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航空科学技術委員会(第48回) 議事録

1.日時

平成27年12月24日(木曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省5階2会議室

3.議題

  1. 「D-SEND#2」試験結果について
  2. 研究計画・評価分科会における審議結果について
  3. 研究開発課題の評価について
  4. その他

4.出席者

委員

科学技術・学術審議会委員 結城章夫
科学技術・学術審議会臨時委員 李家賢一【主査】
科学技術・学術審議会専門委員 髙辻成次【主査代理】
科学技術・学術審議会専門委員 鐘尾みや子
科学技術・学術審議会専門委員 佐藤哲也
科学技術・学術審議会専門委員 武市昇
科学技術・学術審議会専門委員 松島紀佐
科学技術・学術審議会専門委員 宮下徹

文部科学省

大臣官房審議官(研究開発局担当) 森 晃憲
研究開発局宇宙開発利用課長 堀内義規
研究開発局宇宙開発利用課宇宙連携協力推進室長 松本和人
研究開発局宇宙開発利用課宇宙連携協力推進室課長補佐 坂本和紀

【説明者】
独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
航空技術部門長 中橋和博
航空技術部門航空プログラムディレクタ 大貫武
航空技術部門事業推進部長 張替正敏
航空技術部門D-SENDプロジェクトマネージャ 吉田憲司
航空技術部門事業推進部計画マネージャ 渡辺安

オブザーバー

経済産業省

5.議事録

1. 開会

【李家主査】 年の瀬も押し迫ったころに,お忙しい中お集まりいただきまして,ありがとうございます。
では,第48回の航空科学技術委員会を始めさせていただきます。


2. 議事

【李家主査】  お手元の議事次第に従いまして,最初の議題ではD-SEND関係の御報告から始まりますけれども,「D-SEND#2の試験結果について」ということで,事務局側から御説明をお願いします。
【吉田プロジェクトマネージャ(JAXA)】  では,御説明させていただきます。
お陰様で,今年ようやく試験ができまして,本日御報告することができるようになりました。報告させていただきます。
資料1をめくっていただきまして,2ページ目でございます。ここに,もう一度「D-SEND#2試験の概要」をまとめました。御存じと思いますが,将来の超音速旅客機の最重要技術課題でありますソニックブームを低減するという技術に関しまして,我々JAXAで開発しました低ソニックブーム設計概念を飛行実証しようという目的の試験でございます。
ここに「手法」と書きましたように,まず供試体を超音速で飛行させます。それは,BMS,ソニックブームを計測するシステムをBMSと呼びますが,そこの上空を超音速で飛ばして,ソニックブームを発生させます。そして,後で申しますように,大気乱流というものを避けるために係留気球でマイクロホンを高度方向に数点つりまして,そこでちゃんと測ります。そして,測ったデータをきちんと分析して,設計効果があるかということを確認するというステップで飛行試験を行いました。
実施しましたのは7月24日でございます。場所はスウェーデン宇宙公社のエスレンジ宇宙センターというところです。
次のページをごらんください。3ページ目です。
試験の実施状況です。4月24日の日本時間ですと11時43分に気球を放球いたしました。現地は7時間の時差がありますので,ここから7を引いた数字が現地の時間になります。その後,気球が所定の分離可能と考えられる場所に行くまでに約5時間かかりまして,実際,気球から供試体を分離しましたのは,日本時間で言うと17時ということになります。高度は30.5 kmでした。
そこで分離しまして,右側にありますように,赤い線に沿ったパスのように,これはイメージの線でございますが,まず落下させて加速し,それから途中で引き起こして滑空をさせまして,そしてダイブをして,計測点のBMS上空で機体の設計状態を実現させて,ソニックブームを発生させた,という状況でした。
右上には,機体に乗せましたカメラ映像の写真を載せております。これはビデオ画像でして,試験後に皆様にも公開させていただいたものです。上の写真は,ちょうどマッハ数が最大に近いところ,1.54とありますが,その付近でのカメラの画像です。ちょっと雲が下の方に見えるものです。
次のページを御覧ください。ここからは試験結果を御説明いたします。
先ほどの手法1,2,3というステップについて実験を行いました確認をするプロセスをつくりましたので,最初に,超音速で我々が望む飛行をしたかということです。4ページ目です。
左側の上の図を御覧ください。赤い線で囲まれたところが,いわゆる試験エリア,この中で試験を行うというものです。これは上が北です。一番下のところ,南のところから気球を放球しまして,気球軌道という黄色い線に沿って気球が流れていきました。偏西風で右側,つまり東側に流れて,その上空の成層圏より上の戻り風で左側へ戻ってきて,それで分離点と書いてある+印のところで,先ほど申しました17時に試験機を気球から分離しました。その右側に緑丸のNサイト,黒丸のCサイトと,Sサイトの3つの丸がありますが,これらがBMSを設置した場所です。今回3か所設置しております。この試験では分離した点から緑のNサイトへ向けて飛行をさせるようにいたしました。
下の図を御覧ください。これは縦軸に高度,横軸に水平距離を書きました。ちょっと見にくいのですが,ブルーのライン,「予定の軌道」と書いたもの,これは今回の機体にいろいろなデータが乗っておりますが,その中の空力モデルといろいろな諸元等におきまして,それらが全部ノミナルのままであった場合,実際はノミナルからある程度ずれがあるということで誤差幅を設けておりますが,ノミナルとした場合に30.5 kmから落下させたときの軌道でございます。
それに対して実際飛んだ軌道が,この黄色い点線で描かれたものです。このスケールで見ますと,ほとんど重なっています。滑空フェーズ,それからダイブ及び計測フェーズのところを詳細に見ますと,少しずれてはいるのですが,我々が想定した通りの軌道を飛んでいるということ,更に2年前にありました分離後67秒での飛行異常ということは当然発生していないということでございます。
右側の2つの図ですが,これはマッハ数と設計揚力を無次元化した揚力係数のグラフです。横軸が時間です。これをなぜ載せているかと申しますと,我々はBMS上空で機体が設計状態で飛んでほしいわけですが,そこにはある程度幅を設けて要求の範囲というのを設定しております。これは,この要求の範囲にあれば,我々が設計効果を実証できるということで決めているものでして,そこを特出ししたのが,この丸で囲んだところです。
120秒のちょっと前に縦線が引いてあるところが,BMS上空を通過した時間でして,そこを拡大した図で赤い破線で描いている幅の中にあれば,我々の望む設計効果が実証できるというものでして,マッハ数に関しては,少し上限ぎりぎりではありました。それから設計揚力係数,これは0.12という値でしたが,ほぼその値に近いところを,グリーンの線ですが,通っているということを確認できまして,今回の超音速飛行は,まず我々の望む状態であったということが確認できました。
次のページを御覧ください。5ページです。ソニックブームの計測結果でございます。
もう一度,フライトパスの図をここに載せてあります。ここでいっぱい線がありますが,BMSサイトの上空に機体の絵を置いておりますが,ここが我々がそこで発生したソニックブームを測りたいというポイントです。
我々はそこの場所で高度方向に係留気球を1 kmまで上げて,高度方向にマイクロホンをというか,計測場所を4か所設けております。ある箇所にはマイクロホン2つという場合もありましたので,マイクロホンの数ではありませんが,計測場所は4か所あります。衝撃波が伝播する速度と,発生点と計測点との空間・時間の幾何学的な関係から,実はそこに設置しましたマイクロホンに届く衝撃波には他のものもあることがわかります。それを示したのが,ここにある青い線でございます。
最初加速して超音速になりますと,高度22~23 kmのところから出る点線の青い線がありますが,これがBMSに届きます。加速フェーズの衝撃波です。それから滑空しているところからも届くのがありますし,更にダイブしたところから届くものがあります。都合,BMSの上空以外3か所から衝撃波が届いており,それら全てのソニックブームを計測できているということです。
それから,空中で測りますので,地面に届いて反射したものも届くということで,結論から言いますと,これが1つのサイトですので,その他のサイトでも聞こえておりまして,ちなみに他のサイトは加速,滑空,ダイブのところのポイントが違いますが,都合全部調べますと196個のソニックブームの波形を計測できていました。今回,BMS上空での低ブーム波形以外のものもたくさん取れたというのは,非常に今後のソニックブーム研究に有効なデータと考えております。
それでは次のページを御覧いただきまして,その196個の代表的なものを並べました。右側に,空中に44か所設置したマイクロホンの図がありますが,その一番上,750mの赤丸で囲ったところのマイクロホンの計測結果をとってきています。一番上のグラフを見ていただきまして,横軸0から20秒までのグラフがありますが,ちょっと時間軸をずらしておりまして,この0点というのは分離後2分10秒の点にしてあります。
このように,まず1番目の波形がとれて,2番目,3番目から8番目まで,反射も含めて8個とれております。この下に波形の詳細を載せておりますが,1番目というのは実はBMSの上空における設計状態の波形ではなく,先ほど申しました滑空している状態,ここはマッハ数も揚力係数も設計点とは違いますので,いわゆる低ブーム波形ではないN型に近い波形が生じています。これが11番目の波形です。2番目が我々が目指していた波形です。後でこの波形については詳しく御説明いたします。それから3番目は最初の滑空状態の1番目の波形が地上で反射したものが取れております。それから4番目はダイブしたところで発生したソニックブームの波形です。このような順番で88個取れておりまして,1番目はN波,2番目は低ブーム波,それから4番はU波,これは加速時に発生することが良く知られているものですが,など全て取れているということです。
次の7ページを御覧ください。
そのような波形の中で,今回の評価ポイントになります低ブーム波形のところですが,7ページにその分析結果をまとめてあります。ここで,まず御説明すべき点は,赤い波形です。我々は先ほどマッハ数が1.38ぐらいですが,その設計マッハ数と設計揚力係数において,低ブームの設計技術を入れなかった場合のソニックブーム波形がどうなるかというのを予測できております。その波形がこの赤い波形です。
それに対して,我々の設計通りの機体が今回得られた設計通りに近かった飛行条件で飛んでいたことを考慮し,もう一度機体の周りの流れを解いて,D-SEND#1で検証したソニックブーム伝播解析ツールを使って,どのようにマイクロホンに到達するかというのを推定したものが青でございます。
赤と青の比較から低ブーム効果がこうやって見られると思って,我々は試験に臨みました。
得られた波形が,この緑です。まず緑の波形のピークは,ここでは振幅と書きましたが,赤よりも下がっていることが,試験後すぐにわかりました。これが低ブーム波形であることは一目瞭然であるということです。
次に,これはすぐ試験直後にわかっておりましたが,我々が想定していた青と緑とでは波形の様子が少し違っているということでしたので,これの分析にその後我々は集中いたしました。これには少し時間がかかりまして,3か月程度かかってしまいましたが,この分析が終わりまして,最終的には後で申します通りの結果が得られましたので,本日御説明をさせていただいている次第です。
この分析した結果ですが,それは次のページ以降にまとめてあります。
8ページです。結論から言いまして,青い波形と緑の波形のピークは大体合っていますが,形がずれておりましたのは,大気乱流というものの影響であることがわかりました。私どもは,係留気球を用いまして地上付近の大気乱流を避けるような配置にマイクロホンを置いたつもりでございましたが,今回,ゾンデの気象観測データやBMSに乗せておりました気象観測装置によるデータを見ますと,大気の乱れが少し大きかったことが推定できますので,ソニックブームの伝播において大気乱流の影響を背負ったのではないかと考えました。
大気乱流がどういうものかというのを説明したのが,8ページでございます。これは大気中の温度,速度等が擾乱(じょうらん)を持って揺らいでいるというものでございまして,時間的にはある短い間隔で変動し,空間的には小さなスケールで変動している,そういう揺らぎでございます。
それがあるとどういうことが起きるかですが,右のイメージ図にありますように,衝撃波というのは,この横の点線で示した波面が伝播してきます。それに直角方向に波線というのを書きましたが,波線の方向に波面が伝播していく,こう思っていただいきたいと思います。この黄色い領域は,大気乱流がないところで,このときはきれいに平行的に伝播していくわけですが,この下の方にグレーで少しハッチングした部分に大気乱流があると仮定しますと,そこではこの伝播する波線方向に速度の揺らぎがありますと,その速度の揺らぎを背負って衝撃波が伝播をしますので,それによって波面が平行な,真っすぐな線ではなくなって変形します。右側のポンチ絵では,少し波打っている曲線になっておりますが,そういうふうに波面がゆがむことになります。波面がゆがみますと,波線が,ある部分ではこの緑のように集まってくる,またある部分では赤のように広がる,そういうようなことが起きます。
それを圧力分布として見るとどうなるかといいますと,下にポンチ絵にありますが,緑で集まる場合はスパイクのようにとがってくる,それから赤く分散しているところではなまる,それから何もなければ,そのまま来るということになって,大体この33つのパターンに大気乱流を背負うと波形が変形するというか,2つ変形して1つはそのままですね,ということが起きると言われております。
我々もこれがあったのではないかということで,この大気乱流を説明するモデルをこれまでの諸外国や我々も行っていた研究成果を取り入れまして,今回計測したゾンデや気象観測データの値を使って,そのモデルのパラメータを決めました。ここに,左側の下の方にありますが,大気乱流の領域,ここでは境界層の厚さと呼んでいますが,ゾンデのデータを見る限りでは,3.5 kmぐらいあったのではないかと推定されました。
もちろん,計測した場所でゾンデを上げたわけではありませんので,これは1つの推定値ではあるのですが,試験エリア内では3.5 kmぐらいあったのではないかと考えられます。あと,乱流の強度,スケール等も,そこに書いたような数値であったのではないかと推定されました。そして,この大気乱流の境界層の縁まで,機体近傍で発生した衝撃波はこの黄色い領域,つまり大気乱流を背負わずに伝播してきたものと仮定し,その波形を境界層の端で入力データとして入れたときに,波形がどのように変形するかを解析いたしました。
次の9ページを御覧いただきたいのですが,空間・時間的に変動しているモデルですので,波線を仮想的に幾つか,場所を変えて,いろんな大気乱流の状況の違うところを通るという計算をたくさん行ったわけですが,それら全計算の波線群の中で解析した波形の中に,ここにありますように紫の線で示すような計測波形とほぼ同じ傾向を示す波形が得られました。このことから,我々としましては,計測ブーム波形はこの大気乱流の影響を受けて変形したものだと考えました。
これによって,もし大気乱流がなかったとすれば,設計通りの3.5 kmで入力した波形が,そのまま伝播してマイクロホンに来たと逆に考えることができますので,我々としては,一番下にありますように,今回のD-SEND#2試験をもって,我々の低ブーム設計概念は実証できたものと考えております。
これが結論でございます。
最後に,「まとめ」のところですが,このような3か月間の分析を経て,今回計測したものが我々の推定していた波形であるということが確認できましたので,低ソニックブーム設計概念を実証できたと思っています。
この我々のJAXAの技術が他の諸外国で成された低ブーム試験と違う点は,機体の姿勢を飛行条件に合わせて飛ばし,かつ後端部分のソニックブームを下げるということが入っていることです。先端を実証した例は既にありますが,後端までそれを入れたものはありませんので,その意味では先端,後端を低ブーム化できた波形を確認できたということは,世界初めてと思っております。
そしてもう1つ,今回,くしくも大気乱流の影響を受けていたということがありまして,低ブーム波形がどのように大気乱流で変形するかというのは,これまで誰も解析した例がありませんのでした。ただし,N波についてはたくさんあります。したがって,今回低ブーム波形に対する大気乱流の影響を詳細に解析して,貴重なデータが得られたというのも世界初の知見ではないかと思っております。
今後の予定です。この結果につきましては,最初のぽつですが,10月28日から29日にICAOの超音速タスクグループSSTGでミーティングがありまして,そこに既にこの結果を出しており,議論もされております。そして来年22月にありますICAOのCAEP10総会に向けては,報告される内容として,その成果をどのようにまとめるかという点で現在調整が進んでいると聞いております。
それを踏まえて,今後のICAOでのソニックブーム基準策定への技術的な議論と,更に検討を加速できるのではないかと考えております。
それから2番目のぽつです。D-SEND並びに我々の超音速機技術の研究開発についての事後評価というのは,来年度,この委員会でさせていただくことになると思いますが,JAXAとしては,プロジェクトという形はここで一つ区切りをつけるということで,年度内に終了に向けた審査をやる予定でございます。
それから最後のぽつです。D-SEND以外,これまでに超音速機に関していろいろな活動をして参りまして,それらの研究成果を現在構想しております次の計画に継承させるとともに,是非とも今後は産業界の皆様と連携を密にして,将来のSSTの実現につながる活動に積極的に貢献していきたいと思っています。
以上でございます。
【李家主査】  ありがとうございました。
では,ただいまの御説明に関して,御質問なり御意見等ありましたら,お願いいたします。
【鐘尾委員】  実験の成功,おめでとうございます。
【吉田プロジェクトマネージャ(JAXA)】  ありがとうございます。
【鐘尾委員】  私は一番古くて,D-SENDの前からかかわっておりまして,すごく興味を持っていまして,8月に知り合いから成功という話を聞いて,内心とても喜んでいました。
それで,質問なんですけれども,これがそもそもの設計技術がメーンであったところに,検証技術の方にかなりシフトされたような印象を持っておりまして,設計技術の方は11ページのところに特許取得済みということで,機体本体の方は特許をとられたようですが,検証方法の方は,やはり世界的に見ても珍しいものではないかと思うんですが,その検証方法に関しての,例えば特許なり,あるいはその技術の技術輸出ですか,そういうことは考えていらっしゃるんでしょうか。
【吉田プロジェクトマネージャ(JAXA)】  多分おっしゃっている意味を勘案しますと,今回大気乱流を除けば,我々はこのフライトをすれば,測ったソニックブームが確実に減少できているという計画のもとでやっておりました。そこのキーとなるのは,まず近傍の流れ場を解いて,それがどう伝播するかというツールでその設計効果がどうなるかというのを見るわけですが,伝播ツールの検証はD-SEND#1とABBA試験の結果でやっておりまして,CFDによる近傍の流れ場の解析につきましては風洞試験で検証をやって積み上げました。
そしてこれまでにやっていなかったものが今回の大気乱流で,我々は大気乱流があることは知っておりましたので,それを避けようとして係留気球で上げたのですが,今回はその高さが足りなかったということです。D-SEND#1では,大気乱流の影響が余りなかったものですから,同様の係留気球の高度で行けると思っていまして,そういう意味では,御指摘の検証技術としては,大気乱流の分析を,事前から準備はしていたのですが,急遽(きゅうきょ)一気に今回のデータ解析の中でやりました。この過程でJAXAの新しい知見がたくさん得られておりますが,特許を取るということよりもそういうデータが得られたということが今後のブーム解析に重要な知見となっております。各国の方もN波への大気乱流の検討はしておりますが,低ブーム波形への影響の検討はしておりませんので,低ブーム波形はこういう状況になるんだよということを提示して,将来の低ブーム波形の基準を決める過程において,我々のデータが役に立つということを重視して,特許という観点よりは,そういう今後のブーム基準を決める中にこのデータが役に立っていくという点で対応していきたいと思っています。
特許の観点,つまり,日本国としての技術優位性という観点では,例えば大気乱流を考えるとこうなるということがわかりますので,そういうものを最初からある程度想定をした設計技術のアップデートみたいなのはあり得ると思います。そういう点に今後は我々も着眼して,特許の拡張などは別途考えていこうと思っております。検証技術というよりは設計技術にまた戻してというふうに考えております。
【鐘尾委員】  ありがとうございます。長い時間をかけて,非常に貴重なデータが得られたということで,それを是非生かしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【吉田プロジェクトマネージャ(JAXA)】  ありがとうございます。
【佐藤委員】  今回,非常に貴重なデータがとれまして,飛行実験自体,なかなかできないことなので,おめでとうございます。
最後の乱流の影響の解析についてお伺いしたいのですが,いろいろなパラメータをふることによって,かなり波形というのが変わってくると思うのですが,ピークの値自体も変わってしまうようなケースというのはあるのか。それから実際にどういう乱流状態かを,なかなか測ることが難しいと思うのですけれども。パラメータをふって出てきた結果から,何か,ちょうどぴったり合うものが見つけられれば,もともとの推測が正しかったというふうなやり方しかできないのか。それとも何かほかの計測点とかを含めて検討すれば,その辺がかなり絞り込めてくるのかというあたりを御説明いただきたいと思います。
【吉田プロジェクトマネージャ(JAXA)】  わかりました。多分2つとも同じものに繋(つな)がるのだと思いますが,まず今回あるパラメータで規定される大気乱流のモデルというのを想定しています。これは諸外国で,特にN型波についての大気乱流を分析したいろいろな方々が調べた幾つかのモデルがありまして,その1つを使っております。
我々がオリジナルに作ったモデルではなくて,そういうものを使っています。したがって,モデルのパラメータ,今回3つで表すようにしてありますが,そのパラメータの値を自由に振れば,どんな波形にもなり得ます。
御懸念の,例えばピークが下がるというような波形があれば,低ブームじゃない波形を入力にして大気乱流が強かったら下がる,それを低ブーム波形と見間違えないか,という点はきっとあるかと思いまして,大気乱流のパラメータ値の範囲がどのへんにあるかというのが,非常に重要になります。
我々としては,まずパラスタというのは当然して,いろんな傾向は調べましたが,恣意的にパラメータを決めることはもちろんできないわけですから,何か根拠となるパラメータを決める基準を探しまして,それで先ほど申しましたゾンデのデータと放球場にある気象観測タワー,100mのタワーがあってそこで温度や風速・風向も計測しております,それからBMSに載せた気象観測データの幾つかの気象データをもとに推定しました。高度3.5 kmまで大気乱流があったというのは,ゾンデのデータによります。
ゾンデは6個上げまして,それが先ほどの黄色い気球のパスに大体近いような感じで放球場から試験区域に飛んでいきました。そのデータの高度方向の分布を検討して推定しました。厳密には場所は多少違うのですが,それらの6個のデータを見て,速度・温度が急激に変動しているところが変動しなくなるあたりを見ていくと,いずれのデータもほぼ3.5 kmから4 kmの間ぐらいになっているということがわかりました。もちろん,そこをもう少しシビアに,きちんと攻めるというのはさすがにできないのですが,その3.5 kmをもっと大気乱流を増やそうと恣意的に8 kmにするとかいうことはしてないわけでございます。
それから乱流の強度も,場所は違うのですけれども,ゾンデデータがある程度BMS上空の気象状態を表現していると仮定して見ますと,速度変動が1m/sec.であること,乱流のスケールが30メーターぐらいの範囲にあったというようなことがわかりましたので,それらで先ほどのパラメータを決めてやりますと,この計測した波形に近いものが幾つか出てきます。もちろん,それから違う波形も出てまいります。それは乱流の組合せが,パラメータを3つで指定しても,時間・空間のランダムな変動状態を表現できるようなモデルですので,ある場所を通過した波線は違う波形になることもあり得るからです。
そういう状況におきまして,今回,先ほどの紫の波形を得たということで,我々としては大気乱流の影響と判断しました。
2番目の質問であります他の点では,という分析のことですが,それは当然やっております。我々は滑空フェーズで発生したソニックブームのN波を計測できています。これが高度方向にやはり大気乱流の影響を受けて変形しています。そういう計測波形についてもこの大気乱流モデルを入れた伝播解析をしますと,同じような計測波形が得られることを確認しております。
ですので,我々のモデルでは低ブーム波形ではない場合でも再現できていて,低ブームも再現できることがわかります。それから最初の御懸念の点で,更に仮想的に低ブーム波形よりもうちょっと強いN型波みたいなのを入力したら,そのピークがなまって我々の計測波形と同じぐらい弱くなるんじゃないかということは当然我々も調べておりまして,先ほどの赤い波形に近いものを入れて解析しましたが,我々の計測波形と同じようなものは出て参りませんでした。つまり今回設定したパラメタで規定される大気乱流の範囲では計測波形と同様の波形は出て参りませんでした。
以上のような確認や検討を行った結果,先ほど申したような結論を導き出したというものです。
【佐藤委員】  丁寧な御説明,ありがとうございました。
【堀内課長】  今の赤い線の低ブームの設計概念を適用しない場合でやったときの下がり具合というのは,どれくらいなのでしょうか。それが余り下がると,このシーリング効果(低減効果)というのが,弱くなってしまうと思うのですが。
【吉田プロジェクトマネージャ(JAXA)】  どれぐらいかという数値は,今,明確に覚えてないのですけれども,波形の形が,まず全然異なります。グリーンの波形は,だらだらした波形になっておりますが,横軸で見るとかなりゆっくり立ち上がる波形になる,そういうものは出てまいりません。N型の波形を大気乱流を通して見ても,だらける波形にはならないという結果でしたので,ピーク値はもちろん大小はするのですが,波形の形がまず質の違う波形になっておりましたので,全然,N波がなまって計測されたのだということはないということが確認できたと思います。
【堀内課長】  低減効果の幅について,どれくらいの影響があったのでしょうか。
【吉田プロジェクトマネージャ(JAXA)】  幅で言いますと,すさまじい大小がありまして,赤い波形がまずピークが出てしまうものとなまる部分と両方ありますので,範囲の変動量は,今実は手元にその結果を持っているのですが,非常に大きな範囲を出しております。下のレベルは,この計測波形に近いところまで下がるケースは数本あるのですけれども,全体の平均値は全部上の方に行っております。波形の形が全く違っております。
【堀内課長】  今の御説明ですと,場合によっては,低減効果が余り出ないような計算結果もあるということですか。
【吉田プロジェクトマネージャ(JAXA)】  それは大気乱流の強さが強い場合と,それから入力した波形の大きさにはよると思いますが,今回はいわゆる低ブーム波形の横軸の形が重要でございます。先ほどの波形を見ていただきますと,7ページの青いところで,最初の方にこぶが2つあり,それから後ろでもこぶがもう1つあります。実はこのこぶのおかげで低ブーム波形になっております。
これがグリーンでは,そのこぶが少し消えておりますが,まず先端部では2つのこぶの痕跡が実はあります。それから後ろのこぶの痕跡も,このグリーンの波形にあります。ここで,「あります」と言っている理由は,実はこのこぶをとった場合の解析をやっておりまして,その場合はこのグリーンの波形が出てこないことを確認しているからです。
ということから,いわゆる低ブーム波形にするというのは,このこぶを作ることがポイントですので,我々はグリーンの波形にこのこぶの痕跡が残っていることからそれは低ブーム波形を実証できている,ということが重要でございます。それがわかったということになります。
【堀内課長】  このこぶがあるという説明は。
【吉田プロジェクトマネージャ(JAXA)】  すみません,ちゃんと書かなかったのですけれども。9ページ目で,紫がそのグリーンの波形が大気乱流の影響を受けて変形したもので,紫の波形はそのこぶの効果を表現しておりますので,我々としては,それが確認できたというふうに考えているというわけです。
【堀内課長】  わかりました。
【武市委員】  まずは実験の御成功,おめでとうございます。
【吉田プロジェクトマネージャ(JAXA)】  ありがとうございます。
【武市委員】  分野が違う人間なので,確認を兼ねて教えていただきたいのですけれども,8ページの一番右下にスパイク波となまる波形が両方あるのですけれども,今後重要になってくるのが,このスパイク波になる部分の予測だという意味でいいのですね。
【吉田プロジェクトマネージャ(JAXA)】  はい,おっしゃる意味は,ブーム基準を決めていくときに,どこをとるかということと理解しますが,スパイクの話で低ブーム波形にスパイクのようなものが生じたとき,基準としてどこまで安全かという議論は今後重要だと思います。
【武市委員】  今回の実験で,このスパイクになっている部分もあり得るということが明らかになり,その予測技術が大事になってくるという理解で良いですね。
【吉田プロジェクトマネージャ(JAXA)】  非常に大事だと思います。
【武市委員】  わかりました。ありがとうございます。
【李家主査】  ほかは,よろしいでしょうか。
【松島委員】  今回の飛行試験の成功,おめでとうございます。
【吉田プロジェクトマネージャ(JAXA)】  ありがとうございます。
【松島委員】  延期することに関しては,少し議論がありましたけれども,その延期したことによって,プラスアルファの副産物が非常によいものが得られたと思っておりまして,非常にいい成果を出していただいて,有り難いと思っております。
まず設計概念の実証ということで,後端のブームを下げるというところが世界初だということなのですが,難しくて米国等での飛行実証では行われてないということについてですが,もう一度の説明になるかもしれないですが,どこが難しくてできなかったのかということと,今回それがクリアできた要因というのは何であったかということを教えていただきたいと思います。
【吉田プロジェクトマネージャ(JAXA)】  わかりました。ソニックブームを下げるアメリカで実証した先端の低ブームを実証するアイデアはいわゆるソニックブーム低減理論というのがありますが,その理論に従っています。これによりますと,揚力分布というものを胴体の後ろまで延ばさないと後端が下がらないという理屈になります。
したがって,そういう機体を造ってしまいますと,後ろ側に揚力が出るということは,重心まわりのモーメントが頭を下げる方向になってしまいまして,真っすぐに飛べないということで,トリムが取れないという言い方をしますが,トリム飛行をしようとすると,従来の低ブーム理論通りには設計できないということがわかっております。
これをどう解決するかをアメリカも日本も,みんなで検討しているものですが,JAXAではそれを解決する案として,D-SENDの機体を見ていただきますと形がまさにそれを表しているのですが,翼の揚力分布を工夫する,それから垂直尾翼を少し前にして,後ろに揚力を稼ぐ胴体の部分を作る,それから水平尾翼のトリム角度というのを望ましい形に変える,更に胴体の下面部に波板のような形状を設ける,特に胴体の下面部に波板のようなのを作りますと,膨張波,衝撃波,膨張波の順に発生させて,ちょうど衝撃波を膨張波でサンドイッチするような構造にすることによって,それと翼の後端の衝撃波や水平尾翼の先端の衝撃波をうまく合体させないようにしています。この衝撃波を散らすという効果が通常のソニックブーム理論とは違うアイデアです。もちろん,尾翼がありますのでトリムは取れるわけです。つまり,そういうトリムを取りながら後端ブームを下げるという従来とは全く違うアイデアをJAXAは作った,ということになります。
それを今回飛ばして,まさにトリムが取れた状態で,滑空角は47.5度という値を持っていますけれども,重心まわりのモーメントはちゃんとゼロになってトリムが取れており,それで先端も後端もブームが下がったということが新しいということです。
【松島委員】  ありがとうございました。
もう1つよろしいでしょうか。今回,ソニックブーム波形を計測された後,いろいろな解析をされているのですけれども,その解析の中で,いろいろな低ソニックブーム波形に対する大気乱流の効果を種々検討されいろいろな波形が出てきたと思うのですけれども,そのようなものを例えば大気乱流のさっきおっしゃったパラメータに関して,こういう波形が出てきそうだという形のようなものをデータベース化する予定というのは今後あるのでしょうか。
【吉田プロジェクトマネージャ(JAXA)】  D-SENDプロジェクトでは,D-SEND#1ではABBA試験も含めてデータベース化したものを作っておりまして一般に公開しているものがあります。今後,それをアップデートしていく予定なのですが,D-SEND#2の部分は特許も絡んでいて,国内の産業界のためというところもありますから,どこまでデータを入れて広く公開して皆さんと議論して先へ進むようにするかというところの切り分けをうまく作っておく必要があると思っています。先ほど鐘尾先生から御質問があったように,計測手法,実証方法については,多分,伝播解析ツールの検証に供する取得データは広く皆さんに提供して,大気乱流の検討を深めた方が良いという部分はオープンにする方向に行くと思っています。
一方,設計としての特殊な技術をアップデートするというところは,特許化する方向というのがあるかと思いますので慎重に対応したく思います。
今の御質問で大気乱流の話を設計に戻す方は,多分,データベースで公開というよりは,JAXAでの研究を通して,次の超音速機に関するプログラムで産業界との共同研究や連携の中で進めていくというものではないかと考えますが,伝播解析の技術のアップという点では,多分それは,それが特許ということではないと思いますので,データベース化していくということもあり得ると思っています。今後,既に作ってあるD-SENDのデータベースに,何をどこまで入れて,どのように使ってもらえるようにするかというのは,少しJAXAの中で考えて対応していきたいと思っております。
【松島委員】  是非JAXAのプレゼンスを世界にアピールするような形でやっていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【李家主査】  あとは,よろしいでしょうか。
どうもありがとうございました。いろいろ貴重なデータが得られたということでしたが,この次へつながるような話がこの後の議題でも出てくると思いますが,よろしくお願いします。
【吉田プロジェクトマネージャ(JAXA)】  ありがとうございました。
【李家主査】  では,次の議題へ移らせていただきますが,その前に……
【坂本課長補佐】  堀内課長,できれば簡単に挨拶を。
【堀内課長】  すみません,ちょっと遅くなりまして,8月から宇宙開発利用課長を拝命しております堀内と申します。大学のときの専門が流体力学でありまして,乱流の構造をコンピューターなどを使って解析し,実験結果と比べるというようなことをしておりました。今日の話は,何となく懐かしい感じがしており,航空分野については少し関心をもっております。
あと,前職はライフサイエンス課の課長をしておりましたが,ずっとSTAP問題,不正問題ばかりを担当しておりまして,本来のライフサイエンス課に関する仕事ができなかったことが少し残念に思っております。宇宙開発利用課では,航空分野の仕事がちゃんとできればと考えており,頑張りたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
【李家主査】  どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
では次の議題の2番目,「研究計画・評価分科会における審議結果について」報告をしていただきます。
では,事務局の方からお願いします。
【坂本課長補佐】  資料の48-2-1を御覧ください。
「研究計画・評価分科会における審議結果」になりますが,航空科学技術委員会の方で,中間評価,あるいは事後評価,推進方策案について審議し終わったものを平成27年7月と8月と10月に開催された評価分科会で順次,審議させていただきました。
その結果ですが,静粛超音速技術の研究,これは中間評価票ですけれども,一部委員の先生の方から修正の指摘があり,それに基づき修正をさせていただいております。
また,「航空科学技術に関する研究開発の推進方策」,これにつきましても,評価分科会の中で委員の先生の方から修正の指摘がありましたので修正をさせていただいております。
残りの中間評価,事後評価につきましては,航空科学技術委員会でまとめた案が,そのまま採択されております。
評価分科会の方で委員の先生がどのような意見を言い,それに基づいてどのような修正をしたかというのを,簡単に私の方から説明をさせていただければと思っております。
参考資料の1,「研究計画・評価分科会における決定事項」について特にポイントと考えられる部分を紹介させていただきます。
まず6ページ目の最後の文章です。
「日程や気象条件等を見直すことで試験機会の最大化を図り,着実な試験実施を期するべきである。」これは,このような文言を追加したものですが,小川委員からのコメントとして,1回目の試験で飛行が破綻した件はともかく,2回目においては,気象の問題で延期ということであり,これはロケットの打ち上げなんかでもよくある話であって,失敗というような話ではないのではないのか,というようなコメントがありました。
これについては,航空科学技術委員会側の方から,試験ができる日程を最大化できないか,あるいは試験が可能となる気象条件をより緩和することができなかったのかという観点から検討し,その結果見直すべきものがあったことから,今回評価していただくということになった旨説明をしたところ,それでは,そのような観点で記載をした方がいいのではないのかという指摘となり,このような文言を追加させていただきました。
続きまして,7ページ目の7行目ですけれども,実はここは1文が削られております。その削られた文章ですが,「また若手育成には失敗,成功体験とともに,適度であることが望ましいことも考慮に入れるべきである」という文言でした。これについて,土井委員の方から,若手育成自体は非常に大事ではあるものの,金額が金額で億単位となってますので,失敗も必要という文章はあえて書く必要はないのではないのかという意見がありましたので,削らせていただきました。
次にその3行下ですが,「試験ではなくシミュレーションの活用を中心とした計画に変更することも検討すべきである。」とあります。これは当初の案文ですと,「計画の中断もあり得る」といった表現で記載させていただいたものですけれども,北川委員の方から,計画の中断もあり得るというような書き方にしてしまうと,そもそも中断もあり得るような試験自体やるべきではないという話にもなりかねないのでシミュレーターの活用を中心とした計画に変更する,そうすることで実証試験そのものはなくなるわけですけれども,そのように表現を変えた方がいいのではないのかとの意見がございましたので,それに基づき修正をさせていただきました。
続いて,その下の2行目,「超音速旅客機による豊かで質の高い国民生活の実現に資するため」という文言ですけれども,これは渡辺委員からの意見です。そもそも,超音速機の研究開発が豊かで質の高い国民生活の実現にどう結び付くのかというような質問があり,事務局の方から,アジア圏であれば日帰りで出張できるといったことが可能となれば,それが豊かで質の高い国民の生活を実現に寄与するという説明をさせていただきました。それであれば,今後の超音速機の研究開発の方向性の中に,豊かで質の高い国民生活を実現するためということを明確にした方がいいのではないかとのコメントがあり,ここに記載をさせていただいております。
その他にもいろいろと質問,コメントがありましたが,特に代表的なものは今説明をさせていただいたとおりです。
超音速関係は以上になります。続きまして,ページで言えば9ページからになりますが,「航空科学技術に関する研究開発の推進方策」,これについても2つほど修正が入りましたので,御紹介させていただければと思います。
まずは15ページになります。(1)の最後の段落になりますが,これは山口委員からの意見ですが,超音速機について研究開発することは理解はできるものの,初めに超音速機について何か記述がないと,いきなりで唐突感があるので,超音速機について記載した方がよい旨のコメントがあり,「詳細は2.2.1を参照」として呼び出す形とし,このような文言を追加させていただきました。
続きまして,20ページです。2.2.1の最後の文言で,これも追加させていただいた文書です。町田委員の方から,昨今,ドローンによる官邸への侵入事件とか,航空法改正とか,いろいろ話題になっている無人航空機についての記述が推進方策にないが,そういうのをやっているのかという質問があり,革新航空機の研究プログラムの予算の中で無人航空機の研究開発を行っている旨説明をしたところですが,事務局サイドとしては,無人航空機は今トレンドになっており,記載した方がいいと考え,このように2行ほど追加させていただきました。
推進方策の改訂は以上になります。計画・評価分科会ですが,全体的には質疑応答という形と言いますか,これはどういう意味でしょうかといった質問が多かったという印象です。ただし,委員の先生の中には超音速についても非常に専門家というか,詳しい方もおられかなり専門的な意見もあったところです。我々の方で懸念していた超音速の中間評価については,否定的な意見というのはそれほどなく,試験が延期になったことについても,気象の問題であれば,やむを得ないのではないのかというような論調が多かったと記憶しております。
以上でございます。
【李家主査】  ありがとうございました。
いつもこの航空科学技術委員会で御審議いただいて,案をつくっていますが,その後どのように上の委員会で決定されているかという,その辺のところを,委員の先生方にも少し知っていただきたいと思って,事務局にお願いして,こういう報告をしていただきました。
何かこの件に関して,御質問等ございますでしょうか。
よろしいでしょうか。ありがとうございます。
では,もし何かお気づきの点があれば,御連絡いただければ,事務局の方から回答させていただきます。
では,次の議題の3に移らせていただきます。議題の3「研究開発課題の評価について」ということですが,それに対して,また事務局の方から御説明をお願いいたします。
【坂本課長補佐】  お手元の資料でいきますと,資料の48-3-1が,航空科学技術関連施策マップで,48-3-2が,超音速機統合設計技術の研究開発の概要,1枚紙となります。資料48-3-3が,超音速機統合設計技術の研究開発自己点検票。そしてこれに関連するものとなりますが,参考資料の2として,事前評価補足資料となります。
これらについて,今から説明させていただきますが,D-SENDにつきましては今回終了ということで,先ほど吉田さんの方からも説明がありましたが,来年度はD-SENDに関する事後評価を行うとともに,来年度D-SENDに代わる研究内容について,今回,説明をさせていただければと思っております。
本日の説明はJAXAの方で超音速機について来年度以降,どのような研究を行おうとしているのかについて説明をさせていただき,その上で質疑応答を行いたいと思います。事前評価案につきましては,これは資料の48-3-3が該当しますが,これについては本日の委員会が終わった後に,また事務局の方から2段表を作成し,左側の欄には事前点検票案,右側の欄には委員の先生からの意見及びコメントを頂く形とし,別途メールで送付させていただく形を考えております。
次の航空科学技術委員会は1月20日に開催することを考えておりますが,委員の先生の指摘,修正意見などを踏まえた上で,次の委員会で事前点検票は審議したいと考えております。
それでは,来年度以降,超音速機の研究開発について何を実施していくかということをJAXAの方から説明をさせていただければと思いますので,よろしくお願いします。
【張替事業推進部長(JAXA)】  それでは,JAXAの事業推進部の担当をしております張替の方から,御説明をいたします。
まず資料の48-3-1をごらんください。横書きのA4の資料です。
これは航空科学技術に関する研究開発の推進方策に基づいて,JAXAが行っております航空科学技術の研究開発の全体像を示したものでございます。左側に推進方策の文言が出てきますけれども,環境及び安全に係る研究開発の重点化というところでは,航空環境技術の研究開発,航空安全技術の研究開発というのを行っております。それから,防災関係機関と連携した研究開発の推進ということでは,次世代航空技術の研究開発ということを行っておりまして,それぞれ本年度,「中」という赤い三角を書いておりますけれども,中間報告をさせていただいたということになっております。
そして,国力の源泉となる独創的な技術への挑戦ということで,きょう話題になっております静粛超音速機技術の研究開発というのをさせていただいているということです。この中では,要素技術,必要な要素技術の研究を行うとともに,先ほど吉田から申し上げましたような低ブームの設計機体による飛行実験,D-SENDというのを行ってまいったということでございます。それで,ちょうどそのD-SENDが本年度に終わったということによりまして,JAXAの技術戦略,それからそれに基づく研究計画を見直す時期に来たんであろうというふうに考えております。
バックグラウンドとしては,D-SENDの成功により,国際競争力を確固とする素地(そじ)ができたということ,それから後で詳しく述べますけれども,NASAのローブームフライトデモンストレーター等の計画が進行しておるということと,ブーム基準がICAO等で明確になりつつある。それからちょっと別件になりますけれども,ICAOの着陸騒音に関する基準が,チャプター4からチャプター14に更新される。そういったことを鑑みて,次の4年間,この緑の線で囲んでいるところなんですけれども,国際基準策定への貢献,それから目標をアップグレードした要素技術研究,そしてその要素技術を超音速機という形につくり上げるシステム設計検討,この3つを柱とする超音速機統合設計技術の研究開発というものを,JAXAの方で計画を立てましたので,きょう御審議いただければというふうに考えているということでございます。
内容について御説明するために,細かく説明するということで,事前評価補足資料という,これは参考資料の2だと思いますけれども,A4の横書きのパワーポイントでステープラどめしてあるものをごらんいただけますでしょうか。これを使って,簡単に我々の考えていることというのを御紹介したいと思います。
1枚めくっていただきまして,「超音速機研究開発の動向」ということで,これは欧米とJAXAの研究開発について書いてあるんですけれども,先ほど申しましたように,NASAは超音速旅客機に関する技術研究開発を進めるとともに,ソニックブーム基準策定を目指した有人の低ブーム実証機,ローブームフライトデモンストレーター,LBFDの開発を計画しております。欧州ではダッソーとエアバスが国際ソニックブーム基準策定への貢献を掲げたEUプロジェクトRUMBLEというのを計画しております。
2014年9月に,米国のエアリオン社が,開発・製造・マーケティング・サポートを支援するOEMのパートナーとして,エアバス社と合意して,今年の11月に超音速ビジネスジェット機ASをフレックスジェットから20機の確定発注を受けたというふうな報道があって,こういうような欧米の状況があります。
かつ,それに対して,JAXAでは,1997年より次世代超音速機技術研究開発NEXST,これは低抵抗を目指したものですけれども,それと2006年より要素技術である静粛超音速機技術の研究開発Sキューブといったものを進めてまいりました。
そして,今年には,先ほど申し上げましたように,D-SENDの飛行実証を成功裏に終わらせ,その成果をICAOの基準策定検討に展開する一方,そのSキューブの研究開発に反映するとともに,2006年当時には超音速機の実現に必要であるとされた4つの技術目標,これは後で述べますけれども,その達成に技術的なめどをつけているということであります。また,この過程で,オール・ジャパン体制の構築の基礎となるものもできてきたということです。
こういうような状況の中で,JAXAの技術戦略とそれに基づく研究計画を見直す時期に来たであろうということで,今後4年間,どういうことをするかといったことを,きょう御審議いただきたいということになっています。
次のページにいきまして,じゃ,JAXAはどういうことができたのかということで,先ほどJAXAの研究開発のところで述べましたNEXSTとS3で獲得した技術レベルといったものを,その3ページのところに書いてございます。
我々が想定しておりますのは,小型超音速旅客機でございまして,乗客数は50人未満,それから巡航速度がマッハ1.6,航続距離が3,500 nm,これがアジア圏内をノンストップで到達できる航続距離ということになります。離陸重量が60トンから70トン程度であるということです。 これを前提として,要素技術研究とそれから低抵抗,それから低ソニックブームの研究開発というものを行ってまいりました。
左側の上の図にあります「技術参照機体最終形状」というものがありますけれども,これでCFD結果で,まず低抵抗の技術はこの小型超音速旅客機でどこまでできたかということですけれども,揚抗比8.0以上を達成したということで,コンコルドの揚抗比の7.0に比べると,25%以上の燃費の削減ができるような機体形状の設計ができたという,そういうところまで来ております。
それから左下にありますのは,ソニックブームでございますけれども,これはD-SENDの成果によって,小型超音速旅客機で,コンコルドをそのまま小型にしただけでは半減するのだけれども,JAXAの低ソニックブームの技術を入れると,更に半減するということで,4分の1,コンコルドに比べて4分の1の低ソニックブームの実現が見えてきたということです。
それから右側にいきまして,これは離着陸騒音のところですけれども,騒音に関しては,チャプター3というものに対して,機体形状を工夫することによって,棒グラフの右側赤いところに書いてありますけれども,14デシぐらいのマージンを得るような低騒音の形態ができた。これは下の図に比べますと,ちょうどチャプター4を下回るレベルということで,チャプター4の適合するレベルまででき上がってきたということになっております。
一方,コンコルドは左の上の方にあります50ぐらいのところにありまして,非常に高い着陸騒音になっていて,就航できる空港が非常に限られていたということで,JAXAのSSTではチャプター4までいった。
ただ,先ほど申しましたように,ICAOの着陸騒音に関する基準がチャプター14に更新されるということになっておりますので,このままで全て終わりであるというわけではないということです。
そのために,次の4ページにいきますけれども,今後4年間は,その新たな動向及び企画,基準に基づいた超音速機実現に向けた技術目標のアップデートというのを,まず考えたいと思います。左側に経済性に関する赤い部分が書いてありまして,右側に環境適合性に関する水色の部分が書いてあります。
低抵抗に関しましては,経済性になるわけですけれども,技術目標は揚抗比8.0ということで,これは現在の技術を維持していこうというふうに考えています。それから軽量化ということに関して,これは先ほど絵ではお見せいたしませんでしたけれども,機体規模が小さくても効果のある構造設計技術を,鋼材等を使って確立するということで,構造重量15%減というのを達成できておりますので,この目標は維持をするようにする。
一方,環境適合性に対しましては大きな変動がございまして,まずD-SENDが成功裏に終わったということで,ICAOの議論が進捗していって,低ソニックブームに関する目標といったものが,定量化が始まるということです。目標としては,低ソニックブームを既存機体の半減ということなので,ICAO基準何PLdBとはまだ出ていませんけれども,技術目標としては,このD-SENDの成果の半減ということにアップデートしたい。
それから着陸騒音は,先ほどから何度も申し上げていますように,ICAO基準がチャプター4から14に適合されるということで,技術目標を現在のチャプター4から14にアップデートするということで,こういう技術目標を維持,あるいはアップデートした目標のもとに,この4年間は研究開発を行っていきたいというふうに考えております。
一方,その下の図に書いてありますように,経済性を指標とします巡航性能と,それからソニックブーム,離着陸騒音というのは,実は相反する設計要求になっています。すなわち,巡航性能をよくしようとすると,エンジンに乱れを入れないために,エンジンを翼下面配置するとか,エンジンのバイパス比を小さく設定するといったことが要求されます。
一方,ソニックブームは,エンジンの影響を機体で遮蔽するために,横にエンジンを置くか,あるいは翼上に配置するといったことが要求される,またバイパス比を小さくして音の発生源を小さくするということが要求される。
一方,離着陸騒音になりますと,これはエンジン騒音を機体で遮蔽するということは同じで,横にエンジンを置くか,機体の翼の上にエンジンを配置する,一方,バイパス比に関しては,大きく設定することによって,音を下げるということができます。
これらのことを見ますと,実はこの3つの要求というのは,全て相反していて,これらの折り合いをつけながら,要素技術単独で技術目標に到達するだけでなくて,1つの機体として全体としてまとめ上げるという,そういうシステム設計の技術が必要であるということがわかります。
ということで,我々といたしましては,今後4年間で,技術目標をアップデートした要素技術開発とともに,システム設計の技術といったことも,きちんとやりたいというふうに考えております。
それで,今後4年間の「最終ゴールを小型SST国際共同開発に置いた研究開発大方針」というのを,5ページに書いております。
まず「研究開発の方針」ですけれども,国際基準策定への貢献ということで,1で,JAXAはD-SEND成果,主に計測技術をもとに,NASAのLBFD計画に積極的に関与することで,ソニックブーム基準策定に技術的に貢献し,そこから得られた情報を国際競争力強化に役立てるということを1つ。2つ目に,最終ゴールを小型SST共同開発に置いた研究開発のために,3年後にプリプロジェクト化を目指して,着実に要素技術及びシステム設計技術に磨きをかけて,4年後にプロジェクトによる技術実証構想に移行して,全体で10年から15年を目途とする技術実証を目指したいというふうに考えております。
9ページ,ちょっと飛びますけれども,見ていただきますと,「ロードマップ」が書いてございます。
今議論させていただいておりますのは,2015年が終わったD-SENDが終わった後の青い四角で,「小型SST設計技術開発」と書いてある,その部分のところでございます。これの出口としては,小型SSTの飛行実証というプロジェクトを,2020年から3から6年にかけて行うということを目指して,この現在の4年間をやるということになります。
小型SSTの飛行実証プロジェクトというのは,外の環境によって国産,あるいは国際共同開発のSSBJの開発に移行したりとか,あるいは小型SSTの開発の大型プロジェクトといったものに移行して,最終的には30年代以降に行われる小型SST国際共同開発の事業の立ち上げにつなげていくという,そういうロードマップになっておりまして,この最初の4年間,御議論いただく4年間に対しては,小型SST飛行実証のプロジェクトをにらんだ要素技術のブラッシュアップとシステム設計技術をきちんとやるという,そういう位置づけにございます。
5ページに戻っていただきまして,「研究開発の目的」ですけれども,繰り返しになりますけれども,NEXSTにより実証された低抵抗技術とD-SENDにより実証された低ブーム設計コンセプトを核にいたしまして,超音速機が旅客機として成立するためのキーとなる,これは相反する要求があるんですけれども,低ブーム,低抵抗,低騒音,軽量機体設計技術といったもの,これを一体化してシステム設計によって実現していく,そういうことを,技術実証を通じて確立しようということを考えています。
重要なもう1つは,研究開発を通じて,超音速機の国際共同開発における参画割合を最大化にするように,非常に重要になってくるんですけれども,我が国の産学官を一体化した研究開発体制を構築して競争力を確保するということで,要素技術,システム設計技術をやるだけではなくて,そこに携わる人,これがJAXAだけではなくて,産学官を一体とした研究体制を構築するといったことも,この4年間でやっていきたいというふうに考えています。
活動の柱は,先ほど研究開発の方針に基づいたとおりで,まず1がブーム策定基準への貢献,2が国際競争力の強化ということで,我が国産業界がエアリオンに対する競争力を確保するような低ブーム技術,申しおくれましたが,エアリオンは低ブームの機体ではなくて,通常の機体です,の低ブーム技術で差別化ができるだけの設計技術を獲得して,2030年ころの小型超音速旅客機の国際共同開発事業が立ち上がるまでに技術実証を完了して,我が国の産業界の参画割合を最大化するということを目指すということにいたしたいと思います。
これが詳細に述べさせていただいたこの4年間の超音速機統合設計技術の研究開発の内容でございます。
それでは,本資料の方に戻っていただきまして,次は資料の48-3-2,この1枚紙で,先ほど述べたことを1枚紙にまとめた「超音速機統合設計技術の研究開発の概要(案)」という資料でございます。
「課題実施期間」は28年度から平成31年度までということで,4年間になっております。中間評価を29年度に実施し,事後評価を32年度に予定している。今年度は事前評価をお願いしたいということです。
「研究開発の概要・目的」ですけれども,超音速旅客機の実現というのは,非常に価値のある技術であります。ただし,コンコルドの失敗例もありますように,経済性と環境適合性に関する解決しなければいけない課題が残っております。
我が国では,低抵抗,ソニックブーム低減の設計コンセプトに基づいて,世界に先駆けてNEXST,それからD-SENDという飛行実証をしたところでございます。これらを核に,1として,ICAOのソニックブーム基準に技術的に貢献するとともに,そこで得られた情報を競争力強化のための要素技術研究開発で役立てるとともに,互いに相反する要求である要素技術を,超音速機が旅客機として成立するための最終ステップとなるこのソニックブーム低減,低離着陸騒音,低抵抗,軽量化を同時に満たすシステム設計技術を,世界に先駆けて取り組むことで国際競争力を確保することとしたいというのが,研究開発の概要と目的でございます。
「研究開発の必要性等」ですけれども,まず1段落目には,平成26年度に策定されました戦略的次世代航空機研究開発ビジョンの実現ということを念頭に置いています。このためには,これは超音速に限らず,民間旅客機開発プログラムというものもこの開発ビジョンにあるんですけれども,どちらも我が国の技術的優位性を確保することが必須であります。
そのためには,これまでに開発してきた競争力のある要素技術を,この4年間でシステム設計技術として高め,これまでの活動方針である欧米の先を行く技術開発を進めることが重要であるというふうに考えています。これは1つ,今回は例として超音速機を挙げていますけれども,民間の国際旅客機開発にも通ずるものでございます。
第2段落,第3段落は,先ほど述べました諸外国,それからJAXAでの研究の経緯を書いたものでございます。
重要な第4段落になりますが,結論になりますけれども,今後4年間は,まず1として,国際動向を注視しつつ研究開発を進めて,目標に関しては着実にアップデートをしていって,技術的におくれをとらないようにするということが重要であること。そして,その成果が,これも先ほど述べましたけれども,2番目として,超音速機のみならず,広く我が国航空産業の競争力に直結することが重要であることを認識したい。そのためにも産官学連携の研究開発チーム等の効果的な研究開発環境を構築することが,この4年間で重要である。そして,システム検討や技術実証計画立案の検討を推進したい。その4年後には,その技術立証計画に基づいて,技術実証のための実験というところにステップアップをしていきたいというふうに考えております。
この4年間の次世代SSTの技術課題と技術目標が,右上に書いてございます。「環境適合向上技術」や「ソニックブーム強度」が,陸域でも飛行可能な水準ということで,ICAOの議論を反映してやっていきたいと思います。離着陸騒音に関しては,亜音速機と同等の基準ということで,チャプター14を前提にアップデートしていきたいと思います。
それから「経済性向上技術」ということに関しましては,低抵抗化,軽量化というものがありますけれども,いつでもアジア圏内をノンストップで到達できる航続距離を持たせる,そういったもので経済性が満たされるということで,低抵抗化,軽量化を図って燃費の向上といったことを実現していきたいと思います。
「研究開発のロードマップ」ですけれども,現在,2015年の赤い線で書かれております。現在までのところ,静粛超音速機技術の研究開発要素技術を検討してまいりました。それから,D-SENDで低ソニックブーム設計コンセプトの獲得がなされたところです。
今後4年間の活動ですけれども,3つの柱がございまして,1はICAOへの貢献ということで,基準策定のために技術アドバイザーとしてICAOの技術基準策定に貢献していきたい。これはD-SENDの効果を最大限に生かしたいということです。それから2番目は,システム設計を検討ということで,産学官連携の設計チームを構築するということ,そして相反する要求をまとめ上げるシステム検討,それからそれを機体として技術飛行するための実証計画の技術案,それからその技術実証をした後,実際に社会に実装していくための製造,運航事業化の検討等も,この中でやっていきたいと思います。
そして3番目に,要素技術研究はアップデートされた目標のもとに,着実にやっていきたいと思います。超音速輸送機を実現するための技術目標を達成するための要素技術としては,低ブーム,低抵抗技術,エンジン低騒音化技術,低速性能向上技術,これは抗揚力装置が当たります,それから機体軽量化技術,こういった要素技術を着実にやっていきたい。
2019年には,次のステップアップのための検討を行うということを,諸外国の動向を見ながら,それから我が国の体制の構築の度合いを見ながら,ここで判断をしたいというふうに考えています。
「予算の変遷」ですけれども,平成28年度については,4.4億円を御要求させていただいているというところでございます。29年度以降は,まだTBDですけれども,大体これと同じような額で推移していくものと考えております。
人員としては,JAXA内で5から6名ぐらいの中核のメンバーをつくりまして,それのもとに外部の人たちを入れた産学官連携チームを,外部の人10名ぐらい入っていただいて,全体として15,6名のチームで,こういった研究開発を進めていくということを計画しているところでございます。
資料3-3にいきまして,「自己点検票」になります。これは,ただいま申し上げた超音速機統合設計技術の研究開発の研究計画を,我々の方で自己点検を,各項目についてさせていただいたということで,最終的には委員の先生方から,いろいろ修正していただいて,最終的な形にしていただくものでございます。
各観点からの評価ということでは,必要性の評価ということでは,科学的には超音速機が旅客機として成立するための鍵である低ソニックブーム,それから低離着陸騒音,低抵抗,軽量化を同時に満たす設計技術を獲得することを目的としているということで,我が国固有の要素技術の実証レベルだけではなくて,システム統合度も向上させる課題であって,非常に独創性を有しておるということです。
「社会的,経済的意義」に関しましては,こういったシステム統合度を向上させる研究というのは,我が国航空産業界の国際競争力を向上させるための航空機開発におけるシステムインテグレータとしての技術力を獲得する,その源泉になるというふうに考えております。本課題は,超音速ビジネスジェットは将来超音速機旅客機実現の鍵となる低ソニックブーム設計技術の実用化を目指した課題でありますけれども,システムインテグレータとして,航空機のシステム設計技術をこれまでにない高みに到達させることを目的としたものであって,その成果といったものは,先ほどから述べておりますように,超音速機のみならず,広く我が国産業界の国際競争力強化に大きく貢献できるものであるというふうに考えており,社会的,経済的意義も大きいというふうに考えています。
国費を用いた研究開発としての意義については,非常に開発リスクが高く,民間メーカーが事業化を目指す前に技術課題を解決しておく必要があり,国が中心となって,産学官連携体制を整えて,研究開発を進める分野であるというふうに認識しております。
それから次のページにいきまして,「有効性」に関してなんですけれども,これは超音速機旅客機の実現に向けた4つの技術目標,4つの技術課題といったものを統合的に解決するということです。そのためには,鍵技術の実証レベルとシステム統合度を高めるという研究開発を進めるということですので,研究開発の質の向上といったことに貢献がなされる,これは先ほどの必要性にある科学的,技術的意義と相通ずるところがあるということです。
それから,「行政施策への貢献や寄与の程度」ということで,これは平成26年度に文部科学省から出ました次世代航空科学技術タスクフォースがとりまとめました「戦略的次世代航空機研究開発ビジョン」で提言されております超音速旅客機市場開拓のために推進すべき我が国優位技術の実証プログラムにつながるものであって,ビジョンが掲げます2040年代の超音速旅客機実現に資するものであると考えるということで,行政施策にもマッチングしているということでございます。
あと,「見込まれる直接・間接の成果・効果や波及効果の内容」でありますけれども,システム統合度を高めることによって,更にアップデートされた技術目標を満足する新しい機体システムコンセプトを提案することを,研究開発の方針に据えています。
これについては,超音速機に対して直接的な効果があるとともに,新形態を想定した航空機開発技術全般に対しても波及効果があるということで,発展性を有しているものと考えます。
「効率性」についてですが,計画・実施体制の妥当性といったもので,産学官連携できちんとやるということと,それからアプローチの方法として,飛行実証されてきた低ソニックブーム,低抵抗技術のように,現状,TRL,テクノロジーレジデンスレベルが4程度のもの,かなり実証が行われているものは,優先的に設計研究を実施することによって,早期にシステム統合度を向上させる。一方,TRLが3程度の技術については,まだ技術目標のアップデートもされておりますので,少し時間をかけて実証レベルを高める技術開発を進めて,地上実証も含めて,技術実証につなげていく方針をとっておりまして,アプローチとしても適当ではないかというふうに考えています。
それから「費用構造や費用対効果向上方策の妥当性」といったことで,本課題に必要な費用は,要素技術やシステム設計研究においては,公募型共同研究制度の活用などによって,共同研究の相手先,メーカーからも応分の研究費を負担してもらうということで,適切な費用分担を図るということを目指しておりまして,産学官の強みを生かした体制を構築することで,適切に費用対効果の向上を図る計画としております。
それから「研究開発の手段やアプローチの妥当性」ということで,これは先ほど申し上げましたように,TRLに応じた適切なタイミング,手法で技術レベルを向上させることとしておりまして,NEXSTやD-SENDで飛行実証されたものは素早く,それ以外の要素技術のものに対しては着実にということで,適切にアプローチを検討,判断をしていきたいというふうに考えております。
「総合評価」でありますけれども,これも案でございますが,本課題は上記の理由によって,重要な技術課題であることから,実施を可というふうにしていただきたいというふうに考えています。中間評価については29年度,事後評価については32年度です。
研究を進める上での注意点ですけれども,先ほどから申しておりましたように,研究開発体制の基礎を構築することが重要である。特に,産官学が一体となる目標のもとに研究開発を進めたいというふうに考えております。それからICAOの基準策定の状況を研究開発に的確にフードバックして,常に技術目標のアップデートを行って,陳腐化された技術ではなくて,世界最先端の要素技術をつくるということです。
そして,海外との研究開発動向を注視して,米国,NASA等とも効果的な連携等も進めたいということが必要である。そういうことを今後も研究開発を進める上では重要と考えます。
これがJAXAの方でまとめました本超音速機統合設計技術の研究開発4年間についての自己点検票の内容でございます。
御説明の方は,以上でございます。
【李家主査】  ありがとうございました。
では,きょう初めて御説明を伺ったところでもありますし,いろいろと質問等あると思いますので,その辺のところ,委員の皆様からよろしくお願いいたします。
【佐藤委員】  どうもありがとうございます。
統合設計というのは,かなり重要な項目で,今後進めていくべきだと私は非常に思っております。今までなかなか機体だけ推進だけとか,そういうところまでで,統合でデザインすることが,なかなか日本の中ではなされていませんでした。この4年間でどういう体制で,どういうところまでを一応ゴールというか,目標にしているのかという具体的なもの,例えば機体とエンジンの統合案の候補みたいなものを示していくとか。あとはエンジン系と機体系で,どのように連携をとっていくのかとか,そのあたりをお聞かせ願いたいのですけれども。
【渡辺計画マネージャー(JAXA)】  私の方から。機体全機設計につきましては,参考資料の方の13ページをごらんください。
まずこちらの方は,これまでJAXAの超音速機プロジェクトということで,経緯を書いてございますけれども,実は2006年度からこの静粛超音速機技術開発S3を進めるに当たって,当初エンジンつきの研究機を飛ばそう,そういうような構想で話を進めてまいりました。ただ,予算おくれ等々がありまして,D-SEND計画に移行したということがあります。
この中で,研究機設計ということで,これは推進系と機体を統合した設計経験というものがございます。次回,これ以降は,そういった活動を参考にいたしまして,エンジンメーカーであるとか機体メーカー,若しくは大学の方にも入っていただきつつ,この経験を生かした設計ということで進めてまいりたいと思っております。
もう1つ,きょう委員の先生方にだけ机上配付させていただきました紙のファイルがございます。その中には,紙のファイルの中には,少し将来の技術が入っておりますので,きょうは回収させていただくような資料で展開させていただいておりますけれども,その中,ページをめくっていただきますと,例えば,エンジンの成立性検討ですとか,そういったところの少し具体的な話を書いております。
エンジンにつきましては,例えば新規開発だけを考えるのではなくて,既存のエンジンも使えるんじゃないかとか。そういったあたりで,あと,的確な飛行実証規模ということも,この中では考えながら進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
【佐藤委員】  そうしますと,大体の機体とエンジンの配置みたいなのは,もう決まっていて,実際にどのようになるかというあたりを検討するということでよろしいですか。
【渡辺計画マネージャー(JAXA)】  はい,そのような御理解でよろしいかと。
【佐藤委員】  ありがとうございます。
【鐘尾委員】  きょう初めて聞いて,夢のあるプロジェクトだと思ったのですが,こういうことをこれからやっていくに際して,広報活動ですか,そういうことはお考えになっていらっしゃるのですか。見てみますと,結構相反する色々な要素があってと……。だから一般的にすべてにおいて優れているものを作るというようなプロジェクトではなくて,特殊性と言うのですか,時間の短縮ができればそれにお金がかかっても仕方がない,そういう市場の方にいくのだろうなと思っているのですが,そういうことに関して,これからの広報活動と言いますか,今までの段階でも余り外には出てきていないのですけれども,これからのプロジェクトについても,やはり国民の皆様に理解していただくために,そういう夢を与えるような広報活動って必要かと思われるのですが,その辺の御検討はされていますか。
【張替事業推進部長(JAXA)】  はい,MRJ等を見ておりますと,やはり全機開発といったものに関しては,非常に国民も関心が高く,実際飛んでみると非常に夢わくわく感といったものがあるのがわかると思います。
そういう意味で,民間機ではMRJというそういう開発が行われて,一歩先を進んだわけですけれども,そういったものに絡めながら,超音速機でもこういうエンジンも含めた技術実証機に向けた研究開発を行いますということで,夢の超音速ということで,これを飛ばしたいんだということを広報を通じてやっていきたい。
ですから,研究開発の内容だけを御説明すると,なかなかイメージが湧かないんですけれども,この4年後の先には,小型の無人機になると思いますけれども,エンジンのついた超音速機を飛ばすということで,そういったことをイメージを出しながら,こういった部分でも日本の航空機ができるんだ,日本初の航空機ができるんだというような,そういう観点で広報活動は進めていきたいというふうに考えております。
【鐘尾委員】  それは当然,是非そちらの方も力を入れていっていただくよう,お願いします。
【武市委員】  今後の判断のために参考として伺いたいのですが,先ほど頂いた御説明だと,平成28年度から31年度,人員の規模で言うと五,六名の中核メンバープラス外部の方とのことでしたが,これまでのD-SENDプロジェクトやNEXST1,2のプロジェクトでは,大体,人員で言うとどれくらいの方が携わっていたのでしょうか。
【吉田プロジェクトマネージャ(JAXA)】  D-SEND#1の試験隊としては21名です。ただ,その試験以外の部分の検討活動は,人の数で言うと,やはり20名ぐらいですが,他の業務との併任ということで言うと,約8人規模です。いろんな方が半分とか,3分の1とかいう人を足しての数字で,人数は20名ぐらいいましたけれども8人規模,8.5~8.6人程度であったという意味です。なお,試験のときだけ,関係者全員行くということで,21名ということです。
NEXST-1のときは,私の記憶ですと,JAXAの中の体制としては30人ぐらいであったような記憶がありますが,この点につきましては当時の試験隊副隊長であった大貫さんにお答えいただいた方が良いですね。
【大貫プログラムディレクタ(JAXA)】  NEXSTのときは,併任も含めて頭数という意味では,30名程度はいたと思いますが,併任率を勘定いたしますと,すみません,正確な数字は持っておりませんけれども,10名から15名の間ではなかったかと思っています。
ただ,オーストラリアの飛行実験のときには,もっと大勢の人数が行かざるを得ませんでしたので,40名,50名規模でオーストラリアの方に行ったという記憶がございます。
【武市委員】  そうすると,大体専任人員で言うといずれも10名弱ぐらいの方が携わっていらして,スポット的に多くの方も携わっていたという認識で大丈夫ですね。
【大貫プログラムディレクタ(JAXA)】  そうですね。専任としては10名規模。
【髙辻主査代理】  御説明ありがとうございます。
資料の確認をさせていただきたいのですけれども,参考資料の5ページに,国際競争力の強化というところで,「2030年頃の小型超音速旅客機の国際共同開発事業が立ち上がるまでに」という,この国際共同開発事業の,何か具体的な海外の動きとのリンクをどういうふうに読まれて,これを書かれているのか,それをひとつ教えていただきたいのと,9ページ目のこのロードマップのところ,多分,海外プロジェクトのライン,こことのリンクになっているのかなと思うのですけれども,そういうふうに考えてよろしいのか。またこの9ページの航空ミッションと産業界ミッションの境目のところに,「国産/国際共同開発」,このスラッシュの意味をどういうふうにお考えになって書かれているのか,それを教えていただけませんでしょうか。
【張替事業推進部長(JAXA)】  まず2030年の意味でございますけれども,8ページを見ていただきますと,説明が書いてございます。国際共同開発が最速で始まるとして考えた場合に,どういう条件を考慮しなければいけないかというのが書いてあるんですけれども,やはりソニックブームというのが基礎,基準になります。今回,D-SENDの試験が成功裏に終わりまして,CAEP10にソニックブーム基準の策定についての定量的なデータが初めて出されます。多分,ICAOでは,その3年後のCAEP11までにソニックブーム基準の定量化が進みます。一方,NASAは,その9ページの線表にも書いてありますけれども,現在,ローブームフライトデモンストレーターという,有人の,いわゆる低ソニックブーム機体のプロジェクトを立ち上げようとしておりまして,これによってコミュニティー試験,いわゆる人が住んでいるところの上を飛んで,その住んでいる人に対するソニックブームの影響といったものの試験結果が出てくる。それがCAEP12というところに,2022年ごろに出てきて,そういったものを合わせて,ここで大体,基準がほぼ確定されるであろうというふうなことを考えております。
2022年ぐらいに基準が策定されますと,その結果として,低ブームのビジネスジェット機の開発というのが,2030年ごろにエントリーするもの,それからビジネスジェットよりもう少し大きな50人乗りぐらいの低ブームの小型超音速旅客機の国際共同開発事業が,2040年ぐらいにエントリーされるというふうなことが立ち上がると考えます。
そうすると,大体,開発に10年ぐらいかかるということですので,2030年ごろまでには少なくとも我々としては国際競争力確保のために,小型SSTの飛行実証といったものを実証しておかなければ,国際共同開発における我が国産業界の分担率の確保ということには間に合わないだろうということで,まずその9ページのロードマップを引いております。
その小型SSTの飛行実証なんですけれども,4年後から計画を立てる,4年後から計画をスタートするわけですけれども,その途中で,小型SSTの共同開発の前に,例えばビジネスジェットだと,そういった国産のメーカーあるいは国際共同開発で開発が立ち上がる可能性がございますので,30年ぐらいにエントリーするということで,立ち上がる可能性がありますので,こちらの方のラインでシナリオ1というふうに書いてありますが,そういうラインで30年の小型SSTの共同開発にいく場合もございますし,これが立ち上がらない場合には,いきなり我々の実証からでは国際共同開発に向かうのは難しいので,シナリオ2として,一旦間に大型プロジェクト等を置いて,小型SSTの開発のプロジェクトをするという,そういうルートもあるということで,このあたりは世界の情勢であったりとか,それから国内メーカーの動向,そういったところ等ともにらみながら,この先はどういうシナリオで30年に向かっていくのかというのは,選択を誤らないようにしていかなければいけないというふうに考えております。
いずれにしても,どちらのルートをとるにしても,20年代半ばぐらいまでには,我が国が小型SST飛行実証を行って,国際共同開発の中で確実なシェアをとれるような技術は,システム的に持っておく必要があろうというのが,30年代から始まる小型SST国際共同開発をにらんだところのバックデートした計画ということになります。
【髙辻主査代理】  あと,このスラッシュの意味は,何を意味しているのでしょうか。
【渡辺計画マネージャー(JAXA)】  スラッシュは,将来まだ確定しておりませんので,ここであるシナリオは,国産でSSBJを開発する案もあれば……
【髙辻主査代理】  国産もあるということですか。
【渡辺計画マネージャー(JAXA)】  あり得るというふうに想定して,考えています。
SSBJの方は,エアリオンが今提案しているところがございまして,その活動が活発化しておりますので,こういったシナリオも,もしかしたらあるんではなかろうかというふうに想像しているところでございます。
小型SSTの規模になりますと,これは1社ではというのがなかなか想定しづらいものですから,これは国際共同開発だけを置いているというふうにしています。
【髙辻主査代理】  ありがとうございます。
【宮下委員】  これから先,統合設計技術を勉強していくというのは,これから非常に大事なことだと思いますけれども,統合設計とか,あるいはシステム設計というのに取り組んでいく場合には,かなりターゲットにする仕上がりの飛行機のイメージというのは,かなり具体化してないとできないんじゃないかなと思うんですけれども,今,小型超音速旅客機ということで,例えば資料の3ページに乗客数36から50人,巡航速度マッハ1.6というのを,随分長いことこれで目標としてやってこられているんですけれども,これから先もこのイメージする航空機というのは,この見直しと言いますか,このままの形態と言いますか,規模のものがこの機能として一番ふさわしいんだということでお考えになっておられるわけですか。
【渡辺計画マネージャー(JAXA)】  これにつきましては,最適な規模と最適な速度というのを以前考えまして,規模につきましては,やはりソニックブームの壁というものがございまして,今までの我々の低ブーム技術をもってしても,100人クラスを陸上超音速でできる可能性というのは,極めてなかなか難しかろう,今の技術レベルでは難しかろうと考えています。
それともう1つ,マッハ1.6という速度に関しましても,これを超えてくるような速度域になってきますと,まず推進系が非常に難しくなってくる。それともう1つは,耐熱複合材みたいな新規の材料開発が必要になる。そういったことで,非常に技術のハードルが高くなる境目だというふうに認識しています。
そういった考えで,マッハ1.6というのを設定していて,ですから,今想定し得る技術開発のストーリーでもって,実現性のある最大というものを,ここで設定してございまして,ここが最大なので,それ以下,あとは経済性を鑑みて,例えばビジネスジェットクラスの技術にするのか,マッハ数はもう少し落とした方が得かもしれないとか,そういった議論はあろうかと思っています。
我々としては,技術を最大限のターゲットということで,こういったものを設定しています。
【松島委員】  システム統合技術ということで世界に先駆けてということなのですが,システム設計技術のその前に,一つ一つの要素技術に関しても改良していかなくてはならないかと思います。例えば資料48-3-2の右上の,緑の枠で囲まれたところなのですけれども,ソニックブーム強度で水準がもしチャプター14になった場合は,現在,今回の実証で行われたものというのは,多分,小型SSTの形にしたときに,0.5PSFという値になるのですよね。その値は,チャプター14よりは少し高い形になるように,グラフからは見られるのですが,チャプター14は満たしているのでしょうか。
【張替事業推進部長(JAXA)】  すみません。
【松島委員】  満たしてないですよね。
【張替事業推進部長(JAXA)】  はい。事前評価補足資料,参考資料2の3ページをごらんいただければいいと思いますが,ソニックブームに関しては,今後,D-SENDの成果も受けて基準が決まっていくということで,我々が技術的には一番リードをしておりますので,我々の技術でできる範囲の中で基準が決まっていくというふうに予想しております。
これは定量的にはソニックブーム半減ということになります。
【松島委員】  わかりました。
【張替事業推進部長(JAXA)】  それは,このD-SENDで生み出した技術ができたので,今後は統合設計しなければいけないということです。
【松島委員】  これは見通しが立っているということ?
【張替事業推進部長(JAXA)】  これは見通しが,要素技術については立っている。一方,先ほど言いましたチャプター14というのは,これは離着陸時の騒音でございまして,3ページの右側の方の図になっております。離着陸時にフライオーバーとそれから横,それから滑走路の先で騒音を測定しまして,それを全部足し合わせたものが基準になるわけなんですけれども,右上の棒グラフの中のチャプター3に対して,チャプター4が10デシベル基準がきつくなっているんですが,それよりもまだ4デシぐらいマージンがあるところまで,要素技術としてはきているというところが,ここに現状を書いています。
一方,右下の図を見ていただきますと,実は4デシぐらいチャプター4よりも下がっても,「JAXA SST」と書いてありますけれども,チャプター14というところは,実は満たしておりません。この部分については,我々はまだ要素技術が確立していないということで,ここでは目標をアップデートして,更に要素技術に磨きをかけていかなければいけないという,そういう状況でございます。
【松島委員】  さっきおっしゃったように,離着陸に対する要素技術とか,あと,低抵抗化ということで,アジア圏内をノンストップで到達できる航続距離を確保するためどれぐらい頑張らなきゃいけないというか,何%ぐらい向上させなきゃいけないとか,そのあたりの定量的な見通しというか,そのあたりのお考えをお聞かせいただけたらと思います。
【渡辺計画マネージャー(JAXA)】  まず航続距離についてですけれども,航続距離は今のS3でやったところで満足しております。ソニックブームについても,まだ基準が定量化されていないので,少しやることは多かろうと思うのですけれども,基本的には今の航続距離を満たす技術をベースに,更に低ブーム化していくということで,少し苦労はあると思うんですけれども,全然できないかというと,そういうわけではないと考えています。
それとあと一番難しいのは,多分,離着陸騒音のところでございまして,基本的にはコンコルドが物すごく騒音がうるさかったところを,極端に今下げるところまできています。あと一歩というところなので,マージンとしては,あと3デシベル,4デシベル静かにするということになります。
あと,ここで考えなければいけないのは,騒音基準というのは例えばエンジンの搭載数でも基準が変わってくるというものがございまして,例えばエンジンを2発つける場合,3発つける場合で,話が変わってまいります。ですから,そういったシステム的な観点で,実は基準だけを考えると3発の方が余裕があったりするのですけれども,そういったものも踏まえて,あと3デシベル,4デシベルの技術開発。
それに対する技術的な課題というのは,実は紙ファイルのところに記載してあります低騒音化の技術のところで,少し詳しく書いているところです。胆(きも)になるのは,多分,ノズルの技術だというふうに,我々は認識しています。
【松島委員】  ありがとうございました。
【結城委員】  これから4年間で産学官を糾合した体制をつくっていくというお話でしたけれども,JAXAさんは航空技術開発のところで,JSTの補助からは外れましたけれども,イノベーションハブを自力でつくるという決断をされたというふうに聞いております。今やっているイノベーションハブと,これからつくる体制との関係,それをどういう関係にこれから持っていかれるのか,そのあたりを御説明いただければと思います。
【張替事業推進部長(JAXA)】  この超音速機統合設計技術の研究開発のJAXAの母体となるのは,航空イノベーションハブの中でつくる。その中にコアとなるメンバーが五,六人含まれるというふうに,今想定しております。
航空イノベーションハブは,ここにもハブ長がいますけれども,異分野糾合,それから外部からの技術,知恵,人を集めてやるということを基本方針としておりますので,まだ超音速機については,そこまで至ってはいないんですけれども,その方針のもとに,特に公募型の共同研究とかを強力に推し進めることによって,そのイノベーションハブの中核のメンバーを場として,産学官連携をやっていきたいというふうに考えております。
結論といたしましては,イノベーションハブの方で,この研究はやりたいというふうに考えております。
【結城委員】  そうしますと,イノベーションハブの仕組みの中で,1つの部門としてやっていくという理解でよろしいですか。
【張替事業推進部長(JAXA)】  そうです。
【佐藤委員】  今の御質問と似ているのですが,資料48-3-1の全体の計画の中で,上の3つも,2018年度以降,システム技術実証のフェーズに入ってきますので,恐らく今回の御提案されるものは,どのくらいの規模まで考えられているのかわからないですが,かなりのリソースを使うような感じが致します。その上に書かれている計画と,この今回の御提案のものとの関係,例えば低騒音化技術みたいなのは,上の方にもございますし,人的リソースとか,予算的なリソースをどのように配分するお考えなのかをお聞きしたいのですが。
【中橋部門長(JAXA)】  上の方の技術というのは,5年なり10年先の出口を明確にして,産官学で一緒にやる。今,優位技術を持っているのを,更に強化して,国際的な競争力を増すという形で進めているわけですけれども,超音速の方に関しましても,産官学一緒にやっていくにしても,更に高い技術レベルを要求されますので,そこで開発したのは単に差別技術の改良ではなくて,現実的なところも狙えるんではないか。それが逆に,今度は国際,普通の亜最速旅客機にも反映して,更に国際的な優位性もとっていけるんではないか,そういう連携を描いているところでございます。
【佐藤委員】  例えば将来的にエンジンをつけて実証機を飛ばそうとしますと,やはりかなりの予算とか人間が必要になってくると思います。ほかの部分でも,そういう実証みたいなのをやりたいと考えているところもあるかと思いますが,JAXAの中では,この超音速技術の方をメインに進めていこうというお考えなのでしょうか。
【中橋部門長(JAXA)】  両方並行して,かつ連携して進める形で考えております。
【佐藤委員】  ありがとうございます。
【武市委員】  資料の48-3-3の「自己点検票」の中で,「費用構造や費用対効果向上方策の妥当性」というところで,「共研相手先(メーカー)からも応分の研究費を負担してもらう」という記載がありますが,このような取り組み方は,今でも行われているのですか。
【張替事業推進部長(JAXA)】  はい,行われております。
エンジン,あるいは低騒音のプロジェクトが,JAXA航空では走っておりますけれども,それぞれ共同研究先のメーカーから,それぞれの役割に応じた資金的なもの,あるいは物的,設備とかを拠出してもらうとか,そういったフレームは既につくっておりまして,今後,航空部門でやるプロジェクトというのは,全てそういうふうに産業界と連携をとった形でのプロジェクトにならざるを得ないだろう,なっていくべきであろうというふうに考えておりまして,既にその先鞭(せんべん)をつけておるということです。
【武市委員】  そうすると,見込みとして,この超音速の課題に関して手を挙げてもらえるようなメーカーとかも,既にあったりはするのですか。
【渡辺計画マネージャー(JAXA)】  それにつきましては,参考2の資料の19ページをごらんください。こちらの方が,現在の連携状況でございまして,特に外部からも資金を頂きながらやっている,応分の資金支出という形では,この左側に共同研究とある中の赤字で書いてある公募型研究,これにつきましては,相手方からも相応の資金分担を頂いているという活動でございます。
それを見ていただきますと,川崎重工さん,富士重工さん,そういったところからは手を挙げていただいておりまして,こういった形で先方からも興味を持っていただきながらやっているということでございます。
それともう1つ,JAXAという真ん中に青い枠でくくった下のところに赤い枠がありますけれども,これは今回目指している体制の基礎でございまして,こういった研究会ですとか,その中で,これは今,ビジネスジェットを対象にしておりますけれども,そういったような設計チームというものもでき上がってきておりますので,そういったところで活動を更に発展させていけばいいかなというふうには考えているところでございます。
【武市委員】  わかりました。ありがとうございます。
もう1つ,気になるところだったので,お伺いしたいのですが,参考資料の2の9ページのところの年表によると,これからシステム設計技術をして実証していこうとすると,佐藤先生のコメントもありましたように,かなりの人的リソース,予算的リソースが必要になってくるだろうと思われます。ただ一方で,30年度からシステム技術実証に入っていくような研究課題もたくさんあり,それほど多くの人的リソースを割けるようには思えません。これまでD-SENDとかNEXSTのプロジェクトも,専任が10人規模という御説明でしたので,それよりも小さい規模で今までよりも大きな規模のものを実施しようとしている計画ですね。そうなると非常に難しいと判断せざるを得ません。
それからもう1つは,将来の国際共同開発の中で,今からシステム技術を蓄積していって,将来の共同開発の中で日本がイニシアティブをとるというところまで狙っているという理解でいいのでしょうか。
【張替事業推進部長(JAXA)】  まず,第1の御質問ですけれども,JAXAのコアメンバーは五,六人でやるということなのですが,これに関しましては,2016年から19年までの小型SSTシステム設計技術開発という要素技術開発とシステム統合設計を行う部分に関しての人員でございます。ここで技術の成熟度,それから国際情勢,あるいは国内企業の連携ぐあい等を見て,小型SSTの飛行実証プロジェクト,2020年以降にステップアップできるかどうかの判断をさせていただきたいというふうに考えています。
そのステップアップした際には,当然,人員の増強といったことも考えなければいけないバウンダリーコンディションとなるというふうに考えておりまして,そこではかなりの人数を更に追加しなければいけないだろうということは予想しているということです。
それから,2番目の御質問に関しまして,イニシアティブをとれるかどうかということなんですけれども,これに関しましては,完成機に関して,我々の経験といったものもありますので,必ずしもイニシアティブをとれるかどうかというところは,ちょっと難しいのではないかというふうには考えております。
ただ,キーとなる技術,例えば低ソニックブームの部分に重要となる主翼の設計,それから機体の設計といったところでは,当然,我々の技術を生かしていってもらうということで,我が国の企業の分担率を上げていくという,そういう戦略はとっていきたいと思います。
【武市委員】  ありがとうございます。
32年度からプロジェクト化するということを仮に決定した場合に人員を増強するというお話でしたが,そうなると他の普通の旅客機,民間旅客機の開発に資する研究課題の方から人を削らないといけなくなってしまうわけですよね。また,システム設計全体に関して,どうしても欧米の方が一日の長があって,静粛超音速,要するに陸域を超音速で飛べるようにするための技術の部分は,日本がアドバンテージを持っている。だとしたら,システム設計全体の研究に手を出すよりも,日本がアドバンテージを持っているところを徹底的に伸ばしていく方向に方針を変えるということにはなり得ないのですか。
途中で見直してそうなる可能性もあるという理解でいいのですか。
【張替事業推進部長(JAXA)】  当然,アドバンテージを持っているところを伸ばしていくという形にはなるんですけれども,ただ,低ソニックブームの技術だけを伸ばしていけばいいというわけではなくて,システム設計の中において,低ソニックブーム技術がきちんと生きていくかどうかというところの検討が今後必要になってくる。
例えばD-SENDは,現在,きょう最初に述べましたように,成功裏に終わって,低ソニックの結果が出たわけですけれども,これにエンジンを搭載すると,現状の設計技術そのままで低ソニックが出るかというと,なかなかそうではないということなので,こちらの低ソニックブームの技術をきちんと伸ばしていくんですけれども,システム設計の中で低ソニックブームの技術が成立するかどうかという検討は,きちんとしていかなければいけない。そういう意味でございます。
【武市委員】  また,特許を取得しましたということを御報告されているのですけれども,この特許の有効期限は,平成何年になっているのですか。
【張替事業推進部長(JAXA)】  特許は基本的に7年で,伸ばすかどうかということは決まってくるんですけれども,現在の特許だけではなくて,当然,研究開発は特許を取ったときから研究開発は続けておりますので,これに更に次の特許といったものを,3年ごとぐらいに連続して出していくということが重要になってくると思いますので,一旦特許を出してしまえば,武市先生が御指摘のように,期限が切れてしまいますので,新たな研究の知見を加えて特許を出し続けていって,その周りを押さえていくという戦略はとっていかないといけない。
【武市委員】  そうすると,継続的に低ブームの技術開発と特許取得を積み重ねていくところに,より多くの人員を割いていくという方針なのですね。
【張替事業推進部長(JAXA)】  そうです。
【武市委員】  わかりました。ありがとうございます。
【李家主査】  では,更に御質問や御意見等もあるかもしれませんが,これまでにさせていただきます。
ありがとうございました。
まだ御意見や御質問がある方は,後ほど,事務局の方まで御連絡いただければ,事務局から回答させていただきます。
では最後に,次回の日程等について,事務局から連絡をお願いいたします。
【坂本課長補佐】  別添として今後のスケジュール案を配付しております。これについて簡単に御説明させていただければと思います。
今回は第48回の航空科学技術委員会ということで,次に第49回の航空科学技術委員会を,1月20日で開催予定としております。時間は午後を予定しております。
詳細につきましては,別途,委員の皆様に改めて御連絡したいと思っていますのでよろしくお願いします。あわせて,先ほど申し上げたとおり,2段表で作成した事前評価票(案)を電子ファイルで送付させていただきたいと思っていますので,よろしくお願いします。

3月1日に,研究計画・評価分科会が開催予定となっており,それに向けて事前評価票案をブラッシュアップしていきたいと考えておりますので,よろしくお願いします。
以上です。
【李家主査】  ありがとうございました。


3. 閉会

【李家主査】 多少時間をオーバーしてしまいましたが,これで科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会,第48回航空科学技術委員会を閉会させていただきます。
ありがとうございました。
(了)

お問合せ先

研究開発局宇宙開発利用課

-- 登録:平成28年03月 --