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航空科学技術委員会(第42回) 議事録

1.日時

平成26年3月11日(火曜日) 13時~14時30分

2.場所

文部科学省 15階 特別会議室

3.議題

  1. JAXAの超音速航空機小型モデル落下試験(D-SEND2試験)1回目試験の原因究明に関する調査結果について
  2. 航空科学技術に関する研究開発の今後の方向性について

4.出席者

委員

科学技術・学術審議会委員 結城章夫
科学技術・学術審議会臨時委員 山本佳世子
科学技術・学術審議会臨時委員 李家賢一【主査】
科学技術・学術審議会専門委員 鐘尾みや子
科学技術・学術審議会専門委員 鈴木みゆき
科学技術・学術審議会専門委員 髙辻成次
科学技術・学術審議会専門委員 武市昇
科学技術・学術審議会専門委員 萩原太郎
科学技術・学術審議会専門委員 松島紀佐

文部科学省

大臣官房審議官(研究開発局担当) 磯谷桂介
研究開発局宇宙開発利用課長 柳孝
研究開発局宇宙開発利用課宇宙連携協力推進室長 斉藤康弘
研究開発局宇宙開発利用課宇宙連携協力推進室課長補佐 伊藤正宏

オブザーバー

国土交通省航空局交通管制部交通管制企画課新システム技術推進官 齋藤賢一

独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
理事・航空本部長 中橋和博
航空本部基盤技術統括 白水正男
航空本部事業推進部長 大貫武
航空本部事業推進部技術研究企画室長 伊藤健
航空本部機体システム研究グループ長 村上哲
航空本部D-SENDプロジェクトチームプロジェクトマネージャ 吉田憲司

5.議事録

1. 開会

【伊藤補佐】一般社団法人日本航空宇宙工業会の宮部委員が御退任されまして同工業会の常務理事の髙辻委員が就任されました。髙辻委員であります。
【髙辻委員】よろしくお願い申し上げます。
【李家主査】議事に入る前に配布資料の確認を事務局よりお願いいたします。
【伊藤補佐】議事次第1枚。次に,座席表,資料42-1-1は「静粛超音速機技術の研究開発」の中間評価票新旧対照表でございます。資料42-1-2は,D-SEND2飛行異常の原因究明結果とJAXAの取り組み状況でございます。参考資料1,今後のスケジュール。参考資料2,超音速機技術の研究開発の概要でございます。これは39回委員会の資料でもございます。最後に参考資料3委員名簿でございます。

2. 議事

(1)JAXAの超音速航空機小型モデル落下試験(D-SEND2試験)1回目試験の原因究明に関する調査結果について

【李家主査】では議事に入らせていただきます。議題1「JAXAの超音速航空機小型モデル落下試験(D-SEND2試験)1回目試験の原因究明に関する調査結果について」です。事務局より説明をお願いします。
【伊藤補佐】 本試験は平成24年8月に中間評価を行いました静粛超音速機技術の研究開発の一環として行っているものであります。当研究開発は平成24年8月に中間評価を実施しておりますが,昨年8月に実施されたJAXAの超音速航空機小型モデル落下試験D-SEND2試験の1回目の試験が残念ながらうまくいきませんでした。そのため,JAXAのD-SEND2飛行異常の原因究明結果を踏まえまして前回の中間評価を見直すことといたしました。資料42-1-1について御説明いたします。表の一番左ですが,平成24年8月21日に開催された第39回航空科学技術委員会での静粛超音速機技術の研究開発の中間評価票を示しております。具体的に今修正しているところは表の2ページ,3ページですが,進捗状況について更新しております。3ページを読み上げさせていただきます。
「平成25年8月16日に第二段階の試験(D-SEND2)として,非軸対称形状の機体を用いたコンセプト実証を目的とした飛行試験の第1回試験が実施されたが,気球から分離後約40秒で飛行異常が発生し,所期の目的は達成されなかった。直ちに原因究明調査が開始され,平成25年12月には原因を特定し,再発防止のための対策の提言が報告書にまとめられた(今後,その対策の詳細化を進め,技術的妥当性の確認がなされた段階で,再試験に向けた計画変更の審議が必要とされる)」と記載させていただいております。この後,JAXAに詳細な説明をお願いしますが,委員より中間評価票についてコメントを後日いただければと思います。以上です。
【李家主査】資料42-1-1を後ほどどう取り扱うかは説明いただくということで,資料42-1-2に基づいてJAXAより詳細な説明をお願いいたします。
【吉田プロマネ】飛行異常の原因究明が遅くなり申し訳ありません。資料2ページ目でD-SENDの概要を御説明いたします。超音速で飛行機が飛びますと衝撃波が出ます。図の真ん中に円すいのコーンがありますが,衝撃波が円すいの形で広がっていきます。その衝撃波が重なり,地上に到達しますと衝撃音,爆音が聞こえます。それがソニックブームです。我々は将来の超音速機にとってソニックブームを下げることが重要であると認識しまして技術開発を進めてきました。D-SENDは機体形状をうまく工夫することで,衝撃波を弱める設計のアイディアを取り込んでおります。我々がこのD-SENDプロジェクトで実際に機体を,これも写真がありますが,左側にありますように全長約8m,重量1トンの機体を30 kmの高度から落下させて超音速にして発生する衝撃波が弱まることを空中に気球を上げてそこにテザーの形でマイクロフォンをつけまして,それで計測することによって実証しようというものです。
 この実験を昨年8月16日に実施いたしました。3ページ目の右側上にありますグラフは縦軸が飛行高度,横軸がレンジというどれだけ進んでいったかという距離です。右側にあります小さなバルーンの絵でBMSと書いたところがBoom Measurement System,ソニックブームを計る計測システムのある場所でございます。そこに向かって左側の分離点,ここを横軸でゼロとしまして,約20 km手前の方ですが,下の図を見ていただきますと,分離位置が下の方にありますが,上の図で見ていただきますと,黄色い色でついております軌道に沿って飛行する予定でございました。発生した事象は分離後から時間をカウントしておりますが,分離後37秒で機体の機首を上に向ける引起しというものを行いました。それから約3秒後の分離40秒後には機体が機軸周りの回転運動,ロール運動と,機首が右左に動くヨーという運動,これが連成して振動が生じました。そして62秒後にその振動が収まらなくなり制御が効かなくなりまして,この右側で見ていただきますと黄色い軌道から外れて黒い線として下に落下していくような状態になりました。大分たってからまだ制御系が生きておりましたので,機体を制御することができまして,170秒後に姿勢は回復して滑空飛行に入ったのですが,高度が下がってきましたので最後は投棄コマンドを打ちまして,ただしこれは通常の手順ですが,機体を落としたということです。こういう事象が生じました。
 次の4ページ目を見ていただきますと,この事象が生じましたのですぐに我々は航空本部の中に調査・対策チームを立ち上げまして原因究明に着手いたしました。この調査・対策チームは我々プロジェクトチームの上に組織としてあります,事業推進部というところの推進部長がチーム長を兼ねまして,航空本部の中の横断的な組織として作ったものでございます。更に調査・対策チームの活動に加えまして原因の特定と,対策を更に絞り込むために外部の専門の有識者の先生方にも入っていただきまして,その会合を設置して合わせて議論を進めてまいりました。そして12月の時点で,外部有識者委員会は4回開かせていただきましたが,4回目に原因の特定とその主原因が分かりましたので,対策はこうすべきであるという提言も頂きました。一方,調査・対策チームの方は直接原因の特定だけではなく,どうしてそういう原因が生じたかという背景に当たる要因,そのあたりの分析も行いまして,我々は二度と同じことをしないということからあらゆる対策を考えなければなりませんので,そのための課題を抽出してその対策方針を明確にしていただきました。それを受けまして我々プロジェクトチームは現在,対策の詳細化作業,直接原因だけではなく次に同じことを起こさず確実に成功するために必要な技術的な対策を実施している段階でございます。 
 5ページ目に調査の体制と概要をまとめております。体制は調査・対策チームと外部有識者委員会,通称外部委員会と呼んでおりますが,それの二つの下で,我々プロジェクトチームが作業を行いまして報告をしておりました。外部委員は,後で御説明しますように原因の中心となりましたのは飛行制御と空力でございますので,空力の専門の先生方,制御の専門の先生方に入っていただきまして,5名で構成した委員会として設置させていただきました。ここには本委員会の主査でいらっしゃる李家先生にも入っていただいております。そして調査の概要ですが,通常我々は何か"もの"が壊れますとその故障した原因を分析していくFault Tree Analysis,FTAという作業で分析を行います。今回は機器の故障ではないのですが,発生した事象が機器の故障のような不具合でございますので,それにつながる原因は何か何かと次々深く追求していくという形で分析をしていきまして,最終的には右側にあります空力の話と姿勢制御の安定余裕という話にたどりつきました。また,今回は先ほどコマンドを打って落としたと申しましたが,落下した機体を全部回収しましたが,その回収した部品の中から欠損している部品がないことから空中で機体が分解したということはないということが分かりましたし,機体の主翼と尾翼のほとんどが残っておりますので,そこを分析した結果,いわゆるフラッターという非定常の振動で機体の構造部分が発散したようなことは起きていないということが分かりましたので,そういうものを踏まえますとFTAの空力と飛行制御のところが正しいということになりました。
 次に何が起きたかでございます。6ページ目に飛行破綻に至った現象をまとめております。我々はテレメトリーというもので機体の飛行状態のデータをダウンロード,ダウンリンクしております。そのデータを見てどういう飛行状態であったかということを分析しました。右側にある図がそのデータの1例です。横軸は分離後の時間でして,一番上が迎角,二番目が機軸周りに翼が回るロール角,それから横滑り角というのは機首が左右方向に動く角度のことです。引起しを開始した後にロール角と横滑り角に振動が始まっております。もちろんこの振動は制御で押さえようとしているわけですが,最後は62秒で大きな変動になって制御不能,つまり飛行破綻したということです。データをよく見ますと,最初の黒ポツのところですが,この飛行機は機体のコンピューターの中に空力特性のモデルが入っておりますが,そのモデルから算出したロール角加速度というもの,したがってローリングモーメントに相当しますが,この角加速度という値が実機の値と大きくずれていたということがわかりました。実機の値はあらかじめ分かっていたものではなくて,飛行試験が終わったあとにこのテレメデータを見ますと実際はこうだったというのが分かったものです。その実機の推定値と実際にコンピューターの中に入っていた空力特性の方から算出されるモーメントが違っていたということです。この違いがありますとロール運動を制御するためのエルロンという補助翼で操舵(そうだ)するわけですが,それに適切な操舵指令が出ないということになりまして,ロール運動が収束できなかったということになります。このロール運動が収束しないと,つまり振動が止まらないと機首を左右に振るヨー運動にもそれが連成して影響を与えることになって,結果として横滑り角が振動してこれが止まらず,それを止めるためのラダー操舵が効かないということで,最後は横滑り角が大きく動いて機体の振動が止まらなくなりました。そして飛行破綻に至ったということがテレメのデータから分かりました。
 次にどうしてこういうことが生じたかです。これを延々といろんな角度から分析をした結果分かりましたのが7ページにまとめてあります。二つの原因からなっておりました。少々専門的ですが丁寧に御説明いたします。まず1番目が制御則の安定余裕不足というものです。この機体は30 kmから落下して約20 km先のところのブーム計測地点まで飛んでいかなければならないということで2点を境界として押さえたフライトをすることになります。この機体はエンジンがありませんので,最初は真っ逆さまに落下して加速し,その後引き起こした後に滑空し,最後にダイブするという複雑な運動をいたします。そのような飛行経路に沿って飛ばなくてはなりませんので,その経路に追随しながら機体を運動させなければならず,我々は機体の追随性をかなり重視する制御則を選びました。追随性を重視する制御則が先ほどの空力モデルを使って操舵量を予測するというもので,我々としては先進的な制御法を使いました。一方,その機体の中にあるモデル,空力以外にも重心や慣性モーメントなどいろいろなもの,諸元がありますが,それらのモデルには全て誤差というものが含まれております。今回は多種類の誤差が乗っておりますので,その誤差同士が複合干渉したときにどうなるかという評価も事前に必要となりますので,我々はモンテカルロシミュレーションというものを使って誤差の耐性,誤差幅を広くとったときにどうなるか,運動は大丈夫かということを全部分析しておりました。このように誤差をたくさん入れて,かつ誤差幅を広くとっておりますので,それらを踏まえてきちんと2点間の軌道をしっかり追随して飛ぶためには制御における,例えば比例制御をするときの定数,比例定数,ゲインと呼んでおりますが,そういうものにある程度の最適化をしなければならないということが生じました。その結果,最適化をして追随性の高い飛行制御則に仕上げてフライトに臨みました。そのときに,実は安定余裕,ここで安定余裕というのはもし空力が違っていても機体は制御できるかという,どれだけ余裕があるかという指標でございますが,我々はその安定余裕を最初に十分取っていたのですが,制御則のゲインの最適化の過程でその安定余裕が下がっていたというところを我々は十分確認しないまま検討を進めておりまして,最後はそれでフライトに臨んでしまいました。右側のグラフ,丸印がロールを押さえる補助翼であるエルロンの最適化されたゲインの安定余裕ですが,これが最小では約2 dBという値くらいまで下がっておりました。もちろん,安定余裕はあったわけでございまして,2 dBというのは空力が約26%ずれた場合までは制御できる,という余裕でございます。ですが,一般に飛行機を作るときには,経験的に通常プラスマイナス6 dB,プラス6というのは2倍,マイナス6というのは半分,それくらいまで十分に安定余裕を取るというのがあったのですが,今回はモンテカルロシミュレーションを使った飛行シミュレーションの中できちんと飛行機が飛んでおりましたので,我々は実際の安定余裕を十分確認せずに問題ないとして先に進んでいってしまいました。この2 dBというのは飛行試験後に調べたらそうだったということです。こういうふうにして安定余裕が十分なかったということが一つの大きな原因でした。
 しかし,それだけでは飛行破綻は生じません。安定余裕は少ないとはいえ2 dBはあったわけですが,それではどうしてその2 dBを超えてしまったのか,その安定余裕を食ってしまったのかということです。それが次の2番目の原因です。空力特性のモデルにずれがあったということです。空力の方ですが,我々は風洞試験やCFD解析におきましては十分検証され確立された手法を使ったつもりでしたので,かなり自信を持って予測できていたものと考えておりました。ただ後々詳細に分析してみますと,空力特性の中には機首を上下に動かすピッチングの方向,つまり縦系の運動のほかにロールとヨーという横・方向系の運動がありますが,この横・方向系の分析が十分ではなかったことが分かりました。それは右側の図にありますが,この機体は,ブルーの機体が我々のものですが,後部が普通の飛行機と違ってへん平になっています。見にくいのでこちらに模型があります。後ろがへん平になっているのがお分かりになるか思います。我々は風洞試験で空力データをとるときに後ろからスティングという丸棒をはめまして機体を支えます。しかし,このへん平の胴体でははまりませんので,ここの胴体形状を図のように変えましてスティングを入れて試験を行いました。したがって後部の形状が風洞試験模型と実際の機体とは違っておりました。当然その違いは分かっておりましたので,空力特性への補正を行いました。ただし,実際は縦系の特性の方には補正したのですが,横・方向系への補正は忘れたということです。ここで忘れたと申しましたが,確かに結果としてはそうですが,実は我々としては今までに2005年に超音速実験機による飛行試験を別にもう一つやっておりますが,そのときにはこういう横・方向系へのスティングに起因する後部形状の影響がほとんどないということを実感しておりましたので,今回も縦系の運動の方にのみ補正をすれば十分だろうと最初から思っており,"忘れ"というより補正の必要性を最初から考えていなかったことが見誤りであった,ということです。付録の参考資料の18ページを御覧ください。結局,今回空力で補正の見誤りがあったわけですが,それは大きく三つあります。データにおけるスティングのたわみの影響とか付加物の影響とかいろいろ細かいのがありますが,ここの2番目にある模型の後部形状の影響の補正というところが実は半分以上,6割強のエラーを作っていたということが分かりました。どれくらいあったかと申しますと,次の19ページの左側の図を御覧いただきたいと思います。これはその一例です。上の図がローリングモーメント係数,下がヨーイングモーメント係数です。横軸に迎角というものを取っています。いっぱい線がありますのはマッハ数ごとに書いてあるためです。黒い線で書いてあるのが元々,搭載コンピューターに載っていました空力データです。今回,先ほどの形状の補正,つまり6割強も効いていた補正に,その他の補正が抜けていたところもありますので加えましたら,赤い線のようになりました。一部はほとんど変わっていないところもあるのですが,大きく変わったところだけに着目しますと,3割くらいずれているところもありました。データの点数でいいますと,これはマッハ数と迎角,横滑り角,舵角ごとに空力特性が数値で設定されていますが,それらは総数で9万点くらいのデータからなるデータベースですが,そのうちの3,000点くらいのところにこういう赤い部分の影響が出てくるということで,修正量としては3%程度のデータの修正なのですが,局部的に見ると,3割くらい違っているところもあったということになります。この改修が妥当かというのは次の通りです。実は飛行試験から得られたデータがありますので,比較したのが右側です。右側の青のデータが飛行試験でのテレメデータから分析したモーメントの値です。緑が左側の黒に相当する元々の空力データです。今回補正をし直した空力データが右側の赤です。これより赤と青が非常に一致しておりますので,我々の見誤りで実際のデータと違うモデルが入っていた,ということになります。
 それではもう一度7ページに戻っていただきます。このように空力モデルの一部がずれており,かつ制御の安定余裕が十分でなかったことの二つが重なりまして,飛行破綻になったと考えます。一番下の文書を読ませていただきますが,「姿勢制御の安定余裕が少なかったところに,空力特性の一部に実機との大きな差がありまして,これで機体が不安定となり,飛行破綻に至った,つまりさっきの2 dBの安定余裕を食ったということです。これが原因を特定した結果でございます。
 それを確かなものとするために,8ページに一つの傍証をお示しします。今回見直した空力モデルをもとに昨年8月に行った飛行試験の機体に載っていた制御則をそのまま使ってフライトを再現しますと,それがこの黒い線ですが,実際のフライトデータ,つまりピンクの線ですが,それとほとんど一致する飛行破綻の再現結果が得られました。これにより我々の今回の分析結果は正しいと考えております。
 ここまで原因が特定できましたので,それでは我々は,次にどうするかというということで,9ページ,10ページに再試験に向けた取り組みをまとめました。
 9ページの方はまず今回の飛行破綻を起こした直接的な原因に関わる再発を絶対に防止するという対策から考えられることとして,これは外部委員会の方からも御提言いただいているものですが,まず十分な安定余裕を持つ制御プログラムに改修することがあります。そのときに先ほどのプラスマイナス6 dBという空力が倍あるいは半分間違えても安定余裕がそれをカバーできるという数字を制御則の設計基準に置きなさいという提言がありますので,これを入れて改修を行うことです。これですと,実は空力モデルを改修しなくてもカバーできるということになりますが,それだけではなく,次に対策Bとして空力モデルはしっかり見直しなさいと言う提言にも応えます。これは先ほどの原因究明過程で御説明しましたように,見直しは既に対応済みで,飛行シミュレーションでの飛行破綻の再現に加えまして,飛行試験での空力データとも合っていることを通して確認していますので,完了しております。これが青い点線の中に書いた説明です。それから対策Cとしては,安定余裕を十分取って空力モデルもしっかり見直して二度と同じことを起こさないためには,空力モデルの誤差を少し広めに取りますと,最初に申しました軌道への追随性が落ちる可能性がありますので,場合によっては飛行経路も見直すことを検討するというのが対策Cでございます。実際に検討を行いましたところ,経路を変更しなくても十分フライトが可能であることがわかりましたので,前回と同一の飛行経路を採用することにしています。それから全体のチェック体制や管理の強化などをしっかり行うということにも取り組んでおります。
 次に10ページ目です。我々は昨年,目的通り試験ができませんでしたので,現在1年遅れていることになります。そこで,この「静粛超音速機技術の研究開発」計画の中におけるD-SENDプロジェクトの位置づけはどうかということを見直しました。それは試験目的の意義は大丈夫であるかということです。この機体は先端,後端の衝撃波,ソニックブームを下げるというもので,その設計概念を飛行実証すれば,世界初となります。現在同じような計画はまだ世界で具体化されておりません。従いまして,今の段階でもこの意義,価値は不変であると考えております。我々は国際協力という点ではICAOのブーム基準策定にD-SENDのデータを提供するという活動の目標がありますが,それも今ICAOの動きは基本的には変更がありませんので,ICAOの中でソニックブームを検討する,超音速タスクグループ,SSTの議論において2015年初頭には間に合う,つまり2016年2月のICAO/CAEP10の約1年前にはまだ間に合うと考えており,十分な貢献が可能であると思っております。
さてJAXAの今の状況ですが,括弧3です。最初の丸が前ページに書きました対策を実施しているということの説明です。次の丸,つまり丸3,丸4と書いてあるところです。これは直接原因以外でこの前の試験でいろいろあったこと,例えば現地の準備作業の不具合や気球を放球してから実験機を着地させるまでの全飛行時間におけるテレメデータを総点検することを通して,飛行中に機器はどうであったかを再度詳細に確認すること,などを行っております。それからリスクですが,今回新たなリスクはないかということを全部洗い出して,それらについても全て技術的な対策を打つということを原局としては行っているところです。これが現状でございます。そのあたりの技術的な見通しが全て整いましたら,まずJAXAの内部でしっかり議論いただき,経営審査も経て,航空科学技術委員会の場に挙げていきたいと思っております。現状はそういう状況でございます。以上です。

【李家主査】ありがとうございました。
【伊藤補佐】それでは新任の大臣官房審議官の磯谷審議官が出席しております。
【磯谷審議官】他の会議と重なっておりまして遅参いたしまして申し訳ございません。昨年の10月に研究開発局担当審議官を拝命いたしました磯谷でございます。どうかよろしくお願いいたします。前職は科学技術学術政策局で科学技術学術審議会全体をまとめる役をやっておりましたが,研究開発局担当ということで異動いたしまして,今回の航空科学技術をはじめとした様々なプロジェクトを担当させていただきます。どうかよろしくお願いいたします。
【李家主査】よろしくお願いいたします。議事の方に戻らせていただきます。
ただいまD-SEND2の飛行異常の原因究明の資料を説明いただきました。要するに飛行異常が起こったことに対してどのような原因があったかを調べた。その結果,二つの原因が特定された。再発防止をするための方策にはA, B, C, Dといった4点があるだろうということでした。次に試験意義を再確認したところ試験の意義は今でも十分あることが確認できた。現在JAXAでどのような対策がなされているかという説明があり,今後その対策の妥当性についてJAXAの中で更に審査していく方向である。このような説明だったと理解しました。ただ今の御説明に関して委員の皆様から御質問,その他御意見等ございましたらよろしくお願いいたします。
【鐘尾委員】興味深い説明ありがとうございました。素人なので技術的なこともあれですが,二つございます。まず1点は簡単なことです。制御が途中で回復したとおっしゃっていますが,なぜ回復できたのかということ,2点目は回復してそのあとなぜ実験が継続できなかったのかということです。我々は実機で飛んでるものですから曲技飛行もやったことがあります。垂直姿勢から水平姿勢に引き起こす場合,非常に大きなGがかかります。垂直降下の場合は加速の度合いが普通ではない,それからそれに続く引起しではGのかかる度合いが普通ではないという,通常の状態とは異なる飛行形態になります。そこのところをお考えになっていたのかなと。ソニックブームのことで,超音速で翼型,そちらの方に目がいっていて飛行機自体の飛ぶ姿勢を考えていらっしゃったのかなと疑問に思いました。実際,飛行機であるが故に本来ならば水平飛行の状態で超音速が作れれば一番近いわけです。それがコストの面から垂直から水平にということになったんですが,垂直から水平に至る飛行というのは,我々航空機で実際に飛んでいる人の分野からみると異常姿勢,つまり普通の飛行の形態ではないんです。そういうところで起こるいろんな問題,Gもそうですし,激しい加速もありますが,そのへんのところが余りにも翼型の方に目がいっていて余り考慮されていなかったのではないかという気がしますが。いかがでしょうか。
【吉田プロマネ】まず1番目ですが,機体が回復しましたのは機体が黄色いラインから黒いラインにずれたときでも制御系はひたすら制御を行っておりました。ただ中に入っております空力データに基づいて制御コマンドを出すというシステムが変わっておりませんので,実際の空力が中に入っている空力と違う状態であるかぎりは制御がうまくできない状態でありながら,一生懸命制御がバタバタしているという状況になっていました。ところがだんだんスピードが落ちて高度が下がってきて分離後170秒くらいで機体が回復したのは,それがちょうど制御系の持っている空力と制御している実際の空力が近いところにきたことにより,つまり制御が効きだしたものと考えております。また飛行試験をどうして止めたかですが,機体が回復したときは既に亜音速まで速度が落ちていましたので,そのまま飛ばし続けて今度は飛行高度が下がり過ぎますと,こちらからの投棄コマンドが届かなくなる限界がありまして,それでは実験機が実験区域から出てしまうという心配がありまして,積極的にコマンドを打って落とした,というのが最初の質問に対する回答でございます。
 次に2番目の御質問のGの話ですが,我々は当然,D-SENDという飛行機は旅客機を想定して作ったものですからレベルフライトするような設計条件で機体の空力形状を設計しました。しかし,D-SENDプロジェクトとして実験するには,レベルフライトではなく気球から落下して引き起こすような非常に大きなGをかけることが必要となり,またどんどん高度が下がりますと密度も濃くなりますから荷重も増えますので,全フライトにおいてどういう荷重が幾らかかるかを考えて,確かに形状は旅客機ですがそれらに耐えられるGの制限を構造設計上設けてこの機体を設計しております。戦闘機のような曲技飛行になっておりますが,それでも十分耐えられる飛行機としての無人機を開発しております。我々としてはその点は全く問題ないと考えております。今回は構造的な設計マージンには十分入っており,荷重は設計条件以上かかっておりません。テレメータからそれが分かっておりますので,フライトとしては問題なかった,ということだと理解しております。
【鐘尾委員】制御系に問題があったということでしょうか。機体はたしかに頑丈に作ってらっしゃると思いますが,制御に関する動力源とかそういうところにも非常に過剰なGとスピードがかかりますが,それを制御することも想定内だったということでしょうか。
【吉田プロマネ】はい。姿勢制御に使われるこのスタビレータを動かすためのアクチュエータにかかる荷重も設計どおりです。制御がコマンドを出すけれども荷重がかかりすぎてアクチュエータが動かなかった,ということはありませんでした。制御が出す指令が中に入っている空力モデルに依存しておりますが,そのモデルが実機とずれたことによって違う信号,つまり操舵量が出ていたということです。
【鐘尾委員】シミュレーションと違ったということですね。
【吉田プロマネ】はい,ということが原因です。
【鐘尾委員】分かりました。
【李家主査】他にいかがでしょうか。どうぞ。
【武市委員】実験結果から失敗原因を探り対策も講じて,また原因解析の一連の過程で新しい課題も抽出した,という点で,本来の成果とは違いますが,実験としての成果があり,だからこそ2回目をやる意義がある,と理解しています。それをお伝えした上で,原因の中で,例えば安定余裕が不足していた,空力モデルが合っていなかった,またピッチには反映していたけれどもロール,ヨーには反映していなかった,といったところが後から言われれば分かることですが,事前に予測することもできただろうと思います。それで一番興味があるのは,FTAなどの項目を出していますが,そういったことを事前に出して予測するような機会がどれくらいあったのかというところを教えていただきたいと思います。
【吉田プロマネ】空力の方ですが,後ろの形状が違うということはやっている我々も分かっておりまして,それが縦系に補正しなければならないということは本当にすぐやったわけです。それが横特性にあるべきだという意識が希薄でした。
【武市委員】例えば宇宙研とかつくばの方の人工衛星だったりすると開発の段階から打ち上げの段階までにレビュー会を何度もやります。そういった機会があったかどうか,ということです。
【吉田プロマネ】レビュー会はやりました。まず空力においてはプロジェクトチーム以外でJAXA航空本部の中の専門家が集まって,いわゆるピアレビューというものをやりました。次は空力以外,つまり全体システムという観点で技術審査を何度もやって確認しました。何度もというのは,技術審査につきましては4回ほどやっております。そういう中で一応御説明してきておりました。ただピアレビューはかなり専門的にやれるのですが,技術審査の場合は項目のワンオブゼムとは言いませんが,ワンオブテンとかそれぐらいの一つでやりました。そこをくぐり抜けてしまった,ということに結果としてはなります。ピアレビューでも補正の議論はしたのですが,つまり縦系への補正はしたのですが,横・方向系への補正の議論はしなかったというのが実際のところです。
 制御の方にいたってはピアレビューをもっとやっております。安定余裕は最初のころは6 dBというのは皆の意識にありました。ただモンテカルロシミュレーションで最終的に機体の安定性も含めて評価ができると思っておりましたので,そこは設定した誤差モデルの土俵の上では全て正しい結果だと認識していました。実際飛行破綻は生じていませんでしたので全く問題ないと思ってしまいました。その土俵がまさか真値と違うところにあったとは思わなかった,つまり制御のピアレビューの方ではそうは思わなかった,というのが実際のところでございます。
【武市委員】今回は実験ですが,例えばロケット打ち上げの場合だと安定余裕を削るということはまずしないはずです。制御性能を多少落としても安定余裕は絶対に確保するという考え方でやっているはずなので,ちょうどそれと逆のことをやってしまっています。今後,そういったことを事前に何かしらの形で指摘してもらう機会があると良いと思います。今回のD-SENDの原因究明と対策はこれでいいと思いますが,これもかなり予算とマンパワーをかなりかけているプロジェクトだと思います。これからの出口志向の研究をやっていく上では同様の規模のプロジェクトをどんどんやられていくわけです。そういったときの審査体制あるいはレビュー体制といったものでもう少し,これまで具体的にどうやっていたのか分からないので何とも申し上げられませんが,実際のプロジェクトの経験のある方や多少違う分野の開発経験のある方,そういった多くの方から指摘してもらえるような体制があるといいなと思います。
【伊藤室長】JAXAの事業推進部としてプロジェクトのマネジメントの観点から言いますと,このプロジェクトもJAXAのプロジェクトという観点でマネジメントをかけております。JAXAの中で決まった手法,マネジメント規定に沿って進めているという意味では他のロケット,衛星等と同じ考え方です。今後もそういう規定や考え方に沿っていろんなリスク,コスト,管理をしていく体制,進め方をとりますので,御指摘の対応についてはその配慮はされると考えております。
【山本委員】今回の試験の問題は非常に大がかりの試験だったのに,予想しないところであっけなく失敗したということが,一般的に考えた場合の問題と考えてよろしいですよね。具体的に今回の試験での予算,参加人数など規模をお願いしたいと思います。
【吉田プロマネ】このプロジェクト全体にはD-SEND1という軸対称のものを落とすのもありますが,それらを全部入れますと約40億円の予算を頂いております。実験隊はJAXA側としては20名くらいで,メーカーさんにも20名くらいに来ていただいておりますので総勢40名くらいで行いました。あとはスウェーデンの方が何人か,細かい数字は分かりませんが,それくらいの規模でやらせていただきました。
【山本委員】これを受けて原因解明されたのでもう一度という御希望があるわけですね。その場合には予算としてどこがかかっているものなのか,機体を作るのが非常に高いのか,こういった実験の調整,場を作るのが大変なのか,どんなものだろうという質問です。
【吉田プロマネ】このプロジェクトは機体を2機作っておりまして,約40億円という中では機体の設計と開発,また装備品や材料の購入に結構かかっております。また実験場もスウェーデンをお借りしますので,そこにも費用がかかりますが,やはり一番大きい部分は機体開発の部分です。
【萩原委員】残念な結果になったんですが,その予想もしないということよりも,コストを減らすためにエンジンを積まないで自由落下でやって,一番リスクの高いところでひっかかったという感じがします。ここをうまく通り抜ければあとはいくんだろうと思います。このグラフで見てももうちょいで水平になるところで発散してしまったので,自由落下試験で水平飛行に安定的にもっていけるか,そこをきちんと見極めてほしいなと思います。先ほど鐘尾さんが言われたように機体の格好からいってもそれほど大きなエルロンやエレベータを持っているわけではないですし,外乱が入ったときに安定的に水平飛行にもっていける目途,そこらへんを定量的に把握してレビューしていただければと思います。
【松島委員】細かい質問ですが,ただ今説明いただいた資料の6ページ目の右側のグラフですが,分離直後にも迎角の振動や横滑り角のかなり大きな変化が見られます。それは収まっているんですね。そこのところは。
【吉田プロマネ】これは分離直後は空気がほとんどありませんので,全く空気力の影響を受けていない状態です。ただ機体は分離したときに何らかのじょう乱として初期値を持っておりますので,それを受けて変動しております。しかし,空気がだんだん濃くなってきますと空気力が効いて振動はしっかり収まって,きれいなデータになっていきます。
【松島委員】それは自然現象として収まったということでしょうか。
【吉田プロマネ】空気力が効いて収まったということです。この機体は静安定が非常に強い機体ですので,何も制御しなければ必ず安定になります。ただそれだと飛行経路に乗せられませんから,それで今度は静安定の強い機体を少しコントロールしながら軌道を合わせていくということをしております。
【松島委員】もう一つの質問です。安定余裕が少なくなったというのが最適化のプログラムのせいというお話でしたが,もちろん最先端の最適化の手法を使ってらっしゃるということなのですが,その安定余裕が少なくなったというのはその最適化のプログラムの特性というか今まで分かっていなかった特性だったのか,それとも何か使い方の上でパラメータの入れ方とかそういうものが違ったからそうなったのか,それはどういう理由でしょうか。
【吉田プロマネ】フライトが全部で4分たらずであるところを幾つかのフェーズに切りまして,その切ったところに制御則のゲインとして何十種類かあるのですが,細かい数字は分かりませんが,それら全部が全フライトの中でどういう組合せになったら一番良いかということをいろいろ調べながら調整していきます。最適化というのは全体を見てフライトがきちんと目的のところに飛んで,ある計測の要求範囲に入らないと,低ブーム設計概念を実証できませんので,それを満たすフライトの条件に合うための制御ゲインの組合せをたくさん調べて選んでおります。その過程の中で,この次はプラスマイナス6 dBというのをゲインの安定余裕の設計条件に課しますが,それをこの前は課しておりませんでした。安定余裕が多少最適化のために失われても,それは評価関数としてはチェックしておりませんでした。その結果一番低いところは2 dBまで下がっていた,ということなのだと思います。最適化の問題,手法の問題ではないと思っています。最初から設計条件に6 dBを課していれば,それは拘束条件になりますので,その上で最適化を行っていればそういうフライトは作れたのではないかと思います。
【松島委員】次回のテストにおいても同じ最適化の手法を使って,制約条件として安定余裕を課すという形でしょうか。
【吉田プロマネ】はい。6 dBは設計条件で課しますので,絶対それを下回らないようにして設計します。
【松島委員】はい,分かりました。
【髙辻委員】いろいろ原因究明されて,再現性もあるということで皆さんの御苦労の程大変だったと思います。私も何度も飛行試験をやっておりますが,同じことを繰り返してもどうしようもないわけで,リスクをどう評価するかということと表裏一体になるわけだがステップアップで評価していくというのが一つできるかどうか。どういうふうにリスクを評価して段階を踏んでいくかという収拾可能な被害のレベルでステップアップすることで大きな失敗を避けるという考えもあるんじゃないかなと思います。再開に当たってのリスク評価をされて,適正な範囲の中でやっていただきたいと思います。
【李家主査】今のリスク評価はJAXAの中で具体的に検討されておられますか。
【吉田プロマネ】10ページの5番目にリスクの洗い出しを挙げております。JAXAではリスク管理のルールがありまして,リスクを挙げてどう対処するか決めて,それを定期的に確認して,リスクの対処が効いたかどうか,あるいは違う手を考える等チェックしながらやっています。先ほどの質問の中で安定余裕が最後は下がってしまったというところは,安定余裕をリスクの最初に挙げていたのですが,比較的最初の方の審査でリスクへの対処策が効いているという結果になったのでリスク・レベルを下げることになり,以後,それについて我々が踏む込むことがなかったという経緯があり,大きな反省点です。リスク管理のやり方をもう一度徹底的に洗いなおして最初の段階で挙げたリスクをフェーズで下げることは必ずしもいいとは思いませんので,常に見直すようにします。その観点で,現在リスクを全部見直しています。かつ,今度の対策に応じたリスクもあるので,それらも新たに追加して全体を見直しています。プロジェクトチームだけではなく航空本部としてもしっかり確認していくプロセスで進めたいと思っています。
【李家主査】現在,その作業をされていて,ある程度たてば結果がきちんと出てきて,それを基にJAXAの中で評価していくということですね。
【鈴木委員】御丁寧は説明,ありがとうございました。是非,PDCAサイクルを確実に回していただきまして次の試験で成功していただきたいと思います。再試験の成功の段階で実績を挙げたということで特許申請も可能になってくるのでしょうか。
【吉田プロマネ】14ページにありますように,既に特許をとっております。今回は論文発表もせずに先に特許を取りました。そして最後に飛行実証を行うことで,それと特許をセットで成果にしたいと思っております。
【鈴木委員】特許を取得することによって国だけではなく民間企業にベネフィットが伝わってくるのでしょうか。
【吉田プロマネ】元々,超音速機の開発は将来的にはその開発規模から国際共同開発というのが世界的にコンセンサスを得ているところであります。そのときに日本が一部とはいえ参加するときに,こういう特許技術を日本として持っているということが設計のテーブルで強い発言を可能とするバックグラウンドとなり,そのようなポテンシャルを持つことを目的に,我々はこの特許技術で押さえた超音速機の設計技術を実証してこれを日本の航空機メーカーさんに技術提供,移転するということを通して将来に向けたステップにしたいと考えています。一方,現在進んでおりますソニックブームの環境基準を決めるという国際協力的なICAOの活動にも貢献をしていくことにも積極的に対応します。そういう両面からこのプロジェクトが役立つものと思ってやっております。
【李家主査】細かいことを確認させていただきます。6ページです。飛行異常が40秒くらいから起こり始めて,最初は低周波のゆっくりした振動でした。これに関しては今回見直した空力モデルや制御則を用いても同じようなものが発生する可能性はあるのでしょうか。前回の場合はそれを抑えられなかったと理解しておりますが。
【吉田プロマネ】今回は抑えられます。
【李家主査】最初から起こらないようになるのですか。
【吉田プロマネ】はい。
【武市委員】今回安定余裕を十分確保した分,どこを削ったのでしょうか。
【吉田プロマネ】安定余裕を十分とりましたし,飛行経路は見直さなくてもうまくいきますと先ほど申しましたが,まさに御質問の点に疑問を持たれるのは,ごもっともでございます。実は,計測の要求条件を少し緩めております。今回の機体はマッハ数1.3で設計し,CLは0.12が設計条件です。この前のフライトはマッハ数を0.05の幅,つまり1.25~1.35の範囲の非常に狭いウィンドウで実験を行いました。今回はD-SEND1という3年前にやりました落下試験の結果をもとに,ソニックブームの伝播(でんぱ)解析手法の精度を確認しましたところ,我々の持っているツールの検証ができまして,その検証したツールでもう一度設計条件を分析しますと,マッハ数はもう少し広げても,具体的には1.2~1.4の範囲でも我々の特許は実証できるということが分かりました。
もう一度まとめますと,我々は当初軌道を変えて安定余裕を確保する案を考えたのですが,そうするとマッハ数が超過して,先ほどの構造の設計条件にひっかかるということがわかりました。そこで,軌道は前の通りの方が良いと考え,その代わり御質問のとおり安定余裕を確保しますから追随性が落ちますので,その分は計測要求のウィンドウを少し広げることでカバーできないかと考え,結果として伝播解析で計測要求のウィンドウ周りの端っこ付近を調べたところ,十分実証できるという判断になりましたので,今回のウィンドウ幅を採用しても安定余裕を確保して飛ぶことができるという見通しを得ました。
【武市委員】そうすると1回目以前に計画していた計測方式よりもう少し手が込んだような方式になるのでしょうか。
【吉田プロマネ】計測そのものは同じですが,後解析の部分の精度が上がった,つまりツールが良くなったということだと思います。
【李家主査】他に御意見,御質問ありますでしょうか。今までに頂いた御意見をまとめてみます。最初に御質問があったように,ダイブした後に急激に引き起こすという,そのような非常に特異な体勢での飛行であるので,そこに十分注意していただきたいということとでした。他には体制としてレビュー体制をしっかり行い,リスク評価をきちんとして,そのリスクを見た上で,試験を再開しても絶対に失敗しないと言い切れるような,そういった体制にしていただきたい,このようなことが委員の皆さまの御意見だったかと思います。これからもJAXA内で作業を進めていかれると思いますが,本日の御説明のとおりに続けていただければと思います。他にこの議題に関して何かございますでしょうか。特にないようでしたら次に進めさせていただきます。ありがとうございました。 

(2)航空科学技術に関する研究開発の今後の方向性について

【李家主査】次の議題2に入らせていただきます。航空科学技術に関する研究開発の今後の方向性についてということです。まず議論の基礎となります
航空関連資料集の説明をお願いします。
【伊藤室長】JAXA航空本部の伊藤の方から御説明させていただきます。非常に分厚い資料になっております。今後の将来の航空科学技術,どのような方向性を見据えるべきか。少し超音速から離れた日本の現状,世界の現状を含めた資料になっております。ページ数が多いのでかいつまんでの御説明とさせていただきます。
 4ページ目を開いていただけますでしょうか。世界の航空機事業の予測,今後の20年の見込み。今日本が置かれている,あるいは世界の動きとして,現状に関して航空機産業,規模としては25兆円。エアラインの規模も含めると85兆円という規模になっております。これが更に今後20年で航空機に関しては2倍の規模,エアラインも含めて2.5倍の規模に増えるという成長産業と理解しております。このような航空機の産業がどのようにこれから日本は取り扱うべきかという視点で航空科学技術を考えるべきだというのがまず大きな背景かと思っております。
 ずっと飛ばしていただきまして8ページ目まで進んでいただけますでしょうか。世界のこのような今後の見通しに対して過去日本はどのようなことをやってきたか,あるいは今どのような状況にあるかというものです。戦後航空機の生産禁止令で7年間空白がありまして,その後日本が航空機の製作を再開したという状況になっております。防衛機に関して自国設計開発で順に開発をしつつ一部民間機,YS11というものがあったとかなり間があきましたが,その間も民間機に関してはボーイングとの共同開発767,777,787,ここで製造分担としては767が15%ほど,最新の787では35%。非常に共同開発の割合を上げつつ技術を蓄積して現在MRJの開発につながっております。日本の航空機開発の状況はこのような状況だと理解しております。
 航空機開発に際して,10ページ目,11ページ目に少し機体の今の767,787の話が入っております。その次のページ,11ページ,エンジンに関して。こちらの記載も少し御覧いただければと思います。エンジンに関しては企業名でいうとIHIが中心になっておりますが,一番上のV2500というエンジン,これでシェア率23%。あるいはその下の四角のGEとの関係でCF34というエンジン。これは右の方に30%と大きな製造分担比率があります。このような国際共同開発も進めながらV2500,これはA320シリーズで非常に売れている機体のエンジンで大きなシェアを取っています。CF34に関してもリージョナルジェット,エンブラエルやボンバルディアの機体に搭載されていて,これもよく売れているエンジンですので日本の産業としてこういうところの分担比率を稼ぎながら技術を蓄積しているという状況かと思っております。
 現状こういうことを考えておりますが,次のページ12ページ目にこれから何を日本のあるいは世界の航空産業は考えるべきか。これが方向性として示されているのが一つ目,地球環境への対応です。環境性能はCO2,環境のみならず航空機の経済性,ガソリン代,燃料代を下げるという意味で非常に意味があります。国家レベルでの各国目標を掲げてやっているあるいはIATAのような国際機関でもその下のグラフにありますようにCO2排出量を半減するという目標を立てているような世界があります。何もしないと飛行機が2倍に増えるわけですから2倍に増えるところを半減しようというような考え方を世界的には進めているところで,こういうものにどう対応していくかが一つの課題です。
 次のページ,安全に関して,ここでは乱気流を挙げておりますが,こういうものにどのように技術的に対応していくのか,こういうことが技術課題かと考えております。
 JAXAに関して少しだけ御紹介をさせていただきます。16ページ目を御覧いただけますでしょうか。JAXAの航空における実証プロジェクトというタイトルで,この左の矢印がたくさん上に重なっているもの,TRLの1から9と並んでおります。これは技術の成熟度といって,一番下は基礎的な研究,真ん中あたりにその研究を応用して実証して最終的に製品にしていく,このステップを書いたものです。この中でJAXA航空,公的研究機関の役割はどのようなところであるかというものを真ん中に書いております。赤字で書いてある技術価値の確認。実際には技術の開発をしてそれを実証する,こういうところに,基礎的なところは大学等も含めてやっているわけで,その基礎的なものを実証して実際に使えるようにすることを示すことが公的機関の役割。使えることが分かった段階でようやくメーカーもじゃあこれを製品化しよう。製品化にも作り方,法律上の認証にどう適合させるか,そういうところはメーカーの力でやっていく。こういう役割分担でこの技術実証をしていくというのが一つの考え方かと考えております。
 これに対して環境,安全等に対して19ページ目以降。例えば騒音に対してこのような騒音を軽減させるようなニーズがあります。安全に関しても乱気流の議論があります。19ページ以降に騒音,安全,エンジンの環境への対応,いろいろなマーケットに向けて,22ページ目に非常にたくさんのJAXAでは研究開発を行っておりますが,環境,安全への目的を大きな目標に掲げ技術実証を中心とした役割を担おうとしているのが現状であります。今の日本の状況,JAXAの活動について簡単に御紹介させていただきました。以上です。
【李家主査】ありがとうございました。この議題は,航空科学技術に関する研究開発の今後の方向性ということになっております。基本的に平成27年度に向けた議論かと思います。ただ今,御説明がありましたように,次に何をやるかということでは,環境と安全という二つのキーワードが出てきました。そのあたりに関しては特にJAXAのような公的機関の場合は,技術を実際に使えるようにする役割があるという御説明でした。本件に関して,今日は自由な御意見を頂ければと思っております。フリーディスカッションということで10分ほど取らせていただきますので御意見をよろしくお願いいたします。
【鈴木委員】非常にトピカルだと思いますが,昨今ありましたマレーシア航空の事故。実際何が起きたかは究明されておりませんが,いろんな仮説があると思う中で,そういう事件,インシデントを防ぐためにどういう対策がとれるかについて少しお聞かせいただけますでしょうか。
【伊藤室長】JAXAとしての立場でできることという形のお答えになります。JAXAは技術的なバックグラウンド,基盤的な知識や設備を念頭に事故の原因究明等には国交省,航空局さんからの要請に応えて技術的な調査等に関与しております。過去にも割と最近の787のバッテリーの事故に関してもCTスキャンをする,その中身の解析に御協力するという形で協力をしております。古くは747の御巣鷹山の事故に対してもその原因究明には深く関わって,いろんな技術的な御提言はできたかと思っております。我々の持つ,構造,空力,制御,あらゆる知見を結集してそういうものには協力するというのが我々の役割の一つ,本当に重要な役割と考えておりますので,それには引き続き対処していく所存です。それを実現するための基盤となる技術をこういう新しい最先端のことをやりながらそこを蓄積していくことで事故対応のようなものにも対応できると考えております。そこは表裏として対処していきたいと考えております。残念ながらマレーシアの事故に関しては日本の関与が今のところないと聞いております。そこに関して特に論評なり何もできる状況にはありませんが,日本として協力が必要な状況であれば,JAXA航空の分野は十分に力を発揮していきたいと思っております。
【村上グループ長】補足になります。その他にエアラインに行って運航安全の観点から,空港の関係者のところに行って何が運航の就航率を悪くしたり事故の要因になるかというヒアリングなどを通じて,例えば機体のアイシングの問題,耐雷,雷が機体に落ちたときの問題,滑走路でいくと滑走路上に雪が積もったり,そういったものをセンシングする技術とか,そういった技術,特に日本の地域性を踏まえた冬期における雷であるとか,着氷,滑走路上の雪などをモニタリングする技術について我々の方で取り組もうということで,大規模ではございませんが研究を進めているところでございます。こういったことも国内における航空機事故を下げるということでは非常に重要な技術だと思って進めております。また国内の定期運行では過去10年間くらいの統計を見ると乱気流によって事故が起きているのが大体半数を占めています。その意味で,晴天の乱気流を検知して警報するシステムが現時点ではないですが,我が社の方で開発してきた先進技術を使うとそれが可能になるだろうということでこの資料の中にもございますが,Safe Avioという研究開発プロジェクトをある程度の規模で進めており,産業界,特に装備品の産業の力にもなると我々は考えております。その部分について力を入れてやっていこうとしております。こういったことも国内や海外で起きる事故の削減に対して貢献できると考えております。
【山本委員】独法の研究開発という見方をしますと,一般に技術の先進的な技術のネタが先にあるシーズ・オリエンテッドなものと,社会の事業者のニーズによるニーズ・オリエンテッドがあると思います。JAXAの航空の面では非常にはっきり,ニーズに対応していいなと思っています。実際にニーズ・オリエンテッドがほとんどなのかということと,また逆にシーズ・オリエンテッドなものとしてはこういったところが新しい先駆的なものだというのを少し御説明いただければと思います。
【伊藤室長】御理解いただいているとおりニーズ・オリエンテッドという柱で環境と安全を立てております。それ以外に我々はキーワードとして今使っているのは新分野創造という言葉の下で新しい航空の世界を切り開く。これは例えば超音速,極超音速,V/STOL,無人機などもこういうところに入ってくるかと思います。そういう新しいことを先行的にやろうという切り口の課題の設定もしております。もう一つは基盤的に設備やいろいろな基礎的な研究も課題として取り組んでおります。そういうものが空力技術,構造技術,制御技術,いろんな分野に関して技術の底上げを図っていくような活動はしております。今の三つの柱と下を支える基盤という形で整理をしてニーズからシーズの創出まで全般的に御理解いただけるような形にはなっているのではないかと思います。
【松島委員】自由な意見ということなので自己中心的な意見かもしれません。私は27年度に向けてということはあるかもしれませんが,今日の机上資料を見せていただいたときに,最初に産業の話から入っていますことが気になりました。私として例えば文部科学省の方々にお願いしたい役割は,産業振興もあるとは思いますが,産業振興に通じる政策も,つまり,科学技術自体の発展を促していくようなこともやっていくべきだと思います。出口はつい産業の面,お金の面ばかりに目が向きますが,若い人たちに夢を与える,子供たちに夢を与える,子供たちだけではなくて日本国民全体に夢を与えるとか,そういう科学技術を振興していただきたい。その中で航空は非常に大きいものだと思います。私は大学におりますが大学生は航空に憧れて,私は機械学科ですが航空に憧れて機械を目指す学生はかなりいます。そういう意味で彼らに日本の将来に対して夢を抱いていただくためにももう少し長いスパンで,20年後ではなくて例えば50年後,100年後に対してどんな飛行機がいるのかとか。ちょうど今,ジャンボが退役していく時代で50年たって,大体40年~50年で飛行機の寿命が終わると言われていますが,次の,今のジャンボが終わって,今の新しい世代,その次の最新世代の飛行機はどういうものなのかというところも含めて考えていただきたいと思います。こういう資料はもちろんすごく大事で重要だと思います。その一方で何かもう少し先を見たものに関する取り組みも,個々に見ればそういう種はあるのかもしれませんが,もう少し表に出していただきたいなと思います。
【中橋理事】どうもありがとうございます。先ほど伊藤から申しましたように我々はSky Frontierという国の中で10年20年あるいは30年先を目指したような航空機開発も行っております。ただまだかなり先のものですので,どういうものが本当に実現するかという見極めを兼ねてやっているところでございます。この中から若い人たちをわくわくさせるような次の航空科学技術を背負うようなところを生み出していきたいと思っております。ニーズに対する研究も非常に大事だと思っておりますし,両方合わせて進めていきたいと思っております。非常に有り難い言葉,ありがとうございます。
【磯谷審議官】今,松島先生がおっしゃったことは最もだと思っております。当面は8月に概算要求をするということで,毎年のスケジューリング的なこともありまして,7月に向けてこの委員会でも今後の方向性について審議をしていただいて,再来年度の概算要求に何を出していくかということを議論する必要があります。それを出す上でもかなり長期的な視野に立ってそれは進めていかなければいけないと思っております。そういう意味では10年20年にとらわれず文部科学省として推進すべき科学技術の振興,人材育成といった観点で自由に御議論いただきたいと思っております。我々も省内でかなりそのへんのことを真剣に議論しなければいけないと思っております。市場という面で見ても非常に航空というのが世界的に伸びていき,その中でどのように日本の産業を振興するかも重要な視点であります。一方で日本が今まで育ててきた技術,人材など,せっかく航空という分野で非常に強みを持っているところがいかに,そういう意味では先生が先ほどおっしゃった夢の話にもつながりますが,持続させて更に発展させて世界でも戦えるような環境を作っていかなければいけないと思います。それは決して10年後20年後だけではなくて長い目で見て。それは夢だけを追っていてもしょうがない。夢がちゃんと実現できるような環境づくりを我々はしていかなくてはいけないと思います。狭い意味での文部科学省,JAXAということだけではなくて,関係省庁ともちゃんと議論して,とかく航空技術,産業が日本の中で自動車産業に比べると華やかなところではなかったという過去の歴史もあります。それはどこかで破っていかなくてはいけないという思いは我々も,櫻田副大臣も下村大臣も非常に思いが強いところがあります。是非これからも様々な御意見を頂ければと思います。
【鈴木委員】安全と環境に注力しているのはもっともだと思います。加えてこの業界で働いているかぎり健康についての研究がなされているかということについてうかがいたいと思います。我々のスタッフも気にすることは放射線などにもろに受けてがんにつながるのではないか,脳こうそくが起きやすくなるのではないか,お客様の健康があります。それについてどういう取り組みを考えていらっしゃるのかをお聞きしたいと思います。
【中橋理事】現在のところ具体的な項目として健康に対する研究開発はやっておりません。社会の方からそういうニーズがありましたら是非とも検討していきたいと思います。少し近いところではヒューマンマシーンインターフェース的な研究開発はコクピット関係でやっております。これは若干方向性が違うかと思います。
【伊藤室長】機内安全という意味で乱気流事故防止が一つあると思います。それ以外に787では気圧を高く設計するということが機体設計の中であり,そういう技術に我々は将来的には関与できるように。これは国産機がどうやって変わっていくかにそういうことを実現する強い複合材の技術を提供して,間接的にはお役に立てるかなと思っております。今後またそれを主とした目標の研究テーマは考えていきたいと思います。
【李家主査】他にはございますでしょうか。ただ今,夢を若い人に与えるような技術を考えるべきであり,その夢を実現できるような体制を作っていくべきである。そして,このような面から長期的視野に立って自由に議論していただきたいといった御意見を頂きました。それと並行して最初に御意見を頂いたように,安全を始めとして環境など,出口志向のところをしっかりと見ながら,かつ産業に役立ていくような面からも考えていくべきであるということでした。このような両面から考えていくのが航空の特徴なのかなと思います。どちらか一方に片寄りがちな場合もあるので,この委員会では,これら両面を忘れないようにして,今後議論していければとよいと思っております。
 産業の方に戻って,一番航空の産業界に近い髙辻さんの方で工業会の立場として何か御意見がありますでしょうか。
【髙辻委員】夢の話が出て,私は出口にいますので苦しい立場ですが。
【李家主査】夢と出口との両方をつなげられるかとか,自由な御意見で結構ですのでお願いします。
【髙辻委員】産業という面を抜きにしてやってしまってはあとで,きつい言い方をしますが,夢だけをおっかけていては徒労感に終わるという部分もございます。航空産業は非常にばく大な資金と人力を投入いたしますので,その夢と現実の折衷をどこでとりつつその中間のいいあん梅のところを見つけていくかが文部科学省の方々の非常に難しいところかと思っております。これ以上言うとなかなかきつい部分が出てまいりますので,皆さま御苦労さまでございます。
【李家主査】ありがとうございました。
【中橋理事】JAXAの立場としましても科学技術を新たなものを開発していくというスタンスは当然ですが,何らかの航空関係に携わってきたものとして裾野を広げなくてはいけない。航空機産業がもっと大きくなってくれると夢も語れるし,人も育っていく。今一番大事なのはMRJなり様々な現在進んでいる活動をきちんと強化して,更に次につながるものをきちんとやっていかなくてはいけない。広がっていくとおのずと夢も語れるようになっていくのではないかというスタンスで考えております。
【李家主査】ありがとうございました。そろそろ時間です。最後に特に御意見がございましたら。
【武市委員】一応ぎりぎり若手と呼ばれる年代からのお願いです。D-SENDの審査会の話のときにプロジェクトマネジメントのやり方でJAXAのやり方を入れていくというお話がありました。やり方や仕組みを作っても運用するのはその中の人で,最終的にはその人たちの経験が全てを決めてくると思います。是非お願いしたいのは,私よりもっと若手の人たちが,若いうちから,小さくてもいいのでいろんなプロジェクトをどんどん経験して,その経験を次のプロジェクトに生かして成長していくようなサイクルを作っていただきたいと思います。数年に1回,D-SENDのような大きなプロジェクトをやるのではなくて,もう少し高い頻度でプロジェクト形式で若干中規模な研究をやって,若手がどんどん経験を積めるようなやり方を作っていただきたいと思います。
【伊藤室長】現実的にここにD-SEND以外にわりと小さな無線操縦機,無人機のようなプロジェクト的に目標を定めてある,あるいは電動で飛行機を飛ばすというような,このぐらいのレベルのものですと比較的こぢんまりとできます。そういうものも動かし始めようということで数は増やして粒をたくさんという考え方は確かにおっしゃるとおりで,その方向に進めていきたいと考えております。

3. 閉会

【李家主査】ありがとうございました。時間になりましたので,次は事務局の方から御連絡をお願いいたします。
【伊藤補佐】参考資料の今後のスケジュールを御覧ください。静粛超音速機技術の研究開発と平成27年度航空科学技術に関する研究開発の概算要求と二つのスケジュールについて書かせていただいております。まず左の方でございます。3月11日,本委員会のあと資料42-1-1の静粛超音速技術の研究開発の中間評価表の新旧対照表を電子ファイルでお送りさせていただきます。4月1日までに本ファイルのコメント欄にコメントを入れていただいたり,中間評価票の修正欄に修正御意見を入れて御返信いただければと思います。事務局を通じてJAXAへの質問なども4月1日までに受け付けさせていただきます。その後,次回は第43回航空科学技術委員会の開催につきましては5月中下旬を予定しております。開催時期が決まりましたら御連絡いたしたいと思います。次回は委員の方々から頂いた御意見をまとめた中間評価票の審議をお願いしたいと思います。そのあとは研究計画・評価分科会におきましてまとまった中間評価票を審議していただいて決定するという運びになっております。
 右の欄でございます。平成27年度航空科学技術に関する研究開発の概算要求に関する議論につきましては,次回の第43回の委員会で引き続き議論を行いまして,更に6月~7月ごろに予定しております次々回の第44回の委員会で平成27年度の航空科学技術に関連する取組案としてまとめる予定でございます。以上でございます。
【李家主査】ありがとうございました。中間評価票を記入するという宿題が出ましたのでよろしくお願いいたします。次回,これに関して議論させていただければと思います。これで科学技術学術審議会研究計画・評価分科会の第42回航空科学技術委員会を閉会させていただきます。長時間にわたる御議論,大変ありがとうございました。

 

お問合せ先

研究開発局宇宙開発利用課

-- 登録:平成26年04月 --