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情報科学技術委員会(第91回) 議事録

1.日時

平成27年12月2日(水曜日) 15時~17時

2.場所

文部科学省 東館 3階2 特別会議室

3.議題

  1. 第5期科学技術基本計画の検討の状況について
  2. AIP:人工知能/ビッグデータ/IoT/サイバーセキュリティ統合プロジェクトについて
  3. 今後の情報科学技術分野における文部科学省の研究開発施策に関する検討(情報科学分野の我が国の現在までの施策について)
  4. その他

4.出席者

委員

北川主査、村岡主査代理、伊藤委員、宇川委員、笠原委員、金田委員、喜連川委員、辻委員、土井委員、樋口委員、宮内委員、宮地委員、安浦委員、矢野委員

文部科学省

生川大臣官房審議官、岸本大臣官房審議官、榎本参事官(情報担当)、重野情報科学技術推進官、工藤計算科学技術推進室長、阿部参事官補佐、栗原専門官、美濃科学官

オブザーバー

加納日本電気株式会社主席技術主幹、中村日経コンピュータ編集長、馬場朝日新聞メディアラボ主査

5.議事録

北川主査より本委員会の開催にあたっての挨拶。

【北川主査】  それでは、これより議題の1番目、第5期科学技術基本計画の検討の状況についてに入らせていただきます。
本年7月に開催しました前々回の第89回会合におきましても、内閣府総合科学技術・イノベーション会議が取りまとめて、本年6月に閣議決定されました科学技術イノベーション総合戦略2015に関して事務局から紹介があり、意見を交換したところでございます。現在、内閣府総合科学技術・イノベーション会議におきまして、第5期科学技術基本計画の策定に向けた議論が進んでいるところでございますが、情報科学技術分野に関しましても、答申案に多数の記載がなされております。そこで、現在の政府部内での検討状況につきまして、事務局から説明をお願いいたします。よろしくお願いします。

(1)第5期科学技術基本計画の検討の状況について

【栗原専門官】  御説明させていただきます。
来年度、2016年度より2020年度までの5か年、5年間を対象とする政府の第5期科学技術基本計画に関しましては、11月2日から11月16日にかけて、内閣府からパブリックコメントが実施されまして、これを踏まえた素案が、先週11月14日火曜日に、安倍総理が議長であります第13回総合科学技術・イノベーション会議が首相官邸で開催されまして、ここで素案が示され、また、翌々日、先週木曜日26日には、総合科学技術・イノベーション会議の基本計画専門調査会という会合が開催されまして、お配りしているこちらの資料1、答申案が示されたものでございます。
この後、来週12月10日の基本計画専門調査会で、更に修正された答申案が取りまとめられて、総合科学技術・イノベーション会議にて、総理も出席する一番上の本会議にて答申を決定した後に、年度内には閣議決定されるという予定となっております。
こちらの資料1でお配りしている答申案につきましては、もう既にパブリックコメント等終了しているものでございますが、簡単に、現在の答申案等における情報科学技術に関連する点を御説明させていただきます。
資料1の表紙をめくっていただくと、目次がございます。全体の構成が目次に示されておりますが、現在までの、1996年、第1期科学技術基本計画からの4期20年の実績を踏まえた現状の認識、こちら、第1章の基本的考え方というところから、特に第2章の情報技術を駆使した「超スマート社会」を実現する、そして、未来の産業創造と社会変革、新しい価値を創出するということ、目次上では、「超スマート社会」の実現に向けた基盤技術の強化という点が挙げられておりますが、この中に、人工知能技術であるとか、ビッグデータ解析技術等の具体的な記述が列挙されているところでございます。
また、そのための人材育成とか大学改革等が3章以降書かれておりまして、知の基盤の強化、人材、知、資金の好循環システム、そして、研究の公正性の確保、また、社会の関連性という第6章の点、また、第7章には、国立研究開発法人の機能強化について述べられております。
内容についても、ごく簡単にですが、中身に触れますと、目次から更に1枚めくっていただくと、第1章、第1ページ、基本的考え方というところがございます。この科学技術基本計画の中で、これは初めてでございますが、1ページの下の冒頭から、情報通信の急激な進化によりということが、この基本計画の現状認識の第1の最重要な点として挙げられております。そして、1ページの下から12行目の部分、中段下の方ですが、Internet of Things(IoT)、人工知能等が、人間の在り方そのものに影響を与える新たな科学技術として書かれてございます。
また、基本的考え方のところを眺めていただくと、例えば、5ページでございますが、目指すべき国の姿、そして、その基本方針として、ページ中ほど、ⅰ)に、未来の産業創造・社会変革に向けた新たな価値創出の取組というところがございますが、この5ページ中段、17行目のところには、「超スマート社会」の定義が、ICTの進化やネットワーク化といった新たな時代の潮流を取り込んだ未来の姿である「超スマート社会」という、ここで初めて出てきた表現でございますが、書かれてございます。
また、以降6ページ、7ページでございますが、特に7ページ以降、第2章が、情報科学技術に関連するような技術に主に触れた部分でございまして、7ページ以降の第2章、ここで、この「超スマート社会」の実現に向けた取組、まず、この「超スマート社会」のもう少し詳細な概念が、8ページ、マル1、超スマート社会の姿ということで、その少し上にも、サイバー空間の活用を中心とした、サイバー空間と実空間、サイバーとフィジカルが融合した取組により豊かな暮らしがもたらされる「超スマート社会」ということが書かれております。
また、更に進みまして、9ページ、10ページと進みまして、10ページの一番下には、超スマート社会における取組の中の重要な点として、その競争力の維持・強化のために、10ページの一番下の行でございますが、人材の育成、データサイエンス等の人材について、新しい事業モデルや事業の創出ができるアントレプレナーのようなイメージでしょうか、そういった人材、また、データ解析やプログラミング等の基本的知識を持ちつつも、ビッグデータやAI等の基盤技術を新しい課題発見や解決に活用できる人材の強化ということが、10ページには書かれてございます。
また、11ページの個別システムというものが9ページに幾つも挙げられておりますが、そういった、9ページの一番下に、エネルギーバリューチェーンの最適化、地球環境プラットフォーム、ものづくりシステム、地域包括ケアシステム、スマート・フードチェーン等のシステムが列挙されていますが、こういったシステムを実現するためのプラットフォームという点、こちら、情報科学技術委員会でも御議論いただいておりましたプラットフォームでございますが、そのプラットフォーム実現のための基盤技術というものが、11ページの(3)、ページ冒頭でございますが、「超スマート社会」に向けた基盤技術の戦略的強化という部分で述べられてございます。このプラットフォームを実現するための基盤技術として、「サイバーセキュリティ技術」、「IoTシステム構築技術」、「ビッグデータ解析技術」、「AI技術」、「デバイス技術」、「ネットワーク技術」、「エッジコンピューティング」というこの7つの技術が、この構築に必要となるための基盤技術として、いずれも情報科学技術関連のものでございますが、挙げられてございます。
また、材料やロボットの話がその下に少しございまして、また、12ページには、人文社会科学の融合と。AIやセキュリティ技術などでは、人文社会科学や自然科学の研究者が連携して融合した研究開発が必要だという点も、12ページ4行目以降に書かれてございます。
また、13ページ以降の第3章では、経済・社会への対応の記載になっておりまして、具体的なシステムが多数列挙されております。様々なエネルギー、資源、食料の確保、超高齢化社会への対応、自然災害への対応、食品安全等の確保等々列挙されておりますが、例えば、16ページには、ものづくりの部分で、ICTも当然なのですが、計算科学やデータ科学もこのものづくりを支えるということが、16ページの下から7行目のところには書いてございますし、それ以外の部分でも、ICT技術を駆使して活用してということが、ほとんどの箇所で述べられてございます。
また、計算科学技術はものづくりのところに明示的に書いてあるのですが、19ページの気候変動への対応の文脈の箇所でも、この26日の先週の資料ではまだ記載されておりませんものの、具体的な記載として、次の10日の会合には、スーパーコンピュータ等を活用した気候変動の予測技術の高度化というような記載ぶりで、具体的に追加されることも決定しております。
また、サイバーセキュリティの確保も、18ページのマル3として、明示的に挙げられてございます。
それ以降は、基盤的な技術の強化ということで、もう少し一般的な、個別分野に関わらないような、制度改革や人材育成、資金の確保等の記載がございますが、情報科学技術関連で挙げますならば、かなり後ろに行きまして、37ページでございますが、こちら、イノベーション創出に向けた制度の見直しと整備という点ですが、37ページ上から6行目には、IoT、AIというのが挙げられていまして、IoT、AI等の急速な社会への浸透は、様々な制度を揺るがすものであるとして、AI、IoTの普及を踏まえた制度整備、また、37ページの下から11行目には、マル2、ICTの飛躍的発展に対応した知的財産の制度整備ということが述べられております。
簡単に資料1は以上でございますが、また資料2の方には、今後の予定が、12月10日に、基本計画答申案を取りまとめると、また、年度内に閣議決定をするということも、内閣府の資料中で述べられてございます。
ごく簡単ですが、御紹介、以上になります。
【北川主査】  ありがとうございました。
それでは、ただいま事務局から説明がございました政府部内における第5期科学技術基本計画の検討状況につきまして、何か御質問あるいは御意見ございましたら、お願いいたします。
【安浦委員】  書き出しから、ICTで世の中変わっているという認識があるのは、すごく書き出しとしてはいいという感じで読んでいました。しかし、自分の仕事に近づいてくると、だんだん何だというふうになってしまったのが正直なところです。4章で、教育の話が書かれているわけですね。
今からのICTの一番大きな応用分野は、教育だと思うんですね。それが社会をまた急激に変える可能性があって、それに対して、この4章の書きぶりは、かなり抑えた書きぶりで、教育はICTで変えないぞと言っているように見えるし、大学で教育をしている立場からすると、大学の教育研究を支えるICTをもっと飛躍的に変えて、それが大学改革の本筋になるんだというぐらいのところまで踏み込んで書いてもらえるかと思っていたら、そこまでは書いてないというのがちょっと残念だなという感想でございます。
【北川主査】  ほかに何かございますか。よろしいでしょうか。
今、安浦委員から、御専門の立場から御意見頂きましたけれども、基本的には、情報科学技術を前面に出していただき、あらゆるところに書き込んでいただいたということで、大変評価できるのではないかと思います。よろしいでしょうか。関係者の方に感謝します。
喜連川委員。
【喜連川委員】  最後のところに、知財戦略本部ということで、昨日もその委員会があったわけですけれども、そこでの議論は、やはり従来の知財から、ビッグデータの時代でのデータをコピーライトするかどうかというような話が一番大きな課題になっているわけですね。プロテクトできるのかどうかということが一番重要な話になってきていると思うのですけれども。少なくとも、基本的な考え方の中、社会を変えている、全てをエビデンシャルにしようというところに、そのビッグデータというターミノロジーが書かれていないというのは、やはり時代観としてはすごく錯誤しているので、そこは何かお書きいただくのがマストではないかと思うのですが。
【栗原専門官】  ありがとうございます。こちらは一応すでに、次で取りまとめという状況でございますが、関係部署にはお伝えしたいと思います。
【北川主査】  よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。
続いて、議題の2番目、AIP:人工知能/ビッグデータ/IoT/サイバーセキュリティ統合プロジェクトについて入らせていただきます。
こちらは、前回の8月に開催されました第90回委員会で御審議いただきました重点課題の事前評価を踏まえて概算要求が行われてございますが、現在の検討状況につきまして、事務局から説明をお願いします。

(2)AIP:人工知能/ビッグデータ/IoT/サイバーセキュリティ統合プロジェクトについて

【栗原専門官】  御説明させていただきます。
前回、第90回の会合でも事前評価を頂いたAIP:人工知能/ビッグデータ/IoT統合プロジェクトにつきまして御報告させていただきますが、年末から年明けにかけまして、政府の予算案の策定に向けた調整が進んでおりますが、現在の関連する事項につきまして御報告させていただきます。
資料3に、AIP:人工知能/ビッグデータ/IoT/サイバーセキュリティ統合プロジェクト、100億円新規ということで示しておりますが、こちらは文部科学省が概算要求事項の柱立てを説明した資料でございまして、左上に1と書いてありますが、柱立ての1番目、第1の筆頭に挙げられるという位置付けになってございます。こちらの資料中には、その他のナノテクノロジーや光技術等と合わせて書かれておりますが、その中でも筆頭に、人工知能・ビッグデータ・IoT・サイバーセキュリティのための拠点整備と、独創的な研究者の支援を行うということで、新規予算の要求、こちら全て優先課題推進枠の特別要望枠というところで行っておりますが、書かれてございます。
2ページ目でございますが、評価いただいたとおりの資料でございますが、AIPセンター及びファンディング、センター、拠点と、大学等への幅広い研究者の支援、両者を行うという、その2点を一体的に行うということで書いてございます。
その具体的な拠点で行う内容でございますが、それを3ページ目で、具体的な実施内容を整理してございます。3ページ目には、ローマ数字で1から5までございますけれども、1が、この拠点で行う研究に関して、我が国が優位性を持つ脳科学等の成果も活用して、人間の知的活動の原理に学んだような新たな革新的人工知能の基盤技術を開発する。そして、10~15年後に世界をリードするような基盤的な技術を生み出す。
また、2や3というのは、実際の様々な応用でございまして、ここは非常に重要な点でございますが、2については、科学に生かしましょうと。文部科学省及び関係機関が強みを持つデータを活用して、そういった科学的発見を革新的人工知能技術によって行って、サイエンスの飛躍的発達を推進するということを書いてございます。
3点目ですが、こちらは、もう少し具体的な応用分野の社会実装、経済的価値を生むような分野に関してでございまして、文部科学省及び関係機関が強みを持つようなデータを活用して、様々な具体的な応用分野でイノベーション創出に貢献すると書いてございます。
また、柱の4につきましては、倫理的・社会的課題に対応するための、人文社会科学を含む融合による社会システムの提案、環境づくり、また、5点目は、委員会でも長時間かけて御議論いただきました人材育成、3点ございますが、人工知能技術者、そして、データサイエンティスト、サイバーセキュリティ人材を育成するということを書いてございます。
こちらの規模はどの程度になるかというのは、またこれから様々、政府予算案の調整によって変わってくると思いますが、この5点を、AIPセンターにおいて取り組む主要な課題として想定されるものということで整理をしてございます。
また、4ページでございますが、こちら、文部科学省のみならず、文部科学省、経済産業省、総務省の3省で、そして、3省の関連する法人で、AIPセンターは理化学研究所向けの補助金ということで要求させていただいておりますが、経済産業省が本年5月に既に設置している産業技術総合研究所の人工知能研究センター、また、情報通信研究機構とも連携をして、我が国として一体的な研究開発を行うということが、内閣府における議論でも既に説明をしておりますし、また、産業構造審議会新産業構造部会というような政府の部会においても、この資料で様々な場で御説明をして、3省で一体的な取組を行うということとしております。特にその際には、3省合同で事業推進委員会を設置して、省庁の縦割りではなく、一体的な事業の推進と、研究開発成果やその共有を進めるということを書いてございます。
また、5ページ、6ページですが、こういった事業につきましては、こちら、9月15日の内閣府の会議の資料でございますが、国家的に重要な研究開発の事前評価という評価の対象になってございます。この9月15日の会議は公表でございますが、それ以降の会議は非公表で行われておりますが、5ページの下に示しているとおり、こちらは公表されている資料ですが、実施のスケジュールとして、12月には評価の結果が示されるということになっております。AIP事業に関しましても、この評価の対象でヒアリングを受けているというところでございます。
また、資料4、この木の絵でございますが、こちらは、11月12日に官邸で、総理御出席、また、加藤一億総活躍担当大臣その他13人の閣僚で集まって会議が実施され、その場で、一億総活躍のための各省庁の施策が説明されたところでございますが、その11月12日の会議でも、馳文部科学大臣より説明をされた資料がこちらでございます。
今、1枚目の資料が全体の総括資料ですが、一番左上に、人工知能、IoT、ビッグデータの活用が書かれておりますとともに、2ページ目に3つの矢が書いてございますが、より具体的な3ページ目と5ページ目、3ページ目が、一億総活躍の第1の矢の、2020年頃にGDP600兆の実現というものがございますが、これに対応する文部科学省の施策の筆頭にも、人工知能、ビッグデータ、IoTを活用した新たなプラットフォームや、知を支える技術基盤、スパコン等の技術基盤の強化ということが書かれておりますし、また、5ページ目でございますが、第3の矢、安心につながる社会保障、介護離職ゼロに向けても、技術革新を人工知能、IoT等の技術によって行っていこうということを、文部科学省としても第一に打ち出しているところでございます。
これは第2回の一億総活躍国民会議の資料でございますが、今後、ここでの議論、一億総活躍国民会議での議論を通じまして、具体的なロードマップ、一億総活躍プランというものにつながっていくということになっております。
簡単ですが、以上でございます。
【北川主査】  ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、何か御質問ありましたら、よろしくお願いいたします。よろしいでしょうか。
それでは、次に参ります。第3の議題ですけれども、今後の情報科学技術分野における文部科学省の研究開発施策に関する検討ということで、情報科学分野の我が国の現在までの施策について議論することといたします。
この議論に際しまして、今年度最初の第88回情報科学技術会議で審議いたしました第8期情報科学技術委員会における当面の審議事項において、追記をしたいと考えておりますので、まず事務局から説明をお願いしたいと思います。

(3)今後の情報科学技術分野における文部科学省の研究開発施策に関する検討

【栗原専門官】  それでは、御説明させていただきます。
資料5で、1枚の紙をお配りしておりますが、当面の審議事項案につきまして、北川主査と御相談しながら、事務局の方で案を作成してございます。昨年も、ちょうど1月、2月の時期にも、次の予算要求であるとか、また今後の施策の実施に向けた議論をしていただいたところでございましたが、こちらの審議事項案に新たに加えさせていただいたのが、2つ目の点でございます。1.今後の情報科学技術分野の研究開発課題の検討のうち、2つ目の点を追加させていただいております。
情報科学技術分野の現在までの施策についての議論を通じて、それらの知見を今後の施策の検討に生かす、そのために、平成27年度中、今12月でございますが、12月、1月、2月、3月、この4か月で3回程度の委員会を開催しまして、今日も来ていただいておりますが、有識者からの聴取と議論も実施して、過去の施策の経験も踏まえた情報科学技術の研究開発の方向性について取りまとめを行うとしてはいかがかと、主査と御相談して書いてございます。
また、今まで12月までのスケジュールしか書いておらなかったこの資料でございますが、資料5の下のところ、3つ丸がございますが、第92回、第93回、第94回、年明け1、2、3月の当面のスケジュールを書いてございますが、現在までの施策についての議論を通じて、今後の施策に生かすという点について、有識者からの聴取と議論ということで、1月には、また大学等の方からの聴取、自由討議、また、2月、3月には、取りまとめをして、また来年度、平成28年度に要求を行う平成29年度予算に関する様々な施策の反映であるとか、また、現在行っている事業に関する御知見の反映に生かしていきたいと考えまして、当面の審議事項案をこのようにご提示させていただいております。
以上でございます。
【北川主査】  いかがでしょうか。それでは、事務局案のように追加するということで、よろしいでしょうか。ありがとうございました。
それでは、これに基づきまして、本日は、情報科学分野の我が国における現在までの施策について、ジャーナリスト、企業関係のそれぞれの視点から御意見を頂くべく、有識者の方々にお越しいただいております。本日お越しいただきました有識者の皆様の御発表を伺った後に、委員の皆様を含めて、議論をさせていただければと思っております。また、この議論に関しまして、参考資料及び机上配付資料もございますので、事務局から簡単に説明をお願いいたします。
【栗原専門官】  有識者の方々から御説明いただく資料のほかに、参考資料1と机上資料というものを配らせていただいております。参考資料1は、こちらの黄色い表紙の、日本のコンピュータ発達史、情報処理学会歴史特別委員会という資料でございます。こちらには、情報処理学会が平成10年に発行したものでございまして、過去の情報科学技術関連の施策に関する、第5世代コンピュータでありますとか、また、シグマプロジェクトでございますとか、リアルワールドコンピューティングプロジェクト、また、2枚めくっていただくと、DIPSプロジェクトであるとか、またメインフレームとか、インターネットの出現への対応であるとか、様々な今までの年表等も付して議論が整理されている資料でありますので、議論の御参考までにと思いまして、参考資料としてお配りしております。
また、もう一つ、机上資料でございますが、こちら、日経コンピュータ、1990年2月11日というものでございますが、著作権の関係でこちらは机上だけ、委員の皆様だけにお配りしておりますが、これにつきましては、本日、日経コンピュータ中村編集長にも来ていただいておりますが、計画の総決算ということで、250億円をかけたプロジェクトでありますシグマ計画に関する、過去の参考になる記事ということで、御覧いただきながら御議論を進めていただく参考資料として御用意してございます。
以上です。
【北川主査】  ありがとうございました。
それでは、初めに、朝日新聞社メディアラボ主査、馬場様から発表をお願いできればと思っております。馬場様、10分程度でお願いいたします。
【馬場氏】  朝日新聞の馬場と申します。メディアラボというのは、聞き慣れない言葉だと思うのですが、新規事業等を担当しております部署になります。本日は、こういうお題でお話をさせていただきますが、できるだけ市民の目線といいますか、基本的なことを押さえていくといったかたちでお話をさせていただきたいと思います。
こちらは、インドネシア・ジャカルタの風景であります。近年、自動車が大変増えて、毎日、このような大渋滞が発生しているという風景ですが、この自動車の95%程度が日本車ということでして、日本の自動車産業の競争力を端的に示している風景だと思います。
こちらはヤンゴンの風景ですね。先日行われました総選挙の風景であります。市民の方が手に手にスマートフォンを持って写真を撮っているという風景でして、ミャンマーは3年ほど前までは携帯の普及率が10%を切っているという状態でしたが、その後、急速にスマートフォンが普及しておりまして、そのほとんどが中国製だと言われております。
こちらにお示ししましたのは、情報機器市場における日本製品の競争力で、携帯電話に関しましては左上にお示ししましたが、世界市場におけるシェアは5%以下でして、パソコン、タブレット端末に関しても、ご案内のとおりです。
それから、次のページは、ICTサービス市場における日本の主要な企業と欧米の主要な企業、これを海外売上比率、営業利益率で比較したグラフでございます。日本企業の存在感は、非常に希薄だと言わざるを得ません。
市民にとっては、やはり自分が生活する環境に入ってくる情報機器、ITサービス、そういったものを通じて、自国の産業の強さというものを実感していくものだと思うのですけれども、過去の政策というものが産業振興をひとつの目的としていたのであれば、その効果というものは、市民が実感できるかたちで伝わっていないと考えます。本日は、その政策について、大型プロジェクト制度の観点から、これまでの経緯を振り返りながら考えていきたいと思います。
次にお示ししますのが、大型プロジェクト制度の過去の変遷であります。もともと1960年代に、外国への技術キャッチアップを主眼としまして制度が発足しておりますけれども、1980年代に入りまして、対米貿易黒字の急激な増加と、「基礎研究ただ乗り」論の盛り上がりを受けまして、基礎研究の強化へシフトしていくという流れになります。その後、1990年代に入りまして、バブルの崩壊、製造業の空洞化という状況変化を受けまして、今度は基礎シフトから実用化の方向を強化するというかたちにシフトしまして、さらに新産業創出という方向へ動いております。ただ、この大型プロジェクトを通じて新産業を創出するという考え方に関しては、一定の議論があろうかと思います。私は、どちらかというと、これには批判的な立場をとっております。
それから、次の表は、1980年代以降の主な情報技術関連プロジェクトを一覧で示しております。表の各行の高さがまちまちですけれども、これは行の高さで予算の大きさを示しております。ざっくり、乱暴なのですけれどもタイプ分けしますと、「応用」寄りのプロジェクトと「基礎」寄りのプロジェクトが過去ありまして、この表が示すとおり、どちらかというと、「基礎」寄りの方に多く投資がなされていると言えます。ただ、この基礎寄りのプロジェクトというのは、市民から見ると、かなり分かりにくいプロジェクトになります。基礎寄りのプロジェクトは、10年後、20年後の将来を見据えて、まだ現在は社会的ニーズが顕在化していない、市場で競争も行われていない、そういう課題に対して研究開発を進めるというプロジェクトですから、市民から見ると、なぜ今そういう目標設定が必要なのか、プロジェクトが終わって成果物が出ても、それが自分達の生活に何の役に立つのかというのが分かりにくいという性質を持っています。この基礎寄りのプロジェクトの分かりにくさという部分に関しまして、ひとつ事例として、「リアルワールドコンピューティングプロジェクト」、第5世代コンピュータプロジェクトの後継プロジェクトですけれども、そちらの方で若干ご説明します。
こちらに、リアルワールドコンピューティングプロジェクトがいつ頃立案されたかを示しました。1989年から92年の3年間で立案されているのですけれども、1989年という時代は、その前年にINS64のサービスが国内で始まって、米国では89年にインターネットの商用利用がようやく始まった頃です。さらに、その前年、88年は、国内ではインターネットを研究するプロジェクト、WIDEプロジェクトが始まっていると、こういう時代だったわけです。一方、リアルワールドコンピューティングプロジェクトでは、情報ネットワークと情報処理の主体が企業から家庭・個人に広がるという未来が到来するという前提を置いて、そこで必要となる技術として、実世界の多種多様な情報に対する「柔らかな情報処理」、これが必要になるので研究開発を進めるという目標設定をしたのですが、結果論から言うと非常に卓見だったと考えられます。ただ、89年頃、まだポケベルもそれほど普及しておらず、87年にポケベルに数字が打てる機能が付いて、「アイシテル」とか、メッセージを数字に置き換えて打っていた時代に、柔らかな情報処理が必要だと言われても、なかなか市民にはピンとこなかったのではないかと思います。
「柔らかな情報処理」というのは何を意味しているかと申しますと、これは情報の曖昧さや不確実さを許容し、学習、適応能力を持った情報処理ということで、これは明らかに人工知能を研究領域に含めるということを意味していました。しかし、90年代、世界的に言うと80年代後半からは、「AIの冬」と言われておりまして、人工知能の研究が非常に低調だった時代に入っていました。このグラフは、推論の分野において、ちょうどこの時期にパラダイムシフトが起きているということを示しています。第5世代コンピュータが取り組んだ演繹推論のパラダイムから、その後、現在へ連なる確率推論のパラダイムにシフトしているということを、演繹推論を「Prolog」というキーワードで、それから、確率推論を「Bayesian Network」というキーワードで論文検索した本数で、一面的な見方ではありますが、時代の移り変わりを示しております。リアルワールドコンピューティングプロジェクトでは、確率推論の方のアプローチに取り組んでおりまして、この黄色い線で示したような時期に論文を出しており、このパラダイムシフトに対して、かなり早い時期に取り組んでいたということが分かるわけですが、これもこういうかたちで図示しないと、どれだけ先進的なことをやっていたかというのは、市民目線ではなかなか分からなかったと思います。
このように、過去の大型プロジェクトで「基礎研究成果」、つまり、「未来の価値」はかなり積み上がってきて、それはしかるべき時期に「現在の価値」、すなわち、「市場競争力」として顕在化するというのが本来あるべき姿だと思うのですが、実際に起きているのは、この未来の価値は積み上がっているけれども、それが市場競争力につながらないということだと思います。
では、これはどこに問題があるかというと、恐らく未来の価値を現在の価値に転換する機能、この真ん中の丸い部分、ここに何らかの問題があると思われるのですが、この機能を果たす主体は誰かという議論があろうかと思います。これにはいろいろな見方があろうかと思いますが、私個人の考えでは、やはり現在の価値、すなわち、現在の市民や市場にとって何が価値あるものなのかということを知る存在によって、この機能は果たされるべきで、それはおそらく国家ではなく、民間の「entrepreneur」の役割だと思います。
実際に、外部の研究機関の基礎研究成果を、民間企業が国民生活に活かすかたちで現在の価値に転換してきた事例は、ここに示したように、代表的なものがいくつもあります。特に、各企業において基礎研究を担う中央研究所が未熟な段階、そういう時期に非常に代表的な事例が多く出ています。
それから、このスライドの下に、東京通信工業、現在のソニーですけれども、その設立趣意書を挙げております。この第1項目というのは非常に有名な言葉ですので説明を省略しますが、第3項目、第4項目に、戦時中に非常に発達した技術を国民生活に応用する、それから、諸大学、研究所の研究成果、これも迅速に国民生活に応用していくと、自分のミッションを明確に書いております。つまり、これが「entrepreneur」のミッションだと、井深氏は深く自覚していたということを示す資料だと思います。
この「entrepreneur」の活動に何らかの支障があるために、未来の価値が現在の価値に転換されないと考えられるわけですが、それは何かということを示唆するデータが、この世界経済フォーラムの日本のICT競争力の評価という資料に若干現れてきます。これは総合順位という形でよく紹介されるのですが、実際には、10個の主要な指標によって評価されておりまして、この図で言いますと、青い線、これが日本の評価になります。そして、この灰色の線、こちらの方が、世界銀行が国民一人当たりのGNIで各国を分類しまして、その上位グループの平均値になります。日本の評価は、大体平均値を上回っているのですが、1カ所だけ、このBusiness and innovation environmentという指標において、平均値並みという評価になっています。
この指標は、それ自体が9つの指標の合成指標になっておりまして、その9つの指標の中でも、一段と評価が低いものというものを右側に挙げております。税率、ビジネスを開始するための手順の多さ、時間の長さ、これらと並んで、マネジメントスクールのクオリティというものが挙げられていることに注目を要すると思います。
以上が本日のお話ですけれども、大型プロジェクトによって、「未来の価値」を創出するという、そのこと自体は今後も重要だと考えます。が、それと並行して、「未来の価値」を「現在の価値」に転換する「entrepreneur」や技術経営人材、彼らの能力が伸び伸びと発揮されるような環境を構築していくことが、今後更に重要になると考えます。
以上です。
【北川主査】  ありがとうございました。
それでは、引き続き、日経コンピュータ編集長、中村様から発表をお願いいたします。
【中村氏】  皆さん、初めまして。日経コンピュータ編集長の中村と申します。日経コンピュータは1981年創刊の企業情報システムの総合誌です。
私は2000年にオープンしたIT Proという、企業向けITの情報サイトの編集長も兼務しています。2つの媒体の編集長として感じていることをお話しさせていただきます。
骨子は4つあります。
今日、シグマプロジェクトの特集記事を、文部科学省の方が見つけられたのですけれど、配付しています。さっきの馬場さんのお話にもありましたけれど、科学情報技術の分野の大きな果実を政策的に実現して成功させるのは簡単ではない、国家的プロジェクトであっても必ず成功するというものではないだろうというのが、1つ目です。
2つ目は、技術の変化の速さをどう評価するか、どう対峙するかを考えなければいけないということです。
技術の変化の速さということとも関連しますが、3つ目は、ここ何年かよく使われるようになってきている、オープンイノベーションの視点をどう反映していくかといということです。
最後に、一方で、やはり技術力、ソフトウェア開発力というか、ソフトウェア人材というか、情報科学技術の競争力を高めることが、重要な命題であるのは間違いない。これをどう実現するかという、その4つについて話をしたいと思っています。
最初の、成功させるのはたとえ国家的な取り組みであっても簡単ではないというのは、先ほどの馬場さんのお話でもよくまとまっていましたけど、今日資料を抜粋して持ってきたシグマプロジェクトが、一つの例なのかなと思っています。
1990年に発行した、特集企画なのですが、おそらくこの雑誌が出るまで、シグマプロジェクトはきちんと総括されていなかったのではないかと聞いています。記事が出たとき相当な反響があったそうです。この種のプロジェクトは、総括についてもある段階で考えるべきではないかと思います。
1つには先ほど申しました、技術の変化の速さが関わっているのではないでしょうか。
それから、官のプロジェクトは民間と違って、効率を重視しないので失敗しがちだという話を聞くことがありますが、そう単純ではないという気がしています。例えば、日本電電公社が開発したDIPSという国産のメインフレームがありますが、今はなくなっています。日本の携帯電話は、一時世界を制する勢いでしたが、今はまるで違います。ITの領域で世界と伍すのは簡単ではないという認識が、一番重要ではないでしょうか。
変化の速さというのが、まさに世界と関わってくることですけれど、先ほどの馬場さんの資料からも感じましたが、10年前と今は全く状況が変わっているということです。10年間のスパンでの計画というのは、5年後、7年後の、世の中の状況が予測できない中で考えざるを得ないので、変化をどう反映していくか、変化を前提としながら長期的な計画を立てる、しかも基本的には単年度決算がある中で、どう効率的なものを実現させるのかというのは、非常に難しいと思いました。
IoT、AI、サイバーセキュリティが大きなトピックとして取り上げられていましたけれども、これらをつなぐ、ITの一番大きな技術にクラウドコンピューティングがあります。クラウドコンピューティングというのは、グーグルのCEOだったエリック・シュミット氏が、2006年に初めて使ったとされる言葉です。登場してからまだ10年経っていないわけですから、10年前にクラウドなどがどういう影響を与えるかを予測するのは、不可能に近いのではないかと思います。グーグルは1998年に設立されましたが、フェイスブックもツイッターも21世紀になってから生まれています。マイクロソフトは非常に強いITの会社ですが、同社をもってしてもインターネットの潮流を制することができませんでした。
その中で、大きな進化の潮流は、オープンイノベーションになるのだと思います。オープンソースソフトウェア、OSSがありますが、プログラマーの趣味のように思われていた時代もありましたが、現時点では最先端のソフトウェアの成果はオープンソースから生まれてくるように変わっています。これをどう取り込むかというのが、特に企業競争の中では非常に重要になっているのではないかなと。ソフトウェアは、現在の通信環境の中では、簡単に世界中を動き回ることができますので、国境の壁ものはほとんど関係なくなってきています。しかも、オープンソースですから、IPも特定の組織だけのものではないことになりますから、自分の手の中にだけ成果をとどめておくことができないという中で、どう進んでいくかというのを考えなければいけないだろうと思います。
という話があって、こういう振興は簡単ではないと思うのですが、先ほどのお話もありましたけれど、情報技術科学の振興が、国家の競争力だとか、これからの日本を考えると極めて重要だというのは間違いのない事実です。今年よく使っている、産業とITが結び付いたキーワードというのがあります。1つは、フィンテックという金融とITの造語です。去年からよく聞くのが、インダストリー4.0という、そもそもはドイツの製造業に関わるものでしたが、製造業の高度化・スマート化を象徴する言葉として使われることもあります。その前の年くらいから、オムニチャネルという、流通がリアルもネットも全部のチャネルでお客さんと接点を開いていくという言葉を目にするようになりました。製造、流通、金融の3大業種でITと不可分のキーワードが出ているという、過去にはあまりなかった時期ではないかと思うのですね。これまでは技術のトレンドだけを取り上げたキーワードが多かったのですが、こういったキーワードを見てもITが相当産業に影響を与える状況になってきているというのが分かるのではないでしょうか。
こういう時代ですから、何とかして成果を上げるべきではないかと思います。馬場さんの資料で競争力が低いという話がありましたけれど、ソフトウェアの輸入と輸出の対比という統計がありますが、日本はもう極端に輸出の比率が低い状態が続いています。最近では、調査自体を実施していないかもしれません。
最後は、ソフトウェアというのは、しばらくは人間は書くでしょうから、プログラマーをどう育成するか、というのが重要なのではないかと思います。
周囲の人間と、官や学が関連するという前提、人材育成がうまくいっているものは何かと考えて、2つ思い当たりました。1つは、プリファードインフラストラクチャーといいますが、東京大学を出た学生が中心となって作ったベンチャーがあって、相当な実績を出し始めていて、日本でも学からそういうものが出うるという話です。
文部科学省ではありませんが、もう1つは、経済産業省が所管する独立行政法人の情報処理推進機構が主催している未踏事業です。未踏の中から、斬新な技術やサービスを生み出す人たちが出てきているという印象があります。ソフトイーサやスマートニュースなどが未踏出身者によるものではなかったでしょうか。
少し話は変わりますが、小中の義務教育、あるいは高校からいかにプログラミングに対する親和性を高め、裾野を広げるかということと、もう一つ、コンピュータサイエンスをきちんと教える大学の学部も日本では少ないという現状をどう変えていくのかということも、重要なのかなと思っています。
4つのテーマで私が話したかったのはこういうことです。皆さん、ありがとうございました。
【北川主査】  どうもありがとうございました。
引き続き、NEC主席技術主幹の加納様から発表をお願いしたいと思います。
【加納氏】  NECの加納でございます。今日は、科学技術というちょっと大きな話というよりは、プロジェクトのマネジメントに関しての私の経験から少し御紹介させていただければと思っております。大型研究開発プロジェクトマネジメントに関する一考察ということでお話しさせていただければと思います。
2枚目のスライド、表紙の次のスライドですけれども、ちょっとビジーになっております。私、今まで、すみません、文科省さんのプロジェクトはあまり経験ないのですが、経産省さん、それから、総務省さんのプロジェクト、大体30プロジェクトぐらい研究責任者をやらせていただきまして、プロジェクトのマネジメントといったところに携わってきているわけですけれども、ほとんどのプロジェクトの形が、今ここにお示ししているようなマネジメントスタイルになっています。
特に、やはり研究者自身が自分たちのプロジェクトをマネジメントしていくというケースが非常に多いと。研究者は、研究をしながら、実はプロジェクトのマネジメントをしつつ、部下のマネジメントをしつつ、あるいは、政府の質問に答えつつ、評価委員に認めてもらうためのいろいろな言葉を並べつつ、さらには、それらを正当化と言うとちょっと誤解を招くかもしれませんけれども、運営委員会というものを設立して、いわゆる研究受託をした方々が運営委員を契約されて、いろいろなプロジェクトの指南を頂くというような、こういう体制で、今まで大型プロジェクトというものが進められてきたのかなと思っています。
細かいところは、この横に書いておりますけれども、例えば、評価委員の先生方は、政府から委託を受けて評価をされるわけですが、やはりプロジェクトの推進や、あるいは、プロジェクトの運営、さらには、プロジェクトの成功・失敗ということに対しては責任はないという状況ですし、運営委員会の先生方もしかりです。唯一、責任と権限を持つのは、この研究受託機関AからNと書いてありますけれども、並列に並べられた研究機関で、1社だけ、あるいは、1大学が、この代表研究機関として設定されて、全ての研究を取りまとめていくという形になっています。それぞれの研究は、基本的には、基本計画書というものが提示されて、その基本計画書では、大きなプロジェクト全体のミッションや、さらには、目標成果といったものが提示されるわけですけれども、実際にプロジェクトに採択された後、プロジェクトの運営に入ってしまうと、それぞれの研究機関がそれぞれの企業のステークホルダーとして研究を進めていく。つまり、自分たちのやりたいことをするというような状況になります。これも結構成功している部分もあるわけですけれども、やはり最終的には研究当事者が研究プロジェクト推進に関する全責任と全権利を有するということだと理解をしています。ただ、これが全て問題かというと、そうではなくて、この中でも多くのプロジェクトは成功していると思っています。
一方で、日本のプロジェクトではなくて、これはアメリカのNSFやDARPAが推進するプロジェクト、私も実はホワイトハウスやNSFのProgram Directorといろいろ懇意にしていまして、いろいろなプロジェクトの立ち上げのときに、NSFの外部有識者として入って、いろいろコメントをしたりしていたんですけれども、大体政府から――これ、政府というのは、基本的な情報通信に関する科学技術政策というのは、ホワイトハウスのOSTP(Office of Science and Technology Policy)という部分、ここのところで組まれるわけですけれども、まずプロジェクトデザインチームというのが、いわゆる指名型で形成されるということです。これは、あるものはホワイトハウスから直接指名がされるケースもありますし、あるときはNSFを経由して、Program Directorを中心に形成されるケースもあるというふうになっています。
実は、このプロジェクトが一旦形成されて、実際には予算がどこからおりるかというと、ホワイトハウスの直接の直轄の費用であったり、あるいは、NSFの委託研究であったりするわけですけれども、特にNSFからの委託研究ですと、NSFの中にProgram Directorというものが設置され、さらには、そこから、まずはプログラム全体のマネジメントをする公募をかけるような形になるわけです。応募者は、このプロジェクトをどういうふうに運営し、どういうふうに成功に導くかといったところのプランを全て記述して、そのプランを約束する、コミットするという形で提案するわけですけれども、もう何社かの公募の中で、プロジェクトマネジメントオフィスというものが採択される形になります。
実は、一旦採択されると、彼らは一切この研究プロジェクトから研究というテーマで参画することはできませんし、応募することもできません。これに関連する研究も、部屋も含めて、完全に分離しなければいけないという状況になります。その覚悟で、このプロジェクトマネジメントオフィスというのが、いわゆる提案をする形になります。
アメリカでは、今、ネクストインターネットというか、ポストインターネットプロジェクトというものが立ち上がっていて、2007年にGENIプロジェクト、それから、2011年にUS Igniteプロジェクト、それから、2014年、去年の秋ですけれども、Global City Teams Challengeプロジェクトというものが立ち上がりまして、まずはGENIによって、インターネットの新しい基盤を作るというプロジェクトが立ち上がりました。このときにも、このプロジェクトマネジメントオフィスというものが公募され、アメリカのボストンにあります、ケンブリッジですけれども、BBNテクノロジーという会社が応募して、採択をされると。その時点で、実は、この研究プロジェクト関連、技術関連からは全てこのBBNテクノロジーという会社は外されてしまいます。
それから、メンバーとしては、大体20名ぐらいのプロジェクトマネジメントメンバーが、その中はほとんど過去にインターネットの研究やインターネットの創設、いわゆるARPANET、これに携わっている人間がアサインされて、多くのサイエンティストがこのプロジェクトマネジメントオフィスに入っているわけです。彼らが自分たちの築いたインターネットの次のインターネットを組むというような形で、責任を持って、下にあります、今後プロジェクトになるであろうプロジェクトをマネジメントしていくという形になります。その下に研究受託機関AからNと書いてありますけれども、彼らはひたすら研究テーマを提案し、プロジェクトマネジメントオフィスに採択されて、最終的には、その技術成果を出していくという形になります。当然、プロジェクトマネジメントオフィスは、どういうふうに産業につなげていくかということも視野に入っていますので、彼らは多くの企業、アメリカですから、IBMとか、AT&Tとか、シスコシステムズとか、こういったところと組んで、この研究成果をビジネスにつなげていくような議論も並行して始めると。先ほど馬場様の方からプレゼンテーションありましたように、まさにここの部分がentrepreneurの役割を担っているという形になります。実は、この下の研究成果をもとに、プロジェクトマネジメントオフィスの中から多くのメンバーが、いわゆるベンチャースタートアップとして起業しています。
ちなみに、例が横に書いてあります。Aの横に文字で書いてありますけれども、GENI、2007年にスタートしたのですけれども、スタートしたときの応募件数が約200件。実は、この200件というのも、日本では考えられないぐらいの件数で、かなりの責任を負って、全米のインフラストラクチャーにきちっと自分たちの技術をコミットしていけるかどうかというところも含まれていますので、この200件の応募というのも目を見張るものなのですけれども、その中から、3年間をかけて72件が採択され、さらには、今、最終3件が残って、10年が今、間もなく経過しようとしていますけれども、その10年後、更にプラス5年、このプロジェクトの継続が決定されたという状況です。
実は、これが新しいインターネットのプロジェクトとして立ち上がったものなのですけれども、その後に、このインターネットを使った新しいアプリケーションやサービスというものを作ろうというのが、USIgniteというプロジェクトです。これは、実はNSFを介在せずに、ホワイトハウスが直接、プロジェクトデザインチームを起こし、プロジェクトマネジメントオフィスをNPOとして起こして、アメリカの有識者を集めて、彼らをentrepreneurとして採用し、プロジェクトマネジメントオフィス的機能を今実行させています。今、NPOとして、USIgniteというNPOが存在していますけれども、こういうプロジェクトも今並行して走っている状況です。これは2011年にスタートしたのですけれども、今まさに、いわゆる政府からの予算から外れて、今度はNSFの正式な研究予算が出るというような形になっています。
これも驚くべき応募件数がありまして、約600件、正確には622件の応募があったのですが、似た研究テーマや似た成果、こういったものを集めて、トーナメント方式で3年間かけて競っていくわけです。基本的には、プレゼンテーションでいわゆるバトルをするわけですけれども、3年かけて、今27件残っています。当然、この採択される条件の中には、例えば、激甚災害への対応ですとか、教育ですとか、産業育成ですとか、いろいろな社会的な課題を解決するといったところにかなり絞ったような形でもありますし、それから、条件としては、GENIという新しいインターネットで産業ができるということが必須です。今のインターネットでできるようなことについては、もう一番最初の部分で全部リジェクトされるというようなプロジェクトで、最終の27件になっています。この27件のプロジェクトが今どんなことになっているかというと、一部のプロジェクトはもうスタートアップしています。そんな中で、今、世界にMade in USAを展開しようとしている段階という状況になっています。
次のページのスライドはすみません、今お配りした資料に入っていないのですが、これは実はヨーロッパで立ち上がったヒューマンブレインプロジェクトの概要です。全部で13のプロジェクトがあるのですけれども、ここでもやはりSP、サブプロジェクトという名前で、人間の脳の研究から、マウスの脳の研究、いろいろ出てきています。2年ほど前に立ち上がったプロジェクトですけれども、最近の日経サイエンスの記事を見ますと、「ヒト脳プロジェクト混迷の教訓」というのが書いてありまして、これは余り細かいところは著作権の関係で示せなかったので、お読みいただければと思いますけれども、ここにも実はSP13として、マネジメントのところがプロジェクトとしてきちっと入っていますが、実は、今、deliverableというものが読めるような状態になっていまして、一応一通り読んでみました。
すると、Key performance indicators and targetsといったところに興味があって読んだのですけれども、半分から上がほとんど、研究の成功を直接コミットできるようなKPIになっていないんですね。これ、ちょっと変な話ですけれども、例えば、ハイヤリングが何人いたかとか、それから、外とどういう交流をしたかとか、そういうものを数で合わせていっていると。一方で、KPIは、そういったマネジメントチームが設定するKPIと、それから、実際に研究するプロジェクトが設定するKPIがありまして、この下のプロジェクトのKPIは、何と2015年8月に発表されたdeliverableですと、12プロジェクト中、8プロジェクトが当初のKPI未達成という状況になっています。
これ、どういうわけでこの問題が起こっているのかというのは、まだ分析はしていないのですけれども、こういったところも、今後のプロジェクトの成功に向けた参考になるかなと思って、今日は御説明申し上げました。
以上でございます。
【北川主査】  ありがとうございました。
それでは、最後に、矢野委員から発表をお願いします。矢野委員は、日立中央研究所の主幹研究長でございますので、企業の観点からの発表をお願いいたします。
【矢野委員】  矢野でございます。この情報科学技術に関して、国の支援はどうなっているかということで、少し考えてみたことを少しお話しさせていただきます。
サマリというところで、私の言いたいことを大体まとめたので、そこを少しお話ししますけれども、あと、残りのところは、少し抜粋で、材料として必要なところを後で御紹介したいと思います。
この情報科学技術の最大の特徴は、幅広い波及効果を持つということでありまして、コンピュータにしろ、半導体にしろ、携帯端末にしろ、このときにいろんな観点があるわけです。今日もいろいろな観点が出ています。過去の歴史などを見てみると、変数ももうたくさんあるわけですね。でもここだけ、これをまず外してはだめだというポイントがあると思っています。それは、応用特化するか、汎用を狙うかというところです。これには実は波がありまして、その波と違うことをやってもだめなんですね、実は。今から10年、20年、応用に特化するという波のときに汎用のことをやってもだめだし、逆をやってもだめだということで、その時代に合った攻め方が必要だと。
特に、この情報科学技術で非常に重要なのは、一度応用特化で何か突破口を開いて、ビジネスができ、世の中に活用され始めてから、それがあるところで汎用技術にばっと置き換わるという瞬間が、大体どこのビジネスでも起きているわけです。必ず汎用技術の方がコストが勝るので、そちらが非常に大きな勝者になっていくと。こういう動きをちゃんと読まないと、昔のプロジェクトの、あのときはこうだったと言っても、全然違う波のときの話をしていても、全く意味がないと私は思っているわけです。
今、情報科学技術については、まさにぐるっと、これは私の読みですが、これまで割と応用特化の方に行っていた波が、非常に大きく汎用化の方に移っていると。特に、非常に大きなテーマが、人工知能であり、AIであり、IoTなど、その周辺も含めて大きくそういうテーマなのですけれど、この人工知能などが非常に汎用的に、大きな流れがこれから10年、あるいは20年ぐらい、そちらの方向に流れるだろうというふうに見ているわけです。
一方、やはり国のプロジェクトをやるときに、汎用の基盤を作るという話をしても、国民のためにとか社会のために何が役立つんだというのが分かりにくいということで、これはものすごく、より応用の言葉を出したいというプレッシャーがあるわけですよね。それは非常に大事なことで、なぜなら、汎用技術というのは、絶対汎用技術の中で評価できませんと。汎用技術の評価は、あくまでもその上で、アプリケーションなり、ある用途でちゃんと使われて、そこでインパクトが出るかどうかという、ここで測るべきでありまして、これしか測る方法はないということでありまして。
しかし、汎用であるということもきちんと検証しなければいけないので、少なくとも同じものが、あるいは、同じソフトウェアが、少なくとも2つの分野でカスタマイズせずにちゃんと役に立ったと、しかも、役に立っただけではなくて、そこでちゃんとインパクトが出たというようなことをやらなければいけないと。
そうすると、安易な二分法をやってはいけないということが私の言いたいことでありまして、要するに、汎用技術の成否は応用技術におけるインパクトで決まるという、ある種言葉の中で言うと相反するものが入っていますけれど、そういうことがもう必然的になると。AIのプロジェクトなんかも、今度大きなお金が動くと思いますけれど、そういうことをきちっと考えていかないと、AIの名を借りた単なる応用ソフトの開発になってしまうのではないかというあたりは、非常に懸念、心配すべきことだなと考えています。
3番目、これはやはり企業の研究と国の支援との関係というのは非常に重要なポイントでありまして、特に情報科学技術については、米国企業が非常に強いとか、企業活動とか、あるいは、アプリケーション側でどんどん起きるべきことではないか、あるいは、そこの動きが非常に強いということ、これは間違いないことなんですね。実際、後でちょっと紹介しますけれども、我々も、ものすごい勢いで、実は今動いています。AIなどの分野は、ビジネスも非常に動いていますし、技術も動いています。もちろん、御存知のように、グーグルですとか、ああいう米国系の企業もものすごい勢いで動いているということですね。
ただし、これがまたおもしろいというか、私は非常に重要なところだと思うのですが、逆に、アプリケーション側がものすごく味わえるようになって、Web APIで非常にラピッドプロトタイピンクもやりやすくなったので、逆に、このAIですと、今、今後の基盤技術の世界の本当の基本技術、基礎技術のところがむしろボトルネックになっているという、非常におもしろい――昔は、先ほどのウォーターフォール的に、基礎技術が最初にあって、それが後で、だんだんそれを活用するものができてくるという流れだったのが、今、むしろ周りの方がもうたくさんあるんです。あるいは、作ろうと思ったらすぐ作れるんです。でも、本当の根幹のところの基礎技術が足りないという状況になっていると。これはまさに、ここの文科省で資金を付けるというようなことが本当に今必要なフェーズに来ているという認識でございまして、それをここで、コンピュータにおいてノイマン型が生まれる前夜のような状況なのではないか。これが新しいコンピューティングのパラダイムにおいて、今、起きるちょうど前のような段階で、それというのは、やたらでっかいものを作るというよりは、恐らくいろんな形で、先ほどもいろいろ議論が出ましたけれど、フォン・ノイマンだとかチューリングみたいなものが、あるいは、別の分野ですけれども、山中先生みたいなものが、この情報分野で出てくれば、一気にそこから花開くという流れだと思っていまして。だから、そういう流れを作るようなものが必要なのではないかということが言いたいことでございます。この「応用インパクトによって評価される基礎研究」ということが、本当に今狙うべきことなのではないかということでありまして。
あと、私は、この七、八年、ここに書いてあるCRESTのDVLSIというところの領域アドバイザーというのをやっていまして、やはりリーダーというのが非常に大事だなと。何が言いたいかというと、さっきのような流れを読む、流れにふさわしいプロジェクトマネジメントするということを、実は私のアドバイザーをやっていた浅井総括というのがものすごくやっていまして。テーマというのは、どっちかというと、結構難しいテーマで、もうどっちかというと、産業としては、これからもう余り先が結構難しいような半導体の分野で、そういう分野で、これはもう基盤技術だけやってもしょうがないと。だから、もうこれは応用にものすごく特化して、一緒にカップリングしてやりましょう、もうそこしかあり得ないという流れをきちっとやりまして、大学の先生たちは、そういうことをやるのは、もともとあまり興味もないわけですね。というか、あまり得意じゃないという中でも、非常に辛抱強く、いろんな形で指導をして、結構な成果が出るところまで至ったということで、このリーダーの読みと指導力というのがやはり非常に大きい。いろんな制度をひっくり返すこと、何でもかんでもひっくり返すわけにもいかないでしょうから、やはりリーダー次第で、同じお金の使い方でも全然違うというのが、私の8年ぐらいいろいろやっていた実感でございました。
80年前にコンピュータが生まれたのと同じぐらいの、今、大きな情報科学技術の変革が起きているんだという認識を私はしていると。回路を生み出す回路から、ソフトを生み出すソフトという。
あと、情報科学技術というのは、基本的に生産性を上げる。もうたったこの一つだけのメトリックスで測れると。これを徹底的にやるべきだということでありまして、特にこれからは、サービスとかナレッジワーカーの生産性をいかに上げるか、これだけですということなんですね。
あと、企業の人工知能ですとか、新しい情報技術は、ものすごく今発展していまして、割とアプリに近いところはものすごく進んでいますよということで、1つだけ事例で、ちょっと分かりやすいので御説明しますと、我々のところは、既存のシステムに人工知能を付けて、どうやったら既存のシステムが賢く学習するシステムになるかというようなものを作っておりまして、こんなことまで今企業ではできていますということが割と知られていないと思うので、少し御紹介します。
これは、レゴで、ブランコなんです。このインターフェース、人工知能につながっていまして、このシステムのどこにも、どうやってブランコに乗るかというロジックは、どこにもありませんと。人工知能の方から、ひざを曲げろとか伸ばせとか、あと、ジャイロのデータが吸い上がっていまして、やみくもに動いていることしか最初はできないんです。だけど、オンラインでどんどん学習しているうちに、こういう条件のときには、ひざを曲げれば振れ幅が大きい、こういうことを学習していまして、とにかくアウトカムとして振れ幅を大きくしろ、これだけを教える。中には、ブランコ特有のロジックは一切入っていないということでありまして、こんなふうに、情報システムが非常にけなげに毎日学習するものになるということですね。
向こう側でひざを曲げて、こっち側でひざを伸ばすみたいな、人間の動き方が大体できるようになりますと。しかも、それで終わりではなくて、これからしばらく待っていますと、どんどん更に学習しまして、また振幅が大きくなってきましたと。実は、向こう側でひざを曲げて、こちらでひざを曲げるという、二重伸縮というわざを、奥義を自分で見出したということでありまして、これは別におもちゃなんですけど、おもちゃのところを、別のITとか設備、例えば、我々のところですと、このWNSという倉庫のシステムに同じようにつなぐことによって、生産性を8%上げたということですとか、流通業の売上が15%上がったとか、プラントの運転コストを3.6%下げたとか、コールセンターの受注率とか、これ、全く同一のプログラムでできています。このくらいは、非常に応用から落としていって、今の人工知能という技術をうまく活用することでできていますと。
ただ、例えば、極端に言えば、自分でプログラムするプログラムとか、この先にはそんな基礎研究としてできる基本アーキテクチャというのは、私はあるんじゃないかなという気はしているんですが、そういうところは、こういうところで是非、本当に基礎研究のブレークスルーが、上側の部分はどんどん発展しているので、むしろそこがボトルネックになっているという状況で、そこにこういう文科省の資金に期待するところが非常に大きいんじゃないかというのがコメントでございます。
以上です。
【北川主査】  ありがとうございました。
本日は、4名の有識者の方から、それぞれ異なった観点で御発表いただきました。今日は、残りの時間のうちの30分ぐらいしかございませんけれども、自由にディスカッションしていただければと思います。特に本日何かをまとめるという意図はございません。
それで、できれば最初は、御発表に関連した質問や御意見から始めていただけるとありがたいのですが、どなたでも結構ですので、よろしくお願いしたいと思います。
宇川委員。
【宇川委員】  加納さんに質問ですけれども、この米国のプロジェクトの仕組みというのは大変興味深かったのですけれども、基礎研究、学術的な研究と言っていいかどうか分かりませんけれども、基礎的な研究においても、こういう仕組みでやっていると理解してよろしいんでしょうか。
【加納氏】  そうですね。結構多くの、例えば、DARPAなどは、まさに基礎研究から応用まで、かなり幅の広い時間とプロジェクトの規模をかけてやっておられるようですけれども。
ただ、本当の基礎研究のところは、私どもにはまだ見えてきていません。例えば、本当の人工知能の一番下の、数学モデルをどう作るかといったところは、どうもやはりNSFの一般的な予算の中でいわゆる研究がなされているようで、そんなに大きなお金が動いているというふうには見えないんですけれど。
【宇川委員】  医学・医療関係、NIHとか、そのあたりはいかがなんでしょうか。
【加納氏】  すみません、そのあたりの領域は、私もちょっと不案内でございます。
【北川主査】  ほかに、何かございましたら。
【笠原委員】  馬場さんのお話の中で、未来の価値が必ずしも現在の価値にうまく転換できていないというお話があって、entrepreneurの創出が大事ではないですかというお話だったと思います。私も非常に同感するのですが、ベンチャーの力とか、新しい力を利用していくべきと。それを推進していくための、何か方策とかプランというのはございますでしょうか。
【馬場氏】  ベンチャーで一番問題になるのは結局、基礎研究成果があったとして、その応用研究にどこまで対応できるか、その応用研究をやっている間に資金がショートしてしまわないかというところです。この応用研究から更に製品開発の段階、その段階で発生する費用に関して、どういう供給体制をとるかという問題について、まだ日本のベンチャーキャピタルというのはそれほど発達しておりませんので、ここの部分を強化、と言いましても、国自身が投資判断をすべきではないと思うのですけれども、産業として日本の中でベンチャーキャピタルが育っていくこと、これが重要だと思います。
先日、スタートアップがベンチャーキャピタルに対してプレゼンテーションをする、デモデーという催しに参加しました。そのベンチャーキャピタルをしている方が感慨を持っておっしゃっておられましたが、やはり日本の産業構造が少し変わったのか、ひと昔前はスタートアップというと、大学としても主流ではない、企業としても中小企業出身などの方が多かったのですが、最近は大企業の出身とか、一流大学の出身の方がかなりおられるということでした。つまり、ベンチャー側にもサイエンスリンケージの高いテーマを理解して、それを応用研究に持っていく力は付いていると思うのですけれども、ただ、しょせん技術者ですので、それをビジネス的にマネジメントして、資金をもたせながら最後には商業化していく、そういう部分の能力というのは、やはり別途補完していくべきではないかと思います。
【笠原委員】  ベンチャーキャピタルを育てていかなければいけない。アメリカの場合には、今おっしゃった、技術者だけではできないので、経営も法律もチームでベンチャーキャピタルが対応してくれたりするわけですね。そういうやりやすさを日本としても作っていかなければいけなくて、ただ、待っていても簡単には動かないと思うのですけれど、そこでてこ入れ策を考えなければいけませんよね。
そうすると、民間がそういうところで動けるのか、あるいは、やっぱり国がそういうところで手伝うのか、現実的には、どういうふうに進めていくのがいいか。多分、このまま待っていて、5年、10年すぐ経ってしまってという中で、日本から技術が何も育っていかないということにもなりかねないと思うので、そこのところを集中的に考えていく必要があるかなと思うのですけれど。
【馬場氏】  今日も少し世界経済フォーラムの分析結果をご紹介しましたが、やはり基本的には教育になると思います。技術経営教育と申しまして、技術だけではなくて、死の谷を渡って、製品・サービスを最後まで育て市場化する、そのために必要となるマネジメントの要素、それには組織論も必要ですし、ファイナンスも必要ですし、アカウンティングの知識も必要になります。そういった、自分がこれからスタートアップするのに、基本的にどういう知識が必要になるかということを事前にしっかり教え込む。これはマネジメントスクールのミッションだと思うのですけれども、このあたりをまず強化していくことが第一歩になるのではないかと思います。
【北川主査】  それでは、馬場様への質問のついでに、別な質問ですけれども。本日は余り触れられていなかったのですけれど、第5世代とかリアルワールドコンピューティングを振り返るに当たって、技術選択の不確実性という話をされて、そういう見方で見られていておもしろいかと思ったんですが。そういう観点で見ると、例えば、現状、これからAIなどの研究をやっていくに当たって、どういうフェーズになっているかという、その辺の御意見はありますか。
【馬場氏】  基本的に、大型プロジェクトで取り組むべき領域は何かという議論があると思います。
ひとつは、不確実性が余りにも高いので民間が投資できない、そういった領域であること。
もう一つは、領域の幅の問題でして、あるひとつの領域だけを研究しても価値が実現しない、複数の領域を一体で同時に研究する必要がある、これを不可分性といいますが、その要件を満たしていること。
それから、最終的には、そこでブレークスルーが発生したとして、その知的財産を特定の民間企業が専有しますと、これはまた社会への還元が滞りますので、その専有をコントロールする枠組みが用意されていること。
そういった3つの要件が要請されるような領域を選ぶ必要があるということになります。ただ、このように領域を選ぶと、最初の不確実性の問題で、プロジェクトはなかなか成功しない。成功、失敗という単純な評価は、私自身は嫌いなのですが、市民からはそういう目で見られがちにはなるとは思いますので、そういう領域に挑戦しているんだという説明、そういう基準で領域を選択して取り組んでいるという適切な説明があれば、市民の理解を得ながらサイエンスリンケージの高い分野にも取り組んでいけるのではないかと考えます。
【北川主査】  ありがとうございました。
それでは、ほかの質問なり御意見ございましたら。
【宮内委員】  質問とかではないのですが、こういうふうに、この委員会で有識者の方をお招きして、そして、御意見を伺うということ、多分、私が8年ほど出席させていただいていて、初めてのことですね。これってすばらしいことだと思うのです。そういうふうな重要な人たちがお時間を割いて来てくださって、いろいろなことを言われた中に、私はすごく、ほう、ほうと思って、これからの文科省の予算を付けて、いろんなプロジェクトを動かしていく上で、すごく大切なキーワードがたくさんあったのではないかなと思って、この時間をとてもすばらしいと思いました。それは感想なのですけれども。
実は、このところ、私は技術者、研究者ではないので、国の方とかいろんな方が、割と気楽にころっと本音をしゃべられることが多いのですが、そういった中で、一番へえと思うことがあります。国の予算を付けても、大体成功したものがほとんどないんじゃないかとか、予算は付けたけどみたいなことの悲しい結果になっていることが結構あるようなお話を聞くんですね。
それで、例えば、先ほどNECの加納先生が、やはり結果の分析ということが重要だと言われていましたよね。未達成の分析が必要で、例えば、12件中の8件は未達成だったので、その分析が必要だということを言われて、一つずつそういうふうな検証をしていくことがすごく重要だなということを痛感しまして、では、その検証するチームというか、スタッフというのをやっぱりこれから設けないといけないのかなというふうなことも感じました。
ちょうど朝日新聞の馬場先生が御用意された中の、80年代の主な情報技術関連プロジェクト、これ、すごい予算がいっぱい付いて、いっぱい出ていっていますね。これの検証はされたことはあるのでしょうか。これがどういう結果になったのかとか、成功なのか、どういうふうなものだったのかということを一つずつ、やっぱりこれだけの大切な税金を使った大型の予算を付けているので、検証することも重要じゃないかなと思っておりまして、それで、馬場先生が言われた最後のところの、大型プロジェクトにより、「未来の価値」を現在の市場・経営につなげ「現在の価値」を生むということが、これ、すごくポイントだと思います。そういうものに対して本当に生かされているのかどうかということはとても重要なので、そのあたりも考えていく必要があるのではないかというふうに、今後の課題として感じました。
それで、まだぽろっと本音を言われるという中で、最近、文科省の人で、すごい発火して、本気でやるんだぞとすごく意欲的な人がいるといううわさを聞いているんですね。文科省が、新聞にもプレス出ましたけれども、100億円の大型予算を付けて、いろんなことを動こうとされているということは、これまた珍しいことだと思うので、そういう発火した文科省の方がいらっしゃるって、もう名前も聞いているので、ここでは発表しませんけれども、そういうすばらしい内部の方もエネルギーを持って頑張ろうと思っていらっしゃるので、今度は、受ける体制といいましょうか、研究者自身がやはり本当にこれを成功させて、現実のものにつなげて、人類への、あるいは、ビジネスへの貢献ができるものに本気でしようというような覚悟を持って進むことがとても大事ではないかなと思います。
それで、こういうことも、これは経産省の方から聞いたことですけれども、予算を付けてもなかなか結果が出なくてというようなことで、それで、これは国の方が言われたのではなくて、一般の人たちが、予算を付けて、大手が受けて、そして、いろんなレポートをして、「はい、ここまで」というので、ちゃんちゃんでというような考えを持っている人が多いんじゃないかなというふうなことを言われる方もいらっしゃるんですね。そういったことを言われないような環境もとても重要ではないかなと思います。とともに、基本計画書ということを随分加納先生も言われていましたけれども、ベンチャーというのは、やはりそういうところが慣れていないのでとても下手なんですね。ただ、今、世の中が動いている新しいことに対しては、ベンチャーが率先して動いていることもあると思うのです。ですから、ベンチャーにもその可能性があるような事業計画の立て方であるとか、いろいろなサポートをするような体制を持つことも重要ではないかなと思います。
それから、中村先生が人材の育成がとても重要だと言われていましたが、そんな中で、ソフトウェアを書く人間が大切ということも言われていました。今、ビッグデータとか、いろんなデータを集めて、どうしましょうかというふうなときに、データのマイニングとか分析ということも非常に重要なので、データアナリスト、データサイエンティストというんでしょうか、そういうふうな新たなジャンルの人材育成もこれからとても重要ではないかなと。先生方の発表というのでしょうか、今日のプレゼンを聞かせていただいて、そんなふうなことを将来に向けて、是非、先生方が言われたキーワードを拾って、生かしていかれるようなことがあれば、今日のこの時間がすごく有効ですてきだなというふうに感じました。
【北川主査】  ありがとうございます。
先ほど事務局に質問がありましたけれど。
【栗原専門官】  先ほど御質問がありましたが、馬場先生の御説明資料7ページの、こちらの成果に関する評価や検証に関してですが、こちら、いずれも旧通産省の事業でございますが、我々の調べる限りでは、それぞれ事後評価というか、事業を実施した後の評価もされているようであり、また、当初の目的は、それぞれの事業において達成されたという評価はされたようでございます。
ただ、今回も議論になっているのは、その後の産業インパクトであるとか、我が国の経済的な競争力、社会的な影響にどれだけつながったかという点の評価については、また本日の議論もあったとおり、様々あるかと思っております。
【北川主査】  ありがとうございます。
それでは、残り15分ぐらいになりましたので、必ずしも本日のプレゼンに関係しないことでも、御自由に御意見頂ければと思います。
【村岡主査代理】  皆さんにお伺いしたいのですが、矢野先生にお伺いしようかと思います。ちょっとクラシックなモデルなんですけど、産学官の連携でやっていこうというのが、今どきうまくフィットするかどうかは、プロジェクトによっていろいろ変わると思うのですけれども。今日お話しいただいたのは、企業からの立場ということだったのですけれど、そのときに、学と官はどういうふうに社会還元に向けて動けばいいのかというところですね。学主導でうまくいったプロジェクトというのは随分たくさんある。一方で、企業主導でうまくいったのもたくさんある。そこら辺のうまいタッグの組み方といいますか、そういう考え方というのはあるのでしょうかというのを伺いたい。
【矢野委員】  私が申し上げたのは、一般論として、こうやれば必ずうまくいくというやり方はないと。それは、技術潮流の先ほどの応用、あとは専用化の流れの中で、手の打ち方も随分変わってくると。
今、この情報科学技術分野については、非常に汎用的な基礎研究が重要になると。昔、ノイマンアーキテクチャが生まれたような基本的なアーキテクチャがそろそろ、新しい情報科学技術、AIを中心としたところで生まれるんじゃないかということは、大いに大学の非常にいろいろな分野の知見、例えば、数学ですとか、あるいは、遺伝ですとか、生物ですとか、そういう一種、今までの情報分野にとらわれない様々な知見から学ぶところが大いにあるだろうと私は考えておりますので、それの成否を、応用側では割といろんなところで整備が今進みつつあります。もちろん、もう完璧にできているというわけではないんですが、割と応用側は比較的軽く作れるような時代になってきましたので、そこの基本、基礎の中核となるところの、これまでのコンピューティングのパラダイムに代わる全く新しい、非常に知的、知能的なコンピューティングを生み出すところに、これまでのいろいろな学問に散らばっていたものを、多様な形で組み合わせて、非常に基本的なものを生み出すという、今までの大学がシーズを作って、それをだんだん企業が製品化していく流れとは全然違う形での産学連携というものが、この分野は、これから10年、もしかしたら20年、大いに可能なそういう時代に来たのではないかというのは、私の申し上げたかったことでございます。
【北川主査】  よろしいですか。それでは、喜連川委員。
【喜連川委員】  私は、馬場様のまとめは、おっしゃるとおりだなと感じたんですけれども。一方で、この前にメインフレームを作るところの高性能計算機プロジェクト、当時の機情局は80年以前ですけれども、それと、いわゆる超Lというのがありましたね。DRAMを使う。あの辺は、私はそこそこ成功したのではないのかなという気がするのです。
先ほど最後に、要するに企業が投資できないような怖いところに、というお話があったんですけれども、今、誰がお金を持っているかというと、国はお金、ほとんど持っていないんですよね。企業の方がはるかに持っている。しかも、今世紀かえっているのは、ガバノミクスって、この間日経さんの講演で言ったら、桔梗原さんも知らなかったとかおっしゃっておられるんですけれど。結局、グーグル、アップル、フェイスブック、そしてアマゾンと、これがもう全部のエコノミクスを根底から覆したという、そういう時代観の中で、企業がやれないから国が出すようなやや古典的な発想は、もはや終わっているのかなという気がするのです。
でも、コンクルージョンは同じで、やはり一番おもしろいのは、馬場さんがおっしゃったように、entrepreneurshipを使うのが一番cost-effectiveなんですね。そういう意味で言うと、そこに我が国は極めてフラジャイルなフレームワークしか持っていない。各国立大学法人でルールさえ合致していない。これはやはりうまくいかない理由の大きなポイントじゃないのかなと。
多分、イスラエルを調べると、一番大きな動きを示していますよね。国民の5%がPhDを持っているような国なんて、世界どこにもないわけですね。ああいうところの話を、もうちょっと文科省さんに向かっていろいろ教えていただけるといいのではないかなと思ったのですが、いかがでしょうか。
【馬場氏】  各種レポートでも、ベンチャー振興策の例として、イスラエルを多く取りあげておりまして、非常に積極的な施策をとっていますので、省庁間でそういう情報を共有されるのがいいのかなと思うことがひとつです。もう一つは、おっしゃるとおり、国に金がなくて、企業に金があるという部分の、この非対称性をどうやっていくかということですけれども、アメリカでも非常に先端的な領域は、NIHやDOEが直接お金を出します。ただ、これはほとんど純粋なサイエンスの領域になりますので、それほど大きな投資は必要ないんですね。
問題は、お金のかかる応用研究の部分をどうするかというところで、日本でも最近、企業が、自社の顧客提供価値と非常にリンケージがある、そういった分野のベンチャーに、自分のファンドで投資をしていくという、コーポレートベンチャーキャピタルというものが急速に立ち上がっております。そういった、企業の金がオープンイノベーションを推進するというかたちは、近年になって急速に整いつつあるかなという認識でおります。
【喜連川委員】  そうすると、ここでの議論のポイントは、国家は何をすべきかということで、先ほどおっしゃいましたように、NIHはほんのちょっとお金を入れればしまいですと。NSFもそうです。さっきDARPAのお話をしましたが、DARPAは基礎研究は一切やりません。ブリッジだけなので、DARPAは応用のところにアメリカは入れているわけですよね。
【馬場氏】  そうです。
【喜連川委員】  そのときに、日本の国家として、どこにお金を入れるのか。貧乏な日本としては、どこにお金を入れるのかという、そこはいかがですか。
【馬場氏】  先ほど申した、横軸で最も先端から応用、製品化という具合に捉えるとしたら、最も先端の部分に国がお金を入れるべきで、真ん中以降に関しては、極力民間に任すべきではないかなと思っています。
【喜連川委員】  先端ということは、エッジということですか。
【馬場氏】  そうです。
【喜連川委員】  分かりました。ありがとうございます。
【北川主査】  他に何か。では、笠原委員。
【笠原委員】  今の議論にも関連するのですけれども、さっきのベンチャー育成というものは重要であると。ベンチャーキャピタルを育成したり、教育するというのを充実させるというのは、もちろん私も大賛成です。
ただ、やはり即効性がないので、もうちょっと早く動く道を考えなければいけないし、あと、宮内委員が言われたように、ベンチャーは何か申請しても申請等のスキルはないし、アイデアと意欲があっても死の谷を渡れないというのはたくさんあるわけですよね。
この中で、今、喜連川先生から、国がどういうふうに投資するのですかというお話があったのですけれど、せっかく今日、AIPプロジェクトの話をしていて、新しい技術を切り拓いていこうというわけですから、そこの中でアイデアを持っているベンチャーもメンバーとして加えてあげるというのを考えていただくことはできないでしょうか。
大体、国に申請するとベンチャー企業はみんな落っこちて、大企業しか取れないので、そういうことがないように、ベンチャーにもチャンスを与えるということを考えていただけたらと思います。
【北川主査】  よろしいですか。それでは、樋口委員。
【樋口委員】  私、馬場様か矢野様に対して質問があるのですけれども、今日は非常に感銘深くお話を聞きました。特に馬場様の8ページと矢野様の4ページ、非常にいろいろ考えさせられるものがありました。
というのも、私、学位を取った直後に、リアルワールドコンピューティングの方に、末端ですが参加いたしました。そのときには理論研究として参加したんですが、内部にいた者としては、あと5年間ずれていたら非常によかったなと。それはこのITのものというのは、社会的インパクトを考えると、外的要因というのがどうしても重要な役割を果たすわけで、この8ページの絵をちょうど5年間ずらすと、かなりおもしろかったのではないかと思います。
そうすると、波を読む、あるいは、波に合わせるというところが結構重要な感じがするのですが、そのあたりのお考えが何かあればお聞きしたいのですけれども。
【馬場氏】  未来については、そこは人間ですので、なかなか読めないんじゃないかと私は思っています。この点については、むしろDARPAなどの考え方が参考になります。つまり、重要な領域で、自分たちが取り組んでいない領域について、技術的ブレークスルーが他国で起きた場合に、安全保障上問題が発生しないかという観点です。そういったシナリオプランニング的な観点から、非常に重要な領域でブレークスルーが他国で発生してはまずいというところに、常に注意を払うといったかたちで領域を選んでいくというのも一つの考え方です。波を見て将来を予測するというのは、かなり難しいと考えますので。
【樋口委員】  波に合わせるわけですか。
【馬場氏】  そうですね。このリアルワールドコンピューティングも、最後の幹部の方の座談会を読んでおりますと、それはたしか2001年の座談会だったと思うのですが、「今から始めてちょうどよかった」という発言がありました。ただ、2001年ですと、今日お見せしましたように、もう社会的ニーズは顕在化している。社会的ニーズが顕在化した領域のプロジェクトというのは、多分、バズワードを羅列したようなプロジェクトになるのではないかと考えます。そういうものは、国の予算としてやる必要があるのかなと、私は思います。何が起こるか分からない重要領域、イノベーションが外部から起きては困る領域に注意を払うべきです。
【北川主査】  矢野委員。
【矢野委員】  私は、先ほど申しましたように、この波を読むということが全てだと思っています。タイミングが全て。
その波のいろいろな変数があるのに惑わされないで、今、応用に特化すべきなのか、もっと汎用基盤をやるべきなのか。その波を間違えると、全然だめですと。特に一番インパクトが大きいのは、先ほど申し上げたように、割と一度応用で事業が立ち上がって、それなりの市場、あるいは、世の中に出ていったものが、汎用で一気に同じプラットフォームで出るような瞬間というのが大体ありまして。そこはもうものすごく勝者が決まっていく瞬間なので、非常に重要なのかなというふうに私は思っていますし、実は、先ほど、今御指摘いただいた4ページの絵というのは、私が2012年に書いて、社内でAIの事業を今から始めるぞというときに作った絵です。だから、まさに、読んで、これでお金を何十億かもらって、始めたということでありまして、それが私の全てだと。
【北川主査】  はい。あと三、四分しかないんですが、手短にお話しいただければ、二人ぐらい。美濃科学官、お願いします。
【美濃科学官】  ちょっとだけ。あまり制度の話が出なかったんですけど、いいお話を聞かせてもらったと思っています。
私、科学官をしていまして、文科省のどの分野に研究投資するかというよりも、研究投資するというのを決めて、そこにお金を付けてしまうと、あとは文科省は手の出しようがないと。このプロジェクトは動いてないなということを我々が見ていて感じても、手の出しようがないんですね。最後、評価といっても、この委員会で評価するわけですから、これも文科省がやっている話なので、結局、基本的には厳しいことを言えないんですね。だから、一旦選ぶまでは、すごくいいものを選ぼうとするのですが、選んでしまうと、プロジェクト側に付いてしまいます。もしこれがうまくいかなかったら、「文科省は何をしているのですか。」と言われるわけですから、評価として悪い結果は出せないというところがある。したがって、制度をまず変えないと、研究が本当に進まないんじゃないかという気がしています。
それと、もう1点は、オープン化とか、そういう話で、ソフトウェアがオープン化されますと、そこの分野の研究が進まなくなる。オープン化しているんだから、それを使ったらいいじゃないかというような話になって、基幹のところをもっと研究しなきゃというような研究インセンティブがあまり出てこなくなっているんです。これ、グーグルはうまくやっているなという感じです。基幹のところをやろうとすると、もちろんオープン化されたソフトを使って、本来はそれを使ってあまりうまくいかないから、改善していこうという話なのですが、日本人はどうも応用が好きなので、それを使って何をするかばかりを考えてしまうんですね。そうすると、やはり国の足腰が弱ってくるんじゃないかなという気がしますので、そのあたりの研究戦略と制度などをどういう形で研究するかよく分からないのですけれど、加納さんがおっしゃったように、研究するようなプロジェクトを作るということが、研究費を有効に使うというか、そちらの方で重要ではないかなというふうに感じました。加納さんに、そういうことに対してどう思われるかだけちょっとお聞きしたいなと思います。時間が足らないのにすみません。
【北川主査】  質問だと思いますが、よろしいですか。
【加納氏】  すみません、実は、先ほど御紹介した資料の、国が投資している額は、最初の3年ぐらいで、あとの7年は民間投資がメーンになっています。最初の3年で、基本的には呼び水に近い形で国が投資されて、その後に、実はグーグルも、AT&Tも、それから、IBMさん、ベライゾンさん、HPさん、ゼロさん、こういった企業が、その研究開発に投資するわけです。27、最終的に600から選ばれたというのですけれども、それは、その人たちが選んだプロジェクトになるわけです。つまり、自分たちが責任を持って金を払って、この研究を前に進めてやろうと。これ、特に基礎研究というよりも応用研究に近いですけれども。
でも、基礎研究に関しては、かなり自由に大学や、特に国の研究所ですけれども、成果がどうだったと問わないわけです。結局、それがどう使われるかの方に国は一所懸命目を向けていて、そこに対しての支援を一所懸命すると。ただし、ついてこられなかったり、企業がそこから拾い上げなかったら、それは終わりという、そういう評価の仕方、かなり厳しい評価の仕方ですけれども。
当然、そこには企業の目利きも必要になってくるでしょうし、その目利きからこぼれた人たちは、もう一度やり直しするか、あるいは、自分たちでベンチャーで会社を作って細々とやっていくかという選択を迫られるわけですけれども、先ほど申し上げた200や600の中で、例えば、600であると、573のチームは崩壊しているわけですね。これ、崩壊しても、実はすくい上げている制度が後ろ側にあって、例えば、研究の目的や出口を変えていくとか、あるいは、新たな研究のベクトルを自分たちでもう一度再考するとか、そういうチャンスが何回もめぐりめぐってくるというケースが多くて、このあたりは、やはりアメリカなんかの基礎研究と応用研究がうまく同期して回っている部分ではないかなと思いました。
特に医療とか材料というと、基礎研究から応用までの時間がかかり過ぎるところはあるのですけれども、情報科学だとかコンピュータ工学の世界ではかなり、基礎と応用というのはどんどん近づいてきていますので、今言ったような話がうまくかみ合って、歯車が回っていくのではないかなと思っています。
【北川主査】  ありがとうございます。時間が迫っているので、安浦先生から1分ぐらいで、最後とします。
【安浦委員】  馬場さんと中村さん、マスコミの方がおられるので、これはお願いなのですけれど、まさに今こういう環境で、市民目線からと批判をしていただくのは非常に重要なのですが、すごいことも日本はやっているということも是非市民に伝えていただきたいんですね。
日本語ワープロの成功というのは、要するに、コンピュータライゼーションであらゆる言語は保存できるんだと言うことを示した訳です。文化の多様性を保存できるということを20世紀に日本が世界中に初めて示したんです。そういうこともやっているということを、是非書いていただきたい。それは1つのまとまったプロジェクトではなかったんですが、いろんなプロジェクトの集大成として、スマホで世界中の人が、中国人は中国語で、トルコ人はトルコ語でやっているわけですね。そういうことにも我々は貢献しているんだということも、是非伝えていただきたいと思うのです。
【北川主査】  ありがとうございました。
時間になりましたので、本日のディスカッションしていただいた点を踏まえて、年度末の取りまとめに向けて、次回以降の議論につなげてまいりたいと思っております。
それでは、その他の議題で、事務局から1点ありますので、よろしくお願いします。
【榎本参事官(情報担当)】  ありがとうございます。
1つ補足いたしますと、先ほど、科学官からの御発言で、国の事業に関しまして、採択されて始まると手の出しようがなくなるといった趣旨のお話がございましたが、情報担当に関して申し上げますと、各事業に関連するPOも置かれており、モニタリングする仕組みをしっかり設けているところでございます。
今回、それから、今後の御議論の中でも提起していきたく思っておりますけれども、事業のモニタリング、そして評価は、非常に重要と思っているところでございます。そうした問題意識から、今回からこの議論をお願いしております。また、情報担当の従来あった事業で、もう終了しているものはございますが、こういったものが終わってから何年か経っているけれども、今どうなったかということの追跡も必要と思っておりまして、今、事務的にそういった下調べも始めております。そうした点で、この実施中の評価、それから、事後の方、こういった点を事務的にしっかりやっていきたいと思っているところでございます。
それから、最後に補足いたしますと、去る11月12日に行政事業レビューがございまして、そこでスーパーコンピュータの関係施策のレビューがございました。この行政事業レビューの結果に関しましては、11月27日の政府の行政改革推進会議におきまして取りまとめがされております。スーパーコンピュータ関連としては、主な指摘が5点ございました。
現在の「京」への多額の国費投入に関し、科学的な成果と実用的な成果を分かりやすく分けて説明すべきという点が1点。
それから、2点目といたしまして、産業利用に関しまして、その割合を高めていくべきという点がございました。
3点目につきましては、「京」の利用者の選定の手続に関しまして、その手続の公表の範囲を拡充して、透明性を高めるべきという指摘がございました。
4点目といたしまして、今後はポスト「京」への多額の国費投入に見合うような、期待される成果を分かりやすく説明すべきという点がございました。
5点目が、「京」とポスト「京」に関しまして、専門家による検証なども踏まえる等することによって、国費投入額の削減に努力すべきという点がございました。
こうした5点に関しましては、文科省としては、この指摘を真摯に受け止めまして、関係機関とも連携して対応してまいりたく思っております。
以上です。
【北川主査】  どうもありがとうございました。
それでは、事務局から、次回の予定についてお願いします。
【栗原専門官】  事務的な御連絡でございますが、次回の委員会は、年明け1月以降でスケジュールを調整させていただきます。
また、本日の議事録につきましては、事務局にて案を作成し、御確認いただいた後に、文科省ウェブサイトに公開いたします。
また、本日の資料につきましては、そのまま机上に置いていただければ、事務局により後日郵送させていただきます。
事務連絡は以上でございます。
【北川主査】  それでは、これで閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。


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研究振興局参事官(情報担当)付

(研究振興局参事官(情報担当)付)

-- 登録:平成28年02月 --