防災分野の研究開発に関する委員会(第49回) 議事録

1.日時

平成21年5月25日(火曜日) 15時~16時30分

2.場所

文部科学省 3F 2特別会議室

3.議題

  1. 主査代理の指名について
  2. 防災分野の研究開発に関する委員会の議事運営について
  3. 東南海・南海地震に関する調査研究の事後評価方針について
  4. 地震防災研究を踏まえた退避行動等に関する作業部会設置について
  5. 第4期科学技術基本計画に向けた重点事項の検討について
  6. その他

4.出席者

委員

濱田主査、天野委員、荒卷委員、今井委員、上田委員、碓井委員、岡田委員、折坂委員、国崎委員、佐土原委員、清水委員、首藤委員、武井委員、田中委員、林委員、福和委員、松澤委員

文部科学省

藤木局長、増子地震・防災研究課長、渡邉防災科学技術推進室長 他

5.議事録

 (事務局(富田))

 それでは、ただいまから防災分野の研究開発に関する委員会第49回を開催させていただきます。本委員会は原則公開でありますが、本日の議題1については、主査代理の指名という、人事の案件でございますので、議題1に関しましては会議を非公開とさせていただきます。

 本日は、第5期防災の委員会の発足、最初の会議でございますので、まず就任いただきました委員の皆様のご紹介をさせていただきます。

-出席委員の紹介-

(事務局(富田))

 本日、寶委員、重川委員、中尾委員、木村委員につきましてはご欠席でいらっしゃいます。本日は委員21名中、17人のご出席を賜っておりますので定足数を満たしております。

 続きまして、文部科学省からの出席者をご紹介させていただきます。

-事務局の紹介-

(事務局(富田))

 それでは、紹介が終わりましたので、藤木研究開発局長より、まずごあいさつ申し上げたいと存じます。

(藤木研究開発局長)

-局長挨拶-

(事務局(富田))

 続きまして、主査にご就任されました濱田委員よりごあいさつをいただきたいと存じます。

(濱田主査)

 大変重い役割を仰せつかりましたけれども、本委員会が所期の目的を達成できますように最大限の努力を払うつもりでございます。委員の皆様のご協力をお願いしたいと思います。わざわざ申すまでもございませんが、昨年、我が国では岩手・宮城地震が発生しました。国外においても四川地震、それから、今年に入ってイタリア中部で地震が起こっております。地震災害が多発しております。地震災害だけではなくて、局地的な集中豪雨による水害も増えてきております。この委員会に課せられた役割はますます大きくなってきていると感じております。我が国の地震・防災分野の研究の基本的な方向性と具体的な研究課題を示す1つの国の拠点として本委員会が十分機能するようにしていきたいと思います。ご協力のほどよろしくお願いします。

(事務局(富田))

 続きまして、資料のご確認をさせていただきます。

-資料確認-

 以上でございます。これからの進行については、濱田主査にお願いいたします。

【 議題1 主査代理の指名について 】

-主査代理の指名を行い岡田義光防災科学技術研究所理事長の主査代理就任が承認された-

【 議題2 防災分野の研究開発に関する委員会の議事運営について 】

-議事運営について事務局から説明があり、加えて委員会の公開が承認された-

【 議題3 東南海・南海地震に関する調査研究の事後評価方針について 】

(濱田主査)

 それでは議題3に入ります。「新世紀重点研究創世プラン~リサーチレボリューション・2002」の一環として平成15年度から平成20年度に実施された東南海・南海地震等海溝型地震に関する調査研究の事後評価を7月に開催される当委員会で行うということになっております。それに先立ちまして、本日はその事後評価の方法についてご検討をお願いしたいと思います。では、事務局から説明をお願いいたします。

(事務局(梅田))

 それでは、次回委員会において、事後評価していただきます東南海・南海地震等海溝型地震に関する調査研究の概要について、私のほうから簡単にご説明させていただきます。

 -資料49-5-1に基づき説明-

(事務局(富田))

 続きまして、1ページめくっていただきまして、資料49-5-2の説明をいたします。

 -資料49-5-2に基づき説明-

(濱田主査)

 どうもありがとうございました。

 実際には7月15日にヒアリングをして評価をしていくということですね。いかがでしょうか。6年間の最終年度の評価をするということですけれども、中間評価の結果とか、中間評価でいろいろご意見が出たのではないかと思いますが、そういう資料というのはもちろん事前に委員に配付するというか、見ていただくということになりますよね。

(渡邉防災科学技術推進室長)

 そういう意味では、先ほど富田のほうから説明しました各事業者からの資料でございますとか、主査のおっしゃられたような必要なものにつきましては事前に一度目を通していただくというような形にしたいと思っております。

(濱田主査)

 10分とのことですが時間の都合でそういうふうにならざるを得ないのでしょうか。6年間の成果を10分間で評価することは大変な話だと思います。その辺も少し検討してください。他の事後評価についても10分でやって十分だということであれば、それはそれでいいと思います。

(渡邉防災科学技術推進室長)

 時間については再度スケジュールを勘案するようにしたいと思います。

ただ、ほかの議題もあるので少し調整する可能性もあることはお含みおきいただければと思います。今のところでは発表時間は10分で、その後、質疑は15分という予定で考えているところでございます。

(濱田主査)

 その場で説明を受けた後、別紙2の事後評価を書いて、それでここで合議をするわけでしょうか。

(渡邉防災科学技術推進室長)

 まず、先生方にこの別紙1を書いていただきまして、事務局のほうで取りまとめをいたしまして、別紙2のほうの案を作成させていただきます。そのまとめたものについて再度この委員会に図って全体の評価結果とするという予定でございます。

(田中委員)

 繰り返しのお願いですけれども、やはりだんだんこれからこの防災分野も総合化していくと思います。地球物理学者が地球物理学の研究を評価するということから広がってまいりますので、できるだけその時間では、外部の者にもわかりやすく、少し時間をご配慮いただければと思っております。

(首藤委員)

 こういったものは初めてなのでよくわからないのですけれども、評価をするには何らかの評価尺度、物差しがないと評価ができないと思うのですけれども、その物差しはどのように与えられるのでしょうか。

(渡邉防災科学技術推進室長)

 そういう意味では、別紙1をごらんいただきたいのですが、評価項目にこういう達成状況であるとか、妥当性・有効性というのがございます。その評価の視点をコメント欄等に書くような形でお示しするように考えております。それと資料のほうと突き合わせてごらんいただくような形になろうかと思います。評価の対象となるところを項目だけ書いてありますけれども、少しこういう観点から評価していただきたいとお示しするようにしたいと思います。

(濱田主査)

 評価の1つの基準は、最初に立てた計画がどのくらい達成されたかということが重要だと思います。その計画はまだ我々は説明されていませんから、どういうふうに役に立つのだということが当然書いてあったと思いますから、それがどのくらい達成されたかというようなことも含めて評価した後、若干合議の時間、それは事務局案ができ上がったときに行えばよいのでしょうか。

(渡邉防災科学技術推進室長)

 そうです。当然、個別の内容につきましては発表者に対して質疑をしていただいてということがございますし、その全体の評価に当たってはいろいろとご意見をいただければと思ってございます。

【 議題4 地震防災研究を踏まえた退避行動等に関する作業部会設置について 】

(濱田主査)

 それでは、次の議題に移りたいと思います。議題4でございます。先ほど当委員会の運営体制のところでも説明がございましたが、地震防災研究を踏まえた退避行動に関する作業部会の設置について審議をしていただきます。これまで防災分野では研究対象としてあまり取り上げることがなかった地震時の避難等について、人文・社会科学の視点から検討を行うということが目的でございます。この作業部会について事務局のほうからご説明をいただきたいと思います。お願いします。

(事務局(富田))

 それでは、資料49-6をごらんいただきたいと存じます。避難行動等に関する作業部会の設置について(案)というものでございますが、まず設置の趣旨について説明させていただきます。

 -資料49-6に基づき説明-

(濱田主査)

 それでは、この作業部会の設置についてご意見を伺いたいと思います。

(松澤委員)

 確認なのですけれども、この作業部会のスコープですけれども、あくまでも建物内での地震を受けたときの避難行動、退避行動に関するものなのか、それとも例えば海岸での津波注意とか、山間部での地滑りに対する退避行動とか、そういうものまでスコープに含まれているかどうか確認させていただきたいのですけれども。

(渡邉防災科学技術推進室長)

 そこの点につきましては、E-ディフェンスなどの状況を主に使うということもありますので、できるのは専ら屋内が中心であろうとは考えてございますけれども、部会の場でもどこまで今回議論することが可能かということは一度確認をした上で詰めていきたいと思ってございます。ただ、海岸とか山間部までスコープに含めるのは少し広いのではないかと考えてございます。

(天野委員)

 今回のこの作業部会はとてもいい部会だと思います。というのは、昔、地方公共団体の避難拠点をどういうふうに事前に耐震補強すればよいのかなどの検討をしたときに、学校の体育館等の耐震補強を行えば、それはそれで良いのですけれども、いざ耐震補強した後に新潟で実際に地震が起こったのですけれども、何のことはなくてガラスですとか、そういったものが降ってきてしまって、結局、防災拠点としてはうまく使えなかったというようなことが実際にあります。現在では、躯体まではかなり耐震補強の話は進んでいると思うのですけれども、それから先、実際に避難拠点ですとか、実際に避難していただくというような行動について、お考えいただくということについては非常に有効なことだと思いますので、私は賛成です。

(岡田委員)

 避難行動等と書いてある、その「等」の中身なのですけれども、例えば従来言われているグラッと来たら火を消せとか、そういったものでは最近はまず身の安全を確保してからというふうにいろいろ言われているのですけれども、そういうものまで含めたよくある地震のときの10箇条とか、そういうものを最近の知見を含めて見直してというふうな意味合いでしょうか。何か避難だけが非常に強調されているように読めてしまうのですが。

(渡邉防災科学技術推進室長)

 そういう意味では、まさに地震が来たときにどうするかということが主眼に立っています。「等」というのは、例えばそれを踏まえた上でこういう事前の準備を怠ってはならないとか、そういうところも当然考えた上での話でございますので、今、「行動等」としてございますが、検討事項で(1)から(3)までありますけれども、やはり避難行動と事前準備というものが2つの主要なものかなと考えているところでございます。

(福和委員)

 先ほど渡邉室長がE-ディフェンスのことを念頭にとおっしゃっていたので、確認させてください。これはE-ディフェンスを前提として考えていくのか、もう少し幅広なのか。その最初の前提条件のところを解説していただけるとわかりやすいかなと思いました。

 もしもE-ディフェンスを主として考えるという場合ですと、安全性の面でE-ディフェンスの上には人間は乗せられなかったと思いますが、どうやってE-ディフェンスを活用していくことを考えておられるのか。現時点での事務局のお考えを教えていただけますか。

(増子地震・防災研究課長)

 この部会は、私の強い思い入れがあって、設置について検討を行って参りました。平成17年からの4年間でE-ディフェンスを使った実験で、かなりいろいろな成果が出てきています。ちょうどE-ディフェンスの次の10年間の利用計画を防災科研のほうに策定をお願いしていて、いろいろな課題が出てきています。単に構造物という視点ではなくて、都市機能全体を見た上でE-ディフェンスをどう使うかということで、ある程度方向性は出てきています。

 その中で、今後の使い方の1つは人を乗せられるかどうかがポイントになってきます。私はかなり前から人は乗せたほうが良いと思っておりました。いろいろな法律上の問題等があって、実現が難しいのですが、将来的にはいろいろな課題が抽出されて、実際に人間を乗せてみて、その振る舞いも含めてどういうふうに考えていくか、そこまでつなげようと思っています。

 ですから、E-ディフェンスの成果を踏まえて人間の退避行動等はどう考えたら良いのか、今までは当然と思われたことが実はおかしいとか、そういう検証というのはほとんどなされていないわけです。特に学校現場とか、長周期地震動を受けた高層ビルでどのような対応をとるのかなど、もう少しE-ディフェンスを発端にしながらも幅広い議論をしたいと思っています。

 ですから、夏頃までにはE-ディフェンスだけの成果でどの程度の方向性が出せるのか、それを踏まえた上で次はもう少し幅広い、地震が起きた場合や地震の起きる前の備えも含めた行動のあり方を来年の3月までにつくりたいと思っています。その結果を文科省であれば教育部局、あるいは他の省庁や府省に対して、課題もしくは解決策を提示するような形にしたいと思っています。

(荒卷委員)

 確認したいのですけれども、この前提条件として、耐震改修という部分で、耐震基準をクリアしているか、クリアしていないかでこの退避行動というのは全く違ってくると思うのですが、その部分をどのようにお考えでしょうか。

(増子地震・防災研究課長)

 それも重要で、よく地震が起きたら外に逃げるなと言われますが、私は逆に耐震補強がなされていない家だったらすぐ逃げたほうが良いと思っています。例えば耐震基準を満たしていない家に住むのだったら、比較的耐震強度がある2階に寝室を設けるということがあると思います。地震時には、多くの住宅で1階部分は層崩壊してしまいます。これはE-ディフェンスの成果で明らかになっています。2階だったら助かるのではないかと思いますが、そういうことを知らずに1階に寝ている方が多いのではないでしょうか。そういうのも含めて耐震基準を満たしていない建物に住んでいる人でも身を守るやり方はあると思うので、そのような提言したいと思っています。

(濱田主査)

 いかがでしょうか。建物の中、建物を中心に退避行動を考えるということで良いと思いますけれども、避難行動というと非常に広い話になります。実際問題として各機関でどういう避難計画を立てているかというようなことも少しお調べいただいて、この分科会がもう少し広がっていくかもしれませんので、そういう情報収集もやっていただきたいと思います。私が一番心配しているのは、地下鉄とか地下街の避難計画についてです。聞いてもよくわかりませんでした。だから、委員の方に入っていませんけれども、オブザーバーで来ていただいてヒアリングを行ってみてはいかがでしょうか。

(増子地震・防災研究課長)

 ご提案いただいた方向で考えさせていただきます。

(天野委員)

 それに関して少しよろしいですか。トンネルの火災防災も専門で少しやっているのですけれども、そのときに地下街とか地下鉄とか、それをつくるときにもととなる法律というのでしょうか、それが例えば駅にしてもホームまでは建築基準法となっています。しかし、線路の上に下りると建築基準法外となります。地下街も民間の私有地までは建築基準法ですけれども、それを一歩外れると違うなど、いろいろと複雑な問題がある中で、それを一気通貫にある程度お考えになっているのは、消防のほうになります。消防の立場の方などの意見も非常に参考になると思います。

(国崎委員)

 E-ディフェンスを活用してということなのですが、これまでのE-ディフェンスで実験された結果をもとにということですと、議論の内容が限定的になるように思われます。今後もE-ディフェンスでさまざまな実験をしていく中で、内容に広がりも出てくると思うのですが、退避行動という名称に少し引っかかりを感じます。例えば逃げる行為、退避ということだけでなく、例えば逃げたくても逃げられない人への対応や、これまでにE-ディフェンスでは実験されていない揺れがもたらす人体的への影響についての視点です。

 具体的にお伝えしますと、今年1月にE-ディフェンスを用いた地震災害における医療施設の機能保持評価のための震動台実験が実施されました。実際に見学し、医療施設の地震による被害の様相が見えてきたのですが、残念に思ったのは医療施設といいながら新生児室の設定がなかったことです。

 NICUを含めて生まれて間もない新生児はコット(ベッド)に寝ています。新潟県中越地震では生後2ヵ月の男児がショック死したという報道がありました。首が据わらない状態で強く揺すぶられたためのショック死と判断されました。地震の激しい揺さぶりから新生児を守ることの重要性を教えてくれた悲しい出来事でありました。過去の震災でコットは倒れにくい、ということが報告されていますが、寝ている新生児に揺れの衝撃がどれほど伝わるのかについてはあまり知られていません。コットが動いて壁に当たることで、コットは倒れなくても中で首のすわっていない新生児が激しく揺さぶられ、命を落とす危険性も考えられます。

 コットを使用中の新生児に罹る影響測定と挙動確認はもちろんのこと、細い気管に天井や壁の亀裂から生じる粉じんや、少量のすすでも窒息してしまうなど、新生児が受ける被害について理解を深め医療従事者がどのように対応すべきかを検討しなくてはなりません。医療施設ひとつを例にしても、様々な疾病で多くの患者が入院しています。自身で退避行動が取れない立場の人についても目を向けた議論が必要だと思います。以上です。

(濱田主査)

 どうもありがとうございました。

 ほかにいかがでしょうか。これは高層建物も対象となるのですか。高層建物からの避難に関しては、大分前に土木学会と建築学会が、そういうある委員会の中に分科会を立ち上げて報告書が出ておりますからご参考にしていただきたいと思います。

(渡邉防災科学技術推進室長)

 当方でも入手いたしまして、今、勉強中でございます。

(濱田主査)

 ほかにいかがでしょうか。では、この作業部会を設置するということをご承認いただきたいと思います。主査をお務めになる田中先生から何かありますか。

(田中委員)

 大変難しいテーマだと思います。どういうふうに持っていくのか、今日議論させていただきますが、1つは総務省、消防庁をはじめとしていろいろなところでご推奨の行動があって、ただ、具体的によくわからないのもある。疑問を詰められる部分には詰めていきたいと思いますが、文部科学省のこの科学技術・学術審議会の下の防災の委員会の作業部会として、ふさわしい作業をしていきたいということでございます。逐次この委員会ともご連絡をとりながら、またいろいろとご指示いただければと思っております。

【 議題5 第4期科学技術基本計画に向けた重点事項の検討について 】

(濱田主査)

 それでは、次の議題5に入りたいと思いますが、先ほど事務局のほうからもご説明がありましたように、平成18年度から22年度にかけまして第3期科学技術基本計画等を踏まえた防災分野の研究開発が進められてきたわけですが、平成23年度からの第4期科学技術基本計画に向けて、本委員会でも防災分野の研究開発に関する今後の方向性を検討する時期に差しかかっていると思います。きょうは最初でございますけれども、防災分野の研究の現状と課題、今後取り組むべき方向性や委員会での検討の進め方についてしばらくご議論をいただきたいと思います。これは次回の委員会以降も継続審議するのですか。

(渡邉防災科学技術推進室長)

 この関係の議題につきましては、次回以降、9月ぐらいまで大体毎回議題としては挙げていこうと思っております。

(濱田主査)

 わかりました。それでは、事務局のほうからご説明いただきたいと思います。

(事務局(富田))

 それでは、資料49-7-1、7-2について説明いたします。

 -資料49-7-1~2に基づき説明-

(渡邉防災科学技術推進室長)

 少し補足説明したいと思いますが、別紙を配らせていただいております。第4期科学技術基本計画における防災科学技術のあり方についてということでございますけれども、これについては次回以降6月および7月の委員会で、ぜひ今回のこの検討の視点というものを参考にした上で、ぜひ委員の先生方からその理念であるとか、重要課題についてご意見をいただきたいと思っておりまして、できたら時間をとって別紙に沿って少しプレゼンテーションをしていただきたいなと思ってございます。それについて、どなたにいつということにつきましては、日程の調整をした後に出席される方をこちらのほうで選ばせていただいて、早急に追ってお願いをしたいという趣旨でございます。

(濱田主査)

 どうもありがとうございました。

 大変難しい議論を短期間でやれということで、基本計画特別委員会に、この委員会として何か文章を出すという方向でよろしいでしょうか。

(渡邉防災科学技術推進室長)

 9月中ぐらいにまとめて提出してほしいと言われております。

(濱田主査)

 大変難しい内容に入って、理念を言えと言われてもなかなかすぐ出てくるものではないと思いますが、事務局から説明がございましたように次回の第50回委員会と51回、7月、この委員会で委員の先生方から、できればここの別紙にあるような、少しメモみたいなものをいただいて、それに基づいてご発言というか、お話をいただくということですね。そうすると、6月中旬ぐらいにはこれを出してもらって、どこから話をしてもらうかというようなことも決めなくてはいけませんね。当面のこの委員会の目標というのは、第4期総合技術計画に我々の意見をどう盛り込ませるかということだと思いますが、これからフリーディスカッションということにさせていただきたいと思いますが、どうぞ、ご意見をお願いしたいと思います。

(清水委員)

 その前に1つよろしいですか。確認ですけれども、先ほどから理念というのが何回か出てまいりましたけれども、よくわからないのですが、理念というのは具体的には先ほどの資料49-7-2の最後のページ、5ページ目の下に参考という枠がついたものがありますが、その中に理念というのが書いてありますけれども、具体的にはこういう短いフレーズなんでしょうか。よくわからなかったのでお願いいたします

(渡邉防災科学技術推進室長)

 そういう意味では、理念をキャッチフレーズにすると、このようになってございますけれども、内容については短くする必要はなく、どのような観点から今後防災の研究を進めていくべきだということを委員の方からご意見をいただき、まずは内容を充実させたいと思っております。少し長めの文章でも構わないと思ってございます。

(濱田主査)

 理念というのは何だかいろいろ難しくなってしまうけれども、短い言葉で表現すれば、今後の方向性について、防災分野の研究の方向性について端的に表現すればこういうことになりますよ、ということがあればお出しいただきたいということだろうと思います。

 この7-2の資料で、人文科学分野との連携、理学・工学のみならず、人文科学分野との連携ということを言われていますが、これは兵庫県南部地震のときに、やっぱり理学・工学だけではなく、人文科学も入れようということで、もう15年近くやってきたわけですが、うまくいっているというふうに思われる方もおられるかと思いますが、あんまりうまくいかなかったと言う立場で、さらにそういう学際的な研究を推進していこうということだろうと思います。

 林先生、突然指名して申しわけありませんが、いわゆる人文科学分野との連携、これの現状、それからうまくいっているのか、それともやはりまだまだ不十分なのか、その辺についてご意見があれば伺いたい。

(林委員)

 僕はそんなに否定的には思っていないです。というのは、15年前に始めたということですから、まだ始めた人たちの第1世代がやっているので数も少ないですし、その学問体系というものがそんな短期間にすぐにできるというふうに思うこと自体が、その人文・社会科学というものをばかにしていることだと思います。基本的にはドラえもんのように思って、困ったら人文・社会科学というのをつければ何とか格好がつくのではないかとか、オールマイティーになるのではないかとか、ジョーカーと違うのかみたいな認識でスタートしたのが15年前だと思います。

 僕もそういう意味でずっとかかわってきましたから、その中で起こっているのは、要するにジョーカーとして使う分にはいいけれども、それ以上であっては私たちの領域が侵食されるというのが正直、理工学の先生方の思いだったように思います。だんだんに年をとることによるせいなのかもしれませんが、それではだめなんだろうということを、若い世代の先生方には理解をしていただいているのではないか。そういう意味では、今いろいろな分野での世代交代が進んでおりますので、ドラえもん的に人文・社会科学を見るということはなくなったのではないかと思います。

 じゃあ、今度は人文・社会科学の側にどういう問題点があるかというと、やはり圧倒的に人が少ない。それから、まともに勉強してきている人が少ない。やはり全然違った学問体系ですので、新しいフィールドに突っ込んでいくわけですから、そこの分野の中でちゃんと仕事ができる人でないと、どうしてもでき上がってくるものの成果というのはあまり質がよくないということになります。新しいものだから、だれでもできるのかというふうについ誤解をされるのですけれども、それは大きな間違いで、やはり人文・社会科学系というのは、それこそ自然科学を習って、19世紀から20世紀にかけて一生懸命、実証科学たらんとして脱皮をしてきた、そういう苦労と、その中でつくってきた学問的な方法論というのがあるわけですけれども、そこの理解なしに表面的に事象を社会現象だけとらえれば、社会科学だというのはまだどうしても拭い切れていないのかなと。

 じゃあ、どうしたらいいのといったら、やはり次の世代を担っていけるような若い人たちをたくさんつくってやらなければいけない。そういう意味では、まだまだ足りないのかなと思います。人文・社会科学と理工学との協調ということで言うと、きょうこの文章を見させていただいて、4ページ目の5.の(3)の1ポツというのがあるんですけれども、僕、この15年ぐらいずっといろいろ見ていまして、最近、ドラえもん扱いをされなくなったというのはよくわかって、もっと嫌がられているのかもしれないのですけれども、個人的には。その中で自分たち、社会科学の人たちのほんとうの役割は何かというと、今、日本の理工学、特に防災の中の理工学というのは単品主義で動いているように思うんですね。非常にすぐれた分野はあるんだけれども、それはある意味では非常に限られたエッジが立っている。分野でのエッジが立っている。

 ところが、社会に防災というものを浸透させようとすると、この文章のとおりのことをやらなければいけないんですね。防災上のニーズを的確にとらえ、必要な研究開発課題を抽出し、効果的・効率的に研究開発を実施し、その成果を速やかに還元するということは、これはメカニズムだし、それを実現するためにはたくさんの技術や、たくさんの思想や、たくさんの人材が要るんですけれども、それを本気に研究課題として考える必要というのが実はあるのかもしれない。日本とアメリカがもし違うとすればなんですけれども、それこそNASAみたいなやつを例にとって、大分古くて恐縮ですけれども、彼らはミッション・オリエンテッドにいろいろなものをつくって、必要な分野はそこで開発したらいいと思うわけですね。

 そういう意味でプログラムが先にあって、それの中に必要な個別要素の開発というのをつくってきているのではないか。それが残念ながら教育分野も彼らはそういうところがあって、こういうものは人材をつくらなければいけないとしたら、こういうことを教えなければいけないのではないかというふうなコンピテンスを決めて、それに必要な人材を、あるいはマテリアルをつくるみたいな、ある意味ではプログラム志向というのは非常に進んでいると思うのですけれども、残念ながら私たちは先ほど言ったみたいに単品主義のところがあるので、そんなプログラムをつくること自体は研究だと思っていない人が圧倒的にたくさんいる。

 それがどのくらいみんなの価値観が変わるかというのが、実は僕は勝負だとずっと個人的には思うのですけれども、もしこれがあと23年から27年まででやれということになると結構難しいかなという気はいたします。意外といいのは、ほんとうの意味で国際協力を考えていくときに単品ではなくて、その相手国のニーズをとらえ、必要な課題を抽出し、効果的な研究効率課題をやって、それをすぐその場に返してあげるような、それを3年なり5年なりでやって見せられるような、そういう技術なり、そういう社会の仕組みなりをみんながつくってみたら、あるいはつくる努力を本気にやってみたらというようなことを1つのケースに考えてもいいのではないか。やっぱり国内だけに私たちは閉じこもっていてはいけないんだと思うんですね。国際的な視野を持ってぜひこの5-3の1.ができるかどうかで、ほんとうの意味の分野融合というのはできるのではないかなというような期待を持っています。以上です。

(濱田主査)

 どうもありがとうございました。

 今後の進め方ですけれども、時間が非常に限られていますが、2回の委員会で皆さんにお話をお伺いする。それぞれの分野の方々のお話を伺いますが、最初に事務局のほうで、ある程度プログラムをつくって、きょうこの委員会ではこれを議論するぞということを集中的に行わないと、意見がでれば事務局がまとめますよ、というのではうまくできないと思います。だから、これはなかなか難しいと思います。2回でやるわけだから、よっぽど議論のプログラムを少しよく詰めて、今日はこれをやるぞと明確にしていただいてやったらどうでしょうか。なかなか難しい注文なのですが、今後でいろいろ検討しましょう。

(天野委員)

 私もこのような委員を何年かやらせていただいていますが、今日これを見せていただいて非常に強く感じていることがあるんですね。というのは、第3期までで非常にいい成果がこの文科省の中でもたくさん出ていると思うんですよ。それで、第4期ということであれば、先ほどの評価という話や林先生のグローバルという話も、国の科学技術基本計画の目標が、安全が誇りとなる国ということになって明確にうたわれていますので、日本の国としてのBCP、何か事が起こったときに日本の国はどうしたらいいかというようなことをそろそろ、今まで出された成果を使って具体的なプランに移すようなことを働きかけてもいいのではないかと思うんですよ。

 具体的に申し上げますと、工学とほかの分野と連携をとってとおっしゃっていますけれども、この今までの成果が一番生かせる道というのは、いざ発災したときに、文科省だけでなくて内閣府ですとか、国交省ですとか、総務省ですとか、日本の国としてどういうふうにするのか。そういうときに判断される一番のもとというのは、文科省が成果として持っていると思うので、それを有効に生かしていただくやり方、これをそろそろ組み込まれてもいいのではないかと思います。

(首藤委員)

 よくわからないので質問なのですが、今回、今後のあり方ということを考えるときの防災科学技術というものの定義は何なのでしょうか。防災に関する科学技術が研究開発されただけで防災が進むとは思えませんで、科学技術が研究開発され、それが世の中に実践されるということで初めて対策が進むと思います。その実践のところまでほんとうにこの文部科学省の研究開発の委員会として考えるのか、それとも実践されるもとになる科学技術をしっかりとそろえることに焦点を置くのか、その辺がよくわからないので、まず防災科学技術の検討の防災科学技術がどの範囲なのか教えていただければと思います。

(渡邉防災科学技術推進室長)

 そういう意味では、今、首藤委員のおっしゃるところはまさにそのとおりだと思います。そういう観点がこの資料の中でも、特に3ページの上の(2)社会に還元される防災科学技術の推進とございます。当然のことながら、いわゆる研究というのも重要だと思ってございますけれども、社会に活用されなければ意味がないということも考えてございます。前段で議論になったいろいろな理学・工学、社会科学等、一体となって研究開発を推進するという研究開発の部分と実証研究を重視した社会システムとしての実効性の検証という意味では、普及なり、啓発なり、広報活動というものを効果的にやっていって、受け入れられるような方法もある程度考えるところまでは視野に入れたものでございます。

 そういう意味では、研究が中心ではございますけれども、ある程度適用までを見据えたところまで考えないと、防災に役立たないと思ってございますので、その接続についても十分に考えていかなければならない問題だと認識しております。

(福和委員)

 同じような議論になりますが、両先生がおっしゃったことに僕も同感です。BCPという意味でいくと、本当は、国の防災基本計画はどうあるべきなのかというようなところまでいかないと、政策としては実現されないと思います。ただ、そこまで踏み込むのはちょっと行き過ぎだととも思いますので、本来、災害軽減をするために必要となる政策はどうあるべきかとか、あるいは人間が防災行動に具体的に移すためにはどういうことをしないといけないかというようなことが必要になります。防災というのは実践につなげなければ意味のない研究なので、科学技術といったときに、こういう視点での研究というのが認められるようになっていくといいかなと思います。そのためには、政策や法体系にも踏み込まないといけないので、他の府省との調整ができるとよいかなと思います。それが1点です。

 それからもう一つは国際的にという話がよく出てくるのですが、例えば今一番国際的に日本が優位に立てそうなのは、原子力の耐震安全性にかかわることだと思います。これは日本が世界をリードしています。かつての防災技術、特に地震防災技術の多くは文科省さんが中心になってくる前までは原子力分野で大変頑張ってやってきたというところがあると思います。

 その原子力科学技術というか、原子力の安全性にかかわるような技術開発というものがこういった科学技術基本計画になじむのかどうかがわかりませんし、経産省との間のかかわりも出てくるような気がするのですが、原子力発電施設の安全性についての扱いというのは今回どう考えればいいか少し教えていただけると良いと思います。多分、世界には喜ばれる技術の中で、ほんとうに先端技術でやっていこうとすると、原子力にかかわる耐震技術に、真正面で取り組むのもあるかなとは思います。少しコメントをいただけるとありがたいのですけれども。

(渡邉防災科学技術推進室長)

 科学技術基本計画という意味では、原子力というのは当然対象となるべきであって、当省内にも関係部局があるわけでございます。原子力の耐震をどの部局で担当するのかについてでありますが、少なくとも今までの仕分けでいくと、どちらかというと原子力の分野で確かに検討されてきた事象だとは思います。ただ、そこのところは全く切り分けられているかというと、密接に切られないところもあります。福和委員のご発言の内容については、今まで確かに原子力のほうで進められてきたと思いますので、当委員会では、正面ではなかなかとらえづらいかと思います。

(濱田主査)

 先ほどから議論がございますけれども、我々、どちらかというと、そういう防災科学技術というのを狭い分野でとらえてきたと。もう少し広い意味でとらえていかなくてはいけない。ここでの議論もそうしようということだろうと思います。国全体のBCPはどうだとか、そういう話も含めてやっていく。

 それで、ここの議論のアウトプットですけれども、事務局が取りまとめて総合科学技術会議に直接提出するわけではなく、ワンクッションあるわけですね。文科省の中に出すわけですけれども、せっかく議論するわけだから、何かレポート的なものをまとめたらどうでしょうか。要するに防災技術の今後のあり方というようなことを、簡単なものでいいと思うのだけれども、少しはみ出してもいいから、そのエッセンスを基本計画に提案するわけだけれども、全体にこういう議論をしたということはまとめたほうがいいのではないでしょうか。

(渡邉防災科学技術推進室長)

何らか提言的な資料をまとめて、それを省内の基本計画の全体を取りまとめている部署への提出を考えてございます。防災科学技術に関する当省としての推進方策が現在あるわけですけれども、来年度ぐらいになれば、その見直しというような議論もありますので、議論していただいた内容については、当省の計画のほうにも生かしていくというのが当然の流れであると思ってございます。今後の検討成果については、そういった形で活用し、後に残していきたいと思っております。

(濱田主査)

 文部科学省ですから学術、科学技術という観点からの議論が中心になるとは思いますけれども、国全体としてそういう議論をしているところが実はありません。中央防災会議もそうですし、それから、日本学術会議もそうです。だから、文科省でこういう会合ができたのだから、そこから何か発信をするということは非常にいいのではないかと思いますので、ご検討いただきたいと思います。

 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

(林委員)

 1つだけいいですか。実は防災分野はいろいろ多様だと言われていますけれども、僕がずっと思っているのは、みんなが応用力学なんですよ。もっと言えばニュートン力学の世界を共通の方程式に置いた多分野で構成されているのが旧来的な意味で言う防災分野だとご理解をいただくと実はわかりやすいのではないかなと。理学であろうと、工学であろうと、実は共通して扱っているのはやはりみんな物理の人たちで、どちらかと言えば古典的な力学の世界をベースにして、それをどうやって社会の中で説明原理としてうまく利用できるかという面でのアプライド・フィジックスの1領域としてこの防災というのが定義されてきていると思うんですね。

 それを超えられるかどうかというのがさっきから言っていることで、実はそのアプライド・フィジックスの値を見たらそれを超えていってしまったら、もうグシャグシャだぞというのがみんな内心思っておられることで、だから、それを超えていったときにどういうプリンシプルに乗っかって世界というものが構築できるかということについて非常に強い不安と疑念をお持ちなんだということも事実だと思うんですよ。だけれども、防災というのをまじめに考えると、それを超えなければいけないというのが、さっき濱田委員長が言った部分でもあって、そこが今踏み切り台のところになっているのだというふうにご理解をいただくと、何となくわかりがいいのではないかと個人的には思います。

(濱田主査)

 あと2回の委員会でいろいろご意見を伺いたいと思いますが、私、ニュートン力学ですから、ニュートン力学だっていろいろなことを解釈できるのだけれども、社会科学などの分野からも、どういうことを考えているのだということを、ぜひとも林先生のほうから皆さんにお話をいただきたいと思います。ニュートン力学も、物事を理解するのに非常にいいわけで、それでは超えられないのだということはどういうことなのかということをぜひとも話題提供していただきたい。もちろん、あまり哲学的な話になると9月まで間に合わないかもしれませんが、ぜひ議論をしていきたい。

 いかがでしょうか。短い時間で大変恐縮なのですが、一応、予定の時間になりつつありますね。

 本日用意した議題の審議を終了させていただきたいと思います。

【 議題6 その他 】

(事務局(富田))

 それでは、次回の会議でございますが、7月1日を事務局のほうでは考えてございます。一応、午後一が一番、皆様方のご出席の状況がよろしいかなと思っておりまして、7月1日の13時あたりからというが第1候補でございます。そして、7月15日及び8月13日、木曜日におきましては、お知らせいたしましたとおり、13時からこの文部科学省内の建物内で開催いたします。

(濱田主査)

 次回と次々回は、どちらかは必ず出ていただくということですか。

(渡邉防災科学技術推進室長)

そうです。先ほどのプレゼンテーションの件につきましては、7月1日、次回の出席状況を見て、当然、片方しか出席できない方については、その日ということでお願いしたいと思います。とりあえず1日の13時からということで仮決定させていただければと思いますので、出席いただけそうな委員は、予定を入れておいていただければと思います。

(事務局(富田))

 もう一つ、経理担当にかわりましてお願いがございますが、お手元に「諸手当の請求に当たっての確認について」というペーパーを配付させていただいているのですが、ご自宅住所と最寄り駅をご確認いただきまして、また、宿泊の有無等、旅費の調整が必要な会議の出席の有無等ご記入いただきまして、机上に残して置いておいていただければと思います。以上です。

(濱田主査)

 では、よろしいですか。では、以上をもちまして閉会にさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

以上

お問合せ先

研究開発局地震・防災研究課防災科学技術推進室

(研究開発局地震・防災研究課)