参考資料3−3

はじめに

 2005年1月、兵庫県神戸市において、国連防災世界会議が開催されます。この会議は、1994年に開催された横浜会議後の活動の検証と、21世紀の国際防災戦略を討議する重要な行事となります。文部科学省といたしましても、この会議に積極的に貢献すべく、これまで多くの準備を進めてまいりました。
 さて、日本は1995年に発生した阪神・淡路大震災での様々な経験を踏まえ、技術の発展のために重要なことは、各地域の災害特性や社会的、経済的、文化的な状況を十分に考慮した上で、真に現地の被害軽減に役立つ技術を適切に共有することであることを理解したところであります。また、このことは、文部科学省科学技術振興調整費多国間型国際共同研究として実施した「アジア・太平洋地域に適した地震・津波災害軽減技術の開発とその体系化に関する研究(EqTAP)」においても認識されたところです。
 このようなことから、減災に役立つ科学技術リストを作成し、国連防災世界会議における文部科学省主催のテーマ別会合「防災科学の研究・開発成果をいかに現実の施策に適用するか」において、日本の貢献策の一つとして国際社会に提示することといたしました。
 本リストの作成に当たっては、「文部科学省 科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会 防災分野の研究開発に関する委員会」の下に、専門家及び有識者からなる「国際防災協力のための防災科学技術に係るリスト作成作業部会」(主査:亀田弘行)を設置し、関係府省庁の協力も得て作業を進めてきました。
 なお、本リストの作成に際しては、発展途上国も利用することが容易な内容とすることが重要であるという観点から、低コストで高い防災効果が期待できる技術を重点的な対象としました。特に、成果を利用する人たち(ステークホルダー)との関わりや、成果を防災の現場に適用するプロセスを開発段階から想定した技術(適用戦略を持つ技術)を重視したリストの作成に心がけました。まだ第一段階の資料で、不完全なところも多々ありますが、これを出発点に、今後世界のリスト(World List)に育っていくことを期待しております。
 最後になりましたが、本リストの作成にご協力を賜りました皆様に心から感謝申し上げますとともに、この防災科学技術リストが世界中の防災関係者の方々に幅広く活用されることを願ってやみません。

2005年1月 文部科学省研究開発局地震・防災研究課
防災科学技術推進室長 中村隆行