この会議は、科学技術・学術審議会であるが、人文・社会科学を含む学術一般の動向とその水準に関わる議論は、ほとんど議題にならない。日本文化の礎であると共に人材育成の要であり、問題なく順調に推移していると察するが、もし問題があれば、この審議会でも取り上げたい。
一方、科学技術の指標が低迷していることは明白。これについてはこの審議会にも一定の責任がある。科学論文の量、質、費用対効果は芳しくない。突き詰めれば、個人の生産性、創造性の低迷。特に主力である国立大学の指標の停滞が影響している。もはや個々の研究者や機関の奮起では間に合わず、大幅なシステム改革が不可欠。優れた若手、女性、外国人の思い切ったリーダーへの登用が必要。現行の体制でがんばってもV字型回復はない。また、アカデミアは、伝統的な意味での学術の発展、深化に貢献しなければいけないが、現実社会からの要請にも応える必要がある。
一般社会は、アカデミアの論文指標には興味がないだろうが、看過できないことが3点ある。
これらについて、各分科会で真剣に検討いただき、日本の再生に資してゆきたい。アカデミアでできることは限定的で、行政、政治、経済界総がかりで取り組まなければならないことが多い。欧州では国境を越えてこれらに取り組んでいるが、日本は国内でも多くのことが縦割りであるのは残念。あるべき姿を提示し、実行していかないといけない。深刻な現状を直視しつつも、悲観的になるべきではない。日本社会の潜在力は大きい。「東日本大震災を踏まえた科学技術・学術政策の在り方について」の建議は、震災に関わることだけではなく、現在の様々な科学技術・学術にかかわる問題が含まれており、是非、この内容を実現したいと思うので、各分科会においても、具体化のための方策を積極的に御議論いただきたい。
電話番号:03-6734-4111(内4279)
-- 登録:平成25年05月 --