効率よく動いて欲しい。
委員 チューニングに人をかけているということですか?
室井委員 そのような考え方はありますが、自然発生的には進んでいかない。

委員 計算機上に特殊な要求はあるのか?たとえば、より高速なI/Oが必要とか。
室井委員 I/Oが特に高速である必要はない。気象モデルは偏微分法とカルマンフィルタを用いており、各タイムステップの値はメモリに格納しないといけないため、膨大なメモリが必要である。但し、地球シミュレータではメモリ上に持てないので、データの入出力に頼らざるを得ず、I/Oを含めた総合性能が重要になる。

委員 短期的な計算とか、100年オーダの計算とで、かなり性質が違うのではないかと思うがどうか?
室井委員 コンピューティングの観点では性質は同じである。
委員 現実のコンピュータ環境の中で、精度の良い答えを出すことが一番の目的だが、それぞれ、モデルの問題、メッシュの問題、解像度の問題などによって、計算のアプローチの戦略が違うのではないか?
室井委員 モデルの不確定性はものすごくある。100年後の温度上昇を予測した場合には、10℃くらい、かなりの幅がある。その不確定性を埋めるために、何が必要かというと、シミュレーションとしては高解像度にしていくという手法があるが、まだ、未解明な物理現象がたくさんある。特に雲に関しては全くわかっていない。衛星からの地球の観測データからシミュレーションの中にいれる雲の計算を開発していくとかがある。空気中のエアゾールの分布とかオゾンの分布とか、今まで取り入れなかったコードを取り入れる。計算コストに直結するものではないが、物理モデルの探求に力を入れていく必要が、温暖化の場合はある。数値予報の場合では、今までは、雲は近似計算していた。むしろ、近似計算しないで、水蒸気の量を直接計算するとかである。水蒸気の大きさも小さいものから大きいものまでいろいろある。普通はガス分布を仮定して計算する。分布までもシミュレーションをするということを行うと計算量が必要になる。精々、100キロメートルかける100キロメートルの計算しか、今のところ計算できていない。気象研究の各々の立場で、戦略が違うが、計算機リソースがあれば、難しいコードをモデル化ができるということでは同じである。将来的には同じ地球の帯域をシミュレーションしていくために、領域モデルの研究には2つのアプローチがある。ひとつはモデルを高度化していくこと。もうひとつは、パソコンで開発・低解像度で実行して、そのまま、スパコンでも高解像度で実行していく。結局、プラットフォームを同じにしていかないと、移植とか開発が2度手間になる。理想は長期・短期も、なるべく1本のアプリケーションに集約していくべきだと考える。

委員 スケールが小さくなるとモデルは変わるのか?流体はモデルが変わる。
室井委員 同じ地球帯域をターゲットにしているのだから、同じであるべきであると考えている。小さいスケールだからシミュレーションが大事ではないということではなく、小さいモデルもシミュレーションが必要だと考えている。
委員 同じモデルでもスケールを変えられるのか?
室井委員 同じモデルで適用できるはずである。そのとき、雲の効果とか乱流の効果とか、どこまで数値化するべきか、シミュレーションのターゲットによって違うので、そこは選択されるべきである。基本的にはひとつのアプリケーションで、いろいろな現象に対して適用されるべきである。

委員 アンサンブルに関して質問がある。アンサンブルにすると精度を落とせるということはあるのか?アンサンブルだけど、もともの予報モデルは今と同じか、より精度の高さが必要で、今の100倍の計算パワーが必要になるとか如何か?
室井委員 現状では、単体の予報モデルよりは、質を落としたものを使っている。もしくは、全く、同じだけど解像度だけを落としたモデルをつかっている。
委員 計算パワーの制約か?それとも、手法的に落としているのか?
室井委員 積極的に計算量を落とす理由はない。
委員 やはり計算パワーはより必要なのか?
室井委員 計算パワーは必要である。モデル自身の不確定性もあって、雲の事とか、不確定なパラメータだけでもたくさんある。それを変えるだけでも、同じ初期値から始めても、結果が違う。初期値も変えて、モデルも変える。スーパーアンサンブルやマルチアンサンブルなど、どんどん計算量は増えていく。
委員 何十通りぐらいですか?
室井委員 やりだすときりがない。専門家に聞くと1万本位あるといっている。予測可能性に関しては、研究を始めたばかりである。高解像度の単体のモデルだけでは恐らくできない。
委員 東大の住先生は、並列化の効率があがらなかったと言っていた。たくさんのCPU数よりモデル化が大事だとのコメントがあった。
室井委員 東大モデルの計算コストやパフォーマンスが悪かったというとではない。地球シミュレータでも7割程度の並列化効率は出せたと思う。きちんとコストを掛ければ性能を出すことができるはず。
委員 チューニングができていなかったということか?
室井委員 物理に携わる人が片手間にやっていたから、最適化の余地はあると思う。いろいろ取り組みをやっているのは知っているがリンクしていないところが問題。最適化したら、プログラムが変わってしまうので別のバージョンができてしまい、元に戻せなくなる。

委員 コンポーネントごとにモデルを変えて、それをリンクしながらシミュレーションするような方向性は無いのか?全てのモデルが単一モデルで出来るかのように理解したが、マルチフィジックス・マルチスケールな問題でモデルを変えながら、カップリングするシミュレーションする方向はないのか?
室井委員 見たいエリアがはっきりしていればそれでも良いと思う。台風の内部の構造を詳細に知りたい場合には、台風の内側だけを細かく、外側に行くほどを粗くなっていく多重モデルを作っている。地球の現象を見る場合は多くの場合は熱帯の細かい動きが地球全体に大きな影響を与えている。熱帯を細かくすることが特にインパクトがある。日本の中緯度の梅雨前線活動は、熱帯からどのような強い水蒸気が供給されるのかがその活動に影響がある。熱帯を広く高解像度にすることになる。わざわざ解像度を変えてモデルを複雑にするよりは、シンプルな方法で行ったほうが計算量的にも並列化効率等を考えてもメリットがある。
委員 単純なモデルではなく、粒子を含めたモデルになっていくのか?
室井委員 2010年では粒子のサイズを含めた全球シミュレーションには至らない。シンプルな設定でシミュレーションして、そこから近似モデルの精度を良くしていくことに使われる。全ての研究が単体で行われるわけではない。その下にはいろいろな基礎研究があってもっと狭い領域、たとえば雲一個だけをターゲットにしたシミュレーションとかもあるが、モデルとして埋め込むということではない。
委員 モデルとして埋め込んだ方が良いのですか?
室井委員 見たいターゲットがはっきりしていれば良い。

委員 たくさんプログラムがあると思うが。枯れたコードで定常的に実行しているプログラムと開発途上のプログラムの割合はどれくらいか?
室井委員 気象庁で現業運用しているプログラムがあり、半分から1/3くらいは、最適化されたプログラムでパラメータを変えるだけである。気象研は人の数だけバージョンがあるといっても良い。半分〜2/3は最適化したバージョンを使っている。その他は研究者の数だけバージョンがある。将来、反映されるものもあるし、やってみたけど駄目だったものもある。
委員 そのプログラムの割合は、機種選定に影響するのか?
室井委員 専用計算機を調達するわけではない。商用機から選んでいる。特定の計算機でしか動かないのは困る。なるべく、いろいろな計算機で動くように努力したい。どうしてもこれでないといけない積極的な理由はない。書き換えはコストがかかるので、コードの専門家も少ないので頭打ちになってしまうのも実情でもある。

2 資料2−2に基づき、諸星委員より将来のスーパーコンピューティング環境について説明があった後、以下の質疑応答が行われた。(○:委員、●:諸星委員)

委員 地震波計算はベクトル型の方が向いていると思うが、スカラ型を使用しているのは何故か?
諸星委員 地震関係者は、Origin(SGI製のスカラ型計算機)に慣れているからである。気象関係はベクトルが良いという人もいるし、サポート要員がいればそれはできると思う。
委員 地球シミュレータセンタでも支援要員がいるので相談にのれると思う。
諸星委員 それはわかるがプログラム書き換えにコストがかかるので、敷居が高い。

委員 ハザードマップに関してですが、産業界では、結果を利用させてもらい、リスクマネジメントに活用したい。いろんなケースに関して網羅的に取っていき、データベース化して、うまい方法でアクセスできる試みに関してはどのようにお考えになられるか?
諸星委員 今言われたことは是非、やらなければいけないと思っている。ハザードマップの精度もあがっている。

委員 スーパーコンピューティングのサポート要員が不可欠とのことであるが、防災研でのコンピューティングをサポートする体制は独自なのか?
諸星委員 そうである。
委員 コンピュータを使いこなせない事がおうおうにしてあると思う。以前は原子力研究所の計算科学技術センタが、科学技術庁系のスーパーコンピュータ-のお世話をしていた事があったが、今はない。また、国として考えないといけない状況になってきているのではないかと思う。
諸星委員 防災研でも組織を変えようという動きをはじめようとしている。

委員 防災研のデータをデータグリッド的に使っていくというシナリオもあるが、防災研のデータの蓄積量はどのくらいか?
諸星委員 地震観測データが中心である。そのデータをスパコンセンターで配信したいと考えているが、防災研内で管理ができておらずデータがバラバラであることが問題。次期スパコンシステムでは、(データを)集中的に管理して、外部に発信していく必要があると考えている。

委員 プログラミングモデルにおいて、自らMPIで開発しているのか?もしくは外部に委託しているのか?
諸星委員 防災研内でできる人は数人しかいない。並列化など、外注していることが多い。

委員 今の若い人はFortranを書けない人が多い。大学でも全然教えていない。Javaやc言語の本は売っているが、Fortranの本は中々売っていない。
委員 Fortran95はほとんどCと一緒である。サポート体制に関してコメントしたい。長期的にみると、物理モデルを扱えて、しかも、計算機の最適化が出来る人材を養成しないといけない。地球シミュレータプロジェクトと一緒に振興調整費で地球シミュレータ向けのプログラム開発を行うために、東大の理学系のCOEを形成した。これがひとつの人材育成のやり方である。計算機を使いやすくするためのライブラリをもっと増やしていき、使いやすくするアプローチをしていく事も必要。

2. 計算科学技術推進ワーキンググループ平成16年度報告骨子(案)について
 事務局より、資料3にもとづき、計算科学技術推進ワーキンググループ平成16年度報告骨子(案)について
 報告し、以下のような議論が行われた。なお、引き続きメール等で意見を募集することになった。
(○:委員)

  委員 ライフサイエンスとバイオは同義である。また、専用計算機のところの表現は、GRAPE−DRは準専用。特定分野→特殊なアプリケーションという表現が良いのではないか?

以上




(研究振興局情報課)

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