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資料1−2

評価システムの改革における課題等に関する意見

評価システム

評価システムを考える際の基本的なスタンスとして、形式にとらわれない生きた評価システムを如何に構築していくか。
研究課題は、基礎研究と応用研究といった枠組みの他に、プロジェクト研究と個人研究、予算規模の大きな研究と少ない研究、専門分野の研究と分野間を跨る研究など、目的や手段に応じて様々な区分が存在する。評価の仕方は、これらの課題に合わせて可能な限り適切な項目を設定して行えるような、柔軟かつ多様なシステムが必要である。

評価水準の向上

評価の国際水準への向上について、単純に海外から招聘すれば済むというものではなく、また世界的なベンチマークを直接に適用することが我が国にふさわしいのか。
国際水準を意識した評価は当然必要であり、国際的なベンチマークを念頭に評価すべき。国際的な評価が必要な課題については、当然海外の研究者を入れる。
しかし、かなり個別のテーマあるいは海外と競争になるような内容については、評価者に海外の者を入れるのはどうか。
また、招聘旅費の負担、日程調整など、評価を準備する側にとっては負担が増える。研究を最前線で行っている若手を評価者に入れるのはどうか。
アイディアをとった、とられたことのないように注意する必要がある。むしろ、シニアな研究者で幅広い知見の人材を評価者として確保していくべき。

評価方法の周知

評価の具体的な方法を提示して、それが研究者にとって納得がいくものであるということを確認しながら進めるのが適切である。
研究者が最初に課題を提案する段階で、評価の方法について良く理解して納得していることが必要である。

評価人材の養成

評価のプロフェッショナルの積極的な養成が必要である。評価の重要性を強調すれるほど、評価者への負担と責任は、量、質共に大きくなる。評価者として適任な、世界の第一線で活躍している先端の研究者にとっては、片手間でできるものではなくなり、かえって本業の研究への妨げになるだろう。
よって、専門分野ごとや研究マネッジメントなどの各分野における評価のプロフェッショナルを積極的に養成、確保し、個人にかかる負担を分散させるしくみを構築していく必要がある。

評価者

評価を受ける側の研究者が、評価者に対する信頼感を持てるようにすることが、肝要である。評価者は難しい仕事を引き受けるわけですから、論点3にあるような工夫を凝らすことに意味がある。
「文部科学省内部部局等は、大学等、研究開発法人等の研究開発機関に対して、所属の研究者が国の実施する研究開発の評価に評価者として参加していることについて、機関評価の観点に加えることを考慮する。」
中間評価者あるいは事後評価者には必ず複数名の採択時の審査委員を含めるべき。
その時代、情勢(国際)、政治的な判断で採択された課題もあり、採択後、評価時点の価値判断で評価されると不公平な場合がある。
なれあいにならないように、外部専門家の参加は必要である。

プログラムオフィサー等について

国全体のPDPO制度の現状の把握、分析、改善点の検討が必要である。
(視点)
  • PDPOの権限と責任の明確化。
  • PDPOが、担当するファンディング制度のミッションについて、理解が不足。
  • 持続的、安定的、発展的にプログラム・マネジメントを行うために、PDPOの制度、人事(キャリアパスを含めて)の改革の必要。
研究を総括する者(conductor)は、公明正大で、当該分野およびその周辺分野での実績により高い信頼と尊敬を得られる人が望ましい。
研究全体の社会的使命達成に責任を持つのはconductorであるので、予算執行、サブチームの評価と指導、サブチームリーダーの考課、に権限を持つべきであると考えられる。
プログラムディレクターの任期を現行の2年以下などと限らないで、評価をまとめる専門家が継続的に評価に携われるような体制が必要である。
その役割にある者は、どのようにプロジェクトが発展してきたかということを、歴史として押さえることが可能である。
現行ではプログラムディレクターや担当官がころころ変わり、新しく就任した者は、その度に最初からミッションステートメントなどを読んで、(流れがわからないままに)評価資料の作成のための資料提出を研究者に依頼する。
全員がずっと同じ状態で組織が硬直するのはよくない一方で、全体の流れをきちっと押さえ、評価にインテグリティーを持たせる体制を構築していくことが評価システム改善では重要である。

評価方法(評価基準)

  1. 「自由発想に基づく基礎研究」と「応用を目指す基礎研究」とは、評価の方法が異なるはずであり、科学技術基本計画レベルで、評価基準の内容まで明記する必要があるのではないか。現行の基本計画で理念は記述されているが実行されていないのではないか。
    (視点)
    • 「自由発想」:多様性、網羅性、科学のフロンティアの拡大、知的価値、ピアレビュー。
    • 「応用指向」:選択と集中、社会的経済的価値、専門性プラスアカウンタビリティー(投資に対する成果、効果の評価)。
    • 重点4分野の重視が、あらゆる研究活動の評価に浸透しているのは、研究の効率性、効果性に悪影響を与えていないか(これは、以下の項目にも通じる課題)。
  2. 課題対応型、イノベーション指向研究開発の評価の視点の明確化が必要ではないか。人材育成のプロジェクトでも同様。
    (視点)
    • 科学と技術、工学の分離。
    • 科学者を作るのか、技術者を作るのか。明確に区別して制度の設計、運用を行う必要。
  3. 学際・分野融合を指向する研究・開発の評価基準の明確化が必要ではないか。
    (視点)
    • ピアレビューだけでは困難。
    • 今のままでは、リスクが高すぎて若い優秀な研究者の参入が困難。こうした領域への挑戦を動機づける評価基準の設定。
  4. 研究活動を支える組織、次世代を育成する組織の重要性を評価の視点として強調してはどうか。
    (視点)
    • 第3期基本計画の重点事項の一つは、「モノから人へ、機関における個人の重視」。これは、革新的な方針であったが、結果として、“個人を支える機関”の役割が軽視され、バランスを欠く影響を起こしていないか。研究や評価の管理運営事務まで、個々の研究者に過重な負担をかける結果を招いていないか。
    • 個人の重視が、現世代の研究者個人の重視になって、次世代の若者の教育・育成への配慮を失わせていないか。
    • 学際・分野融合やイノベーションは、個人だけでできるものではない。組織とその相互連携、それらをつなぐ人の役割が重要ではないか。
    • わが国では、国の基準、方針が、そのまま現場を拘束しがちで、柔軟性、スピードに欠け、研究の効率、効果を落としている面がある。国と研究実施者の間にあって、機関、組織が、個々の目的や特性に応じて、評価の視点や基準を明確化することを検討してはどうか。
評価基準として出口を示すことは重要だが、産業への貢献を過度に意識することは避けるべき。また、真に産業へ貢献するか否かは、産業側の価値判断・戦略に依存する。
採択時の審査、中間・事後評価に際し、企業関係者が少ないとの印象がある。さらに、名簿上は企業関係者になっていても、実は官学から異動して企業経験が少ない者の発言が重要視されることは避けるべき。
目標は数よりも質を重視すべき。数値目標も必要だが、数を目指す研究は結果として質、特に基礎研究の信憑性が乏しく、企業から見ると官学主導で実施するに値しないとの印象がある。

評価方法(評価の観点)

納税者への返礼の程度を、納税者の視点で評価することはできないか。主婦や子供による評価もアウトリーチ活動の成果と併せて重要である。
  •  納税者への返礼は、社会的、経済的、文化的価値のどれでも良い。
    • 社会的価値:国際社会の尊敬と信頼、低消費日本文化の継承と発展など。
    • 経済的価値:日本の生存に有効な発明、発見など。
    • 文化的価値:真理の発見、納税者に与える感動、希望、喜び、安心など。

研究者等の業績評価

「インセンティブとなるよう評価結果を個人の処遇や研究費の配分等に反映させる」とあるが、現在の評価の方法は、課題の評価には十分だが、研究者の処遇に反映するような評価を行うためには、不十分である。
作業部会の委員は、当該分野については高い見識を持っているが、作業部会の開催回数やヒアリングの時間の長さからみて、十分な評価を行う体制になっていない。

その他

既に国際的にもスタンダードになったような妥当な評価の方向性は、かなり明確になって来たのではないか。それを踏まえたうえで、足りない部分はどこで、どのような改良を加えればよいのか、またさらに日本特有の評価方針として必要なことは何か等の議論を行うべき。
研究者に過大な負担を与えないためには、予算を決定する時にプロジェクトマネジメントサポート機能等の費用をある一定の割合で盛り込むことを必須とするべき。
研究者は、割り振られた予算をすべて研究対象に使用しようとする傾向が高いため、評価の段階になって自らが報告書の大部分を書くことにより負担が増えているケースがある。
米国などの研究機関では、プロジェクトマネジメント費用として予め計上されていると聞いている。
研究終了後へのケアとサポートの適正化が必要である。競争的資金の支給は必ず期限があるが、一般にほとんどの研究は、公共事業と違って、その期限が終わったからといって終了するものではない。
資金供給の効果を十分に生かすためには、研究終了後のケアの重要性をシステムとしてもっと考えていく必要がある。