航空科学技術委員会(第62回) 議事録

1.日時

令和元年7月31日(水曜日) 13時30分~15時30分

2.場所

文部科学省 18階 研究開発局会議室1

3.議題

  1. 研究開発ビジョンについて
  2. 研究開発課題の評価について
  3. 静粛超音速機統合設計技術に関する技術実証構想の検討状況について
  4. その他

4.出席者

委員

科学技術・学術審議会臨時委員  李家 賢一【主査】
科学技術・学術審議会専門委員  佐藤 哲也
科学技術・学術審議会専門委員  髙辻 成次
科学技術・学術審議会専門委員  武市 昇
科学技術・学術審議会専門委員  戸井 康弘
科学技術・学術審議会専門委員  冨井 哲雄
科学技術・学術審議会専門委員  松島 紀佐
科学技術・学術審議会専門委員  山内 純子
科学技術・学術審議会専門委員  和田 雅子

文部科学省

大臣官房審議官(研究開発局担当)  岡村 直子
研究開発局宇宙開発利用課長  藤吉 尚之
研究開発局宇宙開発利用課宇宙連携協力推進室長  平田 容章
研究開発局宇宙開発利用課課長補佐  宮川 毅也

(説明者)
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
航空技術部門長  佐野 久
航空技術部門航空プログラムディレクタ  村上 哲

オブザーバー

経済産業省
国土交通省

5.議事録

1. 開会

【宮川課長補佐】  それでは、定刻より少々早いですけれども、ただいまから科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会航空科学技術委員会第62回を開会いたします。
 本日は、お忙しい中お集まりいただきありがとうございます。私は、事務局を務めさせていただく宇宙開発利用課の宮川と申します。
 委員会開始に当たり、本日は、航空科学技術委員会の委員11名のうち、10名に御出席いただいておりますので、定足数である過半数を満たしていることを御報告します。
 続いて、本日の出席者でございますが、個別の御紹介はお手元の座席表をもって代えさせていただきます。
 続いて、資料の確認でございますが、今回もペーパーレスで行わせていただきます。
 本日の配付資料につきましては配付資料一覧の通りでございますが、全ての資料はタブレットPCで御覧いただけるようになっております。タブレットPCに不具合が生じた場合や操作方法が不明な場合は、事務局に適宜お申し付けいただければと思います。
 ただし、議事次第、資料62-1-4及び資料62-2-2につきましては、紙でもお配りしております。また、机上配付資料として、座席表、紙ファイルの参考資料集、カラー刷りのJAXA航空シンポジウム2019のチラシを配付させていただいております。資料の不足等がございましたら事務局までお知らせください。
 それでは、以後の議事に関しましては李家主査にお願いいたします。

2. 議事

(1)研究開発ビジョンについて
【李家主査】  今日は本当にお暑い中、お集りいただきましてありがとうございます。
 では、早速、今日の議事に入らせていただきます。
 議題の1番、研究開発ビジョンについてということで、今回は、第6期科学技術基本計画に向けた研究開発ビジョンの中間とりまとめの骨子を、前回の委員会ですとか研究開発ビジョン検討作業部会での議論を踏まえて決定したいと思っております。
 ということで、まずはこれまでの検討状況について、事務局から御説明をお願いいたします。

【宮川課長補佐】  事務局でございます。
 研究開発ビジョンについてということで、前回第61回の委員会におきまして、資料62-1-1でお示ししている、論点提示について御紹介した上で、自由に意見交換させていただいたというところでございます。詳細は省略しますが、その際に出た意見、あるいは、その後、今、李家主査からもございました通り、第1回の研究開発ビジョン検討作業部会を7月4日に開催させていただきまして、そこで出た御意見が資料62-1-2の通りでございます。委員の皆様からいただいた意見につきましては、62-1-2の通り、丸1から丸5の項目別に整理させていただいておるところでございます。
 具体的に御紹介いたしますと、丸1の研究人材の改革関連でございますけれども、ここにつきましては、求められる研究者像についてや、あとは、若年層の育成についてというところで、大きく分けて二つの観点から御意見を頂戴したというふうに考えております。
 求められる研究者像につきましては、短期的なものではなく、中長期的、30年ぐらいを見通して、重点の研究開発分野の変化に付いていって、それで、常にスペシャリストであるような人材が必要なのではないかという御意見、あるいは、また一方で、日本の技術をまとめていくという観点から、ジェネラリストも養成をするべきではないかと、二つ相反するようでどちらもなければならないものかもしれませんが、そういった意見もいただきました。あと、国際学会についての御意見もいただいたところでございます。
 また、若年層の育成につきましては、これもさらに二つに分かれておりまして、中高生をはじめ、もっと若いうちに航空について理解を図っていくべきだという御意見、あるいは、1回航空で学んだ学生がしっかりと研究者に根づくような教育をするべきではないか、あるいは、研究職に限らず航空関係の職を志すようにならなければならないのではないかと、そういったような御意見を頂戴したところでございます。
 2番目としまして、研究資金の改革でございますけれども、事務局の論点を資料62-1-1に示したところでございますが、その論点が資金獲得の観点が中心だったというところもございまして、いただいた意見としましては、資金の獲得の観点だけでなく研究リソースを効率化するべきではないかであったりとか、あるいは、より少ない予算や短期間で産業に貢献できる成果というのを出す制度、すなわち、研究開発の効率化の観点でも資金の改革関連に資するものではないかという御意見をいただきました。
 3番目、研究環境の改革でございますけれども、ここで挙げさせていただいている通り、今の研究環境というのもいろいろある中、これからどういうふうに研究していくべきだろうかという問題提起や、あるいは、ページをめくっていただきまして、2ページ目になりますけれども、研究開発設備の維持管理についても大事だという御意見を頂戴したところでございます。
 続いて、4点目でございますが、大学改革関連になりますが、研究者の評価について御意見をいただいたところでございます。具体的に申しますと、下線のあるところですが、業績の評価基準・方法の改革等が必要なのではないかという御意見でございました。
 続いて丸5でございますが、前回の航空科学技術委員会、あるいは、7月4日の第1回の作業部会で重点的に御議論いただいたところでございます。
 その中でいただいた御意見でございますが、まず、総論的には、空の移動革命やsociety5.0といった最近の情勢を考慮しつつ、社会がこう変われば航空輸送はこう変わるといった逆算的な見方をする必要があるのではないかという御意見と、あとは、そういった中で未来社会というものを検討する中で、航空機の市場の拡大、超音速機や現在の旅客機のようなものの延長線上のものと、あとは、空飛ぶ移動革命、ドローンであったり空飛ぶクルマであったりとかいった新規のマーケットの、二つ違う視点のものであって、それを二つ分けて考えるのではないかという意見をいただいたところでございます。
 このうち、旅客の輸送につきましては、例えば、1点目に書かせていただいている、大型化した上でロードファクター向上を目指す傾向であったりとか、あとは、超音速機の話であったりといったあたりの観点の意見を頂戴したところでございます。
 また、空の移動革命につきましても、航空機が自動車のように簡単に使える社会が将来的にはなっていくのではないかというところの御意見をいただきました。
 また、これとは別で、産学官の観点ということで、産業の観点で、燃費、安全性、環境性を満たすものというのは間違いなく将来の移動手段として求められるのではないかと。また、移動時間の短縮というところも議論の論点になるのではないかという問題提起をいただきました。加えて、ニーズ側、すなわちエアラインや運航者側なのかというところはありますけれども、そういった立場からシーズ抜きの、ニーズからの逆算の議論も必要なのではないかという御意見をいただいたところでございます。このあたりは、作業部会の方で、引き続きユーザー側のヒアリングも予定しておりますので、さらに議論を深めていきたいと考えております。
 最後、6番目ですが、デザインを実現する先端・基盤研究、技術開発関連でございますが、ページをめくっていただいて、3ページ目でございます。
 一つ目の御意見としては、人的予算的リソースは限られているので取捨選択が重要ではないかと。選択と集中ということになると思いますが、その中で、取捨選択というのは応用研究に近いところまでやるものとか、そういったところも見据えてやるべきではないかという御意見を頂戴しております。また、少し違った観点かもしれませんが、基盤技術として得意分野を伸ばしていくのか、あるいは、システム的なところ、かなり応用のところまで踏み込んでいくのかというところの方向性について共通認識を持つべきではないかという御意見も頂戴しております。また、更に違った観点ですけれども、未来社会デザインを実現するための技術として、技術の進歩、例えば、電動化のようなものを合わせて慎重に考えるべきだという御意見、あとは、最先端の技術というところなので、デュアルユースの観点も考えるべきだという御意見もいただきました。また、出口戦略の話ですけれども、実機による研究開発環境の充実というところも挙げていただいております。また、AI・IoTの活用であったり、あとは、最後に、他分野への技術移転の可能性というのも、航空という先端工学の立場から、そこは先端工学の責務といいますか、役割として考えるべきではないかという御意見を頂戴したところでございます。
 前回の委員会から今までにおきまして、このような御意見を頂戴しておるところでございます。
 資料62-1-3に移っていただきまして、ここでスケジュールの話をさせていただきたいと思います。
 前回の委員会が6月24日にございまして、そこから、6月27日には省内における科学技術基本計画の取りまとめを行っている総合政策特別員会が開かれており、引き続きシステム関連、すなわち、先ほどの62-1-2の資料でいうところの丸1から丸4の観点のところを深掘りしたような議論が行われたところでございます。それで、7月4日に第1回の作業部会を開催させていただきました。先日、7月23日には参考資料2の資料で総合政策特別委員会にて骨子案の取りまとめの検討を行い、7月23日の段階ではその骨子案の取りまとめというのはなされず、主査預かりの状態になっていますが、おおよその議論が尽くされたような感じになっております。
  62-1-3に戻っていただきまして、本日、7月31日が第62回委員会でございまして、ここで、先ほど李家先生からもありましたとおり、次に御紹介差し上げる中間とりまとめの骨子について御議論いただき、まとめた上で、第2回、第3回、第4回の作業部会を9月から10月の前半にかけて行わせていただき、10月の第63回の委員会にて研究開発ビジョンの中間とりまとめをさせていただくという予定とさせていただきたいと思っております。
 続きまして、62-1-4でございますが、今までの議論を踏まえまして、事務局で整理をさせていただきました中間とりまとめの骨子の案でございます。
 中間とりまとめの骨子の構成としましては、1が「はじめに」ということで、科学技術政策に関する動向、あるいは、ビジョンの目的を書かせていただき、2ポツとして航空分野の現状、これは、作業部会の方でヒアリングを行わせていただいておりますけれども、それを踏まえながら、我が国の航空分野の強みとか動向とか、あるいは、航空分野における科学技術行政への社会要請についてを整理させていただこうと考えております。
 続いて、3ポツの航空科学技術分野における未来社会デザイン・シナリオの実現方策というところでございまして、先ほど62-1-2での丸4と丸5の議論といったところをまとめさせていただきたいと考えております。3.1につきましては、未来社会デザインとシナリオというところで、こちらに2点挙げさせていただいているような、航空に関する社会要請の変化に対応した未来の航空像であったり、あるいは、航空需要の増大・多様化に伴う燃費の低減、安全性・環境性の向上、移動時間のさらなる短縮の追求といったところを書かせていただきたいと考えております。そして、3.2のデザイン・シナリオを実現する研究開発、基盤技術整備の方向性というところでは3点ほど、我が国の優位技術を考慮した技術戦略、国として注力すべき技術分野、基盤技術の選択と集中、あるいは、革新技術の創出に当たっての異分野連携、AI・ロボット・IoTの活用、そして、最後に、出口を見据えたデュアルユース・異分野への技術移転も視野に入れた産業界との連携。
 4ポツとしましては、実現方策を支えるシステム改革ということで、先ほどの62-1-2でいうところの丸1から丸4に相当するところでございますが、研究人材の改革ということで、デザイン・シナリオの実現に貢献できる人材像の構築、国際的感覚を有し、日本をまとめ上げることのできる視野の広い人材の育成をする体制・仕組みづくり、最後に、若年層に対する教育環境、若手研究者のキャリア形成に資する魅力ある環境・仕組みづくり、そういったところを書かせていただきたいと考えております。
 2ページ目になりますけれども、4.2で研究資金の改革ということで、より少ない予算・期間で成果を出す仕組み及びこれを評価する方法、研究者の継続的な挑戦を可能とする取組を展開する方向性、産学官連携や異分野連携による資金の調達方法の多様化、そして、4.3の研究環境の改革ということで、大型実験施設、数値解析プログラムのソフト・ハード両面のインフラ整備の方向性、研究者が効率的に研究に取り組むことができる環境づくり、最後に、4.4の大学改革として、イノベーション創出につながる研究者の業績の評価基準・方法の改革も含めた形の記述をさせていただこうと思います。 最後に、「おわりに」ということで、議論のまとめをするという形を考えています。
以上、これまで示させていただいた62-1-1や62-1-2に記載したとおりの前回委員会、あるいは、作業部会でいただいた御意見も踏まえて、それを要約した形で62-1-4を作成させていただいたところでございます。
 委員の皆様におかれましては、また、この骨子に書かれている内容への御意見、あるいは、今後、事務局が中間とりまとめの本文を執筆していくに当たってのさらなる御示唆、御意見を頂戴できればと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
 事務局の説明は以上でございます。

【李家主査】  どうもありがとうございました。
 ただいまも御説明がありましたように、今日はこの研究開発ビジョンの中間とりまとめ骨子について、しばらく時間をとって考えさせていただきたいと思うのですけれども、宮川さんからもありましたが、今後の中間とりまとめを作成するに当たっての御意見等を伺えればと思っています。
 ちなみに、前回の委員会やその後の作業部会でも申し上げましたけれども、私の理解では、この委員会では特に未来の社会がどうなっていくかと、そこに航空科学技術がどういう役割を果たしていくかという、そういったところを中心に議論して、それを総合政策特別委員会の方に出していくということがメインのミッションかなと思っております。それ以外に、資料の1番にあるようなフォーマットに従って、その他の項目についても付け加えさせていただきます。このような感じで、これからも作業部会で議論させていただきますけれども、今日のところはこの中間とりまとめの骨子についてまずは御意見をいただければと思いますので、よろしくお願いします。いかがでしょうか。
 この間の議論で、未来社会の航空に関するところでは、先ほども資料の2番の2ページ目あたりで説明がありましたけれども、未来社会のデザインということで、現在の市場の延長となるような分野と、空の移動革命と呼ばれている新しいマーケット、その2点について、それぞれ細かく見ていきたいということになったかと思います。

【宮川課長補佐】  すみません。事務局から1件補足でございまして、参考資料3に科学技術予測調査、分野別科学技術予測についてという資料を付けさせていただいております。これは、文部科学省の組織であるNISTEPと呼ばれる科学技術・学術政策研究所が、5年に1回ぐらい、科学技術基本計画の検討と合わせて行っているようなものでございまして、その中の分野別科学技術予測という中で、将来どういう技術が重要かというのを調査しているものがございます。結果としましては、ここで下に丸ポチで四つほど示させていただいているところが将来重要度が高いトピックとされたというふうになっておりまして、このうちの下線を引いてある三つが現在までの議論には余り出てこなかったものかなというふうに事務局で線を引かせていただきました。本日の議論の参考にしていただければと思います。
 以上でございます。

【李家主査】  ありがとうございます。
 この参考資料の3の科学技術予測調査ですが、現在もちょうど進行中と聞いております。ここにある項目は、一番新しいのではなくてその前のでしょうか。

【平田室長】  そうです。2015年のものです。

【李家主査】  ありがとうございます。
 参考資料の3の1ページの一番下の3項目というと、いわゆる落ちない飛行機と、交通管制に対して安全を向上させる技術と、無人航空機となっています。最後の無人航空機は言ってみれば、これが有人になれば空の移動革命につながるような、そういったところかと思いますけれども、そういうテーマが挙がっていたということです。何かお気づきの点、ありますでしょうか。

【松島委員】  すみません。よろしいでしょうか。
 空の移動革命ということと現在の技術の進展というところを二つ別々のものとして取り扱うということなんですけれども、マーケット的にはもちろん別かもしれないんだけれども、それを支える基礎技術というのはかなり共通化ができるものがあるかと思います。こちらに、今、示していただいた下線のついた三つの項目なんですけれども、これに関しては安全な航空機というものは現在の航空機にも利用できることであるし、空の交通革命のときの必要な技術であると思いますので、そういう基礎技術自体は共通のものが利用できて、しかも、そのベースを今の日本の研究自体がある程度持っているのではないかというふうに考えています。
 というのは、最近何年間で飛行実験というのをかなりJAXAさんの方でやられているんですけれども、それに使われた技術というのは制御技術がかなり使われていると思うんです。そういう技術は空の交通整理とかそういうところにも発展して使われていけるものではないか、素人考えかもしれませんが、そういうふうに考えるからです。
 それで以上です。

【李家主査】  ありがとうございます。
 そうすると、未来社会デザインで二つがあるけれども、その下に、そのデザインを実現する技術として両方に関わるようなものがあると。

【松島委員】  技術としては、共通のものがたくさんあって、それのシーズはかなり日本は持っているんじゃないかというふうに思っています。

【李家主査】  書き方として、二つ全然別々のものですよということにはならないように注意してということですね。

【松島委員】  もちろん、マーケットとか新規性とかいうところは別かもしれないですが、ゼロから出発しなくちゃいけないとかそういう意味ではないということです。

【李家主査】  どうもありがとうございます。では、戸井さん。

【戸井委員】  戸井です。私も実は同じところをコメントしようと思っていたんですけれども、前回のコメントで、特に私が言ったことで捉えられていただいたと思うんですが、62-1-2のところの未来社会デザインとシナリオへの取組の中でそういうふうに、旅客機の市場の成長と空の移動革命は違うものと捉えるべきと書いてあるんですけれども、これは、マーケットの市場予測という観点で旅客機の市場の分析が、空の移動革命とかそういうもの等を含めて考えられているものではないということで、あくまで空の移動革命というのは新たな技術が生み出す新たな市場可能性はあるものの、旅客機の移動に対しては、遠くに飛んで、さらにそこからまた近くに乗せて、の組み合わせでいろいろな融合市場も生まれてくるんだと思うんですけれども、旅客機の市場分析として今のところは空の移動革命の影響というのは特別に捉えられていないというのが的確かと。おっしゃるように、技術としては基盤として一緒にコアになるところはあると思っていますが、今の段階でも、電動化にしてもそのまま単純に発展できるようなものではなくて、小型のプライベートな乗り物のレベルと旅客機に適用するレベルはかなり開きがあって、そこもきちんと認識しながらやっていく必要があると認識しています。

【李家主査】  ありがとうございます。後者の方、新規のマーケットの方がどのくらいあるかとかそういった話は別にあるけれども、やはり技術関係は統一して扱えるということですね。ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。

【松島委員】  すみません。もう一つよろしいですか。
 非常に空の移動革命にこだわるようですけれども、空の移動革命で、現在、スタートアップとかリーディングカンパニーとかという形で名乗りを上げているところは、どちらかというと航空というよりは自動車産業とか制御技術とかそういうことをやっている企業さんが多いんですけれども、絶対、航空がキーというかコアになるべきと考えています。空を飛ばすということに対し、安全性とか非常に先端的なテクノロジーが要るということを考えると、航空が中心にならないと絶対実現性のレベルが落ちるし、しかも、実現するまでの時間も航空が入らないと非常に長くなると思うので、ぜひ航空を中心にしたビジョンというか、そういうものができてくるといいと思っています。
 それから、もう一つ。空の移動革命だと交通網の変化だけと捉えられがちなんですけれども、空をたくさんの移動物体が飛ぶようになると、移動のためのターミナルみたいなものとかを考えることも必要になり、都市の外観自体を考え直すということもあるのではないか。例えば、地方の都市とか過疎化の地域とかの役割もまた変わってくるんじゃないかなと、非常に将来の長い話かもしれないんですけれども、そのように、社会の変革に応じて航空が変わるということもあるし、航空の技術によって社会が変わるということもあるように思います。先回の委員会で第6期科学技術基本計画においてはサスティナビリティーとインクルーシブというキーワードが紹介されましたが、これまでの議論で、サスティナビリティーの話は出ていて、それはかなり今の方針に盛り込まれていると思うんですけれども、インクルーシブという意味のことでそういう意味での観点が少ないというふうに感じております。インクルーシブの意味で、地方も巻き込むということが出来るという点では間接的な効果かもしれないけれども、空の移動革命というのは効果があるように感じています。

【李家主査】  ありがとうございます。
 1点目は航空が中心になって動くべきであるという、そういった御指摘だったと思いますが、2点目の方のインクルーシブというのは、航空の方でいろいろ変わってくるとそれによって社会のほうが影響を受けて、大都市圏だけではなくて地方にまで影響が及ぶので、そのあたりの未来社会のデザインを考えるべきではないかと。

【松島委員】  はい。

【李家主査】  ありがとうございます。

【竹内委員】  先ほどから何回かマーケットという言葉が出てきています。私は前回欠席したのでとんちんかんなことを申し上げるかもしれませんけれども、私の考えではマーケットが変わるということはないと思うんですね。空の移動革命という言葉もあります。もちろん技術革新はすごく進むと思うんですけれども、需要といいますか、マーケットは革命を起こさないはずです。お客さんはいつも安くて快適で早ければそれでよいということ、技術が進んで移動がより一層より早くより安くより快適にということだけなのだと思います。そういうニーズに対して技術の方で革命が起こるというように私は思うものですから、そこは切り分けて考える必要があるんじゃないかということが一つです。
 同じく、マーケットといいますと、最近、日本でも海外でもそうですけれども、今、どんどん空港が民営化されてきて、採算ベースで考えていくという、いわゆるコンセッション方式などが普及してきて、空港側も需要開拓のためにもなるべくお客さんに快適に過ごしてもらうという風に変わってきています。それを考えると、これは取りまとめに入りにくい気はしますが、上空を飛んでいるときの技術の話しがとても多くて、離陸するときと着陸するときの話、つまり、空港との連携という観点が余り出てきていない気がします。空港側としては、特に飛行制限のある場合などは利用できる時間帯に何とか着陸してほしいとか、あるいは、悪天候であってもちゃんと出発してほしいとかあるわけです。そういうところの技術開発という点も見ていかないといけないのではないかと思います。つまり、航空機が空港とどうやってうまくやっていくかという視点が今後は大事になるんじゃないかと思っています。
 それから、最近、皆さんが心配してらっしゃるのは、環境のほかに、航空機からの付属物や氷塊の落下の話ですよね。物理的な話ですけれども、それがクローズアップされ、羽田上空の話のように反対運動が起こっている。そうした問題を解決する技術をどうするか。実はこれはものすごく単純なようで大事な話です。要するに、社会の受容性という意味で、大事ではないかという気がしています。
 あと、資料1-4の2ページの紙のほうを見ているんですけれども、4.3の研究環境の改革のところで、2番目の白丸の研究者が効率的に研究に取り組むことができる環境づくりというところです。言葉として、もう一つ補ってほしいのは、インセンティブがないと一生懸命頑張って研究してやろうという気持ちが起こらないので、効率的にという言葉に加えて意欲的にという言葉も入れてほしいという気がします。積極的に研究に取り組もう、新しいものを生み出そうという気持ちを起こすということが極めて大事だと思います。そのインセンティブがあってこそ、括弧3、初めて効率的にものが進んでいくということがあると思いますから、文言だけの話ですけれども、そういうことも盛り込んでいただけるとありがたいと思っております。
 以上です。

【李家主査】  ありがとうございます。どうぞ。

【佐藤委員】  質問なんですけれども、これをぱっと見た感じ、結構未来志向な感じで書かれているなというのがあって。3.1の2個目が、多分、現在のもののさらなる向上みたいな形で書かれているんですけれども、結構技術的寄りみたいに見えて。今の日本の産業界の世界に対するシェアをどんどん上げていこうみたいなところはどの辺に書いていくのか、そういうのは盛り込まなくていいのかなとちょっと思ったんですけれども。

【宮川課長補佐】  そうですね。産業政策という観点を申し上げると、そこには流れとしては余り入っていないというところで、2ポツのほうで現状の分析といいますか、現状の把握という形で業界団体の方をお呼びして、ヒアリングをして、2ポツの方に記載しようというところは考えておるところですけれども、その先は、未来社会のデザインからフィードバックするような形でどんな技術、どんな社会が実現されるためにどんな技術をという観点で書かせていただいているところではあります。

【佐藤委員】  はい。

【李家主査】  そうすると、今回の目的が何を見ているかという話につながってきますが、多分、佐藤委員の御質問は、やはり航空というのは産業と密接なものであるので技術一本槍ではないのではないかということですね。そのあたり、どのくらいまで取り扱えるのでしょうか。

【宮川課長補佐】  そうですね。もし書くとすると、3.1のところに、どういう社会になっているかというところで、ここではちょっと書かれていないですけれども、例えば、3Dプリンターの話とか、そういう工学の発展というところでどのような社会になっていくかというところはあろうかと思いますので、またそこはちょっと今後の検討課題にさせていただきたいと思います。

【李家主査】  お願いいたします。
 ほかはいかがでしょうか。どうぞ。

【和田委員】  私もこの2の未来社会デザインとシナリオへの取組というテーマになっていますので、未来社会デザインとなると、将来の部分に対しての話になってくると思うので、ここの空の移動革命とかいろいろなことが書かれていると思うんですが、その中で実際に、今、お話あったように、ニーズ側と提供する側の部分をどこまで空の移動革命とかで判断していくのかとか、あと、例えば、ニーズ側であれば、こういうことがあったらいいなというのは、例えば、航空会社として考えているかもしれませんけれども、それがじゃあ、実際どこまで技術が発展して空の移動革命とかが起きるのかというのは、なかなかそこまで予測がつかない部分というのもあると思うんですけれども、ここの中で、今、お話あったように、どこぐらいまでの空の移動革命だと誰を顧客、市場として捉えているのか、そして、提供する側はどこまでを提供する側として捉えていくのかというところがちょっとここの中で混在しているような感じがするので、ちょっとそこがわかりにくいのかと思います。

【李家主査】  つまり、もう少し整理して、提供する……。

【和田委員】  空の移動革命ということで、先のことですので、どこまで整理できるのかというのはちょっとなかなか難しいとは思うんですけれども、こう見ていると、産学からの観点もニーズ側も必要であるというところもありながら、じゃあ、実際のところ、何をもって顧客側にするのか。先ほど空港の話とかもありましたし、その辺とかがもう少し整理できるとわかりやすくなるのかなと思いました。

【李家主査】  ありがとうございます。
 今後も、先ほどお話ありましたように、ニーズ側の方からヒアリングが予定されているということでした。ただし、今日、いろいろな方から御意見いただいたように、技術オンリーではなくてもっと広い視野から議論して整理すべきという、そういったことがよくわかりました。この辺はこれからもう少し考えて骨子にまとめていければいいかなと思います。どうぞ。

【武市委員】  最初の松島先生のお話に戻るんですけれども、同じく3.1のところの未来社会デザインとシナリオ、これを実現するための基盤技術はある程度そろっているんじゃないかというお話でした。これから大事になってくるのは基盤技術から実用化へつなげる段階の技術のはずなんですが、それに関する記述が足りないという気がします。ですから、TRLを低い段階から9まで上げて行く部分の研究開発が、この委員会が目標としているところそのままですが、それに関する項目が一つあるべきかなと思います。

【李家主査】  ありがとうございます。その辺のところも整理して、追加ということでお願いいたします。
 ほかはいかがでしょうか。
 では、私から確認というか、この間の作業部会の中での議論とも関連しているかもしれませんが、資料の4の、1枚紙の方でいいますと3.1の二つ目の丸ポチの最後のほうに、移動時間の短縮のさらなる追求という、そういうことがあります。ちょうどこれが、資料の2の方ですと、2ページ目の下から4行目に下線が引いてありますけれども、「移動時間としてどの程度が求められるかは議論の余地があると思う」と、そういうふうに資料の2の2ページ目の下のほうに書かれています。そうすると、どうでしょうか。どんどん早くなるのがいいと言っているのか、そこまでは必要ないと言っているのか、その辺のところが読みにくい感じがしたのですが。

【宮川課長補佐】  そうですね。おそらく移動時間が早くなるのと、あと、それに伴って運賃面であったりとかいろいろあると思うんですが、そことの費用対効果といったところも含めて考えていくべきなのではないかと、そういったところで解釈はしたところでございます。
 先ほども委員の御意見もありましたように、どれだけ早く安くというところの早くを実現したところの安くとどうバランスをとるかというところかと思われます。

【武市委員】  すみません、割り込んで。そうすると、上の項目に空の移動革命とか災害・救急への対応「等」、と書いてあるわけですが、下の項目も燃費低減とか安全性・環境性の向上、移動時間の短縮「等」と付くべきじゃないですか。あくまで例示ですよね。現在の航空機の進歩の方向性の例示がこの項目でされている、という解釈をしています。

【李家主査】  それでよろしいですか。

【宮川課長補佐】  はい。すみません。

【李家主査】  ほかはいかがでしょうか。

【髙辻委員】  私もここは例示という感覚でよろしいかと思います。そうなってきますと、空の移動革命云々との対比といいますか、要は、空の移動革命というのはより身近なものにして使い勝手のいいものになると思いますので、安全性・環境性も確かにそうですが、もう一つ、信頼性というものを入れておいた方がより方向性がはっきりすると思います。

【李家主査】  ありがとうございます。
 先ほどの安く早く快適にという件で安全性というのもありましたけれども、さらに信頼性という……。

【髙辻委員】  すぐ故障するようでは、また物が、先ほどあったように落ちると思うんですよね。

【李家主査】  信頼性というのがキーワードと。ありがとうございます。
 ほか、いかがでしょうか。
 そういたしますと、今、いろいろと御意見を頂戴しましたので、その観点から、この取りまとめの骨子の構成に関しては現在の構成に、ただし、いろいろな文言を追加していく、あるいは少し書き直すようにしていけばよろしいでしょうか。第3章、それがキーになるところですけれども。それでよろしいでしょうか。
 では、そういった格好で事務局のほうで直していただいて、さらに作業部会のほうで今度は文章化していく、中間とりまとめの文章をこの骨子に基づいてつくっていくということにします。今後、3回の作業部会があると先ほどお話ありましたけれども、その3回の作業部会を使って取りまとめの案をつくらせていただいて、10月の次回のこの委員会でさらに審議させていただければと思います。
 そういったことで、ひとまずこの骨子案については、今回いただいた御意見も踏まえて、私、主査一任ということにさせていただいた上で決定ということにしたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。
 どうもありがとうございます。
 それでは、そのように進めさせていただきます。
 今も申し上げましたけれども、研究開発ビジョンの検討作業部会のほうでさらに検討を進めて、次回の10月の委員会にて研究開発ビジョンの、今度は中間とりまとめの案を報告するようにしたいと思います。どうもありがとうございました。

(2)研究開発課題の評価について
【李家主査】  それでは、次の議題の2番目、研究開発課題の評価についてということでいきたいと思います。まずは、事務局から御説明をお願いいたします。

【宮川課長補佐】  本件はコアエンジン技術の研究開発の中間評価をさせていただいているものでございまして、前回に引き続いての議題でございます。
 資料で言いますと62-2-1から3でございまして、資料2-1の概要は前回と同じものですし、資料2-3の補足資料についても変更はございません。
 前回の委員会後、事務局作成の中間評価の案について各委員からのコメントをいただきまして、それを反映させた形で資料62-2、中間評価票の案を修正させていただいておるところでございます。
 全体といたしましては、資料の記述を詳細化するようにという御意見であったと認識しておりまして、そのあたりの修正と、あと、文言上の修正とあわせて行わせていただいたというところでございます。
 順を追って御説明申し上げますと、まず、4ページ目でございます。課題の進捗状況に関してでございますが、竹内委員からの文言上のつながりの観点の修正であったり、李家主査からは「順調に進められた」というところに関してもっと具体的に記載すべきというところで御意見を頂戴いたしました。ここにある通り、説明を飛ばしてしまいましたけれども、青字がもともとの案でございまして、もともとの案から追加したものが赤字で、削ったものがグレーで取り消し線になっておりますので、4ページにあるように、順調に進められているというところを削除して、具体的な記述を加えさせていただいたということになります。
 また、5ページ目でございますが、和田委員から、こちらも文言上修正をいただいております。
 続きまして、5ページの下から(2)各観点の再評価でございます。事前評価に関する必要性、有効性、効率性の評価を現時点で再評価するものでございます。
 6ページ目には2点、世界の航空産業の規模や額に関しての記載を最新化するとか時点を明示してくださいという御指摘でございますので、それにつきましては中間評価のほう、すなわち、9ページ以降で記載させていただいたところでございます。また、戸井委員からも日本の航空産業の強い部分について記載するようにという御意見をいただきまして、これにつきましても中間評価のほうの記載、すなわち、9ページ以降に反映させていただいたところでございます。
 続いて、9ページを御覧いただきたいと思いますけれども、先ほどの髙辻委員の航空機産業の規模の推移が1.8兆円前後になっているというところについては、再評価のところの頭の部分に書かせていただいたところでございます。続いて、竹内委員から、航空産業の構造という部分が何の構造かわかりにくいという御指摘を受けましたので、その部分も詳細化するような修正をしております。また、先ほどの戸井委員の、日本の得意分野の記載については、9ページの一番下のほうの記述に追加させていただいておるところでございます。
 10ページに移っていただきまして、これは、研究開発期間の延長でございますけれども、こちらについてもその理由の記載のところで、「燃焼器に関する各要素技術の統合(両立)」の各要素技術という部分がわかりにくいのではないかという御指摘をいただきましたので、具体的な記述にさせていただいたところでございます。松島委員からも同様の意見をいただいておりますので、先ほどの佐藤委員の御意見と合わせた形で修正させていただいております。
 そして、11ページでございます。李家主査から、終了時期が1年遅れたとしても、製品化のターゲットとする期間において問題ないというところを記載すべきというところの御意見をいただきましたので、11ページのところの最後のパラグラフを詳細化させていただいているところでございます。
 続いて、11ページの下以降の有効性でございますが、しばらくページを飛んでいただきまして、14ページになります。一番上ですが、竹内委員から文言上の修正をいただきましたので、それを反映させていただいております。また、松島委員からは先ほどの必要性のところでいただいたのと同じ観点の御指摘で、評価項目に即した書きぶりにすべきというところでございますので、また同じように14ページを修正させていただいております。また、和田委員からも文章表現上の御指摘をいただいております。佐藤委員からも松島委員と同様に、事業評価への貢献という観点から評価を書くべきということで、先ほどの松島委員の御指摘と合わせて修正させていただいております。李家主査からも有効性が高まるとわかる記述にということなので、同じく松島委員の御指摘への修正と合わせて行わせていただいております。
 そして、15ページの下からの効率性でございますけれども、和田委員から表現上の御指摘をいただいておりますので、18ページ以降の再評価のところで留意させていただいているところでございます。
 ページをめくっていただきまして、18ページですけれども、竹内委員から、研究資金は当初の計画内におさまっているというところと、あと、見直すべきというところのつながりが少しわかりにくいという御指摘でしたので、文章の表現を改めさせていただいております。あと、佐藤委員と松島委員からは、必要性と有効性と同様に、評価項目に即したような言い方をすべきということで御指摘をいただいておりますので、18ページにあるような修正をさせていただいておるところです。李家主査からも同様に、効率性が高まるようなということをわかるように修正すべきということで御意見をいただきましたので、その通りにさせていただいております。
 19ページ中ほどの、科学技術基本計画等への貢献状況でございますけれども、佐藤委員から、記載のとおり、希薄予混合燃焼やCMCなどが我が国が得意としている技術だったり新しい技術であるということを書き加えてはどうかというところの御指摘をいただきましたので、19ページ下のほうの通り修正させていただいております。
 めくっていただいて、20ページですけれども、竹内委員から、科学技術基本計画に大きく貢献するものであるとしていた表現で、それが計画の実行というのは手段であって目的ではないのではないかという御指摘をいただきましたので、本来の目的である我が国の航空科学技術の発展というところの文言を加えさせていただいております。
 最後、(4)、今後の研究開発の方向性ですけれども、佐藤委員から、現在の記載が後ろ向きな感じがするという御指摘をいただきましたので、前向きになるような修正をさせていただいています。李家主査からも、リスクが過大にならないようにするために不可欠というところで、なぜ不可欠であるかというところの説明を加えるべきであるという御意見をいただきましたので、この部分で修正を加えさせていただいております。
 あと、最後、22ページでございますが、和田委員から文章表現上の御指摘をいただいておりますので、それを反映させていただいているところでございます。
 以上の形で、前回の委員会時点からいただいた御指摘を踏まえた事務局修正案を作成させていただきまして、今、御覧いただいたとおり、再提示させていただいたところでございます。
 以上でございます。

【李家主査】  どうもありがとうございました。
 では、ただいまの御説明に関して、この中間評価票の案ですが、御質問や御意見等ございますでしょうか。

【山内委員】  前回出席していないので御説明があったのかもしれませんけれども、1年間期間を延長しましたと。それで、予算はそのままでも大丈夫ですという、議事録でそう書いてあったんですけれども、それが若干疑問なんですけれども、1年も延びるのに資金があらかじめの予算で対応できるのはなぜかなというのを疑問に思ったので、そこだけちょっと説明よろしいですか。

【李家主査】  では、その点、説明をお願いいたします。

【村上PD】  ここで書いている予算は人件費は含まれていませんので、人件費も含めますと、1年間それに専従する人件費になります。
 ただ、私ども、この研究開発の中で、最も効果的な研究開発の方策、例えば、試験手法の、例えば、今までそれまでは空圧で試験をする計画をしていたものを水圧でやっても十分じゃないかであるとか、それから、試験供試体はやっぱり最初は安全をみて、かなり数を想定していたわけでございますけれども、その1年間の研究開発の中で相当リスクが下がった部分があったので、製作する供試体の数を減らすことが可能だということがはっきりしましたので、不必要につくることは無駄ですので、その結果といたしまして、全体との資金規模としてはほとんど当初の予定したものと変わらないとする範囲におさまったということでございます。

【山内委員】  要するに、手法をいろいろと精査した中で、削れるところは削り、やり方を変えるとか。

【村上PD】  そうですね。削れるといいましょうか、無駄なところを削ったということでございまして、要するに、研究が進むと、リスクが最初はあるので、例えば、供試体の数も種類をたくさん用意しようという部分を積み上げているわけでございますけれども、1年間我々としては事前の検討をして、基礎試験をした結果として、そこまで用意しなくても十分ちゃんと実証できるよねということで、もちろん予備品は用意させていただいておりますけれども、それは減らすことができたりとかですね、試験の手法として工夫をすることによって、お金のかかる手法ではない実験手法というのを適用することによって、もともと5年間で予定した資金規模とほぼ総額レベルでは変わらないと、そういう規模で実施できることの見通しを得たということでございます。

【山内委員】  ちょっと不安というか、なぜ1年もというのがちょっとあったので説明を……。

【村上PD】  当然だと思います。企業ですと、当然、人件費がさらにその上に乗っかりますので、人件費はここでは、我々、いわゆる調達経費、物品費という形の部分の資金を予算として計上させていただいております。

【山内委員】  はい。

【李家主査】  ありがとうございました。
 では、今、御質問いただいた点、やはり疑問というか、はっきりしておいた方がよろしいですかね。この評価票の中でも何か追記していくようにすると。

【山内委員】  効果が、今、あるわけですよね。従来やっていた内容が、効果として現れたという点もあるわけですよね。

【李家主査】  ええ。

【山内委員】  いろいろな検討をした結果。

【李家主査】  ええ。

【山内委員】  わかりました。

【武市委員】  その続きでもう一点お伺いしたいんですが、これはメーカーとの共同研究ですよね。そうすると、メーカー側のコストも増えることになりますね。

【村上PD】  メーカー側の資金負担は相応にあります。

【武市委員】  メーカーにとってはコストが多少増えてでもやる価値のある研究開発である、ということですね。

【村上PD】  そうです。我々とメーカーと合意文書を締結したそういう趣旨です。

【武市委員】  という趣旨も書けるかもしれません。

【村上PD】  前回の資料でメーカーとも合意したと書いてありますね。メーカーと合意して研究開発の計画を、当然、立案しておりますので。

【李家主査】  そうしますと、この評価票の方にも何か追記できますかね。

【武市委員】  前向きな書き方ができそうです。

【李家主査】  ええ。

【山内委員】  いい形で書いてほしい。

【李家主査】  ええ。

【村上PD】  一言で申し上げれば、コストをきちんと精査したということと、それから、知見、実施手法の工夫をしたということによって、1年間延長と追加の試験が加わったんだけれども総額レベルではほぼ同じであると。

【宮川課長補佐】  評価票で言うと、今の資料で18ページになりまして、その下の方に妥当であると書いてあるところですが、「現在までの進捗状況及び」の後の「研究コストの精査の状況から」というところで、それが、今、村上PDから話があった、試験の数の精査をしたりとか、そういったところを表しておるところでございます。そこを少し具体化するような。

【李家主査】  そうしていただけるようお願いします。どうもありがとうございました。
 ほかにお気づきの点、ありますでしょうか。この評価票に捉われなくても。失礼しました。どうぞ。

【竹内委員】  文章表現ばかりの話になって、余りうるさく言うのもどうかという気はするんですけれども、14ページのところの私が申し上げた優位性のところの文章です。ここは直してくださってありがたいんですけれども、まだよくわからないところがあります。この文章というのは「鑑みると」の後、「本研究開発に係る技術が、他国の技術に対して有する」のこの「有する」というのが、その直後に来る「環境適合性」にかかっちゃうように見えるんですよね。でも、ここは、他国の技術に対して有する優位性が変わらないということが言いたいところなので、おそらくこの「環境適合性と経済性の向上の観点」はもっと上の方に持ってきて、「研究開発状況等に鑑みると、環境適合性と経済性向上の観点において、他国の技術に対して有する優位性が変わらない」というような表現の方がよりいいんじゃないかという気がします。
 というのが一つと、あと、これも御苦労されたんだなとつくづくよくわかるところがあり、私も何かいい表現がないかなと考えても、私も頭に浮かばないんですけれども、20ページのところです。計画に貢献するということが目的になっていると。いや、技術というのはここでは科学技術に貢献することだということを申し上げて、それを「及び」でくっ付けてくださったんですよね。ただ、これもよく見ると、「及び」になっていると、手段及び目的に貢献するという意味になってしまいます。手段と目的が並んじゃっているんですよね。そういう意味だとすると、それもちょっと変だなという気がするんですよ。だから、それを何とかできないかと私も考えていたんですけれども、私自身が研究開発計画と科学技術基本計画との関係がよくわかっていないし、うかつなことを言えないのですが、「及び」でくっ付けるのもどうも何か変だなという気はしています。

【宮川課長補佐】  そこは、その上が、本来は研究開発計画に記載されているような研究開発を遂行するとそれが科学技術基本計画に貢献しますということで、そこは実はその上に書いてあるので、研究開発計画に掲げられる取組の推進を通じて、単に「我が国の航空科学技術の発展に大きく貢献するもの」の方がすっきりするかと思うんですけれども。

【竹内委員】  科学技術基本計画がなくても問題がないならその方がすっきりはしますけれどもね。その辺はお任せしますので。些細なことですみません。

【李家主査】  では、そこは修正していただくことでお願いいたします。
 ほかはいかがでしょうか。
 ちょうどいい機会なので、この計画に関して燃焼器とタービンの二つのテーマの研究がなされていますけれども、今後のそのあたりの研究の進め方等で何かコメントというか、何かありましたらいただければと思うのですが、いかがでしょうか。
 では、私から。前にも伺ったことがあるかもしれません。この研究開発はそれとして、次につながるように計画されていろいろと作業されていると思うのですけれども、その辺のところの見通しというか、今のところの状況でよいのですけれども、今もありましたように、1年延長して、さらなる成果を得て、すぐに産業界に役立つ成果を出すということで御説明いただいていますけれども、さらに将来的なところはどんなふうにつながっていくのかと。

【村上PD】  今、これは我々としては、前回御説明した通り、JAXAの研究開発プロジェクトという形で、そこを全体として集中的に投資もして進めていくプロジェクトということで、今、進めさせていただいています。今、李家主査がおっしゃった通りでして、その後、我々も基本的には産業界と一緒に組んで、パートナー企業に対して一緒にするなら技術移転されていくわけでございまして、その中でパートナー企業が海外、例えば、OEMとか、そこへの提案をしていくとか、その中では当然引き続きJAXAも技術支援をする形、これはお金をいただいてする形というケースが多いかなと思います。
 その先にある、JAXAが主体となって進む研究というものに関しては、我々は今、例えば、今までやってきた中で含まれた圧縮機の高効率かつ高精度に性能を予測する技術の研究開発であるとか、それから、もともとエンジン騒音は大分下がってきたわけですけれども、いまだにエンジンの騒音というのは離陸時の騒音を支配している部分もございますので、その騒音を下げる技術といったものを特に企業と協力しながら進めておりますし、さらに、今、電動化といってもいきなりハイブリッド推進システムという形の部分も、もちろんそれも進めておりますけれども、一部を電気化していくというような研究をその中に取り込みながら将来に備えていくというような研究は、プロジェクトではございませんけれども、航空部門としては研究活動の一環として要素技術として研究を、今、進めている段階でございます。
 従いまして、今、このプロジェクトが成功裏に終わり、その先に進んだときに、その今進めているものが研究のネタとなって、プロジェクト化にそのとおりに進んで、さらなる競争力の強化につながればいいということを狙いながら、基盤的なところが多いですけれども、要素技術であるとかそういうところを中心に進めているというところです。

【李家主査】  ありがとうございます。
 このような観点から御意見等ございますでしょうか。よろしいですか。
 では、今も御説明があったように、先を見通していろいろと進めていっていただければと思います。
 そういたしますと、御意見も尽くされたと思いますので、本日いただいた追加の御指摘の事項を踏まえて、中間評価票を修正していただきまして、その修正結果についてはまた私、主査一任ということにさせていただいた上で、研究計画評価分科会の方に諮らせていただきたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。それでは、そのように進めさせていただきます。

(3)静粛超音速機統合設計技術に関する技術実証構想の検討状況について
【李家主査】 では、次、3番目の議題になりますが、静粛超音速機統合設計技術に関する技術実証構想の検討状況についてということで、まずは、事務局から御説明をお願いいたします。

【宮川課長補佐】  文部科学省、JAXAにおきましては、静粛超音速機統合設計技術の研究開発として昨年度中間評価をいただいたものでございますが、平成28年度から本年度の4年間で低ソニックブーム、低着陸騒音、低抵抗、軽量化を同時に満たすシステム設計技術の研究開発に取り組んでおります。
 本日は、その先の技術実証構想の検討状況について現時点のものを御報告差し上げて、委員の皆様からの御助言、御指摘をいただきたいと考えております。
 それでは、具体的な説明はJAXAの方からお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。

【村上PD】  では、私の方から、資料の番号62-3-1に基づきまして、現在、私どもが行っております静粛超音速機統合設計技術に関する技術実証構想の検討状況ということで御報告申し上げたいと思います。
 この研究開発自身は、ここの委員会で御承認いただいた上、2016年から4年間の計画で、今年度いっぱいを終了年度として進めているものでございまして、先ほど宮川補佐から御紹介がありました通り、昨年度、ちょうど1年前ですけれども、ここで中間評価をいただいて、継続するということで、本日は、その中でその次のステップへ進んでいく技術実証構想というのをこの研究開発の中で検討すべしというのがもともとの研究開発構想にございましたので、それの一部の状況につきまして、本日、御紹介をするとともに、今後の進め方などにつきまして委員の皆様の御意見などを賜わればと思って、本日報告する次第でございます。
 お時間といたしましては、私の方から、少々長くなりますけれども、20分弱ほどお時間をいただきまして、資料に基づき御報告したいと思います。
 1枚めくっていただきまして、目次でございますけれども、本日は、研究開発の課題の概要、これはもう皆さん御存じですけれども、新任の先生もおられるということなので、少し振り返りさせていただくとともに、もう昨年、中間評価をしていただいているわけですけれども、その後の1年も含めたこれまでの進捗状況も簡単に御紹介し、今年が最終年度ですので、その成果の見通しの状況、その辺について触れたいと思います。
 最後に、本日の本題でございます科学技術実証構想として、今、JAXAの航空技術部門でどのような検討とどういうふうな方向で考えているのかということを御報告いたしまして、最後に、我々としての今後の進め方の案としてはこういうことを考えていますということをちょっと御紹介させていただき、御意見賜われればなと思っています。
 1枚めくっていただきまして、3ページ目になりますけれども、この研究開発自身は、先ほど申し上げましたように、2016年度、3年前からスタートしておりまして、超音速旅客機の実現にもちろん大切なことは環境基準、環境への適合性というのと、経済性がちゃんとあるのかと、この両立するような技術を確立することが求められているということで、これまで皆さん御案内の方も多いと思いますけれども、低抵抗という要素の部分に関しての技術を飛行実証しまし
た。それから、低ソニックブームに非常に特化した形でD-SENDというプロジェクトで飛行実証して、我々のコンセプトの優位性というものを世の中に示してきたわけでございますけれども、これを踏まえまして、それぞれの要素技術が低騒音であるとか低燃費といったものと合わさった形で成立するような、そういう設計技術としてちゃんとつくっていこうというのがこの研究開発の中の課題でございまして、それを最終的にはシステムレベルでそういった低ソニックブーム設計技術を中心としたものを改めて実証していこうということを目的として進めているものでございます。
 具体的な実施内容といたしましては、大きくは三つございまして、一つは、これまでも進めてきた、国連の機関である国際民間航空機関の航空機環境保全委員会のもとに置かれました超音速タスクグループにおきまして、ソニックブーム、今は離着陸騒音も含まれますけれども、そういった国際基準の策定にJAXAが主体的に貢献していくというその活動と、それからもう一つは、それぞれの低ソニックブーム、低抵抗、低燃費、軽量化、あるいは離着陸騒音低減化技術と、こういった要素技術をそれぞれ高度化して、それを最終的に一つの機体としてまとめて、離着陸から超音速巡航し着陸するところまでを一連の形として成立し得る、そういったような設計コンセプト、設計技術というものを研究していこうということでございます。
 下にちょっと書いてございます。左下にあるような、50人乗りで巡航マッハ速度1.6を想定して、航続距離としては3,500海里、nm、6,500キロメートル以上を実現するようなものとして、技術目標としては下に書いてあるようなものでございます。こういったものをターゲットといたしまして、今、申し上げたような技術研究というものを進めてまいりました。
 合わせて、そういった技術を、優位性を獲得する、言うなれば、そこで持っている優位性をきちんとデモンストレーションするということが我が国の競争力強化にもつながるし、ひいては産業界の競争力にもつながるということで、その構想の検討もその中の一環として進めるということになってございました。
 右下にある表にありますとおり、我々として要素技術としては低ブーム、低抵抗というものの両立と、それから、離着陸騒音に関わるエンジン騒音、それ自身の低減、デバイスの技術が中心でございますけれども、エンジン騒音の低減、それから、低速性能を上げますと離着陸時の騒音が下がるということで、低速時の性能の向上、それから、軽量化の技術、これは低燃費と関わりますけれども、こういった四つの要素技術を中心に三つの課題で取り組んできたというものでございます。
 1枚めくっていただきまして、現在の進捗状況につきまして御報告申し上げたいと思います。
 4ページ目は、先ほど申し上げました、ICAOと呼ばれております国際民間航空機関のもとの環境保全委員会の超音速タスクグループにおきまして検討されています、超音速に関わる国際環境技術に対してのJAXAとしての貢献でございます。これが机上の配付物で、同じ資料番号かもしれませんけれども、正式配付ではないんですけれども、1枚紙で、「超音速機開発および関連規制の動向」という取り扱い注意のものが委員にはあるのかなと。

【宮川課長補佐】  タブレット上です。

【村上PD】  タブレット上で、多分、同じ資料番号になっているかなと思います。資料62-3-1というのが二つございます。よろしいでしょうか。資料番号的には、多分、同じ番号で二つあって、下の方にあろうかなと思います。
 これを見ていただくとわかりますように、上で「規制(ICAO)」と書いているのが国際民間航空機関で、その2016、2019、2022、2025云々とありますけれども、その下のグレーのところに「CAEP/10」とか「CAEP/12」とかあります。これが航空環境保全委員会の主要な活動のタイミングでございまして、今、大体2025年にもソニックブームの基準が策定される可能性があるということもございまして、この中でJAXAは研究活動の成果を提供しながら国際基準に貢献しているというところでございます。
 具体的には、本紙に戻らせていただきまして、4ページ目でございます。
 基準策定への貢献ということで、今、申し上げたところの環境保全委員会のワーキンググループ、これは騒音を取り扱っているところでございますけれども、その中に技術検討結果と知見などを提供していると。
 具体的にはどんなものかといいますと、ソニックブームの予測する技術。これは、D-SENDで我々が獲得した技術でございまして、左側にございますけれども、これは、超音速で離陸してから着陸するまでこの中でどのようにソニックブームが伝播していくのかということを、これは全部CFDの解析結果から、それから、非線形の全域解析も含めて予測したもので、これは世界でJAXAくらいしかできないものでございますけれども、そういう技術を提供して、これらを、実は同じワーキンググループでほかの研究機関なんかも研究成果を出しているわけですけれども、世界で初めて出したということもあって、こういった予測ツールあるいは解析ツールといったような世界の標準的なレベル、あるいは、標準化に近い、それにつながっていくような成果にもなっておりまして、これはもちろん国際環境基準をつくっていくという重要な技術を、JAXAがそれを担っているということと同時に、そういった技術を我々が持つということが、将来の我が国の航空機製造産業界が超音速旅客機に参画するに当たってのバーニングパワーの一つになるんじゃないかということで、こういったものを国際機関に提供して、わが社の日本で持っている技術力というのを証明しているということでございます。
 合わせて、離着陸騒音の基準策定への貢献というのもございます。同様にツールを開発いたしまして、他社とのいろいろな比較をしながら、標準的なツールとして十分活躍できるというところを確認しているというところでございまして、それが二つ目に書いてある認証取得に向けた評価・解析技術の研究開発というところで少し丁寧に書かせていただいているところでございまして、我が国産業界の国際競争力担保に資するといった、言い過ぎなところもあるのかもしれませんけれども、こういった国際環境基準を予測し、あるいは、これの予測結果を持てばいいよと言われているようなツールを、我が国独自のものを持つ、あるいは、世界から認められるということが最終的には国際競争力につながっていくということで、そういったソニックブームや離着陸騒音評価・解析ツールを開発してまいりましたし、それをこのワーキンググループの中で提供してきたということでございます。
 次のページに移らせていただきます。
 5ページ目は、先ほど言った四つの要素技術についてのそれぞれの現状の簡単なトピックだけを申し上げます。
 低ブーム、低抵抗技術というのは、低ソニックブームと低抵抗というのは両立いたしませんので、これを両立できるようなコンセプトといったものをD-SENDで1回実証しているわけでございますけれども、一番重要な部分の一つには後端のソニックブームというのがございます。後端というのは後ろに発生する騒音源のことでございますけれども、エンジンの排気の影響というのがあると言われております。そういった意味で、現在、エンジンの排気の方の影響も含めたブーム設計技術の研究開発を進めてまいりまして、エンジン排気がブームに与える影響などを風洞試験で確認しているというところでございまして、その風洞試験の様子が左下の絵ということでございます。
 もう一つ、エンジン低騒音化の技術ということで、現在の亜音速旅客機は基本的には随分エンジンの音も静かになりましたと。それでも離陸のときは大変なんですけれども、着陸時はもちろん機体騒音が厳しいということで機体騒音を下げるという技術に注力しているところでございます。しかし、超音速旅客機用のエンジンはいまだに、離着陸時のエンジンの音というのがかなりキーとなっているということから、具体的には低騒音性を持った可変ノズル、そういったものをエンジンの騒音遮蔽等の効果を含めて検証試験等で、今、確認しているというところで、我々が持っている低騒音な可変性のノズルや騒音遮蔽の効果の検証の風洞試験の様子などを下に書いてございます。そういうことで低騒音化に関してもある程度見えてきたというところでございます。
 もう一つは、離着陸時の性能が超音速旅客機というのは亜音速旅客機より悪いという欠点があるので、コンコルドにはフラップはないわけでございますけれども、我々の次の機体についてはフラップというものを超音速機にも適用しようということで、かつ、これが層流翼設計という抵抗を下げる技術と両立できるようなフラップというところでクルーガーフラップというコンセプトを適用して、具体的に空力性能がどれだけ向上するのかということを駆動機構も含めて検討して、離着陸時の目標揚抗比の達成というのに見通しを得ているところでございます。
 機体軽量化については、これは前提として15%コンコルドの技術に比べ下げようということを目標としておりますけれども、複合材料の配向角であるとか板厚の最適設計、あるいは、桁配列の最適化、そういったものによって、主翼構造の重量の軽減についての定量的な評価を終えたところでございまして、おおむね目標を達成できる見通しでございます。
 次のページ。そういった要素の技術を踏まえまして、システム設計技術といたしまして、それらを取り込んだ形で、先ほども我々の技術参照機体、技術のシステム目標としております50人乗り程度の巡航マッハ数1.6の機体の全体設計というか、設計研究を行っているところでございまして、低ソニックブーム、低抵抗につきましては、左下に全体の機体の形状の具体的な図でございまして、それに表面のCp分布を描いたということで、こういう解析を行っておりまして、加えまして、D-SEND等で得た具体的なソニックブーム衝撃音の伝播解析を行って、地上ブームを予測した結果が右のところにございます。
 我々の目標としては85PLdBというレベルを目標としております。もう一歩のところでございますけれども、その達成の見通しはだんだんとみえてきているかなと考えているところでございますし、低抵抗につきましても3,500nm以上を実現するための揚抗比、抵抗と揚力の比率のことでございますけれども、その8以上は実現できそうだという見通しは得られているところでございます。
 ちなみに、このPLdBで85であるとか100とかと言われてもちょっとイメージつかないかなと思うんですけれども、コンコルドだと120とか130とかですから、デシベル表示だと分り難いですがものすごく静かになっていると思っていただければと思います。ちなみに、この85PLdBというのはわりと世界的に我々が国際環境基準の中で議論している中で、他の研究機関なんかが一つの目標のレベルとしているところでございますので、特段甘い目標ではございません。
 離着陸騒音につきましては、最新の離着陸騒音の基準というのはChapter 14というものでございまして、低速性能、先ほど空力性能改善という効果が得られたということもございまして、ノズルや機体、こういったエンジンの遮蔽効果なども含めて予測したところ、目標の適合の見通しを得ているというところでございます。
 機体軽量化については、先ほど要素のところで御説明しましたので割愛させていただきます。
 次のページで、ここからが本日の本題でございまして、我々、この研究開発の一環といたしまして、技術構想を検討することということをいただいておりまして、私どもといたしましては研究開発課題終了後の研究開発計画の策定に向けて、さまざまな方向、冒頭ちょっと申し上げたところでございますけれども、その方向を受けながら、技術実証方針を検討してまいりました。最終的には我が国の産業界の競争力強化に資する視点で計画を具体化していきたいなと考えているところでございます。
 動向につきましては、1ポツ目につきましては、先ほど机上配付した別紙で見たようなもので御紹介した通り、ICAOの基準策定の議論と、それに資することを目的としたNASAの低ブーム実証機の開発が進められているところでございます。NASAの低ブーム実証機の開発の詳細につきましては、時間があれば後ほど御紹介しますけれども、最後、13ページの参考の左側にNASAの低ブーム実証機の計画であるとか機体のイメージというのが出ておりますので、後ほど見ていただければなと思っています。
 そういった飛行試験が行われることによって、基準の策定が今のところは2025年頃の可能性があると言われておりますけれども、低ブーム超音速機の開発環境が整うという状況にあると。
 もう一つ、一方で、低ブーム設計を全く適用しない海上のみ超音速飛行をするという前提ではありますけれども、ベンチャー企業、Aerionという会社とかBoom社というもので具体的な実機の開発というのが進んでいるところでございますけれども、これは低ブーム設計、低ブームの基準が策定されれば、それにより低ブームの方が競争力が高くなりますので、低ブーム超音速機の開発が加速するというような可能性が高いのではないかと我々としては考えているところでございます。
 AerionとかBoom社に関しての動向につきましても、先ほど申し上げた13ページにございます参考の方に詳細を書いてございますので、後ほど見ていただければと思います。
 こういった状況を踏まえまして、我々、今まで、D-SENDのプロジェクト、あるいは、それに先行して進めたNEXST-1というプロジェクトがございましたけれども、そういった要素技術を中心とした研究開発のフェーズにこれまであったと。現状、まだ研究開発のフェーズにあるわけですけれども、そこから1歩進んで、全機システムと言いますかシステムレベルでさまざまな要素が成立しているようなそういう技術実証のフェーズに移行すべきであろうというような考えでございます。
 その中で、我々としましては、低ソニックブーム、それから、低離着陸騒音――低騒音性ですね、それから、低燃費、これは簡単に言えば効率ということでございますけれども、こういったものを同時に満たす機体の設計。これにつきましては、先ほど進捗状況のところで、50人規模の機体によっては成立性があるというお話をさせていただいたところでございますけれども、こういったものの技術を低ソニックブームを中心といたしましてシステムレベルで実証していこうと。低ブーム超音速機の実現に必要な鍵技術と、そういうところを実証することでそれを獲得し、かつ、効果的に日本の技術をデモンストレーションすることになるだろうというふうに考えておるところでございます。
 具体的には、ジェットエンジンを含めた機体として全ての要素を含んだ形で低ブーム設計技術といったものを実証していくというようなところの検討を進めていくという、こういう考え方に基づきまして、今、検討を進めようとしているところでございます。
 次のページ、これはあくまでも検討の例ということでございまして、飛行実験ミッションとそのミッションを達成するための機能を有する実証機ということで、今後、日本の産業界の競争力強化の視点で、さらにいろいろ内容的にはアップデートしていく必要があるというのは、取り込んでいく要素を増やしていく、あるいは、削っていくということでございますけれども、基本的な我々が検討をしている機能要求というのは、D-SENDにしてもNEXST-1についても超音速の滑空機でエンジン排気に対する影響を十分評価できていなかったということでございますので、何らかの形でエンジン排気の影響を評価できる推進系を持つということ。それから、低ブーム性、これが離着陸騒音であるとか低騒音、それを両立した形の中で低ブーム性を評価するということが鍵でございます。低ブーム性は遠方場で測る必要があり、かつ、超音速での環境が必要ということで、超音速の飛行が可能であるということ。最後に、低ブームを単なるコンセプトの実証ではなくて設計技術として確立するという意味ではロバスト性、要するに、多少設計点がずれても、あるいは、直下のソニックブームではなくてそこから離れた部分で生じるソニックブームでも十分その低ブーム性が確保されるという観点から、繰り返し飛行実験可能なものが望ましいということで、8ページの下に書いている実証機の概要とか飛行実験機の概要のイメージというのは、ポンチ絵程度でございますけれども、我々としては全長十数メートルぐらいの等級の規模感の無人機でこれができるのではないかということで、その成立への追及を現在進めているところでございます。
 次のページ、9ページに、他国あるいはこれまでは我々がやってきた実証の機体との比較評価という形で、一覧表で示させていただいております。
 超音速の課題というのは低ソニックブームで低離着陸騒音、それから、低燃費という形でいきますと、参考として、これもJAXAの実証機ということで三つあります。下のほうですね。NEXST-1、D-SEND#1、D-SEND#2という中で、D-SENDでは低ソニックブームに特化した形で、しかも設計点というところに特化した形で実証し、これが非常に高く評価されていったと。一方で、NEXST-1、これは2005年にウーメラでやったもので、これは低抵抗というところに特化して進めて実証した。これもロケットで打ち上げて超音速滑空した技術でございます。
 今、同時に進んでいるNASAのX-59というのがございます。これは、今、基本では低ソニックブームと特化した形で、低ブーム波形も実現して、相当の評価をしようというために、今、NASAがロッキードマーチンに発注して進めているもので、2025年ごろに実証が終わるという予定でございます。
 BabyBoomと書いてございます。XB-1という、これはBoom社というベンチャー企業で、ニュースで聞きますとJALが10億円ぐらい投資したと、ちょっと有名になった会社でございますけれども、Boom社が、これもかなり小さな、ただエンジンつきの有人機でございますが、全く低ソニックブームについては考慮しない形での実験機を飛ばそうということで、これは2019年からと書いてありますが、先日、これが遅れるというような発表がございまして、2020年以降という計画になっていると聞いております。
 上の絵が我々が考えている、我々の今の予定では2026年ごろに実証が完了するというようなイメージでございます。
 次のページ、これは参考でございますけれども、先ほど言ったようにNEXST-1とかD-SENDというプロジェクトがどういうプロジェクトであったのかということを図で示したものでございまして、NEXST-1というのは低抵抗に非常に特化した形で、当時の成果といたしましては、コンコルドに比べますと約1割以上抵抗を下げる技術といったものが可能だということをこの実験機で実証いたしました。これはロケットで打ち上げて、ロケットを分離して単体で飛行させ、最後、パラシュートで回収するという実験で、場所はウーメラという、オーストラリアでやった実験でございます。
 それから、D-SENDにつきましては、2015年に、これは北欧スウェーデンのキルナの近くの実験場を使って、気球で高度30キロメートルまで上げて自由落下の加速を使って超音速を実現して、ソニックブームに特化した形で低ソニックブームの概念を確認したという実験でございます。
 次のページ。すみません、あくまで御参考でございますけれども、ちょっと時間もなくなってきました。
 実証構想の検討状況の中の一つとしまして、産学官の連携体制の構築というのもあわせて進めてまいりまして、エアラインとの意見交換、これは日本航空さんとの意見交換をさせていただくとともに、我々の持っている制度である公募型研究制度で民間企業との共同研究も進めているところでございます。ただ、民間企業との共同研究のテーマの一例といたしましては、離着陸騒音低減のための高揚力装置の最適設計であるとか、あるいは、機体推進系統合設計の評価を含むミッション解析、こういったものを共同研究で進めるとともに、日本航空宇宙学会のところに超音速研究会というのを2018年に発足いたしまして、これは幹事会社としてはSUBARUでございますけれども、座長としては首都大学東京の金崎先生になっていただきまして、メーカー、それから、大学、研究機関で我々も参加した形で、具体的なチームを構築して進めていこうというところでございます。
 合わせまして、これはJAXAが主体ということではございませんけれども、超音速機事業企画という会社がございまして、その会社が開催しているというか、主体的に運営している任意の団体がございますけれども、そういったものにもJAXAとして参加いたしまして、メーカーでは川崎重工さんあたりが参加していると聞いているところでございます。そういった中でJAXAも、これは超音速ビジネスジェットを対象にしておりますけれども、この具体的な概念検討のときに具体的には設計活動、設計研究の成果を反映して、連携して進めているというところでございます。
 最後になりますけれども、12ページですね。今後の進め方で、まず、この技術実証構想につきましての検討については、先ほど申し上げた、全長12メートル程度、2トン級の機体の実証システムといったものを中心ではありますけれども、概念設計あるいはリスク低減のための試験などを行って、より成立性を高める活動を進めていきたいと考えておりますけれども、費用対効果ということもございますので、複数の実証構想案を我々としてはトレードオフした上で、最終的な実証構想案としてここで御報告する機会があればなと思っておりまして、その意味で、実機開発の体制も念頭に置きながら、民間企業と連携して、あるいは、外部有識者委員会といったものをJAXA内に設置して、こういうトレードオフの検討をさせていただき、最終的には本件研究課題、来年度、今年度いっぱいで終わるものでございますけれども、移行すべき実証構想案というものを策定してまいりたいと思っております。
 合わせて、下に書いてありますのは本日の主題ではございませんけれども、今年度はこの研究開発が最終年度ということでございますので、引き続き国際機関への貢献というところで、認証を見据えたようなツール・技術の整備というのを着実に進めていきたいということと、それから、低ブーム、低抵抗設計技術等の各要素技術についても、ほぼ技術的には達成の見通しは得ておりますけれども、最終的な技術の検証活動を継続すると、完了したいと考えているところでございます。
 合わせて、ソニックブームにつきましても目標85PLdBに対して87PLdBというところでございますけれども、我々としてはかなり見通しは持っておりますが、引き続き目標全体を達成するような50人乗り程度の参照機体の概念設計といったものを最終的には完了させて、その形状をお示ししたいということでございます。
 少し長くなりまして申し訳ございません。以上でございます。

【李家主査】  どうもありがとうございました。
 では、ただいまの御説明に関して、御質問等ありましたらお願いいたします。

【冨井委員】  その実証構想案の、先ほどずっと御説明されたお話なんですけれども、それは16年度から19年度まで行っているプロジェクトとは別なんですね。

【村上PD】  別です。その後の、これが終わった後に進めていく次の研究開発の計画を、今、どんな形でやるのがいいのかという検討を、この研究開発の中でするということになっておりました。

【冨井委員】  それは、例えば、早ければもう来年度から始まるようなプロジェクトか何かに、例えば、文科省の予算とかもあると思うんですけれども、そういった近々のプロジェクトに何か組み込まれるようなイメージなんですか。

【村上PD】  はい。我々としてはそういう狙いもございます。本格的にいくのは、多分、来年度から着手して、再来年度から本格的にスタートすると、そういうようなイメージになると思いますけれども、通常、JAXAが行っている研究開発のケースはそういう形になります。
 先般御紹介したEn-Coreも、事前評価した年の翌年からスタートしたと思いますけれども、JAXAの研究開発の場合、予算要求というステップがございますので、まずしっかりと事前評価を来年度していただいた上で、その次の年度に本格的に着手するということで、本格的な活動という形になります。

【冨井委員】  わかりました。

【村上PD】  もちろん来年度やらないということではなくて、来年度は当然行うということです。

【宮川課長補佐】  今、やっている統合設計のように、始めるとなれば大きなプロジェクトになりますので、航空委の場でも事前評価を行わせていただくことになるかもしれません。現在はそれに向けた検討状況の御報告ということで、プロジェクトとして立ち上がって、それで重点課題に位置付けられることになりましたら、また皆様にも御評価いただくということになります。

【冨井委員】  わかりました。

【髙辻委員】  すみません。確認なんですけれども、7ページの技術実証の方針の3番目で、エンジン搭載機体による飛行実証が必要ですよと言われていますが、そもそも論になって申し訳ないんですが、3ページ目の三つの課題と四つの要素技術の関係というところで、低燃費というところで揚抗比と構造重量の基準が出されていますけれども、これは飛行実証のエンジンも含めての基準値になってくると考えていいんでしょうか。

【村上PD】  そこは誤解があるといけないと思いますので、説明したいと思います。
 ここのいわゆる揚抗比であるとか、それから、構造重量低減であるとかというのは、これはあくまでも50人乗りの機体を飛ばしたときの目標になりますので、実証機を飛ばすものは低抵抗、この機体の設計コンセプトですね、将来的な技術参照機体として考えて50人乗りの機体の、乗せている設計の形状のコンセプト、低ブーム、低抵抗を実現するような設計のコンセプト、それが低騒音も遮蔽の効果など含めた形の低騒音のコンセプトが入ったものとしてシステムレベルで飛ばしますということを申し上げていて、その飛ばしたものが揚抗比8以上であるとか重量が例えば15%軽減とか、そういうことを狙っているものではありません。あくまでもここでやるのはそういった要素のものを考慮した設計技術で、できれば離着陸からですけれども、エンジンの排気の影響を含めた形で低ブームの効果を実証するということにフォーカスした研究実証構想と考えていただければと思っています。

【髙辻委員】  そうすると、低燃費は基準値ではないけれども、低ソニックブームと騒音については基準値としてこれは採用するということですか。

【村上PD】  騒音も、さっきも言ったように、これは50人乗りの機体の場合で。

【髙辻委員】  50人乗りですね。全然エンジンが違いますよね。これは全然違うということですね。全く。

【村上PD】  これは50人乗りの機体のタイプの話ですから、それはそのエンジンがやっぱりなければいけませんので、我々としては実証機に搭載するエンジンに低騒音ノズルを付けて、遮蔽の効果の部分については評価いたしますけれども、機体全体での騒音がこの実機の騒音の部分に実現できるということを証明するものではなくて、先ほど、エンジンを含めた全機システムレベルで低ブーム設計技術というものを実証するということがこの実証構想の鍵ということと考えていただければと思います。

【髙辻委員】  そうすると、このモデルとしてのものと50人乗りとしてのものの相似形といいますか、何を無次元量でどう評価するのかわかりませんけれども、このモデルでこういう基準値を達成すればおそらく50人乗りで達成できるであろうという評価基準は明確にするというわけですね。

【村上PD】  そうです。騒音と軽量化とかですね。あるいは低抵抗に関してはそういう形になります。

【髙辻委員】  全てそういうのは出てくるわけですね。

【村上PD】  ええ。ソニックブームも、これは軽い機体でいきますので、当然ソニックブームも小さいわけでございますから、それはちゃんと50人乗りの規模になったときのソニックブームに転換されるということになります。

【髙辻委員】  ありがとうございます。

【村上PD】  担当が来ておりますので、補足することはありますか。

【牧野ユニット長】  今、伺った通りで、実証機としては、今、無人機を検討しておりますので、既存のエンジンを使って行うというところでございますが、50人乗りはエンジンメーカーさんとも一緒に検討させていただいておりまして、将来的なエンジン側の技術の発展も想定し、超音速機向けにジェットエンジンを構成した場合、どういった仕様のエンジンになるかというところを、バーチャルではありますけれども、それを組み込んだ形で実機を想定し、その検討の中で現行の亜音速機の騒音基準からICAOのChapter 14を満たす見通しが出ているというところを先ほど報告いただいたところでございます。

【李家主査】  ほかはいかがでしょうか。

【佐藤委員】  どうもありがとうございます。
 エンジンを付けたときの騒音レベルというのは、例えば、数値解析などではもう既にある程度見込みが出ているということでよろしいでしょうか。

【牧野ユニット長】  先ほどのエンジンの話と絡みますけれども、まず、実機を想定したバーチャルのほうは、当然、エンジンの実物はございませんので、我々のツールを使って騒音推定をして、Chapter 14の適合可否というのを判定しております。
 実証機の場合は実エンジンがございますので、まだ実エンジンを決めているわけではございませんので、実エンジンが出てくれば、それの騒音評価を行って、我々のツールを検証しつつ、実フライトでどのような騒音になるかというところを確認するということになろうかと思います。

【佐藤委員】  もうひとつよろしいでしょうか。
 これは地上から自力で離陸して超音速機にいって着陸までするという想定ですか。

【村上PD】  今、検討しているものは離陸して着陸します。

【佐藤委員】  結構チャレンジングですよね。

【村上PD】  おっしゃる通りだと思いますし、私どもとしては費用対効果をいろいろ考えなきゃいけないと思いますので、進め方のところで、今日、我々での提案は、これの成立性を高めていくような活動と同時に、いろいろなコストパフォーマンスといいましょうか、費用対効果を含めた中で、狙いはやっぱりあるわけでございますけれども、そういう複数の構想案について検討してまいりたいなと思ってはおります。それを外部有識者の専門家の先生方に御意見を賜りながら、トレードオフしていきたいなというのを、この半年間、1年弱ですかね、進めていきたいなと思っておるところです

【佐藤委員】  ありがとうございます。

【李家主査】  ほかはいかがでしょうか。

【松島委員】  今のことと関連してなんですけれども、亜音速から超音速にいくと空力中心の位置が変わると思うんですね。コンコルドでも、多分、重心の位置を変更させるということで、燃料を移動させてそれを制御していたと思うんですけれども、そういう制御に関して、可能な限りでいいんですけれども、何か新しいこととかそういうものがあるんでしょうか。どういうふうな方策を考えて……。

【村上PD】  我々、NEXST-1もD-SENDも亜音速で飛びました。D-SEND#1は亜音速で姿勢安定とるように設計いたしましたし、NEXST-1はRSSというか、制御で安定させて飛ばすようにしましたし、この機体の開発のプロセスの中で、リスクとのトレードオフになりますけれども、制御設計として新しいことも当然入ることになるかなと思います。我々、そこはよく承知しておりますし……。

【松島委員】  いや、もし何かあったら。新しい技術というか、世界に先駆けてというようなことがあれば。

【村上PD】  ぜひそういうことも取り組みたいと思いますけれども、我々の一番の重点になっている中心といいますか、やるべきことは、低騒音とか低抵抗といったものと両立した低ブーム設計技術といったものをきちんと実証するということが最優先事項でございますので、そのプラスアルファはさらに余裕があればそういったことにも取り組むことは可能かなと思っております。

【松島委員】  ありがとうございます。

【李家主査】  ほかはいかがでしょうか。

【武市委員】  先ほどの資料の11ページの検討状況という部分ですが、エアラインとの意見交換という項目が出てきますが、具体的にはどれくらい踏み込んだことをお伺いするのでしょうか。

【牧野ユニット長】  定期的な会合を持っているわけではございませんで、お互いに行き来をして意見交換をするという形をとっております。具体的な回数で言うと……。

【武市委員】  すいません、内容の方ですね。

【牧野ユニット長】  内容ですか。内容はなかなか申し上げにくいにくいところもあるんですけれども、日本航空さんがBoom社に出資をしているということで、日本航空さんとしてはBoom社から受けている説明について技術的な確認をしたいということで、我々と相談をしていると。我々といたしましては、JALさんの考え方、それから、将来の超音速輸送に関する考え方や運航面での懸念検討ですね。そういったところから市場についての情報をいただければということで、意見交換をさせていただいております。

【武市委員】  そうすると、この段階でコストとか経済性の具体的な話は全然出てこないんですか。

【牧野ユニット長】  コスト等具体的な話はまだやっておりません。JALさんはおそらくBoom社と何らかのそういった情報を供与されているかとは思うんですけれども、当然、JALとBoom社との間の取り決めもございますので、直接、我々がそれを聞くということではなく、今のところは技術的な面で意見交換をさせていただいているというところで。

【村上PD】  武市先生が多分おっしゃられているのは、多分、実際1機何億円とかで売れたときにちゃんとそういうマーケットがあるのかとか、そういうことで受け入れられるものがあるのかとか、そうことなのかなと思うんですけれども。

【武市委員】  それと、そこから経済性ベースでスペックが決まって、それベースで機体コンセプトが決まって、それを満たすための実証機能、概念検討が行われるのがあるべき筋かと思うんですが、その筋をすっ飛ばした検討をされているように見えてしまいます。

【村上PD】  そういうことは多分ないと思いまして、個別のものについてはBoom社が想定しているカタログ価格みたいなのもございますが、そういった価格のベースで実質上ニーズがあるのかというのはJAXAとシンクタンクと協力して進めていて、想定される機数の市場マーケットはありそうだということを踏まえて、これが実は、先ほど申し上げましたように、単純にアジア圏を日帰りするために3,500nmということではなくて、そういったマーケットがあるレベルに行ったときに、燃費性能であるとか、つまりそれは揚抗比という形になりますし、巡航距離になるんですけれども、そういったものを設定してあるということでございます。

【武市委員】  それは、JAXAとシンクタンクで、これぐらいだったら経済的に成立するだろうというふうに検討されたものですよね。

【村上PD】  それはそうですね。

【武市委員】  3ページの左下の図ですよね。

【村上PD】  それはそうですね。

【武市委員】  それをヒアリングで確かめるとか、そういったことまではされないということですか。

【牧野ユニット長】  そこは我々が想定している構想については紹介をさせていただいております。JALさんとしては、それをBoom社の提案と比較をして参考にされているんだと思いますけれども、直接的にこういう事業が出てくればJALさんがどうされるかといったところまで踏み込んで、事業性のところまで踏み込んで問いかけているわけではないので、まずはJALさんがBoomとされている海上超音速の超音速旅客機の成立性、おそらくJALさんはある程度見通しがあると思って投資をされているんでしょうから、そこに低ブーム性が加わってさらに超音速飛行の自由度が高まったときに、どの程度市場に対するアピールポイントがあるかというところは引き続き……。

【武市委員】  本来はこのヒアリングというのは、それを確認するチャンスのはずですよね。おそらく今までされてなかったはずですが、本来はそこまでやるべきなんじゃないかなと思いますよ。

【村上PD】  確かにそうだと思いますので、今後、日本航空さんはじめエアラインさん、全日空もあるかもしれませんので、そことの意見交換とか情報交換をする中では、今、武市先生がおっしゃられたことを踏まえながらやっていきたいなと思っているところです。

【武市委員】  こういう(事業性の検討が不十分なまま研究開発が行われるという)例があるので、ちょっと戻って本当に申し訳ないんですけれども、62-1-4の資料の4.2のところに、これに関する項目が必要だったなと改めて思います。
 62-1-4の資料の2ページ目の4.2の研究資金の改革のところで、62-1-2の資料の3ページ目の一番上の項目の中身を要約して追記することが必要なんじゃないでしょうか、と一応提案いたします。逆戻りして本当に申し訳ないです。

【李家主査】  62-1-2のどこでしたか。

【武市委員】  62-1-2の3ページ目の一番上ですね。3ページ目の一番上のポツの「人的予算的リソースは限られているので」というところです。

【李家主査】  62-1-4の2ページ目の4.2の「より少ない予算・期間で成果を……」。

【武市委員】  これをもうちょっと具体的に書いたほうがいいと思います。

【李家主査】  人的予算的リソースが限られて、とかいう。

【武市委員】  1番目の括弧の中なんですけれども、「その提案の段階から」という。

【李家主査】  括弧の中と言いますと……。

【武市委員】  すみません。62-1-2の「人的予算的リソースは限られているので」という記述のところの、「その提案の段階から」というところです。

【李家主査】  はい。提案の段階から民間企業等との密接な協働を考えましょうと。それはそうでしょうね。産学官連携と言っているぐらいですから、きっちりと御意見を伺わなければいけないので。

【武市委員】  もうちょっと具体的に書いてあった方がいいのかなと思いました。

【李家主査】  では、その辺のところは……。

【武市委員】  後で、すみません。お願いします。

【李家主査】  説明を追記していただきましょう。

【武市委員】  あとは、李家先生にお任せします。

【李家主査】  わかりました。ほかに御意見は。

【戸井委員】  継続していることですので既に議論されているのかもしれませんけれども、前回の委員会でのお話でも、5年のビジョンで、今回は航空というキーワードがなく次はぜひそれに係るものを入れたいというお話があったと思います。そういう具体的な弾として、超音速というのは非常に社会が受け入れやすい、わかりやすい弾であると思われますので、そこを大事にして攻めていくべきだというふうに思っています。
 日本が得意な、競争力のある分野だということも確保されていますので、低ソニックブームとか騒音とかそのあたりをきちんとやっていくことも大事ですが、1点だけ。
 低燃費というのは、実は誤解を招きやすいのかなと。要するに、超音速機自体は社会にとって決して燃費のいい移動手段ではない。それを、低燃費だとの言い方は一般には受け入れにくい。一方でJAXAさんは電動化のエレクトリフィケーションはCO2の削減というところの目標からぎりぎりやっておられて、それと違った燃費の議論がここでされているので、ここは少し正確に、超音速機のこの構想自体は通常の移動手段以上に燃費増があるが、高速ニーズに従来以上に応えられるという説明でいいんじゃないかなという気がいたしました。

【村上PD】  比較論として戸井先生のおっしゃる通りでして、比較論としての低燃費であって、当然、同じ重さのものが速く飛んでいるわけですから、エネルギーもたくさん使われているという、これはどう頑張ってもどうしてもそこはエネルギーとして増えてしまうと。単純に時速60キロメートルで走る車と時速120キロメートルで走る車があったら、時速120キロメートルで走る車がやっぱりどんなに燃費を追及していっても時速60キロメートルで走る車には勝てないというのと同じ部分はございます。ただ、相対的にコンコルドの技術は本当に燃費は悪かった。端的に言えば、ほとんどスポーツカーと一緒でしたねと。リッター5.5キロメートルとか、そんなもの。それをリッター11キロメートルとか12キロメートルぐらいまでいくこと。そういうことがここで狙っているような低燃費ということでございまして、ちょっと言葉のキーワードとしては適切な書くところがあれば最終的な実証構想の御提案のところでもう少し工夫した表現に変えるとか、中身を正確に伝えるような工夫をしたいと思います。

【戸井委員】  クリアに書いてよいと思います。
 あともう一つ。実は、今までの実験と違って、推進系を伴う実証試験というのは、本当にかなりハードルが上がることだと思います。ある意味、D-SENDなんかは風洞模型と同じようなイメージでよかったと思うんですけれども、今回、実機での飛行実験に近づき難度は格段に上がるので、いろいろなところを巻き込んで総力を挙げて取組む対象かと思います。

【村上PD】  ありがとうございます。

【李家主査】  ほかはいかがでしょうか。

【髙辻委員】  すみません。この計画を具体化させていくときに、このやり方が妥当かどうかという検討も、多分、後で出てくると思うんですけれども、こういう離着陸を自動でやるようにしますと、飛行中の随伴という手段を確保できるかというのが、多分、重要になってくるんですよね。事故等、あるいはトラブルが起きたときに、今、どうなっているのか。カメラでは地上からでは追い切れませんので。そういった手段まで含めてできるような計画を将来的に立てられるかどうか。そういう見込みというのはあるんでしょうか。

【村上PD】  今後の概念検討の中では、今、髙辻先生からいただいたような御意見を踏まえながら検討はしてまいりたいなと思いますけれども、離着陸して繰り返し使うという形が最終的に我々が、今、目指しているところですので、その場合には、そういう随伴機みたいなものも必要になるのかどうかということがあれば、それも検討しなきゃいけないと思います。ちなみに、過去のD-SENDあるいはNEXST-1では、回収のフェーズがNEXST-1という最初にやった実験でございましたけれども、そのときは随伴機はなくて、飛ばして、自律飛行をさせて、レーダーでトラッキングは一部しましたけれども、特に随伴機は用意しなかったということで、ただ、今回は離着陸を何度も繰り返すという中で、今、随伴機みたいなものが必要であるということがもしもリスク上あれば、そういったところも含めて検討することはしてみたいと思っております。

【李家主査】  ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 時間がなくなってしまいましたが、私から少しコメントさせていただきたいです。すぐに御回答いただく必要はありませんが、今日、お話を伺っていて思った点が、三つほどあります。細かいところから言いますと、離陸させて超音速飛行できるような長さ12メーター級の機体でエンジン等は余分な研究開発なしに手に入るのかどうかが気になった点です。次は、離陸騒音、低抵抗、低ソニックブームと三つをやられるということですけれども、低ソニックブームはD-SENDで実証されているし、低抵抗はNEXST-1で実証されているのですけれども、今度は初めて離着陸騒音をやられるということでした。この離着陸騒音について、騒音が低下しているかどうかをどうやって計測するのかという点が気になったという点です。それから、最後は、先ほどの費用対効果の御説明をいろいろいただきましたけれども、今回提案されているこの飛行実証は、離陸して、超音速に加速して、しかも低ソニックブームを実現して、燃費も削減できるという、要は、長さ12メーター級の実験機に関するフルスペックの提案になっているので、費用的にかなりかかりそうだということで費用対効果というお話が出たのだと思います。その辺に関して、この三つの点を全てできる機体に何故しなければいけないかということを、今日のお話ですとそれを前提でお話しされていたようですので、その辺がはっきりとわかるようにしていただけたらよいかと思いました。三つのどれかを削ってしまったら意味がないことになるのかといった点も含めてです。

【村上PD】  わかりました。了解しました。別途御回答しますけれども、最後のことだけ言いますと、「低抵抗も低騒音も計測するレベルで実際の将来の機体ブームに対してできます」というのは実証構想でいう機体で考えているわけではないということ。あくまでもブームを測りますというのが基本で、一部エンジン音遮蔽の効果みたいなものは計測することができるかもしれませんというのを念頭に検討をしますということでございます。

【李家主査】  そうすると、ですから、フルスペックでこうなってほしいなということを全て満たすような機体ではないかもしれないけれども、それぞれの要素をすべて考えながら進めていかれるということですね。

【村上PD】  ただ、それでもやっぱり幾つか複数案の、今、言ったように、例えば、これは落とそうとかいうことは当然トレードオフの中であると思いますので、それは複数案検討してまいりたいと思っています。

【李家主査】  わかりました。では、よろしくお願いします。
 よろしいでしょうか。
 それでは、本日はここまでとしまして、文部科学省とJAXAにおかれましては、本日各委員から出されました御意見を踏まえて、引き続き静粛超音速機に関する研究開発に取り組んでいただきたいと思います。

(4)その他
【李家主査】 最後に、議題4のその他ですが、事務局から報告事項があるということです。お願いいたします。

【宮川課長補佐】  1件、報告事項がございます。お配りしたチラシの件でございます。
 9月5日の木曜日にJAXAの航空シンポジウムが開催される予定となっております。
 これにつきまして、JAXAから御紹介させていただきたいと思います。

【佐野部門長】  JAXA航空部門の部門長の佐野でございます。簡単にPR、宣伝だけさせてください。
 今、宮川さんからありましたように、9月5日、お茶の水のソラシティで我々のJAXAシンポジウム2019を開催させていただきます。後ろにプログラムが書いてございます。
 今年は第4期中長期計画が2年目に入っておりますので、昨年は概要を御説明差し上げましたが、今年は具体的なテーマを取り上げて御説明しようと思っております。
 まず、午前の部を見ますと、我々、先ほどのテーマがございました、En-Coreのコアエンジン技術実証のプレゼンテーション、そして、それを受けて、JAEC様、すなわち日本航空機エンジン協会様から特別講演を頂戴いたします。その次には、先ほど議論のありました超音速のテーマを我々からプレゼンをいたしまして、その後、日本航空様から、特別講演をいただきます。午後の部は、今は詳細は申し上げませんが、ここのプログラムにありますように、我々が取り組んでいる環境の低騒音のテーマや安全のテーマから2テーマ、それから、基盤技術のテーマから2テーマ、ピックアップして説明しようと思っております。
 こういう形で航空に興味を持っていただいている国民の皆様に御参加いただいて、我々の活動を御理解賜ろうと思っております。
 以上でございます。

【李家主査】  ただいまの御説明に関して何か御質問等ありますでしょうか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。
 では、これまでの議事も含めて何か追加でございますか。よろしいでしょうか。
 そういたしますと、本日は活発な御議論をどうもありがとうございました。今日の議事は全て終了しましたので、事務局の方にお返しいたします。

3. 閉会

【宮川課長補佐】  最後に事務連絡をさせていただきます。
 次回の航空科学技術委員会は、10月24日木曜日の15時から17時を予定しております。
 また、本日の委員会の議事録につきましては、事務局にて案を作成しまして、委員の皆様に御確認いただいた上で、文部科学省ホームページに掲載させていただきます。
 それでは、これで科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会第62回航空科学技術委員会を閉会いたします。本日はどうもありがとうございました。

(了)

お問合せ先

研究開発局宇宙開発利用課