防災分野の研究開発に関する委員会(第56回) 議事録

1.日時

平成22年5月17日(月曜日) 13時30分~16時30分

2.場所

文部科学省 3F 2特別会議室

3.議題

  1. 防災分野の研究開発における重点事項について
  2. その他

4.出席者

委員

濱田主査、天野委員、荒卷委員、今井委員、岡田委員、折坂委員、清水委員、首藤委員、寶委員、林委員、松澤委員

文部科学省

山岡科学官、飯高調査官、鈴木地震・防災研究課長、南山防災科学技術推進室長 他

5.議事録

【事務局(富田)】  

それでは定刻となりましたので、防災分野の研究開発に関する委員会(第56回)を開催させていただきます。

本日は委員21名中11名のご出席をいただいておりますので、定足数を満たしてございます。本日はよろしくお願いいたします。

続きまして、お手元の資料の確認をさせていただきます。

〈 資料の確認 〉

落丁等も含めまして、何かありましたらよろしくお願いします。ないようでございますので、以降の議事は濱田先生にお願いいたします。

【濱田主査】  

それでは以下の議事の進行をさせていただきます。

本日はお忙しいところこの委員会にご出席いただきまして、まことにありがとうございます。本日の議題はただ1つでございまして、議事次第にございますように、防災分野の研究開発における重点事項について、それぞれの委員の先生方からご意見を伺うということであります。

前回までの委員会で、3つの研究機関から防災分野の国際活動についてご報告をいただきました。それから、各学会から提出していただきました防災に関する国際協力事業について事務局から紹介をしていただきました。本日と次回の委員会で、これまでの議論を踏まえて、防災分野の研究開発における国際協力を推進・加速するために議論すべき論点・方向性についてお考えを述べていただきます。あわせて、平成23年度概算要求における防災分野の重点事項についてご意見を伺います。

この2つの問題ですが、長期的視点で取り組む課題と至急解決すべき課題があると思いますが、長期的課題については本委員会におきまして、本年度以内に意見を取りまとめたいと思っております。また、至急解決すべき問題については、7月に開催される委員会において、重点的に取り組む課題として来年度の予算要求案を見越して事務局にまとめていただくということを考えております。

早速、議題(1)に入りますが、その前に防災科学技術研究所と東京大学生産技術研究所から、資料56-3を提出いただいております。国際的な研究事業に関する調査結果でございますが、これについて、事務局のほうから先にご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

【事務局(富田)】  

それでは、資料56-3と右肩にございます表4につきまして説明をさせていただきます。前回の当委員会で、学協会等からいただきましたJICAの技術協力や研修等について約30件ご紹介させていただいたのですが、それ以降追加したものを資料としてまとめさせていただいております。今回、東大の生産研究所や防災科研から約50件いただいております。本日の議論のご参考にということで、提出させて頂きます。

こちら、東大は天野先生、そして防災科研は岡田先生、それぞれ一言何かありましたらお願いいたします。

【濱田主査】

それではまず天野先生からお願いします。

【天野委員】  

前回の資料を拝見させていただいたのですが、東大の生産技術研究所が精力的に国際関係のことをやっているにもかかわらず、1件もありませんでしたので、生産研にお話ししましたところ、このような情報を寄せていただきました。

個々については、ここでお話しするまでもありませんので、紹介は省かせていただきます。よろしくお願いします。

【濱田主査】  

どうもありがとうございました。次に岡田先生、なにかございましたらお願いします。

【岡田委員】  

防災科学研究所も前回資料に提出が間に合いませんでしたので、今回40件程度、共同研究や、共同事業等をピックアップいたしました。

【濱田主査】  

どうもありがとうございます。前回提出していただいた資料と今回の資料、これは今回と次回の委員会の基礎資料ということで、後ほどお目通しをいただければというふうに思います。

それでは、本日の本題に入りますが、議題(1)の進め方につきまして、事務局からご説明をお願いします。

【事務局(富田)】

それでは、資料56-4というふうに右肩についてございます資料、それを踏まえてご説明をさせていただきます。

〈 発表方法について説明 〉

当発表内容の取り扱いでございますが、国際協力の推進・加速につきましては意見書等を本年度内に取りまとめます。そして防災委員会として公表する予定と考えております。もう一つの至急対応すべき課題につきましては、7月22日の委員会におきまして整理紹介いたしまして、平成23年度概算要求に盛り込むべき内容について審議するというふうにしたいと存じております。

【濱田主査】  

どうもありがとうございます。前回の委員会で委員の先生方にお願いした事項について本日ご報告いただくということでございます。

早速ですが、天野先生からお願いいたします。

【天野委員】  

多分ほかの先生方は研究内容のほうについてお話しなさる方が多いかと思いましたので、私はどちらかというと大枠のほうでお話しさせていただこうと思います。

〈 資料56-4 天野委員資料について説明 〉

【濱田主査】 

どうもありがとうございました。それでは、今のご説明につきまして何かご質問等ございましたらお願いいたします。

それでは、私からご質問させていただきます。先ほどの例にもでましたが、ネットワークというのは、我が国を見渡すと幾らでもあるわけですが、私のイメージではばらばらで、相互の連携もなく、ほかが何をやっているのかよくわからない。そこが非常に問題だろうと思います。よって全体を横に連絡していく、情報を共有化するというようなものをつくり上げなくてはなりません。そういうことに関して、このようなことをすればいいのではないかというのをお話いただければと思います。それが最初のご質問と、もう一つは、省庁縦割り、ここにも出てまいりましたけが、省庁横断的なワーキングをつくるというようなご提案ですが、なかなか壁が超えられない。そういうことも言われて久しいわけですが、その辺についてこういう仕組みをつくればというようなお考えがあれば、お話しいただきたいと思います。

【天野委員】  

最初のご質問についてですが、非常に日本ではたくさんあると思います。1つは、急に整理して統合するといっても難しいというのはよくわかりますので、まずはメインのところで長となる方々に集まっていただいて、それぞれどんなことをおやりになっているのかということを、情報を共有していただいて整理していく必要があると思います。結構かぶっているところがあるような気がします。それで、情報なり研究成果なりを提供する場合、個々のネットワークの中では情報なり研究成果なりが整理されていると思いますが、受け取る側からすると、日本がこういうことをばらばらでやっていて、全然戦略的じゃないみたいな見方をされてしまっているようなところもあるかもしれません。それですと、とてもつまらないと思いますので、少なくとも主立ったところの情報は、文科省のこの場を中心にして、ある程度交通整理を、一、二年かけてやるというようなことをおやりになったらいいのではないかと思います。あくまで主体は文科省として、この場を利用して動いていくことが一番整理しやすいのではないかというふうに考えます。

2点目についてですが、防災対策の具体的なものとして、年に1回各省庁で防災訓練を実施されていると思うのですが、その内容をお聞きすると、各省庁ではそれぞれの事務所の業務をいかに発災時にきちんと継続させるかに力点を置かれているような防災訓練の計画になっているようです。でもそれは違うと思います。やはり国を挙げての防災訓練が必要だと思います。日本の国がいざ発災したら、内閣府を中心にしてどこがどういう調査隊なり何なりの対応をして、どのように地方自治体や民間と連携をするのかというような、国をあげての防災ストーリーを作成して、それを基にして、数年に一度程度国を挙げての防災訓練を行うべきだと思います。それぞれの文科省さんなら文科省さんの業務が継続するのではなくて、日本全体がどういうふうに情報共有して、どういう行動をしなくてはいけないのかというようなことを一度研究開発の一つとして具体的な防災ストーリーを作成するのが良いと思います。これは、あくまで研究開発の一環として実施するべきです。防災研究の一環として、そういうことを具体化する場合には、具体的なハザードや、リスクなどの研究成果をを評価しながら具体的なストーリーを作成する過程で、研究開発成果と実際がどう違うのかというのを検証することもできますし、具体的な防災対策もイメージできるのではないかと考えます。

【濱田主査】  

どうもありがとうございました。ご質問、コメント等ございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

それでは次は荒卷さん、お願いします。

【荒卷委員】  

簡潔にまとめておりますけれども、別紙1のほうでご説明させていただきたいと思います。

〈 資料56-4 荒卷委員資料について説明 〉

【濱田主査】  

どうもありがとうございます。それでは、ご質問をお願いしたいと思います。

私からすこしお聞きしたいと思いますが、2.1の中に、2行目に「研究成果をしっかり生かせるシステム」という言葉が使われていますが、このシステムというのは、体制とか組織のことを意味しているのでしょうか。

【荒卷委員】  

それぞれ個別レベルではしっかりと研究が生かされていても、それをしっかりと、例えば自治体にしても認識できるようなシステムが現在ないのではないかなということで、しっかりと生かせるシステムというふうに書かせていただきました。

【濱田主査】  

例えば学協会を中心に耐震技術みたいなことをやっているけど、そういうものの自治体等への発信、そういうものが必ずしも十分じゃないというご認識があると。

【荒卷委員】  

そうですね。

【濱田主査】  

確かにそのとおりだと私も思います。

【荒卷委員】  

いろいろとこういう場で資料等を見させていただいた中で、こういうものがもっとわかりやすいレベルで発信されていればもっと生かせるのではないかという視点でございます。

【濱田主査】  

もう一点、最後にご指摘になった耐震基準の国際的な認証技術の開発とありますが、きょうも、午前中、中国の土木学会のデレゲーションが来て、新幹線の耐震の問題とか、質問がありました。ところが、そのときに学会としてきちっとお渡しする英文の資料がない。それが現状ですね。原子力なんかもそうだろうと思います。ですから、極めて重要なご指摘であろうということだと思います。いかがでしょうか。どうぞ。

【寶委員】  

先ほどの濱田先生の1つ目の質問に関連して、科学技術の研究成果をしっかり生かせるシステムというときに、地方自治体等の役所の中の防災の組織があるのですけれども、そこに配置される人材が必ずしも災害のメカニズムとか、あるいは防災のいろいろなことに通暁していない方が配置されることもあるというようなことをお聞きします。そういったときに、私の大学で、しかも防災研究所というところで、防災のことをやっている人材を育てて、世の中に送り出しているのですけれども、そういった人たちを、地方自治体なり、あるいは企業等でもいいのですけど、あるいは国の機関でもいいのですけれども、もっと採用していただけたらと思うことがあるわけです。そうすると、そういう科学技術の知見なり、いろいろなことを知っている人がそこにいて、その成果を生かせるような体制なり、組織になると思うのですが。そのあたりはどうですか。地方自治体、あるいは国の公務員として採っていっていただけるのかどうか。国家公務員の場合はいろいろ採用の仕方を、修士とか、ドクターもたくさん採るようにするといううわさも聞くのですが。

【荒卷委員】  

大変ありがたいお申し出で、ぜひとも受験をしていただいて、優秀な人材を私どもとしても確保していきたいと考えておりますので、ご輩出のほどよろしくお願いしたいと思います。

【濱田主査】  

ほかにいかがでしょう。よろしいでしょうか。

それでは次は今井委員からお願いいたします。

【今井委員】  

資料56-4の今井委員という2枚、裏表ございますけれども、その資料でご説明させていただきます。

〈 資料56-4 今井委員資料について説明 〉

【濱田主査】  

どうもありがとうございました。それでは、ご質問、ご意見を伺いたいというふうに思います。

それでは、私のほうから。1ページ目の最後に協力期間終了後も含めた検証評価を行う必要があると。これは私も前の委員会で発言したかと思うのですが、我が国のODAが一体どういうふうに役に立っているのか。特に防災分野の協力に関して、それによって世界の災害がどのくらい減ったのかと。非常に難しい問題ですが、やはりそれぞれの事業がどう効果があったかというようなことはどうしても評価していかなくてはならないだろうと思うのですが、これについて、例えば具体的にこういうことをやったらどうかとか、そういうお考えがあればお伺いしたいと思います。

もう一つ、防災教育もいろいろな機関でいろいろなことをやっていますが。いろいろな教材をつくっている。しかし多分それが東南アジアに行って十分に使われているかというと、必ずしもそうではない。おそらく積んであるのがたくさんあるのではないかと。そのような現状に対して、状況を打破していくといいますか、せっかくつくった防災教材を有効に使うというような仕組みといいますか、そういうことについて何かお考えがあれば、お話しいただきたいと思います。

【今井委員】  

先生のおっしゃったように、検証評価は、非常に大事ではありますけれども、評価指標というもの自体が難しいと思います。究極的には先生がおっしゃったように、世界の災害がどれだけ減ったかというのが出せればいいのですが、出せないということでありまして、先ほど例に挙げて申し上げたJICAの3点セットの国際協力、これも2000年から始めて、終わったのが最近というものも結構プロジェクトの中に多いようですので、そういったものが協力期間の間うまくいったとして、その後どうなっているか、それが有効に活用され、継続的に機能しているのかどうかについて調べるということがまず第一歩なのかなと思っております。

それから、防災に関する教育の教材が使われているのか使われていないのか。これも先ほど申し上げた、地域住民まで含めた教育の場、訓練の場というものがしっかりとできるために、まず講師側のほうの教育研修等をやることになると思うのですが、その後、そのプログラムが継続しているかどうかというものをしっかりと、監視と言ってはなんですけれども、継続されているのかどうかといったところまで援助が必要であれば、その援助も継続するということが必要だと思っています。

【濱田主査】  

我々、東南アジアに行くと、悪いところだけ目につきます。例えばJICAのやっていることで、機材だけ買ってほうり出していると。ほうり出しているのではないけれども、ほこりをかぶって、ある部屋に積んであったりします。プロジェクト単位でやるため、お金がなくなったら、あとは知らない。それと受け手のほうも問題で、日本からの支援がなければやめてしまうというようなことがよく目につきます。一部なのでしょうが、そう思います。

それから、評価の問題、これはやっぱり税金を使っているわけですから、やっぱり評価すべきです。仕分けではないですが、やはり何らかの方法で評価していくということが必要になるのだろうというふうには思いますけど、ご意見があれば、どうぞお願いしたいと思います。ここは委員が共通認識を持つ場ですから、ふだんわたしはこう思っているというようなことをどんどん遠慮なく言っていただきたいと思います。そこから議論が出発すると思いますので、どうぞ何かあれば。

【寶委員】  

今井委員のご所属からすると電力会社ということですので、電力系のライフライン系のいろいろな問題があると思うのですけれども、例えば電力ライフライン系の防災に関する人材育成とか、あるいは教材とか、マニュアルとか、その辺が進んでいるのか遅れているのか。あるいは海外でそういうことを考える場合にどういうところが必要で、それに対して日本の研究者なり組織がどういうふうに貢献できるか、その辺をお聞かせいただけるとありがたいのですけが。

【今井委員】  

私ども完璧ではないですけれども、防災業務計画等、毎年のように見直しを行い、マニュアル等も訓練、あるいは実際の被災を受けての対応の反省を含めて、見直しをしているところで、いつまでたっても完璧ではなく、毎回毎回見直すということが重要だと思います。そういうPDCAを回しているだけよいのかなと思っているのですが、全くそういうものもないような途上国もあると思いますので、それがそのまま適用できるとは思いませんが、適用できるように見直しをして、現地のいろいろな環境に合うように見直して、教育訓練に使っていただくということはよいと思います。

私どもの研究所レベルで申し上げますと、大学の先生方や各機関でやっておられるように、実際の例えば地震に対する防災の備えということでは、地震の波形観測から始まって、土壌がどうなっているか、地質がどうなっているかも含めて、私どものエリア内の震度、加速度がどのぐらいになる、それによって設備がどのぐらいやられる可能性がある、そんな被災地シミュレーションができるようなツールも実用化されていますので、そういったものを支援先の国に適用して、防災業務計画を立案するのに役立てていただくというようなことも可能ではないかと思っております。

【濱田主査】  

どうもありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

それでは、ご意見がなければ、次は岡田先生お願いいたします。

【岡田委員】  

今回のテーマにつきまして、資料56-4では文章で3ページ分、それから全体を取りまとめた概念の図を提示させていただきました。

〈 資料56-4 岡田委員資料について説明 〉

【濱田主査】 

どうもありがとうございました。

研究開発の国際展開につきまして包括的な枠組みといいますか、そういうものをご提案いただいたというふうに思いますが、ご意見等ございましたらお願いしたいというふうに思います。

私はよく知らないのですが、理化学研究所の感染症研究ネットワーク支援センターが1つのモデルではないかというご説明だったのですが、これがどういうことをやっているのかというのは少し学習しないといけませんね。いわゆるいろいろな機関でおやりになっているのをどう統括して全体の方向性を出すようなことをやっているのか、その辺についてどうでしょうか。これはお調べいただいて、またご紹介いただければと思います。

これに関連して、こういうセンターをつくるというのは、私は非常に前向きだと思うのですが、問題は既存の組織との兼ね合いだとも思います。例えばアジア防災センターというのは現存するわけでして、またもう一つできましたよという話になったのでは全く意味がない。だから、その辺が非常に難しいところですね。こういうふうにしなければ、私は前には進まないだろうとは思いますが。何かこれに関してご意見があれば、お願いします。

【寶委員】  

岡田委員のご指摘は大変ごもっともでありまして、防災科学技術研究所、筑波の研究所そのものがオール・ジャパンの研究所ですから、そういうことを担うような素地はあるのだろうと思うのですけれども、こういう国際展開のマスタープラン、我が国全体として取り組むということですから、私たち委員に事務局から問われているのは、文科省の中の国際展開としてお聞きになっているのか、あるいはその枠を超えて国全体としてお聞きになっているのか、どちらですか。事務局に教えていただきたいのですけど。

【濱田主査】 

どうぞ。

【鈴木地震・防災研究課長】  

研究開発分野については、そういう点では文部科学省のほうでかなりカバーしていると自負しておりますけれども、現実の対策ということになると、そこはどうしても私どもでは単独では無理なところがあります。ただ、いろいろな面で最近は省庁間の情報交換も努めていますので、我々も全体的な枠組みの中の研究開発というとらえ方もあるのだろうと思っておりますので、そこはほかにかかわる部分のご意見をいただければ、公式、非公式はとりあえず問わずということであれば、先方には伝えていきたいと思います。

【濱田主査】 

よろしいですか。どうぞ。

【寶委員】 

ただ、文科省側から先方というか、相手の省庁に伝えるということで、伝えるだけでは仕方がないと思います。もう少しコーディネーションしていただいて、内閣府なり、どこかが仕切っていただくということも必要なんじゃないかと思いますし、実務ですと国交省とか、JICAの関係ですと外務省とか、その他いろいろな省庁と一緒にやっていかないといけないと思うので、国全体として国際展開に取り組んでいくのだというのであれば、ここでご提案のあるようにマスタープランがちゃんとできて、それに沿って各省庁も動いていくというふうなことが必要だと思います。

あと、先ほどもODAの後のフォローアップをどうするかということもありましたし、今も岡田委員のほうからプロジェクトのフォローアップをどうするかということがありましたけれども、例えば先方国とやった事業について、そこで育った人材とか機関とか、そういったものがあるとすれば、何か同窓会でもないですけど、日本の事業としてやったことの、人でしたらフェローとか、フェロー機関とか、そういう制度をつくって、何か再びそこで大災害等が起こったときに、現地のフェローなり、フェロー機関が日本の国の組織なり、我々研究者とインタラクションしてくれて、効果的に初動態勢をとれるとか。この間、ハイチの地震については日本国の対応は結構おくれたという話もあるのですけれども、そういう災害直後の支援態勢もさることながら、研究開発の面でもそういった形でせっかくできた、一度つくったネットワークを永続させていくというふうな努力が必要なのではないかと思います。

【濱田主査】 

どうもありがとうございました。どうぞ。

【松澤委員】 

最後に岡田委員が言われた中長期的な国際展開の実施というのは多分すごく重要で、これに限らず、いろいろなプロジェクトが、今主査が言われたように評価の対象となって、評価しなくてはいけないのですけれども、防災関係というのは、地震が、あるいは災害が起こってみないとわからないところがありますので、短期的な評価はなかなか難しいと思うのです。中長期的に評価を気にし過ぎると、今度目玉商品みたいなものをどうしても出しがちになってしまって、やはり持続可能で中長期的にやるにはどうしたらいいかというと、やはりやりやすいシステムというか、安価なシステムというか、そういうものが多分重要なのだろうと思います。天野委員が紹介していただいたPPバンドというのは私初めて知りまして、非常に興味深く拝見しました。ですので、こういう研究というものをもっと優先度を高くしたほうがいいのではないかというのを1つ感じました。

あと持続可能な形のものにするにはどうしたらいいかというのは岡田委員のほうからも提案がございましたけれども、そういうものも最初から組み込んだような計画というものをしていくことが多分重要だろうと思います。

【濱田主査】 

どうもありがとうございます。この委員会で議論すべき範囲はどこまでかという話が先ほど出ましたけど、私の個人的な見解としては、まず最初の議論は幅広くやろう、というのは研究開発にとらわれず、我が国の防災分野の国際協力の現状はどうなっていて、どこが問題だと、そういうところを含めて議論すべきだと。研究開発だけを切り離して決してできるものではないと思います。ただ、岡田委員が提案された将来的には国際防災センターみたいなものを仮につくるとすれば、それは文部省の所管になりますから、研究開発を中心とした機関であるというようなことにはならざるを得ないだろうと思いますが、議論は幅広くやったほうがいいのではないでしょうか。JICA、ODA、NPO、みんな含めて、一体どういうことになっているんだ、何が問題だというようなことをまず議論したらいいかと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

それじゃ、次のご報告に移りたいと思いますが、次は折坂委員、お願いしたいと思います。

【折坂委員】 

〈 資料56-4 折坂委員資料について説明 〉

【濱田主査】 

どうもありがとうございました。それでは、ご意見、ご質問をお願いしたいと思います。

私のほうからお伺いしますが、2.2の具体的な事業研究課題の内容の中で、「情報内容は地域特性を十分に反映した内容とし、現在地域でどんな災害が予想されるか、避難する場合はどうするかまで具体的に明示する。」という表現がありますけど、これは具体的なモデル地域を選んで、そういうところでいろいろ議論していくことが効果的だということをおっしゃっているのでしょうか。

【折坂委員】  

ここでは単純に同じ地域の中でも高台にあるところでは浸水の被害は起きない。逆にがけの下だとがけ崩れの心配などがあるという意味で、1つの23区内の練馬区なら練馬区の中でもその場所によって発生する災害が違うということがわかるところまで情報をつくりたいというところです。

【濱田主査】  

どうもありがとうございました。

いかがでしょう。それでは私からもう一点、1.2に戻って防災リーダーの話がありますが、防災リーダーの育成というのはいつも言われるのですが、何でできないのですか。できているのですか。

【折坂委員】 

先ほど言ったような、例えばある地域の学校の理科の先生とか、あるいは気象局の方とか、私が聞いた範囲ではラオスとか、モンゴルとかいろいろあったのですが、きちんと防災リーダーさんはいるのだそうです。ただ、数が圧倒的に少ないので、より早く防災活動をするのであれば、防災リーダーを増やしていくという意味で充実が必要かと思います。

【濱田主査】 

どうもありがとうございます。いかがでしょう。どうぞ。

【寶委員】  

水災害のほうで言いますと、水防団の人たちが高齢化しているというのがあります。彼らも防災リーダーの、これは自治会ごとにいるというのではないですけれども、何々川左岸、右岸とか、何々川の水防団の、水防団と消防団が両方兼ねていることも多いのですけど、そういった人たちがすごく高齢化していて、それで、地域は地域で新住民もたくさんいたりして、旧の住民と新の住民との交流がうまくいってないとか、そういったこともあるので、地域ぐるみでうまく防災リーダーの、既にいる人たちも生かしつつ、後継者をうまく育てていくということも当然重要だと思います。

実際に事が起こったときに避難しない、あるいは適切な行動をとらないという場合が結構あるわけですけれども、そこに信頼できるリーダーがいれば、その人の言うことを聞くという話があります。ですから、そういう信頼されるリーダーを育てる。単に役職でそこにいる人じゃなくて、その方がちゃんと信頼される人であるべきである。そういうふうなことはあるのだろうと思います。

情報伝達のほうに戻りますと、なかなかきめ細かなものというのは難しいのですが、私は水災害のほうですけれども、川の水位が幾らかといっても、それは直接わかりにくい情報ですけれども、それがまた場所によって違うのです。それを細かな学区ごとにとか、自治会ごとにきめ細かく伝えるというのは、いろいろなメディアを使ったりしても、なかなか難しいところがあるのです。ですから、そのあたりをきめ細かくできるような方策なり、あるいはしっかりした防災リーダーが細かなところを、特にその人の地域についてどういうことになっているのかということをうまく把握できるシステムです。その人がうまく把握してくれれば、末端の住民に伝えてくれれば、それなりに効果が上がるわけなので、そういう社会的なシステムというのですか、そちらも大事ではないかなというのが私の感想です。

【濱田主査】 

どうもありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

【天野委員】 

お話をお聞きしていて、伝達手段や何かもそうなのですが、文科省さんで毎年開発成果の評価をしていますね。ああいう今までにつくり上げられた成果の中には、おもしろい成果もたくさんあったと思います。その中には地方公共団体での防災リーダーの育成みたいなものですとか、情報伝達の仕組みとかもあったような気もしますし、特に印象に残っているものとして、発災時のがれきの中の被災者の方を見つけるためのヘビ型ロボットがありました。あれは日本では全然ビジネスモデルができませんでしたが、アメリカから引き合いが結構あったという話もあったかと思います。今まで成果がいろいろ出て、評価されていますが、それがお蔵入りになっているようなところもあるのではないかと思います。アレンジは必要だと思うのですが、日本の地方自治体が開発された成果などは、結構そのままアジアなどの地域で有効活用できるのではないかと思います。ですから、海外のニーズを整理することも大切だと思うのですが、そのニーズと今までの文科省で出された成果と組み合わせて、海外の地域に提案するのもいいかもしれないと感じました。

【濱田主査】 

どうもありがとうございます。いかがでしょうか。林委員が4時には退席されるとのことですので、後半部に林先生のお話を伺うことになっていますが、繰り上げまして、林先生のお話を伺った後、休憩にしたいというふうに思います。よろしくお願いします。

【林委員】 

2つ書かせていただきましたが、基本的には同じようなことを書いているというふうな認識でおります。どういう認識かというと、この委員会が始まって以来ずっとそうですし、濱田先生もずっと言っておられるわけですけど、理工学、社会科学、情報学、そういうものの連携が要るんだということはみんなうたうのですけれども、具体的に何をやっていいのかが見えないままずっと来ているというのが現状じゃないかというので、だとすれば、それを打破するようなことを少し具体案として提案しようかというのが共通のテーマです。

〈 資料56-4 林委員資料について説明 〉

【濱田主査】 

どうもありがとうございました。それじゃ、ご質問をお願いしたいと思います。

林先生のほうからありましたが、我が国の防災分野の学協会13が、今、連合体をつくろうというので進めております。国の組織が縦割りだと。人のことばかり悪口を言ってないで、まず自分たちの学協会が連合すべきだと。それからの話だろうというふうなことでやっております。これ、非常に重要なご指摘だったと思うのですが、行動防災学ですね。

【林委員】

何でもいいですが、要するに、Behavioralという形容詞がついた防災学でも危機管理学でも。

【濱田主査】 

そのために例えば具体的なモデル地域を挙げて、そこへすべての関係者が参入するというようなこともあり得るのではないかと思うのですが、いかがですか。

【林委員】

あり得るとも思いますし、先ほどからたくさんご指摘いただいている情報の重要の問題とか、防災教育の問題とか、あるいはリーダーシップとかというのが、まさしく行動の側なのです。言ってみれば、皆さんは半分期待で言っているわけで、そういうのがだめだからだめなのよと言っているわけなのですけれども、そんなものだめに決まっているじゃないかと僕なんかは思うわけで、そこのところの人間の性能なり性向なりがわからずに、ただリーダーが要るんだと言われても、あるいは教育が大事だと言われても、情報がと言われても、最後の1マイルは超えない。

特に僕がおそれているのは、この前、チリの津波が来た後に、せっかく1人も死ななかったのに、日本の社会は極めて社会対応に対して否定的に振る舞いましたね。あんなことをしていたら、すべてがこういう努力が水に帰してしまうというか、水泡に帰してしまうようなおそれを感じるわけですね。それはマスコミにのせられるのはしようがないにしても、基本的に6%なり7%なりの人間が行政が定めた避難所に行ったということは、かなりコンプライアンスがあるわけで、例えば何もないところで神戸が不発弾の処理をするので、避難所を用意してそこに何人来たかというと、住民の10%なんですよ。そう考えると、普通行政が言ったところに100%来るなんていうことは、よほどじゃない限り、あり得ないような国であって、それをあたかも何もコンプライアンスされてないみたいな報道をされたり、評価をされたり、対策が次に考えられていくこと自体が人間の性能なり、性向を無視している、非常に非現実的なフレームになっている。

今ハードがだんだんに難しくなってきて、ソフトにいかざるを得ないという認識があるときに、自分でそうやって卵をつぶしていってしまうと袋小路だというふうに思います。

【濱田主査】  

どうぞ。

【寶委員】 

今、林委員のほうから医学的な例示、たとえを出してお話がありまして、医学と防災をアナロジー的に言うことがよくあるわけですけど、基礎医学というのと基礎研究ですね。臨床医学というのと、災害対応とか復旧復興とか、その辺を関係づけて、そういう基礎医学と臨床医学の中に別のものとして、特に最近というほどでもないですけど、近年注目されているのは予防医学ですね。ですから、防災のほうでいくと、災害、予防に関する研究開発といいますか、林委員の3ページ目にも被害を予防する能力が向上するとか、予防のようなことが書いてあるわけですけれども。ただ、1ページ目の1.1のほうは林委員のご提案は、被害及び災害対応過程の学際的な分析というようなことで、これはそれとはちょっと違うのでしょうか。

【林委員】  

いや、行動防災学というのは、今の防災の仕組みに足すべきものの1つだというふうに考えていますので、この1.1は、今のも含めて全体を総ぞらえするというふうに理解しているので、そういう意味でちょっと違っていますが、気持ち的には同じというか、お客様あっての、あるいは対象地域の防災力の実際の向上をゴールに置いたときに自分たちが何をすべきかということを個々の自分たちがよって立っている分野を超えて、共通の目標の上で議論できるようにしたい、そういう気持ちです。

【濱田主査】  

それが分野横断、統合への突破口になり得るだろうとお考えになっているわけですね。

【林委員】  

はい。非常に強くそう思っています。

【濱田主査】 

いかがでしょう。どうぞ。

【松澤委員】 

我々はどうしても性善説で考えてしまいがちなので、最後のリストの16番を見てちょっとショックを受けたのですけれども、罹災地域内外で災害ではっきり利益を上げたグループや人はいたかという、この質問はどういうことを想定されているのですか。

【林委員】 

それこそ地震研がよくお使いになるナマズ絵の中に地震でもうかった人たちといって、建築屋さんとか、大工、左官、そういう建築系の人たちが一緒に宴会をやっているような絵もあるのですけれども、必ず災害というのは全部がロスしているわけではなくて、そこから立ち直りますので、それによって経済活動というのが猛烈に動くわけですね。ですから、それによって利する人たちというのがいる。だから、フェアか、フェアじゃないかみたいなことはそういう人たちは問われますけれども、経済活動が起こって、必ず財なり、富なりが回っていくという現実を考えないと、いつもみんながお金がなくて、どこかからお金をもらわなきゃいけないというようなモデルでは、健全、サステナビリティーというものがまず維持できないだろうというふうにお考えいただいたらいいのではないかと思います。

【松澤委員】 

わかりました。ネガティブな意味だけじゃなくて、ポジティブな意味も入っているという。

【林委員】 

そうです。

【松澤委員】 

わかりました。ありがとうございました。

【濱田主査】 

こういうような発信というのは、本来は我が国から出るべきですね。

【林委員】 

はい。ただ、やっぱりさっき濱田先生がおっしゃったことじゃないけど、日本って非常に縦割りが強いところなのです。それぞれの分野の中からの発想というのが多いので、その点向こうの人たちのほうが世なれているというか、もまれているというか、口では格好いいことをぱっと言えるんですけど、中身が実際には伴わないので、そこは重戦車の日本軍が出ていくとほんとうにやってしまうというのがすごいところだろうと思っているわけです。

【濱田主査】 

よろしいでしょうか。どうぞ。

【天野委員】 

最近、世界のいろいろなところで災害が起こると、日本の調査団が、学会の連合体としてすばやく動きます。四川の場合でも8学会が一緒に行動されたと思いますし、チリの場合も、複数の学会が対応されたと思います。ですが、残念なことに大体調査報告会で終わってしまうのではないかと思います。本来であれば、その後いろいろな対策につながるのが良いと思います。学会としては、調査結果を個々の研究成果のために役立てる必要はあると思いますが、それをきちんと対策に結びつけるというようなことも大切だろうと感じました。

【濱田主査】  

はい。全くおっしゃるとおりでして、私いつも申し上げているのは、自分の研究の資料をとりにいくというのではないと。相手国に協力に行くのだという姿勢が十分にはないのです。だから、研究者そのものが視野狭窄症に陥っていて、自分の研究だけやっていればいいと。それも問題です。我々、こういう委員会に出てきて言いたいことを言いますけど、我々のほうも問題だというふうに思います。そういうことも含めて、これから議論をしていきたいと思います。

前半部をこれで終了させていただきたいと思いますが、ちょっと短い時間で恐縮ですが、3時15分から後半を始めたいというふうに思います。どうもありがとうございました。

〈 休憩 〉

【濱田主査】 

それでは、再開したいと思います。次は、清水委員のほうからご報告いただきたいと思います。よろしくお願いします。

【清水委員】 

九州大学の清水でございます。私は、資料56-4に基づいて説明させていただきます。私のほうは、大所高所ではなくて、私の専門である火山活動の予測、あるいは火山の災害予測、そういう分野、そういう観点から、課題について幾つか述べさせていただきたいというふうに思います。

〈 資料56-4 清水委員資料について説明 〉

【濱田主査】 

どうもありがとうございました。それでは、ご質問、ご意見をお願いしたいと思います。どうぞ。

【寶委員】 

火山観測研究、噴火予測について重要なご指摘をしておられると思うのですけれども、噴火した後、突発災害調査等で土石流とか、火砕流とか、そういったことで、雲仙普賢岳とか、フィリピンのピナトゥボですか、ああいったところに派遣されていったようなことは、私自身ではないのですけれども、同僚でたくさんいるのですけれども。先月起こったアイスランドの火山の噴火ですが、あれは局所的な火山でありながら、噴煙が長い期間、大変広域な範囲で滞留、とどまって、それで航空産業なり、あるいは我々の出張にも影響を与えたということです。ですから、局所的な自然災害が広域的、国際的な影響を与えるという意味で国際協力を推進するための1つのテーマになり得るのではないかと思っています。

そのときに、火山学者の方々だけではなくて、気象学者の方とか、あるいは航空実務にかかわっておられる方々との連携も必要だと思うのです。ですから、そういった方向での1つの国際協力、実際にはフィリピンでもあるのですよね。今回イギリスの強いリーダーシップで、長期間何日にもわたって、かなり広い範囲で飛行機をとめたとなるのですけれども、もしこれが日本の守備範囲である東アジアとか、東南アジアとか、日本の火山でそういうことが起こった場合に日本が適切な対応ができるのかどうかというふうなことも重要だと思います。

それで、お聞きしたいのですけれども、日本周辺とか、東南アジアとか、そういったところで、ああいうふうな噴煙がものすごく高く上がって、広域的にいつまでも噴煙が広がり続けるような火山が多数あるのかないのか。あまりなければこういうこともやらなくてもいいのかもしれないのですけれども、いかがでしょうか。

【清水委員】 

はい。ご指摘の点はほんとうにそのとおりだと思うのですが、今回のアイスランドのケースは、火山の噴火そのもので非常に長期化しているというよりも、氷河の中で起きたものですから、水が無尽蔵にあって、その水とマグマが接触して、マグマ水蒸気爆発を延々と続けているということです。氷河がなければ、多分今の段階ですと、ひたすら溶岩を流し、ハワイのような噴火で、おそらくこういう飛行機に長期間影響を及ぼすようなことはなかったと思います。だから、そういう意味では同じことが日本で起こるかというと、多分ないであろうとは思います。また非常に規模の大きな本格的な噴火というのは実は我が国では最近は幸いなことにありませんが、規模の大きな噴火が始まった場合には、我が国であっても、ある程度長期にわたって航空機等に影響を及ぼすようなことが起こると思います。ただ、今まではどちらかというと、世界の気候に影響を及ぼすような観点からは議論されていましたが、飛行機というのは、比較的最近の、そういう意味では災害の形態だと思いますが、ただ、有名な話としてはインドネシアでしたか。実際に相当前の話ですが、両方のエンジンが停止したとか。

【山岡科学官】 

ガルングン火山。

【清水委員】  

たしか両方のエンジンが停止したのですよね。

【山岡科学官】 

インドネシアのブリティッシュエアとシンガポールエアで、2回やりました。

【清水委員】 

というようなことは起きていますので、そういう深刻な問題が起こり得るということは実は認識はされています。

【寶委員】 

気象学者といいますか、そういった方々との連携という観点はいかがですか。

【清水委員】 

はい。それもおっしゃるとおりで非常に重要だと思います。実際、気象庁には、火山の噴煙の情報を流すセンターがありますし、実はアイスランドとは関係がないのですが、たまたまアイスランドの噴火が起こる前から、実は数カ月前から航空気象学の方と共同でやっておりますが、今後そういうような体制、システムはつくるのになかなか難しいですが、今後おっしゃるような観点は必要ですし、国際協力のときにもそういうような、いわゆる火山、あるいは地学の分野だけということではないほうがよいでしょう。ただし、そうするためには、そのための体制をどうつくるのかというようなところはまた議論があるところだろうと思います。

【濱田主査】 

どうぞ。

【天野委員】 

別の観点の話なのですが、実は雲仙普賢岳の災害というのは、建設業界の防災対応にとって転換するきっかけになった非常に大きな災害です。それは、あのときの災害の事故処理に関して、無人化施工というのが始まったのです。今スーパーゼネコンであれば、すべて無人化施工の技術は持っていまして、新潟の中越沖地震で生じた斜面崩壊のときにも、生き埋めになってしまった親子を救助する際に、無人化施工の重機が土砂をどかして、救助の一環を担いました。そういう災害復旧技術は、一種の実用化技術として活用されていると思いますが、こういったものは、いわゆる基盤研究とは違いますが、日本は、とても高い技術レベルを持っていると思います。海外で災害が発生した場合に、調査して、対策を提案する中で、そういう実務的な技術も有効活用できるような流れがあると非常にいいのではないかなと思いました。

【濱田主査】 

どうもありがとうございます。

【濱田主査】 

どうぞ。

【寶委員】 

天野委員は民間企業におられますので、先ほども防災ロボットのような話もありましたし、今も施工の話だったのですけれども、お役所的に言えば、研究開発が成長戦略に結びついたほうが23年度の予算にも結びつけやすいので、そういう観点で、災害防災関係の研究開発が産業界とかそういったところ、あるいは途上国の開発なり発展に、成長に結びつくような課題の抽出というのですか、そういうことも重要ではないかなと思います。

【濱田主査】 

ありがとうございます。いかがでしょうか。それでは、次の首藤委員のご報告に移りたいと思います。よろしくお願いします。

【首藤委員】 

私も資料56-4の中に入っておりますもので説明をさせていただきます。

〈 資料56-4 首藤委員資料について説明 〉

【濱田主査】 

どうもありがとうございました。いかがでしょうか。大変厳しいご意見です。まさにおっしゃるとおりで、どこがどういうふうに進んでいるかというのがほんとうにつかめているかというと、なかなか我々でもつかめてない。それは先ほどから話が出ておりますように、それぞれの研究者が自分の分野に埋没してしまっているという傾向がなきにしもあらずということだと思います。ご意見ございましたらお願いしたいと思いますが。

これも先ほどの行動防災学につながっているのではないですか。

【林委員】 

そうですね。わかっていることをマッピングするのも重要ですけど、知りたいことのマッピングのほうが、多分もうちょっと直截的なのでは。やはりなるだけマーケットインに移行するとすれば、こういうところがギャップだと言えば、今のジェネレーションで答えられなくても、次の若い人たちへ新しいテーマの設定ができるというのは大変重要のような気がしますけれども。

【濱田主査】 

はい。いかがでしょう。どうぞ補足的に。

【首藤委員】 

今、林先生がおっしゃっていただいたとおりでして、私が経験した原子力の安全と信頼の分野も、まずはニーズのほうから安全性を確保するためにとか、信頼を獲得するためにどういったことが必要かということを整理しまして、その上で既存の論文とか研究成果をそれに対応づける形で整理しました。そうすると、まだ研究成果があまりないというところが見えてきまして、そういった形でやると次に何を研究したらいいかということがわかるということになっています。

【濱田主査】 

原子力の場合は目標がかなり明確ですから、クリアになるのではないかと思いますけど、社会全体の防災だというと、漠としてわからないということになりますね。

いかがでしょうか。それでは、次に進みたいと思います。次は寶先生からご説明をいただきたいと思います。お願いします。

【寶委員】 

はい。スライドはありませんで、今の首藤委員の資料の続きでありまして、2ページ記載しております。

〈 資料56-4 寶委員資料について説明 〉

【濱田主査】 

どうもありがとうございました。

ご意見、ご質問等ございましたらお願いしたいと思います。

越境災害という言葉が出ましたけれども、我々国際協力というと、こちらからやってやるというような態度に終始しているのですが、逆に、例えば首都圏で地震が起こったときに、世界に迷惑をかけるということは十分あり得るわけです。そういう視点も忘れてはいけないというご指摘だったというふうに思います。ご質問等ございましたら、お願いしたいと思います。

後で時間がとれるかどうかわかりませんが、いいですか。ご意見なければ、最後に、私がトリを務めるということになったわけですが、56-4の資料をもとにご説明をさせていただきたいと思います。

〈 資料56-4 濱田主査資料について説明 〉

【寶委員】  

質問ではないのですが、モデル地域は大都市圏が適当のような気がします。濱田先生ご指摘のように。そこにはいろいろありますし、起こったときの経済的、社会的影響も大きいわけです。それと、アジア地区にたくさんそういったメガシティーもありますから、日本のメガシティーで起こりそうな大規模な災害の分析やら予測やらシミュレーションみたいなものが他国のメガシティーで求められていると思うのです。ですから、これはまさに我が国は得意な分野であるので、大変いいのではないかなと思います。

そのときにメガシティー同士の連携なり、ワークショップなり、そういったことをやっていくというのは大変いいんじゃないかなと思いまして、各メガシティーの持っている問題もそれぞれ違うわけですけれども、我が国の知見なり、技術がそれぞれのメガシティーにおける災害のポテンシャルの、災害を低減したり、軽減したり、防止したりするために大変役に立つと思いますので、これは国際的な貢献の1つになるのではないかというふうに考えております。

【濱田主査】  

どうもありがとうございます。これを一体どこがやるかという問題になるのですが、先ほどセンター構想みたいなのが出てまいりましたので、そういうところが1つの取りまとめ役になるということは十分考えられるというふうに思いますが。いかがでしょうか。

それでは、きょう何人かの委員の先生方からご説明をいただきました。次回も引き続き行いますが、次回は何名になりますか。

【事務局(富田)】 

次回は10名です。

【濱田主査】 

10名の先生方からご意見を伺って、それをもとに事務局のほうで整理をして、まとめて、7月の委員会にお出しいただくということです。どうでしょうか。文科省のほうから感想といったら変ですが、何かございましたらご発言をいただきたいと思います。

【鈴木地震・防災研究課長】 

我々も必要だと思うことについては、現実に概算要求できるかどうかおいておきましても、きちんと整理を先生方にしていただきまして、いろいろチャレンジができるようにしていけたらと思っておりますので、そういう点では、今回いただきましたようなご提案のように、今後につきましてもこれは要るのではないかというものがあればお出しいただければと思っております。

なかなか取りまとめは厳しいかとも思うのですけれども、主査のご指導をいただきまして、何とか事務局として7月の委員会にてご議論いただけるようなたたき台を出したいと思っております。

【濱田主査】 

どうもありがとうございました。以上で重点課題等に関するご説明と質疑を終わりたいと思います。あと、配付資料の中で参考資料56-1でしょうか。これのご説明は、事務局からされますか。

【事務局(富田)】 

はい、では簡単にどういったものかについてご説明させていただきます。

〈 参考資料56-1について説明 〉

【濱田主査】 

以上で本日の議題、用意した資料のご説明はすべて終了いたしましたが、全体をまとめて何かご発言があればお伺いしたいと思いますが。

【事務局(富田)】 

すみません。事務局より次回日程のご連絡です。次回は5月31日の会議でございますが、ここの部屋で13時30分から行いたいと思っております。あと6月29日、7月22日、8月5日、すべてここの部屋を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。

【濱田主査】 

よろしいでしょうか。特段ご発言がなければ、これで委員会を終了させていただきたいと思います。長時間にわたりましてありがとうございました。

 

以上

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(研究開発局地震・防災研究課防災科学技術推進室)