防災分野の研究開発に関する委員会(第57回) 議事録

1.日時

平成22年5月31日(月曜日) 13時30分~16時30分

2.場所

文部科学省 3F 2特別会議室

3.議題

  1. 地震防災研究を踏まえた退避行動等に関する作業部会からの報告
  2. 防災分野の研究開発における重点事項について
  3. その他

4.出席者

委員

濱田主査、天野委員、荒卷委員、今井委員、上田委員、岡田委員、碓井委員、折坂委員、国崎委員、武井委員、田中委員、福和委員、松澤委員、村田委員

文部科学省

森本審議官、鈴木地震・防災研究課長、南山防災科学技術推進室長 他

5.議事録

 【南山防災科学技術推進室長】 

それでは、定刻になりましたので、第57回になります防災分野の研究開発に関する委員会を開催させていただきたいと思いまます。

本日は、委員21名中、現在12名ご出席ということで、定足に達してございますのでご案内いたします。

最初に委員の異動につきましてご案内差し上げたいと思います。今回、兵庫県企画県民部の防災企画局の村田昌彦防災計画室長におかれましては、前任の木村前局長にかわりましてご就任いただいております。村田委員につきましては、5月25日付で当審議会の専門委員に任命されてございます。それでは、村田委員から一言ごあいさつをお願いいたしたいと思います。

【村田委員】 

ただいまご紹介いただきました兵庫県の防災計画室長、村田でございます。前任の木村局長の後任という形で本日から参加させていただきます。もともと土木の技術吏員でございまして、震災の後、土木のインフラ復興を3年間させていただきました。その後、国際防災等の仕事を約10年間務めまして、去年の4月から防災計画室長をしております。今後ともどうぞよろしくお願いいたします

【南山防災科学技術推進室長】 

ありがとうございました。

よろしければ、続きましてお手元の資料の確認をさせていただきたいと思います。

〈 配布資料確認 〉

 それでは、以降の議事進行を濱田先生にお願いいたします。

【濱田主査】 

それでは、以下の議事の進行をさせていただきます。委員の先生方、ご多用のところこの委員会にご出席いただきまして、ありがとうございます。本日の議題は2つございます。1番目は地震防災研究を踏まえた退避行動等に関する作業部会からの報告です。2番目は前回の委員会から引き続きですが、防災分野の研究開発における重点事項についてであります。

最初の議題に入ります。5月25日に行われました地震防災研究を踏まえた退避行動等に関する作業部会、第7回でありますが、ここにおきまして作業部会報告書(案)及びその概要案の内容について最終的な確認を行っていただきましたが、本日はこの内容につきまして作業部会の主査でいらっしゃいます田中委員より報告書の説明をしていただきたいと思います。それでは、よろしくお願いします。

【田中委員】 

主査を務めさせていただきました東京大学、田中でございます。お手元のほうに2種類資料か配られていると思いますけれども、私たちの作業部会として、地震災害が起きました後に何をすべきかというのはいろいろと議論がなされているところでございます。皆様ご案内のとおりに地震の心得10カ条をはじめ、さまざまな推奨行動が出されておりますし、また、推奨行動というのは実際に身を守るための標語であると同時に、一種、防災教育のツールのようなところもございます。これに対しまして釧路沖だったでしょうか、火災の火の始末についても見直しがなされましたし、阪神以降いろいろな知見も積み重なってまいりました。そのような知恵をもとに今まで言われてきた推奨行動を文部科学省らしく、ファクトに基づいてできるだけ議論をさせていただいたところでございます。

大きくは、その推奨行動で言われてきた行動に対してなぜそれが必要なのかという一種の危険要因、これも建物の構造もございますし、室内空間というのでしょうか、それがどう変容するのかということ、その中で人間がどんな行動をとり得るのかという観点で整理をさせていただきました。詳しくはせっかく資料をつくっていただきましたので、事務局のほうにご説明を、お詳しい話はさせていただこうと思いますけれども、その委員会の中で出てきた大きな意識と申しますか、問題意識だけ2つご紹介をさせていただければと思っております。1番大きいのは、とにかくありとあらゆる状況が想定されて、その状況に応じてよい行動というのは変わってしまうということ。しょせん確率でしか表現できないということでございます。

その中で1番目は状況自体を改善していかないと命を守ることは難しい。退避行動だけで命を守れるという方向は、あるいはそういう印象はやはりはっきりと否定するというか、その前提は明示しておく必要があるだろうということで、建物、あるいはその室内環境も含めて対策トータルの中でどういうふうな行動をとるべきなのかということを考えさせていただいたということでございます。少なくとも阪神・淡路大震災の教えというのが、もう動くこと自体ができないという状態の中での命を守るという行動、ああいう行動であったり、防護行動であったりということが大前提になると思っております。

それから、2番目についても先ほど申しましたように多様な状況によって行動が変わるわけでございますけれども、ただこうしなさいというよりは、先ほど言いました一種の防災教育的な側面もございますので、少しでもベターな行動をとっていただくために、こういうことを考えたらいかがですかという、その幾つかのオプションをできるだけ出していって、その中で状況を判断する材料を示していくことが大事だということが委員会の中での各委員の大体の総意ではなかったかと思っております。その中で検討してまいりましたけれども、実は意外にわかっていないこともたくさんあったり、やはり今まで言われてきたことがあいまいだったなということもございました。

例えば丈夫な家具って、丈夫ってどういうことなのかというと、単純に言えば底面積よりも高さが低くて転倒しにくいということなのだろうけれども、どうやって判断するのだということは実はわからないとか、そういった第4期の課題にも結びつくようなことも幾つか触れさせていただきましたので、それも含めてご議論いただければと思っております。それでは事務局のほうに説明をしていただいて、この中にも出席いただいた委員がいらっしゃいますので、補足があればしていただければと思っております。

以上です。

【濱田主査】 

それでは、事務局からご説明ください。

【事務局(富田)】 

それでは、作業部会の報告書につきまして簡単にご説明させていただきます。

〈 資料57-2-1、57-2-2について説明 〉

【濱田主査】 

どうもありがとうございました。まず、主査でいらっしゃいました田中先生から何か補足することがございましたらお願いしたいと思います。

【田中委員】 

とりあえず先ほどので、まずはご批判を伺ったほうがいいかなと思います。

【濱田主査】 

それでは、最後のページに委員の方のお名前が書いてございますが、委員の方からただいまの事務局の説明について補足することがございましたら、ご発言いただきたいと思いますが、いかがでしょう。よろしいですか。

それでは、この作業部会の報告につきましてご質問、ご意見を委員の方々よりいただきたいと思います。どうぞ。

【松澤委員】 

E-ディフェンスがどこに役立てられたか少しよくわからなかったのですけれども、E-ディフェンスの研究が今回のご報告の中に、どこに位置づけられているのか、どこに役立ったのかということについてご説明いただければと思うのですが。

【事務局(富田)】 

こちらの作業部会を設置するに当たって、E-ディフェンスでの研究の映像は、まず現在の退避行動、机の下に潜れというふうに学校では言われているのですが、震度7とかで揺らすと学校の机が吹っ飛んでしまって実際潜れないのではないかというのをまず問題意識として出たのと、この中での4章での現在の研究成果の中には、E-ディフェンスの成果はまだ公式には。

【濱田主査】 

どうぞ。

【田中委員】 

今、富田さんがおっしゃったところもあるのですけれども、大きくは、長周期の問題が1つ大きかったということと、あとやはり我々委員会の中での議論では、室内環境の変容というのが実はかなり具体的に見えるようになってきている。そういう面での室内関係、今までどちらかというと建物が強かったのですけれども、やはり室内環境の変化が私たちに与える影響というものの面が見えてきたと。

今、富田さんがおっしゃりかけましたけれども、ただ、残念ながら極めて特定の条件下のみで行われた実験ですので、最終的なパーセントオーダーのベターさに役に立てるには、もう少しこれからも研究開発が要るだろうと。もう一つは、ここでもいろいろな文献を用意してきたわけですけれども、1%の被害率が変わるということは、例えば首都直下で林先生の算定だと500万人が震度6以上の揺れをうける。1%違うということは5万の命を左右してしまうという、そのオーダーの厳しさというのですか、それをやはり私たちとても強く感じざるを得なかったということは背景にあると思います。

【濱田主査】 

ほかにいかがでしょう。では、今後のことについて、最後のページ、研究成果の社会普及促進のための研究ですが、危険度を容易に把握できるツール、これは要するに安全空間の判断基準みたいなものになるのでしょうかね。そのツールというのは、これからつくるのだから研究するということなのでしょうけれども、具体的にはどういうイメージになりますか。

【事務局(富田)】 

具体的には部屋の中の家具等、実際どういった家具を置いているか入力したり、あるいはどういったところにどういうものが、調度品を置いているかとか、そういったものから安全空間を自動的に、現在、どういうふうな揺れでどう倒れるかというのもだんだん基礎的な部分で蓄積されてきていますので、そういったものを踏まえて、安全空間とか危険空間が揺れによってどういうふうになるのかというのを把握できて、将来的にはそれを時間的に追えるように、この危険空間がこういうふうに変わっていくみたいな、そういうものができれば安全空間への自動的な誘導が可能になるのではないかということを考えております。

【濱田主査】 

要するに一般の方が判断しなくてはいけないことになりますね。そのときにやはりその例示、例えば構造体であればこうであって、家具はこういうふうにとまっているとか、家具の形はこうだとか、それは家具がないほうがいいのでしょうけれども、そういう何か例示みたいなものを出していくというのは重要なのではないかと思いますけれども、どうでしょうか。

【田中委員】 

少し補足させていただきますが、今、富田さんがご紹介いただいたように、私たちのイメージは福和先生なども随分話されていますけれども、そういう各家の世帯の方々がそれぞれの自分の空間をパソコン上指定すると、一定の家の中でどうなのか、あるいはどれぐらいの時間的余裕でこんなことになってしまうということが簡易にわかるということをできるようなこと、それも非常に簡単にできるようなシステム開発というのはとても大事なのではないかと思っているということであります。特にこれ、家は家でいいのですけれども、例えばこういうところに来ると大丈夫かなと思う。例えばそういうときにどう反応するのかというのもまた少し別の話になるかもしれませんけれども、そういうのは簡単にできることはとても大事なことだと思っております。

【濱田主査】 

いかがでしょうか。どうぞ。

【村田委員】 

兵庫県のE-ディフェンス、長周期の実験をさせていただきまして、今、先生がご指摘されました18ページの一番下の部分ですけれども、例えば高層マンションの隣の部屋とのコンクリート壁などの場合は共用空間ということもあって簡単に穴などを開けることができない。そういう中でいかに家具を簡単に固定できるか。構造体についての検討というのも今後必要になってくるのかなと我々も問題意識を持っておりますので、そのあたりについてもまた研究の対象としていただけたらと思います。

【濱田主査】 

いかがでしょうか。

【事務局(富田)】 

先ほど兵庫県の村田委員がおっしゃられたように、最後に実は家具の固定等が容易に行われる制度の研究ということで、いろいろマンションとか、賃貸契約の上でなかなかあけられない、釘を打てないとか、そういった問題等、多々ございますので、そういった制度的な研究も含めまして、一応、こちらでは挙げさせていただいておりますので、関係機関とも調整の上、進めていくということを考えてきております。

【濱田主査】 

これは作業部会として現時点で社会に何か発信をしてということはないのですか。例えば先ほど学校とか職場とかいろいろ出てきましたけれども、まだそういう段階には立ち至っていないということでいいのでしょうか。

【事務局(富田)】 

一応、文部科学省ということですので、学校機関、教育委員会等を通じて一応この報告書は周知させていただく予定でございます。あと、中央防災会議とか、消防庁さん等も調整させていただきまして、その自治体の防災関係部局にも普及していくかと思っておりますし、ホームページでもダウンロードできるようにしようと思っております。

【濱田主査】 

ほかにご意見はいかがでしょうか。よろしいですか。どうぞ。

【天野委員】 

今ご説明いただいたのは、多分、こういう標語や何かをポスターなどにして学校に張ったりするイメージだと思うのですが、報告書の中で折角こういう課題を出されたのですから、この課題を文科省さんのこちらの委員会の研究テーマに結びつけるとか、何かそういうことは考えられるでしょうか。これだけ具体的になると結構、次の段階に進むのも楽なのではないかと思ったりするのですけれども、いかがでしょうか。

【事務局(富田)】 

各要素、要素につきましては、各大学の先生が中心になってやっておられる例もございますので、そういった先生方に期待していくと共に、防災科研も関係しておりますので、そういったところの研究資源としていき、E-ディフェンスとか、あるいはそういう社会学的な研究も防災科研のプラットフォーム等のところでやっておりますので、そういったところを活用して、今後、こういった課題を解決するような研究を進めていくということは考えてございます。

【濱田主査】 

この次の議題になりますけれども、平成23年度からの防災分野の研究の重点事項ということをこの委員会として議論をしているわけで、当然、その中には、きょうこの作業部会の成果、そういうものが反映されてくると理解していますが、よろしいでしょうか。

それでは、1番目の議題を終了させていただきまして2番目の議題に移りたいと思います。防災分野の研究開発における重点事項についてでございます。この問題につきましては前々回の委員会で3つの研究機関から防災分野の国際活動の現状、課題等についてご報告をいただいた。それから、各学協会から提出していただいた国際協力事業につきまして事務局から紹介をしていただいております。前回の委員会ですが、10名の先生方から2つの課題についてお話を伺ってまいりました。1つは防災分野の研究開発における国際協力を推進・加速するための議論すべき論点、方向性というものであります。

2番目の課題は、平成23年度概算要求における防災分野の重点事項ということであります。今回も引き続き委員の方々よりご意見をいただきたいと思いますが、この中には、長期的な視点で取り組むべき次第と短期的に解決すべき課題がありますけれども、長期的課題については当委員会で本年度内に意見を取りまとめたいと思っております。短期的に解決すべき課題につきましては、7月に委員会の開催が予定されておりますが、そこで整理をしていただきまして委員会としての方向性を出したいと思います。前回、10名の方からご説明をいただきましたけれども、今回は8名の先生方にご説明をお願いしております。この議題の2の進め方につきまして、事務局からご説明をお願いしたいと思います。

【南山防災科学技術推進室長】 

それでは、今回、2回目ということですが、ご説明させていただきます。

〈 議題2の進め方について説明 〉

以上でございます。よろしくお願いいたします。

【濱田主査】 

はい。それでは、早速、委員の方々からご説明をいただきたいと思います。まず、田中先生からお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【田中委員】 

最初のページに載せさせていただいております。

〈 資料57-3 田中委員資料について説明 〉

【濱田主査】  どうもありがとうございました。

今の田中先生のご説明に関しまして、ご質問、ご意見ございましたら、お願いしたいと思います。いかがでしょうか。

では、私から。2.1の3行目に社会的要請と書かれていますが、社会的要請が一体どこにあるか、要するに我々は何をしなくてはいけないかという問題なのですが、そのためには例えば大都市圏が災害を受けたときに一体どういうことになるのだというようなものがはっきりしてこないと、何が足りない、何が足りている、そういうことが必要なのではないかと思うのです。いかがでしょうか。

【田中委員】 

いつも思うのですけれども、被害想定も建物の倒壊で終わってしまうのですね。そこから先は暗黒大陸になっています。その次に私たちがよくやっているのは、ほんとうの被災者の意識調査まで飛んでしまうのです。そこをどうつないでいくのかということはとても大事なのだけれども、とても難しい。そこに少しでも、一歩でも近づいていかないと恐らく予算効果という面でなかなか見にくくて、その結果として防災投資というのがやはり縮減していく大きな原因になっていくのではないかと思っています。

【濱田主査】 

どうぞ。

【天野委員】 

地震ではないのですが、現実に既に起こった災害として日本坂トンネルの火災事故があります。あの場合には日本の物流のかなりのところがとまってしまい、復旧するまでかなり長い時間がかかったはずです。あのときの社会的・経済的な損失は非常に大きなものでした。この日本坂トンネルの事例のように災害で経済的に大きな損失を伴う波及効果が生じるのは地震だけではないと思います。もし、現時点で大地震が発生した場合には、日本坂トンネルの場合より影響度は大きいと思います。過去に起こった災害時に、交通網の欠落による経済活動への影響などを参考にして現時点で発災した場合にどういう効果が考えられるのかというような、少し視点を変えた研究なども必要だと思います。

【濱田主査】 

ほかにいかがでしょう。よろしいでしょうか。国際協力のためのプラットフォームが必要というご指摘がありました。分野横断の取り組みに関してもやはり共通のプラットフォームみたいなものが必要なのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

【田中委員】 

ぜひそういう方向で進めていただけると、特に私たちは大体1コマ持つというパターンが多いので、それはそれでいいのではないか。ゼロよりはありがたいなと理解しております。

【濱田主査】 

はい。それでは、次に移りたいと思います。次は上田委員からご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

【上田委員】 

〈 資料57-3 上田委員資料について説明 〉

【濱田主査】 

どうもありがとうございました。それでは、ただいまのご説明につきましてご質問、ご意見等お願いしたいと思います。どうぞ。

【田中委員】 

感想をよろしいですか。

【濱田主査】 

どうぞ。

【田中委員】 

2つほど感想です。今ご指摘のとおり、あちこちで河川そのものは国によってかなり違うのだけれども、都市域で似たような災害が発生しているというところでの協力がとても大事だということは私も日ごろ思っていました。その中で特に発展途上国で大変だな、ご苦労だなと思うのは、降雨の状況というのは、ある程度センサーをつけたり、ドップラーをつけてから、ある程度地籍はすぐできるのですが、それがどういう降雨パターンが河川のどういう水位の上昇に結びついて、それが堤防や堰といったものに対してどんな挙動に影響を与えるのか。その結果として市民社会にどんな影響を与えるのかというデータを蓄積していくというのは結構時間がかかる。それをトータルに見なければいけないところに多分相当ご苦労があるのではないかということで、そのある1つの研究領域から実際の防災となると、被害が出るところまでの一連の作業をどう結びつけていくのか。というのは、多分、いろいろな研究者の方々が迷っていらっしゃるのではないかという気が1ついたしました。

あともう一つは、集中豪雨で、私自身も幾つかお話を伺ったりさせていただいているのですが、実際にこれがどの程度防災の役に立つか。人の命ということになると、それは幾らでも直せるのですが、幾つかの調査によると避難を考えて行動をとるまでに2時間かかっているというデータが出てきてしまうのですね。でも、これで2時間前に予測するというのは極めて難しいので、その両方の時間差をどう縮めていくのかというようなこと。逆に言うと、どういう情報だったらこれぐらい早く出せるけれども、かなりアバウト過ぎるとか、その辺も議論させていただけるとおもしろいなという印象を持ちました。

【濱田主査】 

どうもありがとうございました。上田先生、何かコメントがありましたらお願いします。

【上田委員】 

まさにそういうところが大事で、私の話の中でも申し上げましたように、雨量計もなかったようなところに急にレーダーが入ってきて担当者が見ているわけなのですけれども、自分たちのところがどういう雨の降り方をしたらどういう災害になるかというその蓄積がないのです。それを留学生の人たちに、そういう現象と災害との結びつきというのを教育する。それで苦労しているというのがあって、留学生の人が帰って防災担当者にまた教育していくというのに相当時間がかかるというのがほんとうに苦労しているところです。

1つ大事なのは、今、予測ができるとどれだけ防災に役立つかという話なのですけれども、確かに雨の降り方、広い範囲に降って、ある程度時間をかけて洪水になるようなときは、2時間先とか、あるいは3時間先から予測が必要なのですけれども、今問題になっているような都市型というのは、雨が降る時間が30分とか1時間以内でも非常に大きな災害になる。局所的ですけど。例えばマンホールの工事をやっているときに上流側で降って、それがドッと出てきて死亡するというようなことがあります。

それから、駐車場にいる人たちというのは、浸水すればそこで出口がなくなって亡くなるということが起きますので、そういうふうに10分後にどうなるという、ほとんど現況監視でも死者を防ぐことができるという問題と、それから、大きな流域で数時間先から予測していないと避難できないという問題と切り分けて考えなければいけない。ということは現象をよく知るということなのです。特に日本でもそういう現象のことをまだよくわかっていないところがあるので知らなければいけないですけれども、特にこれまでにそういうデータがあまりなかったところは、どういう現象があり得るかという理解することも非常に大事だと思います。

【濱田主査】 

どうもありがとうございます。これは昨年度の雲レーダーとか、マルチパラメーターレーダーを課題として取り上げたのですね。これは研究として今まさに進行中ですね。どうでしたか。

【事務局(富田)】 

雲レーダーにつきましては採用されませんでした。

【濱田主査】 

そうでしたか。

【事務局(富田)】 

MPレーダーにつきましては国交省のほうと連携しつつ。

【濱田主査】 

はい。田中先生のご指摘、私も同感だと思うのですが、外的負荷条件の予測、こういうものは非常に重要だと思いますが、それが社会に与える影響、いわゆる災害にどう結びつくのかというようなことも含めてやはり研究テーマとして提案できればと思います。私の分野の話で申しわけありませんが、ダムは要らないということになっているのですが、将来的に降雨がどうなるかという科学的な根拠を持ってそういうことを議論していかなくてはいけないと思います。

ほかにご意見がなければ次に移りたいと思いますが、よろしいでしょうか。それでは、次は碓井委員からご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

【碓井委員】 

それでは、スライドを見ながら説明させていただきます。

〈 資料57-3 碓井委員資料について説明 〉

【濱田主査】 

どうもありがとうございました。それでは、ご質問、ご意見をお願いしたいと思います。碓井先生から防災研究の研究成果を社会に還元するため、学校教育での活用というお話があったのですが、この点に関して何か文科省のほうからコメントございますか。

【南山防災科学技術推進室長】 

新学習指導要領につきましても、私ども行っております防災教育支援事業の中でも勉強させていただいて、こういったことが盛り込まれていくような形で、推進のほうに役立てるような形で何ができるか研究していきたいと思っております。

【濱田主査】 

いかがでしょう。

【碓井委員】 

文部科学省として省内の連携・交流をとりながら、防災教育をはじめ大学、研究機関等より出てくる研究成果、新しいものをどんどん教育現場に取り入れていき人材を育てることが重要であると考えます。

【濱田主査】 

ほかにいかがでしょう。どうぞ。

【上田委員】 

後半のほうの話でチップ、基準点ですね。それというのは個々の人たちの防災に役立つのですか。それとも研究者がそういうデータを集めて過去の既往災害だとか、それから、地震にかかわるような地殻変動とかを調べられるという意味で役に立つものですか。

【碓井委員】 

研究者が役立つと思います。公開されていますので、今後、かなり密にいろいろされてくるので、研究として非常に役に立ちます。

基準点としての位置情報、X、Y、Zとか、そういう情報は持っているわけですけれども、そういう基準点もありますし、それからここは以前に液状化が起こったところだとか、そういうところへ埋めていくということです。

Uコードが基準点に埋め込まれましたということをまずご紹介したかったことが1つと、それから、そのUコードを上手に使ってユビキタス防災情報がいつでもどこでも取れるような、そういう仕組みづくりをする。つまり、基準点を埋め込もうということではなくて、必要なところに小型コンピュータを埋め込んでくださいということです。

【濱田主査】 

ユビキタス技術が発達してきたということはよく理解できるのですが、例えば災害前にどう具体的に役に立つのだとか、それから、災害が起こった直後にこれをどう使うのだというようなことを少しきちっと詰めていかれるといいのではないかと思います。

【碓井委員】 

そうですね。

【濱田主査】 

それでは、次に移りたいと思いますが、次は国崎委員からお願いしたいと思います。

【国崎委員】 

パワーポイントを使用して説明させていただきます。

〈 資料57-3 国崎委員資料について説明 〉

【濱田主査】 

どうもありがとうございました。それでは、今のご説明に関しましてご質問、ご意見がございましたらお願いしたいと思います。いかがでしょう。

最初に防災教育の問題が出てきたのですが、前から私も申し上げていますけれども、文科省で防災教育をやっていますね。補助金を出していろいろ防災教材とか、いろいろなものをつくってきた。その中には海外展開ができるようなものも、もちろん先ほどご指摘のように、その国とか地域の事情に合わせたようなものにしていくということは必要ですが、どうでしょう。あの防災教育支援事業でいろいろなアイディアが出てきましたよね。いかがですかね。

【南山防災科学技術推進室長】 

文科省ではこれまで防災教育支援事業を行ってきましたが、いろいろな各実施団体の知見というか、成果もあがってきております。例えばその成果をこの国際の分野にも一度まとめた形で、ホームページ等でご紹介するなど、徐々に始めようとしているところでございます。

【濱田主査】 

もう一つ防災教育で私が感じているのは、いろいろなところがいろいろなものをつくって、極めて単発的に現地で行っているということで情報の共有化がなされていないということです。私も防災教育をスマトラなどで行っていますが、大体長続きしない。やはりこういうのは共通のプラットフォームのようなものをつくるべきではないか。それを文科省がやはり担うべきではないかと思いますけれども、どうでしょうか。

おそらく文科省が行った防災教育のための教材も含めて各機関による教材は有効に使われていないのではないかと考えています。土木学会もつくっているわけですが、全体の枠組みができていないから、それを使いこなして現地へ行って活用するということがなされない。ぜひ共通情報プラットフォームというか、そういうものをつくる方向で考えていただきたいと思います。

【南山防災科学技術推進室長】 

おっしゃることはよくわかります。この退避行動におきましても、いろいろな研究の成果を今回まとめさせていただきましたように、いろいろなところでそれぞれの先生方が長年かかってやってきている成果、それを今後どう生かしていくかということは大きな課題だと認識して、今後とも検討させていただきたいと思っております。

【濱田主査】 

ほかにいかがでしょうか。国崎委員のご説明に関しまして。どうぞ。

【上田委員】 

前半のほうでありましたが、心理面での支援を国際的にもやられるというのは非常に大事なことだと思います。後半のほうではE-ディフェンスを使った話になったのですけれども、E-ディフェンスを使って前半でおっしゃっていたような心理面での支援に役立つようなことは可能なのでしょうか。

【国崎委員】 

心のケアの部分と、それから、実際に揺れで人が受ける心理的な変容みたいなところの部分というのは、今回のこの発表では特に意識はしていなかったのですが、ただ、心のケアで1つ言えるのは、ある程度心構えができていれば、受ける印象というか、インパクトって軽減されると言われています。あらかじめ何が起きるのかというところを知っていれば、その分、心も、それから、物の備えにもつながるということがありますので、そういう意味ではE-ディフェンスを使いまして、そういった室内の変容であったり、挙動の部分をしっかりと認識する。プラス地盤情報もあわせて、自分の住んでいる地域がどのように揺れるのかといったところがはっきりと情報として出てくれば、まさかこういうことが起きると思わなかったというような心の傷を深くするようなことも少し軽減できるのではないかと思います。

【濱田主査】 

よろしいですか。続きまして、武井委員からご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

【武井委員】 

〈 資料57-3 武井委員資料について説明 〉

【濱田主査】 

どうもありがとうございました。ただいまのご説明につきまして、何かご質問、コメント等がございましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

1.3の3ですか、これは非常に重要なことが書かれていると思いますが、その地域の行政との連携。 それから、行政だけではなくて、その地域の住民との連携、こういうのも非常に重要なポイントだと思いますね。

【武井委員】 

はい。これはインドネシアでまさにこういうすごくいろいろな分野をつないでやっている人からの意見です。

【濱田主査】 

はい。何かご質問がございましたら。よろしいですか。どうぞ。

【国崎委員】 

航空機の安全航行のところで、今まで火山が航空機に影響を与えるということはあまり意識されていなかった。私自身はあまり意識していなかったのですが、今回のヨーロッパの影響であったり、それから、昨今またニュースで見たときに、ロシアでの火山の研究が予算の関係で打ち切られる可能性がある。そうするとモスクワ経由の航路に非常に影響、支障が出るというようなことも報道されておりましたけれども、そういう意味でもやはり国際線の飛行機の運航にやはりこういった災害の影響というのは非常にかかわってくるというのがわかりました。

その意味で、例えば1つ調査研究の中で求められているのが、ヨーロッパの問題の中でどの段階で飛行機を飛ばしていいのかどうかというところがすごく議論になっていて、要は経済的に恐らく優先したところもあったと思うのですが、そういったどの時点で安全と見極めるかみたいなところというのは、日本ではそういったシステムができているのかどうかというのもありますし、すごく気になるところでした。少し感想みたいになりましたが、以上です。

【濱田主査】 

何かコメントございますか。

【武井委員】 

確かに最近、今回のヨーロッパの話で問題意識が高まって、こういったことを国際的にやりましょうという組織はもうでき始めているらしいです。その中で日本がまだそんなに発言権がないそうなので、日本もちゃんとそういうことをしっかりやらないと、日本の飛行機の航行が外国から飛ばないように言われたりすると大変なので、急いで日本もきちんと技術力を強めていかないといけないということを聞きました。

【濱田主査】 

どうもありがとうございました。次に移りたいと思います。次は松澤委員からお願いしたいと思います。

【松澤委員】 

〈 資料57-3 松澤委員資料について説明 〉

【濱田主査】 

どうもありがとうございました。今のご説明につきまして、ご質問がございましたらお願いしたいと思います。これは平成23年度からの概算要求というのは既に今実施中といいますか、継続中の研究ですか。

【松澤委員】 

も含まれています。

【濱田主査】 

含まれていますね。いかがでしょうか。前年度の評価のときに私が申し上げたかもしれませんが、今の状況を見ますと、例えば東南海・南海等地震、南海トラフ沿いの地震、それから、東京湾北部の地震、いずれも発生確率が高くて、もう我々としてはすぐ対策をやっていかなくてはいけないという状況だと思うのです。ただ、ここに書かれたような研究というのは、長期的な研究だということで、発生が逼迫している地震に対してどのように活用されるのかということを何かあわせて説明をしていただくと説得性があるのではないかと思うのですが、その辺どうでしょうか。

【松澤委員】 

この辺がすごく難しいところなのですけれども、現在の研究というのはおっしゃるとおり、東南海・南海を重点的に行われています。それはそれで社会的な影響を考えると、いたし方ない面はあるのですけれども、東南海・南海というのは逆に活動度が非常に低いところでして、短期間でいろいろな情報を得ようと思うと、コストパフォーマンス的にはいささか難しいところがあります。我々としては東北、北海道のほうが、M7クラスの地震というものはかなりの頻度で発生しますので、そういったところでまず経験を積んで、その経験を東南海・南海に生かすのが多分、コストパフォーマンスという意味では一番いいだろうと考えて主張しているところです。

【濱田主査】 

どうもありがとうございます。どうでしょう。私から1つつけ加えますと、最初の自然災害で死なないためにと。壊れてもいいけれども、人が死なない。これは兵庫県南部地震の後の工学のほうの大前提でございまして、要するに構造物の完全崩壊を避ける。そのために各種の指針等を書きかえてまいりました。今でもこれが大前提だということです。

それでは、次に移りたいと思いますが、次は村田委員からご報告をいただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

【村田委員】 

兵庫県の防災計画室、村田でございます。私から国際防災に関するテーマからご報告いたします。

〈 資料57-3 村田委員資料について説明 〉

【濱田主査】 

どうもありがとうございました。それでは、ただいまのご説明につきましてご質問、ご意見がございましたら、お願いしたいと思います。

私から少しお聞きしたいと思うのですが、今ご説明のように兵庫県として防災のための国際協力というのを非常に精力的に展開されているというのはわかるのですが、我が国で言いますと、いろいろな機関でやっていますよね。そういう機関との連携、情報の共有、そういうものはどういう状況なのでしょうか。

【村田委員】 

日本だけではなくて海外、特に先進国を中心にいろいろな形で研究がされていまして、途上国といっても、その途上国の大学ではかなりハイレベルな研究がされている。しかしながら、それが自治体ですとか、末端の住民までは浸透せずにうまく活用されていない。そういうのが実態かと思います。そういうことで国連が中心になりまして、復興のための優良事例などをまとめたようなデータベースをつくろうとか、そういった取り組みがいろいろな形でされているのですけれども、なかなか関係する人たち、機関も多くて、一元的な理想的なプラットフォームにはなっていないというのが実情かなとも思っております。

【濱田主査】 

そういうプラットフォーム的なものは必要であろうとお考えですか。

【村田委員】 

はい。すでに、いろいろと存在してはおりますが。

【濱田主査】 

国際機関のプログラムでいろいろありますよね。例えばワールドバンクがやっているようなものもありますし、それから、WFEOですか、世界技術士連合かな、いろいろなプログラムが同時並行的に走っているのですが、それが集まってどうなっているかというのはよくわからないというところがあります。担当者はよくおわかりになっているのかもしれませんが、横の連携というか、情報の共有化、プラットフォーム、そういうものがぜひ必要なのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

【村田委員】 

おっしゃるとおりで、いわゆる2005年の国連防災世界会議もそういった関係機関の情報共有をするということで開かれて、やはりプラットフォームをつくろうというような提案がされて、それなりにある程度は進んでいるのかなと思いますけれども、それぞれの組織のリーダーシップを発揮する、ビジビリティーを上げるというような、そういったところがどうしてもありまして、なかなかうまく連携し切れていないということを実感しております。

【濱田主査】 

わかりました。はい。どうもありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

【松澤委員】 

1点だけよろしいですか。

【濱田主査】 

どうぞ。

【松澤委員】 

非常に短時間にまとめていただいて感銘したのですけれども、竹の家がありましたが、あれは肯定的な意味でとらえられたのか、否定的な意味で紹介されたのかちょっとよくわからなかったのですけれども。

【村田委員】 

ある意味、地域の文化ですとか、気候風土に非常に合ったような形で、夏は涼しく、特に冬は寒くないような地域で、災害で吹き飛んでもまたすぐに自分たちで復旧できる。非常にしなやかな復興ができるような、そういう家だというふうにも思います。しかし、それが西洋化されてブロック建てになったりして、逆にそれによって命を落としたり、そういうことも見られているところでもあります。

【濱田主査】 

どうでしょうか。福和先生のご意見を伺いたいと思うのですが。

【福和委員】 

これはもう大賛成です。

【濱田主査】 

ノンエンジニアド・ストラクチャーの問題、ところが、日本の研究者はあまりやりたがりませんよね。そこは非常に問題ですよね。

【福和委員】 

と思います。

【濱田主査】 

それだけで論文を書けないからと思っているのでしょうか。

【福和委員】 

ほんとうにやらなくてはいけないとは思うのですけれども、やっている人たちが評価されるシステムが、今、国内にはないというのが一番の問題で、就職先も含めて、そういう支援をして、世界で一番大事なのはこういうものを普及させることですから、そういう援助をぜひしていただけるといいかなと思います。

【濱田主査】 

よろしいでしょうか。どうぞ。

【天野委員】 

先ほど、兵庫県に非常にたくさんの拠点が集まっているというパワーポイントがあったのですが、これは、いろいろな拠点の会議に兵庫県の職員の方が常に参加されているのですか。

【村田委員】 

かなりの組織に兵庫県職員を出向させております。私もこのうちの4カ所に出向しておりまして、10年間ここで過ごしました。全部ではありませんけれども、事務職員、あるいは研究員という形で出向したり、このいわゆる集合の集積効果を高めるために国際防災・人道支援協議会という緩い連携体をつくりまして、何かイベントをやるときはすべての組織に声をかけるとか、連携しながら1つのイベントをやるとか、そういったこともやっております。

【天野委員】 

多分、村田委員がこの文部科学省の会議にいらっしゃるということがとても大切なのだろうと思います。今ちょうどこちらの委員会でも国際協力のことを始めようとしていますが、こういう神戸という非常に特徴的な地域で、しかも、最前線でやられている活動と、こちらの活動とが連携がとれるようなことはあるのでしょうか。これはどちらかというと、文部科学省の方にお聞きしたいのですけれども、どうなのでしょうか。非常に有益な立場の方が委員にいらっしゃるような気がするのですけれども、いかがなものなのでしょうか。

【濱田主査】 

今言われたようなことをこれから議論していこうということだと思います。課長、何かコメントがありましたらお願いします。

【鈴木地震・防災研究課長】 

研究分野における連携ということですが、実はこのスライドにあるEDMというのは、岡田理事長の防災科研の研究室で、兵庫県の人と防災未来センターの向かい側のビルに入っております。それからアジア防災センターですが、実は国際共同研究にもご参画をいただき、そういう点ではそれぞれの中での連携というのはあるのだと思うのですけれども、私どもとの連携については現段階であまりないという状態です。

【濱田主査】 

よろしいでしょうか。最後のご説明になりますが、福和委員にお願いしたいと思います。

【福和委員】 

〈 資料57-3 福和委員資料について説明 〉

【濱田主査】 

どうもありがとうございました。前に申し上げたかもしれませんが、この防災の研究というのはそれぞれの研究者が個々の分野に埋没しているのが現状かと思います。学際的とか、横断的とか言われますけれども、それが実際には具体化されていません。社会がどのくらいの抵抗力を持っているか、脆弱性がどこに潜んでいるかとか、そういう洗い出し、これも不十分だと思います。そういう状況を突破する、打破するための手だては何だとお考えですか。

【福和委員】 

それがあったら、もう既にできているのだと思うのですけれども、多分、我々自身の当事者意識だと思います。どこかで我々みんな当事者意識がなくて、危機感が多分、研究者側にもないし、それから、多分、中央省庁の側にも、この国全体に対する危機感がないので、どこかでボーッとしていると思うのです。 

我々自身が多分変わるという作業をしないと、なかなか今、言うは易し、行うは難しという状況かと思います。

【濱田主査】 

省庁の縦割りということを、我々はいつも言うのですが、我々研究者側もまさに縦割りで、それぞれの分野の中から出てこないというところがありますね。防災関連の学協会が幾つあるかというと、この前、神戸で会議をやったときに13集まったのですが、それぞれ細分化しているのです。横の連携がない。だから、省庁の悪口は決して我々は言えない立場だと思います。

【松澤委員】 

最後から3枚目のスライドの「減災対策の自助努力をしないことが恥ずかしいと思う社会を作る」、「当事者意識を形成する」、要するにこれはエコロジーの防災版ですよね。

【福和委員】 

そうです。はい。

【松澤委員】  

「エコ」という言葉が今だれでも口にするようになって、個人の問題としてとらえていると同じように、「防災」ってやはり少し重たいのです。それが何かもう少し軽い言葉があるときっと個人に浸透するのかと思って、これは非常に目からうろこでありがたかったです。どうもありがとうございました。

【濱田主査】 

よろしいでしょうか。以上でご出席の委員の方からはお話を伺いました。欠席の方、お二方おられまして、重川委員と中尾委員ですが、これは最後のほうにご提出いただいた資料がついております。時間の関係、これは後でお目通しいただきたいと思いますが、事務局から簡単にご紹介いただけますか。

【事務局(富田)】 

〈 資料57-3 重川委員資料について説明 〉

【濱田主査】 

引き続き中尾委員資料のご説明をお願いします。

【事務局(富田)】 

〈 資料57-3 中尾委員資料について説明 〉

 【濱田主査】 

どうもありがとうございました。以上で、全部で20名の委員の方からのご意見を伺ったことになります。冒頭申し上げましたように、短期的に解決すべき課題、これは平成23年度の概算要求を見越しての話になりますが、そういう問題とやや中長期的な課題と2通りあるかと思います。その短期的な問題、来年度の予算要求等にかかわる問題については、7月の委員会で改めて議論をしたいと考えております。そのために各委員からのご意見を事務局のほうでまとめていただいたものを7月にお出しいただくということになろうかと思います。長期的な問題については、引き続きこの委員会で本年度いっぱい議論をしていきたいと思います。そういう予定でよろしいですね。

本来であれば皆さんの意見を聞いて全体討議ということなのですが、もう予定の時間いっぱいになっておりますので、本日の議論はここまでにしたいと思いますが、今後の予定等につきまして、事務局からご説明をいただきたいと思います。

【南山防災科学技術推進室長】 

〈 今後の予定について説明 〉

【濱田主査】 

事務局からご連絡があればお願いしたいと思います。

【南山防災科学技術推進室長】 

〈 連絡事項説明 〉

【濱田主査】 

それでは、以上をもちまして閉会とさせていただきたいと思います。長時間にわたりまして、どうもありがとうございました。

 

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