ここからサイトの主なメニューです

情報科学技術委員会(第62回) 議事録

1.日時

平成21年8月21日(金曜日)13時~15時

2.場所

文部科学省東館3F2特別会議室

3.議題

  1. 「次世代スーパーコンピュータプロジェクト」中間評価について
  2. 平成22年度における情報科学技術分野の重点事項の事前評価について
  3. 大学図書館の整備及び学術情報流通の在り方について
  4. 第4期科学技術基本計画に向けた検討について
  5. その他

4.出席者

委員

有川主査、原島主査代理、安達委員、伊藤委員、宇川委員、北川委員、下條委員、鈴木委員、田井中委員、武田委員、田中委員、辻委員、土井委員、丹羽委員、萩谷委員、美濃委員、宮内委員、村上委員

文部科学省

舟橋情報課長、喜連川科学官、飯澤学術基盤整備室長、井上計算科学技術推進室長、後藤情報科学技術研究推進官、中井計算科学技術推進室長補佐

5.議事録

【有川主査】  それでは定刻になりましたので、科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会情報科学技術委員会の第62回の会合を開催いたします。

 本日の委員会の議事としましては5つを用意しております。1つは、次世代スーパーコンピュータープロジェクトの中間評価について。2つ目は、平成22年度における情報科学技術分野の重点事項の事前評価について。3つ目は、大学図書館の整備及び学術情報流通のあり方について。4つ目は、第4期科学技術基本計画に向けた検討について。そして、その他となっております。早速ですが、配付資料の確認をお願いいたします。

【事務局(遠藤)】  では、お手もとの議事次第と照らし合わせて資料のご確認をお願いいたします。

 資料1といたしまして、「情報科学技術分野の研究開発課題の中間評価結果」。資料2といたしまして、「情報科学技術分野の研究開発課題の事前評価結果(案)」。資料3といたしまして、「大学図書館の整備及び学術情報流通のあり方について(審議のまとめ)」。資料4といたしまして、「第4期科学技術基本計画における情報通信分野の重点項目について(案)」。参考1といたしまして、「平成21年度情報科学技術分野における研究評価計画」。参考2といたしまして、「次世代スーパーコンピュータープロジェクト中間評価報告書」。参考3といたしまして、「情報科学技術分野における第4期科学技術基本計画に向けた検討について」。委員の皆様には机上配付資料といたしまして、机上配付1「情報科学技術分野の研究開発課題の中間評価結果(見え消し版)」。机上配付2-1といたしまして、「第4期科学技術基本計画に向けた検討について委員からのご意見」。机上配付2-2といたしまして、「第4期科学技術基本計画に向けた検討について(審議に関する論点整理)」。机上配付2-3といたしまして、こちらは赤いファイルにとじてございますが、「第4期科学技術基本計画に向けた検討についての参考資料集」。机上配付3といたしまして、「第4期基本計画で重視すべき新たな科学技術に関する検討」。机上配付4といたしまして、「情報学分野の展望(案)」。机上配付5といたしまして、「i-Japan戦略2015(IT戦略本部)」でございます。

 欠落等がございましたら、事務局までお申しつけ願います。なお、議事録につきましては、メールにて照会させていただいた後、事務局にて修正内容を取りまとめ、文部科学省のホームページに掲載させていただきます。以上でございます。

【有川主査】  よろしいでしょうか。それでは議事に入りたいと思います。

 最初は「次世代スーパーコンピュータープロジェクト中間評価について」です。前回の委員会でご審議いただいた結果、委員からの意見を反映させたものについて確認いただくことになります。また、前回のこの委員会の後で中間評価作業部会が開催されておりますが、評価結果につきましては、前回、作業部会の主査の土居先生からご報告いただいたものから変更がないという報告を受けております。なお、本件は今月27日に開催されます研究計画評価分科会において、私から報告し、そこで審議されることになっております。

 それでは事務局から変更点を簡単にご説明いただきたいと思います。

【井上計算科学技術推進室長】  それでは資料1でございます。最後のページ、7ページをごらんください。ここが前回もご議論いただきました中間評価票でございます。前回の意見を踏まえて加筆修正をしてございます。

 まず1点目の修正点でございます。「新たなシステム構成案についての評価」の最初のパラグラフの最後でございますが、「(これに伴い、NECと共に計画に参画していた日立も製造段階に参加しないこととなった。)」ということを括弧書でつけ加えてございます。

 その次のパラグラフでございますが、この次のパラグラフの下から3行目の「なお、」以下を追加させていただいております。「なお、本プロジェクトにおいて開発が進められてきたベクトル部そのものの技術的な意義・特徴は否定されるべきものではなく、これまでに得られた成果が有効に活用できるよう適切にとりまとめられるよう期待する。」というものであります。これは前回ご議論がありましたが、複合型というシステムを採用した、それをやめるということについての言及ということで入れさせていただいております。

 それと最後のマル5でございます。「その他」という項目を追加させていただいております。前回、プロジェクトのマネジメントのご意見が出ておりました。それを踏まえまして、「今後のシステム開発において、技術的な問題点の抽出や開発現場の状況把握を通じてリスク管理を行うなど、適切なプロジェクトマネジメントを行う等が必要である。」というものを追加してございます。

 それと最後の点でございますが、その後、(2)の1行目でございます。次世代スパコンの波及効果に係るところでありますが、1行目に「広範な科学・産業分野における研究開発の基盤となり、」と。前回は、これは単純に「分野」と書いてありましたが、明確に、特に産業への波及という点にも考慮すべきというご意見がございましたので、「科学・産業」とさせていただいております。以上でございます。

【有川主査】  ありがとうございました。変更点は大体4カ所程度ございましたが、何かご意見などはございますか。よろしいでしょうか。前回のことから、特に大きく変えるようなことはないわけでございますが、例えば「その他」ということで、今回のことなどを受けまして、適切なプロジェクトマネジメントを行うといったことが必要だといった趣旨のことが書き加えられているということでございます。

 それでは、ないようでございますので、2つ目でございます。「平成22年度における情報科学技術分野の重点事項の事前評価について」でございます。前々回、6月の情報科学技術委員会では、平成22年度の文部科学省における情報科学技術分野の重点施策について全体を事務局より説明していただいたところであります。本日は「次世代スーパーコンピュータ戦略プログラム」について事前評価を行います。戦略プログラムにつきましては、平成21年度に戦略プログラムの実行可能性調査が実施される予定でありますが、平成22年度は、これが準備研究の段階となり、実際に研究開発等が開始されることになります。これに伴い、平成22年度概算要求額も19億円と、21年度の実行可能性調査の際の3,200万円から大幅な増額要求となっております。そのため、情報科学技術委員会において、この段階で、この事業の事前評価を実施することにいたします。こちらの評価結果につきましても27日に開催されます研究計画評価分科会において報告し、審議されることになっております。

 資料2につきましては、事務局より事前に先生方にお送りさせていただき、そして、いただきましたコメント等を反映しまして、評価結果案として作成したものでございます。それでは、事務局から説明をお願いいたします。

【井上計算科学技術推進室長】  それでは資料2につきましてご説明させていただきます。

 資料2を1枚めくっていただきますと、この委員会の名簿の次に「次世代スーパーコンピュータ戦略プログラム」の概要を説明した横の資料がございます。まず、こちらで、このプログラムの概略をご説明させていただきたいと思います。

 まず「背景」でございますが、次世代スパコン、22年度末一部稼働、24年完成ということでやっております。もともと、この情報科学技術委員会の作業部会で昨年7月に、ご報告を取りまとめていただきましたが、次世代スパコンの共用のあり方をご議論いただいておりまして、その中の一つに、これは非常に幅広い多様な研究者に使っていただくための共用施設であるけれども、そういう使い方とは別に、国家的・社会的に重点的に利用すべき、そういう重点分野については重点的にこのスパコンを使っていきましょうと。そういう戦略利用といった概念を導入して、そういった使い方をしていってはどうでしょうかというご提言をいただいております。この施策は、その方向性を実際の政策として具体化・具現化するものでございます。

 昨年、この情報科学技術委員会のもとの作業部会でご議論いただきました概念は、その右側に「戦略プログラムの概要」とありますが、国で戦略分野を設定し、その前に戦略委員会で戦略分野の検討がありますが、国で戦略分野を設定し、その分野の研究開発を担う機関を公募した上で、それを戦略機関と称しますが、その戦略機関を決めて、その戦略機関を中心に、この次世代スパコンの利用を引っ張っていただく、牽引していただくと。そういったようなことでございます。

 こういう考えを受けまして、実は昨年の12月から、研究振興局長の諮問委員会として戦略委員会を設けまして、そこで具体的にこの戦略プログラムをどういう運営をしていくのだというような検討をしてまいりました。その中で一つ、ポイントにあったのは、せっかくこういう使い方をするのであれば、研究のみならず、これを機に我が国の計算科学技術の推進体制もきちんと、そういう戦略機関を中心に整えていくと。そういったことが大事ではないかということになっておりまして、今回の事業は、そういう体制整備の観点も含めたものとなっております。

 そこら辺の議論について、この資料の別添に参考資料がついております。そちらで戦略委員会での議論についてご紹介をさせていただきたいと思います。

 この別添の参考1がありますが、ここに戦略分野の設定がございます。これは具体的に戦略プログラムを動かしていくにあたり、その重点分野を決めましょうということで、まず戦略委員会において議論がなされました。この参考1の上のほうにありますマル1からマル3までありますが、次世代スパコンの能力でなければできない課題があるかどうか。社会的・国家的見地から見て高い要請があるかどうか。スパコン稼働後5年間で具体的な成果を出せる見通しがあるかどうか。こういったことを判断の軸とし、また我が国の研究開発の現状、コミュニティーの広がり、世界の動向、そういったことを勘案していただき、ご検討いただき、その中段にありますが、分野1から5といった5つの分野をまず決めております。

 その上で、そういった分野を中心に、どのようにこの戦略プログラムを動かしていくかでございますが、1枚めくっていただきますと、先ほど体制整備の話をさせていただきましたが、この戦略プログラムを動かすにあたってはオールジャパンの計算科学技術体制を整備していこうということで、その考え方ですが、次世代スパコン施設を1つの中核拠点と考え、戦略分野を担う戦略機関を分野別の中核機関と考え、それぞれの中核機関が全国の情報基盤センター、そういったところと連携をしながら、オールジャパンの体制を構築していきましょうということで、このような中核拠点、分野別中核拠点といった考え方があります。それに伴いまして、参考2の上にありますような、それぞれの機関に求められる機能ということで、この戦略機関にも、研究開発のみならず、そこに書いてあるような機能が求められるということで検討がなされております。

 1枚めくっていただきますと、この戦略プログラム全体ではどのように進めていくのかという説明になってございます。今年度は、実行可能性調査ということで、既にプログラムを動かし始めているところですが、実は今年度はまだ戦略分野も決まったばかりで、戦略機関もまだ選ばれていない、これから選ぶというところでありますので、一体、戦略機関を中心にどんなことができるのかということを関係の機関とまさに今後の進め方を具体化していただくと。そういうことで実行可能性調査ということで、今年度は始めさせていただいておりますが、その中で主には研究開発の計画と、もう一つの柱であります計算科学推進体制の構築といったことを、今年度、どんなことができるのかを検討することを考えております。

 その上で、来年度、その下のページでありますが、準備研究ということで、具体的に神戸のペタスケールのコンピュータを使うにあたっての必要な準備を行うと。準備研究と称しておりますのは、実は平成22年度の段階では、神戸のスーパーコンピュータはまだでき上っておりませんので、実機がない段階では実際にできることも限られております。あくまでも実機を使った研究をしていくまでの準備ということで準備研究ということで考えております。

 その上で、次のページでありますが、本格実施ということで、これは平成23年度、このときに、まだこれは完成はしていないのですが、一部、スパコンは稼働し出しますので、一応、実機もある程度は使うことが可能になるということで、平成23年度より本格実施ということで、研究もさることながら、体制整備、そういったこともここで本格的にやっていただくと。こういったことで考えております。

 その上で元の資料に戻っていただきまして、先ほどの資料を2枚めくっていただきましたところに、事前評価票の案を書かせていただいております。課題名、課題の概要等は今までの説明と重複しますので説明は省かせていただきます。課題の概要は、一言だけ言いますと、研究開発と体制整備の2本柱になっているということです。

 それと4番目の(1)に「必要性」があります。「国費を用いた研究開発としての意義」でございますが、これはこれまでに、次世代スーパーコンピューティング技術というものが第3期科学技術基本計画で国家基幹技術として位置づけられておるということ。あるいは先ほど申しましたように、昨年、この情報科学技術委員会のもとで一つの提言をまとめていただいた。そういったことが書いてあります。

 その上で、その次の4ページでございますが、最後のパラグラフに、「本施策は以上の提言を具現化するものであり、次世代スパコン施設を中核として、我が国の研究開発そのものに革新をもたらすシミュレーションへの取組と我が国の計算科学技術に関する研究ポテンシャルの結集を関係機関の強力な連携の下で実現するためにも実施する必要がある。」としております。

 それとあと、「有効性」でございます。有効性は、研究開発の質の向上への貢献ということで、そちらに1点目に、そもそもこの戦略利用の研究成果そのものに効果が期待できると。また、戦略分野を中心に分野横断的な取組、そういったことも期待でき、全体として計算科学技術の進展をもたらすといったようなことが書いてございます。また2番目に書いてございますのは、戦略的利用がある意味、引っ張る形で、その成果が一般利用やそのほか、大学、公的研究機関で行われるシミュレーションにも影響を及ぼすといったことが書いてございます。それともう一つ、「人材の養成」においても、このような先端的な研究を通じて人材の養成が期待できることを書いてございます。

 その次に「効率性」でございます。まず、「計画・実施体制の妥当性」ということであります。これは各戦略分野ごとに次世代スパコン中心に拠点の形成を促進すると。また、分野間の連携も図るといったことで、各分野さまざまな目的を持った利用者が、より効果的・効率的にシミュレーションを行っていくことが可能になると。また、すそ野の拡大にも貢献するのではないかといったことを書いてございます。また「目標・達成管理の向上方策の妥当性」でありますが、これはまず、今年度、実行可能性調査をした後に、その評価をする予定にしておりまして、それを踏まえ、22年度に準備研究と。準備研究が終わると本格実施になって、それから5年間ということになりますので、準備研究の中での評価をすることとしております。また本格段階になった後も、また中間評価を行うと。そういう予定にしてございます。

 その上で最後でございますが、次の5ページに「総合評価」といたしまして、「本事業は、次世代スパコンにおける研究開発の推進に不可欠なものであると同時に、今後の我が国における計算科学技術の発展に寄与するものであることから、着実に実施すべき課題と判断する。また、上記のとおり、手段の適正性についても、現段階での計画として十分検討されているものと判断する。」という結果とさせていただいております。以上でございます。

【有川主査】  ありがとうございました。それでは、ご意見などを伺いたいと思います。何かございますか。あるいは委員の方でコメントなどをお持ちの方、宇川先生、いかがですか。

【宇川委員】  特にはございません。井上室長のご説明で十分だったと思います。

【有川主査】  参考2の上のほうで説明していただいておりますが、施設の中核拠点と、戦略機関、分野別中核拠点というようなことで、これまで営々と経験を重ねてきたようなものなどもそこに位置づけてあり、そういう意味では効果的な展開が期待できるのではないかと思いますが、何かお気づきのことなどはございますか。

 よろしいでしょうか。それではお認めいただいたということで、本日、ご説明いただきました評価内容で決定をしたいと思います。これは先ほど申し上げましたように27日開催予定の我々の委員会の親委員会で報告し、審議していただくことになります。ありがとうございました。

 それでは3つ目ですが、「大学図書館の整備及び学術情報流通のあり方について」でございます。これは学術分科会の中に研究環境基盤部会がありますが、そのもとに私、有川が主査を務めさせていただいている学術情報基盤作業部会がございます。そこで本年7月に結果をまとめたものでございまして、電子ジャーナルの効率的な整備及び学術情報発信・流通の推進について今後の対応方策などをまとめております。この委員会の審議事項にも関係がございますので、ご紹介をさせていただくものでございます。資料3ですが、それに基づきまして事務局から説明をお願いいたします。

【舟橋情報課長】  資料3でご説明させていただきます。緑色の冊子が、この審議のまとめの本体でございまして、その上に概要として2枚紙をおつけしておりますので、この概要に基づきましてご説明させていただきます。

 まず1点目の「電子ジャーナルの効率的な整備」につきまして、大学図書館における電子ジャーナルの契約等の状況につきましては、電子ジャーナルの利用可能な種類数、経費、それから図書館資料費に占める割合が年々増加をしておりまして、学術雑誌が冊子主体の契約から電子ジャーナル主体の契約へと大きくシフトしていることを述べております。

 (2)といたしまして「大学図書館におけるこれまでの対応」ということでございます。アジアをはじめ、世界の研究者の学術研究論文が増加していることなどに伴いまして、電子ジャーナルの価格が上昇しております。また、多くの大学がパッケージ契約による包括契約を維持せざるを得ない実態にありまして、電子ジャーナルに係る経費が増加している等が載っております。国立大学及び公私立大学では、それぞれコンソーシアムを形成いたしまして、主要な外国出版社との間で契約交渉を行い、価格上昇の抑制に努力をしていると。また各大学におきまして冊子の重複購入を中止したり、電子ジャーナル限定契約に移行したり、また経費の全額共通経費化などを図りまして、経費の捻出に努力をしているという状況にございます。

「今後の対応方策」ということでございますが、大学ごとの需要や財政状況等に対応できる柔軟で持続性のある新たな契約形態について検討して、出版社との契約交渉を行うことが必要であると述べております。これはほとんどの大学がパッケージによる包括契約を結んでおりますが、それによらない場合は個々の必要な雑誌ごとの契約になるわけでございますが、そうなりますと非常に単価が高く設定されていることがございますので、もう少し柔軟性のある契約形態について出版社との間の交渉が必要であるということについて述べてございます。また、現在とられているコンソーシアムが主体となっている契約交渉のあり方については、今後とも引き続き維持することが妥当であるということが述べられてございます。また、契約交渉を行う上での機能強化を図るという観点から、学術情報流通に精通し、契約交渉に係る専門性を有する者の育成・活用を図ることが重要であると述べております。これは現状では大学図書館職員の付加的業務に依存している実態があることから、このような専門家の育成・活用が必要であることを述べております。また、さらに交渉力強化をするという観点から、国公私立全体を包括する交渉のための組織のあり方、また関係者による対応方策等についての検討の場についても検討が必要であるということが述べられております。なお、この過程におきましては、国が直接、出版社と契約をいたしますナショナルサイトライセンスの是非についてもご議論ございましたが、それについては全体としての経費が膨大となるというような観点から、現実的ではないというご議論がなされております。

 それから2番目といたしまして、「学術情報発信・流通の推進」という2枚目でございます。まず「オープンアクセス」についてご議論がございまして、学術研究の成果につきましては、本来、人類にとって共通の知的資産であるということから、すべての人がオンラインにより、無料で制約なく、論文等にアクセスできることを理念とするオープンアクセスを推進することが必要であるということが述べられております。この審議のまとめ本体におきましては、我が国を含め、世界的にこのオープンアクセスの動きが進められることによりまして、結果として間接的に学術雑誌の価格問題、1で述べられております電子ジャーナル価格の問題等についても解決につながっていくことが期待されるということが述べられております。2点目といたしまして、我が国の学術情報発信の強化のためにオープンアクセスを一層推進することが必要であるといたしまして、国立情報学研究所、科学技術振興機構で実施されております関連の事業について着実に実施していくことが必要であるということが述べられております。また3点目として、公的資金の助成を受けて展開されました研究の成果につきましては、社会的な透明性等の観点から、オープンアクセスの義務化も含めた対応の強化に向けた検討が必要であるということが述べられております。これは欧米では一部義務化をされているという動きもありまして、そういうことも踏まえながら検討が必要であるというご議論が行われております。それから4番目といたしましては、オープンアクセスの意義を広めるということで、積極的な情報発信に取り組むように研究者の意識改革を図ることが重要であるということが述べられています。

 (2)といたしまして、オープンアクセスの主要な取組の一つでございます「機関リポジトリ」についてご議論がございました。機関リポジトリにつきましては、大学等における教育研究成果の発信等において大きな役割を果たすという評価がなされておりまして、現在、国立情報学研究所が各大学等と連携して、機関リポジトリの構築を進めておりますが、これらを引き続き推進していくことが必要であると。また各大学において、リポジトリ事業の位置づけの明確化などが課題であるということが述べられております。また、独自でリポジトリの構築が難しい機関に対して、共通利用できるような共用リポジトリのシステムを構築することが必要であるということ。またリポジトリの構築にあたります図書館職員の専門性の向上が必要であるということが述べられてございます。

 (3)といたしまして、学術情報発信主体として重要な役割を果たしております「学協会の情報発信」についてご議論がございまして、我が国の学協会の国際的な情報発信力の強化という観点から、学術雑誌の電子化を一層推進いたしまして、アクセスの改善を目指すことが重要であることが述べられております。この観点から、国立情報学研究所や科学技術振興機構の関連する事業の継続的な実施が重要であることが述べられております。

 概要は以上でございます。

【有川主査】  ありがとうございました。これは学術情報基盤作業部会からの報告、審議のまとめでございまして、これがその親部会のほうに報告されることになると思います。何かご意見などはございますか。

 この中で、資料3の2枚目の上から3分の1ぐらいのところに「公的資金の助成を受けて展開された研究成果については」というところがございます。この辺はこれから次に議論していただきます第4期科学技術基本計画へ向けての情報科学技術からの重要な課題について議論していただくわけですが、第3期に関しましては、こうしたことについて、オープンアクセス化を実施することが期待されるとか、望ましいといった表現になっているわけです。その後、先ほど課長からもございましたように、よその国での動きなどもあり、これを義務化するというようなところへ踏み込む必要もあるのではないかということでございます。この部分はそういう意味でも大事になるかと思っております。

 何かございますか。はい、村上先生。

【村上委員】  意見ということではございません。ちょっと教えていただきたいのですが、この中で、今後、機関リポジトリの重要性は増していくかと思うのですが、機関リポジトリを整備している機関と学協会との間の連携については議論されましたか。と申しますのは、今、私どものところで検討していますのは、従来は学協会、学会等に論文集という形で情報発信するためにレビュー(査読)付き論文という形で学術研究成果を出しているわけです。と同時に、機関リポジトリという新しい取組がございまして、例えば機関リポジトリに論文等を掲載した後に、学協会に対して、それのレビューを依頼して、ある意味で機関リポジトリに掲載して、論文のお墨付きを学協会に依頼するような、そういう新しい形の論文査読あるいは情報発信ができないだろうかということを今検討しております。そういう機関リポジトリと既存の学協会との間の連携がもし可能であれば、あるいはそういう動きが既にあるのであれば、ぜひそういう動きに我々も参画していきたいと考えておりますが、そういう議論はなされましたか。

【有川主査】  この作業部会では、今、村上先生がおっしゃいましたようなことに合致するような議論はなかったと思うのですが、機関リポジトリと学協会と、コンセプトとしましてオープンアクセスがあります。学協会から出したものを機関リポジトリに送っていくということもありますし、テクニカルリポート的に機関リポジトリに置いておき、そこで優先権を確保しておいて投稿するということもあるわけです。先生のご発言は、機関リポジトリに置いておいたものがちょうど投稿したかわりになり、それを評価して、これはいい論文だというようなことだと思いますが、この辺はこれからの新しい方向だと思っております。個人的には、そういうことはいろいろなところで発言させていただいているのですが、機関リポジトリのやり方としても非常に新しいことになると思いますし、学協会等での論文編集・出版の作業にかかる負担の軽減ということからも非常に的を射た考え方ではないかと思います。

 事務局、何かございますか。

【舟橋情報課長】  特にございませんが、本体の緑色の冊子の12ページでは、「機関リポジトリの今後のあり方と課題」というところにおきまして、掲載コンテンツの質の向上ということを述べられております。そういうことで、機関リポジトリの内容、掲載コンテンツの質の向上という観点からは、今、村上先生がおっしゃいましたような学協会との連携とか、そういうことも一つ視野に入ってくるのかと思います。

【喜連川科学官】  情報処理学会の副会長をさせていただいている立場で申し上げますと、今、学会にとっての収入源は基本的に論文投稿料がほとんどになっておりますので、そういうときに今、村上先生がおっしゃっていただいたことは非常にリーズナブルだとは思うのですが、学会を含めたサステーナブルなモデルでぜひご議論をいただけるとありがたいなと思っております。以上です。

【鈴木委員】  私も学協会の立場からなのですが、私の場合には、日本音響学会という学会の編集委員長あるいは会長を務めた経験で、ここに書いてある情報発信を今、ここで話し合われたような、あるいは報告にあるような内容で促進していくのは極めて重要であるというのは全く異論はないのですが、もう一つ、被引用データベース、これが今、SCIにある意味で牛耳られていると。あるいはグーグルも始めていますが、いずれにしても、日本が被引用データベースにどの雑誌を入れるかを決めることが全くできない状況にある。たしか機械学会が中心になって、何年か前に、日本語で書かれている雑誌、あるいは日本の学協会、あるいはアジアの学協会の出している英文誌の被引用をデータベース化しようということで随分一生懸命やっていた時期がありますが、それもその後、あまりうまくいっているようには聞こえてきておりません。やはり被引用データベースというものも同時にやっていかないと、中規模以下の日本の学会が一生懸命頑張りながら出している、特に英文誌ですね。これが世界的に、努力のわりに認知されていっていないというところが、一つ、これと関連してぜひ考えていく必要があるのではないかと思っています。

【有川主査】  ありがとうございました。これはNIIのほうでも少し考えられておられると思いますが、もう一つは、例えば機関リポジトリなどでは、あまり直接的な話題にはしませんが、メタデータをしっかりとっているといったようなこともあり、今おっしゃいましたようなサイテーション情報を自動的につくってしまうことが既にやられております。ですから、こういった機関リポジトリ的なやり方が非常に期待できると思っています。

 それからもう一つ大事なことは、今までのサイテーション情報に加えてアクセス件数やダウンロード件数などが新たな論文評価の指標になり得るということです。それから、サイテーションにつきましても、実際には10年ぐらい前から、サイトシーアーみたいなものがあると思いますが、もう少し豊富な対象に対してやっていきますと、とってかわるような時代になってくると思います。ただ一方では、日本版でのそういったことをちゃんと考えるべきではないかということで、たしか私の記憶では、NIIのほうでやっておられたと思うのですが、安達先生、いかがでしょうか。

【安達委員】  私どもでは、まず鈴木先生がおっしゃった日本の学会が出している英文誌については、SPARC JAPANというようなことで、トムソン・ロイターなどでインパクトファクターがきちんと出るような形に持っていくという活動をやってきまして、それは一定程度の成果を得ております。分野によって随分状況が違いますし、サイテーションインデックスもエルゼビアがやりだしたスコーパスという別のサービスが出てきて、そこでもサイテーションを出してきたので、競争的な状況になってきていますので、対応はよくなっています。ですから、そういうものはSPARC JAPANの活動の中で、学会と連携して、トムソン・ロイターと交渉するという形でやってきております。

 もう一つは、サイテーションに関しましては、やはり実は私どもでも、私どもが持っている雑誌のサイテーション、日本語の雑誌なんかはとっているわけですが、日本語の論文のインパクトファクターなんかを計算してみてもやはり非常に低い数でして、やはりインターナショナルな場ではトムソン・ロイターがやっているインパクトファクターが非常に力を持っているという現状があります。ただ、最近、有川先生がおっしゃったように、いろいろな観点からHインデックスとか、別の研究者個人を評価するというインデックスがサイエンスの分野では広まってきて、これもいろいろ物議をかもしているという状況があります。

 それから、さらに私どもの活動を申し上げますと、村上先生がおっしゃったようなことに関しては、機関リポジトリのプロジェクトの中で大学図書館と連携しまして、大学における学術出版の調査みたいなことをやっています。例えば論文査読システムのオープンソースのものをどうやって運用するかとか、そういったようなことをやっております。既に物理ですと、アメリカのコーネル大学図書館がアーカイブ・ドットコムということで、物理分野を中心としたプレプリントサーバというようなものをやったりして、その分野別に論文評価、査読(レビューイング)と絡んできて、いろいろしきたりが違うのですが、そういうふうにやっているところもあります。今後、それがどう展開していくかが興味深いところです。SPARC JAPANの経験ですと、例えば数学分野が非常に、そういう意味でそういうものとなじんで成功している分野で、日本でも各大学が紀要という非常に古い形で、非常にいい雑誌を持っているのですね。例えば京大の数理解析研究所の雑誌ですとか、東北大学数学雑誌とか、そういうものがアメリカのデューク大学がやっているサイトと連携して、大学で編集したものがそういうところで世界中に展開していくという形で非常にいい連携をしています。しかし、やはりバイオメディカルの分野のように非常に競争的なところは別の観点での出版活動が広がっておりまして、全体として見ると、今回のリポートにありますように、大変、電子ジャーナルの高騰が大学に対して非常に厳しい状況になっているというのが総論的なことです。大体以上です。

【有川主査】  ありがとうございました。これは参考までに、他の部会での審議のまとめを紹介させていただいたということでございます。よろしいでしょうか。

 それでは、4番目ですが、「第4期科学技術基本計画に向けた検討について」でございます。この情報通信分野の重点事項につきましては、これまでに委員の先生方にアンケートで、あるいはこの委員会でご意見をいただくなど、議論をしてきたところでございますが、そうしたものをもとにしまして事務局で骨子案を作成していただいたのが手もとの資料4でございます。本日は、この資料を中心に委員の皆様方にご議論を深めていただきたいと思います。そういうことで、まず事務局からご説明いただきたいと思います。お願いいたします。

【舟橋情報課長】  資料4をごらんいただきたいと思います。「第4期科学技術基本計画における情報通信分野の重点事項について(案)」ということで、たたき台でございます。

 まず1として「背景」は、この検討の背景について書かせていただいております。特に後段のところでございますが、総合科学技術会議においても第3期基本計画の中間フォローアップ調査が実施されており、当該フォローアップ調査結果、それから今、主査におっしゃっていただきましたこの委員会でのご検討の状況などを参考として、重点領域を整理したと書いております。

 2が「第3期科学技術基本計画のフォローアップ」でございます。今ほど申しましたように、総合科学技術会議で、このフォローアップを5月に実施しておりますので、そこの状況を簡単に述べております。この中間フォローアップの実物につきましては、この赤色の冊子をお配りしておりますが、ここにインデックスで「分野別中間」と書いておりますが、こちらのものがこのフォローアップの概要でございます。この中を適宜抜粋する形で、ここをまとめてあります。

 この中間フォローアップにおきましては、情報通信分野に求められる役割といたしまして、社会面、産業面、科学面、安全・安心面という4つの役割を設定いたしまして、各項目について第3期の計画策定後、どのように環境が変化したかに基づいて分析をしているものでございます。社会につきましては、少子高齢化の問題、また環境負荷の少ない社会の実現に向けた対応が必要であるというようなこと。また産業面につきましては、我が国の強みであるデバイス開発や組み込みソフト開発における独自性の発揮が必要であるというようなこと。また科学につきましては、革新的技術の連続的な創出が一層重要であるということが述べられております。2枚目でございます。安全・安心の観点は、情報セキュリティー問題が安全保障にもかかわる重要性の高い問題になりつつあることが述べられてございます。

 (2)でございますが、この総合科学技術会議の中間フォローアップにおきましては、今ごらんいただきました4つの貢献軸における現状分析に基づきまして、今後、特に政府として問題解決、課題解決のために特に配慮すべき点を挙げてございます。その中で文部科学省の研究開発に関連が深いと思われる事項を5つ、ここでは抜粋しております。

 1つ目は「情報通信技術に対する縦割りフォローアップの見直し」ということで、幅広い分野での専門家の育成、あるいは分野連携・融合が必要であることが述べられております。また、「最先端テストベッドの充実」が不可欠であることが述べられております。また、「研究者の独創性・多様性確保に向けた萌芽的研究支援の確保」ということで、民間部門の研究に対する投資が縮小している中で、新しい技術領域を開く基礎・萌芽的な研究に対する政府の取組強化が必要であることが述べられております。またマル4といたしまして、「新しい情報技術利活用の動向や研究手法の変化への対応」ということで、国際的に新しい利活用の動向、クラウドコンピューティング、あるいは新世代ネットワーク等を見据えた研究開発の取組強化が重要であること。また、e-サイエンスの方法論による技術力を高めるための情報基盤の構築等が必要であることが述べられております。マル5といたしまして、「研究開発・技術人材確保に向けた取組の強化」ということで、研究スキルを有する技術者の活用の取組の検討とか、既存人材の発掘・有効活用等についての対応が必要であるということが述べられております。

 また(3)でございますが、これは同じく次期科学技術基本計画の検討の下支えを目的といたしまして、内閣府から委託を受けまして、文部科学省の科学技術政策研究所において「第4期基本計画で実施すべき新たな科学技術に関する検討」というものが行われております。これの内容につきましては、本日の机上資料3ということで関係部分の抜粋をお配りさせていただいております。こちらの説明は省略させていただきますが、この科学技術政策研究所の検討におきましては、科学技術政策とイノベーション政策の一体的推進が必要であるということでございますが、科学技術の総合的振興や社会システムの最適化の必要性などが言及されておりまして、情報通信関係では、セキュリティー、ヒューマンインターフェイスなど、総合的な技術基盤の開発が必要であることが述べられております。

 (4)といたしまして、政府全体の情報通信分野の中長期的な戦略を定めた「i-Japan戦略2015」について適宜引用しております。これは本日の机上配付資料5ということでお配りをさせていただいております。こちらにおきましては、デジタル情報技術により経済社会全体を改革して、新しい活力を生み出すことが必要であると。その観点から、ブロードバンド基盤の整備、セキュリティー対策の確立、あるいは情報の分析・解析等が新たな価値を生み出すことのできる基盤の整備などが必要であることが述べられております。

 このようなフォローアップ調査などを踏まえまして、またこれまでのこの委員会での先生方からいただきましたご意見を踏まえまして、3におきまして、今後の課題設定をまとめさせていただいております。

 まず、我が国を取り巻く世界情勢を俯瞰いたしますと、第3期基本計画が策定された平成18年以降、世界同時不況の発生に始まりまして、地球温暖化問題、環境問題、エネルギー・資源枯渇の深刻化など、複雑かつ困難な状況が一層顕在化しており、これらの社会問題の解決に向けて情報通信技術への期待が増大しつつあると。我が国の国内におきましても、少子高齢化時代の到来、また社会の活性化と安心をもたらすユビキタス社会への期待が大きいということを述べております。情報通信分野は、研究開発において、理工系の他の分野のみならず、生命・生物系、人文社会系などの多くの分野にとっての「礎の学」であるとともに、身近な日常生活から社会経済等のあらゆる分野における社会基盤となっていることを述べてございます。人々の暮らしを支え、人生の質をより豊かにするとともに、今後の持続的で望ましい社会を実現するために、情報通信技術のさらなる利活用はもとより、少子高齢化や環境問題の深刻化を踏まえた環境配慮型の革新的技術の創出、人間とITが調和したアンビエント環境の実現など、時代に対応した新たな情報基盤の構築が必須であるということ。また21世紀においては、天然資源にかわり、知識そのものが資源となるということから、科学による知的資源の創生と発掘・活用が産業競争力のための重要な要素になるということから、膨大なデータを発掘・活用し、知識に変換するという面で、情報科学技術の重要性が一層増すと考えられると。また未来につながる価値観の創立、また心豊かな生活基盤の形成のために文化に貢献する観点からの情報科学技術の振興も必要であると。そういうような現状の認識をしているところでございます。

 その後、(1)から(8)ということで、具体的に今後進めていくべき課題をまとめております。この資料4にクリップでとめておりますが、一番下に横長で表をつけさせていただいておりますが、こちらをごらんいただきながらお聞きいただければと思います。とりあえず事務局では、これまでいただいたご意見を8つの項目にまとめさせていただいております。

 最初の(1)と(2)につきましては、情報科学技術を活用した社会価値の創出、あるいは研究開発の促進ということで、いわばby ITという観点で柱を立てているものでございます。まず1つ目が「情報通信技術による社会価値の創出」ということでございまして、「社会的背景、解決すべき課題」といたしましては、少子高齢化時代の到来等により、我が国の社会の活性化と安心をもたらすユビキタス情報化社会に対する期待が増大していること。あるいは、あらゆる分野の社会基盤となりつつ情報通信技術を用いて社会システム全体の効率化、生活の質の向上を実現することが必要であること。また、未来につながる価値観の創出、心豊かな社会の実現に向けて、文化に貢献する観点からの情報科学技術の振興があるということが背景として挙げられるのではないかと思います。「重点的に推進すべき研究領域・課題等」といたしまして、2つ目の・ですが、大規模なサイバーフィジカルシステムということがございます。あるいは日本文化のアーカイブ化、あるいはアニメ・ゲームなどのコンテンツ制作での優位性の確保ということを掲げさせていただいております。

 (2)が「e-サイエンスの推進」でございます。この背景といたしましては、多様な研究分野にとっての「礎の学」としての観点から、高度で先進的な情報基盤を構築する必要があることを述べております。具体的に重点的に推進すべき研究領域といたしまして、グリッド関連技術でございますとか、クラウドのようなシステムに対応する仮想化、分散化などのアーキテクチャーの検討、またe-サイエンスを支えます学術情報ネットワークなどの基盤の充実ですとか、それを維持する体制の強化、それから研究に不可欠なサイエンスデータベース、あるいは学術コンテンツ等の整備や電子化、オープンアクセスの推進などについて掲げております。また、機関リポジトリの充実ですとか、あるいは計算科学とデータ中心科学の統合・発展ということも、ここに掲げております。

 (3)といたしまして、「低炭素社会の実現に向けた革新的技術」ということでございます。コンピューター、その他ネットワークの機器の増大による消費電力の増大を招いており、環境、エネルギー・資源に配慮した社会基盤の構築が不可欠であるという背景に基づきまして、重点的に推進すべき課題といたしましては、スピントロニクスを基盤としたデバイス技術、クラウドコンピューティング等の高度利用などについて掲げております。

 (4)として、「人間とITが調和したアンビエント環境」でございます。情報通信技術が生活空間に溶け込むことで、環境と人間が調和するようなアンビエント環境の創出、生活の質の向上が必要であると。またモバイル・ユビキタス環境のグローバル展開による国際競争力の強化が必要であると。また言語、スキル、ハンディキャップなどにかかわらず、だれもが同じように働くことができるような情報科学技術のユニバーサル性の深化などが必要であるという背景を述べております。重点的に推進すべき課題といたしましては、インターフェイス技術、あるいはモバイル・ユビキタス環境に関してグローバル展開を視野に入れた重点化等について述べております。また、ユニバーサル情報通信技術などを掲げております。

 次が(5)でございますが、「情報通信システムの高信頼化や情報セキュリティー技術」でございまして、ソフトウェアの不具合等が多大な社会的混乱を引き起こす可能性が顕在化していることを背景といたしまして、システムを高信頼かつ効率的に構築する手法でございますとか、ソフトウェア開発の形式手法の確立、またプライバシー技術や情報セキュリティー技術の研究などを課題として掲げております。

 (6)といたしまして、「巨大集積情報の利活用」ということでございまして、情報爆発が加速している中で、データセントリックな価値創造を推進していくことが必要であるという背景が書いてございまして、重点的に推進すべき課題といたしましては、大規模かつ大量の情報に対する高度・高速処理のための計算科学、またセマンティクスに踏み込んだデータ処理アルゴリズムでございますとか、さまざまなメディア情報から意味のある情報を抽出する技術、パターン認識技術などを掲げております。

 (7)といたしまして「ハイパフォーマンス・コンピューティング技術」でございます。これにつきましては、スーパーコンピューターに代表される高性能計算技術が、科学技術のあらゆる分野において重要であり、今後もその重要性が増大するという背景を述べておりまして、重点的に推進すべき課題といたしましては、エクサフロップスクラスの高性能コンピューターなどの技術、また量子コンピューターなど、新しい情報処理原理を実現するハードウェア技術、また達成すべき科学技術の目標・方向性と連結したスーパーコンピューティング技術などを掲げてございます。

 最後に(8)といたしまして、「基礎研究の推進や国際レベルで活躍できる人材の育成」ということで、民間部門の投資の縮小の中で基礎研究の推進強化は不可欠であるということでございますとか、予期せぬ新発見あるいは革新的技術の創出機会が増えるように、異分野融合、あるいは異端、前衛を排除しない開放性のある研究開発を推進することが必要であると。また人材育成が急務であるということを背景に述べております。重点的に推進すべき課題といたしましては、革新的なコンセプトにより新しい潮流を引き起こすような萌芽的な研究あるいは挑戦的研究に対する取組の強化、また人材育成の関係では、対象となる学問分野と情報通信分野の両方について深い知見を有する人材育成の強化などが必要であるということで掲げさせていただいております。

 事務局でたたき台ということでまとめさせていただきましたので、項目間のダブりですとか、不整合とかがあろうかと思いますので、また先生方にご議論をいただければと考えております。

 それから、お時間が長くなって申しわけないのですが、参考資料といたしまして、机上配付4をお配りさせていただいております。こちらは日本学術会議の情報学委員会におきまして、「今後の情報学の展望」ということでご検討されておりまして、その現段階での暫定版ということでおまとめをされているものでございます。これは来年4月に、すべての分野をまとめまして、「日本の展望」ということで日本学術会議でお取りまとめになって、公表される予定だと伺っておりますが、そういうことで、まだこれは暫定版であり、また対外的にも公表されていない段階のものでございますが、この情報委員会でのご議論に参考にしていただけるのではないかということで、本日、特別に内閣府のお許しをいただきまして、先生方限りということでお配りをさせていただいておるものでございます。

 こちらを1枚めくっていただきますと、3ページ、4ページに要旨が出てございます。「現状と課題」では、情報学の展望にあたって最も重要なポイントとしては、情報学が他の多くの学問分野にとって「礎の学」としての視点であるということ。また、情報学分野として他分野における課題に明確に対応できる、新たな普遍性の高い方法論を開発する責務を持つということが述べられております。具体的な提言の内容としましては、そこにございますように(1)の「礎の学」としての情報学の課題といたしましては、a、b、c、dということで、それぞれご提言がまとまりつつあるということでございます。また、(2)といたしまして、「次世代の学術研究推進の「基盤(礎)」としての情報学」ということで、4ページでございますが、各種の学術研究リソース、研究活動そのものを超高速ネットワークを通じて高度に共有化する新しい方法の変革が不可欠であるということが述べられております。また(3)の「問題解決のための情報学展開」ということで、さまざまなグローバルな課題の解決のための展開方策の提示ですとか、新たな文化・社会の実現、安心・安全で活力ある社会の基盤形成などが掲げられております。また(4)としては、「情報学人材の育成」ということが述べられております。これはご議論のご参考にしていただければと思います。

 以上でございます。よろしくお願いいたします。

【有川主査】  ありがとうございました。これまで議論していただいたこと、あるいはメール等でお寄せいただいた先生方からのご意見を中心にまとめていただいたものでございます。全体としましては、1の「背景」、2としまして「第3期科学技術基本計画のフォローアップ」をまとめてありまして、3が先生方からいただいた意見をまとめたところでございます。それから、9ページは、名前は出ておりませんが、基本的には、これまでいただいたご意見を整理したものでございます。そうしたものをもとにしまして、また、そのプロセスで、おそらく委員の先生方も何人か関係していらっしゃると思いますが、先ほどの学術審議会とか、その他の審議の内容等にも関係したようなまとめ方もされていると思います。

 それで、本日は約50分程度の時間を使いまして、特に3の「我が国を取り巻く社会情勢等を踏まえた課題設定」につきまして議論していただきたいと思います。まとめは、先ほど課長からございましたように、大きく全部で8つの視点で整理してございますが、その整理の仕方、あるいは、その内容につきましてもご意見をいただければと思います。

【原島主査代理】  委員の先生方から出てきたご意見をまとめるのはほんとうに大変な作業であり、そういう意味では非常によくまとまっていると思います。おそらく先生方、自分がおっしゃったことがどこかに入っているかと一生懸命探して、ここにあるという形で、そういう配慮もされて、ほんとうにありがとうございました。

 一つ、それを前提にさらにその先という形で感想を言わせていただきますと、例えば、この重点事項といったとき、これはだれに向けたものなのだろうかと。一つには、総合科学技術会議における第4期基本計画の中にきちんと、これを書いてほしいと。それを提供するということもあるのですが、さらにその先を言えば、総合科学技術会議自体、国民へ向けたメッセージというのがあるわけです。そういうことも考えたときに、よくまとっているのだけれども、一体、ここで何をメッセージとして出そうとしているのかが必ずしもまだ見えにくいのではないかと。例えば、課題設定で人材養成まで含めて8項目ありますが、8つあるということは、これはたくさんあるというイメージしか残らないのですね。そうすると、場合によっては、8つあるのだけれども、それを2×4にして、2という形で、もう少し上の分類の中にメッセージを見せていくとか、そういうようなことも必要なのではないかと。その観点で見ると、例えば学術会議の分科会でしているのは、ある意味では「礎の学問」としてのという話と、2と3の区別が今、ちゃんとついていないのですが、あと、課題解決という形にまず大きく分けてしているとか、そういう情報学というのは、まず礎として重要なのだというのと、課題解決のために重要なのだというメッセージを、まずそこに出して入れているという気がいたします。そういう意味でのメッセージをどうするかという話です。

 それからもう一つ、それとも関連するのですが、最後に表をつくられておられますね。(案)という形で、by IT、of ITというものが書かれている表があります。下手をすると、上に出したときに、みんな、これしか見なくなる可能性がある表だと思うのですが、ここでby ITとof ITという言葉をもう一度、我々は見直す必要があるのではないかなという気がいたします。このof ITで書かれていることも、最終的には皆、by ITを目指しているはずなのですね。情報科学技術自体が高度化すればいいというものではなくて、高度化することによって、こういう貢献がありますよというのが皆、入っているはずで、その意味で、これを見ると、何かITがほかの分野に役に立つのは上の2つだけかと見られて、あとの下の5つは、自分たちが生き残るために書いているのかと誤解されてしまう可能性があると。そうではなくて、やはり、ある意味でITとしてここでやろうとしているのは、全部、最終的にはby ITなわけですから、その辺のまとめ方、特にこういう表づくりはメッセージ性があり、何か誤解されないようなまとめ方が必要なのかなというきがいたしました。長くなりましたが、以上でございます。

【有川主査】  ありがとうございました。最後の横長のものは、項目数も多いということで、事務局が気をきかせて急いでに整理していただいたものです。原島先生からございましたように、情報科学技術は、それ自体が究極的には使われて初めて意味があるものですので、そういう意味では、すべてby ITということになるのだとは思います。例えば実際には(3)のところに、低炭素社会に向けて云々とありますが、これももっと直接的にITを使って実現するというようなことからしますと、by ITのほうに入ってくるわけですし、最後のハイパフォーマンス・コンピューティングというものも、情報の問題というよりも、それを使って解決するフィールドがあるわけですので、そういう意味では当然、by ITということになります。従って、このof ITのところは全部、by ITになってしまうということですね。

 もう一つは学術会議のほうで、我々のほうでも意見をいただいていますが、「礎の学」というとらえ方があります。この辺はofとか、byとかということでいうと、onとかになるのかなと思います。これは、整理するときにとりあえずこのような形にまとめてみたということです。

 それから、8つでも相当大きいですので、8を一番小さくとらえられるのは、2の3乗ぐらいということなのかもしれませんが、もう少し整理をしなければいけないと思います。きょうは、そのような段階でまとめて提示していただいたものについて、皆さんのご意見をいただいて詰めていって、整理をして、最終的なものにしたいといった意向のようでございますので、その辺をご理解いただきながら議論していただければと思います。

【北川委員】  よろしいですか。今のお二方のご意見と関連していますが、3の最初に「礎の学」というのが入ってきたのは大変よろしいかと思うのですが、そういう点から見ると、このトーンというか、印象がやはり技術に偏っているところがあってですね。用語的にも情報通信技術、ICTという言葉自身は私は好きなのですが、そう書いてあったり、情報科学技術ですね。「技術」と「通信」が混ざってきているところがあります。

 先ほどの話と関連すると、やはり物理帝国主義という話がありますが、昨日の武田委員のメールで、これから知識社会というものが大事だと。その中では、やはり情報が非常に役に立つということをもう少し打ち出して、技術だけではなくて、情報科学技術がそこの中心になっていくということを表に出して、その中に書いていただくと、もう少し全体、情報関係以外の人にもアピールできるのではないかなと思います。

【有川主査】  ありがとうございました。今、北川先生がおっしゃいましたようなところは、4ページの上のほうに、「また、21世紀においては天然資源に代わり知識そのものが資源になり、」ということで、ICTの重要性を言っているわけですが、もう少し学問的に格調高くというようなことでしょうね。

 武田先生からメールが来ていたと思うのですが、見てない人もいると思いますので、武田先生お願いします。

【武田委員】  何か全体的に宿題が遅れまして、きょうの会議があるという間際に、昨晩、出させていただきました。既にきょうの資料の中に文章的に盛り込んでいただきましたので、あえてということではありますが。

 私もいろいろな席で、いろいろなところでも言っていますが、少し大上段にいうと、科学技術基本法の趣意文あたりから難癖をつけているのですね。難癖というのは、「そもそも資源に乏しい我が国では」という書き起こしが、その後の書きぶりが私は20世紀のトラウマであると。ずっと資源がない我が国は、したがって、技術が大事で、技術によって付加価値をつけて輸出して稼ぐと。これは大事なのですが、21世紀をにらんだときには、むしろ新しい見方は、天然資源を掘り出して、それを加工してという文明から、昨今のように、いわゆる化石燃料とか、そういった地中に埋まっている資源そのものよりは太陽をもっと直接利用しようであるとか、植物とか、微生物とか、いろいろなものの利用が必要になってくるとか、あるいはそれが及ぼす生態系とか、ともかく国も、日本に限らず、先進諸国はみんな、科学技術投資の一番たくさん投資しているのはバイオであるわけです。とかくバイオは医療だという見方があって、それは私は違っていて、21世紀で、世界がこうやってバイオの科学に投資しているのは、生物資源とか、生命活動とか、そういったものがいろいろな意味で文明の礎になるはずであると。日本も、さすがにそれに着眼して、重点4分野のうちの一番の重点分野にしているのであって、何か薬をせっせとつくったり、健康増進するだけではないという主張がずっとあるものですから、それに関連したような話がどうしても念頭にあると。

 そうしますと、物質の科学のときには、すばらしい論文が一発、アインシュタインではありませんが、ゼネラルなセオリーが一発できると、だれしも、その論文を見てトレースすれば再現性があると。そういう世界だったわけですが、山中先生のiPS細胞も含めて、ライフサイエンスあるいはバイオの世界は、論文一つで再現性のあることはないのですね。山中先生が使われた細胞、これは理研でも保持しておりますが、この細胞を使って、ある条件でやらないと再現しないとか、そういった単純にある種のDNAと何かがあって、すべて説明し尽くされない複雑な問題をいっぱい抱えていると。そうすると何が起きるかというと、例えば理研のバイオリソースセンターは、今、iPS細胞をお預かりしていますが、遺伝子をいろいろ変えたネズミであり、あるいは微生物であり、有体物としてのそういったものが山のように爆発的に増えているのですね。それで同時に、それに付随した論文だけではない、データという情報も猛烈に増えていると。それで、実はそれらをもう一回掘り起こしてみると、がんというのはこういうものなのだなということが、繰り返し繰り返し、そういったデータをもとに新たな知識として生まれてくると。果てしなく、そういった情報は増え、かつ、その情報の利用によって生み出される知識が爆発するのではないかと。そういうものを見ておりますと、まさに情報科学に課された一つの課題も、これまでは例えばデータマイニングといっていたものが、むしろ資源としての情報というか、知識をどうやって発掘するかとか、どういうふうに結びつけていくかという意味において、非常に新しい展開を想定した情報科学が必要なのではないかなと。そういうふうに、かなり思いを持っているものですから、あえてそういう表現をさせていただきました。それが一点です。

 それから、ここではいろいろなプロジェクトの評価、プログラムの評価とかという研究評価をしてきているわけですが、その席でも申し上げていますように、これもバランスの問題だとは思いますが、近年、ますます戦略的とか、重点化とか、そういったプログラムが増えてきていると。それ自身は非常に重要なことで、重点化、戦略性は大事なわけですが、しかし、基本的には研究レベルでの重点化とか戦略化という場合には、やはり思わぬ発見とか革新的な技術を期待しての活動なので、私ども委員として、中間評価であるとか、事後評価とか、こういうところをごりごりやると、ともすると、研究されている側も、幾らのお金をもらって、その評価の意識が強くなり過ぎて、何かほかの分野で変なことを言っている人、あれはおもしろそうだね、あの人を仲間に入れてみようかとか、あるいは何々先生がこれだけのお金をもらって、何かやっているのがおもしろそうですから、ちょっと教えてくれませんかと寄って来るような開放性とか、異端な考えをしている人に対してのプロジェクトを進める上での開放性その他があまりなくなってしまうと、実は多額の研究資金を投じたわりには投資効果がないというか、成果が出ないとは言いませんが、世界に誇る飛躍的な成果とか、思わぬ成果は逆に期待できなくなってしまうのではないかという意味で、ちょっと警鐘を鳴らす意味で、そういう言い方をさせていただきました。

【有川主査】  ありがとうございました。情報学あるいは、この我々の委員会の言い方ですと、情報科学技術ということでございますが、それは、これまで言われていたような天然資源のない国において頼れるものは人間であり、知識であるといったことで来ていたのだけれども、その辺から離れて考えてみる必要があるのではないかということですね。確かに情報学は、特に技術系でいいますと、ほかの科学技術分野とは明らかに違うわけですね。その違いをもう少し前面に出すという作業も、この時期、してみる価値があるのではないかと思いました。言うならば、データマイニングなどといったようなところにもあらわれているわけですが、たまってしまったデータの中にある非常に価値のあるものを見つけていくといったようなことが、新たに実験をするよりもむしろ意味があるのではないかと思います。情報学の大事な面をご指摘いただいたと思っております。

 喜連川先生、何かございませんか。

【喜連川科学官】  今、武田先生からのメールを熟読していたのですが、僣越ですが、データマイニングから知識マイニングという言葉が、今、有川先生からご説明していただいたところかと思いますが、学会は今、KD・Dといっていまして、KDはナレッジ・ディスカバリーで、最後のDがデータマイニングです。そこの境はあるようでほとんどないのが現状です。従いまして、先生ご指摘のポイントは、情報の研究者は強く意識しながら進めていっているのではないかなと思うのですが、この8個の分類の仕方には、甚だ私にも責任があるのですが、とりあえず皆さんから、いろいろご意見をいただくためには、エレメンタルなものがいっぱい並んでいるほうが議論が活発化するのではないかなと。

 それとあともう一つ、つけ加えておきますと、by IT、of ITの議論がいろいろ出てきましたが、この言葉の由来は、前にgreenがついていたのですね。green by IT、green of ITだったのですが、そのgreenを取ってしまって、何とかby IT、何とかof ITにすると、ちょっと誤解が出てまいりました。先ほど原島先生のご指摘で、さらに有川先生からof ITは全部、by ITとご発言をいただいたことになってしまったかもしれないのですが。ただ、アメリカのサイバーフィジカルのように、今のITをもっと活用面に向けましょうというようなトーンは比較的、今後のメッセージとしては入れておいて悪くはないのではないかなという個人的な気持ちです。以上でございます。

【有川主査】  ありがとうございました。宮内先生、どうぞ。

【宮内委員】  技術の専門ではないのですが、客観的に伺っていて少し思ったのは、科学技術の基礎計画というものは、まず何のために立てるのかとか、そのコンセプトとか、理念がある程度、簡単にでもうたわれて、その思いがきちんと伝わることがまず重要ではないかなということを感じました。もちろんいろいろ書かれているのですが。

 あと、いろいろな項目、8項目は確かに多くて、私も普通の人間で、3の倍数が理解できやすいなんていうことはよく言われているのですが、ただし、多過ぎるとわかりにくいのですが、わかりにくいからといって項目を少なくし過ぎることだけに目先が行ってしまうと、またこれも問題が出てくると思いますので、今回の中に込められたものがわかりにくくならないような分類と項目の入れ方がすごく、今回、これからに向けて重要ではないかなと思います。

 それとあと、最初にコンセプトなり、理念がなぜ、こういう計画をしていくのかというものがあれば、今度は、今後は単一的な技術だけではなくて、目的を達成するために、あらゆ分野を融合して、コンセプト、理念を実現していくために、いろいろな分野を総動員して、融合して進んでいくことも、これからの世の中は重要ではないかなということあたりを後ろに少しまとめると、何か私などは、起承転結ではないのですが、一般的にわかりやすいかなと。そんな印象を持ちました。

【有川主査】  ありがとうございました。8個というのは、結構多いのかもしれませんが、きょう、議論していただきまして、今のご指摘のように、もう少しわかりやすいコンパクトな整理の仕方をしたいと思います。その整理の仕方についてもこれまでのof ITとか、by ITみたいなことだけではなくて、もう少し新しい切り口での整理の仕方があると私は思っております。これはあまり時間はないかもしれませんが、そうしてアピールしやすいようにしていかなければいけないと思っております。

 それから、特に我々は今、情報通信のことを議論しているわけですが、科学技術基本計画は、これから5年間の計画ということでございますので、ある種の5年間に対する指針、国として責任を持ってやってもらわけなればいけないといったようなことを、ここで際立たせるわけです。国のほうは施策として、それに対応する産業界や学会等は、一つの具体的な方向として、これを使っていくことになりますので、その辺も意識してやらなければいけないと思います。そのように考えますと、例えば学術会議がやがて出そうとしておられるようなことなどの中を読んでも、かなりしっかりしているところがあると思いますので、その辺も参考にしながら、先ほど来言っていますような見方を設定していけばわかりやすくなるのではないかと思います。

 はい、田中先生。

【田中委員】  8番の萌芽的基礎研究推進と、最後に人材育成がありますので、その観点から気になることなのですが、今回、情報分野が「礎の学問」とうたい上げているのは、一つは、数学が礎になることは、もう皆さんわかっていて、それで算数が小学生からあるわけですが、情報学が礎と我々が言ってみても、小中高に、その礎になるような基礎的な教育がほとんどない。私は私立大学の教員なので、高校の先生とか生徒さんに話を聞く機会があるのですが、ほとんど情報に対する期待がないのですね。何をしているかわからない。それで、情報は新しくない。だから、期待はないし、今は高校生も、どういう道に進もうかと大変悩んでいるのですが、困ったときは機械に行こうとか、そういう形で、先生もそういう認識という形で、ほとんど情報が期待がないなと。それで、ほんとうにがっかりきているのですが、そのときに、我々が、「礎の学問」と自分たちでうたい上げても、その下にそれを伝達するような何かもう少し組織的な教育の制度とか、教科書もそうですし、きちんと教えなければ、ますます遊離するだけだなという感じがしたのです。その辺がちょっと危惧なので、そのときに、ここで提言としては、中等教育に対して情報をどういうふうに説明するかとか、育てるかとか、人を発掘するかと。そういう手立てのところの一つ入れていただいたらどうかなと思うのですが。

【有川主査】  はい。最後のところの人材育成は、研究者あるいは高度な技術者を育てるということでの人材育成だったのですが、今おっしゃいましたように、小中高で、どういう教育をするかということですね。出されました数学の例ですと、ほんとうに小学校の最初のころから結構難しいものですから、徹底して体系化されているという感じを持ちます。情報については、わかるところから入るので、あまり難しいという感じもしないし、小中学校でやったとしても学問的な深さを感じさせられない。それで期待しないことになってしまっているのではないでしょうか。数学などでやるのと違った初等・中等教育のやり方があるのではないかなと私は思っています。この辺は学術会議などでもまじめに考えていただいていたのではないかと思います。何かいいアイデアをお持ちでしょうか。

【原島主査代理】  では、私から。これで、どこまでを含めるかということになるのですが、今、文科省でやっているのですが、中高というのでは教育者養成ですよね。情報がほんとうにわかっている教育者養成がいいかげんだと、大体、先生でおもしろい、おもしろくないとなりますから、むしろマイナスになる。いいかげんな先生だと、むしろマイナスになるということで、そういうレベルの話まで、ほんとうは重要なのだけれども、ここに書いていいでしょうか。どうなのでしょうか。

【有川主査】  そういう意味では、ここでは基礎研究、あるいは技術に関する人材育成ということで、高度な人材育成を書いているのですね。

【原島主査代理】  そうなんです。

【有川主査】  それから、一番最後のところで書いてあることで、小中学生のということからは離れるのですが、情報の分野は、使われて初めて意味があるわけでして、そういうことも含めて考えますと、科研費の特定領域研究で、これまで幾つかの研究がやられていまして、相当大規模な安西先生のものとか、今、ここにいらっしゃいます喜連川先生のものがあって、そこでは、ほかの分野とは違い優秀な若手が次々に育っています。そのような人材育成の仕かけは、情報分野が経験している非常に貴重なものだと思うのですが、そういったものをもう少し顕在化できないものでしょうか下條先生とか、安達先生とか、当事者もいらっしゃるのですが、いかがでしょうか。

【安達委員】  私は、この学術会議の「礎の学問」というようなリポートにも関与しているので、田中先生がおっしゃったことについて、学術会議のレベルで、ほかの学問分野に対して情報が礎の一つであると主張するのは、それなりにわかっていただけるのかなという気もするのですが、社会全般に対して現時点で情報分野が礎だといっても、なかなかぴんとこないような気がいたします。それで、この第4期の基本計画は、原島先生がおっしゃるように、だれに出すメッセージかというときに、やはり情報が大事だということを前面に出してはなかなかご理解いただけないような情報かなという気もいたしております。

 私は学術会議のリポートの中でもe-サイエンスのところでいろいろ検討したのですが、そのとき、やはり他の学問分野、物理ですとか、環境ですとか、そういうところの研究者とのインタラクションが非常にこれからの鍵かなと思っていまして、彼らがIT技術を最大限に活用できるようにはまだなっていない。やはりデータマイニングの手法とか、そういうことはよくわかっていなくて助けなければいけない。しかし、その辺のコラボレーションのところで、どう21世紀的な重要課題に情報分野が貢献できるかをどううまく出すのかがポイントかなという気がしています。しかし、そうすると、情報の本来的なところでの、例えばセンサネットワークでたくさん情報が集まってきたら、いろいろなことができますよというのがわりと気楽な人たちの考え方なのですが、大量に集まってきたデータをどうマイニングして、例えば体の健康をあらわすいろいろなパラメータをたくさん集めて、その人がどういう病気になりそうかとか、そういうことをマイニングする技術が全く未検討なわけですね。そういったようなところでの情報学的な接近をうまく、こういうところにあらわせられないかなという気がいたします。

【田中委員】  ちょっとよろしいですか。この11ページの8の上から3つ目の・に「小・中・高レベル」とございますよね。そこで「情報通信分野の可視化や要請される資質の提示」と。だから、こういう文章があるのでしたら、小中高レベルで「礎の学問」としての基礎教育のための検討とか、あるいは専門家の育成とか、そういう一文が入ってもいいかなと。その程度の私はお願いというか、提言なのですが。小中高レベルが出てきたというところで、可視化よりももっと大事なことがあるのではないかなということなのですが。

【有川主査】  ありがとうございました。どうぞ。

【下條委員】  では、一つだけ。先ほどの安達先生のフォローアップですが、この横組の表を見ると、1番と2番はわりと基盤的なe-サイエンスだとか、あるいはデジタルアーカイブみたいなサービス面ですね。それは実は情報分野だけではなくて、学問全部が使うようなサービスであって、その下の新しい技術をつくったものがサービスにうまく生かされていることを示すことが非常に大事で、その観点は、多分、今まであまり情報にはなかったような気がします。ですから、そういう意味で、今回、礎という意味で、極端に言ってしまうと、内向きだった情報が外に対して開かれるというメッセージを打ち出すことが非常に重要かなと。そのためには、実は人材も単に異分野にまたがるというだけではなくて、ある種、基盤技術開発をする人と、それをつなぐためにサービスに努力をするという人もやはり必要であるということは人材育成の中にもあるべきかなと。ペタコンをやっているというのも、そういう意義だろうと思います。

【有川主査】  では、順番で、北川先生から。

【北川委員】  今の礎の話ですが、実は基礎基盤研究課のほうで、その「礎の学問」としての数学の地盤沈下の問題をやっておりまして、昔から数学は「礎の学問」と言われていたのですが、報告書にあったように今や忘れられた科学、数学という状況になっています。これは現在の情報化とか、そういうものに十分に対応できていないことだと思うのですね。その一つの原因が、従来の物理科学がトゥルーのモデルがあって、それに対しての推論というか、それをやればよかったけれども、現在の知識社会で取り扱っている問題はトゥルーがなくて、むしろ知識を構築していかないといけないわけですね。そこに対して数学が弱いということがあります。そこができるのは、やはり広い意味での情報のもので、データを使ったり、あるいは知識を発展させていくことによって、現代社会が考えている現象のモデルができてくる。そこが数学がないということで欠けている部分ですね。したがって、数学が担っていた礎の部分に完全に置き換えることはできないけれども、数学ができない部分を情報科学が補って、両方として礎になることは十分可能であるし、それを目指して、できれば第4期にやっていただくのがいいのではないかなと思っています。

【有川主査】  ありがとうございました。では、伊藤先生。

【伊藤委員】  私も実は量子コンピューティングという、相当物理寄りの研究者ですので、この委員会はいつも興味深く聞かせていただいているのですが、先ほどの高校生とかで情報学がどうかということなのですが、彼らもYou tubeとか、それこそi-tuneとかで何かをダウンロードして、ほんとうに使いこなしているのは彼らであって、それが情報学とどう関係するのかは私にはまだわからないのですが、でも、喜連川先生の前のご発表とかを伺っていても、やはり爆発する情報量をどう扱うかとか、それはグーグルとか、そういうものが全部関係してきて、それは今、北川先生がおっしゃったみたいに、ある形で何かものごとを人間がつくっていって、それをまた人々が予想しないような形で新たなアプリケーションをつくった結果だと私は何となく感じているのですね。それが物理にはなかなかできないことで、そういう意味では非常に魅力的で、かつ社会の礎を違った形でつくっていることはかえって見やすいのかなと私なんかは思っていたのですが、そういう切り口が何かあまり感覚がないだけに、高校生とかには、ただ情報として受け流されているのでしょうが、現実に彼らが使っていること、それから情報がほんとうに爆発していることは一番わかりやすいことなのではないかなと私から見て思うのですが、そういうところは素人ながらに正しい方向ではないかと思いますが。

【土井委員】  よろしいでしょうか。今の伊藤委員のお話と同じような話になるかもしれないのですが、喜連川科学官が今度、大会長を務められる情報処理学会の50周年創立の記念大会のテーマは、たしか「コンピューターがない社会が考えられますか」でした。

【喜連川科学官】  はい。

【土井委員】  そういう意味では、今言われたとおりに、コンピューターなしでは何もできないというのは、もう若い人をはじめ、だんだん高齢者の方も携帯電話を持つようになってきたので、それは多分、認識されていると思うのです。だけれども、その次のところに行くところに目が向いていないというところが一番大きな問題で、例えばスマートグリッドにしても、先ほど武田委員が言われたような話にしても、情報が学際的にいろいろな研究をやっていくときに共通の言語、共通のツールとして支えているのは、これは紛れもない事実で、それがあるから可視化されて、お互いに全く違う分野の方たちが語り合ってできますし、スカイプとか、そういうものを使って、今までよりもはるかに効率的にいろいろな研究を進めることができるようになっている。これは事実なのですね。だから、そういうものを次につくり出せる人材が欲しいというところが一番大きくて。

 そういうふうに考えると、ロングテールというお話がありましたが、先ほど喜連川科学官が言われたように、データマイニングをするだけではなくて、ディスカバリーというところが非常に一つ重要になりますし、あともう一つは、スマートグリッドとかのように、今まではコントロールできなかったものがデータを集めることによってコントロールができるようになってくるのですね。今までは小さい、もうネグレクトなものだと思っていて、各家庭の電力メーターなんてどうでもいいやと思っていたものが、これがつながることによってコントロールできるようになってくるところが物すごく大きくて。コントロールするというのは今までは大規模な工場だけがメインであったと。その制御が実は社会もコントロールするようになってくる。そこに情報通信がどうやって生きていくのか。礎であることは事実なのですが、こんな大きなシステムは今までだれも実はやっていないのですね。ですから、そこに大規模なデータも集まっていますし、それをちゃんとやるために縦割りではなく、横割りにやらなくてはいけないしという話が、そこにみんな来ているわけです。だから、それを礎と言ってしまうとだめだと言われると、どう言っていいのかよくわからないのですが、マイクロマネーのような小さいものを集めても、ちゃんと商売になるようになったというところがきちんと伝わるような何かメッセージが発信できれば、若い人にとっても魅力のあるようなものになるのではないかと。自分たちにも何か次にやってみることができるのではないかと思わせるものがあるのではないかなと思っているのですが。

【有川主査】  はい。議論としていただきましたようなことで……。

【原島主査代理】  今の若い人に対しても魅力的に見えるという言葉は、この場では総合科学技術会議の方に対して魅力的に見えると置き換えると全部、使えるかなと思いました。

【有川主査】  非常に大事なまとめの仕方をしていただきまして、ありがとうございました。

 若い小中高生たちに、しっかりと、意味やおもしろさ、重要さを伝えるというやり方に関して、これまでそれほど苦労や工夫はしてなかったのかもしれません。それをやろうとしますと、体系化ということで、いきおい二進法なんていうところから入るのかという話になるのですが、どうもそうではないような気がします。つまり一方では、コンピューターやネットワーク、携帯がなかったら生きていけない世界にもう入っているわけですので、あまり細かいところまでいかないで、ある種のインフォーメーション・ハイディングみたいなことをやって、隠すものは隠すが、本質がわかる、何段階で伝えられるというような整理の仕方をして、教材などをつくっていくことが必要なのかもしれません。ここのどこかに、そのようなことをやることの重要性についてメッセージを込めておきましょうか。ありがとうございました。

 それでは、丹羽先生。

【丹羽委員】  この資料のまとめ方というか、ここの議論の方向性についてコメントをしたいのですが。3点あります。

 1点目は、多分、この資料4は各先生方から重要な研究課題を出していただいて、それを分類してまとめていただいたと思うのですね。ですから、研究課題がまずあって、それに合わせて社会的背景、解決すべき課題がそれぞれに挙がっているわけなのですね。だから、何となく研究課題がまずあって、それからスタートして、だから、こういうことがいいですよということが後からついているような印象を受けるのですね。だから、ITの人はいいけれども、それ以外の人に対して何となく説得力がないと。そういう感じがするのは、そういう理由ではないかなという気がするのですよ。ですから、まず解決すべき課題を先に出して、それに合わせて、だから、こういう技術が必要ですというまとめ方をしたほうが説得力が出てくるのではないかという気がまずします。

 それからもう一点は、社会的な課題とか、そういうこととはある程度独立に技術の進歩があるわけですね。やはりこれは我々情報科学技術の専門家として、こういうところに来ているわけですから、この委員会が、こういう技術的な展望を示すべきではないかなと思うのですよ。それは多分、社会的な課題と密接に関連して出てくるとは思うのですが、技術的な意味の展望も一つ出しておくべきではないかと。それと社会的課題とを合わさったところで、何が重要ですかという話が出てくるのではないかなという気がいたします。

 それから3点目は、国際的な比較というのですか、日本の強み、弱みと単純に言ってしまうと、それだけになってしまいますが、そうではなくて日本の特色もあると思うのですね。だから、アメリカではやっているけれども、別に日本でやらなくてもいいとか、逆とか、そういうものもいろいろあると思うので、必ずそれはどこかで問題になる話だと思いますので、日本としての立場、そういうものがもう少し出てきたらいいのではないかなと。そんなふうに思います。以上です。

【鈴木委員】  委員長、よろしいでしょうか。今の丹羽委員の最初のご意見、それから先ほどの宮内委員の最後の部分のご意見に関連してなのですが、先ほどの丹羽委員の最初の点のような印象が出てくるのは一つの理由として、まとめがないからだと思うのですね。したがって、前々回の委員会から話題になっていますが、ICTがもしだれかが重要と決めてくれたならば、私たちは、その中ではこういう課題群が重要だと思いますと読めてしまうように終わっている。そうではなくて、やはりICTこそが今後も重要な課題だとうたい上げて終わったらどうだろうか。そのために先ほど宮内委員が言われたのはとてもいいと思うのですが、ICTを核にすれば、あるいは、この文章の中には基盤とすればでしょうか、礎とすれば、さまざまな課題群がしっかり解決できていくのだと。日本が、あるいは世界が、いい社会ができていくのだということで終わると、よいかなと思います。最初に展望問を指摘するのを受けて、先ほどの丹羽委員の最初の点を受けて、それを締める結言があるともっと効果的かなという意見です。

【有川主査】  ありがとうございました。時間があまりなくなりましたが、原島先生、どうぞ。

【原島主査代理】  全然違った観点になるので最後に申し上げようかと思ったのですが、実はこの科学技術基本計画の中に何を書くかという基本的なことに関係するのですが、今回の話は何を研究開発するかということだけになっていますね、ほとんどが。ところが、ご承知のように95年に基本法ができて、96年に第1期の科学技術基本計画をつくったときに、むしろこういう研究をどのようにして進めるのかというのがかなり議論になったはずです。それはそのままなのかというのは私はかなり気になっているのですね。あのときにできた、いろいろな考え方、科学技術を進めるための考え方に沿って、今、ある意味では国が大きなプロジェクトを立て、研究者は必ず若手は任期制にしなければいけないとか、そういう評価をしなければいけないとか書かれているのですが、そのやり方が、我々のこの情報科学の分野に適しているのか。僕は、あれはかなりハードを中心とした科学研究の仕組みであって、我々はむしろそれで苦労しているのではないかなとも思うのですね。評価尺度も含めてですね。インパクトファクターとか、そういう評価尺度は、ほんとうに我々の分野ではいいのかと。そうすると、この情報通信分野、科学技術を進めるための基本として、そういう仕組みの提言も入れておかないと、同じようにこれから5年間、物理科学、あるいはそのハードに近いほうに我々は振り回されるのではないのかなと。例えば今回、我々から見ればとんでもないお金のプロジェクトが走ろうとしているけれども、あれに情報技術は、1件当たり数十億だというのは、これは情報技術向けだとみんな思っているかどうか。場合によっては、我々としては、また別の仕組みが欲しいのではないかと。そういう話を入れるとしたら、ここかなと思うのですね。実際、第1期科学技術基本計画では、そういう議論をかなりやっていたはずなので、そういう議論をもう一回やってもという気もいたしました。ただ、結構、この議論は今年度で何回かやるかということにも関係しますので、間に合うかどうかというのはあるのですが、でも、これをチャンスに我々は議論しなければいけないのかなということでございます。

【有川主査】  ありがとうございました。話が非常に大きいところに進んでいきまして、限られた時間内ですが、一方で相手のあることでして、他の分野からいろいろ出てくるものもあり、こちらだけが妙に構えていたり、妙に抽象的であったりしてもまずいと思います。新しい分野であります情報科学技術であるがゆえに、やらなければいけない面がたくさんあると思っています。そういったことの重要性について、きょう、さまざまな形でご指摘をいただいたのだと思っております。

 きょう、いただきましたことをどれだけまとめ切るかは非常に難しい仕事だと思いますが、次回までに整理をさせていただきまして、おそらく、その前の段階で、先生方にまたメール等でお届けして、ご意見をいただくことになると思います。これからのスケジュール的なことについて少しお話をいただけますか。

【舟橋情報課長】  ありがとうございました。この議論としましては、取りまとめを事務局では、科学技術・学術政策局からは9月中を目途に、とりあえず中間的なものでも各分野別の委員会からまとめてほしいということを言われておりますので、この委員会としては9月30日に予定させていただいておりますので、次の9月30日で議論のとりあえずのまとめをしていただくことが必要になります。ですので、まだ少し時間がありますので、先ほど主査がおっしゃいましたように、きょうのご議論を踏まえて修正したものを先生方に早めにお送りして、またご覧いただくようにしたいと思っております。あとまた、きょうのご議論で、例えば、くくり方をもう少し工夫して何か大きなメッセージを出すというような場合に、何かこういったメッセージがあるのではないかとか、こんな考え方があるということでご示唆いただけることがもしありましたら、メール等でも事務局にお教えいただければ大変ありがたいと思いますので、またよろしくお願いします。

【有川主査】  そういうことです。はい、どうぞ。

【喜連川科学官】  2点ありまして、1点は、先ほど丹羽委員からのご指摘で、これはやはりJSTから一度、ビジョンをお聞かせいただくのがいいのではないかなと感じます。大体、技術の展望では、皆さん、GTO (Global Technology Outlook)もガートナーもほとんどの情報は、ここにお出になられている委員の方はお持ちになられていると思いますから、そういうものが縮約されて、ここに表出されているのではないかと感じています。

 第2点ですが、この第4期の議論をする時間を長くするという意味で最初のほうでは質問をあえてしなかったのですが、スーパーコンピュータの戦略委員会の中で、戦略分野の中に1から5まであると。この中に情報が一つも入っていないのは極めて残念なことです。なぜこの情報科学技術委員会の中で情報自身が重要だということをこれだけ議論しておきながら、それが戦略の中に入ってこないというのは、つまり情報分野のクォータがなくなるということなのかなという気もしていまして、少し違和感を感じている次第です。これに関しましても次回以降、ご議論いただければありがたいと思います。以上です。

【有川主査】  今の2つ目の点は資料2に関係したことですか。

【喜連川科学官】  そうです。資料2の参考1でございます。従来、JAMSTECの地球シミュレーターは、コンピューターサイエンスがある程度の大きさのクォータを持っていたと思われます。

【有川主査】  ありがとうございました。これはできますか。

【井上計算科学技術推進室長】  戦略委員会での議論にはいろいろありましたが、今回、戦略分野は、要はペタコンの能力をいかにフルに発揮するかと。それで、その成果が5年間というところで出るものを重点にしましょうということにしまして、先ほどの参考1のところに5つの分野があるのですが、これはいずれも個別分野の名称を冠していますが、当然、それを支える基盤的部分ですね。そういう方々と共同しなければいけないという前提はございますので、今後5年間の重点分野としては掲げておりませんが、これらは当然、情報科学の最先端がかかわってくると。

 そういう意味もあって、実は先ほどの参考1の分野が真ん中に書いてありますが、その下のところをごらんいただくと若干関連するようなことが書いてあるのですが、「上記戦略分野において、レベルの高い研究を行っていくためには計算科学技術の幅広い分野を支える共通基盤的な研究開発について研究ポテンシャルを蓄積・形成していくことが重要である。」ということで書かせていただいています。そういう基盤的なところですね。

【喜連川科学官】  ですから、それこそが戦略にならないかということです。

【原島主査代理】  やはりないのはほんとうにまずいと思います。外から見れば、スーパーコンピューターは情報分野としてやっているわけですね。情報にこんなにお金を出しているではないかと言われているところに、それの実際に使うところで戦略分野の中に、これだけ情報が重要だというのをぜひ何らかの方法があるならば入れていただいて。

【喜連川科学官】  普通、計算機は、次の世代の計算機をデザインするときには、前の世代の一番速い計算機でデザインするのが常識だったというのが私どもの認識なのですね。今回、諸般の不具合が出たということは、そのプレデクションというもの自身がやや甘かったと。ということはどういうことかというと、コンピューターサイエンス自身、スーパーコンピューターというもの自身にもっともっと計算のクォーターを与えることが重要であることを逆に意味しているのではないかなという気がするのですが。

【井上計算科学技術推進室長】  きょうのご議論は、また戦略委員会の先生方にもご議論していただきたいと思いますが、一つあるのは、今おっしゃったような部分は、情報科学の部分は、もともとそういう部分も戦略分野の一つにすることも検討すべきという話が去年の作業部会報告書にもあったわけです。それで、そういう検討はあったのですが、それは今後5年間というよりは、ずっとやり続けていくところだろうということがあって、そこであえてここでは書かなかったと。実際、そういうことだと思います。だからこそ、神戸のところに、そういうことをやる拠点をつくらなければいけないと。それとは別に、今後5年間、だから、この重点分野というのは、まず今後5年間の重点分野としておりますので、これは何年かたつと変わるかもしれないですよね。そういうものだという理解をしております。

【有川主査】  つまり、この全体が情報分野だというような考え方をしていたのでしょうか。ということだとするとわかるのですが、5年ではなくずっとだということだと、ほかも同じではないかということになってしまいます。ですから、次世代スパコンでやる戦略分野として情報以外のところを挙げてあるということだと理解はできますが、この中に情報そのものが一つ入っていることは実際は大事かもしれませんね。

 この戦略委員会のものは、最終的なものですか。ここに挙がってきたわけですから、我々情報科学技術委員会からの意見ということで、一回検討してもらってよろしいのではないでしょうか。

【宇川委員】  よろしいですか。私も戦略委員会の委員の一人ですので。この辺については、戦略機関の役割というのは、次世代スパコンを使って5年間に具体的なテーマを設定して、それを実現していくのが役割であると明確に規定されていると思うのですね。そのときに情報科学技術、基盤技術をどうとらえるかなのですが、次世代スパコンを使って、情報科学技術として5年間に実現するような目標を立ててやっていくのかと。それよりはむしろ個別分野におけるテーマを実施するものとして位置づけるのが適当ではないかという議論だったと思います。一方で、基盤技術的なものはどうするかに関しては、これも当然、アプリケーションだけではなくて、計算科学技術と協力していかなければいけないということは明らかで、それについては神戸に設置する拠点のほうにしっかりとした組織を立てると。そういう位置づけで戦略委員会としては考えてきたということだと思います。

【村上委員】  よろしいですか。やはり次世代スパコンというような大規模な計算パワーがないとできないような情報科学技術はあると思うのですよ。要するに、ここでうたわれているのは要素技術のための情報科学技術を言っているのですが、次世代スパコンを用いてやらないとできないもの、例えば大規模なデータマイニングをやったり、あるいはシミュレーション結果からの何か発見ですね。シミュレーションをして、膨大なデータ、ペタバイトクラスのデータを処理した上で何らかの発見をすると。そういったものは次世代スパコンがないと、そういう壮大な実験ができないわけでして。ですから、情報科学技術は次世代スパコンクラスのマシンがなくてもできるだろうという発想があると、なかなか戦略分野には挙がってこないだろうと。おそらくここでのご議論は、要素技術としては多分、アーキテクチャーにしろ、コンパイラにしろ、そういったものはペタコンがなくてもできるだろうと。そういうふうな前提といいますか、仮定のもとで議論されたのではないかなと私は危惧します。私は喜連川先生のご意見に賛同いたします。

【宇川委員】  多分、そのあたりがアプリケーションの分野と情報科学技術の接点をどこで切り分けたらいいかという結構微妙なところにはなっているのだと思います。ペタコンの性能が例えばアーキテクチャー開発にしろ、そういうものは要らないだろうという観点から議論されたわけではないと思っています。

【有川主査】  かなり議論していただきましたので、もう一つ、こういった分野として情報そのものが入り得るのではないでしょうか。しかも、そういう非常に大きな計算資源を必要とするような分野が情報科学技術の中にあるのだということで、この分野が今、5つ挙がっているわけですが、6つ目とかに入れておくことは大事なことではないでしょうか。この戦略委員会のほうは、これで終わりということではないですよね。

【井上計算科学技術推進室長】  ええ、まだあります。

【有川主査】  では、なるべく意見を反映していただくようにしたいと思います。我々の委員会から6つ目として情報そのものの分野を一つ入れるようにという強い意見があったということで、それを受けて戦略委員会のほうで検討してもらうことにしたいのですが、それで大丈夫ですか。

【井上計算科学技術推進室長】  検討させていただきます。

【有川主査】  例題としては、村上先生がおっしゃったようなことだと思います。

【下條委員】  これは他の分野、少なくともここに出ている5つの分野については公募が始まっていて、コミュニティーごとの努力は始まっていると思うのですよ。

【有川主査】  この5分野についてはですね。

【下條委員】  ええ。喜連川先生の言われるのは非常にもっともなのですが、残念ながら、情報の人たちはそういう努力をしていないということなのです。

【有川主査】  まあ、手順からしますと、ここに挙がってきて検討するということですので、ここでそういう意見がございましたから、今からでも遅くはないと思います。

 本日は話がなかなか難しいところもございまして、少し時間がかかってしまいました。まとめるのも大変だと思いますが、情報学のこれからを体系化することにもつながりますので、そういう意味では非常にやりがいのある作業だと思います。

 事務局のほうから次回の予告をお願いします。

【事務局(遠藤)】  次回の委員会でございますが、第4期科学技術基本計画の検討等を9月30日水曜日、10時から文部科学省の14階特別会議室での開催を予定しております。どうぞよろしくお願いいたします。以上でございます。

【有川主査】 それまでにしっかりしたものとしてまとまるようにしたいと思います。

 本日は長時間、ご議論いただきましてありがとうございました。

 

お問い合わせ先

研究振興局情報課

電話番号:03-6734-4286