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情報科学技術委員会(第101回) 議事録

1.日時

平成29年11月22日(水曜日)14時~16時

2.場所

文部科学省3階2特別会議室

東京都千代田区霞ケ関3-2-2

3.議題

  1. 「未来社会実現のためのICT基盤技術の研究開発」事後評価について
  2. その他

4.出席者

委員

北川主査、有村委員、上田委員、喜連川委員、栗原委員、瀧委員、辻委員、土井委員、樋口委員、八木委員、矢野委員

文部科学省

原参事官(情報担当)、石田情報科学技術推進官、澤田参事官補佐、邉田専門官、越前学術調査官

オブザーバー

村岡 東北大学教授、中村 株式会社日立製作所主任研究員、大野 東北大学教授、羽生 東北大学教授、廣瀬 宇宙科学研究所教授	

5.議事録

科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会
情報科学技術委員会(第101回)
平成29年11月22日


【北川主査】  それでは、定刻となりましたので、情報科学技術委員会の第101回会合を開催いたします。
 本日は、伊藤委員、國井委員、高安委員、安浦委員から御欠席の連絡を頂いております。また、土井委員については途中で御退席とのことです。
 それから、本日、未来社会実現のためのICT基盤技術の研究開発事業において、イノベーション創出を支える情報基盤強化のための新技術開発として実施していただいております2課題について、事後評価に向けての実施内容の御報告を行っていただくことになっているため、それぞれの課題の実施者の方々にもおいでいただいております。
 まず、「高機能高可用性情報ストレージ基盤技術の開発」の研究代表者の東北大学、村岡教授。
【村岡氏】  村岡でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【北川主査】  それから、日立製作所の中村主任研究員。
【中村氏】  中村です。よろしくお願いいたします。
【北川主査】  また、「耐災害性に優れた安心・安全社会のためのスピントロニクス材料・デバイス基盤技術の研究開発」の研究代表者の東北大学、大野教授。
【大野氏】  大野です。よろしくお願いいたします。
【北川主査】  それから、東北大学、羽生教授。
【羽生氏】  羽生です。よろしくお願いします。
【北川主査】  それから、宇宙航空研究開発機構の廣瀬教授。
【廣瀬氏】  廣瀬です。よろしくお願いします。
【北川主査】  以上の方にもおいでいただいております。後ほどよろしくお願いいたします。
 それでは、初めに事務局から資料の確認をお願いいたします。
【邉田専門官】  それでは説明させていただきます。
 クリップで留めている束が4つと、あと「終了後回収」となっている資料がございます。また、参考までに緑の紙ファイルで机上資料を用意させていただいております。一つ目のクリップの束でございますけれども、まず最初に座席表があって、その次に議事次第、その下から資料1以下資料6までは1つ目の束というふうになってございます。資料2が情報科学技術に関する施策マップ、資料3が事業概要、資料4が御参考ですが、今回事後評価を頂く課題の事前評価票と、資料5に中間評価票を付けさせていただいております。資料6でございますけれども、今回御出席がかなわなかった課題のプログラムオフィサーである柴田POからのコメントを付けさせていただいております。
 続きまして、2つ目の束でございます。こちらはヒアリング用資料でございまして、高機能高可用性情報ストレージ基盤技術の開発の事後報告書が資料7-1、7-2が自己点検結果報告書、7-3が自己点検結果報告書の別添の成果リストというふうになってございます。
 続きまして、その下の束でございますけれども、こちらもう1つの課題、スピントロニクス材料・デバイス基盤技術の研究開発についての事後報告書が資料8-1、8-2が自己点検結果報告書、8-3が成果リストというふうになってございます。
 またその下の束でございますけれども、事後評価のシートとなっておりまして、机上資料1、机上資料2として、それぞれの課題の事後評価シートを置かせていただいております。
 その下、終了後回収資料というのを配らせていただいているのですけれども、こちらスピントロニクス材料・デバイス基盤技術の研究開発課題について論文リスト、論文等のリストとは別について知財関連の成果リストを御提出いただいておりまして、こちら公開前の情報が記載されているため、取扱注意資料として委員席のみ配付ということで整理をさせていただいております。つきましては、こちらについては終了後に回収させていただき、また会議終了後もホームページ等では公表しないということとさせていただきたいと思います。
 以上でございます。
【北川主査】  それでは、これから議題1の未来社会実現のためのICT基盤技術の研究開発の事後評価に入らせていただきます。
 まず、事務局から、事前評価の進め方及び資料の説明をお願いします。
【邉田専門官】  それでは、1つ目のクリップの束の資料1、研究評価計画をお手元に御用意いただけますでしょうか。こちら、本年6月6日に当委員会でお決めいただいた本年度の研究評価計画というところでございます。
 評価対象課題として、今回審議いただくのは(3)、2.(3)事後評価の2課題というところになってございます。評価方法、3.でございますが、1枚おめくりいただきまして、上の方(3)事後評価というところで、委員会において評価を行った上で事後評価結果

案、別添様式3、こちら別にお配りさせていただいておりますけれども、事後評価結果案を作成して、研究計画・評価分科会に報告というふうになってございます。原則として公開するということでございまして、また、いつもどおりですけれども、公平性の確保のため、必要に応じて部分的に非公開とすることができると書いておりますけれども、机上資料以外は公開していくというふうに考えてございます。
 5.留意事項、利害関係者の範囲ということで、読んでいただいたとおりでございますけれども、今回お申し出がないということで聞いておりますけれども、もし万が一かかるようでしたら、お申し出いただければと思います。
 本日、発表は25分で質疑応答が30分程度というふうに考えてございます。それで、ちょっと束は変わるのですけれども、事後評価シート、机上資料1、机上資料2としてお配りさせていただいております事後評価シートをお手元にご用意いただければと思うのですけれども、議論終了後に本日記入のお時間をおとりいたします。ただ、本日記入を終えられなかった場合については、メール等にて事務局まで後日お送りいただければと思ってございますので、そちら、全て本日書いて帰らないといけないというふうなところではないということで御理解いただければと思います。
 続きまして、資料2、情報科学技術分野における施策マップに戻っていただきまして、こちら、災害等に強い安全・安心な社会の実現というところの矢印が書いてあるイノベーション創出を支える情報基盤強化のための新技術開発、その中の未来社会実現のためのICT基盤技術の研究開発というところで、青い逆の三角形のところが事後評価になるのですが、2017年度事後評価するというところに対応するというところでございます。
 続きまして資料3、事業概要でございます。こちら、簡単に御説明をさせていただきます。実際のヒアリングでもお話しいただくと思いますけれども、この事業、イノベーション創出を支える情報基盤強化のための新技術開発、始めた経緯、背景としましては、先の震災、東北の震災があって、情報システム機能が停止して、行政・企業における重要データの消失が発生する事態があったと。それを受けて、復興災害対応のための情報通信技術の貢献が明示されており、それに対応するものをしないといけないと。本事業、研究開発内容のところでございますけれども、耐災害性ということを考えて研究開発を進めていこうと。そのために公募に乗って選定して、事業を進めていっていただいたというところでございます。次ページ目以降は、またこれから御審議いただく際にいろいろお話しいただくところかと思いますので、割愛させていただきます。
 以上が事業の概要等でございますけれども、何度も前後して申し訳ございませんが、事後評価シートに戻っていただきまして、評価の観点として、評価結果のところに書き込むところに、評価項目と評価基準を書かせていただいております。1つ目のストレージ基盤技術の開発のところでございますが、2.(1)課題の達成状況、必要性というところでございます。評価項目としては社会的・経済的意義、括弧の中身ですが、産業経済活動の活性化・高度化、国際競争力向上等々、社会的価値の喪失等というところ、国費を用いた研究開発としての意義、科学的・技術的意義、独創性・革新性・先導性・発展性や、国や社会のニーズへの適合性というところでございます。
 評価基準、耐災害性を有する信頼性の高い情報処理管理システムの必要性を踏まえた独創性・優位性を有する基盤技術が開発されたか、被災地での情報保全を図り、社会的・経済的損失を低減するためのニーズを踏まえた研究開発が行われたかというところで判断をいただきたいと考えてございます。
 1枚おめくりいただきまして、次、有効性という項目でございます。新しい知の創出の貢献、実用化・事業化や社会実装に至る現段階を通じた取組と、評価基準として有効な基盤技術が開発されたかということでございますけれども、こちらについては実用化に向けた道筋・課題が明確にされているかという観点でもしっかり御議論いただきたいと思ってございます。
 3ページ目、効率性でございます。評価項目として計画実施体制の妥当性、目標達成管理の向上、方策の妥当性、研究開発の主題へのアプローチの妥当性と、研究見直しを柔軟に行ってきたかと、行って事業を進めてきたか、ほかの事業等で得られた成果も生かしつつ、効率的に行えたかというところを御判断いただくというところでございます。
 また、4ページめには総合評価、今後の展望というところで御記入いただく項目を設けさせていただいております。こちら、机上資料2についても同じような項目を置かせていただいておりますので、本日の事後評価については、ヒアリングについてはそういう観点でお聞きいただければと思ってございます。
 少し長いのですけれども、最後にもう1回、最初の束に戻っていただいて、資料4、5は後で見ていただければいいのですけれども、資料6、柴田POからのコメントをいただいておりますので、ヒアリングの前に簡単に御紹介させていただきたいと思います。資料6でございますが、課題名、高機能高可用性情報ストレージ基盤技術の開発、村岡先生のものでございますけれども、柴田POからのコメントで、このプロジェクトでは、1パラの最後の方にありますように、このプロジェクトでは電子お薬手帳のアプリをその事例として開発するとともに、100万人規模の対象者を想定した実証試験を行い、その有効性を示した。この成果は社会からも高い評価を得たというところでございます。
 2パラ目でございますけれども、下の方の記載ですが、実用化を推進する関連企業は柔軟に連携をとることで基礎開発・応用展開・実ネットワーク上での実証デモンストレーションに至るまでを成し遂げたと。
 最後のパラでございますけれども、この過程で生み出された並列トラック再生によるハードディスク、従来の限界を超える高速読み出し技術、ソフトウエア制御によるストレージ間のスマートルーティングネットワーク構築技術などは、顕著な成果というところでコメントを頂いております。
 続きまして2ページ目でございます。こちら、もう1つの課題、スピントロニクス材料・デバイス基盤技術の研究開発というところで、大野先生の内容でございますけれども、こちらについて1つ目のパラの最後の方、当初の期待を超えた大きな成果が得られたと評価するというふうに頂いております。
 3つ目のパラでございますけれども、超高速のデータ書き換えが可能、かつ何回書き換えても全く劣化しないスピンメモリ技術の基礎を確立したというところでいただいております。しかも、最先端のVLSIチップに用いる世界最小寸法のメモリ送信も製作と、その動作を実証した、とのコメントをいただいておりまして、3つ目のパラ最後ですが、広範にわたって必要な検討が十分に行われたことは特筆に値すると。その下のパラでございますけれども、特にこのスピンメモリの技術で重要な点に、量産化・実用化に向けてのバリアが低いと、バリアハイトが低いというところでございます。従来、様々な新規材料技術が開発されてきたが、LSIの製造現場に入ることがほとんどなかったと。スピンメモリ材料も全く例外ではなかったのだけれども、スピンメモリ素子の製造工程はシリコンVLSIの製造工程と全く切り離して独立に行うことができるということで、最後のパラですが、VLSI技術発展のPromising technologyとして大きな投資を決断するかどうかの問題だということで、他国に先を越されないよう、ここで一歩先んじたアクションをとることを期待というふうなコメントをいただいているところでございます。
 簡単でございますけれども、に御紹介させていただきます。
 以上でございます。
【北川主査】  ありがとうございました。それでは、これから2つの課題につきまして順番に、まず研究代表者の方に御説明いただいて、その後質疑応答という形で進めさせていただきます。
 初めに、東北大学の村岡先生からお願いいたします。御発表の時間は25分でお願いいたします。
【村岡氏】  村岡でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 タイトルはここに示すとおりでございますが、情報ストレージシステム耐災害性の向上を目指して研究開発に取り組みました。下にある3研究機関が合同で当たっておりまして、東北大学、日立製作所、日立ソリューションズ東日本であります。
 それでは1ページ目でございます。まず、概要及び目的から入らせていただきます。東日本大震災におきましては、緊急性の高い住基情報、医療情報がPCやサーバーの損壊とともに喪失してしまいました。下に新聞報道の例を示してございますけれども、かなり深刻な事態になりました。もともとストレージシステムというのはこういう情報喪失というのは避けなくてはいけませんので、その意味で研究開発を行われてきたわけですけれども、今回の大震災の場合は想定を上回るような被災でしたので、残念ながら耐災害性

に不備があったと認めざるを得ない状況になりました。それからもう1つは沿岸部を中心にインターネットの長期断絶が起こっておりまして、クラウドストレージとかディザスタリカバリといったような遠隔地にファイルを置いておいても、それにアクセスできないという状況が生まれて、情報喪失に近いような事態になってしまいました。そういうことでこういう甚大災害に対して情報ストレージ基盤の耐災害性を高める技術開発を目的とするということで取り組みました。
 まず、非常に大きな規模の災害を想定しておりますので、機器の大規模災害が起こるということを前提にします。その上で情報を保全し、保全するだけではなくてそれにアクセスできるということを目標に研究開発を進めました。可用性という言葉があります。

用い続けることができるという意味ですが、その可用性を追及するということであります。それから、インターネットが停止しているということでもこのシステムは動くことを目標にしています。
 それからもう1つはネットワークの輻輳の問題です。大きな被災がありますと、ネットワークはその後激しい輻輳を起こして事実上通信できなくなります。そうするとノードにある情報が喪失してしまいますので、そういうことを避けるために被災直後、あるいは予報の出た段階で高速でデータを退避するというのが望ましいのですが、そのためには転送レートを上げる必要があるということで、そういう開発にも取り組みました。転送レートの向上は平時でも役に立つというのは皆様御承知のとおりかと思います。そういうことでピンクの箱書きがありますけれども、多数のストレージ危機が損壊して、インターネットが途絶するというような甚大被災でも必要な情報を保全して、アクセスできるようにするということを目標に始めました。
 具体的な研究開発目標ですけれども、まず高可用性の情報ストレージの出し方ですけれども、取組なのですけれども、甚大災害でオフィスなり、場合によると建屋ごと被災してしまうということが起こっておりましたので、情報は丸ごと消えてしまう。そうするとどこか別の場所にバックアップを取っておく必要がありまして、分散配置すると、情報を分散配置。しかも通信が当てになりませんので、近隣でないと取りにいけないということになります。ですから、システムの基本的な要件は、近隣に分散配置してあるストレージだということを前提にいたしました。近隣であれば出向いてデータを取りにいくということもできますので、そういう意味では自由度が高いというわけです。その上に、一方近隣なので同じ災害で被災しておりますので、共倒れリスクというのが逆に増えてまいります。ですから、技術的にはこの共倒れを防ぐというのが非常に重要なポイントになってまいります。
 その下にピンクの箱書きのところですけれども、そういうことで50%の機器損壊、これは東日本大震災での実績に基づいた数字でありますけれども、半数の機器が損壊しても、それから通信が途絶しても、9割の情報に最大3時間待てばアクセスできるようにしようということの定量目標を掲げて開発に取り組みました。またこれを確認するための実証試験も開発、実証試験用の環境も開発したということです。
 それからもう1つ、ストレージとネットワークの高速化のところですけれども、ストレージの高速化というのはディスク装置を考えますと、ディスクの上にあるビットを1秒当たり何ビット読めるかというのが転送レートですので、高密度化して小さいビットを作れば転送レートは上がります。それに加えて並列化する、トラックを並列化する、あるいは装置を並列化するということで、転送レートを上げる研究も行いました。その2本立てのアプローチをしました。
 それから、ネットワークの高速化については、最近出ているソフトウエア制御型のネットワーク、SDNと言われる技術を使って、輻輳と経路破壊を迂回すると言いますか、最適化してスループットを向上することを考えました。こちらの定量目標は、現状単体ドライブの転送性能の5倍程度になりますけれども、10Gbpsがこういう並列化でできるかという確認をいたしました。
 具体的な開発技術、ここにございます。高可用ストレージのところですけれども、共倒れを防ぐという意味での技術で、ここにはリスクアウェア複製というふうに呼んでいますけれども、拠点のリスクを考慮して、危ないもの同士バックアップをとるようなことを避けるということで、全体を最適化する技術を作りました。この図の右側の上の方に宮城県の地図がありますけれども、ここにありますように津波が沿岸の方から襲われたとすると、沿岸部の拠点というのは非常にリスクが高いわけですね。沿岸部同士で持ち合ってはリスクの高いもの同士なので、共倒れの確立が高まるということで、例えば沿岸部と内陸部を組み合わせるといったような技術を開発いたしました。その上で、この生き残った残存情報を改めてどこかの拠点に再構成して復旧する必要がありますけれども、

それもマルチルートリストアと呼んで、これも開発ターゲットにしました。それから実証試験については、冒頭の新聞情報にありましたように、お薬手帳というのが実に重要だというのが震災のときの経験です。それを踏まえて、その電子版をスマートフォン上で動くようなアプリを作りまして、それでこの高可用ストレージにアクセスしてやると。そうすると被災後に9割の情報が取れるかどうかをここで確認するというふうにしました。
 それから、その際に試験は学内の、東北大学の仙台市内に展開している学内ネットワークを使って、そこをテストベッドにして行いました。それから、HDDの高速化について、ストレージ機器の高速化については、トラックを複数同時に読むということで、2倍化するということを試みました。一方のトラックを読んでいると、単チャンネル伝送なのですけれども、隣接する2つのトラックを同時に読めば2チャンネルで伝送できますので、転送レートを倍増できるだろうということで、開発に取り組みました。ソフトウエアはSDNを使って高速化するということです。
 ということで、要素技術の一覧ですけれども、大きく3つの機能をファイル分散、ファイル分散複製方式、実証試験、それから高速データ転送、この3つのために要素技術をこういうふうに組み合わせて開発いたしました。リスクアウェア複製によって共倒れを防いで、マルチルートリストアで拠点復元をすると。それから実証試験についてはスマホ版の電子お薬手帳アプリを作って、実際に高可用ストレージ、試作した高可用ストレージにアクセスをかけてみると。そのためには東北大学の通研で開発したSML#というプログラミング言語をこのアプリ開発のために使いました。高速データ転送、ドライブの高速化を並列トラック同時再生ということで実現して、また分散ファイルシステムを使って高速の並列転送を行いますと。SDNのスマートルーティングによるネットワークの最適化でスループットを上げるという技術も作りました。
 こういう大きく3つの技術がありましたので、実施体制としても3グループに分かれて開発しました。こちらの耐災害性強化ストレージについては東北大学の中村准教授の研究室と、ものづくりのところは日立製作所にお願いしまして試作機を作っていただきました。それから、高速ストレージのところは東北大学の私の研究室と、ネットワークは菅沼教授の研究室が担当しました。また、実証試験のところは日立ソリューションズ東日本にプログラム開発をお願いして、ソフトウエアのサポートは東北大学の大堀教授の研究室に当たっていただいたという開発体制です。
 研究計画、ここに示すとおりです。クリティカルパスとしては2度の実証試験、これがクリティカルパスになっていまして、3年度目で第1次のちょっと小ぶりの実証試験をやって問題点を抽出すると。その上で本番の100万人という規模の大きい実証試験をやりました。ここで人数の違いはアクセスの負荷の違いになります。100万人ということになりますと非常に大きなアクセスがストレージにかかってまいりますので、処理が遅いとタイムアウトしてしまうという問題が出るという意味で、負荷の重いものを最終的な試験にします。高可用のストレージシステムの第1次試作、この第1次実証試験に間に合わせると。その上で改良も第2次実証試験に間に合わせるということで、同期して進めました。ストレージ、ネットワークの高速化は直接はリンクしていないのですけれども、原理開発、実用開発、それから評価というステップで進めてございます。
 計画変更が、一部変更というか調整をかけた部分がありました。ここで2点記載してございますが、1点目については既に中間評価の際にこちらで御説明しておりますのでちょっと省略させていただいて、2点目のプログラミングフレームワークの研究開発ということで、少し変更がありました。当初、事業計画書、ここにありますけれども、プログラミングフレームワークを介してストレージの高機能化を実現するという幅広い目標で取り組んだのですけれども、実際にやってみたらストレージインターフェースのところの開発が、高可用ストレージの開発でかなり負荷の重い状態になりまして、ここにプログラミングフレームワークの開発も相乗りしてしまうと混乱してしまう懸念がありましたので、こちらのプログラミングフレームワークの研究開発についてはWebアプリの開発環境の提供というところに集中して、力を分散しないようにいたしました。
 事前評価、中間評価の指摘事項と対応ということですが、事前評価はちょっと省略させていただいて、中間評価のところですけれども、中間評価では実際の被災状況を詳細にシミュレートするのが大事であるというような御指摘でございました。我々は2点考えまして、1つはネットワークの輻輳の問題です。冒頭申し上げたように、ネットワークは輻輳を発生しますと非常に大きなスループットの低下を招きますので、それについてはSDNを使って最適化するということで解決すると。それからもう1つ、被災状況の詳細なシミュレーションについては、防災科学技術研究所の公開データを使いまして、16種類の被災シナリオを作りました。かなり精密なものを作って、それで対応しました。
 それから2点目、電子お薬手帳のデータの、刻々変わるデータへの対応と、プライバシー対応ということですけれども、このシステムはデータは非同期で取っていますので、確かにデータの不整合は理論的には出てしまいますが、実用上は十分頻度高く更新をかけましたので、問題ない範囲に不整合は抑え込まれていると思われます。それからプライバシー問題については、秘匿性の高い、機微性の高い個人情報については、セキュリティー管理のしっかりしたストレージの中に入れると。薬局情報のような公開に近い情報については、端末に入れるというような区別をして、機微性によって区別をして扱うことで、プライバシーに対する配慮をしました。
 それで、ここでは研究開発目的の達成状況ということですが、基本的に今申し上げたような目標に対して達成してございます。近隣の分散配置ストレージ、これの開発を完了しまして、実際に実証試験に供しました。下の方に、定量目標に対する達成状況が書いてありますけれども、ストレージの方は半数も拠点損壊があっても9割の情報にアクセスできるという目標ですけれども、それは達成いたしました。それから、実証試験もそれに対して実施して、その90%を見たわけですけれども、実証試験も16種類のシナリオを作るという作業と、それから100万人のクライアントを実際に試作、ストレージにアクセスをかけてみると、その2つを実施できてございます。それから、ストレージの高速化についても、これまで例のない2トラック同時読み込みというような方式を使って、140%の向上を確認してございますし、10Gbpsというのをストレージ、ネットワークともに並列化することで実現しています。
 研究経費についてはこういう経緯でございました。予算額と執行額でございます。
 以降は簡単にかいつまんで技術成果を御報告申し上げます。
 まずはリスクアウェア複製ということで、リスクを配慮しながら最適の複製先を見つけていくという開発ですけれども、おかげさまで無事に開発できて、シミュレーションでも90%の可用性を確認できましたし、実証試験でも確認できたと。しかしながら、問題と言いますか、技術的な裏で工夫したことがありまして、と言いますのはここでは4か所しか拠点がないので、簡単に複製先が見つかるように見えますけれども、実際はこの宮城県で、例えば病院というふうに考えますと、100か所以上あります。100か所の中からそれぞれ1個1個自分の複製先を見つけていくという、組み合わせ数が膨大なことになって、計算時間が爆発してしまうほど大きくなる。ここに概念図を書いてありますけれども、複製先がn箇所あったならば、それぞれ1つ1つに複製先を探していきますので、第1複製をするだけでnのn乗になってしまう。さらにそれを2複製、3複製というふうにしていきますと、その累乗ということで非常に組み合わせ数が多くなって、最適解を探すのに時間がかかってしまうので、ヒューリスティックな解ですけれども、反復法、要するに第1複製を作る方法と第2複製を作る計算を分けてやることにしまして、計算量を抑え込みました。
 具体的にはここにあるのですけれども、100か所、80か所ですけれども、その拠点数に対して計算時間を3,000分の1、このケースはですね。これは2複製のケースですけれども、3,000分の1に抑え込むことができたと。この場合は最適解を保証されなくなってしまいます。場合によると最適解を見過ごす恐れが出てくるのですけれども、やってみますとそんなに大きな損失がなくて、最適解までは行かなくても準最適解ぐらいで見つかるので、実用的にはこれで問題ないだろうということで使ってございます。
 それからもう1つは複製先の数の工夫でありまして、例えば沿岸部で持っているときは、やはりリスクはどちらも高い、津波に対しては高い、例えばですが、津波に高い場合に、第2複製を1個持つと非常に安定するということがあります。ところが一方で、内陸側で第2複製を持つというのは、これは過剰に安全ということでオーバースペックになってしまうわけです。ですので複製数を、全部を例えば一通りで、損壊率に対して可用性を振っていますけれども、90%の可用性に対して複製数1で半数損壊だと基準を満たすのですけれども、55%損壊すると90%を割るということで、これを回避するには、例えば全体の10%は2複製、90%は1複製というふうにして、リスクに応じて複製数を変えることで工夫ができそうだということを見出して、実際に1.2複製とか1.5複製とか、平均値をコントロールすることで効率的に安全性を高めると、可用性を高めるというアプローチをいたしております。
 それから、マルチルートリストアという技術ですけれども、これもプロジェクトの後半で、単に情報が残存サーバーの中にちりばめられているだけでは余り役に立ちませんので、再度再構成して、かき集めてきて応急サーバーに入れるということをしました。
 それから、こうやって作ったシステムを実際に試作しまして、仙台市に展開している東北大学の各キャンパスの中をネットワークで結んでいる学内ネットワークがありますけれども、それで分散配置いたしました。片平にメーンサーバーを置いて、これが開発したメーンサーバーですけれども、置きまして、各キャンパスにサーバーを置くと。バックアップを取るときにはリスクを考えて各キャンパスに分散で複製を取るというようなシステムを作りまして、これに実証試験の際には外からデータのアクセスをかけるということで、何%読めるかという試験をいたしました。
 それから、実証試験の方ですけれども、電子お薬手帳アプリを作りまして、今申し上げた東北大学の学内キャンパスに展開した分散ストレージシステムの中にアクセスをスマホからかけてあげるということで、被災後は半数の機器を止めて、それに対して9割の情報が生き残っているかというのを見るということであります。この際に108の医療機関をシミュレートしまして、VMでこれを作って試験をしました。それからユーザーも100万人ということで、これも実際に100万人の方を動員することはできませんので、VMでシステムの中で発生させたということです。
 被災シナリオは防災科学技術研究所のデータを元に16種類、ここに宮城県の地図がありますけれども、例えば断層がどこに走っているか、それから海溝型の地震がどういう揺れで来るかというのが公開されていますので、それに応じて市内の被災状況、この病院の揺れ情報のようなものをもって被災に代えるとかというようなことでシミュレートしました。この16種類のシナリオをやってみますと、一番、これは1.5複製だと思うのですけれども、一番厳しかったのが94%の可用性でした。ということで、目標の90%を下回ったシナリオは1つもなくて、大体が95%の可用性ということで確認できたという次第であります。
 それで、ここのお薬手帳アプリの開発には、東北大学の通研の大堀教授が開発したSML#というプログラミング言語を使って開発環境を提供してもらいました。
 それから、ストレージの高速化のところですけれども、トラック、これはハードディスクの中にはヘッドディスクがたくさんあるように見えますけれども、実際に読み書きしているときは1つのヘッドで1つのトラックしか使っていません。ここでは2つのトラックを同時に読もうという発想なのですけれども、普通にやってはお互いの信号がお互いの信号のノイズになる、いわゆるクロストークノイズというのが発生しますので、複合できない状況が生まれます。これまではそういうことで使われたことがなかったのですけれども、ビットを、ここの絵にありますように、ビットを半分ずつずらす、しかも2次元で符号化を考えるというふうにして、この2つのトラックを別々に複合できる技術を確立しました。それによって転送レートを上げようというふうにしました。
 シミュレーションの結果が下にありますけれども、転送レートの向上はここに1.4、ちょっと見にくくて申し訳ないですけれども、1.4ということで140%の向上がありました。本来200%にしたかったのですけれども、ちょっとオーバーヘッドが出て140%にとどまっていますけれども、少し記録再生条件をチューニングすればもっと大きくなると思います。
 それから、分散ファイルシステムを使って、Glusterというオープンソースのものを使ったのですけれども、ここにありますようにストライピングをかけることで、10Gbpsのレートが8台のディスク装置のパラレル転送でできるということを確認しました。1台のドライブのソフトで上げる技術も作っておりますので、8台は要らないと、2、3台で恐らく10Gbps出せるだろうという読みをしてございます。
 それから、ネットワークの方はオープンSDN、Software Defined Networkというものを使ったのですけれども、プロトコルとしてオープンフロープロトコルというのが公開されていて、実際にネットワークスイッチもそういうのにのっとったものが出ておりましたので、それで実験系を組んだということです。実際にやってみましてトラフィックを流して、どれだけのレートが出るかというのを見ました。さすがに経路制御をしますと転送レートが上がるというのを確認してございます。
 プログラミングフレームワークは、ここにありますようにちょっと細かくて申し訳ないのですけれども、このプロジェクトで使うソフトウエア開発の支援としてプログラミング言語を提供していただくということで取り組みました。最後のところが成果としては典型的なところですけれども、SML#という言語で高水準のWebアプリを作れる開発環境を作るところまで行きました。JSONというデータ交換フォーマットをサポートしていただいて、それでお薬手帳のアプリを完成することができたということです。
 最後に、宮城県の薬剤師会との合同実験をやっていまして、これはちょっとオプショナルな実験だったのですけれども、御紹介させてください。
 左側のところは我々の開発したマルチルートリストアをいう技術で、ノードに残存している、拠点に残存している情報を集めてきて、1個のPCの中に再構成する技術ですけれども、それをやって、かつ薬局の業務情報も含めて全部VMで再現するというふうにしました。そうして宮城県の薬剤師会が車載型の薬局を開発しておりまして、この車載薬局の中に我々の情報を持ち込むと。調剤機能と我々の情報機能を両方マージさせて、避難所相当という学内のあるホールなのですけれども、避難所のところに出かけていって、そこでデモンストレーションをしますと。下の方にあるのですけれども、うちの学生さんにサクラになってもらって、お薬手帳は持っていないのだけれども、過去投薬してもらったものを再度薬を出してもらうというようなことを試験しているということです。
 ということで、これは独創性と優位性、ちょっとビジーで申し訳ありません。簡単に申し上げますと、最初のリスクアウェア複製という、リスクを考慮しながらストレージの汎用性を高める技術というのは非常に独創的なものではないかと思っておりまして、ここではそういう共倒れのないストレージを実現できるということでございます。
 それから、技術的なことですけれども、組み合わせ数の計算量を減らすという工夫も、我々としては頑張ったかなと思っているところです。
 実証試験については、独創的というのは余りないかなと思うのですけれども、非常に精密なシナリオを作ったということと、実際にスマホ上で動作するアプリで試験をしたというところが優位性があるかなというところです。
 高速データ転送のところは、ストレージの高速化のところは、これまでできないことが何とかできるようになったので、そういう意味ではストレージ、新規性があるのではないかと思います。
 それから、必要性、有効性、効率性のところですけれども、必要性としてはストレージの耐災害性を高めるという意味で社会的なニーズは大きいのではないかと思います。それから有効性のところは、災害、高速データ転倒の技術は耐災害性にも役に立つのですけれども、同時に平時でもこの大容量ファイルの転送とか、高再生度映像の転送に力を発揮しますので、そういう意味でも有効かなと思っています。
 それから効率性のところは、我々の開発チームが産学連携を構成しまして、大学の基盤研究と企業のものづくり力をマージした形で取り組むことができたということが効率的ではないかと。企業だけ、大学だけで外注さんと使ってやるのに比べると、スムーズに開発が進んだというふうに思っています。
 成果の波及効果、SNIAという国際的なストレージシステムに関する組織があるのですけれども、ここに成果を持ち込んで報告してきています。国際的な足がかりがこれからできるといいなと思っているところです。
 それから、総務省、内閣府のプロジェクトで、ネットワークの耐災害性技術ということで、無線を使ってローカルネットワークを復旧させる技術を開発しています。これと我々の公開用ストレージというのはとても相性がよくて、イントラネットができた段階でストレージシステムを組むというのは非常にすぐれたシナジー効果が期待できるなというところです。
 それから、第3回の国連防災会議、プロジェクト期間中に仙台で開催されましたので、我々の成果を持ち込んでプレゼンをしてきてございます。
 論文発表一覧、ここに示すとおりです。特許は5件程度ということで、それからプレスリリース、記者会見を含めて5件ということですけれども、取材に来ていただいたりして、新聞で取り上げていただいたのは11件でございました。ウエブではもっとあったのですけれども、ちょっと省略させていただいています。
 今後の展望のところですが、宮城県の薬剤師会との関係が構築できていますので、今後そういう意味では様々な連携ができるかと思います。
 それから、民間企業への技術移転というところですけれども、既に日立製作所と日立ソリューション東日本はメンバー企業ですので、開発した成果を直接持ち帰っていただいていると。民間企業なので、ビジネス環境が整わないことにはなかなか前に進むのは難しいかもしれませんが、それ次第で次のフェーズに移れるという状態になっているのではないかと思います。
 それから、この2社以外にも3社ほど興味を示していただいて、技術移転と言いますか技術紹介をしているということです。
 それから、開発したストレージ、あるいはネットワークの技術も先端的なものなので、波及効果があるのではないかと思います。
 それから、今後の展望の終了後の継続に向けた取組ということですけれども、東北大学の中でビッグデータを扱うような、そういう新しい研究センターが立ち上がっていますけれども、こういう大きなデータを扱う研究ではストレージ技術がとても大事なので、そこの中で継続的に取り組んでいただけたらと思っているところです。
 それから、少し一般論になりますけれども、現状のストレージ技術をこれまでのエンタープライズ型の大きい専用の高価なシステムを作るというところから、SDSと呼ばれるSoftware Defined Storage、小ぶりなシステムをスケールアウトしてシステム化するという方向にイノベーションが動こうとしています。こういう意味で我々の分散ストレージもこれの親和性の高い技術ですので、こういう新しいトレンドの中で、我々の成果が生きていけばいいなと思っているところです。
 大変雑駁でしたが、以上でございます。よろしくお願いします。
【北川主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの御報告に関連しました御質問等ございましたらお願いいたします。
【矢野委員】  私、日立に入っているもので、利害関係者ですので。関わってはおりませんが。
【北川主査】  それでは、ほかの方で。
【瀧主査代理】  データが完全に失われているところと、部分的に残っているところといろいろあると思うのですが、例えば読み出しのときに誤った情報を読み出したりするということもあるかと思うのですが、場合によりますけれどもね。そうすると、例えば2か所にデータがあってどっちが正しいか分からないとか、そういうようなことは起こらないようになっているのでしょうか。
【村岡氏】  恐らくデータの複製についてはそれぞれタグが付いていますので、タグが壊れてしまうともうそもそもアクセスできないという状況が生まれると思いますので、読めないということはあると思うのですが、取り違えるということは余り起こらないのではないかというふうに思いますけれども。多分、ではないかと。
【瀧主査代理】  はい。
【村岡氏】  アドレス情報とか、メタデータとかが情報にひっ付いていますので、それを判断することで、どの情報に関連した、例えばバックアップデータであるとか、あるいはその続きにあるデータであるとかという、その辺の情報がメタデータとして入っていると思いますので、それを読むことで別のものと取り違えるというようなことは、たまたまそういう読み違え、エラーを起こすということがあるかもしれませんけれども、多分そんなに心配しなくていいのではないかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
【北川主査】  よろしいですか。
【瀧主査代理】  はい。
【北川主査】  では、ほかの方。
【有村委員】  高機能プログラミングフレームワークの18ページのスライドについて質問します。それと薬剤師会との実証実験です。その1ページ手前をお願いします。
 JSONデータのキーバリューストアの理論からWebアプリケーションまでの実装というのは非常に大事なことだと思いました。これは、今回の薬局の応用のシステムの実装に限らず、今ウエブ上のデータサービスが非常に重要になっていますが、今回のシステムはこの種の一般的な用途に広く使えると思うのですけれども、その認識は正しいでしょうか。
【村岡氏】  はい。まず……
【有村委員】  高可用性かつ耐災害性をもつ汎用のデータサービスのフレームワークという意味です。
【村岡氏】  今回の開発は、基本的にSML#というプログラミング言語、これのフレームワークの開発を大堀教授が進めていて、それはとてもジェネラルに使えることを想定した開発をずっと続けています。このプロジェクトに入っていただいて、たまたまと言うとあれかもしれませんが、お薬手帳アプリを作るのに適用してみていただいた……
【有村委員】  もともとあった技術に対して、その実装技術を研究開発したという意味でしょうか。
【村岡氏】  ですから、もともとは汎用的な用途に使えるような言語開発をしておられたものを、このプロジェクトではお薬手帳アプリのために使ってみたという位置付けだと思います。
【有村委員】  分かりました。ありがとうございます。
 そうすると、今回の薬局システムのフレームワークはウェブ上のデータ提供に関して、非常に一般的な方法論であり、かつこのプロジェクトで実際の災害とレジリエントなシステムでの有効性が実証できたと思っていいわけでしょうか。
【村岡氏】  ええ。特に、実は開発したのが、申し上げたように日立ソリューションズ東日本という地域のソリューション会社なのですけれども、そういう方たちが使えるような形でライブラリの提供とか、そういうことをしていただいて、サポートしていただいたということなのですけれども、そういう環境を用意していただいて、我々のプロジェクトの中でそういうお薬手帳アプリというのを、Javaでも作ったのですけれども、それと並行してSML#でも作ってみるということで、開発に取り組んだということです。
【有村委員】  分かりました。ありがとうございました。
【北川主査】  それでは、ほかの質問。はい、栗原委員。
【栗原委員】  私も東北大学なので、このお薬手帳が地域に非常に役に立ったということはよく分かっていて、東北地区ではというか仙台などでは持っていないといけないということを、非常に震災時にはカルテの代わりになったということで、有効性をいわれているのですが、こういう活動は大変貴重だというふうに承知しました。この技術は今後展開するに当たってはなるべく全国区にこういうものを広げるのか、あるいは類似のものをどういうところに使ってもらうような活動というふうなことを思っておられるのか、そのあたりはいかがでしょうか。
【村岡氏】  大変重要な御指摘ありがとうございます。実は、このお薬手帳の電子版というのは既に別のところでも開発が進んでいて、ある意味競合と言うとあれなのですけれども、複数の候補があるような状態というふうに聞いています。我々としては公開用ストレージの実装試験用に開発をしたので、そういう意味ではお薬手帳の電子版をターゲットに直接したわけではなかったのですけれども、作ってみたら実は薬剤師会の方からとても細かく専門的な助言を頂いて、スペックを変えていますので、かなり使いやすいものを作ったのは確かなのですけれども、我々としては宮城県のこの実験の中で使ったということですね。ですので、多分恐らく公的な機関も含めて、巻き込んで、ある種標準化のようなことをやるというのが、全国的な普及という意味では必要かなというふうには思っているのですが。
【栗原委員】  あと、ほかの展開というのは、同じ考え方ですぐに使えるものなのか、あるいはこれはお薬手帳という形で割と特別な形のものができたのか、そのあたりはいかがですか。
【村岡氏】  余り特殊な仕様は入れていないというふうに認識していまして、お薬手帳というのは、要はクライアントの方と言いますか、端末を持ってらっしゃる方がストレージ基盤の方に参照なり登録なりということでアクセスをかけてくると。そういう状況を作るためのテストベッドとして作ったので、そういう意味では多くの方がこのストレージ基盤にアクセスをかけるような用途であれば、お薬手帳に限らず使えると言いますか、活用できると思います。
【北川主査】  今のところ、大事なところだと思うのですが、特に今、東南海地震が非常に重要になっていて、そこに展開できるかというのが大事だと思うのですよね。そのときに、ICT技術のところよりもむしろリスクの評価をどうしたかとか、その辺のノウハウとか、そこが公開されているのかどうかちょっと気になったのですが。
【村岡氏】  そうですね。ちょっと申し上げましたけれども、防災科学技術研究所が公開している情報で、本当に地域のここがどのくらいの揺れに襲われるというような情報が入っていますので、それに応じれ我々は損壊確率を出したということで計算をしているのですけれども、おっしゃるとおりでそのアルゴリズムがほかのケースにはとても役に立つのではないかなと思います。
【北川主査】  上田委員。
【上田委員】  今の議論にありましたように、これは非常に全国展開的な、汎用的な技術として重要だと思うのですけれども、この実験で16種類の被災シナリオがどのように設定されたのかと、50%の損壊に対して90%の復旧ということなのですけれども、例えば70%の損壊を想定したときにどうなるかだとかについての検討も必要かと思います。後半の方に数字最適化の技術がちょっと資料に書かれていましたけれども、この辺は何か今グリーディーに解かれているような書き方ですが、そこはもう少し技術進歩させるなどの改善の余地があるかですとかについて、如何でしょうか。
【村岡氏】  まずシナリオの作り方なのですけれども、震源の違いによって、例えば海で起こった地震によって損壊するケースと、断層で起こると直下型地震になるわけですけれども、しかもその断層も場所が違うということがあります。そういうのを1つ1つ拾い上げてシナリオにしていますので、そういう意味で言うと震源が違うというのがシナリオの違いに、大きな違いになります。
 その上で、先ほどのグリディフとかという改良の仕方ですけれども、それはおっしゃるとおりでして、ここでは経験的にそんなに悪い解は出さないということで見ているのですけれども、もっとチューニングをかけるという必要があるかもしれません。一応実用的には近似的に問題ない範囲に入っているだろうという理解はしています。
【上田委員】  損壊のレベルを変えたときに……
【村岡氏】  そうですね。それから70%は、複製数を増やすと、様々な手当てをすれば9割の確率に近づくかもしれませんけれども、感じとしては今のままで単に損壊数が70に上がってしまうと、9割の可用性は非常に厳しいと思います。
【上田委員】  なので、そういう数字が重要かなという、要望としてですね。現状の技術としてはどこまでいくか。
【村岡氏】  そういうことですね。ちょっと申し上げたいのは5割は東日本大震災のケースですので、おっしゃるように南海トラフとかでまた別の損壊確率が確かにあるかと思います。ちょっとすぐこの場で数字とかはお答えできませんけれども。
【上田委員】  つまりそれで今後ほかの組織、研究団体がフォローするときに数値目標になるのかなという意味で、そういうダイナミックな情報があるといいかなと。
【村岡氏】  はい。ありがとうございます。
【北川主査】  ほか。八木委員。
【八木委員】  今の御意見とも関係して同じようなことかもしれませんが、災害16種類という中で損壊という形で定義されていましたけれども、損壊とともに、損壊がどんどん増えてくると、ネットワーク負荷とかもどんどん偏ってくると思うのですが、そういった観点のシミュレーションも行われているのですか。それからあと、特にお薬のやつとかだと、100万というお薬の話だけなのか、それ以外にあるネットワーク上の情報に対してもシミュレーションとしても定義されて評価されてきたのか、そこをちょっとお聞きしたかったのと、もう1点は、先ほども多重化をどんどん進めれば70でも行けるかもしれないという話があったと思うのですが、確かにそうだと思うのですね。もう1つは、増やせば増やすほど今度コストアップの話が出てくると思うのですね。これはバランスポイントとしてはどういうところに出てくるのかというのと、それからあと、どういうデータを多重化するときに社会は受け入れてくれるのかというところを是非ちょっとお聞きしたいなと思います。
【村岡氏】  確かにコストの問題は大きいと思います。それだけたくさんの容量を用意しないと複製を入れられませんので、1つの拠点の規模が大きくなるというのは確かに御指摘のとおりだと思います。下手をすると、コストアップは全く予算のないところだと認めてくれないということもあったりして、実は我々、実際に地方自治体などと相談したときに、とても予算の件は厳しいなという、ちょっとそういう実感は持っています。東北地方ですら、喉元過ぎればというのは、ちょっと言葉は悪いのですけれども、被災直後と大分時間がたったのでは状況が変わってしまって、そういう予算状況なども変わってしまうということもあって、なかなか簡単なロジックでは行かないような感じを開発の途中で受けましたけれども。
【八木委員】  そこで、どういうデータなら社会が受け入れるかというのが見えてくると、こういうシステムが日本中でも広がるのかなと思いながら。非常に重要なことだと思うのです。
【村岡氏】  御指摘ありがとうございます。そういう意味では、冒頭示しましたけれども、我々が感じたのはやはり住基情報とか医療情報とか、救助・復旧に直接リンクしてくる情報が非常に重要かなと。例えば住基情報も、ある地域でどなたが行方不明になっているのかとか、そういうのを知るにはやはり住基情報が消えてしまうとなかなか難しいというのがありますし、医療情報はさらにもっと大事ということもありますので、少しそういう、おっしゃるようにデータの質によって変わるということ、データの種類によって変わるというのはあると思います。
 それから、ネットワークについては、済みません。考慮しなかったと思います。済みません。ちょっと我々のシミュレーションの中では、ネットワークは独立して一部輻輳させるとか、あるいは経路を破壊するとかして、ネットワークのスループットを計算するというのはやったのですけれども、お薬手帳の可用性を出すときに、そこではちょっと入れていないのではないかと思うのですけれども。
【八木委員】  多分、現実には復元の速さとかはネットワークとの兼ね合いが大きいから、関係してくるでしょう。
【村岡氏】  そういう意味で、ちょっとNTTの技術を御紹介しましたけれども、無線技術を使って、広域ネットワークではなくてローカルなのですけれども、ローカルなネットワークを無線で復元するという技術を作っておられたので、それはとても我々の技術とシナジーがあるかなというふうに思っているところでございます。
【八木委員】  ありがとうございます。
【北川主査】  あと1問ぐらい。
 喜連川委員、お願いします。
【喜連川委員】  どうもありがとうございます。成果はSNIAで開示されていろいろファンを作るという試みをなされて、この業界はSNIAがグローバルで一番一極ですので、大変立派な活動をなされたのではないかなと思います。
 ちょっとテクニカルなところをお伺いしたい。阪大さんはネットワークがとても得意なところなので、9ページにはネットワークの稼働率に伴う、これは僕が質問したのかどうか分からないのですけれども、中間審査のときにそれが指摘を確かされておられてい

ますので、何かされたのではないかなと思いますので、そこはあれされておいた方がいいのではないかと思います。
 それと、これは技術的に見ますと、同期か非同期かというのが重要で、先ほど瀧先生がご指摘になられて、半分ぼやっとしているようなものというのが残っちゃった場合どうするのですかという話というのは、同期がけをしているときに、最後のところでぼやけてしまうという、その更新系の話なのですね。ですから、リードオンリーでスタティックにレプリケートされている場合というのは問題が極めてシンプルになるわけですけれども、書き込みを同期にするのか非同期にするのかというので、そこのところが余りはっきりとはお書きになられていなくて、ミッションクリティカルなところまで行けるかどうかという、そこがちょっと、もうちょっと何かお書きいただいてもいいのかなと思ったのですけれどもね。
【村岡氏】  書き込みは非同期です。ですから、書き込んだ時点では必ずしも整合性は、システム全体としては取れていないという状態で、改めてどこかのタイミングで全体を整合取らないといけないという状態になってはいます。
【喜連川委員】  ですから、そのディザスターが起こった瞬間、つまり地震が起こってディスクが倒れてしまったときに、そのときのデータの整合性一環をどうやって取るかというのが一般的には一番デリケートな、日立さんは得意なのであれなのですけれども、いわゆるCD-Rというか、コンティニュアスなデータプロテクションをやるのかどうかとか、何かその辺はちょっと。これはなくていいのですけれども、なくていいのは、それは考えませんというのでもいいのですけれども、少しそういう記載があってもいいのな

と。適用範囲がそれで決まってまいりますので。
 あともうちょっと教えていただきたいのが、この二重、1.4倍になるというところがあったのですけれども、これと今、いわゆる日本の国有特許の中では結構シャープないわゆる瓦書きのあれがありますよね。そうすると、瓦書きの次のところに来るためには相当深いバッファを持っていかないといけないです。そういうペナルティーは十分あると思ってという理解でよろしいのですか。
【村岡氏】  ええ。ワンセクター分を、おっしゃるようにバッファリングする必要が出ます。1周書いて、次もう1周ですので。
【喜連川委員】  そうですよね。
【村岡氏】  ええ。ただ、1周でなくてもいいのだろうと思うのです。セクターごとに書き換えるということを考えると、ワンセクターの内周側、ワンセクターの外周側というペアで書き込めばいいというふうには思います。
【喜連川委員】  要はそれだけためておいて、リシャッフリングして書き込むというのを、とりあえず1.4倍までは行けそうですということをおっしゃっておられるのですね。
【村岡氏】  おっしゃるとおりバッファリングは必ず必要です。それは瓦書きと同じロジックになってしまいますので、2周かけてライトするということになります。
【喜連川委員】  これってもうちょっと行かないのかなという気がするのですけれども。2つって何か、ほかのやつの数は景気のいい数と言うと怒られるのですけれども、何個かレプリケートとかあるのですけれども、こういうやつでいつも、特に東北大学さんはもう、磁性系は圧倒的に強くていらっしゃるのに、もうちょっと何か、4とか5ぐらいというのもいいかなと。
【村岡氏】  いや、多分これは記録条件を細かくチューニングしていくともう少し増えるのではないかなというふうには思うのですけれども、現状やったシミュレーション、大体実験で近い、この辺かなというようなことで仮定したシミュレーションではこのくらいの、1.4ということになってしまっているのですね。
【喜連川委員】  だから、済みません。質問を繰り返しますと、もうちょっと正確に行きますと、この種のデバイスの場合には、原理的に2トラックしかもう読めないというようなものなのかをちょっとお聞きしたかったのですけれども。3トラック、4トラックにしますと、円周率が変わって来ちゃうので、そもそもぶれちゃうからとか、何かそういう理由があるのかどうか。
【村岡氏】  2トラックに限定しなくて3トラックでもやれます。
【喜連川委員】  やれます。ああ。
【村岡氏】  ただ、ここでビットをずらしていますけれども、今2トラックなのでちょうど半分ずらしていますけれども、3トラックだと3分の1、4トラックだと4分の1ということで、そのずらし方の精度を上げなくてはいけないという問題が一方で、技術的な問題ですけれども、出てきます。
【喜連川委員】  元に戻って互い違い、細かい話なのであれですけれども、是非そういうのも考えていただければ。非常によかったと思います。どうもありがとうございます。
【村岡氏】  ありがとうございます。
【北川主査】  どうもありがとうございました。
 まだ質問があるかと思いますけれども、予定では少し過ぎておりますので、ここで打ち切らせていただきたいと思います。
 それから、評価シートへの記入につきましては、最後にまとめて時間を取らせていただきますので、早速ですが、次の課題に移らせていただきます。
 続きまして、東北大学の大野先生にお願いいたします。こちらも御発表25分でお願いいたします。
【大野氏】  それでは、大野から発表させていただきます。ちょっとスライドをたくさん作ってしまいましたので、少し駆け足ないしは飛ばし飛ばしに御説明させていただきたいと思います。
 不揮発性のメモリを、特にワーキングメモリを作ろうというテーマでありまして、そこで使う技術がスピントロニクス技術ということです。
 最初の、1枚めくっていただくと、現在のコンピューターシステムというのはこういうふうになっているという図がございますけれども、メインメモリ、そしてキャッシュメモリ、それがワーキングメモリでありまして、そこを、今は揮発性なのですが、それを不揮発にすることによって、その次のページにございますような、電源が切れるというときに蓄電池で長い時間維持できる、ないしは蓄電池が切れたとしても、不揮発性ですのでこれを回復することができると。3番目は少し将来的なことですけれども、SRAMが微細化いたしますと、中性子線等の影響が地上でも起こりますが、そういうものもこの技術は強いと、強くなければいけないので、不揮発性ワーキングメモリというのはこういう条件を満足して、こういうことを解決できると。加えて最近のニーズに引き寄せてお話ししますと、電源が途切れ途切れになるということは必ずしも災害だけではなくて、このようなIoTの場合の電源にも概念が拡張できますので、こういう途切れ途切れになってかつ不揮発性のメモリを使うということは、これから非常に一般的になるはずだというのがこのスライドでございます。
 これはちょっと本来の計画になかったので余り深く申し上げませんけれども、スピントロニクスのアナログメモリというのができたので、それの人工神経回路の応用というのを少し、非常に簡単なデモンストレーションをしたということも後でお話しいたします。
 このスライドは、なぜスピントロニクスメモリでなければいけないかということを示してございますけれども、特に書き込み、何度も書き込みできる、あるいは特別な電圧が要らないと、電源電圧で書き込めると、そういう意味で、我々の素子が適切だろうというふうに考えています。ほかの不揮発性メモリでこれと同じ特性を持つものは、今のところございません。
 ここで御説明する素子の形式ですけれども、2端子と3端子という形で2つのアプローチを検討してまいりました。2端子、ちょっと素子の動作を御説明する時間がなくて恐縮なのですけれども、緑と青が磁石でございまして、赤が薄いトンネルバリアなので、磁気トンネル接合と称している素子です。これは読み出し、磁石の向き、磁化の向きが平行・反平行で抵抗が違いますので、アルディアンスで読み出すと。それから次の電圧で、少し大きな電圧で書き込むことができると。電圧をかけたプラスマイナスで平行・反平行を選ぶことができると。それよりかけますと壊れてしまうということなので、2端子は面積はDRAMと同じようなデンスにできますけれども、その代わりコントロールがタイトであると。一方で3端子にしますと、これは読み出しパスと書き込みパスを別々にしますので、必要面積は大きくなりますけれども、高速動作が期待できると、そういう2つのものを今回開発しております。ということで、3端子はSRAM代替仕様ということ、そして2端子はDRAM代替仕様ということで、研究開発を進めてまいりました。
 研究開発の体制ですけれども、ここにございますように東北大学を基幹校といたしまして、山形、京都、そしてNIMS、JAXAに加わってもらって、NECと東栄科学産業、東栄科学産業は仙台市の地元の産業です。おおよそ総勢30名弱のメンバーで、ここに研究経費がございますけれども、5年間で約6億円強を使わせていただいての成果を本日御報告させていただきたいということでございます。
 まずはDRAM代替に関しましては、微細化ができるか、ちゃんと微細なところでの性能が出るか、あるいは反転の消費電力は十分低くなるのかなどが課題になります。その幾つかを本日は御紹介させていただきたいと思います。
 まず小さくなるかですけれども、これはハードマスクプロセスというプロセスを開発いたしまして、当時2013年レベルですけれども、世界で最小の素子を作ることができました。これは、今でも大体皆さん11ナノとか10ナノというところにとどまっていますけれども、これはちょっと性能が余りよくございませんで、プロジェクト目標の小さいというのを作ることはよかったのですけれども、ここにちょっとだけ小さく書いてありますけれども、ここにデルタの20とか書いてありますが、デルタはこれはエクスポネーションの肩に乗って情報の保持時間ということになりますので、20はまだ実用的ではないということです。これはずっと研究を続けまして、つい最近、今年の秋に10ナノを切るもので実用的なデルタを得ることができました。これはサイズができたということでプロジェクトの目標を達成したと書いてありますけれども、実際にこれの延長戦上におかげさまで非常に高性能のものを作ることができました。
 一方で、材料は今まで、これはちょっと書いておりませんけれども、非常にスタンダードな材料で作りましたが、その次に、やはり材料を変えていかないと非常に小さなものができないということで、これは新たなマンガンコバルトアルミ合金というものが非常にいい性能を持つのだということを実証して、特許も出願してございます。
 一方で、反転の消費電力がちゃんと下がるのかということですけれども、これは私どもが開発と言いますか端緒を作った電界効果というもので非常に世界で一番低いスイッチングエネルギーを実証することができました。これは6フェムトジュールということで、この記録はまだ破られていません。ということで、十分に低い電力で、これは実用化のために幾つかの課題がまだございますけれども、十分に低い電力で反転をさせるということも実験的に実証したと。
 次に、今度は3端子ですけれども、3端子の素子は2種類の流儀を検討いたしました。2種類の流儀はここに書いてございますけれども、磁壁というものがございまして、磁壁はこの2つの軸の間にできる壁なので磁壁と言いますけれども、これを動かすと磁化反転ができる。それからもう1つは、スピン軌道トルクというのは、これは普通に磁性体ではないところ、金属に電流を流すだけでスピン軌道相互作用という相互作用によってスピンが分極する、その分極を使って磁性体の磁化反転をする。いずれも磁化反転をさせるという、情報の書き込むところの話なのですけれども、その2つの流儀を検討しました。どちらも高速でちゃんと動くのだということが見出されました。
 これはその最初の磁壁の方ですけれども、ビジーなスライドで恐縮ですが、まずは横軸がこれはワイヤーの幅で、十分小さいところでちゃんと動作するという、20ナノのところまで行っていると思います。20ナノが当初の目標でしたので、目標をクリアしていると。かつ、速く動くというのも500ピコ秒ぐらいのスイッチングタイムで書き換えることができて、かつこれは先ほどのデルタ、スライドによって書き方が変わっていて申し訳ありませんけれども、デルタが20というのは、これは150とか、あるいは100というので、どのような応用を考えても十分な安定性があるということが分かったということで、我々のプログラムはここにございまして、高速で書けるか、あるいは十分に定電流で書けるかというところをクリアしておりますので、他のチームに比べると、これも世界で今トップのデータでございます。
 スピン軌道トルクに関しては、これはちょっと変わったものを、反強磁性体と強磁性体の組み合わせを使って作りましたところ、これはバイナリの、本当は狙っていたところは磁性体が上向きなのか下向きなのかという二値の磁化反転をさせる予定だったのですけれども、ちょっと特殊な構造を使った結果、このようなアナログのメモリができたと。どこまでドライブ、どの電流までドライブするかによって、最終的に取る値を選べると、これはこういういろいろな構造が中にあるためにアナログ値が出るのですけれども、そういうメモリ、不揮発性のアナログメモリを開発することができたので、ここでは非常に簡単な人工神経回路網のアナログメモリというところに応用して、今年の最初のところですけれども論文にいたしました。これはスピントロニクスを不揮発性のメモリの新たな応用と言いますか、を示しておりますので、特にスピントロニクスは書き換え回数に制限がございませんので、将来的に非常に期待できるのではないかというふうに考えております。
 高速に関して、その3端子の方に関しましては、まず、3端子と言いますか高速の測定ができなければいけないということで、これはちょっと今までの話とは毛色が違いまして、測定系の開発のものです。しかも単純な測定系ではなくて、済みません。ここにちゃんと寸法が書いていないと今気付いたのですけれども、これはシリコンの300ミリメートルのウエハーです。最終的には300ミリのウエハーの上に、今のような素子を集積化して、実用化に持っていきたいというときに、測定系を作っておかなければいけないということで、最終的には磁場をかけて測定はしないのですけれども、こういうプローバーのところでは磁場をかけなければいけないと。そうしますと、プローバーの材料の選択に制限がかかりますので、それをここでクリアして、ちゃんと1ナノSが測れるようになったと。これは先ほどお話しした東北電子産業との共同のもので、地元の産業と一緒に新たな開発をしたという事例でございます。
 それから、耐放射性に関しましては、これはなかなか、ある種宇宙、軍事関係のデータなので、簡単には論文には出てこないところがございますけれども、十分に放射線耐性があって、SRAMデータ保持に比べると非常に高いデータ保持特性が得られるのだということを示しております。したがいまして、20ナノ以降の非常に地上放射線耐性が気になる世代のSRAMのときには、こういう特性が重要になるというふうに考えております。
 システムの展開に関しましては、我々の予算的な都合もありまして、これはシミュレーションだけで進めておりますけれども、自動復帰、性能維持機能を有する不揮発性プロセッサをシミュレーションで示しました。その結果、上手に使うと自己点検評価のところにちょっと詳しく書いてございますけれども、上手に構成すると、基本的にはチェックポイントを作ってそれを上手に参照しながら、途切れ途切れの演算でもリセットせずにそこから始めるという回路を作ろうということですけれども、それをやりますと約190分の1のエネルギーで従来の揮発ワーキングメモリを使ったものに比べて動作をさせることができるということを示しています。
 以上、ちょっと駆け足でまことに恐縮ですけれども、技術的な内容を御説明申し上げました。これらをプロジェクトとして平成24年から開始し、途中で予算的な縮減がございましたので、幾つかの項目は、中間評価のときに御説明申し上げたのでここで繰り返しは申し上げませんけれども、幾つかの項目を落として、最終的にゴールしたときにはお約束の目標が達成できたと。しかも、5年前ですけれども、将来このぐらいの数字がなければ5年後にも十分な技術というふうに認識していただけないだろうということで目標を高く設定しましたので、幸いにしてここで達成した目標というのは、今現在非常に大きな意味のある数値になってございます。
 次が成果でございますけれども、発表ですが、国際会議等の招待、国際会議、国際ワークショップですね。招待講演が240ですので、非常に多数のご招待を頂いたと。学術論文もほぼ100件ですので、年間に10件、20件ぐらいを出しました。特許も62件、受賞も50回、新聞報道等、これはウエブが入っているのでちょっと大きな数字になっていますけれども、210。詳細はお手元の資料にございます。
 また、ちょっと細かくてまことに恐縮ですけれども、代表的な学術論文としては、これは2015年に163回引用された、2015年に出した論文を163回引用されているということで、これは比較的直近の論文で、百何回というのは、私たちの業界では引用回数が高いというふうに認知されるものであります。それ以外にも、それなりの高い論文引用回数を頂いているという論文を書くことができました。
 また、代表的な学会発表、これはちょっと小さくてまことに恐縮で、資料の方でごらんいただかなければいけませんけれども、論文だけではなくて、学会発表が重要な分野に関しては、特に集積回路関係ですけれども、このように学会発表をきちんと進めていたということでございます。
 最後、成果の波及効果に関してですが、中間評価での最後のコメントで、産業界への利活用についてもきちんと対応するようにということでございました。私ども、ちょっとこのスライドで御説明したいと思いますが、この国際集積エレクトロニクス研究開発センターというものを、このプロジェクトの2年目ですね。2013年だったと思いますが、に設立いたしまして、これは民間からの100%寄附でクリーンルームを建てて、そこで大学が選んだ研究テーマを進めるという仕組みに、センターなのですけれども、そこでスピントロニクスを技術の大きな柱にして進めるということになりまして、私もここに参画しておりますし、ここのセンター長は本プロジェクトのメンバーの遠藤教授ですが、そこで現在ここにある知財ですね。それからノウハウは集中的に管理して、したがいまして私どものこれまで作り出した知財あるいはノウハウという基盤技術は、全てここに集積、そういう意味の集積ではないのですけれども、集積して活用していると。どういうふうに活用しているかと言いますと、ここに今、ルネサスエレクトロニクスもはじめとして、あとは会社の名前はまだ言えないところも幾つもありますけれども、約40社集まってきて、集積回路と言いますのは、トランジスタを作って集積回路を作るというだけではなくて、例えば今ので言いますと新しい材料などを使うわけですので、その材料に対してどのくらいの純度の材料が必要で、あるいはそれをどういうふうにリサイクルするのかとか、あるいは廃液をどういうふうに処理するか、先ほどございましたような測定系をどうするのかというようなことで、全てのパッケージが必要なわけですけれども、そのパッケージのために、あるいはエコシステムとも言っていますけれども、エコシステムのために40社ぐらいが集まってきて、そこの中核の技術に今なっています。
 本プロジェクトではNECと共同研究いたしましたけれども、今もお話申し上げましたように、半導体企業がここの国際集積エレクトロニクス開発センターで海外勢も含めてですけれども、来ていますので、そこで彼らとも協議をしながら社会的に外へ出していこうという形になっています。特に今御説明を申し上げました地元の東栄科学産業に関しては、計測評価システムをともに、我々のプロジェクトに参画して製品化を進めていますので、被災地域への産業力の増強に寄与しているというふうに考えています。
 これは先ほどちょっと申し上げた、ついこの秋に、今ですね。出たもので、一桁ナノメートル、8ナノから4ナノの今、素子を作ることができています。それが非常に性能が高いということを示して、実証することができましたので、本プロジェクトを基盤にさらに発展させることができているというふうに考えています。
 今、今後の展望でお話しした面もございますけれども、今申し上げましたようにこの国際集積エレクトロニクス研究開発センターというところを中心に産学協働を行い、材料装置、半導体、そしてソリューションに至るまでのエコシステムに対して、今、世界的に大きな流れを作ろうとしています。それが徐々に表れてきていると。これはスピントロニクス技術、特に不揮発性のメモリに対しての世界的な需要がありますので、今、引き合いが非常にあるということです。
 自立的な取組の継続ということですけれども、今申し上げましたように、このセンターは産学連携で運営されておりまして、ほとんど運営費交付金を入れていないと、使っていないというところです。ですので、自立的な取組というものが既に私どものところでできておりますので、これをさらに発展させようと。
 また、本学、指定国立大学法人のときに、4つの分野をこれから重点に進めるのだという中の、1つがスピントロニクスでございますので、ここで御援助いただいた、御支援いただいた技術をさらに大きく発展させるということができると確信しておりますので、引き続きご支援を頂ければと思います。
 ということで最後、これは概念的なスライドですけれども、最初にお見せした現在のシステムというもののスピードギャップがございますけれども、そういうものが今の不揮発性のメモリで高速に、DRAMよりずっと高速に動きますので、埋めていけるだろうし、ハードディスクとの、あるいはSSDとの間も埋めていけると。それで、かつよりパワーが減るような形でものを作っていけるだろうと。最終的には今の素子は先ほど御紹介いただいた柴田POのところにもございますけれども、半導体ウエハーの上に作ることが、我々の素子はできますので、メモリとそれからロジックの距離を面で展開する必要がなくて、上下で展開することができますので、そういう意味で配線遅延等も、もちろん設計の工夫は必要ですけれども、うんと減らすことができる仕掛けになっていますので、こういうプロセッシングのパワー、能力も上げ、かつ全体をグリーンにできると、そういうテクノロジーだというふうに私どもは確信しております。
 以上で発表を終わらせていただきます。どうも御清聴ありがとうございました。
【北川主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、質問等ございましたらお願いします。
【瀧主査代理】  では。
【北川主査】  瀧委員、お願いします。
【瀧主査代理】  非常にいい成果が出ていると思います。それで、先ほどのお話の中とか、プログラムオフィサーからのコメントにもあるのですけれども、これを実用化していくのにさらなる投資が必要だということですけれども、あとどういうふうなことをやっていけば実用化までつながるのかと。先ほどの絵の中のCurrent、Near Future、Futureとありますけれども、これが大体どれくらいのスパンのイメージかというのをちょっと教えていただければと思います。
【大野氏】  まず最初のこのタイプのメモリが出てくるのは、来年、再来年ではないかというふうに今考えています。これはビジネスディシジョンなので、我々いつ出すのかということを教えてももらえませんし、関与もできませんけれども、業界の全体の流れからいくとそういう流れになっている。ですので、CurrentとNear Futureの間ぐらいが1、2年。こういうところに行くためには最終的には10年ぐらいいただかないとシステムとしては仕上がらないと思いますし、実用的なところまで行かないと思いますけれども、そういうようなタイムスパンでいよいよ立ち上がるんだというふうに考えております。
【北川主査】  よろしいですか。
【瀧主査代理】  あと、今、民間と一緒にされているということですけれども、例えば1、2年先に到達するのにどれぐらいの投資が必要なのかとか、あるいは国の支援がもっと必要かどうかとか、その辺のコメントをいただきたいと思います。
【大野氏】  国の支援というのはいつでも必要なのですけれども、それは次のような意味で必要だと考えています。と言いますのは、今、半導体業界、特にIoTが今、皆さんのテーマになっていますので、非常に好況ですし、装置メーカーもそれを受けて今活発な投資をしています。ですので、投資自身は今既にやっと歯車がかみ合って、数百億円の投資というレベルがされて、今の製品のような話になっていると。そこは動きつつあります。それを受けて、先ほどのセンターのところにたくさんの会社が、自分たちがどういうふうに貢献できるかというのを一緒に知りたい、やりたいということで来ています。
 産学連携でいろいろなことが進められると思いますが、そういう意味で、そこの核に実はなっているのが何かと言いますと、これまで文科省のプロジェクト、これ以前にもサポートしていただいていますので、そこで培った知財、その他のバックグラウンドの特許となって、そこに集積されているために、今の技術だけではなくて、今の技術を支えている知財もそこにあるために、非常にセンターとして動かしていられる状態です。
 産学連携はしかし一方でギブアンドテイクですので、産学連携だけで基盤技術を作れるかと言うと、それはなかなか難しくて、我々がこういうサポートしていただいたおかげで基盤技術を作って、今のところに持ってこられたり、10年後を目指しますと、やはり今回サポートしていただいた技術が基盤になって、10年後の花を開かせることにはできるというふうに考えています。そういう意味では、ある継続した産学連携に頼らない本当の基盤技術というのを国の支援で作っていくというのは、我々実感として非常に重要なことだというふうに思っています。
【北川主査】  いかがでしょうか。
 不揮発メモリに置き換えられていくと非常に非常にすばらしいことだと思うのですが、中間評価の時点で書いてあったように、置き換えを行ったときの課題を明確にしてほしいということで、何か対応表に書かれていたかとは思うのですが、その辺について、何か。
【大野氏】  一言で言いますと、今置き換えはSRAMの方から始まります。それはやはり密度をうんと上げて作るという技術が今課題です。そこはちょっと今回のプロジェクトではアドレスできなかったので、きちんと今御説明申し上げませんでしたけれども、そのプロセス技術でいかに密に小さい構造を作れるかということは、DRAM展開には一番大きな課題です。SRAMはもっとスパンスに作ってよろしいので、そこから入っていくというシナリオになっています。
【北川主査】  ありがとうございます。
 ほかの方で。有村さん。
【有村委員】  大変すばらしい研究成果だと思います。素人の質問ですが、1つ質問させてください。従来の電子に基づくデバイス、例えばトランジスタのようなものと、大野先生が研究されているスピンに基づくデバイスは、例えば移動の速度等の物理的な違いがあるかと思います。一方で、災害対応に関してみると、スピントロニクスに基づくデバイスは今までないような特性と機能を実現することで,技術として非常に良いところにはまっているように感じました。この従来の電子技術とスピン技術が異なる点について質問です。今後のスピントロニクスの応用として、AI応用のためのデバイスや、最後にお見せになられたスライドの一番端の3つの円錐のように既存技術がスピントロニクスに置き換わっていくとすれば、その際に、電子対スピンかの選択の問題があり、あるいは電子的か磁気的かと言う2つの二元的な違いをどう克服して社会に入れていくかという問題があると思います。それは従来の電子的な技術をスピン的な技術が置き換えていくという形になるのでしょうか、それとも電子とスピンが相補的に補完していくようなものになるのでしょうか。
【大野氏】  相補的です。本日ちょっとちゃんと御説明しなかったので、もしかしたら誤解を与えてしまったかもしれませんけれども、我々は半導体のトランジスタと素子を組み合わせて不揮発性のメモリを作っています。ですので、そういう意味では電化もスピンも両方使った形で記憶をし、このグリーンの背が高くなっているところは、そのパラダイムでこういうことをしていきたいと。したがいまして、特にスピントロニクス素子はスイッチにならないですね。
【有村委員】  そうなのですか。
【大野氏】  はい。今、抵抗が2つの状態、あるいはアナログの状態で変えられますというふうに申し上げましたけれども、その抵抗のスパンが今多くて、実用的に行けそうだなと思っているのはベースラインに対して3倍ぐらいの抵抗にはできるだろうと。ただ、それが10の4乗、5乗というトランジスタのスイッチオン・オフ比にはまだ行っていないと。ですので、そういうことをやろうと、スピンだけで情報処理をしようとする研究は、これまでもありますし、これからもやっていかなかればいけないのですけれども、我々の今のアプローチは、そういう意味で少し現実的になる。
【有村委員】  なるほど。両方のカップルでやると。
【大野氏】  CMOSプラス我々の技術で、集積回路をより一層高性能に、省エネルギーにしようというアプローチです。済みませんでした。
【有村委員】  分かりました。素人にも大変勉強になりました。ありがとうございます。
【北川主査】  八木委員。
【八木委員】  済みません。僕の素人質問をしてしまいますけれども。
 今の、今回の技術というのは、これまでの半導体技術のある種の進化、いわゆる延長線の中の大きな進化だという理解をしているのですけれども、そうなってきたときに、この技術がいつぐらいまでに社会の中で活用されると、社会的、世界的な中での競争力を持つのか。世界の中でスピントロニクスを含めた計算機の進化という部分との兼ね合いで言うと、どういう感覚なのかちょっと僕は教えてほしいなと思いますが。
【大野氏】  まずはいわゆる民生品と言うのでしょうかね。そういうところに少しずつ入っていくのだと思います。そこでこなれてきたときに、これだけの信頼性があって、これだけの容量のものが使えるのだったら、ではこういうふうに使ってみようということで広がっていくのだというふうに、今考えています。
 大学にいるとなかなかそのシナリオ、いろいろなところに書きなさいとかそういうことを言わないといけないという立場に置かれるのですけれども、正直申し上げてやはり市場に出して、市場と対話をすることで横に展開するというのが、多分、本来あるべき姿であるし、そういうふうになっていくのだろうと思っています。市場に出るところまではどうやら行きそうだということが分かりましたので、という情勢になっていますので、そういう非常に大きな投資を皆さんされましたので、ある意味ポイント・オブ・ノーリターンは過ぎているのだと思います。ですので、皆さんそれぞれ、半導体会社も使っていかなければいけないという形に今なっていると思いますが、それをあとは技術が横展開するのは今申し上げたような形になるかなというふうに。
 その中で、我々の技術がどういうふうにというところは、今日お話し申し上げたような先端的な、かつ微細的なところはちゃんともうできるのだということを示して、スケーリングに関して心配はないということを今回このプロジェクトでお示しすることができたのだと思います。どのくらい心配はないかと言いますと、ここの寸法、今20ナノを切るところと言っていますけれども、これはゲート長で言いますと、大体3で割っていただくとゲート長の数字になります。我々、今ちゃんと動く素子が9ナノ、8ナノでできていますので、それは3ナノのゲート長ですから、今のスケーリングの行き着くところまで行っても、ちゃんとこの技術は使えるというように、今回お示ししたことになっています。
【八木委員】  ありがとうございます。
【北川主査】  矢野委員。
【矢野委員】  大変すばらしい研究だと思いますけれども、日本って結構半導体メーカーがもう大分なくなって、少なくなってしまって、そことこの研究の関係というのは今どういうふうになっているのですか。
【大野氏】  それはとても重要なお話です。我々、今CMOSと一緒に作らないといけないということで、それは300ミリのスケールでは、この技術をすぐ使うのではなくて、この世代の、この何世代か前の技術を今使ってCMOSの上にメモリを作っています。そこはルネサスエレクトロニクスと今一緒にやっています。将来的には、技術的に、経営判断ですから変わるかもしれませんけれども、日本の会社はファンドリーでものを作っていくのだということを宣言されている会社が多いので、そういう意味で将来的にはファンドリーとやっていく必要があるかもしれない。ただ、そういう意味、半導体というところだけを見ますと、作るものはもう海外に行ってしまうのだというふうになっていますけれども、そこで使われる製造装置、あるいは薬品、部品、部材、それからそれを使ってどういうシステムを作るのかというところは、まだ十分残されていますし、場合によってもしかしたらその中間のところもこういうテクノロジーを我々のところで、我々と言うのは我が国でやることによって、別な展開が期待できるかもしれません。
【矢野委員】  分かりました。
【北川主査】  ほかの御質問。

【栗原委員】  先ほど、より高密度化が、密度を上げることが非常に大事なのだというふうにおっしゃる一方で、今実用レベルでは十分に微細化できているともおっしゃるので、そのあたりはどういうふうな性能の違いを意識すると、そういう将来課題と現状での十分さというのが出てくるのかというのを、大変素人質問で申し訳ないのですが。
【大野氏】  今、高速で今回お示ししましたけれども、必ずしも高速だけではないのですけれども、SRAMというメモリの方式と、DRAMという方式があります。SRAMはプロセッサのすぐ横で使うメモリで、そこであるデザインルールで作ってほしいという要請があるわけです。そこですと、SRAM自身、今、リソグラフィーの単位のユニットをFとしますと、F2が単位の面積になりますけれども、それで大体200F2ぐらいの面積を使ってSRAMを構成しています。ですからそれだけの面積がありますと、十分我々のメモリが、本来は小さくする必要もないのですけれども、小さくすることによって必要な電流、電力も減りますので、ほかのトランジスタと同じ寸法でその中に作れると。
 一方で、DRAMになりますと4ギガ、16ギガという形で作らなければいけませんので、SRAMですと隣とすごく距離があるのですけれども、DRAMの場合にはもう隣がすぐ横になければいけない。そういうときに小さなものを作ろうとしますと、実はこれ磁性体ですので、磁性体のエッチング技術というのはまだ成熟していませんで、結構離さないと、今はきちんと作れないのですね。そういう意味で、DRAMは少し距離が今ある状態です。でもSRAM代替、あるいはSRAMライクな形でもっと新しいことに使うということは、割と近未来と言いますか、数年後に実用化されるのではないかというふうに考えています。
【栗原委員】  でも、そうするとDRAMを作るにはかなりハードルがまだあるという……
【大野氏】  そのとおりだと思います。こういう言い方が適切かどうか分かりませんけれども、ここまで来ますとハードルのない技術開発というのはないので、やはり半導体もそういう意味では十五、六年前に最初の特許が出たと思いますけれども、3次元のNANDフラッシュ、今我々が使っているものですけれども、それは出たときには絶対に作れないと言われていたものが、みんなが何とかしようと言うか、技術的なトレンド、あるいはニーズが高まることによって、何とかしてしまったので、今の技術の、我々が持っている技術のレベルで判断するのは危険ではないかなというふうに思っています。要するに、こういうことをやればこれだけの容量の不揮発性メモリができますよということはもう示しましたので、あとはプロセス技術はもう少し300ミリのウエハーをたくさん消費できるような方々が開発する技術かなというふうに思っています。
【栗原委員】  あともう1点よろしいですか。被災地域だったということで、地元企業の御支援というのをされたという、地域にとってはスピントロニクスが進むことが一番の貢献かもしれないですが、具体的に装置開発等を地元企業とされたということなのですけれども、これは、もう少し具体的にどんなことでされたのかというのを、お差し支えなければ。
【大野氏】  これは、300ミリのウエハーを真空チャックという形で吸い付けて固定するところを開発したのですけれども、これはウエハーの上でプローブを立てて、集積回路を測りたいということなので、磁場を外からかけたりもしたいと。磁場を外からかけますと、磁性体のネジとかそういうものを使えないのですね。動いてしまうので。しかし、ではどういうものを使ってリーク電流を下げてきちんと仕様に収めるかというのもここの開発課題でして、それを何回か試作を回して、これだったらだめだとか、ではこれを使ってみようとか、そういう試作を繰り返す中で、今やっと認めていただけるようなものができたということになります。
【栗原委員】  かなり広範に使われるような。
【大野氏】  ええ。この技術を開発しようと、あるいは生産に使おうという方々は必ず必要なものですので、これから、東栄科学産業自身も、自分で海外に売れるというような体力、やはり大きさの会社ではないですので、それをどういうふうに自分の会社の利益につなげていくかというのは、これからの彼らの課題だと思います。
【栗原委員】  ありがとうございました。
【北川主査】  喜連川委員。
【喜連川委員】  東芝のフラッシュがだめになる中で、次に元気にしていただけるのが多分大野先生のスピンではないかなと思っていますので、是非期待したいのですが。
 SRAMを置き換えるということになると、ちょっとよく分かっていないのですけれども、どうなのですか。1、2、3Lだけで閉じるぐらいのコンピュータというと、どういうものをイマジンすればいいのか、ちょっとよく分からないのですけれども。
【大野氏】  それは今の性能ではレベル3ですね。ですので、一番最下層のSRAMがちゃんとできるようになったと。それでIoTなんかですと、それほど速く動かさなくてよくて、かつ1種類のメモリで全部済ませたいというニーズがあるので、そういうところにまずは展開できるのではないかというふうに、私たちは想像しています。
【喜連川委員】  そのときに、ロジックはどうなるのでしたっけ。
【大野氏】  ロジックは半導体です。
【喜連川委員】  そのままですね。そうすると、今、秋葉原で売っているIoTなどというのは100円、200円みたいなもので、通常のエアコンに入っているようなものというのは50円とか30円みたいなものなわけですけれども、その民生と戦おうと思うと、結構しんどくならないかな……
【大野氏】  それはそのとおりだと思います。
【喜連川委員】  それはどんなイメージでいらっしゃいますか。
【大野氏】  例えば、工場とかそんなところで、少し、時々しかし非常に高速のプロセッシングをしておきたいというようなニーズがあると思っていますので、20円、30円、あるいは5円、1円というレベルにはすぐには行かないと思います。行けないと思います。コスト的には。ですので、それも先ほどのお話と同じですけれども、やはり市場に出して対話をしてというところを早く、急ぐ必要があるなというふうに思っています。
【喜連川委員】  この、御説明はあったのかなかったのかよく分からないのですけれども、自動復帰というのはソフトウエア屋さんにとってみるとすごくうれしい技術なのですけれども、それであればちょっとお金を出してもいいんじゃないと思う人は、多分。

つまり、IoTって余りお金を出そうという気が、普通の人はされないような気がするのですけれども、その辺の市場の方が高付加価値ゾーンが出るわけでもないのでしょうかね。
【大野氏】  いや、そうだと思います。IoTというのは、どこまでをIoTと言うのかというところもありますけれども、我々の技術の適用範囲の広さを示していることだと思いますので、自動復帰技術というのは別にIoTに限る必要はなくて、電源が不安定なところ、あるいは途中で止まって復帰させたい、様々な応用に使っていただけると思っています。是非そこは教えていただいてですね。あの……
【喜連川委員】  いや、是非頑張っていただいて、あと1年半後ですか、2年後、使えるようにしていただければ幾らでも使いたいと思いますので、よろしくお願いします。
【北川主査】  では、最後の質問で、よろしく。
【上田委員】  簡単な。ちょっと人工知能という言葉が出ているので少し気になったのですけれども、人工知能の応用だとか書かれていますけれども、これはどれぐらいの実現性があるのですか。何か資料にはオプフィールドのネットがちょっとできたというぐらいだと思うのですけれども。
【大野氏】  そのとおりです。今のレベルはある種、学生実験に毛の生えたようなものです。ただ、この不揮発性であるということと、それから書き換え回数に制限を受けないということは、これから非常に大きなメリットになっていくのだと思います。今まで実現されている人工知能応用のための不揮発性のメモリというのは、書き換え回数に上限がありますので、やっておられる方はこれで十分なのだというふうに言われますけれども、どなたも学習回数の上限というのを決めることは今できないと思いますので、そういう意味で、技術的に非常に我々としてはそういうニーズをすくい上げると言いますか、そういうニーズを満たすことができる技術だというふうに思っています。
【上田委員】  ありがとうございます。
【北川主査】  それでは……
【辻委員】  簡単な質問です。
【北川主査】  短く。
【辻委員】  素人の素朴な質問です。先生の技術は、いずれにしてもこれから必要な技術、次世代の技術だと思うのですが、この課題は耐災害性をうたっています。例えばこれから国なり民間なりの投資を考えるというときに、この耐災害性の面をアピールすることでより期待できる面があるのでしょうか。そのあたりをこれから先生もアピールなさっていくお考えなのでしょうか。
【大野氏】  おっしゃるとおりだと思います。ちょっとほかの部分を強調し過ぎだので、耐災害性でどうなっているのだろうかというところを御心配になられたかもしれませんけれども、我々のこういう不揮発性のメモリを使うことによって、危機全体がよりレジリエントになるというふうに考えています。ですので、電源の瞬断も含めて自動復帰ができるような形に、しかもコストがそれほどかからないように。コストが余りかからないように、IoTはまた特に安いところなので、考える範疇かちょっと外しておきますと、コストがかからないという意味は、やはり普通の価格で買えるというのが重要だと思いますので、そういう意味で、今、民生応用が非常に近くなっているというのは、こういう性能のものが自由に手に入るように、もうしばらくするとなるというところまで来ましたので、あとはそこをどういうふうに応用していただくか。どれだけのコストアップでこれだけの性能が得られるのだったらこういうものにしておこうと、そのコストアップの部分はこれからどんどん減っていくのだと思います。そういう意味で、民生品に使われるということは、我々の社会がレジリエントになるところの第一歩だというふうに、私どもは捉えています。
【北川主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、質疑応答を以上とさせていたただきます。
 ただいまの議論を踏まえまして、委員の方々にはこれから5分程度で事後評価シートに御記入いただきたいと思います。なお、最初の事務局からの説明がございましたように、本日記入が終えない場合には、後ほどメールでお送りしていただいても結構です。
 記入シートは、電子ファイルは。
【邉田専門官】  お送りします。
【北川主査】  で、結構です。
 それから、皆様から頂きました評価を事務局で集約して、事後評価の案をまとめさせていただいて、次の第102回で御審議いただきますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、記入をよろしくお願いします。
【大野氏】  1点だけ。
【北川主査】  はい。
【大野氏】  終了後回収の特許のリストは、是非よろしくお願いいたします。
【北川主査】  ああ、そうですね。
【大野氏】  これは出願したままで、まだ成立してございませんので、どうぞよろしく御配慮のほどお願いを申し上げます。
【北川主査】  左上に「終了後回収」と書いた資料については、お持ち帰りにならないようにお願いします。
(事後評価シート記入)
【北川主査】  会議後、少し残って記入してもらってもよろしいですね。多少。
【邉田専門官】  結構です。
【北川主査】  それでは、まだ記入を終えていない方は残っていただいて記入するか、後ほどメールという形でお願いしたいと思います。
 それでは、本日こちらで用意した議題は以上ですけれども、もし出席の委員の方から何か御発言がありましたらお願いします。
 よろしいでしょうか。
 それでは、事務局から次回の予定等お願いします。
【邉田専門官】  それでは、次回の委員会でございますが、1月以降の開催に向けてスケジュールを調整させていただいております。また、本日の資料につきまして、先ほどもお話がありましたけれども、事後評価シートをお書きいただいた方は机の上に置いていただくとともに、「終了後回収」としております机上資料は事務局にて回収を確認させていただきますので、お持ち帰りにならないよう御注意いただければというふうに思ってございます。
 以上でございます。
【北川主査】  それでは、本日このヒアリングに関連して御出席いただきました先生方、本当にありがとうございました。
 これで閉会とさせていただきます。以上です。
【大野氏】  どうも本日はありがとうございました。

―― 了 ――

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