

研究評価部会(第30回、第31回)における主な意見
1.評価システムの改革の方向性について
- 一番のポイントは、評価作業の過重な負担の軽減。研究開発力強化法でもCSTPでもそれが理念であるはずだが、現場に行ったときに、大きな作業の負担になっている。新しい大綱的指針では、ますます負担が大きくなるのではないか。
- 現在は、マイクロマネジメントにまで介入し、過重な負担が現場にかかっている。合理化することを議論したうえで、研究者への過重な負担を予算や人で支えるということを詰めて欲しい。研究者(被評価者)が、評価に時間・エネルギーを割かれる問題に対して、必要な資源をどのように準備するのか。
- 研究者には評価、評価で時間が割かれるという批判があるが、金額の大きなプロジェクトほど評価を受ける義務がある。資金を受け取ることと評価を受けることは一体で当然のことであるという意識を啓発していくことも重要。
- 公的資金を受けて研究をする者は評価を受ける義務があると思うが、「評価はそれ自体が目的ではなく」という表現では、そこが抜け落ちてしまうので、表現を検討する必要がある。
- (課題やプロジェクト等の)個々の評価に注力するのではなく、制度・プログラム全体としての評価に重点を移してゆくべきであり、それにより、被評価者と評価する側の双方にとって、より本質的なアプローチができるのではないか。また、施策の目標と個別課題の目標との関連づけの適正さだけでなく、その目標自体が適正であるかどうかを重視すべき。これにより評価の負担を軽減できるのではないかと思われる。
- 研究も研究者も研究機関も多様である。評価にはたくさんの基準があるということが本質であり、その主体に応じて柔軟に評価基準を変えなければならない。「自律性を高め、効果的・効率的な評価を行う」とあるが、評価しやすさでもって本質を犠牲にしないということが一番重要である。効率的であることを追いすぎて画一的になってしまわないように注意すべき。
- 標準的な評価の指針を作る場合、世界の評価のスタンダードと比べてどうなのかという疑問が出てくる。世界的な評価と比べて、議論すべきところはどこか、新たに改定すべきところはどこか、という論点が必要ではないか。
- 単に評価のありようが世界的水準であるとかではなく、制度自体が世界的水準になっているかということが最も重要ではないか。事前評価ではプログラム設計が非常に重要だが、それが伝統的なものにとどまっており、科学技術の進展に合うようなものになっていないことが一番基本的な問題。諸外国ではそこを今展開しており、そこで遅れをとってはいけない。
2.評価人材の養成・確保体制
(1) プログラムオフィサー
- 資源配分機関において、PD・POがそれぞれのファンディングシステムやミッションステートメントをはっきり認識しているかについては改善の余地がある。
- 評価の継続性・評価にあずかる人のインテグリティー・効率が重要。PD・POが頻繁に変わるべきではないし、非常勤である場合も問題ではないのか。資金配分機関こそ専門性をもったエキスパートの人材を育てることに意を尽くすべき。PD・POは研究者コミュニティーからリスペクトされるべきで、それがあれば、PD・POにキャリアパスとしてのインセンティブが働く。
(2) 評価者
- 評価をする人に、どのようにして良い評価をするということの意欲をもたせるか。その一つは、評価をしている人のキャリアパスをつくるということ。大学が研究者を任用するときに、評価をした実績を評価するということは、具体的な一歩として良いことだと思う。
もう一つのやり方として、研究活動の中で、評価したことをプラスに見る。具体的には、過去に参加した評価活動を研究提案に書かせる。それにより、「評価をすることがプラスになる」という意識が働く。評価をたくさんするためには、きちんとした評価をして信用を得なければならないので、良い評価をしようという意欲を持つことにつながる。
- 評価者について、海外の研究者を積極的に参加させることは良いことだと思うが、若手研究者についても同じトーンで良いのか疑問を感じる。若手のレビューアを入れたが、大した意見が出てこないというのが実態だった。見識のある人でまだ評価者に加わっていない人たちを積極的に開拓していくことのほうが重要ではないか。
- 評価者について、若手研究者や海外の研究者だけでなく、例えば企業の人や有識者を明示したほうがよい。機関評価などでは、研究者では判断できず、むしろ経営の経験がある人や企業の人たちからの意見を聞いたほうが良いことが多々ある。
3.研究開発の性格や分野に応じた評価方法
- 産業界で役立つこと、社会のニーズに合致することが目標として求められているが、それは、自由な発想に基づく多様性に富んだ学術研究の推進からずれている。
産業界に役立つものは、放っておいても産業界みずからやる。「基本・本質に関わるがリスクが高くて産業界ではできないので、ぜひお願いしたい」ということと、「産業界に役立つ」ということはニュアンスが違うので、外部の専門家を含めた目標設定は重要である。
4.研究者の意欲や挑戦も積極的に評価する仕組み
- 終了時の評価は、達成度評価だけでなく、価値評価の視点を入れるべきである。プログラムの目標が価値的に見て適正であったかどうか、全体的な価値の面から評価することで、プログラムの趣旨にあう評価となる。事前評価は予測的な評価であり、実績がある中間・事後評価は、目標の高さがよくわかる。事前評価で設定した目標だけで最後まで評価してしまうのは、危険である。
一方で、挑戦型の研究を重視する評価システムで、事前にリスク等を勘案してきちんと評価された目標であれば、中間・事後評価でも達成度評価だけで十分であろう。
5.対象別の評価について
(1) 全般
- 評価結果がどのように使用されるかがわからないために評価側・被評価側ともに非常に疲れる。将来の研究費に反映されるなどが明確であればよい。評価結果がどのように使われているかが明確になるような方法はないか。
- 現行の評価指針では、評価の客観性を確保する観点から、数量的な情報・データの利用は有用であるとしながら、一方で、その利用は慎重に行うとしている。しかし、現場では、客観性だけで運用されていて、「慎重に」の部分が抜け落ちている。この状況を改善すべき。
- 評価の観点に「発展可能性」を入れるのは良いが、そもそも「必要性」、「有効性」、「効率性」は科学技術にふさわしくないと思う。
(2) 評価開発施策の評価について
- 追跡評価をするということを早い時点で告示することで、研究者には良い刺激になる。
- 施策の評価方法において、制度のもとに実施した個別のプロジェクトの評価結果を活用するなどして、とある。ここではデータ収集が最も重要なポイントになる。施策の評価をするにあたってどのようなデータが必要かをよく考えた上で、その最小限のものを報告するためのフォーマットをつくって、個々のプロジェクトから随時データを収集しておくことが必要。
また、実施後も最小限のデータを定期的に出してもらう。公的資金をもらって研究している人は等しくその義務を負うという実施体制を築かないと施策の追跡評価はできない。
(3) 研究開発課題の評価について
 ̄評価の実施時期
- 事後評価を終了前に行うことについては、プロジェクトの継続性(事後評価を次の事前評価に活かすこと)が重要ということだろうが、のりしろがある継続性が重要である。たとえば、5年間のファンドであれば、3年目の中間評価結果を見て次のプロジェクトの申請が通るようになっていればうまく展開できる。あるいは、中間評価なしで、前倒しで事後評価をして次につなげる。研究者の申請に応じてでいいと思う。
- 研究開発課題の継続性を考慮するのは非常に良いことだが、下手に運用すると、先行して大きな研究プロジェクトを持っているところがずっと持続して研究が行えるということになる。一方で、そこに入れない人はずっとワーキングプアの状態になり、研究者の二極化がすすむ恐れがある。
成果が上がったときに、今度はそれが次のカテゴリーの研究費にアプライできるようなシステムがあればそのような問題の解決になるのではないか。しかし、本当に優れたサイエンスであるかどうかという基本的な部分で評価すれば解決する問題だと思う。
● 実施時期が5年程度で終了前に評価が予定されている研究課題については、計画等の重要な変更の必要が無い場合には、毎年度の実績報告などにより適切な進行管理を行い、中間評価の実施は必ずしも要しないことについて
- 中間評価でいろいろな情勢を見ながら計画の調節をするというやり方をしないと、特に人材育成(振興調整費)などは難しい。事前評価だけで中間評価をせず、事後評価をすると、Cばかりになってしまう。
また、適切な進行管理という基準があいまいであるので、「このような課題に関しては中間評価が要る、要らない」ということも明確であればよい。
- 中間評価で、所期の目的から懸け離れているならば強い指導力も必要であるし、場合によっては中止という判断も必要である。その意味で、中間評価は重要である。
- 2年目に中間評価をし、終了前に次へつなげるための評価をすれば、それでよいのではないか。
- 採択されたプロジェクトが、最初の目的・目標に対して方向性が変わったときに、「作業の合理化」に「計画等の重要な変更の必要がない場合には」とあるが、誰が必要ないと判断するのか、また、「毎年度の実績報告等により適切に進行管理を行い」とあるが、適切に行われていることは誰が判断するのか。ここをきちんとしないと、毎年度の実績報告を出すことが目的になる恐れがある。
評価基準
- 終了時の評価は、達成度評価だけでなく、価値評価の視点を入れるべきである。プログラムの目標が価値的に見て適正であったかどうか、全体的な価値の面から評価することで、プログラムの趣旨にあう評価となる。事前評価は予測的な評価であり、実績がある中間・事後評価は、目標の高さがよくわかる。事前評価で設定した目標だけで最後まで評価してしまうのは、危険である。
一方で、挑戦型の研究を重視する評価システムで、事前にリスク等を勘案してきちんと評価された目標であれば、中間・事後評価でも達成度評価だけで十分であろう。
- 評価項目に、目標の達成するための(それが本当にフィージブルであるということが分かる)準備状況を入れるべきである。過去の実績は、将来の目標と無関係ではないが、必ずしも直接的なものではない。我が国における評価は、過去の実績に惑わされやすい。
自己点検の活用
- 評価は非常に進歩してきている。自己評価を中心にするシステムはこれまでと発想自体が変わることになるが、これまでやってきて定着しつつある、スキルがある程度磨かれてきている部分をどのように活かすかという視点も重要である。
(4) 研究者等の業績評価
- 「インセンティブとなるような評価結果を個人の処遇や」とあるが、この「処遇とは何か」という問題がある。
一方で、処遇に反映させられるようなきちんとした評価をやろうとすると非常に大変である。やっていないのに反映させるというのは良くない。
独立行政法人では、特殊な事例を除いて、反映のさせ方は非常にマイルドな、被評価者からクレームがつかない程度のものになっている。
大学では、体制が整っていないので、実施は無理であろう。