平成24年8月7日(火曜日)13時00分~16時00分
文部科学省3F1特別会議室
有川部会長、大垣部会長代理、伊藤委員、小幡委員、神谷委員、北川委員、高木委員、樫谷委員、瀧澤委員、中西委員、南波委員、吉澤委員、若槻委員
吉田研究振興局長、森本官房審議官(研究振興局担当)、菱山振興企画課長、柿田基盤研究課長、下間情報課長、原基盤研究課量子放射線研究推進室長、永井基盤研究課ナノテクノロジー・材料開発推進室長、太田基礎研究振興分析官、粟辻融合領域研究推進官、杉浦学術機関課課長補佐、竹上基盤研究課課長補佐、神部基盤研究課量子放射線研究推進室専門職
渡邉経済産業省産業技術環境局産業技術総合研究所室長
【大垣部会長代理】 それでは、有川部会長が少しおくれているようですので、代理を務めさせていただきます。大垣です。
それでは、第5回の先端研究基盤部会を開催いたします。
本日は、光・量子ビーム研究開発作業部会中間報告についてと、それから、光・量子融合連携基盤技術開発の事前評価について、数学イノベーション委員会中間報告について及び研究開発プラットフォーム委員会中間報告についての4つの議題を予定しております。
それでは、事務局より配付資料の説明、確認をお願いいたします。
○竹上基盤研究課課長補佐より、出席者の紹介と配付資料の確認があった。
【大垣部会長代理】 それでは、議題に入ります。まず、議題1の光・量子ビーム研究開発作業部会中間報告についてと、議題2の光・量子ビーム融合連携基盤技術開発の事前評価についてをまとめて扱います。
光・量子ビーム研究開発作業部会においては、これまでの調査検討を踏まえ、中間報告(案)を取りまとめていただいております。また、本報告(案)を踏まえ、来年度から実施すべき施策の事前評価(案)を取りまとめていただいております。事前評価(案)については、本日の部会における審議を踏まえ、8月23日の研究計画・評価分科会において最終決定するという流れを予定しております。
それでは、中間報告(案)及び事前評価(案)について、事務局より資料の説明をお願いいたします。
○原量子放射線研究推進室長より、資料2-1、2-2に基づき説明があった。
【有川部会長】 ありがとうございました。おくれてしまいまして申しわけございませんでした。
ただいま、資料2のシリーズを中心に説明していただきましたが、委員の皆様からご意見、ご質問等ございましたらいただきたいと思います。お願いいたします。
【南波委員】 よろしいですか。
【有川部会長】 はい、どうぞ。
【南波委員】 今の資料3の事前評価票なんですけれども、3番の課題概要のA、ここで最初に「光科学技術及び量子科学技術は」という書かれ方をされているんですが、横長の資料等ではここは「量子ビーム技術」となっていたかと思うので、意図的にここは量子科学という言い方をされているのか、あるいは単に誤記なのか。
【原量子放射線研究推進室長】 後で確認させていただきますが、科学技術基本計画のほうでは量子科学技術という用語が使われていることもあって、基本計画との関係で必要な場合には量子科学技術という言葉を使っている場面もあります。おっしゃるように、作業部会では量子ビーム技術という用語に基本的にはそろえておりますので、確認して必要に応じて修正したいと思います。
【南波委員】 多分、科学技術基本計画では、「光・量子科学技術」という表現をしていて、これは光科学技術と量子ビーム技術あるいは量子ビーム科学技術全体を合わせたイメージとして使われた言葉だろうと思うんですが、切り分けた状態で量子科学技術というので出てきたのは初めてのような気がしたものですから。
【有川部会長】 その辺は整合させていただければと思います。ありがとうございました。
ほかに何かございますでしょうか。はい、どうぞ。
【神谷委員】 取り組むべき課題がわりと具体的に挙げられておりますが、その前の7ポツのところに今後5年間程度でこういうことを推進するということが書いてありますが、それをするための制度設計というか、具体的なイメージを今もしお持ちでしたら教えていただきたいのですが。
【原量子放射線研究推進室長】 研究開発のテーマで例えばグリーンイノベーションで新エネルギー変換等というような課題を公募するときに、イメージとしては、公募要領の中に、四角で書いてあるような、産業競争力の強化につながるような課題を公募しますとか、あるいは横断的利用の成功事例となるような課題を公募しますというような、公募課題の募集要項の1つの条件として、このような取り組みを実施する課題を募集しますという形になると思います。
【神谷委員】 応募する人にアイデアを出しなさいというような意味も含めたような公募をされるということでしょうか。
【原量子放射線研究推進室長】 そうですね。いろいろな先端的な取り組み、あるいは研究者の方々がふだん温めているようないろいろなお考えもあると思いますので、こういう趣旨に沿った課題であれば、公募ですので最終的には審査をしていただくということになりますけれども、幅広くくみ上げるような形で効率的な事業の実施に結びつけていきたいと思います。
【有川部会長】 はい、どうぞ。
【若槻委員】 この量子ビーム科学というか、量子ビームのほうに、広い意味で、電子顕微鏡というようなものは、例を見るとあんまり入っていないように見えるんですけれども、どうなんでしょうか。掲げられているようなサイエンスをやろうと思うと、電子顕微鏡もとても重要じゃないかと思うんです。先ほどの質問にも関係するのかもしれないですけれども、出てくれば拒まない、でも、向きとしては、あまりそちらのほうには向いていないという、そういうふうに見たらよろしいんですか。それとも、完全にオープンと思ってよろしいんですか。
【原量子放射線研究推進室長】 作業部会で検討していた中では、電子顕微鏡のことはあまり念頭に置かない形で検討していただいたと思います。
【若槻委員】 なるほど。だとすると、例えば先ほどの資料3の2ページ目の「仮称」というところの想定される研究テーマというのは、やはりテーマをたくさんここに50も60も並べるのは確かによくないんですけれども、例えばライフイノベーションのところに書いてある2つは、かなり特定された、これを見るとどういう実験かが想定されるようにも私には見えてしまうんですけれども、少なくとも公募されるときには、テーマ例としてはもう少し広く出されたほうがいいような気がします。電子顕微鏡だけでなく、例えばAFMみたいなものをとんでもなく速くすることで見えてくる世界とかもあるわけだし、もう少し広い例示をされるのがいいかなと思いました。それが1点です。
もう1つは、これは質問なんですけれども、平成20年度からされているものが2つあり、そのうちの1つは10年、もう1つは5年のプロジェクトで、それらと連携をするということでした。その連携の仕方はPO・PDの方々を兼務というような例があったと思うんですが、レーザーのほうに関しては、基本的には10年の計画は変更なしで進むという考えでよろしいんですか。それとも、量子ビームのほうには今度、光というのが入ってきて、むしろそちらが変革するみたいなイメージなのか、その辺をもうちょっと明確にというか、片方は変わらずに、片方は新しく、5年終わったので、次の5年については光が入ってくると、そういうピクチャーなのかどうかというのをできれば教えていただければと思います。
【原量子放射線研究推進室長】 光のほうも全く変わらないというわけではなくて、当然、年度ごとの事業の進捗によって方向性は日々見直していますけれども、制度自体を組みかえるような大きな変更というのは、光のほうについては今の段階ではしないと考えております。当初、10年ということで人材育成などにも取り組んでいただいていますので、ここで例えば事業をいきなり少なくするとか、別のやり方の事業に変えるということはあまり想定しておりません。
新しく立ち上げる量子のほうについては、これから5年ということですので、光のほうとうまく融合していけるような仕組みをどちらかというと量子側のほうで整えていくということになると思います。ただ、先ほど申し上げましたPO・PDが両方兼務するなどいった仕組みで、事業の根幹自体を大きく見直すというわけではなくて、事業の毎年ごとの実施の中で両プログラムがうまく連携をとれるような仕組みを整えていきたいと考えております。
【若槻委員】 関連してよろしいですか。
そうすると気になるのは、新しく5年で始まる光・量子、量子が主だけども、光も取り入れるというところで、光科学にあまりつながっていないようなものはディスカレッジされるのかどうかというのが。これはあれですか、普通に同じように入ってきて、光というキーワードが入っているとか、レーザーと組んでいるとかいうと点数が上がって採択されやすいとか、多分、応募される方というのはきっとそういうことを考えるんじゃないかなと思うんですけれども、その辺はいかがなんでしょうか。
【原量子放射線研究推進室長】 基本的には、放射光、レーザーを含め、光と量子ビームを融合した取り組みを念頭に考えてはございます。ポンチ絵のところの想定される研究テーマ例でも、例えばライフイノベーションの中では中性子と放射光の連携利用などを示しておりますけれども、そういうものは挙げていただいてございます。あと、どこまで広く構えるかというのと、ある程度ピンポイントに集中して取り組むべきかというのはなかなか難しいところもございますので、具体的には、予算規模等を見ながら考えていくということかなと思います。
【若槻委員】 そうすると、放射光というのは「光」がついていますから、光のほうに入ると思ってよろしいと、そういうことですか。
【原量子放射線研究推進室長】 あまりどちらがどちらに入るのかというのは、レーザーが光で、放射光は量子ビームのほうだという、厳密に施設ごとの切り分けはしておりません。特にSPring-8、SACLA、それから、J-PARCがそろってきたということで、量子ビームの中でも放射光と中性子の連携・融合というのは大きな課題として挙げられているところですので、そういったものは対象としては当然入ってくるのかなと思います。
【若槻委員】 ありがとうございます。
【有川部会長】 ほかにございませんでしょうか。
ただいまのところで、想定される研究開発テーマ例というのが書いてありますけれども、これは追加するなりしたほうがいいということでございますか。
【若槻委員】 私が申し上げたかったのは、これは今はいいと思うんですけれども、皆さん、公募資料もしくは説明会のときの資料を見て応募される、用意されると思うので、そこはもう少し広目に例示を並べられたほうがいいかなという気がします。かなり具体性があるものが書かれているように見えるので、もうちょっと広く構えたほうがいいかなと。今日ここに出ている資料を変えてくださいというのではなくて、むしろ公募のときに気をつけていただけたらと思いますと、そういうことです。
【有川部会長】 配慮させていただくことになると思いますが、考えられるものを全部書くというわけにもいかないでしょうから、通常は、例としてある程度書いて、それを一般化して考えていただくということになると思います。いかがでしょうか。
【神部量子放射線研究推進室専門職】 量子放射線研究推進室の神部と申します。室長の原が海外出張のために退席いたしましたので、代わって回答させていただきます。
原からも回答させていただきましたが、公募の場合については、必ずしもテーマを限定した形ではなく、この中間報告で挙げられている趣旨に沿ったものであればくみ上げていきたいとは思っておりますので、先ほどいただいたご意見も踏まえて対応していきたいと思います。
【有川部会長】 それでは、ほかにございますでしょうか。
はい、中西先生。
【中西委員】 非常にいい開発プログラムだと思いますが、光科学だけをとりましても、昔からのスペクトルも踏まえると、ありとあらゆる最先端研究を切り開いてきたのは光科学です。量子ビームといいますと、今伺っていますと、大型機器を使うところかと思いますので、もう少し定義をきちんとする必要があると思います。例えば今回は例えばレーザー光に絞るなど、何をねらっているのか少しわかりにくいと思います。先ほどから議論がありますように、電磁波ということでしたら、放射線も含まれますすし、光も同じです。何と何が新しいものかということが知らない人にとっては非常にわかりづらいと思います。ですから、定義とまでいかなくても、ここでの光はこういう範囲だとか、量子ビームはこういうことだとか、もう少し説明があってもいいのかなと思いました。それが1つです。
あと、これは質問ですが、公募プログラムなので、例えば基礎研究をきちんと維持し、継承し、発展させるというようなことはなくていいわけですよね。対象ではないわけですよね。
【神部量子放射線研究推進室専門職】 光と量子の定義につきましては、中間報告の「はじめに」のところで簡単に書かせていただいてはおりますが、確かに厳密にどちらがどこに入るかというところにまで踏み込んだ切り分けという書き方は実際なかなか難しいです。例えば、レーザーだから光なのか、放射光だから量子なのかと、それは厳密に分けるというのはなかなか難しいところがありますが、例えば公募の際などにそこはできる限りわかりやすく定義できるような何か工夫のほうは考えていきたいとは思います。
基礎研究の件につきましては、今回の中間報告でも挙げさせていただきましたが、中間報告の中では、グリーンイノベーションとライフイノベーションと、あと、基盤技術開発についても非常に重要な要素と考えております。その3つを柱とさせていただいておりますので、例えば加速器に関する基盤技術も今回の公募の対象にもなってくるとは考えております。また、光と量子の融合という中でも、その中での画期的な発明、基礎研究というのももちろん対象としては含まれることとは考えておりますので、基礎研究がこの対象に含まれないというふうなことはないと考えております。
【中西委員】 お伺いしたかったのは、どちらかというと大型機器を使う人たちのためのプログラムということでしょうか。大学や研究所などの大型機器を持っていないところも随分いろいろな研究をしていると思いますので、そこら辺の人も支えていく、つまりスコープにあるのかどうかということをお伺いしたかったのですが。
【神部量子放射線研究推進室専門職】 失礼しました。確かに今いろいろな大型機器ができて、SACLAもJ-PARCも共用が開始されたということは、それは1つのきっかけではありますが、大型施設を使った研究でなければならないという趣旨ではございません。放射光だったり、中性子だったり、ミュオンビームなどいろいろな技術の組み合わせによってこのようなやり方ができるという、そういうふうなご提案をいただきたいというのが趣旨でございますので、大型施設を対象としているというふうなわけではございません。
【中西委員】 ありがとうございます。
【有川部会長】 よろしいでしょうか。その辺はネットワークというようなところにあらわれているんだろうと思います。
はい、瀧澤先生。
【瀧澤委員】 ありがとうございます。私の理解不足かもしれませんので、ご質問を何点かさせていただきたいんですけれども、まず事前評価のところの3ページ目でしょうか、「光・量子科学技術研究拠点形成に向けた基盤技術開発」というページがありまして、そこにネットワーク研究拠点のイメージ図というふうなものがかいてあります。こういうネットワーク研究拠点が今回の公募の対象としては必須であるということでしょうか。それが1つの質問です。
それから、あと2つ質問があるんですが、これ、公募の名前に「イノベーションの創出」というふうにうたっていますので、5年程度で一定の成果が出るものと書いてありますけれども、イノベーションと一定の成果というのをどのようにとらえていらっしゃるのか。ある程度科学的な成果が出たとして、それが実際に産業化につながっていくにはまたさらにいろいろなステップが必要かと思うんですが、そこに応じた例えば知財の扱いとか、産業界との連携の仕方とか、そういうところはどういうふうに考えていらっしゃるのかということをお伺いしたいと思います。
また、企業との連携が不可欠というのであれば、例えば相手先はどういった企業であるのかとか、あるいは全く新しい産業の場合には、まだない企業を育てていくようなそういった活動も含まれるのかどうかといった点もお伺いできればと思います。
【神部量子放射線研究推進室専門職】 ネットワークのことからまずご回答させていただきたいと思います。この資料で挙げさせていただいているネットワークのイメージ図は、今現在進んでおります光の創成を目指したネットワークプログラムの資料をそのまま使わせていただいているということで、今の光の事業はそのようなネットワーク、この図でかいてあるようなイメージでやらせていただいております。ただ、新しく立ち上げようとしているものについても、ネットワークという形も非常に重要なキーワードと考えておりますが、具体的にどういった形にするかといったことまでは、正直、今、まだ検討しているところでございます。ただ、ネットワークというのは1つのキーワードになっておりますので、何かしら機関同士が協力した形で応募していただくということは考えられると思います。
イノベーション、5年程度の成果についてですが、まず5年程度で事業化するところまでというのは、正直、我々も無理だと思っております。あくまで基盤となるような技術ができるというふうな、5年程度はそのぐらいのもので、できれば、さらにその後5年以降でそれをどうやって実用化していくかといったことにつなげるような支援というか、そういうふうな施策に将来的には取り組んでいきたいというふうなことも念頭に置いておりますので、まだここの段階では事業化とかそういうふうなところまでは難しいとは考えております。
企業との連携についても、我々としては、出口を見据えた研究開発の重要性をこの中間報告の中でも記載させていただいております。そういった意味で、企業と連携したような形でネットワークを組んでいただくというのは非常に望ましいものだとは思いますが、それが必須要件になるのかとか、具体的にどういった企業になるのかといったことまでは、残念ながらまだ検討が進んでいないというような状況でございます。
【有川部会長】 ありがとうございました。よろしいでしょうか。
それでは、本日いただきましたご意見等を踏まえた上で、中間報告及び事前評価(案)を取りまとめたいと思います。若干修正しなければいけないところがあるかと思いますが、その点につきましては、事務局と私のほうにお任せいただきたいと思います。よろしいでしょうか。
(「はい」の声あり)
【有川部会長】 ありがとうございます。
それでは、3番目ですけれども、数学イノベーション委員会中間報告についてに入ります。数学イノベーション委員会におきまして、これまでの調査検討を踏まえ、中間報告(案)を取りまとめていただいております。事務局から資料の説明をお願いいたします。
○粟辻融合領域研究推進官より、資料3に基づき説明があった。
【有川部会長】 数学イノベーション戦略の中間報告について説明していただきました。ご意見、ご質問等がございましたらお願いします。
はい、高木先生。
【高木委員】 この報告書の中に、数学とその他の分野・産業との橋渡しをする人材が不足している、また育成が大事だということが書かれていると思います。この方向性を、イノベーションを加速、発展させるためにはこの人材が不可欠だと思うんですが、その人材をどう育てるのかというのがこれを読んでもちょっとよくわからないというか、弱いような気がします。実際にはここに書いてあるのは、若手の人を雇って、研究集会とかワークショップに参加させるというようなことが書かれているんですが、これではなかなか現実にそれで飯を食っていくということにならないと、そういう人はほんとうには育ってこないんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
【粟辻融合領域研究推進官】 人材の育成は極めて重要だという認識は、委員会でも議論をいたしました。先ほど簡単にご説明しましたけれども、一応ここで人材育成の手段として考えている部分が、この報告書で申しますと16ページの部分に記載されています。16ページの部分から、数学界における人材育成という部分が始まっております。特に1の部分に、具体的な諸科学・産業との協働、先ほど申しました研究集会とかワークショップの企画・運営に実際に参画させるということによる人材育成ということを書いております。
その後にありますように、次の17ページの4に新たなキャリアパスの構築ということを書いています。今ご指摘あったように、ただ若手研究者を雇って、実際の研究集会とかワークショップの運営の場に参画させるというだけではなかなかその先にうまく進めないんじゃないかというのはごもっともで、そういう意味で新たなキャリアパスを構築していくというものが極めて重要であろうということで、ここの4のところでは、いわゆる企業へのインターンシップ、これは先ほど参考3でお示ししましたけれども、一部の大学、九州大学なんかでは既に行われつつあるわけです。こういった事例が実際の企業の就職にもつながっているという事例もございますので、企業へのインターンシップが新たなキャリアパスを構築していくという面では非常に有効ではないかということです。
それから、5にありますように、あともう1つは、数学界でも十分にほかの分野との連携あるいは産業との連携という活動を評価する必要があるということがかねてより言われております。ここで書かれている具体策としては、例えば新たな成果発表の場であるジャーナルなんかを設けるとか、あるいはほかの分野の学会との組織的な交流を図るとか、あるいは4にありますように、若手研究者にインセンティブを与える必要があるということで、例えばほかの分野とか産業との協働に取り組んだ若手研究者を何らかの形で表彰してやるとか、あるいは採用なんかの際の評価基準として明示してやるとか、これは一部でもう行われつつあるわけですけれども、こういった取り組みが今後さらに必要になってくるという形で、いわば今後のキャリアパスの話、あるいは若手研究者に新たなインセンティブを与えるといった観点から、人材育成に向けて若手研究者がこういう部分にも進めるということが可能になるような環境づくりをしていく必要があるという、そういう報告書の取りまとめ方をしています。
【有川部会長】 よろしいでしょうか。
【高木委員】 すみません、いろいろ書かれているんですけれども、そのインセンティブも、結局、数学のコミュニティの中でのインセンティブとかキャリアパスみたいな印象をこれを見ると受けるんですね。やはり極論すれば、数学の世界から飛び出していって違う分野で飯を食っていくという覚悟がないと、それはうまくいかないんじゃないかと思うんですが。
【粟辻融合領域研究推進官】 ほかの分野に飛び出していくことも重要だと当然認識していまして、例えば次のページの18ページのところに、諸科学とか産業における人材の育成が書かれています。1の諸科学における人材の育成と書かれているところの一番最後のパラグラフ、「また」のところで、大学の学部とか大学院で数学を専攻した後、諸科学とか産業に進んで活躍している研究者、こういった方を数学との連携をする場合の橋渡し役として、あるいは中心人物としてうまく活用していく必要があるということを記載しています。そういう意味でも、数学・数理科学を専攻した人がほかの分野産業に進むというのは非常に意義があって、それをうまく後押ししていく必要があると考えています。
【有川部会長】 北川先生。
【北川委員】 数学イノベーション委員会の委員の1人をやっております北川です。委員会全体としての理解ということでご説明いただいて、それはそのとおりだと思いますが、多少個人的な意見になりますが、述べさせていただきます。
特にビッグデータに向けて数理科学、統計、情報科学等が今後重要な役割を果たしていくためには人材育成が必要だということで、どういう人材かということですけれども、やはり方法に関する部分と領域の知識、それを橋渡しできる、あるいはつなぐことができる、あるいは両方理解できる、そういう人材を育成していかないといけないと思っています。
例えばいろいろな言い方がありますけれども、研究のコーディネーターであったり、キュレーターであったり、モデラー、そういった人材が不可欠で、それを育成していくということが数学のイノベーションを実現していくに当たって必要だと考えています。言葉としては、我々、よく言われていますけれども、T型の人材、Π型の人材、横型と縦型、両方を備えた人材、それをつくっていくことが必要と具体的に考えております。
【有川部会長】 よろしいでしょうか。高木先生、納得されましたか。
【高木委員】 いや、必ずしもまだ納得していないんですけれども。
【有川部会長】 基本的には、数学の人たちが外に出ていって、そこで新たな、数学以外の問題と出会うことによって、自分たちの数学に対するモチベーションも上がります。そして、やはり自分たちの力が求められている領域が世の中にたくさんあるんだというようなことを知り、それに対して実際に具体的に解決する、貢献をするといったことを通じて、はずみがどんどんついていくというようなことだろうと思います。
そういった例は、最近でも、昔からもいろいろあると思うんですけれども、数学というのはかなり奥が深かったり、広がりも持っていて、それゆえに、自己完結型といいますか、そこの中で展開しようと思えば十分やっていけるという時代が相当あったわけです。しかし、その中でやっていくと、やはり新たな発展、この言葉でいいますとイノベーティブなことにはつながっていかないというような認識が数学界の中でも生まれてきたということだろうと思います。
そして、こういった活動を通じて、積極的に外と接触を図っていこうというような動きが出てきたということは、非常に画期的なことで、おそらくそういったことを通じて、高木先生も懸念されてるのだと思います。これは、ですから、頑張って数学界に新風をもたらすというよりも、外に活躍の場がたくさんあって、そして、実際に貢献することによって、数学界が活性化していく。そして、関心を持つ学生も増えてきて、彼ら、彼女らが外へ出ていって活躍するといったいい循環をつくっていくというようなことになっていくのではないかと思っております。この時期に数学の人たちがこういったことを考えられたというのは非常に新鮮な画期的なことではないかと私は感じております。
どうぞ。
【若槻委員】 私も非常に画期的な提案だと思います。数学とおっしゃられるときに、純粋数学なのか応用数学なのかというのが、これを読んでいてよくわからないところがあります。時々、純粋数学の方を指して数学界とおっしゃっているようにも見えますし、応用数学にかなり近いところの方を指しているときもあるような気が。その辺はっきりさせる必要はないのかもしれないんですけれども、私としては、どのぐらいの方を含むのかというのがもうちょっとわかるといいかなと思います。
なぜこういうことを申し上げているかといいますと、ある学術書で、数学、物理、化学、生物というのが一緒になって、最後、選考会をするときに、どうしても数学の方の説明、数学の賞の説明が物理、生物、化学の人たちになかなか伝わりにくいんですね。選考のときにいつも困るということがあったりするんです。
実際に賞を取られた方と話をしてみると、「どういうふうにして研究されているんですか」と聞いたらば、「基本的にひとりでするんです」とおっしゃるんです。どこかに書いてありましたけれども、数学イノベーションというのは、個人プレーではなくて、やっぱり組織としてしなければいけないと、私もそれはほんとうにそうだと思うんですけれども、数学界といったときに、数学界の頂点に立っている方、これから立とうとされている方々の認識とこれがどういうふうにマッチするかというのは、やっぱりもうちょっと具体策が必要なのかなという気がするんです。
それで、私からの提案としては、さっき高木先生がおっしゃられたのをもうちょっと具体的に言わせていただきますと、生物科学の分野で数学者というのは実はたくさん必要なんですね。ライフサイエンス委員会の議論なんかでは、ついこの間の議論、何回か前だったと思いますけれども、バイオインフォマティクスをする人がとにかく圧倒的に少ないんだと言っていた。これをどうやって増やすかという話をしていて、いろいろなところから引っ張ってこなければもちろんいけないんですけれども、バイオインフォマティクスというのはやっぱり少なくとも数学のバックグラウンドがないとできない仕事ですので、たくさん必要なのは間違いないんですよね。例えばそういう具体的なルートといいますか、サイエンスとしても必要としているところがある。
それから、生命動態の議論もありましたけれども、そこでもやはりモデルをつくるというようなときに、とても大きなスケールのデータ、複雑なデータで階層もあるようなデータからどうやってモデルをつくるかといったときには、やっぱり数学的な思考がなければできないはずなので、そこでも間違いなく人材が要求されているということですので、私はもうちょっと具体的に出していくと。数学の方が一歩踏み出す場所というのは実はもうたくさんあって、手を引っ張って中に入ってほしいと思っている分野はたくさんあるんだと思うんですね。そこをもう少し具体的に書かれると。産業界、イノベーションというのは確かにそうなんですけれども、でも、実際に何をしようかといったときには、もう求められている場所があるということは、私はむしろエンカレッジブじゃないかと思います。
【有川部会長】 ありがとうございます。おそらくこれまでは、特に日本では、数学ですと純粋、応用と分けてやってきたわけですけれども、そういった分け方自体がおかしいのではないかというような考え方があるんだと思います。純粋の数学のつもりでやっていたら、それがとんでもない大ブレークをするというようなこともあるわけですし、応用と思っていたら、実は数学のやり方を根本的に変えることにつながっていくというようなこともあると思います。
それから、今おっしゃいました、例えばバイオインフォマティクスとかそういったことは、特に生命科学関係ではものすごく需要がありますが、「自分たちの既存のフィールドのために役に立つところがたくさんあるから、こっちへ来い」というようなことではなくて、おそらく数学の人が主体的に出ていって、そして、カテゴライズされたようなところではなくて、新たな領域をどんどんつくっていく。そういったことができるように世の中はなっていますし、そういうことをやっている人も結構いますよということをここは言っているんだと思います。
こういったものが進んでいきますと、多くの人たちがここに関わってきて、課題になっているようなことに次々に取り組んで解決していくといったことになるんではないかなと思います。そういう意味で、基礎とか応用とか言わないでやっているんだろうと思います。
それからもう1つは、人材育成ということで、これまでのやり方ですと応用数学者を育成するというようなやり方になると思いますが、その人たちはやはり応用数学者として教育されますので、結局そこにピタッとはまったところはやるかもしれませんけれども、そこでおさまらないことに関してはできないといった反省などがおそらくあるんだろうと思います。
私はこのグループに出ていたわけではありませんが、北川先生、どうぞ。
【北川委員】 今お話があったように、例えば数学という言葉の定義、あるいは数学にするか、数理科学にするかとか、そういう議論については最後までございましたけれども、とりあえずこういう形におさめています。
それで、今、有川部会長が言われたように、例えば純粋と応用という、これまでそういう仕切りがあったり、あるいは演繹的方法と帰納的方法があって、従来数学ではほとんど演繹的な部分だけ取り扱ってきました。しかし、ここではそういうものをすべて含めて数学として、知識発展のサイクルにおいて、演繹・帰納を回していくような形で、すべてを担っていきたいと考えています。
これは1つは、従来の数学は、主に物理的なものをイメージしていて、そのもとで発展してきたと思うんですけれども、20世紀後半になって、生物であったり、生命科学、経済学、心理学等が発達し、さらに現在は非常に大量のデータが出てきて、あらゆるものを科学的に解明しようという形になっております。そうすると、モデル自身のイメージも非常に変わってきて、場合によっては、真のモデルなんていうのは考えられないけれども、知識獲得のためにある意味で道具としてのモデルをつくっていかないといけない。モデルを発見する、推定するというよりはビルド、すなわち構築するという立場も出てきております。
一番顕著なのがサービスサイエンスです。従来の産業というのは、一般的な知識を使って、それを具体化して産業に結びつけていくというものですけれども、サービスになってくると、一般的な知識を活用するいわゆる大量生産・大量消費の方式ではうまくいかなくて、個々のニーズをとらえながら、例えば薬であれば、その人のゲノムの情報等を使ってその人に合った薬をつくるとか、また教育、観光、情報提供など多くの分野でそういう形のサービスが要求されています。
そこに必要なのは、一般的な知識だけではなくて、データから得られる個別の対象に対する知識なんですね。それをいかにして組み合わせて実現していくか。そこに情報の統合が必要になってきて、そのための方法を今後開発していかないといけないと思っています。そういう意味で、データが増えたことによって社会とかサイエンスのあり方が非常に変わってきていて、それに伴って、科学の基盤と考えている統計とか数学、情報、それ自体がこれから変わっていかないといけない。そういう意味で、社会の産業のイノベーションを起こすと同時に数学自体のイノベーションを起こしていかないといけないと、そういうつもりでまとめたつもりでございます。
【有川部会長】 はい、中西先生。
【中西委員】 今、北川委員がおっしゃったとおりだと思います。数学というのは、考え方を学び進化させるというところがあると思いますので、ほかの分野に数学者が入って数学的な取り組みが浸透していくと、新しい考え方がどんどん生まれていくかと思います。その場合、社会科学的とか人文科学的、それから、文系の人のフィロソフィーみたいなものも同時に入れていかないと、特に金融工学など人間を相手にするような分野では、特に新しい考え方を社会全体のトータルなものとしてつくっていかないといけないと思います。ですから、ここでは他分野とほんの少し書いてありますが、文系の人との融合についてもやはり考えていかないと、真に社会に役立つイノベーションの発展にはならないのではないかと思いました。感想でございます。
【有川部会長】 例えば4ページあたりに経済・金融、環境といったことで若干はございますが、もともと分野を特定しない領域でもあると思います。それから、どこかに書いてあったと思いますが、具体的なものを抽象化することによって全体を体系的につかまえるというようなことなどありますけれども、その辺は人文社会科学にも適用できるような感覚であって、それはある意味では哲学にも関係するところなのではないかという気がいたします。北川先生、実際に携わった方としてどうですか。
【北川委員】 数学や数理科学は最終的には非常に抽象的なものですけれども、やはり個人的には、具体的な課題を考えつつ、その中で抽象化し、汎用性を得ることによって非常に大きな効果が出ると思います。したがって、やはり具体的な問題を考えるということも大事だし、汎用的な方法として抽象化していく、その2つが不可欠で、両方が必要だと思っています。
【有川部会長】 ほかにございませんか。
はい、どうぞ。
【南波委員】 いただいた21ページに中間報告書の概要がございまして、ここのところで背景と現状認識、これがまさに今まで議論されているところだと思うんですけれども、産業界を含め、数学がいかに外から求められているかというのが1つ目の項目だと思います。
その観点で見たときに、何で日本がまずいのかというのが多分2つ目の話で、アメリカ、ドイツ等と比較すると不十分とされている。それに関する記載を見ると、外国ではこういう数学の研究所があってというような書かれ方をされていますが、大事なのは、それよりももう1つ下の次元、つまり、何でそういう状況になっているのか、日本でなぜ、産業界を含めて、必要とする研究所がこれまでできてこなかったのかということをまず考える必要があるんじゃないかなと思いました。
それは、先ほど若槻委員がおっしゃったように、実際に求めている人たちはいっぱいいるんだけれども、いわばミスマッチの問題でこれがうまく機能していなかったという話なのか、それとも、求められているものに対して、対応していくだけの塊というか、組織的な形として動けなかったということなのか、どこに問題があったのかという点を教えていただきたい。それを受けて、だからこういう拠点が必要なんだという理論に行くんだろうと思うんですけれども、なぜ日本ではそれがこれまで、外国ではできたことができなかったのかを教えていただければと思います。
【粟辻融合領域研究推進官】 すみません、説明が不十分なところがありました。この報告書でも簡単に触れていますけれども、現状の問題点というか、背景ということなんですが、特に第1章の5ページ、我が国における状況の1の一番最初に書いています。まず大前提として、最初の4行のところですけれども、我が国における数学の本格的研究は、ここにありますように、応用に直接結びついた分野よりもかなりおくれて、1920年ごろに始まって、伝統的に整数論とか代数幾何といったいわゆる純粋数学分野が中心で、どうしても統計も含む応用数学が相対的に軽視されてきたという背景があったというのが1つ大きなバックグラウンドとしてあろうかと思います。
その上で、そうはいっても、後で説明しましたように、それでは非常に問題があるということで、ここにある平成18年の文科省科学技術政策研究所の報告書なども踏まえて、また、学術会議や日本数学会などからもご提言もいただいて、幾つかの取り組みは行われつつあるわけでございます。幾つかの研究成果も出ているわけですけれども、それはまだまだ個人の献身的な努力によるものであったり、一部の組織によるものであったりするので、ほかの分野とか産業とかの連携に関心を持っている、あるいは関心を持つ可能性のある数学研究者、あるいは特に若手研究者、これをもっと全国的にうまく組織化してやって育成するとともに、拠点を設けて活動の中心にしていくというのがこの考えです。
諸外国の事例というのは、確かにここに参考資料としてつけておりますのは、参考2に米国、ドイツ、中国の事例。ここではわかりやすい事例ということで、どうしても研究所の組織なんかがいろいろもうできていますよということを中心に記載しているわけです。
米国の例で申しますと、98年にオドム・レポートと言われるレポートが出されておりまして、ここでは内容に触れていませんけれども、要するに、当時、数学研究に対する危機感、特に、このままだと数学研究者の多くは外国人になってしまって、米国の数学研究の力が落ちてしまうんじゃないかという話であったり、あるいはほかの分野とか産業との連携が進まないがゆえにいろいろな意味での損失をこうむっているといったそういう危機意識があって、それを改善すべきだという内容の報告書が98年に出されました。それを受けて、90年代の半ば以降から、意識的に数学研究、特に学際分野を中心とした数学研究の投資がすごく増やされているという事情がございます。
ドイツなどでも同じように、数学がいろいろな意味での国際競争に勝つ上でのキーとなるテクノロジーだという認識のもと、こういった組織的な取り組みがなされるようになっているということです。
日本でも同じようなタイミングでこういうことが始まればよかったんですけれども、時期的にはそういう意味で若干おくれてはいるわけですが、認識としては、当時のアメリカやドイツと同じ認識を持って、これまでここ数年間そういう活動がいろいろなところで行われつつあり、今後、より組織的、全国的に行う必要があるという、そういう考えでおります。
【有川部会長】 少し補足しますと、日本では、こういった関係でいいますと、おそらく一番早くできた組織としては統計数理研究所というのがあります。これは七、八十年前ぐらいだと思いますが、現在の情報システム機構の中の研究所、北川先生のところです。そこはさまざまな活動をしていまして、非常にプラクティカルな、人文社会系も含めて関係したところとしては、例えば1類、2類とという分類の話がありました。それから、最近ですと、赤池情報量とかですね。先ほどモデルのことをおっしゃいましたけれども、そういったものもあります。
それから、50年ぐらい前に京都大学に数理解析研究所というのができまして、これは数学と言わずに数理解析という言い方をしまして、この中には、昔、その時代の言葉でいいますと、アプライドマス的なものも入っていたと思います。それから、数学系の大学で、確率であったり、ちょっと応用的なニュアンスの入ったような講座などはちゃんとあったと思います。
それから、大学の中でいいますと、例えば東京大学の計数工学。それから、京都大学の数理工学とかいうようなところがありまして、その辺はかなり数学的なことを実際に新しいフィールドで適用するというようなことに関して顕著な取り組みをなさって、非常に多くの優秀な人材を、フィールドでも、数学者としても立派な方を輩出されていらっしゃると思います。
問題は、なぜ日本がということからしますと、そういったことでリードしていた面もありますが、数学といったときには、日本の数学界というのは純粋数学をほとんど意味します。アメリカやドイツ、ヨーロッパ諸国でも、数学といったら、例えば力学なども含めて非常に広くとらえるというところがあります。相当前ですけれども、アメリカの数学界の会長はコンピューターサイエンスの人であったりというように、そういったことは諸外国では進んでいたんですけれども、日本は純粋数学とそうでないものがわりと区別されてきていたような時代があったと思います。
それで、実際に最近、特にセキュリティー関係あるいはコンピューターサイエンスなどで、そういうところが見られるわけですけれども、いわゆる応用ということではなくて、純粋数学がそのままダイレクトに貢献するというような面も出てきたと思います。そういったこともあって、ほかの要素もあると思いますが、日本の認識がかなり変わってきた。自分たちの認識も変わってきて、それから、それを取り巻く状況も変わってきたと考えられるのではないのかなと思います。
例えば参考2のところに、アメリカではSTEM、Science,
Technology, Engineering and Mathというような格好で、4つ挙げるとするとそういったようなところに入っているというような、この辺も端的にあらわれているのではないかと思います。そういうことなどを考えますと、今回数学イノベーションというような切り口でこういった俎上に上がってきたということ自体が非常に画期的なことだと思います。
【高木委員】 誤解されたら困るのでもう一度申し上げますけれども、数学の重要性、それから、この報告書に書かれたことは全く大賛成なんですけれども、ただ一方で、先ほど申しましたように、何となくまだここで活躍した人がやはり数学のコミュニティの中で評価をされないとなかなかその後のキャリアパスが広がっていかないとか、さまざまな問題が結局残っているような気がいたします。
ですから、出会いの場とか議論の場をしても、結局やっぱりそれが終わると自分のフィールドに帰っていくというようなことにどうしてもなってしまうような気がするので、もう一歩踏み込んで、例えば拠点の中で雇われる次世代若手研究者は、先ほども出てきたライフサイエンスでも金融でもどこでもいいんですけれども、そこに5年なり10年行って、そこで飯が食えるような、その間はサポートするというぐらいの、何かもうちょっと踏み込んだ提言があってもいいんじゃないかというのが私の申し上げたことです。
ですから、こういうふうな一歩を踏み出されたことは大歓迎なんですけれども、もう一歩、二歩、強い踏み込み方もあるんじゃないかなというのが私の意見でございます。
【有川部会長】 この辺はいかがですか。
【粟辻融合領域研究推進官】 すみません、ありがとうございます。この拠点での機能として、数学と他分野との連携ができるような能力のある人材、特に若手研究者を育成していく必要があるだろうということで、そのための手段として、ポスドク等の若手研究者を一定期間雇って実践的な活動に従事させるというのが、人材育成上一番有効ではないかということでこのように書かせていただいているわけです。
その後のキャリアパスとしては、先ほど企業へのインターンシップの話もありましたけれども、企業へのインターンシップだけではなくて、当然、内容によっては、ライフサイエンスなんかをはじめとするほかの分野に進んでいただいてキャリアを積んでいただくというものも当然必要であり、また重要ではないかと思っています。
例えば20ページで拠点の体制のようなものを書かせていただいておるわけですけれども、なお書きの手前で間が1行あいている部分からさかのぼって6行上、「このほか」というところですけれども、「このほか、これらの「拠点」における諸科学・産業との間の「橋渡し」役としては、大学の学部や大学院で数学を専攻した後、諸科学分野や企業で活躍している研究者・技術者を活用することも有益である」とここでは書いています。
こういったように、そもそも数学を専攻した学生が、ほかの分野や産業界との連携に興味を持って、キャリアパスとして、先ほどの企業のインターンシップなんかを通じた企業への就職、あるいはほかの分野での活躍を通じて、それが例えば最終的に時間を経て、こういった拠点の活動に協力してもらえるとか、あるいはほかの分野での数学との連携・協力の間の橋渡し役になってもらうとかそういったことを期待しておりますので、そういう意味でこういったところで育成するほかの分野との橋渡し役になるような若手の数学研究者の今後の活躍の場としては、企業もあれば、当然ほかの分野もあって、それがさらに将来の連携を深めていく役割を担っていくことになるのかなと。また、それを期待しているということでございます。
【吉澤委員】 委員長、いいですか。
【有川部会長】 はい、どうぞ。
【吉澤委員】 理念とか全体論としては、人材育成も含めていいことづくめなので賛成いたします。それで、21ページに具体的な指針方法というのが書いてあって、例えば2の数学イノベーションに必要な人材で、人材育成すると。どうやってやるかという具体的なところがここにはポツ書きで3つ書いてありますけれども、事業として例えば5年やるとして、どうやるかという施策としてのつくり上げがもうちょっと必要で、例えば35ページ、36ページから39ページ目のところに、課題解決型研究のテーマ例というのをきちんと表にされていますよね。こういうものに対してどういうふうに取り組むかという話は全く聞けなかったと思うんですね。
これは連携ワークショップでテーマをマイニングして、これだけやったらこれだけ数学を活用しているテーマを掘り起こせましたよということをおっしゃっているわけで、この報告書に書いてあるわけですよね。そうしたら、次の5年間、例えば推進方策のところで拠点をつくるんでしたら、そこで例えば若手を諸産業との協働による研究集会の企画・運営や共同プロジェクトの推進と書いてあるときに、例えばペタコンの京が、研究分野1、2、3、4、5と大分野で分けて、それぞれに大きなコンソーシアムやプロジェクトチームをつくって推進するというやり方をされていますが、そんなものを参考にして、1の複雑な構造の解明とか、将来の変動の予測とか、大分野、ほんとうに全然違う分野に適用できるもの、しかも課題解決型の実例で5年間で結果が出せそうな施策かもしれないし、若手はそこに参加したら、ほんとうに純粋数学だとか応用数学だという哲学論議を外して貢献できたという、モチベーションが上がるプロジェクトに参加できるんじゃないかなという気がして。これを拝見していて、そういうところに若い人を、大きなグループごとにPOやPIを用意して、放り込んで、それで経験値を積ませてやるという人材育成を施策として考えてみられたらいいんじゃないかなと。もうそう考えておられるのかもしれませんけれども、皆さんの議論を聞いていて、そんな印象を持ちました。
【粟辻融合領域研究推進官】 ありがとうございます。35ページ、36ページから5ページぐらいにわたって提示させていただきましたのは、今もちょっと触れさせていただきましたけれども、昨年度1年間、文部科学省と大学等との共催という形でワークショップをやった結果、今後、数学とほかの分野あるいは産業との協力が必要な課題、テーマはどんなものがあるのかというものを整理した表でございます。
これは当然、参考にはなるわけですけれども、ここに出された課題、あるいはそもそもここで実施された20件程度のワークショップのリストが39ページに最後、出ていますけれども、このワークショップ自体はいわゆる数学あるいは広い意味の数理科学の研究者からの提案によるものです。これはもちろん参考にはなるわけですけれども、今後、もう少し全体を見渡して、何が重要で、どういう課題について重点的に研究を進めるべきなのかということの検討も含めてこの拠点でいろいろ検討していただいて、具体的な課題解決のためのもう少し深い議論をする研究集会の企画とか、あるいはその後、実際の具体的な研究につながっていくような道筋づくりとか、そういった活動をこの拠点で期待しているということでございます。具体的なテーマの設定なども、35ページからの表が1つの参考というか、ベースになるのかなとは思っています。これをもとにもう少し具体的なことを考えていきたいと考えています。
【有川部会長】 はい、どうぞ。
【伊藤委員】 言葉が違う分野間で協働するというのは、通常、言葉が通じないことがかなり多いわけで、かつての医工連携も、医と工では言葉が全然違って通じなかったわけですね。ところが、今、かなりいろいろなところでやられるようになってきたというのは、やっぱりそこの間にインタープリターが私は必要だと思うんです。やっぱりインタープリターは学のほうにはいなくて、産業界には数学をやられた方がたくさん働いているわけで、数学もある程度わかっていて産業界がわかっているような方をぜひネットワークの拠点に呼びながらこの事業をやるということにしないと、これ見ますと、学のほうからシーズの提案をしなさいと書いてありますけれども、そのシーズの提案は、まず受け入れられるような提案は出てこないんじゃないかなと思いますので、何とかそこに、人材育成の前に、育成するための仕掛けを1つ入れられたらいいんじゃないかなと思いました。
【有川部会長】 人材育成についていろいろご意見をいただきましたが、数学のある種の文化というか、特殊性が少しあるように感じています。そういうことで、やり方としては、先ほど書いてあるような、漠とした感じに見えるかもしれませんけれども、実はあのくらいにやっていたほうが効果が上がるということをこのワーキングの人はご存じなんだと思います。ほかの分野のようにカチッとはめてやっていくということをやっていったら効率的にいくかというと、そうはいかないようなところがある。そういった面があるものですから、これまで数学がこういった場に、表に出てこなかったというところがあるのだろうと思います。
人材育成に関してかなり具体的なご意見も言っていただきましたので、それなども含めて検討させていただきまして、中間報告を取りまとめたいと思います。その辺のやり方につきましては、事務局と私のほうにお任せいただきたいと思います。長時間ありがとうございました。
それでは、もう1つ、4番目ですけれども、研究開発プラットフォーム委員会中間報告についてというのがございますが、そちらに入っていきたいと思います。中間報告案を取りまとめていただいておりますので、事務局からご説明いただいた後で、少し時間をかけてご意見をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
○竹上基盤研究課課長補佐より、資料5-1、5-2に基づき説明があった。
【有川部会長】 それでは、ご質問等いただきたいと思います。
はい、どうぞ。
【小幡委員】 大変よくまとめていただき、ありがとうございました。2点ほどコメントさせていただくと、このシステムがどうあれば最もうまく成果が出たかという評価の視点をどこかに入れておかないと、言いっ放し、つくりっ放しになると思うんです。その点は多分委員会でご議論になったんでしょうけれども、そういうことを加えていただかないと、つくりました、サービスしなくても、使われなくても使われても、全く評価に関係ないということになりかねないですね。しかも、交付金なり補助金は、利用者の多さ少なさによって左右されない。そうすると、全く利用されないほうが運営しているほうは楽だという不思議な現象が起きかねません。
ですから、その辺も含めて、こういうシステムは大事だと思うし、ぜひ成功していただきたいと思いますけれども、どうやってこのシステムが最終的に高い成果を得たかという評価のシステムまで入れていただけると、今後の方針を明確にできるのではないかと思った次第です。それが1点目です。
2点目は、こういうものをつくる意味というのは、我が国の研究全体を見ると、小さいものをたくさんつくるよりも、1つ拠点なり基盤をつくってやるということは、やっぱり研究の効率化に大きく寄与すると思うんです。そういうところでは、すぐれた技術、高度な技術、また標準化された技術でもって再現性のある研究結果が得られることは最も大きいことだと思うんです。そういうことの必要性が、多分本文には書かれていると思うんですけれども、このA3のほうには書かれていないような気がしますが、その辺も委員会ではどのようにご議論されたのかをちょっと教えていただければと思います。
【柿田基盤研究課長】 施策としては、資料5-1の(1)のところなどを中心に、来年度の概算要求に向けて具体化を進めていきたいと思っておりますが、その際に、達成度をどのような指標ではかるのかということについて、あわせてしっかりと制度設計をしていかないといけないと思っております。確かにご指摘いただきました通り、報告書の中にはその点が少し欠けていたと思います。
なお、参考資料1としてもう1つ報告書をお配りしております。こちらは、現在進めております先端研究施設共用促進事業の新たな方向性に関するものでございます。具体的には来年度この事業を抜本的に拡充し、発展させることにより、プラットフォームの具現化につなげていきたいと思っています。この事業の今後の方向性について、審査評価会で議論をしていただいて、この提言をまとめていただきましたけれども、例えば12ページに記載がありますように、評価においてどのような点に留意するかということもご議論いただきました。ここで抽出されたような事柄も踏まえながら、今日ご提案した報告書の中に少し書き加えてみたいと思います。
【小幡委員】 よろしくお願いします。人材育成を拠点ですると思います。その辺も含めて評価の対象を考えていただければと思います。あるべき姿があって、どこまで行って、その次、何をすればいいのか、何を改善しなければいけないのかというPDCAサイクルを回すためには必要だと思いますので、よろしくお願いします。
あともう一点は、こういう共用施設なり大型の施設を国として準備する意味を明確に書いていただきたいと思うんです。というのは、例えばヨーロッパのESRFIなんかですと、ばらばらでやるよりは1カ所に投資したほうが投資効果としては非常に大きいのだという理論武装をしているわけです。その辺の理論武装がこの報告書にあるのかどうか。あまりないような気がするんですけれども、その辺の理論武装をしっかりしておかないと、大学の各研究室に同じ機械が何台も並んでいるということが起きますので、集中投資する理論武装を明確にしておいたほうがこういうものにはよろしいような気がして発言しました。
【有川部会長】 この大きな紙でいいますと、一応、現状と課題のところで表現はされていると思っているのですが、そういうことではなくて、もう少し強くということでしょうか。
【小幡委員】 はい、もう少し強目にですね。やはりこの最先端施設で提供するというのは、ほんとうに最先端の技術だったり設備だったわけで、それで研究を推進しようというわけですから、それは必要なことだし、もちろん推進してほしいと思いますけれども、そのときの理論武装をもう少し強目にしたほうがいいような気がします。
【竹上基盤研究課長補佐】 資料5-2の報告書では、今ある施設等をいかに最大限活用していくかということを最も重要視しておりますが、 12ページにある「(4)大型研究施設の整備に関する国家戦略の立案」の1つ目のポツに、「我が国が科学技術を国家戦略の柱として推進していく以上、今後も最先端の技術開発と基盤整備を持続的に進め、世界に先駆けて新たな科学的知見を獲得し重要課題の達成に導いていく、また、国際的な頭脳循環の拠点として大型研究施設を強化し続けていく、といった国としての強い意志を持ち続けるべきである。」ということを記載していますので、今、小幡委員がおっしゃったような話をここにもう少し書けると良いのかなと思っております。
【小幡委員】 私は応援団であるつもりですので、誤解のないようにお願いします。
【有川部会長】 厳しい状況の中で、既存のものをみんなでうまく使いながら、新しいものについては導入して、また同じように使っていこうと、そういったようなことをやるための共通の基盤といいますか、プラットフォームあるいはネットワークというようなものを構成していくといった趣旨だと思います。ご指摘ありがとうございます。
ほかにございませんか。
【樫谷委員】 先生、よろしいですか。すみません。
【有川部会長】 はい。
【樫谷委員】 素人で恐縮ですが、みんなで使えるというのは非常にいいと思うんですけれども、あるものに集中したりする可能性があるわけですね。そんな場合はルールが必要だと思うんです。そのルールはどこかで議論されているんでしょうか。それは順番が必要ですよね。1番からつけなければいけないんですね。そのルールをどうやってつけているのか、その辺もしどこかに書いてあれば教えていただきたい。書いてあるんですよね。
【柿田基盤研究課長】 一口に共用と言いましても、さまざまな取組があります。大きなものではSPring-8、J-PARC、SACLA、京がありますが、それ以外にも、先ほどご紹介いたしました先端研究施設共用促進事業の枠組みの中で、大学・独法のさまざまな施設を共用しています。このように、共用の取組を実施している主体は実にたくさんあります。
その中で、それぞれが独自の事業として利用課題を公募し、審査をして選んでいるわけです。また、それぞれの共用の実施主体において、公募、選定、採択の考え方がきちっとルール化されております。基本的には、その施設を使わなければできない研究なのかどうかとか、研究テーマとしてその装置を使うのが相応しいのか、そういった観点でそれぞれの実施主体において審査されるということでございます。したがいまして、今回の報告書の中では、そこは既にでき上がったシステムとして存在しているということで、そこについては特に指摘はしておりません。
他方で、関連する事柄で申しますと、利用申請の手続が、実施主体によって異なる部分もあるため、ユーザーから見ると使い勝手が良くない部分もあるというのが現状の課題としてあります。そういったことについては、利用システムをできるだけそろえていくなど、ユーザーになるべく使いやすい形にしていくための改善をしていくこととし、所要の改善方策を書いているところでございます。
【樫谷委員】 ちょっと前に、使いたいのだけれどもなかなか使えないということを聞いたことがあるので、そのような質問をさせていただきました。
【有川部会長】 ほかにございますか。
はい、中西先生。
【中西委員】 設備を最大限に利用するということで、この方向性はいいと思いますが、ひとつだけ気になることですが、人材育成のところで総合研究大学院大学(総研大)の話が全く出てきません。もちろんネットワークの中に大学もございますから、いろいろな研究所に学生を送ったりもできます。ただ、最近、研究所は一般の人に向けてオープンにしていることもあり、若い人がそこの設備を使ってこういう結果があるというのにあこがれて、とそこに行きたいということもあろうかと思います。そこで、直接行ける道が総研大であることがわかれば、非常に効果は大きいと思います。ワンクッションあって、大学から、それもある研究室が研究所と一緒に研究しているから、そのルートで機器を使いにいくのではなく、例えば学生がコンピューターを使ってこういうことを自分もしたいと思い、それも理研だったらできると思って、総研大の枠の中で学生自身が直接応募できるということはとても重要なことだと思います。
それから、全体的にやはり研究者対学生の比は、研究所のほうが断然高く、多くの研究者が1人の学生に力を注げるわけですから、有効な人材育成ができると思います。そこで、一言どこかに総研大の活用も入れていただければと思いました。以上でございます。
【有川部会長】 ありがとうございます。最近、もう1つの研究環境基盤部会のほうで大学共同利用機関法人等を議論しているところで、教育システムとしての総研大のことなどについても言及しております。北川先生がご存じですね。
【北川委員】 はい。総研大は、基本的に大学共同利用機関を基盤機関としてつくられた大学院大学ですけれども、宇宙科学研究所のようにJAXAの中にある組織が、大学共同利用機能を持つという認定を受けて総研大に参加するという形は実現しています。
【有川部会長】 ご指摘ありがとうございました。ほかのものと整合するかどうか少し考えなければいけませんが、検討させていただきたいと思います。
ほかに何かございませんでしょうか。
【高木委員】 じゃ、先生。
【有川部会長】 はい、どうぞ。
【高木委員】 1つ手前の質問に関連して、同じようなことなんですけれども、幾つかの施設をまたがってある1つのプロジェクトとか研究をする場合に、先ほど統一的なフォーマットで利用申請ができるというようなお話がありました。2つの施設を同時に使わないとプロジェクトが成り立たないような場合の申し込みというのは、でも一方で、それぞれの施設がそれぞれの優先順位や考え方があった場合に、これができ上がりますと、どこか1カ所に申し込むと、そのあたりは調整してコーディネートしてやっていただけるような仕組みになるんでしょうか。
【柿田基盤研究課長】 資料5-1でいいますと「(1)産学官が共用可能な研究施設・設備の拡大」の下に4つ記載がありますが、そこに国等の研究開発プロジェクトにおける利用促進ということが書いてあります。これから課題対応型の大きなプロジェクトの研究開発をやっていくときに、今ご指摘があったように、複数の装置を使いたい場合、この装置は使えたけれども、別の装置に申請したときに待たなければいけないということになると、研究開発に遅延が生じてしまい、不都合な状態となります。
今、先行的に検討を進めておりますのは、共用促進法で対象となっているSPring-8、SACLAや京などの共用の研究テーマを募集したり、共用の支援を実施する機関として登録機関がございます。3つの登録機関があるわけですけれども、それら3つの登録機関が連携して、複数のものを使いたいというユーザーに対して、もちろん中身によると思いますけれども、例えばSACLAと京を使いたいという場合に、両方を連続的に使えるような選定のスキームについて、登録機関が連携し、検討を進めていただいております。文科省としてもそのようなスキームが構築されるよう、全面的にバックアップしていきたいと思っております。
【若槻委員】 よろしいですか。
【有川部会長】 はい、どうぞ。
【若槻委員】 今のに関連して2点。高エネ機構では放射光とJ-PARCのMLFを運営母体とさせていただいているんですけれども、物質構造学研究所では、これも検討中ですけれども、幾つかの量子ビームを使うような新たな申請課題の仕組みをつくって、まさしく今おっしゃられたような形で申し込んでいただいたものを、施設側としては、それぞれJ-PARC、放射光という中でうまくビームタイムが使えるような形をつくっていこうと考えております。今おっしゃられたものとかなり近いものですけれども、大学共用利用機関の仕組みの中でもつくろうという話があります。
それから、サブ機関として、実はもう今年度から動き始めようとしています創薬等プラットフォームのところは、SPring-8とフォトンファクトリーのビームラインを、ユーザーから見ると1本の窓口になって、これこれしかじかの実験がしたいということが出ますと、希望はもちろん書けるようになっていますけれども、それがわからない場合でも、きちっと対応した、最も適切な場所で実験ができるようにというような仕組みが、これは既に実は昨年度から動いているものが共通のプラットフォームとしてはあります。
なので、全体としてはそういう方向で動いているんだと思いますが、もちろん施設は施設なりの理由があって、これはアメリカでも同じですけれども、それぞれの施設はやっぱり自分のところはユニークであるということを言わないといけないという使命もあったり、ただ、全体としては、全国的なネットワークをちゃんとつくって、ユーザーから見たときの使い勝手というので全体ができ上がると。その両方をちゃんと立てる仕組みが今回もやっぱり必要なんだとは思いますけれども、基本的にはその方向で検討がすべて進んでいると私は理解しております。
【有川部会長】 ありがとうございました。
ほかにございますか。
【神谷委員】 よろしいですか。
【有川部会長】 どうぞ。
【神谷委員】 ここの最後のところに中核的機関の整備というのがありますが、これは新法人イコール中核的機関ということではなくて、新法人の中につくるという意味で考えてよろしいんですよね。
【柿田基盤研究課長】 はい。中核的機関という表現をしておりますけれども、新しい法人における業務の1つとして、こういった中核的業務を担わせたいということです。
【神谷委員】 大学共同利用機関の人間として言わせていただくと、この機関の運営を、大学共同利用機関のように完全に運営の人事まで外の研究者がコントロールするというところまでいかないかもしれませんけれども、かなり外部の人の意見がくみ取れるようなそういう仕組み、今度の場合は企業の研究者などがそこに参画できるようなシステムにしていただけたらなと思います。
【柿田基盤研究課長】 ありがとうございます。今、新法人設立に向けて、仕組みづくり、組織づくりに関する議論を別の場でやっております。今お話しがありましたように、共用に係る中核的業務をやるということになりますと、当然、産業界は重要なステークホルダーになるわけですので、そこも含め、新法人は全体の業務遂行において外部との連携をしっかりと図れるようにすることが大事だと思います。
【有川部会長】 ありがとうございました。
よろしいでしょうか。
【有川部会長】 それでは、大分議論していただきましたし、幾つかの大事なご指摘もいただきました。それから、全体的な調整をする必要のあることもあると感じました。そういった作業をさせていただきたいと思いますが、その上で、最終的なことにつきましては事務局と私のほうにご一任いただきたいと思います。よろしゅうございますでしょうか。
(「はい」の声あり)
【有川部会長】 ありがとうございます。
本日の議題は以上でございますが、事務局から連絡があると思います。よろしくお願いいたします。
○竹上基盤研究課課長補佐より、今後の予定について説明があった。
【有川部会長】 それでは、これで終わります。
―― 了 ――
Copyright (C) Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology